JP3709033B2 - ガラス製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体、光磁気記録媒体及び光記録媒体等の情報記録媒体用ガラス基板並びにカメラ用フィルタ等に使用される、例えば肉厚3mm程度以下のガラス製品をプレス成形により製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
肉薄板状ガラス製品では、製品の端部と内側部との冷却温度差による亀裂の発生、あるいは搬送時の接触、落下による亀裂破損を防止する目的で、肉薄板状ガラスの端部に面取りを形成することがある。
【0003】
従来、端部に面取りを設けて肉薄板状ガラスを製造する方法としては、例えば特開平7−133121号公報に記載される方法がある。この方法は、下型のプレス面外周部に凸部を設け、この凸部の内側が傾斜面となっており、このような下型を上昇させることにより肉薄板状ガラスをプレス成形すると同時に、この肉薄板状ガラスの外周端部に前記凸部の傾斜面で面取り部を形成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記従来例のように下型のプレス面に凸部を設けて面取り形成用の傾斜面を形成する方法では、前記凸部の強度が不充分で変形しやすく、長期の使用に耐えないという問題点があった。また、上記従来例では、下型の摺動面と、肉薄板状ガラス成形空間の外周端部が一致しており、プレス成形時に偏平状に伸ばされた溶融ガラスが前記成形空間の外周端部に突き当ったときに、同一位置に位置する下型の摺動面、すなわち下型と胴型間に溶融ガラスが食い込み易く、この食い込みにより下型が胴型内で摺動できなくなり、製造をたびたび中止せざるを得なかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、対向成形型と受け成形型の間に供給されたガラスゴブをプレス成形してガラス製品を製造する方法であって、対向成形型および受け成形型、あるいは対向成形型または受け成形型を内周面内側に摺動自在に保持する胴型の前記内周面に斜面を形成し、この斜面が、ガラス製品がプレス成形された際に該ガラス製品に面取り部を形成することを特徴とするガラス製品の製造方法とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明によるガラス製品の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態を説明するための図で、上型11および下型21を示す断面図である。上型11は、円柱状の上型本体12と、この上型本体12の上面中央部に形成されて上型本体12を支持する支持ロッド13とにより構成されており、上型本体12の平坦な下面はプレス面(成形面)14となっている。さらに、支持ロッド13が図示しない駆動手段によって上下動されることによって上型11が上下動するようになっている。このような上型11は、該上型11を囲むように胴型15を備えており、この胴型15は、円筒状の胴型本体16と、この胴型本体16の上端部に内側に突出して形成された円環状のフランジ部17とによって構成されている。ここで、胴型本体16の下面部の内周面は他より径大となっており、しかもプレス成形した肉薄板状ガラスに面取りを形成するために下広がりの斜面18となっている。上型11は、このような胴型15の内周面を上下に摺動自在に設けられている。
【0007】
上型11に対向して設けられる下型21は、円柱状の下型本体22と、この下型本体22の下面中央部に形成されて下型本体22を支持する支持ロッド23とによって構成されており、下型本体22の平坦な上面はプレス面(成形面)24となっている。さらに、支持ロッド23が図示しない駆動手段によって上下動されることによって、下型21が上下動するようになっている。このような下型21は、該下型21を囲むように胴型25を備えており、この胴型25は、円筒状の胴型本体26と、この胴型本体26の下端部に内側に突出して形成された円環状のフランジ部27とによって構成されている。ここで、胴型本体25の上面部の内周面は他より径大となっており、しかも径大に変化した部分の内周面は、プレス成形した肉薄板状ガラスに面取りを形成するために上広がりの斜面28となっている。下型21は、このような胴型25の内周面を上下に摺動自在に設けられている。
【0008】
なお、上型11、上型用胴型15、下型21および下型用胴型25は、耐熱性材料、例えばグラファイト、タングステン合金、窒化物、炭化物、耐熱金属等で形成されるが、高周波加熱を行う場合には、これによって加熱できる耐熱金属に限定される。特に鋳鉄が、強度、耐久性にも優れるため好ましい。
