JP3713867B2 - ハロゲン化銀写真感光材料の画像形成方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法に関し、特にハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)とイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イットリウムタンタレート系蛍光体の発光は、一般に広く用いられているタングステン酸カルシウム系蛍光体の発光に比して発光強度が高く、発光波長のピークが紫外光領域に位置する特徴を有しており、タングステン酸カルシウムに対して3倍以上の発光強度を持ち、従ってイットリウムタンタレート系蛍光体は増感紙の感度を高め、被爆線量の低減に有利となるだけでなく、ハロゲン化銀乳剤に用いるハロゲン化銀粒子を小粒子化して粒状性を向上させることができる。しかし、小粒子化したハロゲン化銀乳剤はコントラストが低下する欠点が生ずる。
【0003】
一方、環境汚染の立場から、従来使用されていたジヒドロキシベンゼン類に代えて環境負荷の少ないレダクトン類を用いる処理法の検討がなされてきたが、粒状性の向上は見られるがコントラストの低下が生ずる。
【0004】
従って、環境負荷の少ない処理方法で、感度、粒状性、鮮鋭性のよいハロゲン化銀写真感光材料の画像形成方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙と密着してX線露光し、環境適性を付与した現像液で現像して高感度、高鮮鋭性、高コントラストで、かつ粒状性の良好な画像が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、被爆線量を低減し、環境適性を付与し、かつ粒状性、鮮鋭性を大きく向上させる画像形成方法を鋭意検討するうち、本発明の構成に至った。
【0007】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0008】
1.支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有し、かつ該乳剤層中のハロゲン化銀粒子が平均アスペクト比2以上で、沃化銀含有率0.5モル%以上であるハロゲン化銀写真感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙を密着しX線露光した後、現像液1リットル当たり沃素イオン0.3〜1.2ミリモルとレダクトン類を含有する現像液で処理することを特徴とする画像形成方法。
【0009】
2.前記現像液がハイドロキノンを実質的に含有しないことを特徴とする1に記載の画像形成方法。
【0010】
3.前記現像液が固体現像剤を水に溶解して調製された現像液であることを特徴とする1又は2に記載の画像形成方法。
【0011】
即ち、平均アスペクト比2以上で、かつ沃化銀含有率0.5モル%以上の組成を有する平板状ハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を有する感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙と密着露光し、現像液1リットル当たり沃素イオン0.3〜1.5〜ミリモルとレダクトン類を含有する現像液で処理することにより本発明の目的が達成されることを見出した。
【0012】
さらに実質的にジヒドロキシベンゼン類を含有しない現像液により環境適性が向上したと同時に安定な処理システムが得られることも見出した。また、レダクトン類を含有する固体状現像剤にすることにより、現像剤の保存性が著しく向上するため、長期処理時の粒状性の安定度が高くなることも見出した。
【0013】
以下、本発明を更に詳述する。
【0014】
本発明のハロゲン化銀粒子は粒子直径/厚さの値(アスペクト比と呼ぶ)の平均値である平均アスペクト比が2.0以上の平板状粒子であり、好ましくは2.0〜15でり、さらに好ましくは3.0〜9である。
【0015】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の粒径は、本発明の効果をより発揮するためには1.0μm以下が望ましいが、好ましくは0.3〜0.7μmである。
【0016】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の平均厚さは0.5μm以下が好ましく、特に好ましくは0.3μm以下である。
【0017】
本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子の粒径は、ハロゲン化銀粒子の電子顕微鏡写真の観察から粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径として定義される。
【0018】
本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子の厚さは、平板状ハロゲン化銀粒子を構成する二つの平行な面の距離のうち最小のもの即ち、主平面間の距離と定義される。
【0019】
平板状ハロゲン化銀粒子の厚さは、カーボンレプリカ法によるハロゲン化銀粒子の影の付いた電子顕微鏡写真又はハロゲン化銀乳剤を支持体に塗布し乾燥したサンプル断層の電子顕微鏡写真から求めることができる。
【0020】
上記平均アスペクト比を求めるためには、最低2000サンプルの粒子のアスペクト比の測定を行い、その平均値を平均アスペクト比とする。
【0021】
本発明のハロゲン化銀乳剤において、平板状ハロゲン化銀粒子が全ハロゲン化銀粒子に占める割合は50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。平板状ハロゲン化銀粒子は単分散性であるものが好ましく用いられ、粒径の変動係数が20%以内の範囲に含まれるものが特に好ましく用いられる。
【0022】
平板状ハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀組成は、沃化銀含有率が0.5モル%以上であり、好ましくは0.5〜3.0モル%、より好ましくは0.5〜1.5モル%である。沃化銀含有率が0.5モル%未満では最高濃度、コントラストの低下が大きく、粒状性も向上しない。また、ハロゲン化銀としては、沃化銀が特に好ましいが臭化銀、沃臭化銀、塩化銀なども好ましく用いられる。
【0023】
本発明の感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有し、好ましくは2層以上10層以下、さらに好ましくは2層以上5層以下、特に2層のハロゲン化銀乳剤層を有することが好ましい。
【0024】
また、本発明の感光材料の支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層の感度が他のハロゲン化銀乳剤層に塗設されている乳剤の感度より20%以上高いことが好ましく、さらには35%以上高いことが好ましく、特に50%以上高いことが好ましい。
【0025】
本発明の乳剤は、公知の方法を参照して製造できる。例えばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.17643(1978年12月),22〜23頁の“Emulsion Preparation and Types”に記載の方法、或は同RDNo.18716(1979年11月),648頁に記載の方法で調製することができる。
【0026】
更に本発明の乳剤は、例えばT.H.James著“The Theory of the Photographic process”第4版、Macmillan社刊(1977年)38〜104頁に記載の方法、G.F.Duffin著“Photographic Emulsion Chemistry”、Focal Press社刊(1966年)、P.Glafkides著“Chimie et Physique Photographique”Paul Montel社刊(1967年)或はV.L.Zelikman他著“Making And Coating Photographic Emulsion” Focal Press社刊(1964)などに記載の方法を参照して調製することができる。
【0027】
即ち、酸性法、アンモニア法、中性法などの溶液条件にて順混合法、逆混合法、ダブルジェット法、コントロール・ダブルジェット法などの混合条件、コンバージョン法、コア/シェル法などの粒子調製条件及びこれらの組合わせ法を用いて製造することができる。
【0028】
又、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン銀組成が粒子内で均一であってもよく、沃化銀が局在したものであってもよいが、粒子の最表面に局在したものが好ましく用いられる。
【0029】
ハロゲン化銀乳剤の製造方法は、特開昭58−113926号、同58−113927号、同58−113934号、同62−1855号、ヨーロッパ特許219,849号、同219,850号等を参考にすることもできる。
【0030】
又、単分散性の平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法として、特開昭61−6643号を参考にすることができる。
【0031】
高アスペクト比を持つ単分散性の平板状沃臭化銀乳剤の製造方法としては、核形成工程において、pBrが3以下に保たれたゼラチン水溶液に硝酸銀水溶液を添加するシングルジェット法又は硝酸銀水溶液とハロゲン化物水溶液をダブルジェット法により添加して種晶を発生させ、次に熟成工程及びさらにダブルジェット法により成長工程を経ることによって得ることができる。
【0032】
平板状ハロゲン化銀粒子の大きさ及び形状は、粒子形成時の温度、銀電位、pH、銀塩水溶液及びハロゲン化物水溶液の添加速度などによってコントロールできる。
【0033】
ハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀組成比は、添加するハロゲン化物水溶液の組成、即ち、塩化物臭化物及び沃化物の比を変えることによりコントロールすることができる。
【0034】
また、ハロゲン化銀乳剤の製造時に、必要に応じてアンモニア、チオエーテル、チオ尿素等のハロゲン化銀溶剤を用いることができる。
【0035】
上述した乳剤は、粒子表面に潜像を形成する表面潜像型あるいは粒子内部に潜像を形成する内部潜像型、表面と内部に潜像を形成する型のハロゲン化銀粒子から成るいずれの乳剤で有ってもよい。これらの乳剤は、物理熟成あるいは粒子調製の段階で鉄塩、カドミウム塩、鉛塩、亜鉛塩、タリウム塩、ルテニウム塩、オスミウム塩、イリジウム塩又はその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩などを添加し、ハロゲン化銀粒子中に混入させてもよい。
【0036】
本発明のハロゲン化銀乳剤は過剰の可溶性塩類を除去するためにヌーデル水洗法、フロキュレーション沈降法などの水洗方法がなされてよい。好ましい水洗法としては、例えば特公昭35−16086号記載のスルホ基を含む芳香族炭化水素系アルデヒド樹脂を用いる方法、又は特開平2−7037号記載の凝集高分子剤、例示G3、G8などを用いる方法が特に好ましい脱塩法として挙げられる。
【0037】
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感することが好ましい。本発明のハロゲン化銀乳剤の高感度化のための増感法としてはカルコゲン増感及び金増感を併用することが好ましい。特に金増感と硫黄増感及びセレン増感の併用は増感効果が顕著であるだけでなく、カブリ抑制効果も得られるので好ましい。
【0038】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成又は化学熟成前後の工程において、各種の写真用添加剤を用いることができる。公知の添加剤としては、例えば、前記RDNo.17643(1978年12月)23〜29頁、同No.18716(1979年11月)648〜651頁および同No.308119(1989年12月)996〜1009頁に記載された化合物が挙げられる。
【0039】
また、好ましい添加位置としては本発明の感光材料の製造工程中のいずれでも良いが、乳剤の化学増感工程以降の工程が好ましく、特に乳剤塗布の調液工程に添加することが好ましい。
【0040】
本発明の感光材料に用いる支持体としては、例えば前記RD−17643の28頁及びRD−308119の1009頁に記載されているものが挙げられる。
適当な支持体としてはポリエチレンテレフタレートフィルムなどで、これら支持体の表面は塗布層の接着をよくするため、下引き層を設けたり、コロナ放電、紫外線照射などを施してもよい。
