JP3709664B2 - 結晶軸の傾き角度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶軸の傾き角度測定方法に係り、特に、シリコン等の単結晶材料の結晶軸の傾き角度を測定する結晶軸の傾き角度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC等の半導体素子の原料となるシリコン等のウェーハをインゴットからウェーハにスライスする場合、そのスライスされたウェーハが所定の結晶方位となるように、インゴット軸を所定角度傾けてスライスしている。
しかし、図1(a)〜(c)に示すように、インゴットのインゴット軸は、必ずしも結晶軸とは一致していない。そこで、ウェーハのスライスに先立って、インゴット軸に対する結晶軸の方位を知る必要がある。
【0003】
このインゴット軸に対する結晶軸の方位は、インゴット軸に対する結晶軸の最大傾き角度ZM と傾き方向θM で表されるが、一般には、インゴットに形成されたオリフラに平行なX方向の傾き角度αと、オリフラに垂直なY方向の傾き角度βをX線方位測定器で測定し、そのα、βから最大傾き角度ZM と傾き方向θM を計算する。
【0004】
まず、このインゴット軸に対する結晶軸の傾き角度を測定するX線方位測定器の構成について説明する。
図2は、X線方位測定器の構成をダイヤグラムで示したものである。同図に示すように、X線発生器Tから出たX線はスリットSを通り、点Pで試料Qに当たり、反射してX線検出器Gに入りメータMを振らせる。図3に示すように、試料Qの測定すべき結晶軸に対応するブラッグ角θは、あらかじめ分かっているので、X線検出器Gは2θの位置に固定しておく。試料Qは、図示しない支持台B上に載置されており、該支持台Bは、前記試料Qの表面に含まれる縦軸Pを軸として回転することができるように構成されている。
【0005】
いま、試料Qを回転していくと、ある位置でブラッグ反射が生じたことがメータMの振れで分かる。メータMの振れが最大になったとき、結晶面は2θの2等分線、つまり、θの方向に平行となる。
図4に示すように、切断面が測定すべき結晶面に完全に一致している試料(標準サンプル)Qがブラッグ反射をおこし、メータMの振れが最大のときの目盛板Dの位置を0度としておけば、試料Qのインゴット軸に対する結晶軸の傾きδは目盛上で直読できる。
【0006】
このX線方位測定器を用いた従来のインゴット軸に対する結晶軸の傾き角度の測定方法は、次の通りである。
1.X方向の傾き角度αの測定
まず、図5(a)、(b)に示すように、X線方位測定器のθ、2θを測定するインゴットInの結晶軸に対応するブラッグ角に合わせる。 (1-1)
次に、入射X線がシードエンド面に照射され、X線検出器が反射X線を検知するようにインゴットInを支持台Bに載置する。そして、図6(a)に示すように、インゴットInのオリフラ面OFを支持台Bの底面に密着させるとともに、インゴットInの外周を支持台Bの側面に密着するようにしてインゴットInを支持台B上にセットする(図5(a)参照)。なお、この際、支持台Bの底面は入射X線と反射X線がつくる平面に平行に、また、側面は角度目盛が0度のとき図5(a)のAA' に直角になるようにセットする。 (1-2)
次に、X線方位測定器に備えられた図示しない手動ハンドルを回し、インゴットInを反時計回り又は時計回りに回転する。そして、正しい結晶面が、図5(a)のAA' に平行になり、メータMの指針が最大に振れた位置で回転を止める。 (1-3)
回転を止めたときの角度目盛の角度をX0 とする。そして、このとき、角度目盛が+ならば+X0 、−ならば−X0 とする。 (1-4)
次に、図6(b)に示すように、インゴットInのオリフラ面OFを上にして、そのオリフラ面OFを支持台Bの側面に対して直角にするとともに、インゴットInの外周を側面に密着してインゴットInを支持台B上にセットする(図5(b)参照)。 (1-5)
上記 (1-3)の操作を繰り返し、インゴットInの回転を止めたときの角度目盛の角度をX180 とする。なお、X180 の+、−の付け方は上記 (1-4)と同じである。 (1-6)
測定した、X0 、X180 から、次式
【0007】
【数1】
α=(X0 −X180 )/2
を用いて、X方向の傾き角度αを求める。(1-7)
2.Y方向の傾き角度βの測定
図6(c)に示すように、オリフラ面OFを支持台Bの右側側面に、外周を底面に密着してインゴットInをセットする。(2-1)
上記 (1-3)の操作を行い、インゴットInの回転を止めたときの角度目盛の角度をY90とする。なお、Y90の+、−の付け方は上記 (1-4)と同じである。(2-2)
次に、図6(d)に示すように、オリフラ面OFを左側側面に、外周を底面に密着してインゴットInをセットする。 (2-3)
上記 (1-3)の操作を繰り返し、インゴットInの回転を止めたときの角度目盛の角度をY270 とする。なお、Y270 の+、−の付け方は上記 (1-3)と同じである。(2-4)
測定した、Y90、Y270 から、次式
【0008】
【数2】
β=(Y90−Y270 )/2
を用いて、Y方向の傾き角度βを求める。 (2-5)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の測定方法では、X方向の傾き角度αとY方向の傾き角度βを得るために、各方向で2回ずつ計4回の測定を行っている。これは、オリフラOFを下(右)にしたときの測定値X0 (Y90)と、オリフラOFを上(左)にしたときの測定値X180 (Y270 )が一致しないためであり、この差を消去するために、各方向で2回の測定を行い、平均値を求めることによって、正しい値を得ている。
【0010】
しかしながら、上記のように計4回の測定を行うことは、きわめて手間のかかる作業である。特に、長いインゴットや直径の大きいインゴットにおいては、インゴットの回転等に多大な労力を要し、時間のかかる作業であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、結晶軸の傾き角度を簡単に測定することができる結晶軸の傾き角度測定方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、前記目的を達成するために、インゴットに形成されたオリフラに平行な方向をX方向、オリフラに垂直な方向をY方向としたときの、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、X線方位測定器を用いて、前記オリフラを一方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X0 と、オリフラを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定し、その測定結果X0 、X180 と前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、インゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度αとY方向の傾き角度βとを次式
【0012】
【数3】
で算出して取得することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、オリフラを一方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X0 と、オリフラを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定すれば、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αとY方向の傾き角度βとを計算によって取得することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る結晶軸の傾き角度測定方法の好ましい実施の形態について詳説する。
まず、上述した従来技術において、インゴットInのオリフラOFを下にしたときの測定値X0 と、オリフラOFを上にしたときの測定値X180 が一致しない原因について考察する。
【0015】
図7の実線は、Y方向の傾き角度β=0の場合、X方向の傾き角度を測定するときの入射X線X0 、反射X線XR0及びブラッグ角θの関係を示している。このときの結晶面をP0 とすれば、入射X線X0 及び反射X線XR0は結晶面P0 に垂直な回析平面S0 上にある。そして、入射X線X0 が結晶面P0 上のBに入射し、入射X線X0 の結晶面P0 への入射角∠ABC(入射X線X0 上のAからの結晶面P0 への垂線をACとする。)がブラッグ角θに等しいときブラッグ反射が起きる。
