JP3714501B2 - 肉薄板状ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体、光磁気記録媒体及び光記録媒体等の情報記録媒体用ガラス基板並びにカメラ用フィルタ等として使用される、例えば肉厚3mm程度以下の肉薄板状ガラス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の肉薄板状ガラスを製造する方法としては、例えば特開平7−133121号公報に記載されるような製造方法がある。この方法は、上・下型のプレス面の表面温度をガラス転移点近傍に設定するとともに、胴型の内表面温度を前記プレス面の表面温度よりも高く設定することにより、ガラスの延びを阻害せずに肉薄板状ガラスをプレス成形する方法である。
【0003】
この方法もそうであるが、従来一般に肉薄板状ガラスをプレス成形する場合は、上下の型でガラスゴブをプレスして肉薄板状ガラスを形成した後、すぐに上型が肉薄板状ガラスから離れるが、肉薄板状ガラスは、下型がガラス取出し位置に移動するまで下型のプレス面上に保持され、取出し位置に下型が移動したならば、下型のプレス面から取出されてアニール工程に移される。
【0004】
したがって、プレス成形後の肉薄板状ガラスの放熱について考えてみると、肉薄板状ガラスの上面側は、すぐに上型が離れた結果放熱が悪いが、下面側は取出し位置まで下型と接していてこの下型へ熱が移動するため放熱が良好となる。したがって、肉薄板状ガラスの上面側と下面側とに温度差が生じ、上面側と下面側でガラスの収縮量が異なる結果、肉薄板状ガラスが反ることになる。この反りは、大量連続生産するためにプレス時間を短くした場合に特に大きくなる。
【0005】
ところで、肉薄板状ガラスは、通常、最終製品より厚くプレス成形されており、その後両表面をラップ研磨等により研削することにより、所望厚さの平坦性に優れた最終製品としている。このとき、肉薄板状ガラスに上述のように反りがあると、研削板により肉薄板状ガラスの両表面側から圧力が加わえられた際に、肉薄板状ガラスが撓む。したがって、この状態で研削して肉薄板状ガラスを所望厚さの平坦性の良好なものにしても、両表面側からの研削板による圧力を解くと、再び肉薄板状ガラスが反り、平坦な肉薄板状ガラスが得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来は、プレス成形時の反りが、最終製品とする両面研削後も残り、平坦性の良い肉薄板状ガラスを得られないという問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の課題を解決するために、肉薄板状ガラスの一部に、両表面側からの圧力を受け止める部位を設けるようにする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明による肉薄板状ガラス及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。図2は本発明の肉薄板状ガラスの実施の形態を示す断面図である。この図に示すように、本発明の実施の形態の肉薄板状ガラス11は、肉薄板状部12の外周端部に、両表面側からの圧力を受け止める部位として肉厚部13を設けて構成される。肉厚部13は、肉薄板状部12(肉薄板状ガラス11)の両表面側に突出するが、突出量a,bは、予想される反り量fよりも大きくする。一例として、肉厚部13は次のような数値で形成される。図2を参照して、突出量a=0.1mm、突出量b=0.15mm、幅c=2.0mm、厚さd=1.7mm、ただし肉薄板状部12の厚さe=1.4mm、外径66mmとする。
【0009】
このような肉薄板状ガラス11は、上型と下型を用いてプレス成形により製造される。図3は、そのための上型21と下型31を示す。下型31は、円柱状の下型本体32と、この下型本体32の下面中央部に形成されて下型本体32を支持する支持ロッド33とによって構成されており、下型本体32の平坦な上面はプレス面34となっている。ただし、プレス面34(下型本体32の上面)の外周部は、図2の肉薄板状ガラス11の肉厚部13の一表面側突部(下型側突部)を形成するために凹部35となっている。そして、このような下型31は、支持ロッド33が図示しない駆動手段によって上下動されることによって、上下動するようになっている。また、下型31は、該下型31を囲むように胴型36を備えており、この胴型36は、円筒状の胴型本体37と、この胴型本体37の下端部に内側に突出して形成された円環状のフランジ部38とによって構成されている。下型31は、このような胴型36の内周面を上下に摺動自在に設けられる。
【0010】