【0041】
本発明のイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙は、特開平4−300993号等に記載されているイットリウムタンタレート蛍光体を用いた増感紙であり、例えば蛍光体としてイットリウムタンタルオキサイドを用いた蛍光増感紙ウルトラビジョンファーストディーテルUVFD(Du Pont社製)が挙げられが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
本発明の現像液中の沃素イオン量は現像液1リットル当たり0.3〜1.2ミリモルであるが、好ましくは0.3〜1.0ミリモルである。対カチオンとしては、カリウムイオンでもナトリウムイオンでもよい。
【0043】
本発明において、実質的にジヒドロキシベンゼン系現像主薬を含有しない現像液とは、例えば、現像液1リットル当たり5×10-5モル以下のような微量を限度とし、本発明においてはジヒドロキシベンゼン類を全く含まないことが好ましい。
【0044】
次に、本発明のレダクトン類について述べる。
【0045】
本発明のレダクトン類としては、エンジオール型、エナミノール型、エンジアミン型、チオールエノール型及びエナミンチオール型が挙げられる。好ましくは、下記一般式(1)で表される化合物が具体的に挙げられる。
【0046】
【化1】
【0047】
式中、R1、R2は水素原子又はヒドロキシル基を表し、R3、R4はヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、aは1から4の整数を表す。
【0048】
一般式(1)で示される化合物としては、下記にその具体的な化合物を以下に挙げる。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
本発明のレダクトン類は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の形でも使用できる。本発明で最も好ましいレダクトン類としては、上記1−1で示されるアスコルビン酸、エリソルビン酸及び上記金属塩が挙げられる。これらのレダクトン類の添加量は現像液1リットル当たり1〜100gが好ましく、より好ましくは5〜50g用いられる。
【0052】
現像剤としてジヒドロキシベンゼン類を用いることもできる。用いることのできるジヒドロキシベンゼン類としては、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジブロムハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などがあるが特にハイドロキノンが好ましい。ジヒドロキシベンゼン類の添加量は、現像液1リットル当たり0.01モル〜0.7モルでよく、0.1〜0.5モルが好ましいが、前述したように本発明においては5×10-5モル以下が特に好ましい。
【0053】
本発明の現像液には上記化合物の他に3−ピラゾリドン類(例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1,5−ジフェニル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−2−アセチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−ヒドロキシフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−(2−ベンゾチアゾリル)−3−ピラゾリドン、3−アセトキシ−1−フェニル−3−ピラゾリドン等)、3−アミノピラゾリン類(例えば、1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−メチルアミノフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−アミノ−m−メチルフェニル)−3−アミノピラゾリン等)及びフェニレンジアミン類(例えば、4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリン等)等を添加することができる。
【0054】
また更に、補助現像主薬としてアミノフェノール類を用いても硬調な画像を得ることができる。アミノフェノール類現像主薬としては、例えば4−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−(N−メチル)アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、N−(2′−ヒドロキシエチル)−2−アミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−4−アミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−4−(N−メチル)アミノフェノールやこれらの化合物の塩酸塩や硫酸塩等を挙げることができる。
【0055】
これらの化合物添加量は現像液1リットル当たり0.2〜40gが好ましく、より好ましくは0.5〜25gである。
【0056】
本発明の画像形成方法における現像液には保恒剤として特開平6−13859号に記載の亜硫酸塩の他、有機還元剤を用いることができる。本発明のレダクトン類を現像主薬として用いる現像液では亜硫酸塩の濃度は現像液1リットル当たり0.05〜0.30モルが好ましい。亜硫酸塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、メタ重亜硫酸塩としてはナトリウム塩、カリウム塩が使用できる。
【0057】
現像液にはアミン化合物を添加することもでき、米国特許4,269,929号記載の化合物が特に好ましい。さらに緩衝剤を用いることが必要で、緩衝剤としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ酸)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができが、好ましくは炭酸塩である。
【0058】
その他、特開平6−138591号に記載のキレート剤や生分解剤を用いることができる。
【0059】
本発明のレダクトン類を用いる現像液には炭酸塩を用いることが好ましい。炭酸塩の添加量としては、現像液1リットル当たり0.3モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5モル以上である。
【0060】
また現像促進剤としては、例えばチオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドラジン類、イオン型化合物、メソイオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて添加することができる。
【0061】
カブリ防止剤としては臭化カリウムや有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンゾイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンゾイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物が挙げられ、代表的な有機カブリ防止剤としてはメルカプト基含有化合物、特開平7−114153号に記載の一般式〔I〕、〔II〕、〔III〕、〔IV〕で表される化合物も用いることができるが、一般式〔I−α〕を用いることが好ましい。
【0062】
さらに、必要に応じてメチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、シクロデキストリン化合物、その他特公昭47−33378号、同44−9509号記載の化合物を現像主薬の溶解度を上げるための有機溶剤として使用することができる。さらに、ステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等各種添加剤を用いることができる。
【0063】
また、現像硬膜剤としてグルタルアルデヒドやその亜硫酸塩付加物、または硫酸塩等を用いることができる。さらに銀スラッジ防止剤として特開平5−289255号、同6−308680号記載の一般式〔4−a〕、〔4−b〕で表される化合物を用いることができる。
【0064】
処理に先立ち、スターターを添加することも好ましく、スターターを固形化して添加することも好ましい。スターターとしてはポリカルボン酸化合物の如き有機酸の他にKBrの如きアルカリ金属のハロゲン化物や有機抑制剤、現像促進剤が用いられる。
【0065】
現像液の処理温度は、好ましくは25〜50℃で、より好ましくは30〜40℃である。現像時間は5〜25秒であり、より好ましくは5〜15秒である。本発明に於ける全処理時間はDry to Dryで90〜30秒であることが好ましい。ここで言う全処理時間Dry to Dryとは処理される感光材料が現像液に浸された瞬間から現像、定着、水洗及び乾燥工程を経て排出されるまでの全処理時間をいう。
【0066】
処理剤液補充量としては、感光材料1m2当たり現像補充液は65〜520mlが好ましく、より好ましくは65〜520mlである。定着補充液は感光材料1m2当たり65〜910mlが好ましく、より好ましくは65〜390mlである。特に好ましくはるは現像液及び定着が感光材料1m2当たり65〜390mlである。
【0067】
処理液補充量の低減は、廃液処理負荷の軽減に有効であり、環境適性上望まれていることであり、上記好ましい範囲が望まれる。
【0068】
現像処理槽の開口比率は現像液の空気酸化耐性、水の蒸発による濃縮化を軽減するために0.03以下が好ましく、より好ましくは0.02以下である。定着槽の開口比率も0.04以下が好ましい。
【0069】
現像液のpHは、レダクトン類の安定性を得るために9.0〜10.5が好ましく、さらに好ましくは9.0〜10.2である。
【0070】
更に、処理条件が、l0.75×t=20〜40で表されローラー搬送型自動現像機で処理することが好ましい。
【0071】
式中、0.7<l<4.0で、lはフィルム挿入口第1ローラーの芯からフィルム乾燥口の最終ローラーの芯迄の搬送経路の長さ(単位=m)を表し、tは上記lを通過するのに要する時間(単位=秒)を表す。
【0072】
次に、本発明の画像形成方法に好ましく用いられる固体処理剤について説明する。
【0073】
本発明の画像形成方法において、現像液及び定着液を希釈調液する剤は濃縮液キットであれば1液が好ましく、更に好ましくは固体処理剤である。固体処理剤は従来液剤キットよりスペース、重量を大幅に軽減できるうえで有用である。
【0074】
本発明でいう固体処理剤とは、粉末処理剤や錠剤、丸薬、顆粒の如き固体処理剤などであり、必要に応じ防湿加工を施したものである。
【0075】
本発明でいう粉末とは、微粒結晶の集合体をいう。また、顆粒とは粉末に造粒工程を加えたもので、粒径50〜5000μmの粒状物のことをいう。本発明でいう錠剤とは、粉末又は顆粒を一定の形状に圧縮成型したものをいう。
【0076】
写真処理剤を固体化するには、濃厚液又は微粉ないし粒状写真処理剤と水溶性結着剤を混練し成型するか、仮成型した写真処理剤の表面に水溶性結着剤を噴霧したりすることで被覆層を形成する等、任意の手段が採用できる(特開平4−29136号、同4−85535号、同4−85536号、同4−85533号、同4−85534号、同4−172341号参照)。
【0077】
好ましい錠剤の製造法としては粉末状の固体処理剤を造粒した後打錠工程を経て形成する方法である。単に固体処理剤成分を混合し打錠工程により形成された固体処理剤より溶解性や保存性が改良され結果として写真性能も安定になるという利点がある。
【0078】
錠剤形成のための造粒方法は転動造粒、押し出し造粒、圧縮造粒、解砕造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒等公知の方法を用いることが出来る。錠剤形成のためには、得られた造粒物の平均粒径は造粒物を混合し、加圧圧縮する際、成分の不均一化、いわゆる偏析が起こりにくいという点で、100〜800μmのものを用いることが好ましく、より好ましくは200〜750μmである。
【0079】
更に粒度分布は造粒物粒子の60%以上が±100〜150μmの偏差内にあるものが好ましい。次に得られた造粒物を加圧圧縮する際には公知の圧縮機、例えば油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、プリケッティングマシンを用いることが出来る。加圧圧縮されて得られる固体処理剤は任意の形状を取ることが可能であるが、生産性、取扱い性の観点から又はユーザーサイドで使用する場合の粉塵の問題からは円筒型、いわゆる錠剤が好ましい。
