JP2001097725A - 板状ガラスの製造方法 - Google Patents

板状ガラスの製造方法

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JP2001097725A
JP2001097725A JP27757899A JP27757899A JP2001097725A JP 2001097725 A JP2001097725 A JP 2001097725A JP 27757899 A JP27757899 A JP 27757899A JP 27757899 A JP27757899 A JP 27757899A JP 2001097725 A JP2001097725 A JP 2001097725A
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sheet glass
mold
press
die
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JP27757899A
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Takumi Yada
匠 矢田
Shoji Nihei
昭二 仁平
Akimi Kitayama
皓己 北山
Tomomasa Takeuchi
奉正 竹内
Shizuo Suzuki
静夫 鈴木
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Hoya Corp
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Hoya Corp
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B2215/00Press-moulding glass
    • C03B2215/40Product characteristics
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  • Organic Chemistry (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平坦性の良い肉薄板状ガラスを高い量産性を
もとに生産できる板状ガラスの製造方法を提供する。 【解決手段】 溶融ガラスが供給される下型と該下型に
対向した上型との間でプレス成形を行う肉薄板状ガラス
の製造方法であって、所定の温度に保たれた下型及び上
型でプレス成形し、かつ肉薄板状ガラスの内部がガラス
転移点より高い温度状態にあるときにプレス成形を終了
し、次いで、プレス成形により成形された肉薄板状ガラ
スの反りを修正する工程を施し、該反りを修正する工程
を肉薄板状ガラスの内部がガラス転移点より高い温度状
態にあるときに終了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体、光
磁気記録媒体および光記録媒体などの情報記録媒体の基
板として、あるいはカメラ用フィルタ、マスクブランク
スなどの板状ガラスとして使用される、例えば肉厚3m
m程度以下の肉薄板状ガラスをプレス成形により製造す
る肉薄板状ガラスの製造方法に係り、さらにはより肉薄
の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、磁気記録媒体など情報記録媒体の
基板としてガラス基板が多く使用されている。しかも、
そのガラス基板を製造する方法として、板状のガラスか
ら切り出す方法に代えて、溶融ガラスから成形型を用い
て直接プレス成形する方法、すなわちダイレクトプレス
法が採用されている。
【0003】このダイレクトプレス法の従来例として
は、特開平5−105458号公報に開示される方法が
ある。この方法は、離型剤層を成形面に形成した成形型
で、ガラス原料の温度が軟化点以下で、上下型と熱的に
平衡となるまで充分な時間プレスすることにより、反り
の小さな近最終形状のディスク形状ガラス製品を製造す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
原料の温度が軟化点以下で、上下型と熱的に平衡となる
まで充分な時間プレス成形する上記方法では、プレス成
形にかかる時間が長く、量産性が悪いという問題点があ
った。また、特開平5−105458号公報に記載の方
法では、温度コントロールを完全に制御することは難し
く、反りをある程度以上に小さくすることができなかっ
た。このような製造方法で得られたガラス製品は、従来
では磁気記録媒体用基板として使用できたかもしれない
が、最近では磁気記録媒体の高密度化の要求が高まり、
従来より、より反りの小さな基板が求められ、特にMR
ヘッドに対応可能な磁気記録媒体用基板では高い平坦性
が要求されていることから、好ましい製法とはいえな
い。したがって、特開平5−105458号公報に記載
の方法でも、MRヘッド対応用の磁気記録媒体用ガラス
基板を製造する場合、結局、ガラス基板を所定のスペッ
クに収まるように研削・研磨加工する必要がある。この
研削は、研削板によって肉薄板状ガラスの両側面から圧
力をかけた状態でなされるが、反りがある肉薄板状ガラ
スは、研削の際に撓むため、研削後に肉薄板状ガラスの
両側から圧力を解くと、再び肉厚板状ガラスが反るとい
う問題がある。このため、肉薄板状ガラスを研削する場
合に、肉薄板状ガラスが撓まないように常にきめ細かく
肉薄板状ガラスに加える圧力を調節しなければならず、
このため研削時間が長くなるから、この点からも平坦性
の良い肉薄板状ガラスの量産性を向上させることはでき
ない。
【0005】また、従来のダイレクトプレス法の他の例
として特開平7−133121号公報に開示される方法
がある。この方法は、上下の型のプレス面の表面温度を
プレス成形するガラスの転移点近傍に設定するととも
に、胴型の内表面温度を前記プレス面の表面温度より高
く設定し、このような設定状態の下、溶融ガラスを上下
の型でプレスして最終製品に近いディスク状ガラス製品
を得る方法である。しかし、この方法でも、前記の方法
と同様に、得られたガラス基板を所定のスペックに収ま
るように研削・研磨加工する必要があり、上記と同様の
理由により量産性が悪いという問題がある。
【0006】したがって、本発明の目的は、平坦性の良
い肉薄板状ガラスを高い量産性のもとに生産できる肉薄
板状ガラスの製造方法を提供することであり、さらには
情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融ガラスが
供給される下型と該下型に対向した上型との間でプレス
成形を行う肉薄板状ガラスの製造方法であって、所定の
温度に保たれた下型及び上型でプレス成形し、かつ肉薄
板状ガラスの内部がガラス転移点より高い温度状態にあ
るときにプレス成形を終了し、次いで、プレス成形によ
り成形された肉薄板状ガラスの反りを修正する工程を施
し、該反りを修正する工程を肉薄板状ガラスの内部がガ
ラス転移点より高い温度状態にあるときに終了すること
を特徴とする肉薄板状ガラスの製造方法である。好まし
くは、プレス時間の短縮の観点から、プレス成形、反り
修正プレスは、ガラスの軟化点より高い時間で終了する
ことが好ましい。また、反りを修正するガラスの温度
は、プレス成形する温度より低い方が好ましい。このよ
うに、ガラス転移点またはガラス軟化点、より高い温度
で各プレスを終了するので、成形プレス終了時のガラス
は、型の成形面に対応する形状を、離型後も基本的には
維持し、且つ外力によって微小変形も可能な状態になっ
ている。各プレスの所用時間は、2秒以内が好ましく、
更に好ましくは1.8秒以内である。なお、上述したガ
ラス内部とは、放熱が著しいガラスの表層部に覆われた
ガラスの主要部のことである。このガラス内部の温度
が、形状維持性、形状変形性に影響を与える。また、本
発明の肉薄板状ガラスとは、磁気ディスク用ガラス基板
に代表されるような薄板状ガラス基板のことである。例
えば、板厚が2〜4ミリ以下、特に肉厚が1.5ミリ以
下であり、直径または長さが15センチ以下のガラスが
代表的なものである。
【0008】下型は、ガラスゴブの供給の工程、プレス
成形の工程、反り修正の工程、成形品の取り出し工程等
の工程を順次経るように設計され、例えばターンテーブ
ルの円周上に複数個の下型を配置し、下型が各工程を経
るようにターンテーブルを回転させることが好ましい
が、直線方向に移動するように設計してもよい。また、
各工程に、同時に供せられる下型の数は、単数個であっ
てもよい。一方、上型は、プレス成形の工程に位置した
下型に対向して配置される。従って、上型は、一度のプ
レス成形に使用される下型と少なくとも同数が必要であ
るが、それ以上の個数を備えてもよい。また、プレス成
形後に溶融ガラスから上型に移動した熱を除去して、上
型の温度が成形時の適切温度になるように短時間で温度
コントロールすることができれば、1個の上型でもよ