【0016】
図7の破線は、Y方向の傾き角度β≠0の場合、X方向の傾き角度を測定するときの入射X線X0 、反射X線XR1及びブラッグ角θの関係を示している。このときの結晶面をP1 とすれば、入射X線X0 及び反射X線XR1は結晶面P1 に垂直な回析平面S1 上にある。そして、入射X線X0 が結晶面P1 上のBに入射し、入射X線X0 の結晶面P1 への入射角∠ABD(入射X線X0 上のAからの結晶面P1 への垂線をADとする。)がブラッグ角θに等しいときブラッグ反射が起きる。
【0017】
いま、Y方向の傾き角度β≠0の場合(図7の破線)において、ブラッグ反射が生じたときの入射X線X0 と結晶面P0 とのなす角∠ABCをθ0 とする。このθ0 は、前述したβ=0のときの入射X線X0 と結晶面P0 とのなす角∠ABC=θとは異なり、それよりも大きい値若しくは小さい値となる。そして、このθ0 とθとの相違が、インゴットInのオリフラOFを下にしたときの測定値X0 と、上にしたときの測定値X180 が相違する原因となる。
【0018】
すなわち、Y方向の傾き角度がゼロであるならば、正しいブラッグ角θでブラッグ反射が起こるところ、Y方向に傾き角度βがあることにより、見掛けのブラッグ角度θ0 でブラッグ反射が起きる。この結果、インゴットInのオリフラOFを下にしたときの測定値X0 と、上にしたときの測定値X180 が相違する。
いま、θ0 とθとの差をΔθ(Δθ=θ0 −θ)とすれば、この差Δθが、インゴットInのオリフラOFを下にしたときの測定値X0 と、上にしたときの測定値X180 に反映されてくる。すなわち、正しいX方向の傾き角度をXとすれば、測定値X0 、X180 は、それぞれ、X0 =α+Δθ、X180 =−(α−Δθ)(又は、X0 =α−Δθ、X180 =−(α+Δθ))となり、結果的に、二つの測定値X0 、X180 の平均値α=(X0 −X180 )/2を求めれば、正しい値αが得られる。
【0019】
ここで、θとθ0 、及び、X0 とX180 との関係を求めると、
【0020】
【数4】
Δθ=θ0 −θ=(X0 +X180 )/2 … (1)
となる。
一方、結晶面P1 で入射X線X0 がブラッグ反射を起こしたときの入射X線X0 と結晶面P0 とのなす角θ0 (θ0 =∠ABC)は、次のようにして求めることができる。
【0021】
図7に示すように、反射X線XR1上の点A' から結晶面P0 への垂線をA' C' 、結晶面P1 への垂線をA' D' とすれば、反射X線XR1の結晶面P1 からの反射角∠A' BD' =θ、結晶面P0 とのなす角∠A' BC' =θ0 である。
【0022】
【数5】
△ADCにおいて、
cosβ=AD/AC
∴ AD=ACcosβ … (2)
△ABDにおいて、
sinθ=AD/AB
であり、上式(2) から
【0023】
【数6】
sinθ=(ACcosβ)/AB
∴ sinθ=(AC/AB)・cosβ … (3)
となる。
△ABCにおいて、
sinθ0 =AC/AB
であるから、上式(3) より、
【0024】
【数7】
sinθ=sinθ0 ・cosβ
∴ sinθ0 =sinθ/cosβ … (4)
となる。
公式
【0025】
【数8】
cosβ=1/(1+tan2 β)1/2
を上式(4) に代入すると、
【0026】
【数9】
sinθ0 =sinθ・(1+tan2 β)1/2
∴ θ0 =sin-1{sinθ・(1+tan2 β)1/2 } … (5)
となる。
上記のようにして算出したθ0 を式(1) に代入すると、
【0027】
【数10】
Δθ=θ0 −θ … (1)
であるから、
【0028】
【数11】
θ0 −θ=sin-1{sinθ・(1+tan2 β)1/2 }−θ
となる。
一方、上式(1) から、
【0029】
【数12】
θ0 −θ=(X0 +X180 )/2 … (1)
であるから、
【0030】
【数13】
sin -1{sin θ・(1+ tan 2 β)1/2 }−θ=(X0 +X180 )/2
となる。この式を展開すると、
【0031】
【数14】
となる。
【0032】
求められた式(6) より分かることは、X方向の傾き角度がゼロ(α=0)のとき、Y方向の傾き角度βは、インゴットInのオリフラOFを下にしたときの測定値X0 と、上にしたときの測定値X180 が求まれば、式(6) により計算で求めることができるということである。
したがって、Y方向の測定を行わなくても、X方向の測定のみ、すなわち、インゴットInのオリフラOFを下にしたときと、上にしたときの測定のみを行えば、α、βを取得することができる。
【0033】
これにより、従来行われていた、計4回の測定を2回の測定のみで済ませることができ、インゴット軸に対する結晶軸の傾き角度を簡易、迅速に求めることができる。
ところで、上述した方法は、結晶面のX方向の傾き角度がゼロ(α=0)の場合における、Y方向の傾き角度βの取得方法であるが、結晶面がX方向にもY方向にも傾いている場合(α≠0、β≠0)は、次のようにしてα、βを取得する。
【0034】
図8において、面OABCを結晶の切断面PC とする。Y方向の結晶面の傾き角度β=0°で、X方向の傾き角度αの結晶面をP0 とする。
入射X線X0 と反射X線XR0は、共に結晶面P0 に垂直な回折平面S0 上にある。そして、結晶面P0 上の点Rに入射した入射X線X0 は、その入射角が結晶軸P0 に対応するX線方位測定器に設定したブラッグ角θに等しいときにブラッグ反射が起こる。
【0035】
しかし、結晶面P0 のY方向の傾き角度β≠0°の場合は、図9に示すように、入射X線X0 は、結晶軸に対応するX線方位測定器に設定したブラッグ角θと異なる見掛けのブラッグ角θ0 に等しいときにブラッグ反射が起こる。
図9において、面OABCを結晶の切断面PC とし、面ODECをY方向の傾き角度βの結晶面とする。そして、面ODFGをX方向の傾き角度α、Y方向の傾き角度βの反射面P0 とする。このとき、入射X線X0 は、結晶面P0 上の点Rに入射する。
【0036】
入射X線X0 上の点Pから切断面PC への垂線をPO、結晶面P0 上の直線ORへの垂線をPQ、結晶面P0 への垂線をPVとする。
入射X線X0 と反射X線XR1は、共に結晶面P0 に垂直な回折平面S1 (面PVV' P' )上にあり、入射X線X0 の入射角∠PRVが結晶軸に対応するブラッグ角に等しいときにブラッグ反射が起こる。
【0037】
このときの見掛けのブラッグ角θ0 (∠PRO)と、正しいブラッグ角θとの関係は、次の通りである。
【0038】
【数15】
△PVR(∠PVR=90°)において、
PV=PRsinθ … (7)
△PQR(∠PQR=90°)において、
PQ=PRsinθ0 … (8)
△PQO(∠PQO=90°)において、∠OPQ=∠GOC=αから、
PQ=POcosα … (9)
であり、上式(8) 、(9) から、
【0039】
【数16】
PQ=PRsinθ0 =POcosα
∴ PO=PRsinθ0 /cosα … (10)
である。
△POVにおいて、∠OPVは、切断面PC の法線POと反射面P0 の法線PVとのなす角であるから、切断面PC と反射面P0 とのなす最大傾き角度∠FOB=ZM に等しい。したがって、
【0040】
【数17】
PO=PV/cosZM … (11)
である。
上式(10)、(11)から、
【0041】
【数18】
PO=PRsinθ0 /cosα=PV/cosZM
∴ PV=PRsinθ0 ・cosZM /cosα … (12)
であり、上式(7) 、(12)から、
【0042】
【数19】
PV=PRsinθ=PRsinθ0 ・cosZM /cosα
∴ sinθ0 =sinθ・cosα/cosZM … (13)
である。
ここで、公式
【0043】
【数20】
cosZM =1/(1+tan2 ZM )1/2
に、
【0044】
【数21】
tan2 ZM =tan2 α+tan2 β
を代入すれば、
【0045】
【数22】
cosZM =1/(1+tan2 α+tan2 β)1/2 … (14)
となり、上式(13)、(14)から、
【0046】
【数23】
sin θ0 = sinθ・cos α(1+tan2α+tan2β)1/2 … (15)
となる。
一方、
【0047】
【数24】
θ0 −θ=(X0 +X180 )/2
であるから、
【0048】
【数25】
