JP3711918B2 - 自動車用スライドドアのセンタレールカバーの取付け構造 - Google Patents
自動車用スライドドアのセンタレールカバーの取付け構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の側面に形成された凹部と、この凹部に組付けられたセンタレールとを覆う自動車用スライドドアのセンタレールカバーの取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車体側面の乗降口をスライドドアで開閉するワゴン型車等は、車体側面の後部を形成するクォーターパネルに、クォーターウィンドの下縁に沿うように水平方向に延びる凹部を形成し、この凹部内にスライドドアの中間部を支持案内するセンタレールが取付けられている。そして、凹部を覆うようにセンタレールカバーを取付けている。
【0003】
図3は従来の代表的なセンタレールカバーの取付け構造を示す。クォーターウィンドWの開口下縁に沿うクォーターパネルQの上部には水平方向に帯状に延びる凹部1が形成してある。凹部1は上下幅が大きく、その上半部1aはインナパネル11とで閉断面をなし、下半部1bは上半部1aよりも深く形成してあり、下半部1bにはこれに沿って水平方向に延びるセンタレール2が取付けてある。
【0004】
センタレールカバー3は、アウタパネル3aの内面にインナフレーム3bを設けたパネル部材で、インナフレーム3bに設けた複数のクリップ4を凹部1の上半部1aに設けた複数の係止穴10に車外側から嵌入係止することで取付けられている。センタレールカバー3は下端部でセンタレール2を覆い隠し、センタレールカバー3の下縁と凹部1の下縁との間には、図略のセンタレール2内を転動するセンタローラーとスライドドアとを連結するセンタアームを通す間隙が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来構造では、センタレールカバー3は、その下端部でセンタレール2を覆い隠すようにしているので、クリップ止め位置から下縁までの寸法が大きく、センタレールカバー3に手などをつくと下端が内側へ撓み、また叩くと下端にビビリが生じ、剛性感や質感が良くない問題があった。そこで、センタレールカバー3の下端をセンタレール2に結合してセンタレールカバー3の下端を固定することが考えられるが、センタレール2やセンタレールカバー3の建付けのばらつきが生じると結合が困難になる。
【0006】
そこで本発明は、センタレールやセンタレールカバーの建付けのばらつきに影響されることなく、センタレールカバーの下端部の撓みやビビリの発生を防止して、センタレールカバーの剛性感や質感を向上させる自動車用スライドドアのセンタレールカバーの取付け構造を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体の側面に沿って水平方向に形成された凹部と、該凹部内に取付けられてスライドドアを案内するセンタレールとを覆うセンタレールカバーであって、上半部の内面を上記凹部に固定するとともに下端部で上記センタレールを覆い、下端縁と凹部の下縁との間に、スライドドアのセンタアームを挿通せしめる間隙を設けた自動車用スライドドアのセンタレールカバーにおいて、
上記センタレールカバーの下端部の内面に、該内面に固着するブロック状の本体部と、該本体部の上記センタレールと対向する内側面の上端から該内側面との間に間隙を保って延出するリップを備えた弾性材料からなるスペーサーを設置して、該スペーサーのリップを上記センターレールの外側面に圧接せしめる。
【0008】
リップによりセンタレールやセンタレールカバーの建付けのばらつきを効果的に吸収して確実にスペーサーをセンタレールに圧接させることができ、かつセンタレールカバーの下端部の撓みやビビリを抑えることができ、センタレールカバーの剛性感や質感を向上できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1および図2に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、車体の側面後部を形成するクォーターパネルQには、クォーターウィンドWの下縁に沿うように水平方向に延びる凹部1が形成してある。凹部1は図3に示す従来構造と実質的に同一構造で、上下幅が大きく形成してあり、凹部1の下半部1bは上半部1aよりも深い溝状に形成してある。下半部1bの前端は、上半部1aの前端よりも前方へ延出し、車体側面のドア開口の縁の後縁を形成するピラーPの前面側へ回り込んでいる。凹部1の上半部1aには上縁に沿う前端と後端位置、および下縁に沿う前端と中間と後端位置にそれぞれ後述のセンタレールカバー3を取付けるクリップ4用の複数の係止穴10が形成してある。凹部1の後方にはバックドア開口の開口側縁側にセンタレールカバー3の後端を締結する取付け座7が形成してあり、取付け座7には上下位置にネジ穴70が形成してある。
【0010】
図1および図2に示すように、凹部1の下半部1bにはこれに沿ってセンタレール2が取付けてある。センタレール2は全長にわたって同一断面形状の長尺体で、断面ほぼハット形の上壁21と、上壁21の一端に接続する縦壁状の側壁22と、側壁22の下端に接続する底壁23からなり、開口を車外側へ向けて側壁22が凹部1の下半部1bにボルト締めして取付けてある。
【0011】
凹部1およびセンタレール2を覆うセンタレールカバー3は、アウタパネル3aの内側にインナフレーム3bを固着した金属製のパネル部材で構成してある。インナフレーム3bは、アウタパネル3aの上縁および下縁に沿う上下の横フレーム30,31の間を所定の間隔をおいて上下に複数の縦フレーム32,33 34,35でつないである。インナフレーム3bは、車内側へ屈折した上縁フランジをアウタパネル3aの車内側へ屈折した上縁フランジと重ね合わせて溶接するとともに、下縁をアウタパネル3aの下縁と一体にヘミング加工してある。