【0009】
このように構成された上型11および下型21を用いて肉薄板状ガラスをプレス成形する方法を図2ないし図4を参照して説明する。プレス成形においては、まず図2(a)に示すように、白金製パイプ31から一定流量で溶融ガラス32を下型21上に供給し、所定量となったところで溶融ガラス32を図2(b)に示すように切断刃33で切断する。切断された溶融ガラス32は、表面張力で丸みを帯びたオハジキ状ガラスゴブとなる。次に、図3(a)に示すように、上型用胴型15を下降させ、上型用胴型15の下面を下型用胴型25の上面に当接させる。次に、図3(b)に示すように上型11を胴型15の内周面を摺動して下降させ、上型11と下型21とでガラスゴブをプレス成形する。すると、ガラスゴブは、胴型15,25で囲まれた偏平状の空間一杯に広がって肉薄板状ガラス34となる。このとき、肉薄板状ガラス34の外周端部は、胴型15の下面部と胴型25の上面部の内周面径大部分により形成された空間部に挿入され、両表面には、前記内周面径大部分に形成された斜面18,28により図5に示すように面取り部35が形成される。また、肉薄板状ガラス34は外径が常に一定となる。すなわち、この方法では、胴型15と胴型25とによって外周を囲んだのち上型11を下降させるようにしたので、供給されたガラスゴブの量にバラツキがあっても、プレス成形された肉薄板状ガラス34の外径は一定となる。ガラスゴブの量にバラツキが生じたとき、肉薄板状ガラス34の厚さにバラツキが生じるが、研磨により削除されるので問題はない。なお、このようにして肉薄板状ガラス34をプレス成形した際、上型11と胴型15との間、および下型21と胴型25との間に溶融ガラスが食い込むことはなかった。
【0010】
次に、図4(a)で示すように上型11を胴型15の内周面を摺動して上昇させる。このとき、上型11に張り付いて肉薄板状ガラス34が上昇する恐れがあるが、この装置においては、上型用胴型15の下面部の内周面径大部分の内面で肉薄板状ガラス34の外周端部が押えられるので、上型11と一体に肉薄板状ガラス34が上昇せず、肉薄板状ガラス34は下型21上に保持される。その後、図4(b)に示すように上型用胴型15を上昇させる。このとき、上型用胴型15と肉薄板状ガラス34は接触面積が少ないので、肉薄板状ガラス34が上型用胴型15に張り付いて上昇することはない。最後に、下型21を下型用胴型25の内周面を摺動して上昇させ、肉薄板状ガラス34を取り出す。
【0011】
このような方法によれば、上型11と下型21を摺動自在に保持する胴型15,25の内周面に面取り形成用の斜面18,28を形成したので、成形型の成形面に凸部を設けて面取り形成用の傾斜面を形成する場合に比較して、面取り加工部が機械的に強くなり、変形せず、長期の使用に耐えるようになる。また、胴型15,25の内周面に面取り形成用の斜面18,28を形成した場合は、上型11および下型21の摺動面を越えて外側に肉薄板状ガラス成形空間が広がり、偏平状に伸ばされた溶融ガラス32が前記摺動面を越えて外側に抵抗なく広がるようになるので、上型11と胴型15および下型21と胴型25間に溶融ガラス32が食い込むことはなくなり、上型11および下型21の昇降動作に障害が発生することはなくなる。また、成形型と胴型との間に溶融ガラスが食い込むとしても、上記のように上型11を下降させてプレス成形する場合は、上型11と上型用胴型15との間に溶融ガラスが食い込むようになり、その場合は、プレス成形後すぐに溶融ガラスが軟らかいうちに上型11が上昇復帰するので、溶融ガラスの食い込みが上型11の動作に支障を与えることはない。これに対して、従来例のように、下型を上昇させてプレス成形する場合は、下型と下型用胴型との間に溶融ガラスが食い込むが、この場合は、前記下型上に取出しまで長い時間肉薄板状ガラスが保持され、この間に前記食い込んだ溶融ガラスが固化してしまうので、下型の摺動が困難となる。また、下型と下型用胴型との間に溶融ガラスが食い込んだ場合は、肉薄板状ガラスを取り出すために下型を上昇させた際に更にガラスが食い込むようになり、問題を一層深刻なものとするが、上型側の食い込みの場合は、このような懸念も不要となる。
【0012】
以上のような方法において、下型は複数個配置され、ガラスゴブの供給の工程、プレス成形の工程、成形品の取り出し工程等の工程を順次経るように設計され、例えばターンテーブルの円周上に個々の下型を配置し、下型が各工程を経るようにターンテーブルを回転させることが好ましいが、直線方向に移動するように設計してもよい。また、各工程に、同時に供せられる下型の数は、単数であっても、複数個であってもよい。
