JPH08166361A - θ−θスキャン型X線装置及びそのX線装置のためのゴニオ初期位置設定方法 - Google Patents

θ−θスキャン型X線装置及びそのX線装置のためのゴニオ初期位置設定方法

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JPH08166361A
JPH08166361A JP6332152A JP33215294A JPH08166361A JP H08166361 A JPH08166361 A JP H08166361A JP 6332152 A JP6332152 A JP 6332152A JP 33215294 A JP33215294 A JP 33215294A JP H08166361 A JPH08166361 A JP H08166361A
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ray
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goniometer
counter
center
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JP6332152A
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English (en)
Inventor
Akihide Doshiyou
明秀 土性
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料を中心としてX線源及びX線カウンタの
両方を回転させる形式のθ−θスキャン型X線装置にお
いて、X線ビームを液体試料に対して常に一定の初期位
置に安定して位置設定できるようにする。 【構成】 ゴニオ中心ωを中心として回転移動するX線
源Sと、ゴニオ中心ωを中心として回転移動するX線カ
ウンタ3と、液体試料Sa を支持する試料支持台13と
を有するθ−θスキャン型X線装置である。X線源Sと
X線カウンタ3とがゴニオ中心ωを中心として互いに等
しい角度で同じ方向へ同期して回転移動するように、つ
まりX線源とX線カウンタのうちの一方を本測定時とは
逆方向にスキャンさせるようにX線源及びX線カウンタ
の回転動作を制御するゴニオ制御部18を設ける。ま
た、試料Sa をゴニオ中心ωに対して昇降移動させる駆
動装置17を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料にX線を照射して
その試料で反射、回折又は散乱するX線を検出してその
試料の特性を判定するX線装置に関する。特に、試料に
対してX線源及びX線カウンタの両方を回転移動させる
タイプのX線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線を用いて試料の特性を判定するとい
う分析方法は、種々の分野で広く用いられている。そし
て、この分析方法において用いられるX線装置には、X
線カメラ装置、θ−2θスキャン型X線装置、θ−θス
キャン型X線装置、その他種々の形式のものがある。こ
こでX線カメラ装置というのは、例えば、固定配置した
試料にX線を照射してその試料で回折したX線でX線フ
ィルムを露光してそのX線フィルム上に試料の特性に対
応したX線回折像を得るようにした装置である。
【0003】また、θ−2θスキャン型X線装置という
のは、例えば、試料を一定の角速度で連続的又は間欠的
に回転(いわゆる、θ回転)させ、同時にX線カウンタ
を試料を中心として上記θ回転の2倍の角速度でθ回転
と同じ方向へ回転(いわゆる、2θ回転)させながら、
試料にX線を照射し、その試料で反射、回折又は散乱す
るX線をX線カウンタによって検出してX線強度を演算
するようにした装置である。このθ−2θスキャン型X
線装置では、通常、X線源は位置不動に固定設置され
る。
【0004】また、θ−θスキャン型X線装置というの
は、例えば、試料を位置不動に固定配置し、X線源を試
料を中心として一定の角速度で連続的又は間欠的に回転
(いわゆる、X線源θ回転)させ、同時にX線カウンタ
をX線源のθ回転に等しい角速度で反対方向へ回転(い
わゆる、カウンタθ回転)させながら、X線源から放射
されるX線を試料に照射し、その試料で反射、回折又は
散乱するX線をX線カウンタによって検出してX線強度
を演算するようにした装置である。このθ−θスキャン