【0080】
更に好ましくは造粒時、各成分毎に、例えば、アルカリ剤、還元剤、保恒剤等を分別造粒することによって更に上記効果が顕著になる。
【0081】
錠剤処理剤の製造方法は、例えば、特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号、英国特許1213808号等に記載される一般的な方法で製造でき、更に顆粒処理剤は、例えば、特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号及び同3−39739号等に記載される一般的な方法で製造できる。更にまた粉末処理剤は、例えば、特開昭54−133332号、英国特許725,892号、同729,862号及びドイツ特許3,733,861号等に記載されるが如き一般的な方法で製造できる。
【0082】
上記の固体処理剤の嵩密度は、その溶解性の観点と、本発明の目的の効果の点から錠剤である場合1.0g/cm3〜2.5g/cm3が好ましく、1.0g/cm3より大きいと得られる固形物の強度の点で、2.5g/cm3より小さいと得られる固形物の溶解性の点でより好ましい。固体処理剤が顆粒又は粉末である場合嵩密度は0.40〜0.95g/cm3のものが好ましい。
【0083】
本発明に好ましく用いられる固体処理剤は現像剤、定着剤、リンス剤等写真用処理剤に用いられるが、本発明の効果、とりわけ写真性能を安定化させる効果が大きいのは現像剤である。
【0084】
更に、本発明に好ましく用いられる固体処理剤はある処理剤の1部の成分のみ固形化することも本発明の範囲に入るが、好ましくは該処理剤の全成分が固形化されていることである。各成分は別々の固体処理剤として成型され、同一包装されていることが望ましい。また、別々の成分が定期的にくり返し投入される順番に包装されていることも望ましい。
【0085】
本発明において、処理剤は固体処理剤を水に溶解し調製された溶液であることが好ましい。
【0086】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。当然のことながら、本発明は以下に述べる実施例により限定されるものではない。
【0087】
実施例1
(沃化銀微粒子乳剤の調製)
<溶液A1>
オセインゼラチン 100g
KI 8.5g
蒸留水で2000mlにする
<溶液B1>
AgNO3 360g
蒸留水で605mlにする
<溶液C1>
KI 352g
蒸留水で605mlにする
反応容器に溶液A1を加え、40℃に保ち撹拌しながら溶液B1及び溶液C1を同時混合法により30分を要して定速で添加した。添加中のpAgは常法のpAg制御手段で13.5に保った。生成した沃化銀は平均粒径0.06μmのβ−AgIとγ−AgIの混合物であった。この乳剤を沃化銀微粒子乳剤と呼ぶ。
【0088】
(分光増感色素の固体微粒子分散物の調製)
下記、分光増感色素(A)及び(B)を40:60の比率で予め27℃に調温した水に加え、高速撹拌機(ディゾルバー)で3500rpmにて30〜120分間撹拌することによって分光増感色素の固体微粒子状の分散物を得た。このとき増感色素(A)の濃度が2%になるように調製した。
【0089】
【化4】
【0090】
(種乳剤Em−Aの調製)
以下の方法により沃化銀含量2.0モル%の六角平板状種乳剤Em−Aを作製した。
【0091】
<溶液B2>
AgNO3 1190g
蒸留水で3500mlにする
<溶液C2>
KBr 823.2g
KI 23.44g
蒸留水で3500mlにする
<溶液D2>
1.75N KBr水溶液 下記電位制御量
35℃において、特公昭58−58288号に示された混合撹拌機を用いて、溶液A2に溶液B2及び溶液C2の各々64.1mlを同時混合法に2分の時間を要して添加し、核形成を行った。溶液B2及び溶液C2の添加を停止した後、60分の時間を要して溶液A2の温度を60℃に上昇させ、再び溶液B2と溶液C2を同時混合法により各々68.5ml/minの流量で50分間添加した。この間の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を溶液D2を用いて+6mVになるように制御した。添加終了後、3%KOHによってpHを6に合わせ、直ちに脱塩、水洗を行い種乳剤Em−Aとした。このように作成した種乳剤Em−Aはハロゲン化銀粒子の全投影面積の90%以上が最大隣接辺比が1.0〜2.0の六角平板粒子よりなり、六角平板の平均厚さ0.10μm、平均直径(円直径換算)0.4μm、変動係数は25%であることが電子顕微鏡観察により判明した。
【0092】
(乳剤Em−1〜Em−3の調製)
以下の5種類の溶液を用いて表1記載量の沃化銀を含有する平板状沃臭化銀乳剤Em−1〜Em−3を調製した。
【0093】
<溶液B3>
3.50N AgNO3水溶液 1400ml
<溶液C3>
KBr 576g
蒸留水で1976mlにする
<溶液D3>
沃化銀微粒子乳剤 表1記載の沃化銀含有率への調整量
<溶液E3>
1.75 KBr水溶液 下記電位制御量
60℃において、特公昭58−58288号に示された混合撹拌機を用いて、溶液A3、溶液B3及び溶液C3の各々110mlと溶液D3の全量を同時混合法(トリプルジェット法)により添加終了時の流速が添加開始時の流速の2倍になるように40分の時間を要して第1被覆層の添加成長を行った。その後、引き続き溶液B3、及び溶液C3の残り全量をダブルジェット法により添加終了時の流速が添加開始時の流速の1.5倍になるように105分の時間を要して第2被覆層の添加成長を行った。
【0094】
この間の銀電位は溶液E3を用いて+20mVになるように制御した。添加終了後、過剰な塩類を除去するため、以下に示す方法で沈澱脱塩を行った。
【0095】
1.混合終了した反応液を40℃にして、凝集ゼラチン剤を20g/AgBr1モル加え、56wt%酢酸を加えてpHを下げ、静置し、デカンテーションを行う。
【0096】
2.40℃の純水1.8 l/AgBr1モルを加え、10分間撹拌させた後、静置、デカンテーションを行う。
【0097】
3.上記2の工程をもう1回繰り返す。
【0098】
4.後ゼラチン15g/AgBr1モルと炭酸ナトリウム、水を加え、pH6.0にして分散させ、450cc/AgBr1モルに仕上げる。
【0099】
Em−1〜3の粒子約1000個を電子顕微鏡により観察、測定し形状を分析したところ、平均円相当直径1.03μm、粒子厚さ0.15μmの平板状粒子であり変動係数は24%、平均アスペクト比は7.0であった。
【0100】
また、硝酸銀量、臭化カリウム量、沃化銀微粒子乳剤、銀電位を変更してEm−1〜3と同様にして表1,3記載の平均アスペクト比、円相当直径、沃化銀含有率のハロゲン化銀乳剤Em−4〜Em−9を調製した。
【0101】
(晶種乳剤Em−Bの調製)
<溶液A4>
オセインゼラチン 30g
KBr 1.25g
硝酸(0.1N) 150ml
蒸留水で7700mlにする
<溶液B4>
KBr 6g
KI 0.16g
蒸留水で740mlにする
<溶液C4>
KBr 680g
KI 20g
蒸留水で2480mlにする
<溶液D4>
硝酸銀 8.4g
硝酸(0.1N) 32ml
蒸留水で740mlにする
<溶液E4>
硝酸銀 991.6g
硝酸(0.1N) 80ml
蒸留水で2480mlにする
60℃で激しく撹拌した溶液A4に、溶液B4と溶液D4をダブルジェット法により10分間かけて添加した。そして、溶液C4と溶液E4をダブルジェット法により140分間かけて添加した。このとき初期添加流量は最終添加流量の1/8で、時間とともに直線的に増感せしめた。これら液を添加せしめている間は、pH=2、pAg=8に一定に調製した。添加終了後に炭酸ナトリウムでpHを6まで上げ、KBr150gを加えた後に、直ちに脱塩、水洗を行って、平均粒径0.3μmの沃化銀2モル%を含む沃臭化銀の単分散立方晶種乳剤Em−Bを得た。電子顕微鏡観察によれば、双晶の発生率は個数で1%以下であった。
【0102】
(コア/シェル乳剤Em−Cの調製)
以下の5種類の溶液を用いて2.0モル%AgIを含有する正常晶乳剤Em−Cを作成した。
【0103】
<溶液B5>
AgNO3 46.2g
AgNO3と等モル量のアンモニア溶液と蒸留水を加えて259mlにする
<溶液C5>
AgNO3 647.6g
AgNO3と等モル量のアンモニア溶液と蒸留水を加えて1088mlにする
<溶液D5>
KBr 22.6g
KI 13.5g
蒸留水で259mlにする
<溶液E5>
KBr 453.3g
蒸留水で1088mlにする
反応釜内に溶液A5を40℃に保ち、さらにアンモニア水と酢酸を加えpHを9.5に調整した。アンモニア性銀イオン液にてpAgを7.3に調製後、pHとpAgを一定に保ちつつ溶液B5と溶液D5をダブルジェット法で添加し、沃化銀30モル%を含む沃臭化銀層を形成せしめた。酢酸とKBrを用いてpHを9.0、pAgを9.0に調製した後に溶液C5と溶液E5を同時に添加し成長後、粒径の90%にあたるまで成長させた。このときのpHは9.0から8.20まで徐々に下げた。KBr液を加え、pAgを11にした後にさらに溶液C5と溶液E5を加えてpHを徐々に8まで下げながら成長せしめ、沃化銀2モル%の沃臭化銀乳剤を得た。
【0104】
添加終了後、過剰な塩類を除去するため、Em−1と同様の方法で沈澱脱塩を行い、オセインゼラチン92.2gを含むゼラチン水溶液を加え2500mlとして、撹拌再分散し、乳剤Em−Cとした。
【0105】
乳剤Em−Cの粒子約1000個を電子顕微鏡により観察・測定し形状を分析したところ、平均粒子直径0.51μm、分布の広さが12%の単分散球状粒子であった。
【0106】
次に、得られた乳剤Em−Cを以下の方法で分光増感及び化学増感を施した。
【0107】
乳剤を50℃にした後、増感色素(A)が銀1モル当たり40mgになるように、前記固体微粒子分散物を加えた後に、チオシアン酸アンモニウム塩を銀1モル当たり4.0×10-4モル、及び塩化金酸3.2×10-6モルとチオ硫酸ナトリウム3.4×10-5モル添加し、その40分後に、上記沃化銀微粒子乳剤を1.7×10-3モル/Ag1モル添加後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)1.2×10-2モルで安定化した。
【0108】
次に、セレン増感を施して乳剤Em−10、Em−11及びEm−12を表1記載の如く調製した。 即ち、チオシアン酸アンモニウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムとともに下記セレン増感剤を7.0×10-6モル添加した以外は前記増感法と同様にして化学増感を行い、セレン増感した。
【0109】
【化5】
【0110】
(試料の作成)
得られたそれぞれの乳剤に、下記の各種添加剤を加えて乳剤液(感光性ハロゲン化銀塗布液)とした。添加量はハロゲン化銀1モル当たりの量で示す。
【0111】
【0112】
【化6】
【0113】
また保護層に用いた添加剤は次の通りである。添加量はゼラチン1g当たりの量で示す。
【0114】
【0115】
【化7】
【0116】
以上の塗布液を、厚さ175μmの下引き処理済のブルーに着色したポリエチレンテレフタレートフィルムベース上に乳剤層と保護層1層を両面に均一に塗布、乾燥して表1記載の試料を作成した。尚、ハロゲン化銀乳剤層の銀付量は片面当たりいずれも2.20g/m2とした。
【0117】
(処理剤の調製)
現像錠剤α(ハイドロキノン現像主薬)の調製
造粒物(A)の調製
現像主薬のハイドロキノン3000g、ホウ酸2000g、亜硫酸ナトリウム5000gをそれぞれ市販のバンダムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉にジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム(DTPA・5Na)300g、フェニドン500g、N−アセチル−D,L−ペニシラミン10g、5−ニトロベンゾトリアゾール10g、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール1.5g、結合剤マンニトール1000gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約10分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で55℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0118】
造粒物(B)の調製