下型31に対向して設けられる上型21は、円柱状の上型本体22と、この上型本体22の上面中央部に形成されて上型本体22を支持する支持ロッド23とにより構成されており、上型本体22の平坦な下面はプレス面24となっている。さらに、支持ロッド23が図示しない駆動手段によって上下動されることによって、上型21が上下動するようになっている。このような上型21は、該上型21を囲むように胴型25を備えている。この胴型25は、円筒状の胴型本体26と、この胴型本体26の上端部に内側に突出して形成された円環状のフランジ部27とによって構成されている。上型21は、このような胴型25の内周面を上下に摺動自在に設けられる。なお、上型21のプレス面24の外径および胴型本体26の内径は、下型31のプレス面34の外径および下型用胴型本体37の内径より、下型31のプレス面34外周部の凹部35の幅だけ小さく形成されている。また、上型21および上型用胴型25は、下型31および下型用胴型36とともに耐熱性の材料、例えばグラファイト、タングステン合金、窒化物、炭化物、耐熱金属などで形成されている。ただし、型21,25,31,36は、高周波加熱を行う場合には、これによって加熱できる耐熱金属に限定され、特に鋳鉄は強度、耐久性に優れるため好ましい。
【0011】
以上のように構成された上型21および下型31を用いて図2の肉薄板状ガラス11をプレス成形する方法(本発明の製造方法の実施の形態)を図4ないし図6を参照して説明する。プレス成形においては、まず図4(a)に示すように白金製パイプ41から一定流量で1200℃の溶融ガラス42を下型31(450℃に加熱されている)上に供給し、所定量となったところで溶融ガラス42を図4(b)に示すように切断刃43で切断する。切断された溶融ガラス42は、表面張力で丸みを帯びたオハジキ状ガラスゴブとなる。次に、図5(a)に示すように、上型用胴型25を下降させ、上型用胴型25の下面を下型用胴型36の上面に当接させる。次に、図5(b)に示すように上型21(410℃に加熱されている)を胴型25の内周面を摺動して下降させ、上型21と下型31とでガラスゴブを1.0秒間プレスする。これにより、ガラスゴブは下型用胴型36で囲まれた空間一杯に広がって肉薄板状ガラス11となる。このとき、上型21は、下型用胴型36内に若干入り込んだ位置まで下降させる。これにより、上型21と下型31間の薄い板状の空間部で肉薄板状ガラス11の肉薄板状部12が形成されるとともに、その外側の上下に広がった空間部、すなわち、下型31のプレス面34の凹部35で下方に広がり、前記上型21が下型用胴型36内に入り込むことによりその上型21の外側の胴型内部で上方に広がった空間部で肉薄板状ガラス11の外周端肉厚部13が形成される。
【0012】
次に、図6(a)で示すように上型21を胴型25の内周面を摺動して上昇させる。さらに、図6(b)に示すように上型用胴型25を上昇させる。その後、下型31を設置した図示しないターンテーブルが回転するなどして下型31が製品取出し位置にきたときに下型31を胴型36の内周面を摺動して上昇させ、一体に肉薄板状ガラス11を押し上げ、図示しない真空吸着装置により肉薄板状ガラス11を下型31上から取出す。
【0013】
以上のようにして製造された図2の肉薄板状ガラス11は最終製品より厚くプレス成形されており、その後、図1に示すように研削板51,52を用いて両表面を研削することにより、平坦性に優れた所望厚さの最終製品としている。このとき、肉薄板状ガラスに反りがあり、かつ従来例のように肉薄板状ガラスの外周端に肉厚部がない構造においては、研削板により肉薄板状ガラスの両表面側から圧力が加わえられると、肉薄板状ガラスが撓むので、その状態で両面研削して肉薄板状ガラスを平坦にしても、両表面側からの研削板による圧力を解くと、再び肉薄板状ガラスが反り、平坦な肉薄板状ガラスを得ることはできない。これに対して、図2の本発明の肉薄板状ガラス11によれば、外周端部に肉厚部13が設けられており、この肉厚部13で図1に示すように研削板51,52による両表面側からの圧力が受け止められるので、図1に示すように肉薄板状ガラス11に反りが生じている場合でも該肉薄板状ガラス11が撓むことがなく、現在の形を保った状態で両面研削が行われるから、研削後は平坦性の良い所望厚さの肉薄板状ガラスを得ることができる。実際に両面研削後の反りを測定したところ、反りの大きさは1〜3μmとなり、これは従来のもの(反りは5〜10μm)に比べると大きく改善された。また、図2の肉薄板状ガラス11によれば、肉厚部13が両表面側に突出しているので、図1と逆方向に反った場合にも上記と同様に研削板51,52による圧力の影響を除去して両面研削を行うことができ、平坦性の良い肉薄板状ガラス11を得ることができる。さらに、両表面が平行でない場合も、最終的に平坦度の優れた肉薄板状ガラス11を得ることができる。
【0014】