型X線装置では、試料をθ回転させないで済むので、動
かすことのできない試料、例えば液体等を測定対象とす
る場合に適している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような各種のX
線装置に関しては、本来のX線測定を行うのに先立っ
て、試料に対するX線光学系の初期位置を常に一定の位
置にセットしなければならない。この初期位置が試料ご
とにバラバラであると、X線測定自体をどのように高精
密に行ったとしても、再現性の高い安定した測定結果を
得ることができないからである。例えば上記のθ−θス
キャン型X線装置を用いて固形試料に関して測定を行う
場合、従来は次のようにして初期設定を行っている。す
なわち、ゴニオ中心に対するX線源の角度をθS 、ゴニ
オ中心に対するX線カウンタの角度をθd とするとき、
まず、ゴニオ光学系をθS =θd =0゜に設定し、さら
に固形試料を自らの中心軸線を中心として微妙に傾動さ
せてその試料の表面がX線ビームに対して平行になるよ
うに調節する。
【0006】これに対し、θ−θスキャン型X線装置を
用いて液体試料に関して測定を行う場合には、仮に液体
試料を収容した試料容器を傾動させても液体試料の液面
は常に水平状態を維持するのでX線ビームに対する平行
性の調節ができず、よって上述した固形試料の場合と同
じ方法では、正確な初期位置の設定はできない。従って
通常は、別途用意した水準器を使って水平度の調節をす
ることで代用していた。しかしながらこのような方法で
は、液体試料をゴニオ光学系に対して常に一定の位置に
安定してセットすることができず、従って、信頼性の高
い測定結果を得ることができなかった。特に、液体試料
の液面に対して低角度方向からX線を入射して測定を行
う、いわゆるX線反射率測定の場合には、液体試料の初
期位置のバラツキが測定結果に大きく影響して信頼性を
より著しく低減していた。
【0007】本発明は、上記の問題点を解消するために
なされたものであって、θ−θスキャン型X線装置にお
いて、X線ビームを試料、特に液体試料に対して常に一
定の初期位置に安定して位置設定できるようにすること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係るθ−θスキャン型X線装置は、ゴニオ
中心を中心として回転移動するX線源と、ゴニオ中心を
中心として回転移動するX線カウンタと、試料をゴニオ
中心の近傍に支持する試料支持手段とを有するθ−θス
キャン型X線装置において、X線源とX線カウンタとが
ゴニオ中心を中心として互いに等しい角度で同じ方向へ
同期して回転移動するようにそれらの回転動作を制御す
るゴニオ制御部と、ゴニオ中心に対して試料を平行移動
させる試料平行移動手段とを有することを特徴とする。
【0009】ゴニオ制御部は、マイクロプロセッサを用
いた電気制御系又はマイクロプロセッサを用いない回路
構成の電気制御系によって構成できる。試料平行移動手
段は、例えば、移動子が噛み合っているネジ軸をモータ
によって回転駆動してその移動子をネジ軸の軸線方向へ
平行移動させる機構や、ラックとそれに噛み合う歯車を
用いた平行移動機構や、その他任意の平行移動機構を用
いることができる。
【0010】X線源及びX線カウンタの回転移動方向は
垂直面内の場合もあるし、水平面内の場合もある。液体
試料を測定対象とする場合には、液体試料の側面へはX
線を照射することができないことから、常識的には、X
線源及びX線カウンタの回転移動方向を垂直面内に設定
して、液体試料の上側液面にX線を照射することにな
る。他方、固形試料を測定対象とする場合には、X線源
及びX線カウンタの回転移動方向を水平面内に設定し
て、固形試料の側面にX線を照射するようにゴニオ光学
系を設定することもできる。
【0011】X線源及びX線カウンタを回転移動させる
ための手段は、通常、ウオームとウオームホイールを用
いた機構や、その他の機械的手段が用いられる。例え
ば、ウオームとウオームホイールを用いた機構に関して
は、機構の円滑な運動を確保するために一般に歯車にバ
ックラッシュが設けられるが、このバックラッシュは、
X線源又はX線カウンタが一定の方向へ回転する場合に
は悪影響が出ないように設定されている。しかしなが
ら、本発明のようにX線源とX線カウンタとをゴニオ中
心を中心として互いに等しい角度で同じ方向へ同期して
回転移動させる場合には、バックラッシュの影響が出な
い方向へ回転移動するものに関しては支障が生じない