炭酸カリウム11000g、重炭酸ナトリウム2000g、沃化カリウム表3記載量、グルタルアルデヒド重亜硫酸ナトリウム1000gをそれぞれ市販のバンタムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉に結合剤マンニトール1000gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約15分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で55℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0119】
固体現像剤の調製
このようにして得られた造粒物(A)と(B)に1−オクタンスルホン酸ナトリウム100gを加え25℃、RH40%以下に調湿された部屋で混合機を用いて10分間均一に混合した後、得られた混合物を菊水製作所製のタイプレストコレクト1527HUを改造した打錠機により1錠当たりの充填量を10gにして圧縮打錠を行い、1800個のハイドロキノン系現像剤を作成した。
【0120】
現像錠剤β(本発明のレダクトン類を含む現像錠剤)の調製
造粒物(A)の調製
フェニドン500g、N−アセチル−D,L−ペニシラミン10g、グルタルアルデヒド重亜硫酸ナトリウム1000gをそれぞれ市販のバンタムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉にDTPA・5Na300g、ジメゾンS300g、エリソルビン酸ナトリウム(本発明のレダクトン類化合物)4000g、メタ重亜硫酸ナトリウム1000g、結合剤ソルビトール500gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約10分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で40℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0121】
造粒物(B)の調製
炭酸カリウム10300gをそれぞれ市販のバンタムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉に結合剤マンニトール2000g、ソルビトール600g、表1記載の沃素イオン濃度になる量の沃化カリウム、3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム40gと5−メルカプト−(1H)−テトラゾリル酢酸Na7gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約15分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で55℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0122】
固体現像剤の調製
このようにして得られた造粒物(A)と(B)各々に1−オクタンスルホン酸ナトリウム60g、160gを加え、さらに、造粒物(B)にはメチル−β−シクロデキストリン250gを加え25℃、RH40%以下に調湿された部屋で混合機を用いて各の造粒混合物を10分間均一に混合した後、得られた混合物を菊水製作所製のタイプレストコレクト1527HUを改造した打錠機により1錠当たりの充填量を10gにして圧縮打錠を行い、造粒物(A)からの錠剤Aを650個、造粒物(B)からの錠剤Bを1300個のレダクトン類を含む本発明の現像錠剤を作製した。
【0123】
なお、それぞれの現像錠剤は防湿のためアルミニウムを含有したピロー袋に錠剤Aを17個、錠剤Bを30個を封入包装した。
【0124】
次に以下の操作で固体定着剤を作成した。
【0125】
造粒物(A)の調製
チオ硫酸アンモニウム/チオ硫酸ナトリウム(90/10重量比)15000g、β−アラニン1500g、酢酸ナトリウム3000gをそれぞれ市販のバンダムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉に亜硫酸ナトリウム100g、Na2S2O5を1000g、結合剤パインフロー〔松谷化学工業(株)製〕1000gを加え水添加量を50mlにして撹拌造粒を行い、造粒物を流動層乾燥機で40℃にて乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0126】
造粒物(B)の調製
ホウ酸700g、硫酸アルミニウム1500g、琥珀酸1200gを(A)と同様に粉砕する。この微粉に酒石酸300g、結合剤マンニトール〔花王(株)製〕300g、ソルビトール100g、PEG♯4000(ポリエチレングリコール分子量4000)150gを加え水添加量を30mlにして撹拌造粒を行い、造粒物を流動層乾燥機で40℃にて乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0127】
固体定着剤の調製
このようにして得られた造粒物(A)と(B)の各々に1−オクタンスルホン酸ナトリウム320g、40gを加え25℃、RH40%以下に調湿された部屋で混合機を用いて各の造粒混合物を10分間均一に混合した後、得られた混合物を菊水製作所製のタイプレストコレクト1527HUを改造した打錠機により1錠当たりの充填量を10gにして圧縮打錠を行い、造粒物(A)から錠剤Aを2000個、造粒物(B)から錠剤Bを400個の固体定着剤を調製した。
【0128】
スタート時の現像タンク内の現像液は現像錠剤αであれば水1リットル当たり18個、βであればピロー包装分(A剤17個、B剤30個)を水3.3リットル、即ち1リットル当たり9.09個の比率で調製した現像液7.8リットルを自動現像機SRX−201の現像槽に入れ、下記のスターターを加えてスタート液として現像槽を満たし、処理を行った。
【0129】
スターター添加量は40ml/1リットルとした。また、自動現像機SRX−101の場合は、現像処理槽に現像液3.9リットルを満たして処理を開始させ、同様にスターターを添加した。
【0130】
現像液スターター組成
KBr 3.5g
HO(CH2)2S(CH2)2S(CH2)2OH 0.05g
N−アセチル−D,Lペニシラミン 0.10g
CH3N(CH2CH2CH2NHCONHCH2CH2SC2H5)2 0.05g
メタ重亜硫酸ナトリウム 開始液pHになる量
水で仕上げ 40ml
定着剤はピロー包装分(A剤55個、B剤11個)を3.3リットルの水で溶解して調製した。この比率で調製した定着液5.6リットルを自動現像機SRX−201の定着処理タンクに入れスタート液とした。SRX−101の場合は1.9リットルを定着処理槽に満たした。
【0131】
現像、定着ともに各々の固体処理剤の投入口にそれぞれの包装袋を手で開封したものをセットし内蔵ケミカルミキサーに錠剤を落とすと同時に温水(25〜30℃)を注水し、撹拌溶解しながら溶解時間を25分で3.3リットルに調液する、これを現像補充液、定着補充液として用いた。現像補充液のpHはハイドロキノン系のαが10.55で本発明のレダクトン類を含む現像液のβは10.10であった。定着液のpHは4.70であった。
【0132】
内蔵ケミカルミキサーは調液槽と予備タンク槽に分れており、調液槽容量は3.3リットル、予備タンク容量も3.3リットルであり、フィルムをランニング処理中に調液槽で作成された補充液が無くなっても、また撹拌溶解時間(約25分)中に無補充状態にならないように補充液が供給されるように予備タンクを設けた。
【0133】
スターターを添加したときの現像液のpHは現像錠剤αを使用したものが10.40、現像錠剤βを使用したものが9.90であった。
【0134】
上記の固体処理剤ではなく、下記の濃縮液キットから作成した現像液γも同様に上記スターターを添加し、開始液(開始pH9.90)とし、ランニング処理を行った。
【0135】
自動現像機はSRX−201を現像温度34℃、定着温度34℃、乾燥温度55℃で表1記載の処理条件(補充量、処理時間)で処理できるように改造した。
【0136】
SRX−101の場合も、現像温度34℃、定着温度34℃で表1記載の処理条件(補充量、処理時間)で処理できるように改造した。
【0137】
【0138】
Bパート
酢酸(90%) 22g
トリエチレングリコール 10g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 3.0g
5−ニトロインダゾール 0.03g
n−アセチル−D,L−ペニシラミン 0.2g
Cパート
グルタルアルデヒド(50%) 7.0g
重亜硫酸ナトリウム 8.0g
純水 20ml
上記の現像液Aパート、Bパート、Cパートの各々を現像液として3リットル量に仕上げ、原液用の各一体型ボトルに封入する。自動現像機はケミカルミキサーを内蔵し、一体型ボトルは自動的に原液が調液部に供給され水で所定容量(3l)に仕上げられる。使用液のpHは現像液が9.90にそれぞれKOHと酢酸にて調整される。
【0139】
(ランニング処理変動の評価)
先に調製したフィルムを大角サイズに裁断し、現像処理後の光学濃度が1.0になるように全面均一な露光を施し、ランニング処理を行った。
【0140】
ランニングは1日当たり、SRX−201で50枚、SRX−101で10枚処理を行い、初日(スタート液の状態)とSRX−201で500枚(20日)、1000枚(40日)、1500枚(60日)、SRX−101で100枚(20日)、200枚(40日)、500枚(60日)を処理した後の処理液を用いて、下記のセンシトメトリー試験を行いランニング変動を求めた。
【0141】
(センシトメトリー試験)
得られたフィルム試料をそれぞれ2種の蛍光増感紙、即ち比較用増感紙NR−160(コニカ(株)製)及び本発明のイットリウムタンタルオキサイド蛍光体を主成分とする増感紙ウルトラビジョンファーストディーテルUVFDを挟み、アルミニウムウエッジを介して管電圧80kVp、管電流100mAで0.05秒間X線を照射し、距離法にてセンシトメトリーカーブを作成し、常法により感度、コントラスト求めた。
【0142】
(感度、コントラストの評価)
感度はカブリ+1.0の濃度を与える露光量の逆数で表し、試料No.1の蛍光増感紙NR−160を使用した場合の感度を100とした時の相対感度で示した。
【0143】
また、コントラストは特性曲線において、最低濃度+0.25〜最低濃度+2.0までの傾きを平均グラディエント(G)として表したものである。
【0144】
(鮮鋭性及び粒状性の評価)
感度を評価した各蛍光増感紙/感光材料の組み合わせについて、京都科学製胸部ファントームを120kVp(3mm厚のアルミニウム等価フィルタ装着)のX線源を用い、距離140cmの位置にファントームを置き、その後ろにグリッドレシオ8:1の散乱防止グリッド、その後ろに感光材料と蛍光増感紙を置き撮影を行った。
【0145】
何れの写真も肺野の最も濃度の高い部分が1.8±0.5になるようにX線露光量を露光時間を変えることにより調節した。得られた写真について目視で観察し、粒状性と鮮鋭性を下記の評価基準で評価した。
【0146】
粒状性評価基準
5:全く目立たない
4:殆ど目立たない
3:若干目立つ
2:目立ち読影に若干支障あり
1:非常に目立ち読影に支障あり
鮮鋭性評価基準
5:非常にシャープ
4:良好だが僅かにボケがある
3:僅かにボケがあるが読影に支障はない
2:ボケが目立ち読影に若干支障あり
1:ボケにより読影困難
得られたこれらの結果を表1〜4にまとめて示した。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
【表3】
【0150】
【表4】
【0151】
表1〜4の結果から本発明の構成では、高感度で、高鮮鋭性、高コントラストで、かつ粒状性の良好な画像が得られることがわかる。また前期ランニング処理で良好な写真性能が得られることがわかる。
【0152】
【発明の効果】
本発明により、ハロゲン化銀写真感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙を密着してX線露光し、本発明の現像液で処理すると高感度、高鮮鋭性、高コントラスト、かつ粒状性の良好な画像が得られ、また長期ランニング処理時の粒状性、鮮鋭性に優れた画像形成方法が得られた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法に関し、特にハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)とイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イットリウムタンタレート系蛍光体の発光は、一般に広く用いられているタングステン酸カルシウム系蛍光体の発光に比して発光強度が高く、発光波長のピークが紫外光領域に位置する特徴を有しており、タングステン酸カルシウムに対して3倍以上の発光強度を持ち、従ってイットリウムタンタレート系蛍光体は増感紙の感度を高め、被爆線量の低減に有利となるだけでなく、ハロゲン化銀乳剤に用いるハロゲン化銀粒子を小粒子化して粒状性を向上させることができる。しかし、小粒子化したハロゲン化銀乳剤はコントラストが低下する欠点が生ずる。