い。
【0009】次に、上型及び下型(以下、上型及び下型
を成形型と呼ぶことがある)のそれぞれの成形面の温度
は、プレス成形開始時に、ある所定の温度に調節される
ことが必要である。ここで、成形型について所定の温度
とは、ガラス材料を、肉薄の板状に成形するのに適した
温度をいう。かかる温度は、硝子種、肉厚、ガラス板の
サイズ等により適宜決定される温度である。
【0010】さらに、プレス成形開始時の上型および下
型の成形面の温度を前記所定温度に調節するために、上
型および下型に対して、必要に応じて加熱する手段、お
よび冷却する手段が講じられる。加熱する手段として
は、例えば、ニクロムヒータを下型(上型)の周囲に複
数配置して加熱する方法、下型(上型)の周囲を取り囲
むように配置したコイルに電流を流して導電体からなる
成形型を誘導加熱する方法、ガスにより加熱する方法等
がある。下型(上型)が複数個配置される場合に、各々
の下型(上型)の周囲にニクロムヒータを配置して加熱
する場合には、各ニクロムヒータ間の温度のバラツキに
より、各々の下型(上型)を均一に加熱するのが困難で
あるので、均一な加熱ができる誘導加熱による方法が好
ましい。誘導加熱によると、一つのコイルで各々の下型
(上型)を加熱することができるため熱源温度のバラツ
キという問題がなく、コイルと各々の下型(上型)との
距離を一定にすることで成形型を均一に加熱することが
できる。ここで、誘導加熱の際にコイルに流す電流は、
高周波電流であることが好ましい。低周波電流では装置
が大がかりになり、また、人の可聴音域であるため騒音
が問題となる場合がある。一方、下型(上型)が単数個
である場合には、各ニクロムヒータ間での温度のバラツ
キという問題がないので、ニクロムヒータを下型(上
型)の周囲に配置して加熱する方法を採用できる。
【0011】一方、プレス成形に供せられた成形型の温
度は、プレス成形前に比べて上昇している。連続してガ
ラスの成形を行うためには、次のプレス成形までに成形
型を冷却して、どの成形品についても同等の温度条件で
成形する必要が生じる。したがって、加熱手段と同時
に、冷却手段も必要となる。冷却手段としては、成形型
の中空部に水や空気を循環させる方法、水等の液体を成
形型の中空部内面に吹き付けて気化させる方法などを採
用することができる。液体を吹き付けて気化させる方法
によると、液体の気化熱で成形型を冷却することができ
るため、液体を循環させる方法よりも少ない液量で冷却
効果が得られる。従って、水等の気化熱を利用する方法
は、冷却効果の観点ばかりでなく、冷却装置をより小さ
くすることができる観点からも好ましい。さらに、例え
ば上型の冷却に時間がかかり、成形後、次の成形までに
所定の温度までに冷却できない場合等には、上型を複数
個用意し、どれか1つの上型がプレス成形を行っている
ときに、他の上型を冷却しておき、冷却後の上型を順次
プレス成形に供するようにしてもよい。
【0012】本発明では、プレス成形終了時に、肉薄板
状ガラスの温度が、成形型の温度より高く、この時点で
肉薄板状ガラスと成形型とは熱的に平衡状態に至ってい
ない。しかし、上述の如く、成形型があらかじめ所定の
温度に保たれているので、成形後冷却して得られた肉薄
板状ガラスは、反り等の品質が一定した一定の形状をし
ており、研削・研磨しやすい形状となっている。また、
肉薄板状ガラスと成形型は熱的に平衡状態に達するまで
冷却する必要がないため、成形時間を短縮することもで
きる。
【0013】プレス成形に使用する上型、下型の温度
は、ガラスの種類、ガラスの離形性、型の損傷等の観点
から設定されるが、上型は250〜450℃、下型は3
50〜550℃が好ましい。これは、型の温度の下限よ
り下の温度だとガラスの伸びが充分ではなく、上限の温
度を超えると、焼き付きや張り付きが起こるからであ
る。上型の温度は、下型と同じ温度か、または下型の温
度より50〜100℃低い方が好ましい。また、下型又
は/及び上型を案内する胴型は、下型と近似した温度が
好ましい。下型の温度は、プレス成形、反り修正後の肉
薄板状ガラスの反りの状態によって制御することが好ま
しい。完成した板状ガラスが凹形状の反りを有している
場合は、下型の温度を下げることにより、ガラスの粘度
が下がり、次工程の反り修正を適正に行うことができ
る。逆に凸形状の反りがある場合は、下型の温度を上
げ、反り修正時のガラスの粘度を上げることにより、反
り修正を適正に行うことができる。
【0014】プレス成形において用いる成形型は、上型
および下型の成形面がともに平坦面である成形型のほ
か、上型及び下型の成形面がともに凸面である成形型、
上型、下型の一方が凸面でもう一方が凹面である成形型
であることもできる。下型及び下型をともに凸面または
凹面とすることにより、両凹または両凸の肉薄板状ガラ
ス材がえられ、肉薄板状ガラス材に反りが残存していて
も粗研削工程におけるラップ盤の荷重による変形が起こ
りにくい。また、成形面を、肉薄板状ガラス材の上下面
における曲率が等しくなるような形状に設計することに
より上下面の研磨面積を等しくできるため、上下面のラ
ップ盤荷重を等しくすることができるため、上下面とも
所望範囲の研磨圧力に設定することができる。
【0015】溶融ガラスを薄い板状に成形するために
は、溶融ガラスを外周方向によく引き延ばすことが必要
であるため、成形型の成形面に固体潤滑剤を付着させて
溶融ガラスの潤滑性を上げることが好ましい。このと
き、肉薄板状ガラスを成形する際の成形型は、肉厚のも
のをプレス成形する場合よりもより多くの熱を溶融ガラ
スから受け取るため高温になる。従って、固体潤滑剤は
高温域においても潤滑性を失わない耐熱性のものである
ことが好ましい。このような耐熱性固体潤滑剤として
は、耐熱性に優れるものであれば特に限定されないが、
窒化ホウ素(BN)が好適である。また、極薄い肉薄板
状ガラスであっても機械的強度に優れる板状ガラスを得
るために、ガラス素材として溶融温度が高いものを用い
ることがある。このような場合には、成形型もかなり高
温となるため、固体潤滑剤に要求される耐熱性は非常に
高度なものとなる。このような場合にもBN粉末等の高
耐熱性固体潤滑剤粉末は好適に用いられる。耐熱性固体
潤滑剤は粉末化したものを用いることで、ガラスの成形
面への均一な付着および余剰分の除去を容易に行うこと
ができる。
【0016】さらに、成形型の材料は、耐熱性のあるも
のであればよく、グラファイト、タングステン合金、窒
化物、炭化物、耐熱金属等が用いられるが、特に鋳鉄
が、強度、耐久性に優れるため好ましい。
【0017】本発明において、プレス成形後のガラス体
の上下面は、上型及び下型を通して放出される熱量が異
なるうえ、ガラス体の上下主表面の温度が等しくなるま
えにガラス体から上型を引き離すため、この温度の不均
衡がガラス体の対向主表面が湾曲したように反る原因と
なる。この反りを低減、除去するのが、プレス成形工程
に引き続いて行われる反り修正工程である。この反りの
修正方法としては、プレス成形後のガラス体を平坦な一
対の基盤または所定形状の押し型で二次プレスして、外
力によって反りを修正する方法(以下、これらを反り修
正プレスと呼ぶ)がある。また、前記外力によって反り
を修正する方法とともに、前記反りの原因となる上下面
の温度差を縮小させる。このような方法として、上面と
下面のうち温度の高い方の面に対し、該面よりも比較的
温度の低い押し型を接触させてプレスする方法が挙げら
れる。このように、反りを修正するとともに上下面の温
度差を縮小することにより、反りを再び生じにくくする
ことができる。また、このとき下型を冷却し、これに接
する板状ガラス下面との温度差が小さくなるように二次
プレスをすることにより、板状ガラスを取り出しても変
形しない粘度にまでにかかる時間を短くすることができ
る。この反り修正工程におけるガラスの粘度は、外力が
付与されなければ、プレス成形で付与された形状を維持
し、外力が付与されれば、微小変形する値であることが
好ましい。反り修正プレスで使用する押し型の温度は、
400〜650℃が好ましい。400℃未満だとガラス
に欠陥を発生させるおそれがあり、600℃を超えると
ガラスが基盤に張り付くためである。この温度はガラス
の温度より250〜20℃低く、成形プレスで使用する
型より、50〜200℃高くするのが好ましい。これ
は、反りの修正工程では、プレス成形時よりガラスの温
度、粘度が低下しており、反り修正でワレが発生するの
を防止するためである。
【0018】プレス成形は、不定形な溶融ガラスを成形
型の内周成形面に対応した一定形状に成形するものであ
るが、上記の反り修正プレスは、プレス成形により得ら
れた肉薄板状ガラスを形状加工するという意味合いから
ではなく、プレス成形によって形状加工された肉薄板状
ガラスの反りを取り除き(または低減し)、肉薄板状ガ
ラスを平坦または平坦に近い形態にするためになされる
ものである。好ましい反り修正プレスは、上型と下型と
の間で平坦な状態とされた肉薄板状ガラスをこれよりも