一方、上型は、プレス成形の工程に位置した下型に対向して配置される。従って、上型は、一度のプレス成形に使用される下型と少なくとも同数が必要であるが、それ以上の個数を備えてもよい。
【0013】
次に、下型および上型のそれぞれの成形面の温度は、プレス成形開始時に、ある所定温度に調節されることが必要である。
ここで、成形型について所定の温度とは、ガラス材料を、肉薄の板状に成形するのに適した温度をいう。かかる温度は、硝子種、肉厚、ガラス板のサイズ等により適宜決定される温度である。
【0014】
さらに、プレス成形開始時の下型および上型の成形面の温度を前記所定温度に調節するために、下型および上型に対して、必要に応じて加熱する手段、および冷却する手段が講じられる。
加熱する手段としては、例えば、ニクロムヒータを成形型の周囲に複数配置して加熱する方法、成形型の周囲を取り囲むように配置したコイルに電流を流して導電体からなる成形型を誘導加熱する方法、ガスにより加熱する方法等があるが、均一な加熱ができる点で誘導加熱による方法が好ましい。誘導加熱によると、ニクロムヒータによる加熱の場合のように複数の熱源で一つの成形型を加熱する方法と異なり、一つのコイルで一または二以上の成形型を加熱することができるため熱源温度のバラツキという問題がなく、成形型とコイルの距離を一定にすることで成形型を均一に加熱することができる。また、誘導加熱を用いる場合、誘導加熱を上型、下型の両方に対して行っても、いずれか一方に行ってもよく、胴型を用いる場合には、胴型に適用することも可能である。
ここで、誘導加熱の際にコイルに流す電流は、高周波電流であることが好ましい。低周波電流では装置が大がかりになり、また、人の可聴音域であるため騒音が問題となることがある。
【0015】
一方、プレス成形に供せられた成形型の温度は、溶融ガラスからの熱を受け取って、プレス成形前に比べて上昇している。従って、どの肉薄板状ガラスについても同等の温度条件でプレス成形するためには、次のプレス成形に供されるまでに、成形型が成形前の温度に戻っていることが必要である。このとき、プレス成形に供されたのち次のプレス成形に供されるまでの時間に自然冷却してプレス成形前の温度に戻る場合以外は、何らかの冷却手段を講じて温度を戻してやることが好ましい。したがって、加熱手段と同時に、冷却手段も必要となる。
冷却手段としては、成形型の中空部に水や空気を循環させる方法、水等の液体を成形型の中空部内面に吹き付けて気化させる方法などを採用することができる。液体を吹き付けて気化させる方法によると、液体の気化熱で成形型を冷却することができるため、液体を循環させる方法よりも少ない液量で冷却効果が得られる。従って、水等の気化熱を利用する方法は、冷却効果の観点ばかりでなく、冷却装置をより小さくすることができる観点からも好ましい。さらに、例えば上型の冷却に時間がかかり、成形後、次の成形までに所定の温度までに冷却出来ない場合等には、上型を複数個容易し、どれか1つの上型がプレス成形を行っているときに、他の上型を冷却しておき、複数個の上型を循環させてもよい。
【0016】
また、プレス成形においては、上型と下型を予め所定の異なった温度に加熱しておき、ガラス原料の温度が軟化点以下で、上下型と熱的に平衡となるまで充分な時間プレスしてもよいし、あるいは、ガラスが軟化状態にあるときにプレスを終了してもよい。後者の場合は、肉薄板状ガラスの温度が、成形型の温度より高く、この時点で肉薄板状ガラスと成形型は熱的に平衡状態に至っていない。しかし、成形型があらかじめ所定の温度に保たれているので、成形後冷却して得られた肉薄板状ガラスは、反り等の形状が一定した一定の形状をしており、研削・研磨しやすい形状となっている。また、肉薄板状ガラスと成形型は熱的に平衡状態に達するまで冷却する必要がないため、成形時間を短縮することもできる。
さらに、プレス時間を短くする目的で、肉薄板状ガラスの中心部が当該ガラス材料の軟化点以上の温度でプレス成形を終了してもよい。
また、プレス成形後の肉薄板状ガラスは軟化状態にあるので、プレス成形に次いで、肉薄板状ガラスの反りを修正する工程を行ってもよい。肉薄板状ガラスの反りを修正する工程とは、例えば、肉薄板状ガラスの片面にのみ空気等を吹きかける等、不均一に熱を奪ったり、上型と同様な成形面を有した成形型によって、再度プレスしたりすることによって、反りの大きさを修正する工程のことである。
本発明のガラス製品の製造方法は、上、下型のプレス面の表面温度をガラス転移点近傍に設定し、胴型の内表面温度を前記プレス面の表面温度よりも高く設定する成形方法を適用することが可能である。