図7は本発明の肉薄板状ガラスの他の実施の形態を示す断面図である。この他の実施の形態の肉薄板状ガラス61は、肉薄板状部62の中心部に肉厚部63を設ける。肉厚部63は、予想される反りが生じたときに凹面側となる側に、予想される反りの量以上の厚さに設けられる。このように肉厚部63を肉薄板状部62(肉薄板状ガラス61)の中心部に設けた場合にも、図2の肉薄板状ガラス11と同様に、研削板による両表面側からの圧力の影響を除去して両面研削を行い、平坦性の良い肉薄板状ガラスを得ることができる。なお、反りは、肉薄板状ガラスのプレス成形後の放熱の関係上、上面側(上型側)を凹面にして図7と上下逆の状態で発生するので、図7の凹面側中心部の肉厚部63は、上型のプレス面の中央部に凹部を設けることにより形成できる。
【0015】
なお、図4ないし図6を参照して説明した製造方法において、下型は複数個配置され、ガラスゴブの供給の工程、プレス成形の工程、成形品の取り出し工程等の工程を順次経るように設計され、例えばターンテーブルの円周上に個々の下型を配置し、下型が各工程を経るようにターンテーブルを回転させることが好ましいが、直線方向に移動するように設計してもよい。また、各工程に、同時に供せられる下型の数は、単数であっても、複数個であってもよい。
一方、上型は、プレス成形の工程に位置した下型に対向して配置される。従って、上型は、一度のプレス成形に使用される下型と少なくとも同数が必要であるが、それ以上の個数を備えてもよい。
【0016】
次に、下型および上型のそれぞれの成形面の温度は、プレス成形開始時に、ある所定温度に調節されることが必要である。
ここで、成形型について所定の温度とは、ガラス材料を、肉薄の板状に成形するのに適した温度をいう。かかる温度は、硝子種、肉厚、ガラス板のサイズ等により適宜決定される温度である。
【0017】
さらに、プレス成形開始時の下型および上型の成形面の温度を前記所定温度に調節するために、下型および上型に対して、必要に応じて加熱する手段、および冷却する手段が講じられる。
加熱する手段としては、例えば、ニクロムヒータを成形型の周囲に複数配置して加熱する方法、成形型の周囲を取り囲むように配置したコイルに電流を流して導電体からなる成形型を誘導加熱する方法、ガスにより加熱する方法等があるが、均一な加熱ができる点で誘導加熱による方法が好ましい。誘導加熱によると、ニクロムヒータによる加熱の場合のように複数の熱源で一つの成形型を加熱する方法と異なり、一つのコイルで一または二以上の成形型を加熱することができるため熱源温度のバラツキという問題がなく、成形型とコイルの距離を一定にすることで成形型を均一に加熱することができる。また、誘導加熱を用いる場合、誘導加熱を上型、下型の両方に対して行っても、あるいは、いずれか一方に行ってもよく、胴型を用いる場合には、胴型に適用することも可能である。
ここで、誘導加熱の際にコイルに流す電流は、高周波電流であることが好ましい。低周波電流では装置が大がかりになり、また、人の可聴音域であるため騒音が問題となることがある。
【0018】
一方、プレス成形に供せられた成形型の温度は、溶融ガラスからの熱を受け取って、プレス成形前に比べて上昇している。従って、どの肉薄板状ガラスについても同等の温度条件でプレス成形するためには、次のプレス成形に供されるまでに、成形型が成形前の温度に戻っていることが必要である。このとき、プレス成形に供されたのち次のプレス成形に供されるまでの時間に自然冷却してプレス成形前の温度に戻る場合以外は、何らかの冷却手段を講じて温度を戻してやることが好ましい。したがって、加熱手段と同時に、冷却手段も必要となる。
冷却手段としては、成形型の中空部に水や空気を循環させる方法、水等の液体を成形型の中空部内面に吹き付けて気化させる方法などを採用することができる。液体を吹き付けて気化させる方法によると、液体の気化熱で成形型を冷却することができるため、液体を循環させる方法よりも少ない液量で冷却効果が得られる。従って、水等の気化熱を利用する方法は、冷却効果の観点ばかりでなく、冷却装置をより小さくすることができる観点からも好ましい。さらに、例えば上型の冷却に時間がかかり、成形後、次の成形までに所定の温度までに冷却出来ない場合等には、上型を複数個容易し、どれか1つの上型がプレス成形を行っているときに、他の上型を冷却しておき、複数個の上型を循環させてもよい。
【0019】
また、図4ないし図6の方法では、ガラスが軟化状態にあるときにプレスを終了するので、プレス成形終了時に、肉薄板状ガラスの温度が、成形型の温度より高く、この時点で肉薄板状ガラスと成形型は熱的に平衡状態に至っていない。しかし、成形型があらかじめ所定の温度に保たれているので、成形後冷却して得られた肉薄板状ガラスは、反り等の形状が一定した一定の形状をしており、研削・研磨しやすい形状となっている。また、肉薄板状ガラスと成形型は熱的に平衡状態に達するまで冷却する必要がないため、成形時間を短縮することもできる。
さらに、プレス時間を短くする目的で、肉薄板状ガラスの中心部が当該ガラス材料の軟化点以上の温度でプレス成形を終了してもよい。
また、プレス成形後の肉薄板状ガラスは軟化状態にあるので、プレス成形に次いで、肉薄板状ガラスの反りを修正する工程を行ってもよい。肉薄板状ガラスの反りを修正する工程とは、例えば、肉薄板状ガラスの片面にのみ空気等を吹きかける等、不均一に熱を奪ったり、上型と同様な成形面を有した成形型によって、再度プレスしたりすることによって、反りの大きさを修正する工程のことである。