【0003】
一方、環境汚染の立場から、従来使用されていたジヒドロキシベンゼン類に代えて環境負荷の少ないレダクトン類を用いる処理法の検討がなされてきたが、粒状性の向上は見られるがコントラストの低下が生ずる。
【0004】
従って、環境負荷の少ない処理方法で、感度、粒状性、鮮鋭性のよいハロゲン化銀写真感光材料の画像形成方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙と密着してX線露光し、環境適性を付与した現像液で現像して高感度、高鮮鋭性、高コントラストで、かつ粒状性の良好な画像が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、被爆線量を低減し、環境適性を付与し、かつ粒状性、鮮鋭性を大きく向上させる画像形成方法を鋭意検討するうち、本発明の構成に至った。
【0007】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0008】
1.支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有し、かつ該乳剤層中のハロゲン化銀粒子が平均アスペクト比2以上で、沃化銀含有率0.5モル%以上であるハロゲン化銀写真感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙を密着しX線露光した後、現像液1リットル当たり沃素イオン0.3〜1.2ミリモルとレダクトン類を含有する現像液で処理することを特徴とする画像形成方法。
【0009】
2.前記現像液がハイドロキノンを実質的に含有しないことを特徴とする1に記載の画像形成方法。
【0010】
3.前記現像液が固体現像剤を水に溶解して調製された現像液であることを特徴とする1又は2に記載の画像形成方法。
【0011】
即ち、平均アスペクト比2以上で、かつ沃化銀含有率0.5モル%以上の組成を有する平板状ハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を有する感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙と密着露光し、現像液1リットル当たり沃素イオン0.3〜1.5〜ミリモルとレダクトン類を含有する現像液で処理することにより本発明の目的が達成されることを見出した。
【0012】
さらに実質的にジヒドロキシベンゼン類を含有しない現像液により環境適性が向上したと同時に安定な処理システムが得られることも見出した。また、レダクトン類を含有する固体状現像剤にすることにより、現像剤の保存性が著しく向上するため、長期処理時の粒状性の安定度が高くなることも見出した。
【0013】
以下、本発明を更に詳述する。
【0014】
本発明のハロゲン化銀粒子は粒子直径/厚さの値(アスペクト比と呼ぶ)の平均値である平均アスペクト比が2.0以上の平板状粒子であり、好ましくは2.0〜15でり、さらに好ましくは3.0〜9である。
【0015】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の粒径は、本発明の効果をより発揮するためには1.0μm以下が望ましいが、好ましくは0.3〜0.7μmである。
【0016】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子の平均厚さは0.5μm以下が好ましく、特に好ましくは0.3μm以下である。
【0017】
本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子の粒径は、ハロゲン化銀粒子の電子顕微鏡写真の観察から粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径として定義される。
【0018】
本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子の厚さは、平板状ハロゲン化銀粒子を構成する二つの平行な面の距離のうち最小のもの即ち、主平面間の距離と定義される。
【0019】
平板状ハロゲン化銀粒子の厚さは、カーボンレプリカ法によるハロゲン化銀粒子の影の付いた電子顕微鏡写真又はハロゲン化銀乳剤を支持体に塗布し乾燥したサンプル断層の電子顕微鏡写真から求めることができる。
【0020】
上記平均アスペクト比を求めるためには、最低2000サンプルの粒子のアスペクト比の測定を行い、その平均値を平均アスペクト比とする。
【0021】
本発明のハロゲン化銀乳剤において、平板状ハロゲン化銀粒子が全ハロゲン化銀粒子に占める割合は50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。平板状ハロゲン化銀粒子は単分散性であるものが好ましく用いられ、粒径の変動係数が20%以内の範囲に含まれるものが特に好ましく用いられる。
【0022】
平板状ハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀組成は、沃化銀含有率が0.5モル%以上であり、好ましくは0.5〜3.0モル%、より好ましくは0.5〜1.5モル%である。沃化銀含有率が0.5モル%未満では最高濃度、コントラストの低下が大きく、粒状性も向上しない。また、ハロゲン化銀としては、沃化銀が特に好ましいが臭化銀、沃臭化銀、塩化銀なども好ましく用いられる。
【0023】
本発明の感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有し、好ましくは2層以上10層以下、さらに好ましくは2層以上5層以下、特に2層のハロゲン化銀乳剤層を有することが好ましい。
【0024】
また、本発明の感光材料の支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層の感度が他のハロゲン化銀乳剤層に塗設されている乳剤の感度より20%以上高いことが好ましく、さらには35%以上高いことが好ましく、特に50%以上高いことが好ましい。
【0025】
本発明の乳剤は、公知の方法を参照して製造できる。例えばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.17643(1978年12月),22〜23頁の“Emulsion Preparation and Types”に記載の方法、或は同RDNo.18716(1979年11月),648頁に記載の方法で調製することができる。
【0026】
更に本発明の乳剤は、例えばT.H.James著“The Theory of the Photographic process”第4版、Macmillan社刊(1977年)38〜104頁に記載の方法、G.F.Duffin著“Photographic Emulsion Chemistry”、Focal Press社刊(1966年)、P.Glafkides著“Chimie et Physique Photographique”Paul Montel社刊(1967年)或はV.L.Zelikman他著“Making And Coating Photographic Emulsion” Focal Press社刊(1964)などに記載の方法を参照して調製することができる。
【0027】
即ち、酸性法、アンモニア法、中性法などの溶液条件にて順混合法、逆混合法、ダブルジェット法、コントロール・ダブルジェット法などの混合条件、コンバージョン法、コア/シェル法などの粒子調製条件及びこれらの組合わせ法を用いて製造することができる。
【0028】
又、本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン銀組成が粒子内で均一であってもよく、沃化銀が局在したものであってもよいが、粒子の最表面に局在したものが好ましく用いられる。
【0029】
ハロゲン化銀乳剤の製造方法は、特開昭58−113926号、同58−113927号、同58−113934号、同62−1855号、ヨーロッパ特許219,849号、同219,850号等を参考にすることもできる。
【0030】
又、単分散性の平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法として、特開昭61−6643号を参考にすることができる。
【0031】
高アスペクト比を持つ単分散性の平板状沃臭化銀乳剤の製造方法としては、核形成工程において、pBrが3以下に保たれたゼラチン水溶液に硝酸銀水溶液を添加するシングルジェット法又は硝酸銀水溶液とハロゲン化物水溶液をダブルジェット法により添加して種晶を発生させ、次に熟成工程及びさらにダブルジェット法により成長工程を経ることによって得ることができる。
【0032】
平板状ハロゲン化銀粒子の大きさ及び形状は、粒子形成時の温度、銀電位、pH、銀塩水溶液及びハロゲン化物水溶液の添加速度などによってコントロールできる。
【0033】
ハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀組成比は、添加するハロゲン化物水溶液の組成、即ち、塩化物臭化物及び沃化物の比を変えることによりコントロールすることができる。
【0034】
また、ハロゲン化銀乳剤の製造時に、必要に応じてアンモニア、チオエーテル、チオ尿素等のハロゲン化銀溶剤を用いることができる。
【0035】
上述した乳剤は、粒子表面に潜像を形成する表面潜像型あるいは粒子内部に潜像を形成する内部潜像型、表面と内部に潜像を形成する型のハロゲン化銀粒子から成るいずれの乳剤で有ってもよい。これらの乳剤は、物理熟成あるいは粒子調製の段階で鉄塩、カドミウム塩、鉛塩、亜鉛塩、タリウム塩、ルテニウム塩、オスミウム塩、イリジウム塩又はその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩などを添加し、ハロゲン化銀粒子中に混入させてもよい。
【0036】
本発明のハロゲン化銀乳剤は過剰の可溶性塩類を除去するためにヌーデル水洗法、フロキュレーション沈降法などの水洗方法がなされてよい。好ましい水洗法としては、例えば特公昭35−16086号記載のスルホ基を含む芳香族炭化水素系アルデヒド樹脂を用いる方法、又は特開平2−7037号記載の凝集高分子剤、例示G3、G8などを用いる方法が特に好ましい脱塩法として挙げられる。
【0037】
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感することが好ましい。本発明のハロゲン化銀乳剤の高感度化のための増感法としてはカルコゲン増感及び金増感を併用することが好ましい。特に金増感と硫黄増感及びセレン増感の併用は増感効果が顕著であるだけでなく、カブリ抑制効果も得られるので好ましい。
【0038】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成又は化学熟成前後の工程において、各種の写真用添加剤を用いることができる。公知の添加剤としては、例えば、前記RDNo.17643(1978年12月)23〜29頁、同No.18716(1979年11月)648〜651頁および同No.308119(1989年12月)996〜1009頁に記載された化合物が挙げられる。
【0039】
また、好ましい添加位置としては本発明の感光材料の製造工程中のいずれでも良いが、乳剤の化学増感工程以降の工程が好ましく、特に乳剤塗布の調液工程に添加することが好ましい。
【0040】
本発明の感光材料に用いる支持体としては、例えば前記RD−17643の28頁及びRD−308119の1009頁に記載されているものが挙げられる。
適当な支持体としてはポリエチレンテレフタレートフィルムなどで、これら支持体の表面は塗布層の接着をよくするため、下引き層を設けたり、コロナ放電、紫外線照射などを施してもよい。
【0041】
本発明のイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙は、特開平4−300993号等に記載されているイットリウムタンタレート蛍光体を用いた増感紙であり、例えば蛍光体としてイットリウムタンタルオキサイドを用いた蛍光増感紙ウルトラビジョンファーストディーテルUVFD(Du Pont社製)が挙げられが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