低温になっている一対の押し型(または上型と下型)に
よって、上下面の温度差を減少させながら冷却し固化さ
せることにより、肉薄板状ガラスの反りを修正するとい
うものである。反り修正プレスは、肉薄板状ガラスの内
部がガラス転移点より高い状態にあるときに行うのが好
ましい。ガラス転移点以下の状態で反り修正プレスを行
うと、肉薄板状ガラスが硬すぎるため、肉薄板状ガラス
にひび割れが発生する傾向がある。一方、肉薄板状ガラ
スが軟らかすぎると、反り修正プレスにより肉薄板状ガ
ラスの形状が変化してしまい好ましくないので、この観
点から反り修正プレスを行う温度の上限が定められる。
【0019】前記プレス成形後の肉薄板状ガラス材の上
下面の温度の高い方から熱を奪うことにより上下面の温
度差を小さくすることによって反りを修正する場合にお
いても、また、外力によって変形させることで反りを修
正する場合においても、これに用いる押し型の押圧面
が、所望どおりガラスに接触することが重要である。所
望どおりにガラスに接触するとは、例えば、押し型成形
面がガラスに対して面で接触することが挙げられる。こ
のため、反り修正プレスは、プレス成形により成形され
た肉薄板状ガラスの形状に合わせた形状の押し型を用い
ることが好ましい。ここで、溶融ガラスは、プレス成形
開始とともに冷却されるため、反り修正プレス工程にお
けるガラス、成形型の温度は、プレス成形時とは異な
る。このため、プレス成形に用いた成形型は、反り修正
のために再度プレスするときには、ガラスとの熱膨張の
差によりもはやガラスの形状とマッチングする成形面形
状とはなっていない。よって、プレス温度、反り修正プ
レス温度における成形型やガラスの温度変化を考慮し
て、成形型の成形面形状を決定することが必要である。
例えば、反り修正プレス時には、プレス成形に用いた成
形型とは成形面の曲率の異なる押し型を用いることが挙
げられる。このようにプレス成形の上型と反り修正プレ
スの押し型の形状を、その時の成形型および/またはガ
ラスの温度に応じて選択するためには、プレス成形後一
旦ガラスから上型を引き離し、反り修正時の各種条件に
応じた所望の成形面形状を有する別の反り修正用押し型
で押圧することが好ましい。このように、反り修正プレ
スを行うことにより反り修正プレス後の平坦度をより向
上させることができ、その結果、プレス成形後の二次加
工、例えば粗研削工程を省略することもできる。
【0020】ここで、プレス成形の際に後述する圧力受
け部を形成した場合には、反り修正プレスは、該圧力受
け部と、該圧力受け部に囲まれる中央部分との両方に対
して行ってもよく、いずれか一方のみに対して行っても
よい。また、中央部分に反り修正プレスを行う場合、囲
まれる部分の略全長をプレスしてもよいし、選択した所
定部分だけをプレスしてもよい。選択した所定部分とし
ては、肉薄板状ガラス材の主表面のうち特に平坦度を向
上させたい部分や、その部分の平坦度がガラス材全体の
平坦度を決定づけるような主要部分が挙げられる。
【0021】また、圧力受け部に対して反り修正プレス
を行うことにより、後述するラップ研削等の工程におい
てラップ盤による圧力を両表面側から受け止める際に研
磨板に対する基盤の位置が安定しやすくなり、結果とし
て研磨後の平坦度が向上する。
【0022】本発明の成形プレス、反り修正プレスを経
て完成した肉薄板状ガラスは、完全に反りが除去されて
いる場合と、反りが残存している場合がある。反りを機
械的研削、研磨で除去することができれば反りが残存し
たプレス完成品としてもよい。反ったガラス基板を単純
に通常の研削、研磨すると、その完成品は依然反ったも
のになってしまう。したがって、反ったプレス品を研
削、研磨するには、工夫が必要になる。良好な研削方法
を実現するには、要は、研削する際、プレス品の湾曲
が、研削のラップ盤の荷重により変形することを抑制し
て研削すればよい。具体的には、ラップ盤の荷重を、研
削開始から時間がたつに従って徐々に上げて、まず平坦
なガラス基板を形成した後、板厚が所定の寸法になるよ
うに更に荷重を上げて研削すればよい。また、プレス品
の湾曲の変形を抑える他の方法としては、プレス品の形
状を単純な円盤状にするのではなく、プレス品の周辺部
にラップ盤の圧力を支持する圧力受け部をプレス成形の
段階で形成してもよい。このような形状の場合、ラップ
盤の圧力は、圧力受け部で受けられるので、湾曲した部
分の変形を容易に抑制することができる。このとき、該
圧力受け部は圧力を受ける部分であると同時に、ラップ
盤に対する肉薄板状ガラス材の支持部としても働くた
め、該圧力受け部の上面および/または下型の平坦度が
高いほど、肉薄板状ガラス材が安定して支持されるた
め、粗研削後の平坦度も向上させることができる。該圧
力受け部の上面および/または下面の平坦度を向上させ
る手段として、前述の圧力受け部に対する反り修正プレ
スが挙げられる。なお、このような、反ったガラス基板
を平坦に研削、研磨する発明は、特開平5−10545
8号公報、特開平7−133121号公報に記載された
プレス方法に記載された方法によって得られたプレス品
にも適用できる。また、前述のとおり、両凸または両凹
の肉薄板状ガラス材であれば、ラップ盤の荷重による変
形が起こりにくい。
【0023】上記の製造方法により得られた肉薄板状ガ
ラスは、研削、研磨等の機械加工を経て例えば情報記録
媒体用ガラス基板となる。その際の研削、研磨の工程
は、通常、大きく分けて、(1)荒ずり(粗研磨)、
(2)砂掛け(精研削、ラッピング)、(3)第一研磨
(ポリッシュ)、(4)第二研磨(ファイナル研磨、ポ
リッシュ)の各工程からなる。場合によっては、(1)
荒ずり(粗研磨)を省略してもよい。
【0024】さらに、上記情報記録媒体用ガラス基板
は、そのガラス基板上に下地層、磁性層、保護層、潤滑
層を順次積層することにより、磁気記録媒体を構成す
る。ここで、磁気記録媒体のガラス基板の材質として
は、たとえば、アルミノシリケートガラス、ソーダライ
ムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノポロ
シリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラ
ス、チェーンシリケートガラス、または、結晶化ガラス
などが挙げられる。さらに、好ましくは、次のような組
成のガラスが使用される。 (1)結晶化ガラス1 重量%表示で、SiO2が60〜87%、Li2Oが5〜
20%、Na2Oが0〜5%、K2Oが0〜10%、Na
2OとK2Oが合計で0.5〜10%、MgOが0.5〜
7.5%、CaOが0〜9.5%、SrOが0〜15
%、BaOが0〜13%、ZnOが0〜13%、B23
が0〜10%、Al23が0〜10%、P25が0.5
〜8%、TiO2が0〜5%、ZrO2が0〜3%、Sn
2が0〜3%、As23とSb23が合計で0〜2
%、上記金属酸化物の1種以上の金属元素のフッ化物を
Fの合計量として0〜5%含有し、場合により着色成分
として、V25、CuO、MnO2、Cr23、Co
O、MoO3、NiO、Fe23、TeO2、CoO2
Pr23、Nd23、Er23の群より選ばれた少なく
とも1種を0〜5%含有し、主結晶としてリチウムジシ
リケート、場合によりα−クリストバライト、α−クオ
ーツ、リチウムモノシリケート、β−スポジューメン等
を含有し、結晶粒の大きさが3.0μm以下である結晶
化ガラス。 (2)結晶化ガラス2 重量%表示で、SiO2が45〜75%、CaOが4〜
30%、Na2Oが2〜15%、K2Oが0〜20%、A
23 が0〜7%、MgOが0〜2%、ZnOが0〜
2%、SnO2が0〜2%、Sb23が0〜1%、B2
3が0〜6%、ZrO2が0〜12%、Li2Oが0〜3
%、上記金属酸化物の1種以上の金属元素のフッ化物を
Fの合計量として3〜12%含有し、場合により着色成
分としてCr23、Co34等を含有し、主結晶として
カナサイト又はカリウム・フルオロ・リヒデライトを含
有し、結晶粒の大きさが1.0μm以下である結晶化ガ
ラス。 (3)結晶化ガラス(3) 重量%基準で、SiO2が35〜60%、Al23が1
0〜30%、MgOが12〜30%、ZnOが0〜10
%、TiO2が5〜12%、NiOが0〜8%からな
り、主結晶としてスピネル結晶とピロキセン結晶を含有
し、破壊係数が15,000psi以上、ヌープ硬度が
760以上、ヤング率が20×106以上である結晶化
ガラス。 (4)結晶化ガラス(4) モル%基準で、SiO2が42〜65%、Al23が1
1〜25%、MgOが15〜33%、TiO2が5.5
〜13%、及びZrO2が0〜4%を含有し、主結晶相
がα−石英固溶体及びエンスタタイト、および/または
エンスタタイト固溶体を含有する結晶化ガラス。 (5)ガラス1 重量%表示で、SiO2が62〜75%、Al23が4
〜18%、ZrO2が0〜15%、Li2Oが3〜12
%、Na2Oが3〜13%含有するガラス。重量%で、
62〜75%のSiO2、5〜15%のAl23、4〜
10%のLi2O、4〜12%のNa2O、および5.5