また、本発明の製造方法では、上、下型のプレス面の表面温度をガラス転移点近傍に設定し、胴型の内表面温度を前記プレス面の表面温度よりも高く設定する成形方法を適用することも可能である。
【0020】
さらに、溶融ガラスを薄い板状に成形するためには、溶融ガラスを外周方向によく引き延ばすことが必要であるため、成形型の成形面に固体潤滑剤を付着させて溶融ガラスの潤滑性を上げることが好ましい。このとき、肉薄板状ガラスを成形する際の成形型は、肉厚のものをプレス成形する場合よりもより多くの熱を溶融ガラスから受け取るため高温になる。従って、固体潤滑剤は高温域においても潤滑性を失わない耐熱性のものであることが好ましい。このような耐熱性固体潤滑剤としては、耐熱性に優れるものであれば特に限定されないが、窒化ホウ素(BN)が好適である。
また、極薄い肉薄板状ガラスであっても機械的強度に優れる板状ガラスを得るために、ガラス素材としてガラス転移点が高いものを用いることがある。このような場合には、成形型もかなり高温となるため、固体潤滑剤に要求される耐熱性は非常に高度なものとなる。このような場合にもBN粉末は好適に用いられる。
耐熱性固体潤滑剤は粉末化したものを用いることで、ガラスの成形面への均一な付着および余剰分の除去を容易に行うことができる。
【0021】
上記の製造方法により得られた肉薄板状ガラスは、図1を参照して概述したような研削、研磨等の機械加工を経て、例えば情報記録媒体用ガラス基板となる。
以下、機械加工について詳しく説明する。機械加工については、具体的には、上記のガラスの表面を水洗浄し、以下の(1)荒ずり(粗研磨)、(2)砂掛け(精研削、ラッピング)、(3)第一研磨(ポリッシュ)、(4)第二研磨(ファイナル研磨、ポリッシュ)の各工程を経る。
【0022】
(1)荒ずり工程
まず、粒度の細かいダイヤモンド砥石で上記ガラス基板の両面を片面ずつ研削加工した。このときの荷重は100kg程度とした。これにより、ガラス基板両面の表面粗さをRmax(JIS B 0601で測定)で10μm程度に仕上げた。
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を開けるとともに、外周端面も研削して直径を65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の面取り加工を施した。
【0023】
(2)砂掛け(ラッピング)工程
次に、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。砂掛け加工は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒の粒度を#400、#1000と替えて2回行った。
詳しくは、はじめに、粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重を100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を両精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
次いで、アルミナ砥粒の粒度を#1000に替えてラッピングを行い、表面粗さ(Rmax)2μm程度とした。
上記砂掛け加工を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0024】
(3)第一研磨(ポリッシュ)工程
次に、第一研磨工程を施した。この第一研磨工程は、上述した砂掛け工程で残留したキズや歪みの除去を目的とするもので、研磨装置を用いて行った。
詳しくは、ポリシャ(研磨粉)として硬質ポリシャ(セリウムパッドMHCl:スピードファム社製)を用い、以下の研磨条件で第一研磨工程を実施した。
研磨液:酸化セリウム+水
荷重:300g/cm2 (L=238kg)
研磨時間:15分
除去量:30μm
下定盤回転数:40rpm
上定盤回転数:35rpm
内ギア回転数:14rpm
外ギア回転数:29rpm
上記第一研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピレンアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0025】
(4)第二研磨工程
次に、第一研磨工程で使用した研磨装置を行い、ポリシャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(ポリラックス:スピードファム社製)に替えて、第二研磨工程を実施した。研磨条件は、荷重を100g/cm2 、研磨時間を5分、除去量を5μmとしたこと以外は、第一研磨工程と同様とした。
上記第二研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽に超音波を印加した。