本発明の現像液中の沃素イオン量は現像液1リットル当たり0.3〜1.2ミリモルであるが、好ましくは0.3〜1.0ミリモルである。対カチオンとしては、カリウムイオンでもナトリウムイオンでもよい。
【0043】
本発明において、実質的にジヒドロキシベンゼン系現像主薬を含有しない現像液とは、例えば、現像液1リットル当たり5×10-5モル以下のような微量を限度とし、本発明においてはジヒドロキシベンゼン類を全く含まないことが好ましい。
【0044】
次に、本発明のレダクトン類について述べる。
【0045】
本発明のレダクトン類としては、エンジオール型、エナミノール型、エンジアミン型、チオールエノール型及びエナミンチオール型が挙げられる。好ましくは、下記一般式(1)で表される化合物が具体的に挙げられる。
【0046】
【化1】
【0047】
式中、R1、R2は水素原子又はヒドロキシル基を表し、R3、R4はヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、aは1から4の整数を表す。
【0048】
一般式(1)で示される化合物としては、下記にその具体的な化合物を以下に挙げる。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
本発明のレダクトン類は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の形でも使用できる。本発明で最も好ましいレダクトン類としては、上記1−1で示されるアスコルビン酸、エリソルビン酸及び上記金属塩が挙げられる。これらのレダクトン類の添加量は現像液1リットル当たり1〜100gが好ましく、より好ましくは5〜50g用いられる。
【0052】
現像剤としてジヒドロキシベンゼン類を用いることもできる。用いることのできるジヒドロキシベンゼン類としては、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジブロムハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などがあるが特にハイドロキノンが好ましい。ジヒドロキシベンゼン類の添加量は、現像液1リットル当たり0.01モル〜0.7モルでよく、0.1〜0.5モルが好ましいが、前述したように本発明においては5×10-5モル以下が特に好ましい。
【0053】
本発明の現像液には上記化合物の他に3−ピラゾリドン類(例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1,5−ジフェニル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−2−アセチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−ヒドロキシフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−(2−ベンゾチアゾリル)−3−ピラゾリドン、3−アセトキシ−1−フェニル−3−ピラゾリドン等)、3−アミノピラゾリン類(例えば、1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−メチルアミノフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−アミノ−m−メチルフェニル)−3−アミノピラゾリン等)及びフェニレンジアミン類(例えば、4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メトキシエチルアニリン等)等を添加することができる。
【0054】
また更に、補助現像主薬としてアミノフェノール類を用いても硬調な画像を得ることができる。アミノフェノール類現像主薬としては、例えば4−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−(N−メチル)アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン、N−(2′−ヒドロキシエチル)−2−アミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−4−アミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−4−(N−メチル)アミノフェノールやこれらの化合物の塩酸塩や硫酸塩等を挙げることができる。
【0055】
これらの化合物添加量は現像液1リットル当たり0.2〜40gが好ましく、より好ましくは0.5〜25gである。
【0056】
本発明の画像形成方法における現像液には保恒剤として特開平6−13859号に記載の亜硫酸塩の他、有機還元剤を用いることができる。本発明のレダクトン類を現像主薬として用いる現像液では亜硫酸塩の濃度は現像液1リットル当たり0.05〜0.30モルが好ましい。亜硫酸塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、メタ重亜硫酸塩としてはナトリウム塩、カリウム塩が使用できる。
【0057】
現像液にはアミン化合物を添加することもでき、米国特許4,269,929号記載の化合物が特に好ましい。さらに緩衝剤を用いることが必要で、緩衝剤としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ酸)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができが、好ましくは炭酸塩である。
【0058】
その他、特開平6−138591号に記載のキレート剤や生分解剤を用いることができる。
【0059】
本発明のレダクトン類を用いる現像液には炭酸塩を用いることが好ましい。炭酸塩の添加量としては、現像液1リットル当たり0.3モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5モル以上である。
【0060】
また現像促進剤としては、例えばチオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドラジン類、イオン型化合物、メソイオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて添加することができる。
【0061】
カブリ防止剤としては臭化カリウムや有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンゾイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンゾイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンゾイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物が挙げられ、代表的な有機カブリ防止剤としてはメルカプト基含有化合物、特開平7−114153号に記載の一般式〔I〕、〔II〕、〔III〕、〔IV〕で表される化合物も用いることができるが、一般式〔I−α〕を用いることが好ましい。
【0062】
さらに、必要に応じてメチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、シクロデキストリン化合物、その他特公昭47−33378号、同44−9509号記載の化合物を現像主薬の溶解度を上げるための有機溶剤として使用することができる。さらに、ステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等各種添加剤を用いることができる。
【0063】
また、現像硬膜剤としてグルタルアルデヒドやその亜硫酸塩付加物、または硫酸塩等を用いることができる。さらに銀スラッジ防止剤として特開平5−289255号、同6−308680号記載の一般式〔4−a〕、〔4−b〕で表される化合物を用いることができる。
【0064】
処理に先立ち、スターターを添加することも好ましく、スターターを固形化して添加することも好ましい。スターターとしてはポリカルボン酸化合物の如き有機酸の他にKBrの如きアルカリ金属のハロゲン化物や有機抑制剤、現像促進剤が用いられる。
【0065】
現像液の処理温度は、好ましくは25〜50℃で、より好ましくは30〜40℃である。現像時間は5〜25秒であり、より好ましくは5〜15秒である。本発明に於ける全処理時間はDry to Dryで90〜30秒であることが好ましい。ここで言う全処理時間Dry to Dryとは処理される感光材料が現像液に浸された瞬間から現像、定着、水洗及び乾燥工程を経て排出されるまでの全処理時間をいう。
【0066】
処理剤液補充量としては、感光材料1m2当たり現像補充液は65〜520mlが好ましく、より好ましくは65〜520mlである。定着補充液は感光材料1m2当たり65〜910mlが好ましく、より好ましくは65〜390mlである。特に好ましくはるは現像液及び定着が感光材料1m2当たり65〜390mlである。
【0067】
処理液補充量の低減は、廃液処理負荷の軽減に有効であり、環境適性上望まれていることであり、上記好ましい範囲が望まれる。
【0068】
現像処理槽の開口比率は現像液の空気酸化耐性、水の蒸発による濃縮化を軽減するために0.03以下が好ましく、より好ましくは0.02以下である。定着槽の開口比率も0.04以下が好ましい。
【0069】
現像液のpHは、レダクトン類の安定性を得るために9.0〜10.5が好ましく、さらに好ましくは9.0〜10.2である。
【0070】
更に、処理条件が、l0.75×t=20〜40で表されローラー搬送型自動現像機で処理することが好ましい。
【0071】
式中、0.7<l<4.0で、lはフィルム挿入口第1ローラーの芯からフィルム乾燥口の最終ローラーの芯迄の搬送経路の長さ(単位=m)を表し、tは上記lを通過するのに要する時間(単位=秒)を表す。
【0072】
次に、本発明の画像形成方法に好ましく用いられる固体処理剤について説明する。
【0073】
本発明の画像形成方法において、現像液及び定着液を希釈調液する剤は濃縮液キットであれば1液が好ましく、更に好ましくは固体処理剤である。固体処理剤は従来液剤キットよりスペース、重量を大幅に軽減できるうえで有用である。
【0074】
本発明でいう固体処理剤とは、粉末処理剤や錠剤、丸薬、顆粒の如き固体処理剤などであり、必要に応じ防湿加工を施したものである。
【0075】
本発明でいう粉末とは、微粒結晶の集合体をいう。また、顆粒とは粉末に造粒工程を加えたもので、粒径50〜5000μmの粒状物のことをいう。本発明でいう錠剤とは、粉末又は顆粒を一定の形状に圧縮成型したものをいう。
【0076】
写真処理剤を固体化するには、濃厚液又は微粉ないし粒状写真処理剤と水溶性結着剤を混練し成型するか、仮成型した写真処理剤の表面に水溶性結着剤を噴霧したりすることで被覆層を形成する等、任意の手段が採用できる(特開平4−29136号、同4−85535号、同4−85536号、同4−85533号、同4−85534号、同4−172341号参照)。
【0077】
好ましい錠剤の製造法としては粉末状の固体処理剤を造粒した後打錠工程を経て形成する方法である。単に固体処理剤成分を混合し打錠工程により形成された固体処理剤より溶解性や保存性が改良され結果として写真性能も安定になるという利点がある。
【0078】
錠剤形成のための造粒方法は転動造粒、押し出し造粒、圧縮造粒、解砕造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒等公知の方法を用いることが出来る。錠剤形成のためには、得られた造粒物の平均粒径は造粒物を混合し、加圧圧縮する際、成分の不均一化、いわゆる偏析が起こりにくいという点で、100〜800μmのものを用いることが好ましく、より好ましくは200〜750μmである。
【0079】
更に粒度分布は造粒物粒子の60%以上が±100〜150μmの偏差内にあるものが好ましい。次に得られた造粒物を加圧圧縮する際には公知の圧縮機、例えば油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、プリケッティングマシンを用いることが出来る。加圧圧縮されて得られる固体処理剤は任意の形状を取ることが可能であるが、生産性、取扱い性の観点から又はユーザーサイドで使用する場合の粉塵の問題からは円筒型、いわゆる錠剤が好ましい。
【0080】
更に好ましくは造粒時、各成分毎に、例えば、アルカリ剤、還元剤、保恒剤等を分別造粒することによって更に上記効果が顕著になる。
【0081】