が、それと反対方向に回転移動するものに関しては、バ
ックラッシュの影響が出て正確な回転角度を得ることが
できなくなるおそれがある。
【0012】例えば、X線源及びX線カウンタがゴニオ
中心を中心として垂直面内で回転移動するように設定さ
れている場合を例に挙げると、通常は、X線源及びX線
カウンタが共に上方向へ上昇するときにバックラッシュ
の影響が出ないように設定される。従って、このように
設定されたゴニオメータにおいて、例えばX線源を上方
向へ回転移動させ、一方、X線カウンタをその反対方向
すなわち下方向へ回転移動させるときには、X線カウン
タの方にバックラッシュの影響が出て、X線源とX線カ
ウンタとの間の測角を精密に行うことができなくなるお
それがある。このような不都合は、ウオームとウオーム
ホイールを用いた回転駆動機構に特有のものではなく、
機械的に構成された回転駆動機構であれば、多かれ少な
かれ発生するものである。
【0013】このような不都合を解消するため、本発明
では、X線源とX線カウンタとがゴニオ中心を中心とし
て互いに等しい角度で同じ方向へ同期して回転移動する
とき、下方側へ回転移動するものに関しては、希望の回
転角度よりも少し大きな角度まで余分に降下させた後に
再び上方へ持ち上げてそれを希望の回転角度位置にセッ
トするようにしている。すなわち、X線源等の回転移動
機器を一旦オーバーラップさせた後に希望角度位置にセ
ットするようにしている。
【0014】本発明のθ−θスキャン型X線装置は、固
形試料及び液体試料のいずれをも測定対象とできる。但
し、特に液体試料を測定対象とするときに従来装置と比
べて測定結果の信頼性を著しく向上できる。
【0015】本発明に係るゴニオ初期位置設定方法は、
ゴニオ中心を中心として回転移動するX線源と、ゴニオ
中心を中心として回転移動するX線カウンタと、試料を
ゴニオ中心の近傍に支持する試料支持手段とを有するθ
−θスキャン型X線装置のためのゴニオ初期位置設定方
法であって、(1)X線源、ゴニオ中心及びX線カウン
タを一直線上に置いた状態で、(2)それらX線源及び
X線カウンタをゴニオ中心を中心として互いに等しい角
度で同じ方向へ同期して回転移動させることにより、
(3)X線源から出てX線カウンタへ向かうX線ビーム
と試料表面との間の平行性を調節することを特徴とす
る。
【0016】このゴニオ初期位置設定方法においても、
X線源とX線カウンタとがゴニオ中心を中心として互い
に等しい角度で同じ方向へ同期して回転移動するとき、
上述した回転角度のオーバーラップによる角度設定を行
うことが望ましい。また、このゴニオ初期位置設定方法
においても、固形試料及び液体試料のいずれをも測定対
象とできるが、特に液体試料を測定対象とするときに従
来装置に比べてより高精度に、試料に対するX線ビーム
の初期位置を常に一定位置に安定して設定できる。
【0017】
【作用】本発明に係るθ−θスキャン型X線装置によれ
ば、X線源をゴニオ中心を中心として回転(いわゆるθ
S 回転)させ、同時にX線カウンタをゴニオ中心を中心
として反対方向へ回転(いわゆるθd 回転)させなが
ら、X線源から放射されるX線を位置不動に配置された
試料に照射し、その試料で反射、回折又は散乱するX線
をX線カウンタによって検出する。通常は、X線源の回
転角度とX線カウンタの回転角度とが正確に一致(θS
=θd )するようにゴニオメータによって角度制御が行
われる。このようにして行われる測定が、試料の特性を
判定するために行われる本測定である。
【0018】一般の測定では、この本測定に先立って、
試料に対するX線ビームの初期位置を常に一定の位置に
設定するために初期位置設定作業を実行する。この作業
は、X線装置に異なる試料を装着するたびに行われる。
本発明のθ−θスキャン型X線装置及びゴニオ初期位置
設定方法においては、X線源とX線カウンタとをゴニオ
中心を中心として互いに等しい角度で同じ方向へ同期し
て回転移動するように、すなわちゴニオ中心を中心とし
てX線源とX線カウンタとが直線上に乗る状態を維持し
ながらそれらのX線源及びX線カウンタを同期回転移動
させて、試料に対するX線ビームの平行度を調節する。
そしてさらに、試料平行移動手段によってゴニオ中心に
対して試料を平行移動させることによって、試料がX線
ビームを横切る位置を一定位置に特定する。通常は、試
料の表面がX線ビームのほぼ半分を遮断するような位置
に置かれる。X線源とX線カウンタとを同じ方向へ同期