【0017】
さらに、溶融ガラスを薄い板状に成形するためには、溶融ガラスを外周方向によく引き延ばすことが必要であるため、成形型の成形面に固体潤滑剤を付着させて溶融ガラスの潤滑性を上げることが好ましい。このとき、肉薄板状ガラスを成形する際の成形型は、肉厚のものをプレス成形する場合よりもより多くの熱を溶融ガラスから受け取るため高温になる。従って、固体潤滑剤は高温域においても潤滑性を失わない耐熱性のものであることが好ましい。このような耐熱性固体潤滑剤としては、耐熱性に優れるものであれば特に限定されないが、窒化ホウ素(BN)が好適である。
また、極薄い肉薄板状ガラスであっても機械的強度に優れる板状ガラスを得るために、ガラス素材としてガラス転移点が高いものを用いることがある。このような場合には、成形型もかなり高温となるため、固体潤滑剤に要求される耐熱性は非常に高度なものとなる。このような場合にもBN粉末は好適に用いられる。耐熱性固体潤滑剤は粉末化したものを用いることで、ガラスの成形面への均一な付着および余剰分の除去を容易に行うことができる。
【0018】
上記の製造方法により得られた肉薄板状ガラスは、研削、研磨等の機械加工を経て、例えば情報記録媒体用ガラス基板となる。
以下、機械加工について詳しく説明する。機械加工については、具体的には、上記のガラスの表面を水洗浄し、以下の(1)荒ずり(粗研磨)、(2)砂掛け(精研削、ラッピング)、(3)第一研磨(ポリッシュ)、(4)第二研磨(ファイナル研磨、ポリッシュ)の各工程を経る。
【0019】
(1)荒ずり工程
まず、粒度の細かいダイヤモンド砥石で上記ガラス基板の両面を片面ずつ研削加工した。このときの荷重は100kg程度とした。これにより、ガラス基板両面の表面粗さをRmax(JIS B 0601で測定)で10μm程度に仕上げた。
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を開けるとともに、外周端面も研削して直径を65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の面取り加工を施した。
【0020】
(2)砂掛け(ラッピング)工程
次に、ガラス基板に砂掛け加工を施した。この砂掛け工程は、寸法精度及び形状精度の向上を目的としている。砂掛け加工は、ラッピング装置を用いて行い、砥粒の粒度を#400、#1000と替えて2回行った。
詳しくは、はじめに、粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重を100kg程度に設定して、内転ギアと外転ギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を両精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
次いで、アルミナ砥粒の粒度を#1000に替えてラッピングを行い、表面粗さ(Rmax)2μm程度とした。
上記砂掛け加工を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0021】
(3)第一研磨(ポリッシュ)工程
次に、第一研磨工程を施した。この第一研磨工程は、上述した砂掛け工程で残留したキズや歪みの除去を目的とするもので、研磨装置を用いて行った。
詳しくは、ポリシャ(研磨粉)として硬質ポリシャ(セリウムパッドMHCl:スピードファム社製)を用い、以下の研磨条件で第一研磨工程を実施した。
研磨液:酸化セリウム+水
荷重:300g/cm2 (L=238kg)
研磨時間:15分
除去量:30μm
下定盤回転数:40rpm
上定盤回転数:35rpm
内ギア回転数:14rpm
外ギア回転数:29rpm
上記第一研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピレンアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0022】
(4)第二研磨工程
次に、第一研磨工程で使用した研磨装置を行い、ポリシャを硬質ポリシャから軟質ポリシャ(ポリラックス:スピードファム社製)に替えて、第二研磨工程を実施した。研磨条件は、荷重を100g/cm2 、研磨時間を5分、除去量を5μmとしたこと以外は、第一研磨工程と同様とした。
上記第二研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽に超音波を印加した。