〜15%のZrO2を含有し、かつNa2O/ZrO2
重量比が0.5〜2.0であり、さらにAl23/Zr
2の重量比が0.4〜2.5である化学強化用ガラ
ス。 (6)ガラス2 ガラス成分としてモル%基準で、TiO2を0.1〜3
0%、CaOを1〜45%、MgOを前記CaOとの合
量で5〜40%、Na2OとLi2Oを合量で3〜30
%、Al23を15%未満、SiO2を35〜65%含
有する化学強化用ガラス。
【0025】このようなガラス基板は、耐衝撃性や耐振
動性等の向上を目的として、表面に低温イオン交換法に
よる化学強化処理を施すことができる。ここで、化学強
化方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特
に制限されないが、例えば、ガラス転移点の観点から転
移温度を超えない領域でイオン交換を行う低温型化学強
化などが好ましい。化学強化に用いるアルカリ溶融塩と
しては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、あるいは、そ
れらを混合した硝酸塩などが挙げられる。
【0026】下地層としては、例えば、Cr、Mo、T
a、Ti、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ば
れる少なくとも一種以上の材料からなる下地層等が挙げ
られる。Coを主成分とする磁性層の場合には、磁気特
性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好
ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種
の層を積層した複数層構造とすることもできる。例え
ば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、Cr
V/CrV、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/C
r、Al/Cr/CrV、Al/CrV/CrV等の多
層下地層等が挙げられる。
【0027】磁性層としては、例えば、Coを主成分と
するCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、C
oCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNi
CrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPt、Co
CrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられる。磁性層
は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、Cr
Vなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例
えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoC
rTaPt/CrMo/CoCrTaPtなど)として
もよい。磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は大型磁気
抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層としては、
Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、Ge、S
n、Znから選択される不純物元素、又はこれらの不純
物元素の酸化物を含有させたものなども含まれる。ま
た、磁性層としては、上記の他、フェライト系、鉄−希
土類系や、SiO2、BNなどからなる非磁性膜中にF
e、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子が分散
された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、
磁性層は、内面型、垂直型のいずれの記録形式であって
もよい。
【0028】保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合
金膜、カーボン膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げら
れる。これらの保護層は、下地層、磁性層等とともにイ
ンライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、
これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一
又は異種の膜からなる多層構成としてもよい。さらに、
上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保
護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、
Cr膜の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の
溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散し
て塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2)膜を
形成してもよい。
【0029】潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパー
フロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶
媒で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート
法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を
行って形成する。
【0030】
【発明の実施の形態】次に添付図面を参照して本発明に
よる肉薄板状ガラスの製造方法の実施の形態を詳細に説
明する。図1は原料ガラスの温度変化特性概念図、図2
は製造方法の工程図である。図1に温度変化特性を示し
た原料ガラスの組成は次の通りである。すなわち、Si
2が63.7、Al23が14、Li2Oが7、Na2
Oが9、ZrO2が6、Sb23が0.3の各重量%で
ある。図2に示すように、本発明の実施の形態の製造方
法では、まず工程1で、下型の成形面に耐熱性固体潤滑
剤粉末を付着させる。この耐熱性固体潤滑剤粉末は六方
晶BN(窒化ボロン)粉末からなり、気体とともに噴射
して下型の成形面に付着させる。この耐熱性固体潤滑剤
粉末を成形面に付着させることにより、離型性の向上、
溶融ガラスの延びの向上等を図ることができる。次に、
工程2で、下型の成形面上に溶融ガラス(図1に示すよ
うに1200℃)を適当量供給し、表面張力で丸みを帯
びたオハジキ状のガラスゴブとする。次に、工程3で下
型上に上型を下降させ、上下の型でガラスゴブを肉薄の
板状ガラスにプレス成形する。このとき、プレス成形は
1秒程度のごく短時間で行い、肉薄の板状ガラスが軟化
状態にあるとき、すなわち肉薄の板状ガラスの内部が図
1で示すように690℃の軟化点(Ts)以上の温度で
あるときに上型を上昇させてプレス成形を終了する。な
お、このプレス成形に供される上型には、下型と同様に
あらかじめ成形面に耐熱性固体潤滑剤粉末(六方晶BN
粉末)が付着されている。したがって、軟化状態の高温
の板状ガラスから上型を離す際に、上型にガラスが融着
するのを防止することができる。
【0031】次に、下型上に残された肉薄板状ガラスに
対して、反り率を修正する工程を行う。ここでは、反り
修正時に上型と同様な成形面形状となる成形型によっ
て、反り修正プレスを行った。この反り修正プレスは、
ここでは2回行うこととし、図2の工程4で示すように
第1回目の反り修正プレスを行った時は、肉薄板状ガラ
スは図1に示すように未だ690℃の軟化点以上の温度
にあった。次に、工程5で第2回目の反り修正プレスを
肉薄板状ガラスに対して行ったときは、肉薄板状ガラス
は図1に示すように、690℃の軟化点と500℃の転
移点(Tg)との中間の温度にあった。その後、500
℃の転移点温度以下に下がった状態(ただし、380℃
の歪み点以上の温度)で肉薄板状ガラスを下型上から取
り出し(工程6)、工程7のアニーリング工程(9時
間)に移す。
【0032】このような方法によれば、肉薄の板状ガラ
スが軟化状態にあり、成形型とガラスが熱的に平衡でな
い状態にあるときにプレス成形を終了しているので、プ
レス成形にかかる時間が短くなる。このプレス時間が短
くなるのに加えて、反り修正プレスが、肉薄板状ガラス
の内部がガラス転移点より高い状態にあるときに終了し
プレス成形終了から反り修正プレス終了までの時間も短
く設定されているので、この方法によれば、肉薄板状ガ