θ0 −θ=sin -1{sin θ・cos α(1+ tan2α+ tan2β)1/2}−θ
∴
sin -1{sin θ・cos α(1+ tan2α+ tan2β)1/2}−θ= (X0+X180)/2
となる。この式を展開すると、
【0049】
【数26】
となる。
【0050】
求められた式(16)より、インゴット軸が結晶軸に対してX、Y方向に傾きを有している場合(α≠0、β≠0の場合)であっても、Y方向の傾き角度βは、インゴットInのオリフラOFを下にしたときの測定値X0 と、上にしたときの測定値X180 が求まれば、式(16)により計算で求めることができる。
したがって、前記同様に、Y方向の測定を行わなくても、X方向の測定のみを行えば、インゴット軸に対する結晶軸の傾き角度を求めることができる。
【0051】
なお、上式(16)において、α=0とすれば、
【0052】
【数27】
となり、上式(6) と一致する。
【0053】
また、上式(16)において、(X0 +X180 )/2=0のとき、すなわち、X0 =X180 のときは、
【0054】
【数28】
となる。
【0055】
上式(17)に、公式 cosα=1/(1+tan2α)1/2 を代入すれば、
【0056】
【数29】
β=±tan -1{(1+tan2α)−(1+tan2α)}1/2 =0
となり、β=0となる。
このように、本実施の形態によれば、X方向の測定のみを行えば、Y方向の測定を行わずしてα、βを取得することができる。
【0057】
なお、X方向の傾き角度αの取得方法は、前記従来技術の欄で説明した測定方法と同じである。すなわち、インゴットInのオリフラOFを下にしたときと、上にしたときのX方向の傾き角度X0 、X180 をX線方位測定器を用いて測定し、その測定結果X0 、X180 から、次式
【0058】
【数30】
α=(X0 −X180 )/2 … (6)
を用いて算出する。すなわち、前記従来技術の欄で説明した工程(1-1) から工程(2-5) までを行えばよい。
なお、本実施の形態では、インゴット(棒状結晶)のインゴット軸に対する結晶軸の傾き角度を測定する場合について説明したが、ウェーハ(板状結晶)のウェーハ法線に対する結晶軸の傾き角度を測定する場合についても同様に適用することができる。
【0059】
また、本実施の形態では、X方向の傾き角度X0 、X180 を測定することにより、X、Y方向の傾き角度α、βを取得する例で説明したが、Y方向の傾き角度Y90、Y270 を測定することにより、α、βを取得することもできる。この場合のα、βの算出式は、インゴットInのオリフラOFを右側にしたときのY方向の傾き角度をY90、インゴットInのオリフラOFを左側にしたときのY方向の傾き角度をY270 とすれば、
【0060】
【数31】
で算出して取得することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、オリフラ付きインゴットの結晶軸の傾き角度を測定する場合について説明したが、ノッチ付きインゴットの結晶軸の傾き角度を測定する場合についても同様に適用することができる。
この場合、X方向とY方向は、次のように設定する。すなわち、図20に示すように、インゴットInの中心OINと、ノッチNの中心ON (ノッチNの谷部)を通る直線yに平行な方向をY方向とし、その直線yに直交する直線xと平行な方向をX方向とする。
【0062】
測定方法は、上述したオリフラ付きインゴットの場合と同様で、X線方位測定器を用いて、ノッチNを上側にしたとき(図10の状態)のX方向の傾き角度X0 と、ノッチNを下側にしたときのX方向の傾き角度X180 を測定し、その測定結果X0 、X180 から、次式
【0063】
【数32】
で算出してα、βを取得する。
【0064】
なお、上記例は、ノッチ付きインゴットの場合の適用例であるが、ノッチ付きウェーハの結晶軸の傾き角度を測定する場合についても同様に適用することができる。この場合、X方向及びY方向の設定は、ノッチ付きインゴットInの場合と同様である。すなわち、ウェーハの中心と、ノッチNの中心を通る直線に平行な方向をY方向とし、その直線に直交する直線と平行な方向をX方向とする。
【0065】
また、前記オリフラ付きインゴットの場合と同様に、ノッチ付きインゴット又はノッチ付きウェーハの場合も、Y方向の傾き角度Y90、Y270 を測定することにより、α、βを取得することができる。
また、本実施の形態では、X方向傾き角度X0 、X180 を測定するにあたって、まず、インゴットInのオリフラOFを下にしたときの傾き角度X0 を測定し、次いで、インゴットInを180度回転させて、インゴットInのオリフラOFを上にしたときの傾き角度X180 を測定しているが、次の方法によれば、ウェーハを180度回転させるという作業を省くことができる。
【0066】
すなわち、本実施の形態では、図5(a)及び図5(b)に示すように、X線は、X線発生器Tから出て、インゴットInのシードエンドに当たり、反射してX線検出器Gに入るように構成されているが、X線発生側とX線検出側を切り換えることができるように構成する。
より具体的には、図11に示すように、X線発生器とX線検出器とが一体となった装置C1 、C2 を用いて、装置C1 のX線発生器から照射されたX線を装置C2 のX線検出器で検出し、装置C2 のX線発生器から照射されたX線を装置C1 のX線検出器で検出するように構成する。そして、測定は、まず、装置C1 をX線発生側、装置C2 をX線検出側として利用して測定し、次いで、装置C2 をX線発生側、装置C1 をX線検出側として利用して測定する。
【0067】
このように、X線の発生側と検出側とを切り換えることにより、実質的に、インゴットのオリフラの位置を180度反転したときと同じ測定ができる。すなわち、インゴットのオリフラを下に向けたままの状態で、オリフラを上に向けたときの測定を行うことができる。
この結果、インゴットを180度回転させるという作業が一切不要となり、より簡易、迅速に結晶軸の傾き角度の測定を行うことができる。このことは、インゴットが長く、直径の大きいインゴットに対して特に有効である。
【0068】
【実施例】
上述した本実施の形態に係る結晶軸の傾き角度測定方法を用いて、インゴット軸に対する結晶軸の傾き角度を測定すると、次のようになる。
測定対象とするインゴットはシリコンの〈100〉インゴット、すなわち、インゴット軸が結晶軸〈100〉と略一致しているインゴットとする。そして、その外周にはオリフラが形成されているものとする。
【0069】
このシリコンインゴットのインゴット軸に対する結晶軸〈100〉の傾き角度を測定する。なお、本測定に用いるX線は、CuKα線(λ=1.5418Å)である。
まず、X線方位測定器を用いてインゴットInのオリフラOFを下に向けたときと、上に向けたときのX方向の傾き角度X0 、X180 を測定する。
【0070】
この測定結果が、X0 =3.024°、X180 =−2.976°であったとする。
ここで、シリコンの結晶軸〈100〉に対応するブラッグ角θは、34.600°であるから、上記測定結果X0 、X180 から、X方向の傾き角度αは、
【0071】
【数33】
となる。
一方、Y方向の傾き角度βは、式(16)から、
【0072】
【数34】
となる。
【0073】
このように、本発明によれば、X方向の2回の測定だけで、インゴット軸に対する結晶軸の傾き角度α、βを測定することができる。
求められた傾き角度α、βから、インゴット軸に対する結晶軸の最大傾き角度ZM は、次式より、
【0074】
【数35】
となる。
しかし、傾き方向θM は、βの正負の判別ができないため、求めることができない。
【0075】
そこで、実際に本発明を利用してインゴットの結晶方位の調整を行う場合は、次のようにして行う。
ここでは、まず、インゴットInのインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度のみを規定し、最大傾き角度の傾き方向は規定しないという規格について考える。
【0076】
上記のシリコンの〈100〉インゴットを用いて最大傾き角度ZM を4°と規定した場合、次のように、インゴットInの結晶方位の調整を行う。
まず、X線方位測定器を用いて測定したインゴットInのオリフラOFを下に向けたときと、上に向けたときのX方向の傾き角度X0 、X180 から、Y方向の傾き角度βの絶対値を求める。この場合、上記の算出結果から、β=1.999°となる。
【0077】
次に、βが1.999°の場合における最大傾き角度ZM が4°となるときのαの値を求める。