錠剤処理剤の製造方法は、例えば、特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号、英国特許1213808号等に記載される一般的な方法で製造でき、更に顆粒処理剤は、例えば、特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号及び同3−39739号等に記載される一般的な方法で製造できる。更にまた粉末処理剤は、例えば、特開昭54−133332号、英国特許725,892号、同729,862号及びドイツ特許3,733,861号等に記載されるが如き一般的な方法で製造できる。
【0082】
上記の固体処理剤の嵩密度は、その溶解性の観点と、本発明の目的の効果の点から錠剤である場合1.0g/cm3〜2.5g/cm3が好ましく、1.0g/cm3より大きいと得られる固形物の強度の点で、2.5g/cm3より小さいと得られる固形物の溶解性の点でより好ましい。固体処理剤が顆粒又は粉末である場合嵩密度は0.40〜0.95g/cm3のものが好ましい。
【0083】
本発明に好ましく用いられる固体処理剤は現像剤、定着剤、リンス剤等写真用処理剤に用いられるが、本発明の効果、とりわけ写真性能を安定化させる効果が大きいのは現像剤である。
【0084】
更に、本発明に好ましく用いられる固体処理剤はある処理剤の1部の成分のみ固形化することも本発明の範囲に入るが、好ましくは該処理剤の全成分が固形化されていることである。各成分は別々の固体処理剤として成型され、同一包装されていることが望ましい。また、別々の成分が定期的にくり返し投入される順番に包装されていることも望ましい。
【0085】
本発明において、処理剤は固体処理剤を水に溶解し調製された溶液であることが好ましい。
【0086】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。当然のことながら、本発明は以下に述べる実施例により限定されるものではない。
【0087】
実施例1
(沃化銀微粒子乳剤の調製)
<溶液A1>
オセインゼラチン 100g
KI 8.5g
蒸留水で2000mlにする
<溶液B1>
AgNO3 360g
蒸留水で605mlにする
<溶液C1>
KI 352g
蒸留水で605mlにする
反応容器に溶液A1を加え、40℃に保ち撹拌しながら溶液B1及び溶液C1を同時混合法により30分を要して定速で添加した。添加中のpAgは常法のpAg制御手段で13.5に保った。生成した沃化銀は平均粒径0.06μmのβ−AgIとγ−AgIの混合物であった。この乳剤を沃化銀微粒子乳剤と呼ぶ。
【0088】
(分光増感色素の固体微粒子分散物の調製)
下記、分光増感色素(A)及び(B)を40:60の比率で予め27℃に調温した水に加え、高速撹拌機(ディゾルバー)で3500rpmにて30〜120分間撹拌することによって分光増感色素の固体微粒子状の分散物を得た。このとき増感色素(A)の濃度が2%になるように調製した。
【0089】
【化4】
【0090】
(種乳剤Em−Aの調製)
以下の方法により沃化銀含量2.0モル%の六角平板状種乳剤Em−Aを作製した。
【0091】
<溶液B2>
AgNO3 1190g
蒸留水で3500mlにする
<溶液C2>
KBr 823.2g
KI 23.44g
蒸留水で3500mlにする
<溶液D2>
1.75N KBr水溶液 下記電位制御量
35℃において、特公昭58−58288号に示された混合撹拌機を用いて、溶液A2に溶液B2及び溶液C2の各々64.1mlを同時混合法に2分の時間を要して添加し、核形成を行った。溶液B2及び溶液C2の添加を停止した後、60分の時間を要して溶液A2の温度を60℃に上昇させ、再び溶液B2と溶液C2を同時混合法により各々68.5ml/minの流量で50分間添加した。この間の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を溶液D2を用いて+6mVになるように制御した。添加終了後、3%KOHによってpHを6に合わせ、直ちに脱塩、水洗を行い種乳剤Em−Aとした。このように作成した種乳剤Em−Aはハロゲン化銀粒子の全投影面積の90%以上が最大隣接辺比が1.0〜2.0の六角平板粒子よりなり、六角平板の平均厚さ0.10μm、平均直径(円直径換算)0.4μm、変動係数は25%であることが電子顕微鏡観察により判明した。
【0092】
(乳剤Em−1〜Em−3の調製)
以下の5種類の溶液を用いて表1記載量の沃化銀を含有する平板状沃臭化銀乳剤Em−1〜Em−3を調製した。
【0093】
<溶液B3>
3.50N AgNO3水溶液 1400ml
<溶液C3>
KBr 576g
蒸留水で1976mlにする
<溶液D3>
沃化銀微粒子乳剤 表1記載の沃化銀含有率への調整量
<溶液E3>
1.75 KBr水溶液 下記電位制御量
60℃において、特公昭58−58288号に示された混合撹拌機を用いて、溶液A3、溶液B3及び溶液C3の各々110mlと溶液D3の全量を同時混合法(トリプルジェット法)により添加終了時の流速が添加開始時の流速の2倍になるように40分の時間を要して第1被覆層の添加成長を行った。その後、引き続き溶液B3、及び溶液C3の残り全量をダブルジェット法により添加終了時の流速が添加開始時の流速の1.5倍になるように105分の時間を要して第2被覆層の添加成長を行った。
【0094】
この間の銀電位は溶液E3を用いて+20mVになるように制御した。添加終了後、過剰な塩類を除去するため、以下に示す方法で沈澱脱塩を行った。
【0095】
1.混合終了した反応液を40℃にして、凝集ゼラチン剤を20g/AgBr1モル加え、56wt%酢酸を加えてpHを下げ、静置し、デカンテーションを行う。
【0096】
2.40℃の純水1.8 l/AgBr1モルを加え、10分間撹拌させた後、静置、デカンテーションを行う。
【0097】
3.上記2の工程をもう1回繰り返す。
【0098】
4.後ゼラチン15g/AgBr1モルと炭酸ナトリウム、水を加え、pH6.0にして分散させ、450cc/AgBr1モルに仕上げる。
【0099】
Em−1〜3の粒子約1000個を電子顕微鏡により観察、測定し形状を分析したところ、平均円相当直径1.03μm、粒子厚さ0.15μmの平板状粒子であり変動係数は24%、平均アスペクト比は7.0であった。
【0100】
また、硝酸銀量、臭化カリウム量、沃化銀微粒子乳剤、銀電位を変更してEm−1〜3と同様にして表1,3記載の平均アスペクト比、円相当直径、沃化銀含有率のハロゲン化銀乳剤Em−4〜Em−9を調製した。
【0101】
(晶種乳剤Em−Bの調製)
<溶液A4>
オセインゼラチン 30g
KBr 1.25g
硝酸(0.1N) 150ml
蒸留水で7700mlにする
<溶液B4>
KBr 6g
KI 0.16g
蒸留水で740mlにする
<溶液C4>
KBr 680g
KI 20g
蒸留水で2480mlにする
<溶液D4>
硝酸銀 8.4g
硝酸(0.1N) 32ml
蒸留水で740mlにする
<溶液E4>
硝酸銀 991.6g
硝酸(0.1N) 80ml
蒸留水で2480mlにする
60℃で激しく撹拌した溶液A4に、溶液B4と溶液D4をダブルジェット法により10分間かけて添加した。そして、溶液C4と溶液E4をダブルジェット法により140分間かけて添加した。このとき初期添加流量は最終添加流量の1/8で、時間とともに直線的に増感せしめた。これら液を添加せしめている間は、pH=2、pAg=8に一定に調製した。添加終了後に炭酸ナトリウムでpHを6まで上げ、KBr150gを加えた後に、直ちに脱塩、水洗を行って、平均粒径0.3μmの沃化銀2モル%を含む沃臭化銀の単分散立方晶種乳剤Em−Bを得た。電子顕微鏡観察によれば、双晶の発生率は個数で1%以下であった。
【0102】
(コア/シェル乳剤Em−Cの調製)
以下の5種類の溶液を用いて2.0モル%AgIを含有する正常晶乳剤Em−Cを作成した。
【0103】
<溶液B5>
AgNO3 46.2g
AgNO3と等モル量のアンモニア溶液と蒸留水を加えて259mlにする
<溶液C5>
AgNO3 647.6g
AgNO3と等モル量のアンモニア溶液と蒸留水を加えて1088mlにする
<溶液D5>
KBr 22.6g
KI 13.5g
蒸留水で259mlにする
<溶液E5>
KBr 453.3g
蒸留水で1088mlにする
反応釜内に溶液A5を40℃に保ち、さらにアンモニア水と酢酸を加えpHを9.5に調整した。アンモニア性銀イオン液にてpAgを7.3に調製後、pHとpAgを一定に保ちつつ溶液B5と溶液D5をダブルジェット法で添加し、沃化銀30モル%を含む沃臭化銀層を形成せしめた。酢酸とKBrを用いてpHを9.0、pAgを9.0に調製した後に溶液C5と溶液E5を同時に添加し成長後、粒径の90%にあたるまで成長させた。このときのpHは9.0から8.20まで徐々に下げた。KBr液を加え、pAgを11にした後にさらに溶液C5と溶液E5を加えてpHを徐々に8まで下げながら成長せしめ、沃化銀2モル%の沃臭化銀乳剤を得た。
【0104】
添加終了後、過剰な塩類を除去するため、Em−1と同様の方法で沈澱脱塩を行い、オセインゼラチン92.2gを含むゼラチン水溶液を加え2500mlとして、撹拌再分散し、乳剤Em−Cとした。
【0105】
乳剤Em−Cの粒子約1000個を電子顕微鏡により観察・測定し形状を分析したところ、平均粒子直径0.51μm、分布の広さが12%の単分散球状粒子であった。
【0106】
次に、得られた乳剤Em−Cを以下の方法で分光増感及び化学増感を施した。
【0107】
乳剤を50℃にした後、増感色素(A)が銀1モル当たり40mgになるように、前記固体微粒子分散物を加えた後に、チオシアン酸アンモニウム塩を銀1モル当たり4.0×10-4モル、及び塩化金酸3.2×10-6モルとチオ硫酸ナトリウム3.4×10-5モル添加し、その40分後に、上記沃化銀微粒子乳剤を1.7×10-3モル/Ag1モル添加後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)1.2×10-2モルで安定化した。
【0108】
次に、セレン増感を施して乳剤Em−10、Em−11及びEm−12を表1記載の如く調製した。 即ち、チオシアン酸アンモニウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムとともに下記セレン増感剤を7.0×10-6モル添加した以外は前記増感法と同様にして化学増感を行い、セレン増感した。
【0109】
【化5】
【0110】
(試料の作成)
得られたそれぞれの乳剤に、下記の各種添加剤を加えて乳剤液(感光性ハロゲン化銀塗布液)とした。添加量はハロゲン化銀1モル当たりの量で示す。
【0111】
【0112】
【化6】
【0113】
また保護層に用いた添加剤は次の通りである。添加量はゼラチン1g当たりの量で示す。
【0114】
【0115】
【化7】
【0116】
以上の塗布液を、厚さ175μmの下引き処理済のブルーに着色したポリエチレンテレフタレートフィルムベース上に乳剤層と保護層1層を両面に均一に塗布、乾燥して表1記載の試料を作成した。尚、ハロゲン化銀乳剤層の銀付量は片面当たりいずれも2.20g/m2とした。
【0117】
(処理剤の調製)
現像錠剤α(ハイドロキノン現像主薬)の調製
造粒物(A)の調製
現像主薬のハイドロキノン3000g、ホウ酸2000g、亜硫酸ナトリウム5000gをそれぞれ市販のバンダムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉にジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム(DTPA・5Na)300g、フェニドン500g、N−アセチル−D,L−ペニシラミン10g、5−ニトロベンゾトリアゾール10g、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール1.5g、結合剤マンニトール1000gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約10分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で55℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0118】
造粒物(B)の調製
炭酸カリウム11000g、重炭酸ナトリウム2000g、沃化カリウム表3記載量、グルタルアルデヒド重亜硫酸ナトリウム1000gをそれぞれ市販のバンタムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉に結合剤マンニトール1000gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約15分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で55℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0119】