このようにして、外径65mmφ、中心部の孔径20mmφ、厚さ0.5mm、Rmax 40オングストローム、Ra8オングストローム程度の円板状の情報記録媒体用ガラス基板を得た。
【0026】
以上のような方法で製造された情報記録媒体用ガラス基板は、そのガラス基板上に下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層することにより、磁気記録媒体を構成する。
【0027】
ここで、磁気記録媒体のガラス基板の材質としては、たとえば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、または、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。さらに、好ましくは、次のような組成のガラスが使用される。
(1)結晶化ガラス1
重量%表示で、SiO2 が60〜87%、Li2 Oが5〜20%、Na2 Oが0〜5%、K2 Oが0〜10%、Na2 OとK2 Oが合計で0.5〜10%、MgOが0.5〜7.5%、CaOが0〜9.5%、SrOが0〜15%、BaOが0〜13%、ZnOが0〜13%、B2 3 が0〜10%、Al2 3 が0〜10%、P2 5 が0.5〜8%、TiO2 が0〜5%、ZrO2 が0〜3%、SnO2 が0〜3%、As2 3 とSb2 3 が合計で0〜2%、上記金属酸化物の1種以上の金属元素のフッ化物をFの合計量として0〜5%含有し、場合により着色成分として、V2 5 、CuO、MnO2 、Cr2 3 、CoO、MoO3 、NiO、Fe2 3 、TeO2 、CeO2 、Pr2 3 、Nd2 3 、Er2 3 の群より選ばれた少なくとも1種を0〜5%含有し、主結晶としてリチウムジシリケート、場合によりα−クリストバライト、α−クオーツ、リチウムモノシリケート、β−スポジューメン等を含有し、結晶粒の大きさが3.0μm以下である結晶化ガラス。
(2)結晶化ガラス2
重量%表示で、SiO2 が45〜75%、CaOが4〜30%、Na2 Oが2〜15%、K2 Oが0〜20%、Al2 3 が0〜7%、MgOが0〜2%、ZnOが0〜2%、SnO2 が0〜2%、Sb2 3 が0〜1%、B2 3 が0〜6%、ZrO2 が0〜12%、Li2 Oが0〜3%、上記金属酸化物の1種以上の金属元素のフッ化物をFの合計量として3〜12%含有し、場合により着色成分としてCr2 3 、Co3 4 等を含有し、主結晶としてカナサイト又はカリウム・フルオロ・リヒテライトを含有し、結晶粒の大きさが1.0μm以下である結晶化ガラス。
(3)ガラス3
重量%表示で、SiO2 が62〜75%、Al2 3 が4〜18%、ZrO2 が0〜15%、Li2 Oが3〜12%、Na2 Oが3〜13%含有するガラス。
【0028】
このようなガラス基板は、耐衝撃性や耐振動性等の向上を目的として、表面に低温イオン交換法による化学強化処理を施すことができる。ここで、化学強化方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に制限されないが、例えば、ガラス転移点の観点から転移温度を超えない領域でイオン交換を行う低温型化学強化などが好ましい。化学強化に用いるアルカリ溶融塩としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、あるいは、それらを混合した硝酸塩などが挙げられる。
【0029】
下地層としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料からなる下地層等が挙げられる。Coを主成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造とすることもできる。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr、Al/Cr/CrV、Al/CrV/CrV等の多層下地層等が挙げられる。
【0030】
磁性層としては、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPt、CoCrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられる。磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrTaPt/CrMo/CoCrTaPtなど)としてもよい。磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は大型磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層としては、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hr、Ge、Sn、Znから選択される不純物元素、又はこれらの不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれる。また、磁性層としては、上記の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO2 、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性層は、内面型、垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