【0078】
【数36】
α、β、ZM は、
ZM =(α2 +β2 )1/2
の関係を有することから、
【0079】
【数37】
となる。
【0080】
X0 、X180 の測定結果から、X0 が正のときは、α=3.465°になるようにインゴットInを水平方向(X方向)に振り、X0 が負のときは、α=−3.465°になるようにインゴットInを水平方向(X方向)に振る。
本測定では、X0 が正であったので、α=3.465°になるようにインゴットInを水平方向(X方向)に振る。
【0081】
このとき、見掛けのブラッグ角θO は、式(15)から、
【0082】
【数38】
となる。
【0083】
また、X0 、X180 は、それぞれ
【0084】
【数39】
X0 =θ0 +α−θ
X180 =θ0 −α−θ
であるから、
【0085】
【数40】
X0 =3.489°
X180 =−3.441°
となる。
次に、X0 、X180 の測定結果から、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αを求める。
【0086】
ここで、X0 =3.024°、X180 =−2.976°であるから、
【0087】
【数41】
となる。
【0088】
次に、インゴットInをインゴット軸を回転軸としてX0 =3°(X180 =−3°)又はX0 =−3°(X180 =3°)となるように回転する。この結果、インゴット軸に対する結晶軸のY方向の傾き角度βは0になる。
次に、X0 が正の時は、α=4°になるようにインゴットInを水平方向に振り、負の時は、α=−4°になるようにインゴットInを水平方向に振る。
【0089】
本測定においては、X0 が正であったので、α=4°になるようにインゴットInを水平方向に傾斜させる。
以上の操作により、インゴットInは規格通り、すなわち、最大傾き角度ZM が4°となるように結晶方位調整がなされる。
次に、インゴットInのインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度と傾き方向を規定する規格について考える。
【0090】
上記のシリコンの〈100〉インゴットを用いて最大傾き角度ZM を4°、傾き方向をX方向と規定した場合、次のように、インゴットInの結晶方位の調整を行う。
まず、X線方位測定器を用いて測定したインゴットInのオリフラOFを下に向けたときと、上に向けたときのX方向の傾き角度X0 、X180 から、Y方向の傾き角度βの絶対値を求める。この場合、上記の算出結果から、β=1.999°となる。
【0091】
次に、X0 、X180 の測定結果から、X方向の傾き角度αを求める。この場合、上記の算出結果から、α=3°となる。
次に、X0 =3°(X180 =−3°)又はX0 =−3°(X180 =3°)となるようにインゴットInを垂直方向(Y方向)に傾斜させる。この結果、βは0°になる。
【0092】
次に、X0 の測定結果が正の時は、α=4°(X0 =4°、X180 =−4°)になるようにインゴットInを水平方向に振り、負の時は、α=−4°(X0 =−4°、X180 =4°)になるようにインゴットInを水平方向(X方向)に傾斜させる。
以上の操作により、インゴットInは規格通り、すなわち、最大傾き角度ZM が4°、傾き方向がX方向になるように結晶方位調整がなされる。
【0093】
以下に、上述した実施例を具体的に実施する場合の実施例について説明する。なお、ここでは、インゴットをワイヤソーで切断する場合の実施例について説明する。
まず、第1の実施例として、前述したインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度のみを規定し、傾き方向は規定しない規格について考える。
【0094】
この場合、図12に示す結晶方位調整装置を用いてインゴットの結晶方位合わせを行う。この結晶方位装置は、ワイヤソーにインゴットを装着する前に、あらかじめワイヤソーの装置外でインゴットの結晶方位調整をするための装置である。まず、この結晶方位調整装置の構成について説明する。
図12に示すように、前記結晶方位調整装置10は、方位調整装置60とX線方位測定装置20とから構成されている。
【0095】
前記X線方位測定装置20と同一機上には、スライドテーブル70がガイド22、22とレール24を介してスライド自在に設けられている。このスライドテーブル70は、モータ26に連結されたねじ軸28を回動することにより左右方向に移動する。前記方位調整装置60は、このスライドテーブル70上に載置される。
【0096】
前記X線方位測定装置20は、X線照射部30とX線受光部32とを有している。X線照射部30はアーム34の一端部に、また、X線受光部32はアーム34の他端部に所定角度傾斜して支持されている。このアーム34は、扇形のプレート36に円弧状レール38を介して揺動自在に支持されており、図示しない送りネジ機構に駆動されることにより揺動する。
【0097】
前記扇形のプレート36には、軸受42に回動自在に支持された回転軸40が固定されている。この回転軸40にはモータ44のスピンドル46が連結されており、このモータ44を駆動することにより、前記扇形のプレート36が回転する。
図13は、前記方位調整装置60の正面図であり、図14はその側面図である。図13及び図14に示すように、方位調整装置60は、主としてワーク受け部62、ガイド部64、昇降部66及び位置決め部68とから構成されている。
【0098】
前記ワーク受け部62は、スライドテーブル70上に設けられた回転盤71と、その回転盤71上にブラケット72、72、…を介して円弧状に配設されたワーク受けローラ74、74、…とから構成されている。
前記スライドテーブル70は矩形状に形成されており、水平基準と垂直基準とを有している。
【0099】
前記回転盤71は、前記スライドテーブル70上を回動し、ワーク受けローラ74、74、…で支持したインゴットInをスライドテーブル70に介して平行に回動させる。また、その時の回転角度は、回転盤71に設けられた針73でスライドテーブル70上に形成された回転目盛(図示せず)を読み取ることにより設定する。
【0100】
前記ワーク受けローラ74、74、…は、ベースプレート68に沿って配設されており、インゴットInは、このワーク受けローラ74、74、…上に載置される。また、このワーク受けローラ74、74、…に載置されたインゴットInは、スライドテーブル70に対して平行に載置される。
前記ガイド部64は、スライドテーブル70に垂直に設けられた支持プレート76と、その支持プレート76の両側部に形成されたガイドレール78、78とから構成されている。
【0101】
前記昇降部66は、前記支持プレート76に形成されたガイドレール78、78上をスライド移動する昇降ブロック80と、前記支持プレート76に設けられ、昇降ブロック80を昇降移動させる昇降機構84とから構成されている。
前記昇降ブロック80は、水平部80Aと垂直部80Bとからなる断面L字状に形成されており、その両側部にワークブロック56を支持する支持アーム82、82が設けられている。
【0102】
また、この昇降ブロック80と支持アーム82には、それぞれ水平基準と垂直基準が設けられており、支持したワークブロック56の側面と下面をそれぞれ基準駒86、86と支持アーム82の基準面に当接させることにより、位置決めされて支持される。
また、前記昇降ブロック80の背面部には、ナット部88が形成されており、ナット部88は、支持プレート76に沿って設置されたボールネジ90に螺合されている。このボールネジ90は、上端部に連結された昇降ハンドル92を回動させることにより回動し、その回動分だけ昇降ブロック80をガイドレール78、78に沿って昇降移動させる。
【0103】
前記位置決め部68は、支持台94に基準盤96が固定されるとともに、その基準盤96と同軸上に回転目盛盤98が回動自在に支持されて構成される。
前記支持台94は、前記ワーク受けローラ74、74上に載置され、前記基準盤96とインゴットInが同軸上に位置するように設置される。
前記基準盤96は、円盤状に形成され、その周縁部に後述する回転目盛盤98の目盛102を読み取るための基準目盛104が形成されている。
【0104】
前記回転目盛盤98は、円盤状に形成され、その周縁部の4箇所に後述するインゴットInの端面に引いたケガキ線(インゴットInの結晶方位合わせ基準を示す)を合わせるためのケガキ合わせ目盛100V、100Hが所定の間隔で形成されるている。