固体現像剤の調製
このようにして得られた造粒物(A)と(B)に1−オクタンスルホン酸ナトリウム100gを加え25℃、RH40%以下に調湿された部屋で混合機を用いて10分間均一に混合した後、得られた混合物を菊水製作所製のタイプレストコレクト1527HUを改造した打錠機により1錠当たりの充填量を10gにして圧縮打錠を行い、1800個のハイドロキノン系現像剤を作成した。
【0120】
現像錠剤β(本発明のレダクトン類を含む現像錠剤)の調製
造粒物(A)の調製
フェニドン500g、N−アセチル−D,L−ペニシラミン10g、グルタルアルデヒド重亜硫酸ナトリウム1000gをそれぞれ市販のバンタムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉にDTPA・5Na300g、ジメゾンS300g、エリソルビン酸ナトリウム(本発明のレダクトン類化合物)4000g、メタ重亜硫酸ナトリウム1000g、結合剤ソルビトール500gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約10分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で40℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0121】
造粒物(B)の調製
炭酸カリウム10300gをそれぞれ市販のバンタムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉に結合剤マンニトール2000g、ソルビトール600g、表1記載の沃素イオン濃度になる量の沃化カリウム、3−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム40gと5−メルカプト−(1H)−テトラゾリル酢酸Na7gを加えミル中で30分間混合して市販の撹拌造粒機中で室温にて約15分間、30mlの水を添加することにより造粒した後、造粒物を流動層乾燥機で55℃にて2時間乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0122】
固体現像剤の調製
このようにして得られた造粒物(A)と(B)各々に1−オクタンスルホン酸ナトリウム60g、160gを加え、さらに、造粒物(B)にはメチル−β−シクロデキストリン250gを加え25℃、RH40%以下に調湿された部屋で混合機を用いて各の造粒混合物を10分間均一に混合した後、得られた混合物を菊水製作所製のタイプレストコレクト1527HUを改造した打錠機により1錠当たりの充填量を10gにして圧縮打錠を行い、造粒物(A)からの錠剤Aを650個、造粒物(B)からの錠剤Bを1300個のレダクトン類を含む本発明の現像錠剤を作製した。
【0123】
なお、それぞれの現像錠剤は防湿のためアルミニウムを含有したピロー袋に錠剤Aを17個、錠剤Bを30個を封入包装した。
【0124】
次に以下の操作で固体定着剤を作成した。
【0125】
造粒物(A)の調製
チオ硫酸アンモニウム/チオ硫酸ナトリウム(90/10重量比)15000g、β−アラニン1500g、酢酸ナトリウム3000gをそれぞれ市販のバンダムミル中で平均粒径10μmになるまで粉砕する。この微粉に亜硫酸ナトリウム100g、Na2S2O5を1000g、結合剤パインフロー〔松谷化学工業(株)製〕1000gを加え水添加量を50mlにして撹拌造粒を行い、造粒物を流動層乾燥機で40℃にて乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0126】
造粒物(B)の調製
ホウ酸700g、硫酸アルミニウム1500g、琥珀酸1200gを(A)と同様に粉砕する。この微粉に酒石酸300g、結合剤マンニトール〔花王(株)製〕300g、ソルビトール100g、PEG♯4000(ポリエチレングリコール分子量4000)150gを加え水添加量を30mlにして撹拌造粒を行い、造粒物を流動層乾燥機で40℃にて乾燥して造粒物の水分をほぼ完全に除去する。
【0127】
固体定着剤の調製
このようにして得られた造粒物(A)と(B)の各々に1−オクタンスルホン酸ナトリウム320g、40gを加え25℃、RH40%以下に調湿された部屋で混合機を用いて各の造粒混合物を10分間均一に混合した後、得られた混合物を菊水製作所製のタイプレストコレクト1527HUを改造した打錠機により1錠当たりの充填量を10gにして圧縮打錠を行い、造粒物(A)から錠剤Aを2000個、造粒物(B)から錠剤Bを400個の固体定着剤を調製した。
【0128】
スタート時の現像タンク内の現像液は現像錠剤αであれば水1リットル当たり18個、βであればピロー包装分(A剤17個、B剤30個)を水3.3リットル、即ち1リットル当たり9.09個の比率で調製した現像液7.8リットルを自動現像機SRX−201の現像槽に入れ、下記のスターターを加えてスタート液として現像槽を満たし、処理を行った。
【0129】
スターター添加量は40ml/1リットルとした。また、自動現像機SRX−101の場合は、現像処理槽に現像液3.9リットルを満たして処理を開始させ、同様にスターターを添加した。
【0130】
現像液スターター組成
KBr 3.5g
HO(CH2)2S(CH2)2S(CH2)2OH 0.05g
N−アセチル−D,Lペニシラミン 0.10g
CH3N(CH2CH2CH2NHCONHCH2CH2SC2H5)2 0.05g
メタ重亜硫酸ナトリウム 開始液pHになる量
水で仕上げ 40ml
定着剤はピロー包装分(A剤55個、B剤11個)を3.3リットルの水で溶解して調製した。この比率で調製した定着液5.6リットルを自動現像機SRX−201の定着処理タンクに入れスタート液とした。SRX−101の場合は1.9リットルを定着処理槽に満たした。
【0131】
現像、定着ともに各々の固体処理剤の投入口にそれぞれの包装袋を手で開封したものをセットし内蔵ケミカルミキサーに錠剤を落とすと同時に温水(25〜30℃)を注水し、撹拌溶解しながら溶解時間を25分で3.3リットルに調液する、これを現像補充液、定着補充液として用いた。現像補充液のpHはハイドロキノン系のαが10.55で本発明のレダクトン類を含む現像液のβは10.10であった。定着液のpHは4.70であった。
【0132】
内蔵ケミカルミキサーは調液槽と予備タンク槽に分れており、調液槽容量は3.3リットル、予備タンク容量も3.3リットルであり、フィルムをランニング処理中に調液槽で作成された補充液が無くなっても、また撹拌溶解時間(約25分)中に無補充状態にならないように補充液が供給されるように予備タンクを設けた。
【0133】
スターターを添加したときの現像液のpHは現像錠剤αを使用したものが10.40、現像錠剤βを使用したものが9.90であった。
【0134】
上記の固体処理剤ではなく、下記の濃縮液キットから作成した現像液γも同様に上記スターターを添加し、開始液(開始pH9.90)とし、ランニング処理を行った。
【0135】
自動現像機はSRX−201を現像温度34℃、定着温度34℃、乾燥温度55℃で表1記載の処理条件(補充量、処理時間)で処理できるように改造した。
【0136】
SRX−101の場合も、現像温度34℃、定着温度34℃で表1記載の処理条件(補充量、処理時間)で処理できるように改造した。
【0137】
【0138】
Bパート
酢酸(90%) 22g
トリエチレングリコール 10g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 3.0g
5−ニトロインダゾール 0.03g
n−アセチル−D,L−ペニシラミン 0.2g
Cパート
グルタルアルデヒド(50%) 7.0g
重亜硫酸ナトリウム 8.0g
純水 20ml
上記の現像液Aパート、Bパート、Cパートの各々を現像液として3リットル量に仕上げ、原液用の各一体型ボトルに封入する。自動現像機はケミカルミキサーを内蔵し、一体型ボトルは自動的に原液が調液部に供給され水で所定容量(3l)に仕上げられる。使用液のpHは現像液が9.90にそれぞれKOHと酢酸にて調整される。
【0139】
(ランニング処理変動の評価)
先に調製したフィルムを大角サイズに裁断し、現像処理後の光学濃度が1.0になるように全面均一な露光を施し、ランニング処理を行った。
【0140】
ランニングは1日当たり、SRX−201で50枚、SRX−101で10枚処理を行い、初日(スタート液の状態)とSRX−201で500枚(20日)、1000枚(40日)、1500枚(60日)、SRX−101で100枚(20日)、200枚(40日)、500枚(60日)を処理した後の処理液を用いて、下記のセンシトメトリー試験を行いランニング変動を求めた。
【0141】
(センシトメトリー試験)
得られたフィルム試料をそれぞれ2種の蛍光増感紙、即ち比較用増感紙NR−160(コニカ(株)製)及び本発明のイットリウムタンタルオキサイド蛍光体を主成分とする増感紙ウルトラビジョンファーストディーテルUVFDを挟み、アルミニウムウエッジを介して管電圧80kVp、管電流100mAで0.05秒間X線を照射し、距離法にてセンシトメトリーカーブを作成し、常法により感度、コントラスト求めた。
【0142】
(感度、コントラストの評価)
感度はカブリ+1.0の濃度を与える露光量の逆数で表し、試料No.1の蛍光増感紙NR−160を使用した場合の感度を100とした時の相対感度で示した。
【0143】
また、コントラストは特性曲線において、最低濃度+0.25〜最低濃度+2.0までの傾きを平均グラディエント(G)として表したものである。
【0144】
(鮮鋭性及び粒状性の評価)
感度を評価した各蛍光増感紙/感光材料の組み合わせについて、京都科学製胸部ファントームを120kVp(3mm厚のアルミニウム等価フィルタ装着)のX線源を用い、距離140cmの位置にファントームを置き、その後ろにグリッドレシオ8:1の散乱防止グリッド、その後ろに感光材料と蛍光増感紙を置き撮影を行った。
【0145】
何れの写真も肺野の最も濃度の高い部分が1.8±0.5になるようにX線露光量を露光時間を変えることにより調節した。得られた写真について目視で観察し、粒状性と鮮鋭性を下記の評価基準で評価した。
【0146】
粒状性評価基準
5:全く目立たない
4:殆ど目立たない
3:若干目立つ
2:目立ち読影に若干支障あり
1:非常に目立ち読影に支障あり
鮮鋭性評価基準
5:非常にシャープ
4:良好だが僅かにボケがある
3:僅かにボケがあるが読影に支障はない
2:ボケが目立ち読影に若干支障あり
1:ボケにより読影困難
得られたこれらの結果を表1〜4にまとめて示した。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
【表3】
【0150】
【表4】
【0151】
表1〜4の結果から本発明の構成では、高感度で、高鮮鋭性、高コントラストで、かつ粒状性の良好な画像が得られることがわかる。また前期ランニング処理で良好な写真性能が得られることがわかる。
【0152】
【発明の効果】
本発明により、ハロゲン化銀写真感光材料をイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙を密着してX線露光し、本発明の現像液で処理すると高感度、高鮮鋭性、高コントラスト、かつ粒状性の良好な画像が得られ、また長期ランニング処理時の粒状性、鮮鋭性に優れた画像形成方法が得られた。
Claims (3)
- 支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有し、かつ該乳剤層中のハロゲン化銀粒子が平均アスペクト比2以上で、沃化銀含有率0.5モル%以上であるハロゲン化銀写真感光材料とイットリウムタンタレート系蛍光体を主成分とする蛍光増感紙を密着し、X線露光した後、現像液1リットル当たり沃素イオン0.3〜1.2ミリモルとレダクトン類を含有する現像液で処理し画像を得ることを特徴とする画像形成方法。
- 前記現像液がジヒドロキシベンゼン類を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記現像液が固体現像剤を水に溶解して調製された現像液であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成方法。
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