このようにして、外径65mmφ、中心部の孔径20mmφ、厚さ0.5mm、Rmax 40オングストローム、Ra8オングストローム程度の円板状の情報記録媒体用ガラス基板を得た。
【0023】
以上のような方法で製造された情報記録媒体用ガラス基板は、そのガラス基板上に下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層することにより、磁気記録媒体を構成する。
【0024】
ここで、磁気記録媒体のガラス基板の材質としては、たとえば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、または、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。さらに、好ましくは、次のような組成のガラスが使用される。
(1)結晶化ガラス1
重量%表示で、SiO2 が60〜87%、Li2 Oが5〜20%、Na2 Oが0〜5%、K2 Oが0〜10%、Na2 OとK2 Oが合計で0.5〜10%、MgOが0.5〜7.5%、CaOが0〜9.5%、SrOが0〜15%、BaOが0〜13%、ZnOが0〜13%、B2 O3 が0〜10%、Al2 O3 が0〜10%、P2 O5 が0.5〜8%、TiO2 が0〜5%、ZrO2 が0〜3%、SnO2 が0〜3%、As2 O3 とSb2 O3 が合計で0〜2%、上記金属酸化物の1種以上の金属元素のフッ化物をFの合計量として0〜5%含有し、場合により着色成分として、V2 O5 、CuO、MnO2 、Cr2 O3 、CoO、MoO3 、NiO、Fe2 O3 、TeO2 、CeO2 、Pr2 O3 、Nd2 O3 、Er2 O3 の群より選ばれた少なくとも1種を0〜5%含有し、主結晶としてリチウムジシリケート、場合によりα−クリストバライト、α−クオーツ、リチウムモノシリケート、β−スポジューメン等を含有し、結晶粒の大きさが3.0μm以下である結晶化ガラス。
(2)結晶化ガラス2
重量%表示で、SiO2 が45〜75%、CaOが4〜30%、Na2 Oが2〜15%、K2 Oが0〜20%、Al2 O3 が0〜7%、MgOが0〜2%、ZnOが0〜2%、SnO2 が0〜2%、Sb2 O3 が0〜1%、B2 O3 が0〜6%、ZrO2 が0〜12%、Li2 Oが0〜3%、上記金属酸化物の1種以上の金属元素のフッ化物をFの合計量として3〜12%含有し、場合により着色成分としてCr2 O3 、Co3 O4 等を含有し、主結晶としてカナサイト又はカリウム・フルオロ・リヒテライトを含有し、結晶粒の大きさが1.0μm以下である結晶化ガラス。
(3)ガラス3
重量%表示で、SiO2 が62〜75%、Al2 O3 が4〜18%、ZrO2 が0〜15%、Li2 Oが3〜12%、Na2 Oが3〜13%含有するガラス。
【0025】
このようなガラス基板は、耐衝撃性や耐振動性等の向上を目的として、表面に低温イオン交換法による化学強化処理を施すことができる。ここで、化学強化方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に制限されないが、例えば、ガラス転移点の観点から転移温度を超えない領域でイオン交換を行う低温型化学強化などが好ましい。化学強化に用いるアルカリ溶融塩としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、あるいは、それらを混合した硝酸塩などが挙げられる。
【0026】
下地層としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料からなる下地層等が挙げられる。Coを主成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造とすることもできる。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr、Al/Cr/CrV、Al/CrV/CrV等の多層下地層等が挙げられる。
【0027】