また、前記回転目盛盤98には、インゴットInの回転角度を設定するための回転目盛102が形成されている。この回転目盛102は、中央位置を基準点としてその両側に角度が目盛られており、回転目盛盤98は、前記基準目盛104でこの回転目盛102を読み取りながら回転させることで、回転角の設定を行う。
【0105】
また、前記ケガキ合わせ目盛100V、100Hは、前記回転目盛102の基準点の延長線上に垂直基準となるケガキ合わせ目盛100Vが形成され、この垂直基準となるケガキ合わせ目盛100Vと直交するように水平基準となるケガキ合わせ目盛100Hが形成される。すなわち、基準盤96の基準目盛104が回転目盛102の基準点を指している場合は、垂直基準となるケガキ合わせ目盛100Vは、前記スライドテーブル70に対して垂直状態となり、水平基準となるケガキ合わせ目盛100Hは、ベースプレートに対して平行となっている。
【0106】
したがって、この状態で、インゴットInの端面に引いた水平ケガキ線104H及び垂直ケガキ線104Vをそれぞれケガキ合わせ目盛の水平基準100H及び垂直基準100Vに合わせることにより、インゴットInは、その垂直、水平基準がスライドテーブル70の垂直、水平と一致する。
次に、前記のごとく構成された結晶方位調整装置10を用いて、上述したインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度のみを規定し、傾き方向は規定しない規格についての結晶方位の調整方法について説明する。
【0107】
なお、測定対象とするインゴットは、上述した実施例と同じシリコンの〈100〉インゴットとする。
まず、X線方位測定装置20でインゴットInのインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X0 、X180 を測定する。
この場合には、まず、インゴットInを方位調整装置60にセットする。この際、インゴットInのオリフラは下側に向ける。
【0108】
次に、インゴットInがセットされた方位調整装置60をスライドテーブル70上に固定する。そして、固定したのち、スライドテーブル70を図12上で右方向に移動させ、インゴットInを図12中二点鎖線で示す検出位置に位置させる。
次に、X線照射部30からインゴットInの端面に向けてX線を照射し、この反射X線をX線受光部32で受光して、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度XO を測定する。
【0109】
次に、モータ44を駆動し、扇形のプレート36を180°回転させ、X線照射部30とX線受光部32の位置を逆転させる(この結果、インゴットInを180°回転させ、オリフラの上下を逆転させるのと同様の効果を得ることができる。)。そして、前記同様に、X線照射部30からインゴットInの端面に向けてX線を照射し、この反射X線をX線受光部32で受光して、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定する。
【0110】
以上でインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X0 、X180 の測定が終了する。
ここで、測定結果はX0 =3.024°、X180 =−2.976°であったとする。なお、この測定結果は、モニタ48上に表示される。
次に、スライドテーブル70を元の位置に戻し、インゴットInの姿勢を方位調整装置60によって調整する。
【0111】
まず、インゴットInの端面にインゴットInの水平、垂直基準となるケガキ線104H、104Vを予め引く。この際、ケガキ線104Hは、インゴットInの軸心を通り、オリフラ面と平行になるように引き、また、ケガキ線104Vは、前記ケガキ線104Hと直交し、かつインゴットInの軸芯を通るように引く。
【0112】
次に、ワークブロック56を昇降ブロック80の支持アーム82、82に支持させる。
一方、インゴットInをワーク受けローラ74、74、…上に載置するとともに、回転目盛104を基準位置にセットする。そして、インゴットInを円周方向に回転させて、その端面に引いたケガキ線104H、104Vが、ケガキ合わせ目盛100H、100Vに一致するように合わせる。
【0113】
この結果、インゴットInの水平、垂直基準がスライドテーブル70の水平、垂直基準と一致する(インゴットInのオリフラがスライドテーブル70と平行になる。)。そして、この状態から、前記測定結果を基にインゴットInの結晶方位を調整する。
ここで、最大傾き角度ZM を4°と規定した場合は、次のように、インゴットInの結晶方位を調整する。
【0114】
まず、X0 、X180 の測定結果から、式(16)を用いてインゴット軸に対する結晶軸のY方向の傾き角度β(絶対値)を求める。
ここで、X0 =3.024°、X180 =−2.976°であるから、
【0115】
【数42】
次に、β=1.999°の場合における、最大傾き角度ZM =4となるαを求める。α、β、ZM は、次式
【0116】
【数43】
ZM 2 =α2 +β2
の関係を有することから、
【0117】
【数44】
となる。
【0118】
次に、X0 が正の時は、α=3.465°になるようにインゴットInを水平方向に振り、負の時は、α=−3.465°になるようにインゴットInを水平方向に振る。
本測定においては、X0 が正であったので、α=3.465°になるようにインゴットInを水平方向に振る。なお、このインゴットInを水平方向に振る操作は、回転盤71を回転させことにより行う。
【0119】
このとき、見掛けのブラッグ角θ0 は、式(15)から、
【0120】
【数45】
となる。
【0121】
また、X0 、X180 は、それぞれ
【0122】
【数46】
X0 =θ0 +α−θ
X180 =θ0 −α−θ
であるから、
【0123】
【数47】
X0 =3.489°
X180 =−3.441°
となる。
次に、X0 、X180 の測定結果から、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αを求める。
【0124】
ここで、X0 =3.024°、X180 =−2.976°であるから、
【0125】
【数48】
となる。
【0126】
次に、インゴットInをインゴット軸を回転軸としてX0 =3°(X180 =−3°)となるように回転する。なお、このインゴットInを回転させる操作は、次のように行う。
すなわち、まず、回転目盛盤98を+3°回転させる。そして、その回転により変更したケガキ合わせ目盛100H、100Vの位置にケガキ線104H、104Vが一致するようにインゴットInを円周方向に回転させる。これにより、インゴットInは、インゴット軸を回転軸として+3°だけ回転する。
【0127】
この結果、インゴット軸に対する結晶軸のY方向の傾き角度βは0になる。
次に、X0 が正の時は、α=4°になるようにインゴットInを水平方向に振り、負の時は、α=−4°になるようにインゴットInを水平方向に振る。
本測定においては、X0 が正であったので、α=4°になるようにインゴットInを水平方向に振る。なお、このインゴットInを水平方向に振る操作は、上述したように、回転盤71を回転させことにより行う。
【0128】
以上の操作により、インゴットInは、規格通りに結晶方位調整がなされる。調整終了後、ワークブロック56を降ろし、そのワークブロック56をスライスベース58を介してインゴットInに接着する。そして、そのインゴットInが取り付けられたワークブロック56をワイヤソーのワークフィードテーブルに取り付ければ、規格通りのウェーハが切断される。
【0129】
次に、第2の実施例として、前述したインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度と傾き方向を規定する規格について考える。
この場合、図15に示す結晶方位調整装置が備えられているワイヤソーを使用する。このワイヤソーは、前記第1の実施例とは異なり、ワイヤソーに備えられたチルチング装置によりインゴットの結晶方位調整を行う。まず、このワイヤソーの構成について説明する。
【0130】
図15に示すように、前記ワイヤソー200は、インゴットInを切断する加工空間Sと、インゴットInを切断するワイヤ111を有するワイヤソー本体110と、インゴットInを支持して加工空間Sに配置させるワーク支持機構130とを備えている。
ワイヤソー本体110は、加工空間S内に配置されたワイヤ巻掛け躯体112と、ワイヤ111を往復走行させるワイヤリール120、120と、ワイヤ111にスラリーを供給するスラリー供給機構125とを有している。