【0031】
保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金膜、カーボン膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられる。これらの保護層は、下地層、磁性層等とともにインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の膜からなる多層構成としてもよい。さらに、上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr膜の上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2 )膜を形成してもよい。
【0032】
潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を行って形成する。
【0033】
以上本発明について詳述し、図1および図7の肉薄板状ガラス11,61はディスク状すなわち円形であるが、四角形等種々の形状とすることもできる。また、肉厚部を有する肉薄板状ガラスをプレス成形する成形型の構造も図3の構造に限定されるものではない。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明の肉薄板状ガラス及びその製造方法によれば、肉薄板状ガラスの一部に、両表面側からの圧力を受け止める部位を設けるようにしたので、最終製品とする両面研削後においては反りを殆ど除去して平坦性の良好な肉薄板状ガラスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による肉薄板状ガラスを研削板で両面研削する状態を示す断面図。
【図2】本発明の肉薄板状ガラスの実施の形態を示す断面図。
【図3】図2の肉薄板状ガラスを製造するための上型および下型を示す断面図。
【図4】本発明の肉薄板状ガラスの製造方法の実施の形態として、図2の肉薄板状ガラスの製造工程を示す断面図。
【図5】同製造工程を示す断面図。
【図6】同製造工程を示す断面図。
【図7】本発明の肉薄板状ガラスの他の実施の形態を示す断面図。
【符号の説明】
11,61 肉薄板状ガラス
13,63 肉厚部
21 上型
31 下型

Claims (8)

  1. 両表面をラッピングする工程を含む機械加工を経てガラス基板に加工される肉薄板状ガラスにおいて、
    前記ラッピングの際に両表面側からの圧力を受け止める部位を一部に設け、
    該圧力受け止め部位は、他の部分より肉厚が厚い肉厚部で構成されることを特徴とする肉薄板状ガラス。
  2. 両表面をラッピングする工程を含む機械加工を経て情報記録媒体用ガラス基板に加工される請求項1に記載の肉薄板状ガラス。
  3. アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、ガラスセラミックのいずれかよりなる請求項1または2に記載の肉薄板状ガラス。
  4. 請求項1または2に記載の肉薄板状ガラスをプレス成形により製造することを特徴とする肉薄板状ガラスの製造方法。
  5. 溶融ガラスを下型上に供給し、所定量なったところで切断してガラスゴブとし、前記下型と上型とで前記ガラスゴブをプレス成形する請求項4に記載の肉薄板状ガラスの製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の肉薄板状ガラスあるいは請求項または記載の製造方法により製造された肉薄板状ガラスを少なくとも前記ガラスの両表面をラッピングする工程を含む機械加工を経て、情報記録媒体用ガラス基板に加工することを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 請求項記載の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成して構成される磁気記録媒体。
  8. 請求項記載の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板上に少なくとも磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法。
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