ラスの量産性が向上する。さらに、この方法では、プレ
ス時間が短く、肉薄板状ガラスから上型及び下型へ移動
する熱量が均一ではなく、肉薄板状ガラスの上型側と下
型側とが熱的に非均衡な状態となっており、肉薄板状ガ
ラスはある程度反った状態となるが、反り修正プレスに
よって反りが修正されるので、平坦性の良い肉薄板状ガ
ラスが製造される。
【0033】図3は、上記の方法に使用される上型装置
11および下型装置12の一具体例を示す平面図であ
る。下型装置12は、中心部の図示しない回転軸を中心
として2秒に1回の割合で1ピッチずつ回転するターン
テーブル13上の同一円周上に16個の下型14を等間
隔に設けて構成されており、下型14はターンテーブル
13が1ピッチずつ回転するごとに図に示すAからPの
位置を順次移動する。そして、下型14に関しては、位
置Oで成形面に図1および図2の工程1で示すように耐
熱性固体潤滑剤粉末が付着され、位置Aで図1および図
2の工程2で示すようにガラスゴブが供給され、位置C
で図1および図2の工程3で示すようにプレス成形が行
われ、位置Dで図1および図2の工程4で示すように第
1回目の反り修正プレスが行われ、位置Eで図1および
図2の工程5で示すように第2回目の反り修正プレスが
行われ、位置L〜Nで図1および図2の工程6で示すよ
うに肉薄板状ガラスの取り出しが行われる。また、この
ような16個の下型14の外側と内側を囲んで1つの高
周波コイル15が設けられている。すなわち、この装置
においては、共通の1つの高周波コイル15により16
個の下型14が一括して高周波誘導加熱されるものであ
る。しかも、高周波コイル15は、各下型を同一温度に
加熱するために、下型とコイルとの距離が一定になるよ
うに、円周上に配置されている下型の外側と内側を囲ん
で配置されている。これにより16個の下型14を均一
に加熱できる。しかも、16個の下型14が回転して、
16個の下型14と高周波コイル15との位置関係が均
等になるため、より均一に16個の下型14を加熱でき
る。このため、高周波誘導加熱により成形型を加熱した
場合には、一つの成形型における部分的な温度差が生じ
ないため、ガラスの部分的な延び不良や型への融着を防
止することができる。また、全部の型を、所望の温度に
制御することが可能となり、同品質の肉薄板状ガラスを
量産できる。
【0034】上型装置11は、タコ足状の回転ユニット
16の各足先端部に上型17を取り付けて、8個の上型
17が回転ユニット16と一体に、ターンテーブル13
と同様、2秒に1回の割合で1ピッチずつ位置a〜hを
回転するように構成されている。この上型17について
も高周波誘導加熱により加熱している。この場合、8個
の上型17の内側と外側を囲んで1つの高周波コイル1
8を設け、この高周波コイル18により8個の上型17
が一括して高周波誘導加熱されるようにすることが好ま
しい。また、上型17は成形面に耐熱性固体潤滑剤粉末
が付着されるが、この付着は、上型17がプレスに供さ
れる位置以外のいずれの位置でも行うことができ、たと
えば位置eにおいて行うことができる。また、上型17
は、位置eと正反対の位置aにおいて、位置Cの下型1
4上に位置して(図では図示の都合上、左側にずれてい
る)プレス成形に供される。したがって、この装置で
は、各上型17は位置aに回転して来たとき、つまり8
回のプレス成形に1回の割合でプレス成形に供されるこ
とになり、時間を置いて同一上型がプレス成形に使用さ
れるため、上型17の異常加熱を防止できる。すなわ
ち、上型17はプレス成形に供されたときガラスゴブか
ら熱を受けて温度が上昇し、これを連続的に繰り返すと
異常加熱状態となりガラスが成形面に張り付くなどの問
題が生じるが、この装置によれば8回のプレス成形に1
回の割合で時間を置いて同一上型が使用されるため、上
型17は異常加熱状態になることはなく、高周波誘導加
熱で管理された所定温度に維持され、ガラスの張り付き
などを防止できる。
【0035】なお、上型装置11の高周波コイル18お
よび下型装置12の高周波コイル15は、ともに水冷
し、成形型が放射する熱により高周波コイルが高温化す
るのを防止することが好ましい。また、例えば、上型が
単数である場合には、図4に示すとおり、上型17とコ
イル18との距離が一定となるようにコイル18を配置
することで上型17を均一に加熱することができる。ま
た、上型が図4のように単数の場合には、コイル18に
代えてニクロムヒータを同様に上型の周囲に配置して加
熱する方法を採用してもよい。
【0036】上型17および下型14は種々の構造のも
のを使用できるが、図5に一具体例を示す。上型17
は、円柱状の上型本体21と、この上型本体21の上面
中央部に形成されて上型本体21を支持する支持ロッド
22とにより構成されており、上型本体21の平坦な下
面はプレス面(成形面)23となっている。さらに、支
持ロッド22が図示しない駆動手段によって上下動され
ることによって、上型17が上下動するようになってい
る。また、上型本体21および支持ロッド22の中心部
には、支持ロッド22の上面に開口する空洞部24が形
成されており、さらにこの空洞部24の周りの上型部分
には、空洞部24の奥の部分でこの空洞部24と連通
し、かつ支持ロッド22の上面に開口する排出孔25が
図6の平面図で示すように8本形成されている。ここ
で、空洞部24に水を空気とともに噴霧すると、水の気
化熱を用いて上型17を冷却することができる。気化し
た水は排出孔25から排出される。単位体積あたりの水
の気化熱は、比熱よりも大きいため、この気化熱を利用
した冷却法は、水を冷却媒体として循環させる方法より
も大きな設備を必要とせずに効率よく冷却でき、また、
水を冷却媒体とした場合は、該空洞部24を水で満たす
ように水を循環させることにより成形面の冷却ムラが少
なく冷却できる。
【0037】上型17は、該上型17を囲むように胴型
26を備えており、この胴型26は、円筒状の胴型本体
27と、この胴型本体27の上端部に内側に突出して形
成された円環状のフランジ部28とによって構成されて
いる。ここで、胴型本体27の下面部の内周面は他より
径大となっており、しかもプレス成形した肉薄板状ガラ
スに面取りを形成するために下広がりの斜面29となっ
ている。上型17は、このような胴型26の内周面を上
下に摺動自在に設けられている。
【0038】下型14は、円柱状の下型本体31と、こ
の下型本体31の下面中央部に形成されて下型本体31
を支持する支持ロッド32とによって構成されており、
下型本体31の平坦な上面はプレス面(成形面)33と
なっている。さらに、支持ロッド32が図示しない駆動
手段によって上下動されることによって、下型14が上
下動するようになっている。また、下型本体31および
支持ロッド32の中心部には、支持ロッド32の下面に
開口する空洞部34が形成されており、さらにこの空洞
部34の周りの下型部分には、空洞部34の奥の部分で
空洞部34と連通し、かつ支持ロッド32の下面に開口
する排出孔35が図6の下面図で示すように8本形成さ
れている。ここで、空洞部34には、水が空気とともに
噴霧される。この噴霧された水の気化熱を用いて下型1
4を冷却する。気化した水は排出孔35から排出され
る。上記の冷却は、成形型に設置された熱電対からの信
号によりPID制御されており、成形型は所定の温度に
制御され、連続成形しても、溶融ガラスを常に一定の温
度に保たれた成形型により成形できるようにしている。
【0039】下型14は、該下型14を囲むように胴型
36を備えており、この胴型36は、円筒状の胴型本体
37と、この胴型本体37の下端部に内側に突出して形
成された円環状のフランジ部38とによって構成されて
いる。ここで、胴型本体36の上面部の内周面は他より
径大となっており、しかも径大に変化した部分の内周面
は、プレス成形した肉薄板状ガラスに面取りを形成する
ために上広がりの斜面39となっている。下型14は、
このような胴型36の内周面を上下に摺動自在に設けら
れている。
【0040】なお、下型14のプレス面33および上型
17のプレス面23は、例えば面粗さ(Ra)が0.5
〜2.0μmの粗面に形成されている。この粗面は、プ
レス面33,23の全体に形成してもよいし、プレス面
33,23の一部にだけ形成してもよい。この粗面をプ
レス面33,23に形成することにより、断熱性の向
上、ガラスの張り付き防止、耐熱性固体潤滑剤粉末の付
着性向上を図ることができる。また、上記の構成では、
胴型26,36の内周面に面取り部形成用の斜面29,
39が形成されているが、このような斜面形成法は、成
形型に突起などで斜面を形成する方法に比較して耐久性
が向上する。
【0041】上記のような上型17および下型14の外
に、図3の位置D,Eにおいては、反り修正プレスを行
うために、下型14に対向して図10(図10では、空
洞部24,34および排出孔25,35の図示は省略さ
れている)に示すように、反り修正プレス用の上型(成
形型)71,72が設けられる。この反り修正プレス用