【0131】
ワイヤ巻掛け躯体112は、3本の溝付ローラ113、114、115を有している。この3本溝付ローラ113、114、115に前記ワイヤ111が巻き掛けられることにより、上部の溝付ローラ113、114間に一定ピッチのワイヤ列117が形成される。
ワーク支持機構130は、ワークブロック131、ワーク支持部132、結晶軸方位調整部140、ワーク送り機構160、方位検出手段170、X線ユニット180、及び制御装置210を備えている。
【0132】
図16に示すように、ワークブロック131は、インゴットInをワーク支持部132に取り付けるものであり、インゴットInは、このワークブロック131にスライスベース5を介して接着される。そして、インゴットInが、前記ワーク支持部132に取り付けられると、その取り付けられたインゴットInは加工空間Sに設置される。
【0133】
結晶軸方位調整部140は、インゴットInの結晶方位を調整するものであり、以下の構成を有する。
すなわち、図15のワークテーブル141と、図16の揺動台142と、揺動台142を揺動駆動する揺動駆動機構144と、回転台150と、回転台150を回転駆動する回転駆動機構152とを有している。
【0134】
ワークテーブル141は、ワーク送り機構160に取り付けられ昇降移動する。
揺動台142は、ワークテーブル141に設けられており、インゴットInの中心が配置される設置中心CP回りに、図15のワイヤ列117のワイヤ延在方向に対して直角な方向(図中矢印A、B方向)に揺動する。
【0135】
回転台150は、揺動台142の中心と設置中心CPとを結ぶ揺動軸線CT2回りに回転し、下部に前記ワーク支持部132が設けられている。
揺動駆動機構144と回転駆動機構152とは、インゴットInの結晶方位を調整する方位調整駆動部であり、揺動駆動機構144は、揺動台142に設けられたラック145と、ラック145にかみ合う小歯車146と、ワークテーブル141に設けられ、小歯車146を回転駆動する揺動台駆動用ステッピングモータ147とを有している。
【0136】
回転駆動機構152は、回転台150の上端に揺動軸線CT2を中心として固設された大歯車153と、大歯車153にかみ合うウォームInと、揺動台142に設けられ、ウォームInを回転駆動する回転台駆動用ステッピングモータ155とを有している。
図15のワーク送り機構160は、結晶軸方位調整部140を昇降させものであり、その結晶軸方位調整部140に支持されたインゴットInをワイヤ列117に押し付けるものである。
【0137】
方位検出手段170は、加工空間Sに配置されたインゴットInの結晶方位を検出するものであり、以下の構成を有している。
すなわち、方位検出手段170は、垂直回転角度検出器171と、水平回転角度検出器172とを備えている。
垂直回転角度検出器171は、図16の揺動台駆動用ステッピングモータ147の回転角度位置を検出して、インゴットInの垂直回転中心軸線CT3回りの回転角度を検出する。
【0138】
水平回転角度検出器172は、回転台駆動用ステッピングモータ155の回転角度位置を検出して、揺動軸線CT2回りのインゴットInの回転角度を検出する。
尚、図16の垂直回転中心軸線CT3は、インゴットInのインゴット軸CT1と揺動軸線CT2とに直交している。
【0139】
図15のX線ユニット180は、X線LをインゴットInの端面2に照射し、その反射波(X線L)を受光するものであり、以下の構成を有している。
すなわち、X線ユニット180は、垂れ板181、X線ユニット設置板182、X線照射器185、X線受光器186、X線照射角度変更用ステッピングモータ188、図18の防塵カバー190とを備えている。
【0140】
垂れ板181は、ワークテーブル141の側端に垂れ設けられている。
X線ユニット設置板182は、前記垂れ板181の下端部に設けられており、前記設置中心CPに向かう回転軸線CT4回りに回転自在に設けられている。
X線照射器185は、X線ユニット設置板182の一端に設けられ、インゴットInの端面2に向けてX線Lを照射する。
【0141】
X線受光器186は、X線ユニット設置板182の他端に設けられ、インゴットInで反射した前記X線Lを受光する。
なお、このX線受光器186の位置及び姿勢は、図15に示すようにインゴットInのインゴット軸CT1が、既定の方位、すなわち、ワイヤ11に直角な方向である図中矢印X1、X2方向に向いているときに、受光されたX線Lの強度が最大の強度となるように設定されている。
【0142】
X線照射角度変更用ステッピングモータ188は、前記垂れ板181の下端部に設けられ、X線ユニット設置板182を90度毎に回転駆動する。
防塵カバー190は、X線照射器185及びX線受光器186を包囲する。この防塵カバー190は、図18に示すように、加工空間SとX線照射器185及びX線受光器186との間に設けられ、X線Lが出入りする窓191aを有する隔壁191と、窓191aを開閉する開閉扉192と、開閉扉192を駆動する扉駆動機構193とを有している。
【0143】
図19の制御装置210は、結晶軸方位調整部140の方位調整駆動部(図16中符号144、152)を駆動して図15のインゴットInを傾けると共に、X線照射器185から照射され、インゴットInで反射されX線受光器186で受光されたX線Lの強度情報と、その際、方位検出手段170で検出されていたインゴットInの結晶方位とに基づいて、X線Lの強度が最大となるときのインゴットInの結晶方位を検出し、所定の方位にインゴットInの結晶軸が向くように方位調整駆動部(図16中符号144、152)を制御するものであり、以下の構成を有している。
【0144】
すなわち、図19の制御装置210は、結晶方位検出部212と、X線駆動制御部214と、方位調整駆動制御部216と、入力部218と、出力部220と、主制御部225とを備えている。
結晶方位検出部212は、垂直回転角度検出器171からの垂直回転角度情報Bvと、水平回転角度検出器172からの水平回転角度情報Bhと、X線受光器86からの前記X線Lの強度情報Dxとを入力する。そして、垂直回転角度情報BvとX線Lの強度情報Dxとに基づいて、インゴット軸に対する結晶軸の垂直方位Bv1(インゴット軸の結晶軸のY方向の傾き角度Y90、Y270 )を検出し、水平回転角度情報BhとX線Lの強度情報Dxに基づいて、インゴット軸に対する結晶軸の水平方位Bh1(インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X0 、X180 )を検出する。
【0145】
X線駆動制御部214は、X線受光器186、X線照射器185、X線照射角度変更用ステッピングモータ188、及び扉駆動機構193を駆動制御する。
方位調整駆動制御部216は、揺動台駆動用ステッピングモータ147と回転台駆動用ステッピングモータ155を駆動制御する。
入力部218は、開始信号S1などを入力する。
【0146】
出力部220は、ディスプレイ或いはプリンタなどから構成されている。
主制御部225は、結晶方位検出部212、X線駆動制御部214、方位調整駆動制御部216、入力部218、及び出力部220にバス線222を介して接続され、それらを予め記憶されたプログラムに基づいて後述するように制御する。
【0147】
本発明が適用される第2の実施例のワイヤソー200は、以上のように構成される。
次に、前記のごとく構成されたワイヤソー200を用いて、上述したインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度と傾き方向を規定する規格についての結晶方位の調整方法について説明する。
【0148】
なお、測定対象とするインゴットは、上述した第1の実施例と同じシリコンの〈100〉インゴットとする。
まず、インゴットInをワーク支持機構130に取付ける。即ち、図16に示すワーク支持機構130のワークブロック131をワーク支持部132から外しておき、そのワークブロック131にスライスベース5を介してインゴットInを接着する。このとき、インゴットInのオリフラOFが上側に向くように固定する。
【0149】
そして、インゴット131の接着後、再びワークブロック131をワーク支持部132に再び装着する。
次に、インゴットInの結晶軸の水平方向(X方向)の傾き角度X0 、X180 を測定する。
すなわち、まず、図19の制御装置210の入力部218から開始信号S1を入力する。この開始信号S1に基づいて、主制御部225は、以下のような制御を行う。
【0150】