磁性層としては、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPt、CoCrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられる。磁性層は、磁性層を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrTaPt/CrMo/CoCrTaPtなど)としてもよい。磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は大型磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層としては、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、Ge、Sn、Znから選択される不純物元素、又はこれらの不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれる。また、磁性層としては、上記の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO2 、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性層は、内面型、垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
【0028】
保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金膜、カーボン膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられる。これらの保護層は、下地層、磁性層等とともにインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の膜からなる多層構成としてもよい。さらに、上記保護層上に、あるいは上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr膜の上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2 )膜を形成してもよい。
【0029】
潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を行って形成する。
【0030】
以上本発明について詳述し、上記実施の形態では、肉薄板状ガラスとして外形が円形すなわちディスク状のものが製造されるが、本発明によれば四角形等種々の形状のものを製造できることはいうまでもない。さらに、上型、下型、およびそれらの胴型の具体的構造は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明のガラス製品の製造方法によれば、胴型の内周面に面取り形成用の斜面を形成したので、面取り加工部の耐久性を向上させることができるとともに、成形型の動きに障害が発生することを防止でき、面取りが施されたガラス製品を円滑に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガラス製品の製造方法の実施の形態を説明するための図で、上型および下型を示す断面図。
【図2】図1の上型および下型を用いて肉薄板状ガラスをプレス成形する工程を示す断面図。
【図3】同プレス成形工程を示す断面図。
【図4】同プレス成形工程を示す断面図。
【図5】プレス成形された肉薄板状ガラスの一部を示す断面図。
【符号の説明】
11 上型
21 下型
15,25 胴型
18,28 斜面
32 溶融ガラス
34 肉薄板状ガラス
35 面取り部
Claims (3)
- 受け成形型である下型上に溶融ガラスからなるガラスゴブを供給し、前記下型と対向成形型である上型を使用して前記ガラスゴブをプレス成形してガラス製品を製造する方法であって、前記ガラス製品が機械加工を経て情報記録媒体用ガラス基板に加工される肉薄板状ガラスであり、前記上型を内周面内側に摺動自在に保持する上型用胴型の前記内周面および前記下型を内周面内側に摺動自在に保持する下型用胴型の前記内周面の各々に斜面を形成し、下型上に溶融ガラスからなるガラスゴブを供給した後に上型用胴型の下面と下型用胴型の上面を当接させ、上型と上型用胴型との摺動面および下型と下型用胴型との摺動面を超えて外側に前記肉薄板状ガラス成形空間を形成し、さらに上型を下降してプレス成形を行い、前記プレス成形直後に上型を上昇すること、ならびに前記上型用胴型の斜面および下型用胴型の斜面がプレス成形の際に前記肉薄板状ガラスの外周端部に面取り部を形成することを特徴とするガラス製品の製造方法。
- 請求項1記載のガラス製品の製造方法により製造された肉薄板状ガラスの主表面を研磨することを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 請求項2記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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