の上型71,72は、胴型71A,72Aを備えて、こ
こでは上記したプレス成形用の上型17と同一に構成さ
れるが、プレス成形時と反り修正プレス時の諸条件の違
い、例えば、成形型の温度、成形面の温度分布、被成形
ガラス素材の形状、被成形ガラス素材の温度等の違いを
考慮して、成形面の形状を異ならせることが所望の肉薄
板状ガラス材を得るためには好ましい。たとえば、プレ
ス成形のための上型の成形面と反り修正プレスの押し型
の成形面の曲率を変える等をすることができる。本実施
例では、プレス成形用上型17の成形面の温度が410
℃であるのに対して、第1回目反り修正プレス用上型7
1の成形面の温度は600℃、第2回目反り修正プレス
用上型72の成形面の温度は560℃にそれぞれ調整さ
れている。
【0042】次に、以上のように構成された成形装置を
用いてディスク状の肉薄板状ガラスをプレス成形する方
法を図3および図7〜図10を参照して説明する。な
お、図7ないし図9では、図10と同様に、図の簡素化
のため、空洞部24,34および排出孔25,35の図
示は省略されている。下型14が図3の位置Aに回転す
ると、図7(a)および図10の位置Aに示すように、
白金製パイプ41から1200℃に加熱された溶融ガラ
ス42が一定流量で下型14(成形面の温度450℃)
上に供給され、所定量となったところで溶融ガラス42
が図7(b)に示すように切断刃43で切断される。切
断された溶融ガラス42は、表面張力で丸みを帯びたオ
ハジキ状ガラスゴブとなる。次に下型14が図3の位置
Cに回転すると、図8(a)に示すように、上型17
(成形面の温度410℃)が胴型26と一体に下降し、
胴型26の下面が下型用胴型36の上面に当接する。次
に、図8(b)および図10の位置Cに示すように上型
17が胴型26の内周面を摺動して下降し、上型17と
下型14とでガラスゴブをプレス成形する。すると、ガ
ラスゴブは、胴型26,36で囲まれた扁平状の空間一
杯に広がって肉薄板状ガラス44となる。このとき、肉
薄板状ガラス44の外周部両表面には、胴型26,36
内周面の斜面29,39により欠け防止用の面取り部が
形成される。成形に要した時間は約1.7秒である。
【0043】次に、図9(a)で示すように上型17が
胴型26の内周面を摺動して上昇する。このとき、上型
17に張り付いて肉薄板状ガラス44が上昇する恐れが
あるが、この装置においては、上型用胴型26の下面部
の内周面径大部分の内面(斜面29を有する部分の内面
部)で肉薄板状ガラス44が押え付けられるので、上型
17と一体に肉薄板状ガラス44が上昇せず、肉薄板状
ガラス44は下型14上に保持される。その後、図9
(b)に示すように上型用胴型26が上昇する。このと
き、上型用胴型26と肉薄板状ガラス44は接触面積が
少ないので、肉薄板状ガラス44が上型用胴型26に張
り付いて上昇することはない。
【0044】次に、下型14が図3の位置Dに回転する
と、図10の位置Dに示すように下型14および胴型3
6上に第1回目反り修正プレス用の上型71および胴型
71Aが下降し、下型14上に保持されている肉薄板状
ガラス44に対して第1回目の反り修正プレスが行われ
る。さらに、下型14が図3の位置Eに回転すると、図
10の位置Eに示すように下型14および胴型36上に
第2回目反り修正プレス用の上型72および胴型72A
が下降し、下型14上に保持されている肉薄板状ガラス
44に対して第2回目の反り修正プレスが行われる。1
回の反り修正に要した時間は約1.7秒である。その
後、下型14が図3の位置L〜Nに回転すると、下型1
4が胴型36の内周面を摺動して上昇し、肉薄板状ガラ
ス44の取出しが行われる。その後、下型14は図3の
位置O,P,A…と回転して再びプレス成形に供せられ
る。なお、反り修正で使用される上型は、図10の上型
71(または72)と胴型71A(または72A)を一
体にしたような図16の上型73でもよい。
【0045】このような方法で実際に図11に示す直径
66mm、肉厚1.3mmのディスク状ガラス61を製
造した。さらに、このように製造されたディスク状の肉
薄板状ガラスの反り率を調べた。反り率の大きさは、図
11の基準長さ(ディスク状ガラス61の直径)aに対
する反り量bの割合(b/a)の値とした。表1から明
らかなように、反り修正プレス工程を経るごとに、ディ
スク状ガラスの反りbが小さくなっていることが分か
る。
【0046】
【表1】
【0047】このようにしてプレス成形された肉薄板状
ガラスは、最終製品より厚く形成されており、両主表面
をラップ研磨等により研削する。このとき、本例の肉薄
板状ガラスでは、反りの大きさがある程度一定にでき、
また、反りの方向もすべて上向きに凹状と一定にでき
た。このため、その後のラップ研磨においても、反り方
向を揃えて配置でき、高精度に平坦に研削することがで
きた。逆に、反りの方向が上向きであったり、下向きで
あったりすると、ラップ研磨が安定せず高精度に平坦に
研削・研磨できない、いわゆる不適品が増加する。ここ
で、反りの方向がすべて一定であったのは、製造工程に
おいて、溶融ガラスの熱の奪われ方が、どのガラスにお
いても一定であったためであると考えられる。
【0048】以下、機械加工について詳しく説明する。
機械加工については、具体的には、上記のガラスの表面
を水洗浄し、以下の(1)荒ずり(粗研磨)、(2)砂
掛け(精研削、ラッピング)、(3)第一研磨(ポリッ
シュ)、(4)第二研磨(ファイナル研磨、ポリッシ
ュ)の各工程を経る。
【0049】(1)荒ずり工程 まず、粒度の細かいダイヤモンド砥石で上記ガラス基板
の両面を片面ずつ研削加工した。このときの荷重は10
0kg程度とした。これにより、ガラス基板両面の表面
粗さをRmax(JIS B 0601で測定)で10
μm程度に仕上げた。次に、円筒状の砥石を用いてガラ
ス基板の中央部分に孔を開けるとともに、外周端面も研
削して直径を65mmφとした後、外周端面及び内周面
に所定の面取り加工を施した。
【0050】(2)砂掛け(ラッピング)工程 次に、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工
程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。
砂掛け加工は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒の粒
度を#400、#1000と替えて2回行った。詳しく
は、はじめに、粒度#400のアルミナ砥粒を用い、内
転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリア
内に収納したガラス基板の両面を両精度0〜1μm、表
面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。この
ラッピングにおいては荷重を80kgから120kgに
次第に上げた。次いで、アルミナ砥粒の粒度を#100
0に替えてラッピングを行い、表面粗さ(Rmax)2
μm程度とした。上記砂掛け加工を終えたガラス基板
を、中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄し
た。
【0051】(3)第一研磨(ポリッシュ)工程 次に、第一研磨工程を施した。この第一研磨工程は、上
述した砂掛け工程で残留したキズや歪みの除去を目的と
するもので、研磨装置を用いて行った。詳しくは、ポリ
シャ(研磨砂)として硬質ポリシャ(セリウムパッドM
HC1:スピードファム社製)を用い、以下の研磨条件
で第一研磨工程を実施した。 研磨液:酸化セリウム+水 荷重:300g/cm2(L=238kg) 研磨時間:15分 除去量:30μm 下定盤回転数:40rpm 上定盤回転数:35rpm 内ギア回転数:14rpm 外ギア回転数:29rpm 上記第一研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純
水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA
(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0052】(4)第二研磨工程 次に、第一研磨工程で使用した研磨装置を行い、ポリシ
ャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(ポリラックス:ス
ピードファム社製)に替えて、第二研磨工程を実施し
た。研磨条件は、荷重を100g/cm2、研磨時間を
5分、除去量を5μmとしたこと以外は、第一研磨工程
と同様とした。上記第二研磨工程を終えたガラス基板
を、中性洗剤、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプ
ロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に