まず、X線駆動制御部214に駆動開始信号S2を、方位調整駆動制御部216に揺動駆動開始信号S3を、結晶方位検出部212に水平方位検出開始信号Shを出力する。
X線駆動制御部214は、駆動開始信号S2に基づいて、扉駆動機構193を開方向に駆動制御して、図18の開閉扉192を開く。そして、X線照射器185を駆動し、X線照射器185からインゴットInの端面2にX線Lが照射する。
【0151】
照射されたX線Lは、インゴットInの端面2で反射され、その反射X線LがX線受光器186で受光される。X線受光器186は、図19の結晶方位検出部212にその前記X線Lの強度情報Dxを出力する。
一方、方位調整駆動制御部216は、揺動駆動開始信号S3に基づいて、回転台駆動用ステッピングモータ155を低速で所定回転角度範囲だけ往復駆動する。この結果、図15のインゴットInは、回転台150と共に揺動軸線CT2回りに所定回転角度範囲だけ図中矢印C、D方向に往復回転される。
【0152】
また、このインゴットInの揺動軸線CT2回り回転角度である水平回転角度は、図19の水平回転角度検出器172で検出され、結晶方位検出部212に入力される。
結晶方位検出部212は、水平方位検出開始信号Sh、水平回転角度情報Bh及びX線Lの強度情報Dxに基づいて、X線Lの強度が最大となるときのインゴットInの水平回転角度Bhを検出し、インゴット軸に対する結晶軸の水平方位Bh1(インゴット軸の結晶軸のX方向の傾き角度X180 )を検出する。そして、その検出結果、主制御部225に出力する。
【0153】
主制御部225は、入力された水平方位Bh1(X180 )を出力部220に出力する。
これにより、インゴットInのインゴット軸に対する結晶軸の水平方位(オリフラを上にしたときのインゴットのインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X180 )が測定される。
【0154】
次に、主制御部225は、再び、X線駆動制御部214に駆動開始信号S2を、方位調整駆動制御部216に揺動駆動開始信号S3を、結晶方位検出部212に水平方位検出開始信号Shを出力する。
X線駆動制御部214は、駆動開始信号S2に基づいて、X線照射角度変更用ステッピングモータ188を駆動制御して、X線ユニット設置板182を180度回転させる。そして、X線照射器185を駆動し、X線照射器185からインゴットInの端面2にX線Lが照射する。
照射されたX線Lは、インゴットInの端面2で反射され、その反射X線LがX線受光器186で受光される。X線受光器186は、図19の結晶方位検出部212にその前記X線Lの強度情報Dxを出力する。
【0155】
一方、方位調整駆動制御部216は、揺動駆動開始信号S3に基づいて、回転台駆動用ステッピングモータ155を低速で所定回転角度範囲だけ往復駆動する。この結果、図15のインゴットInは、回転台150と共に揺動軸線CT2回りに所定回転角度範囲だけ図中矢印C、D方向に往復回転される。
また、このインゴットInの揺動軸線CT2回り回転角度である水平回転角度は、図19の水平回転角度検出器72で検出され、結晶方位検出部212に入力される。
【0156】
結晶方位検出部212は、水平方位検出開始信号Sh、水平回転角度情報Bh及びX線Lの強度情報Dxに基づいて、X線Lの強度が最大となるときのインゴットInの水平回転角度Bhを検出し、インゴット軸に対する結晶軸の水平方位Bh1(インゴット軸の結晶軸のX方向の傾き角度X0 )を検出する。そして、その検出結果、主制御部225に出力する。
【0157】
主制御部225は、入力された水平方位Bh1(X0 )を出力部220に出力する。
これにより、インゴットInのインゴット軸に対する結晶軸の水平方位(オリフラを下にしたときのインゴットのインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X0 )が測定される。
【0158】
そして、以上の操作により、インゴットInのインゴット軸に対する結晶軸の水平方位(インゴットのインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X0 、X180 )が測定され、この測定結果から、主制御部225は、インゴットInのインゴット軸に対する結晶軸の水平方位(X方向の傾き角度)αと、垂直方位(Y方向の傾き角度β)を算出する。
【0159】
ここで、この測定結果が、X0 =3.024°、X180 =−2.976°であったとする。
シリコンの結晶軸〈200〉に対応するブラッグ角θは、34.600°であるから、上記測定結果X0 、X180 から、水平方位(X方向の傾き角度)αは、
【0160】
【数49】
となる。
一方、垂直方位(Y方向の傾き角度)βは、式(16)から、
【0161】
【数50】
となる。
【0162】
この算出結果は、出力部220に表示される。そして、主制御部225は、この算出されたα、βに基づいて、方位調整駆動制御部216に駆動信号S5を出力し、インゴットInの結晶方位調整を行う。
なお、ここでは、最大傾き角度ZM を4°と規定し、傾き方向を水平方向(X方向)と規定した場合について説明する。
【0163】
方位調整駆動制御部216は、入力した駆動信号S5に基づいて、揺動台駆動用ステッピングモータ147を駆動し、結晶軸のX方向の傾き角度X0 が3°になるようにインゴットInを垂直方向(Y方向)に傾斜させる。
この結果、インゴット軸に対する結晶軸の垂直方向(Y方向)の傾き角度βは0となる。
【0164】
次に、方位調整駆動制御部216は、入力した駆動信号S5に基づいて、回転台駆動用ステッピングモータ155を駆動し、インゴットInを水平方向(X方向)に揺動させる。このとき、前記水平方位の測定の結果、X0 が正の時は、α=4°(X0 =4°、X180 =−4°)になるようにインゴットInを水平方向に振り、負の時は、α=−4°(X0 =−4°、X180 =4°)になるようにインゴットInを水平方向(X方向)に傾斜させる。
【0165】
以上の操作により、インゴットInは、規格通りに結晶方位調整がなされる。調整終了後、ワイヤソー200を駆動してインゴットInの切断を開始する。
以上説明したように、インゴットのインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度のみを規定する規格については、第1の実施例のように、また、インゴットのインゴット軸と結晶軸とのなす最大傾き角度と傾き角度を規定する規格については、第2の実施例のように実施することにより、本発明を用いてインゴットの結晶方位調整を行うことができる。
【0166】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、オリフラを一方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X0 と、オリフラを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定するだけで、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αとY方向の傾き角度βを取得することができる。したがって、結晶軸の傾き角度の測定を簡易迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インゴット軸と結晶軸との関係の説明図
【図2】X線結晶方位測定器のダイヤグラム
【図3】X線結晶方位測定器の作用の説明図
【図4】X線結晶方位測定器の作用の説明図
【図5】結晶軸の傾き角度測定方法の説明図
【図6】結晶軸の傾き角度測定方法の説明図
【図7】結晶軸の傾き角度測定方法の説明図(α=0、β≠0の場合)
【図8】結晶軸の傾き角度測定方法の説明図(α≠0、β=0の場合)
【図9】結晶軸の傾き角度測定方法の説明図(α≠0、β≠0の場合)
【図10】ノッチ付きインゴットの構成を示す正面図
【図11】X線結晶方位測定器の構成を示す平面図
【図12】結晶方位調整装置の全体図
【図13】方位調整装置の正面図
【図14】方位調整装置の側面図
【図15】ワイヤソーの構成を示す斜視図
【図16】図15のワイヤソーの結晶軸方位調整部の構成を示す側面断面図
【図17】図16の結晶軸方位調整部の構成を示す平面断面図
【図18】図15のワイヤソーの加工空間とX線照射器及びX線受光器との間に設けられた隔壁付近を示す正面断面図
【図19】図15のワイヤソーの制御装置を示す図
【符号の説明】
In…インゴット
OF…オリフラ
N…ノッチ
B…支持台
D…目盛板