【0012】
センタレールカバー3のインナフレーム3bには、凹部1の各係止穴10に対応して、前端縦フレーム32の上下位置、各中間縦フレーム33,34の下端位置、および後端縦フレーム35の上端位置にそれぞれクリップ4用の取付け穴36が形成してある。センタレールカバー3の後縁には車体の取付け座7に対応して後方突出する板状の締結片37が設けてあり、締結片37には取付け座7の各ネジ穴70に対応する貫通穴が形成してある。
【0013】
センタレールカバー3の内面には、前端縦フレーム32と中間縦フレーム33との中間位置と、中間縦フレーム33と中間縦フレーム34との中間位置にそれぞれ、センタレール2に当接せしめるゴム等の弾性体からなるスペーサー5が固着してある。
【0014】
スペーサー5には、角型ブロック状の本体部5aの内側面51から延出するリップ5bが一体に形成してある。リップ5bは板状で内側面51の上端から一旦内側へ突出し、屈曲して先端側が内側面51から次第に離れて隙間が広がるように斜め下方へ延びている。本体部5aの下端は、本体部5aの外側面52に沿って下方へ突出する薄肉板状の突出部53が形成してある。
【0015】
スペーサー5は、センタレールカバー3の各縦フレーム32,33,34の中間位置で下部横フレーム31の上縁に形成した切欠き38に合わせ、突出部53を上方より下部横フレーム31の上縁とアウタパネル3aとの間隙に嵌入するとともに、本体部5aの外側面52をアウタパネル3aの内面に直接または両面接着テープを介して接着して取付けてある。
【0016】
センタレールカバー3は、車体の凹部1にその車外側からこれを覆うように配し、インナフレーム3bの取付け穴36に設けた各クリップ4を凹部1の各係止穴10に嵌入するとともに、センタレールカバー3後端の締結片37を取付け座7にボルト締めして固定する。各スペーサー5は、センタレールカバー3を固定したときにセンタレール2の上壁21の車外側の側面部24と対応する高さ位置でセンタレールカバー3に取付けてあり、かつリップ5bを含むスペーサー5の厚さ(車内外方向の幅)は、上記側面部24とセンタレールカバー3との隙間幅よりも大きく形成してあり、センタレールカバー3を固定すると、リップ5bは撓んでセンタレール2の側面部24に圧接する。センタレールカバー3の下縁と凹部1の下縁間には、センタレール2内を転動移動する図略のセンタローラーとスライドドアとを連結するセンタアームを通す間隙がある。
【0017】
本実施形態によれば、センタレールカバー3は下端部を弾性体のスペーサー5を介してセンタレール2に圧接せしめたので、センタレールカバー3の下端部はスペーサー5を介してセンタレール2で支えられ、センタレールカバー3に手などをついても下端部の撓みが抑えられ、叩いたときの下端部のビビリも抑制されるので、センタレールカバー3の剛性感や質感を向上することができる。
【0018】
スペーサー5は、そのリップ5bを撓ませてセンタレール2に圧接せしめるようにしたので、センタレール2やセンタレールカバー3に建付けのばらつきが生じても、リップ5bの撓みによりばらつきを吸収してセンタレールカバー3をセンタレール2に確実に圧接することができる。また、リップ5bの撓みによりセンタレールカバー3の下端部のビビリをより効果的に抑制できる。
【0019】
上述の実施形態ではリップ5bを備えたスペーサー5を用いたが、リップ5bを有しない弾性体のスペーサーを用いてもよく、該スペーサーの弾性でセンタレールやセンタレールカバーの建付けのばらつきを吸収することができる。しかしながら、リップほどにはばらつきの吸収性はないから、スペーサー自体の厚さを厚くしすぎると、センタレールカバーを固定したときに、その下端部にセンタレールから過度の反力が作用し、厚さを薄くしすぎると、センタレールに対する圧接力が不充分となり、厚さの設定がむずかしい。その点、リップを有するスペーサーは有利である。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、センタレールカバーを、その建付けのばらつきやセンタレールの建付けのばらつきに影響されることなく、センタレールカバーの下端部の撓みやビビリの発生を効果的に防止して、剛性感や質感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンタレールカバーの取付け構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う取付け状態の断面図である。
【図3】従来のセンタレールカバーの取付け構造の断面図である。
【符号の説明】
Q 車体の側面(クォーターパネル)
1 凹部
2 センタレール
3 センタレールカバー
5 スペーサー
51 内側面
5b リップ
Claims (1)
- 車体の側面に沿って水平方向に形成された凹部と、該凹部内に取付けられてスライドドアを案内するセンタレールとを覆うセンタレールカバーであって、上半部の内面を上記凹部に固定するとともに下端部で上記センタレールを覆い、下端縁と凹部の下縁との間に、スライドドアのセンタアームを挿通せしめる間隙を設けた自動車用スライドドアのセンタレールカバーにおいて、
上記センタレールカバーの下端部の内面に、該内面に固着するブロック状の本体部と、該本体部の上記センタレールと対向する内側面の上端から該内側面との間に間隙を保って延出するリップを備えた弾性材料からなるスペーサーを設置して、該スペーサーのリップを上記センターレールの外側面に圧接せしめたことを特徴とする自動車用スライドドアのセンタレールカバーの取付け構造。
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