順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽に超音波を印
加した。このようにして、外径65mmφ、中心部の孔
径20mmφ、厚さ0.5mm、Rmax40オングス
トローム、Ra8オングストローム程度の円板状の情報
記録媒体用ガラス基板を得た。
【0053】本発明の上記の実施の形態の製造方法で
は、下型14をターンテーブル13に複数個配置し、順
次、各々の下型をプレスを行う位置に搬送してプレス工
程等を行い、各々の下型から成形された肉薄板状ガラス
を取り出し、各々の下型14を再び肉薄板状ガラスの製
造に供するので、肉薄板状ガラスを量産できる。なお、
上記の実施の形態では、反り修正プレスを位置D及び位
置Eで行っているが、平坦度がそれほど要求されていな
い場合には、位置D及び位置Eの一方で行っても良い。
ただし、位置F以降では、肉薄板状ガラス44が硬くな
り過ぎ、反り修正プレスを行うと、ひびや割れを生じる
傾向にある。
【0054】さらに、上記の実施の形態では、反り修正
プレスの上型として、プレス成形の上型と同様のものを
使用しているが、図12ないし図14に示されるような
上型を用いてもよい。図12に示す如く、上型50は、
冷却用の空気の通路となる溝部52が形成された小径筒
状部材51と、開口部側にフランジ54が形成された有
底の大径円筒状部材53とが溶接部57で溶接されてな
るものである。このような上型50は、筒状の胴型56
内に設けられており、上型50は図示しないエアシリン
ダによって胴型56内を軸線方向に沿って往復移動され
るようになっている。上型50は、フランジ54が、胴
型56の上端部内側に形成された段差面56Bへ当接す
ることにより下方への移動が制限されるようになってい
る。
【0055】上型50の大径円筒状部材53の胴部53
Aの外径は、図13(図12の円A部分の拡大図)に示
す下型60のプレス面61の径よりも小さくなってお
り、しかも胴部53Aの下端部には面取り部53Bが周
方向全体に沿って形成されている。これにより、反り修
正プレスの際に、肉薄板状ガラス44の冷却速度が速く
最も硬化された周縁部に上型50のプレス面55が当た
ることがなく、肉薄板状ガラス44にひびや割れが発生
するのが防止される。
【0056】上型50のプレス面55には、図14に示
される如く、v字状の複数個の溝55Aが放射状に形成
されている。各々の溝55Aは、反り修正プレス後に上
型50のプレス面55から肉薄板状ガラス44が離れ易
くするためのものである。なお、反り修正プレスは、上
記の如く、肉薄板状ガラス44の形状が変形しない硬さ
の時になされるので、肉薄板状ガラス44の形状に溝5
5Aが影響を与えることはない。
【0057】胴型56の下端部内面には、図13に示す
下型60との芯合わせ用の溝56Aが周方向全体に沿っ
て形成されている。下型60の突起部60Aに溝56A
が嵌合する状態にすることにより、上型50と下型60
の軸芯が一致するようになっている。
【0058】なお、このような上型50は、図15の後
述する支持部45が外周端部に形成された肉薄板状ガラ
ス44の反り修正プレスを行う場合に特に効果を発揮す
る。すなわち、支持部45は、上型側へ突出する部位が
あるので、この突出する部位に上型50のプレス面55
が当たると、該突出部及び肉薄板状ガラス44の突出部
との境界部58にひびや割れを生じ易いが、上型50に
面取り部53Bが形成されていれば、上型50のプレス
面55が支持部45に当たるのが防止される。
【0059】反り修正用押し型としては、上型50のよ
うに支持部45に囲まれる中央部分(以下、中央部分と
いう)のほぼ全面を押圧する型のほか、図17(a)に
示すように、中央部分のうち選択された一部分だけを反
り修正プレスするような型でもよく、図17(b)に示
すように、支持部45だけを押圧するような型でもよ
い。反り修正は、図17 (a)のものと図17 (b)の
ものを両方用いてもよい。また、図17 (c),(d)
に示すように、該支持部45を押圧する型において、該
中央部に対し僅かな間隙が設けられた押圧面を具備する
ようにすれば、支持部45を押圧した際に該中央部分に
浮き上がりが生じた場合に、該浮き上がりを修正できる
ため平坦度を向上することができる。支持部45と該中
央部分とを両方押圧するような型構造にすることも可能
である。
【0060】プレス成形された肉薄板状ガラスは、最終
製品より厚く形成されており、最終製品とするためには
両主表面をラップ研磨等により研削する必要がある。こ
のとき、肉薄板状ガラスに反りがあると、研削板により
肉薄板状ガラスの両面側から圧力が加えられた際に、肉
薄板状ガラスが撓む。したがって、この状態で研削して
肉薄板状ガラスを平坦にしても、両側から圧力を解くと
再び肉薄板状ガラスが反り、平坦な肉薄板状ガラスを得
られにくい。そこで、肉薄板状ガラスの一部に、該肉薄
板状ガラスの両表面側からの圧力を受け止める部位を設
けてもよい。一具体例としては、図15に示すように、
湾曲した部分の厚さが1.3mmである肉薄板状ガラス
44の外周端部に肉薄板状ガラス44の周方向全体に沿
って圧力受け部としての支持部45(高さ1.5mm)
を形成する。この支持部45は、肉薄板状ガラス44の
表裏面の各々よりも突出した状態に形成するのが好まし
い。支持部45よりも肉薄板状ガラス44の表面が突出
すると、研削の際に、支持部45が上定盤46に当接す
る前に肉薄板状ガラス44の湾曲部が上定盤46に当た
り、湾曲部状態が変化してしまい、研削後に肉薄板状ガ
ラス44が反ってしまうからである。
【0061】肉薄板状ガラス44を図15に示す如く上
定盤46と下定盤47との間に配置し、これら定盤4
6,47により両面側から圧力を与えつつ肉薄板状ガラ
ス44を研削し、肉薄板状ガラス44を平坦にすると共
に所定の肉厚寸法に加工する。この研削において、上定
盤46及び下定盤47による両側からの圧力は、支持部
45で受け止められるので、肉薄板状ガラス44が撓む
ことが防止され、肉薄板状ガラス44の湾曲状態の変化
が抑制された状態で研削される。したがって、上定盤4
6と下定盤47による両側からの圧力が解かれても肉薄
板状ガラス44が反ることはなく、格段に平坦性の良い
肉薄板状ガラス44を得やすくなる。また、支持部45
によって上定盤46及び下定盤47による両側からの圧
力を受けて、肉薄板状ガラス44の湾曲部が移動しない
ようにしているので、研削工程において、肉薄板状ガラ
ス44の湾曲部が移動しないように肉薄板状ガラス44
に加える圧力をきめ細かく調整する必要はなく、肉薄板
状ガラス44の研削を効率的に行え、平坦性の良い肉薄
板状ガラス44を量産できる。
【0062】なお、上記の研削において、研削の後半は
研削が進み肉薄板状ガラス44と上定盤46 (下定盤4
7)との接触面積が大きくなるので、前半よりも大きな
圧力を掛けて研削するのが好ましい。このとき、肉薄板
状ガラス44の上下面ともその曲率を合わせることが、
上下面における研削板との接触面積を近づけることがで
きる点で好ましい。また、支持部45は、図15の外周
端部のほか、肉薄板状ガラスの外周端部よりも中心部側
に設けてもよい。また、このような支持部45は、上述
した上型、下型および胴型の成形面に凹部を設けること
により容易に得られる。
【0063】以上本発明について詳述したが、上述の実
施の形態は一具体例にすぎないことはいうまでもない。
上型装置および下型装置の具体的構成、上型および下型
の個数、上型および下型の位置と各工程の関係、上型お
よび下型の具体的構成などは種々に変形可能である。ま
た、上型および下型は、プレス面の表面温度より胴型の
内表面温度をより高く設定することも可能である。さら
に、肉薄板状ガラスの反り率は0.001〜1%程度で
あることが適当であり、反り方向も、上方向か、あるい
は下方向のいずれか一方向に一定であれば、その後のラ
ップ研磨において高精度に平坦に研削することが可能と
なる。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、平坦性
のよい肉薄状板ガラスを高い量産性のもとに製造でき、
ひいては高品質、高性能な情報記録媒体用ガラス基板お
よび磁気記録媒体を高い量産性で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による肉薄板状ガラスの製造方法の実施
の形態における原料ガラスの温度変化特性概念図。
【図2】本発明による肉薄板状ガラスの製造方法の実施
の形態を示す工程図。
【図3】図2の方法で使用される上型装置および下型装
置の平面図。
【図4】上型と高周波コイルとの関係の他の例を示す平
面図。
【図5】図3の装置の上型および下型の具体例を示す断
面図。
【図6】図5の上型および下型の平面図および下面図。
【図7】プレス成形を説明するための断面図。
【図8】同プレス成形を説明するための断面図。
【図9】同プレス成形を説明するための断面図。
【図10】プレス成形および反り修正プレスを説明する
ための断面図。
【図11】本発明の実施の形態により製造されたディス