G…X線検出器
M…メータ
T…X線発生器
Claims (8)
- インゴットに形成されたオリフラに平行な方向をX方向、オリフラに垂直な方向をY方向としたときの、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記オリフラを一方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X0 と、オリフラを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定し、
その測定結果X0 、X180 と前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、インゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度αとY方向の傾き角度βとを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。 - インゴットに形成されたオリフラに平行な方向をX方向、オリフラに垂直な方向をY方向としたときの、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記オリフラを一方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y90と、オリフラを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y270 を測定し、
その測定結果Y90、Y270 及び前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、インゴット軸に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度βとX方向の傾き角度αとを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。 - ウェーハに形成されたオリフラに平行な方向をX方向、オリフラに垂直な方向をY方向としたときの、ウェーハ法線に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記オリフラを一方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X0 と、オリフラを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定し、
その測定結果X0 、X180 及び前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、ウェーハ法線に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度αと前記ウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度βを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。 - ウェーハに形成されたオリフラに平行な方向をX方向、オリフラに垂直な方向をY方向としたときの、ウェーハ法線に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記オリフラを一方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y90と、オリフラを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y270 を測定し、
その測定結果Y90、Y270 及び前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、ウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度βとX方向の傾き角度αとを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。 - インゴットの中心と該インゴットに形成されたノッチの中心を通る直線に平行な方向をY方向、その直線に直交する直線と平行な方向をX方向としたときの、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記ノッチを一方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X0 と、ノッチを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定し、
その測定結果X0 、X180 と前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、インゴット軸に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度αとY方向の傾き角度βとを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。 - インゴットの中心と該インゴットに形成されたノッチの中心を通る直線に平行な方向をY方向、その直線に直交する直線と平行な方向をX方向としたときの、インゴット軸に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記ノッチを一方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y90と、ノッチを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるインゴット軸に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y270 を測定し、
その測定結果Y90、Y270 及び前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、インゴット軸に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度βとX方向の傾き角度αとを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。 - ウェーハの中心と該ウェーハに形成されたノッチの中心を通る直線に平行な方向をY方向、その直線に直交する直線と平行な方向をX方向としたときの、ウェーハ法線に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記ノッチを一方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X0 と、ノッチを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のX方向の傾き角度X180 を測定し、
その測定結果X0 、X180 及び前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、ウェーハ法線に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと前記ウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度βを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。 - ウェーハの中心と該ウェーハに形成されたノッチの中心を通る直線に平行な方向をY方向、その直線に直交する直線と平行な方向をX方向としたときの、ウェーハ法線に対する結晶軸のX方向の傾き角度αと、Y方向の傾き角度βとを測定する結晶軸の傾き角度測定方法において、
X線方位測定器を用いて、前記ノッチを一方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y90と、ノッチを前記一方向とは180度反対方向に向けた状態におけるウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度Y270 を測定し、
その測定結果Y90、Y270 及び前記結晶軸に対応するブラッグ角θから、ウェーハ法線に対する前記結晶軸のY方向の傾き角度βとX方向の傾き角度αとを次式
で算出して取得することを特徴とする結晶軸の傾き角度測定方法。
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