ク状ガラスを示す断面図。
【図12】反り修正プレス用上型の他の例を示す断面
図。
【図13】図12のA部を拡大して示す断面図。
【図14】図12の反り修正プレス用上型のプレス面を
示す下面図。
【図15】本発明に係る肉薄板状ガラスの他の例と研削
工程を示す断面図。
【図16】反り修正プレス用上型の他の例を示す断面
図。
【図17】反り修正プレス用上型の更に他の例を示す断
面図。
【符号の説明】
14 下型 17 上型 42 溶融ガラス 44 肉薄板状ガラス 45 支持部 71,72,73,50 反り修正プレス用上型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北山 皓己 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 (72)発明者 竹内 奉正 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 (72)発明者 鈴木 静夫 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対向する成形面を有する上型と下型と
    を用意する工程と、 前記下型の成形面に溶融ガラス塊を供給する工程と、 前記上型と前記下型とで前記溶融ガラス塊をプレスして
    板状ガラスに成形し、この成形された板状ガラスの内部
    がガラス転移点より高い温度にあるときに、前記板状ガ
    ラスから前記上型を引き離す第1プレス工程と、 前記
    成形された板状ガラスの上面よりも低い温度の押し型で
    前記成形された板状ガラスの内部が前記ガラス転移点よ
    り高い温度にあるときにひき続き前記板状ガラスの上面
    をプレスすることにより前記板状ガラスの反りを修正す
    るとともに前記板状ガラスの上下面の温度差を減少させ
    る第2プレス工程とを具備することを特徴とする板状ガ
    ラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法において、 前記第2プレス工程は、前記第1プレス工程により成形
    された板状ガラスの形状に合わせた押圧面を有する前記
    押し型を用いて行なわれることを特徴とする板状ガラス
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の製造方法において、 前記押圧面が前記成形された板状ガラスの選択した所定
    部分だけをプレスするよう形成することを特徴とする板
    状ガラスの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の製造
    方法において、 前記上型と前記下型の成形面をともに凸面またはともに
    凹面としたことを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の製造
    方法において、 前記第1プレス工程時に、成形される板状ガラスの上面
    および/または下面に、 この上面および/または下面よりも突出する突出部分を
    形成し、 前記第2プレス工程の前、後または同時に前記突出部分
    を平坦基盤で押圧して前記突出部分の平坦度を向上させ
    ることを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の製造
    方法において、 前記第2プレス工程終了後の板状ガラスの肉厚を1.5
    mm以下とすることを特徴とする板状ガラスの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の製造
    方法により製造された板状ガラスの表面を荒研削および
    研磨することにより情報記録媒体用ガラス基板を得るこ
    とを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれかに記載の製造
    方法により製造された板状ガラスの表面を荒研削するこ
    となくその表面粗さを小さくするよう研磨することによ
    り情報記録媒体用ガラス基板を得ることを特徴とする板
    状ガラスの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかの方法により
    製造された板状ガラスに、少なくとも記録層としての薄
    膜を形成してなる情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 研削および/または研磨を施こすこと
    により平坦基板となる板状ガラスを得る板状ガラスの製
    造方法において、 相対向する成形面を有する上型と下型とを用意する工程
    と、 前記下型の成形面に溶融ガラス塊を供給する工程と、 前記上型と前記下型とで前記溶融ガラス塊をプレスし
    て、上下主表面と、この上主表面および/または下主表
    面よりも突出し、前記研削および/または研磨の際の圧
    力を受ける突出部分とを有する板状ガラスに成形し、こ
    の成形された板状ガラスの内部がガラス転移点より高い
    温度にあるときに、前記板状ガラスから前記上型を引き
    離す第1プレス工程と、 前記成形された板状ガラスの内部が前記ガラス転移点よ
    り高い温度にあるときにひき続き平坦基盤で前記板状ガ
    ラスの前記突出部分をプレスすることにより前記突出部
    分の平坦度を向上させる第2プレス工程と、 を具備することを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の製造方法におい
    て、 前記第2プレス工程の前、後または同時に前記上主表面
    を押し型で押圧することにより前記板状ガラスの反りを
    修正することを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の製造方法におい
    て、 前記反りを修正する工程は、前記板状ガラスの反りが所
    定量を超えたときに行うことを特徴とする板状ガラスの
    製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12に記載の製造方法
    において、 前記板状ガラスの前記上下主表面の温度差を減少させな
    がら前記反りを修正する工程を行うことを特徴とする板
    状ガラスの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項10乃至13のいずれかに記載
    の製造方法において、 前記第2プレス工程終了後の板状ガラスの前記突出部分
    を除く部分の肉厚を1.5mm以下とすることを特徴と
    する板状ガラスの製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10乃至14のいずれかに記載
    の製造方法により製造された板状ガラスの表面を荒研削
    および研磨することにより情報記録媒体用ガラス基板を
    得ることを特徴とする板状ガラスの製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項10乃至14のいずれかに記載
    の製造方法により製造された板状ガラスの表面を荒研削
    することなくその表面粗さを小さくするよう研磨するこ
    とにより情報記録媒体用ガラス基板を得ることを特徴と
    する板状ガラスの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項15乃至16のいずれかの方法
    により製造された板状ガラスに、少なくとも記録層とし
    ての薄膜を形成してなる情報記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006225181A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Konica Minolta Opto Inc ガラス基板、ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法
JP2009149477A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Hoya Corp 肉薄ガラスの製造方法、ガラス成形品の製造装置、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、光学部品の製造方法
JP2010205354A (ja) * 2009-03-05 2010-09-16 Hoya Corp ガラスブランクの製造方法、プレス成型装置、情報記録媒体用基板の製造方法、および、情報記録媒体の製造方法

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