回転させることによって、試料に対するX線ビームの平
行性を出すようにしたので、試料を位置不動に固定した
ままで位置設定ができ、よって、試料が液体である場合
にも正確で安定した位置設定ができる。
【0019】
【実施例】図1は、本発明に係るθ−θスキャン型X線
装置及びゴニオ初期位置設定方法を実施するための装置
の一実施例、特に液体試料に対してX線反射率測定を行
う場合を示している。ここに示したX線装置は、2本の
支持脚10によって床11上に載せられたゴニオフレー
ム5と、そのゴニオフレーム5の手前側側面に取り付け
られていてゴニオ中心ωを中心として回転可能なX線源
アーム2と、同じくゴニオフレーム5の側面に取り付け
られていてゴニオ中心ωを中心として回転可能なカウン
タアーム4とを有している。
【0020】X線源アーム2の側面には、X線源Sを内
蔵したX線管1及び入射光学ユニット8が設けられる。
この入射光学ユニット8の中には、X線源Sから放射さ
れるX線の発散を制限するX線発散規制スリットや、必
要に応じて設けられるモノクロメータ等が収容される。
一方、カウンタアーム4の側面には、X線カウンタ3及
び受光光学ユニット30が設けられる。この受光光学ユ
ニット30の中には、不要な散乱X線がX線カウンタ3
に取り込まれるのを防止するための受光スリット9や、
必要に応じて設けられるモノクロメータ等が収容され
る。X線カウンタ3は、取り込んだX線を検知して電気
信号として出力し、その出力信号は測定演算部19へ送
られる。測定演算部19は、送られた信号に基づいてX
線強度を演算する。この演算結果は、プリンタ20によ
ってハードコピーされたり、CRT21に映像として表
示される。
【0021】X線源Sは、例えば図2に示すように、回
転軸線L1を中心として高速回転するターゲット15
と、そのターゲットに対向して配置されたフィラメント
16とによって構成されている。通電によってフィラメ
ント16から発生した熱電子がターゲット15のフォー
カス領域Fに高速度で衝突することにより、そのフォー
カス領域FからX線が発生する。
【0022】図1に戻って、X線源アーム2は、θs
転駆動装置6によって駆動されてゴニオ中心ωを中心と
して回転する。また、カウンタアーム4は、θd 回転駆
動装置7によって駆動されてゴニオ中心ωを中心として
回転する。θs 回転駆動装置6及びθd 回転駆動装置7
は、例えば、各アーム2,4の回転中心軸に連結される
ウオームホイールと、そのウオームホイールに噛み合う
と共にモータによって駆動されて回転するウオームとに
よって構成される。勿論、その他の任意の構造の回転駆
動機構を用いることもできる。
【0023】ゴニオフレーム5の手前側には、ゴニオフ
レーム用の支持脚10,10とは別個独立に支持脚12
が設置され、その支持脚12の上に試料支持台13が設
けられ、その試料支持台13の上に試料容器14が載せ
られ、そしてその試料容器14の中に測定対象である液
体試料Sa が収容される。図3に示すように、液体試料
a は表面張力の影響により試料容器14からわずかに
飛び出した状態となる。試料支持台13は、試料昇降駆
動装置17によって駆動されて図の上下方向へ昇降移動
できるようになっている。試料昇降駆動装置17は、例
えば、試料支持台13と一体な直線ラックと、その直線
ラックに噛み合うと共にモータによって駆動されて回転
する歯車とによって構成される。勿論、これ以外の任意
の構造の昇降駆動装置を用いることもできる。
【0024】θs 回転駆動装置6、θd 回転駆動装置7
及び試料昇降駆動装置17は、ゴニオ制御部18によっ
て動作制御される。
【0025】上記の構成より成るθ−θスキャン型X線
装置によって行われるX線反射率測定は、大きく分け
て、ゴニオ初期位置設定及び本測定の2つの処理を含ん
でいる。以下、それらの各処理を個別に説明する。
【0026】(ゴニオ初期位置設定)この設定は、試料
に対してX線ビームを一定の決められた位置に置くため
に試料ごとに実行される処理である。本実施例の場合
は、図8に示すフローチャートのようにして処理が進行
する。以下、このフローチャートを参照しながら、ゴニ
オメータの初期位置設定のための動作を説明する。ま
ず、ゴニオ制御部18(図1)は、ゴニオ中心ωの所に
標準ホルダを装着すべき旨の表示又は初期位置設定作業
を開始すべき旨をCRT21に表示する(ステップS
1)。オペレータはその表示に応じて、図4に示すよう
に、ゴニオ中心ωの所に標準スリット23を備えた標準
ホルダ22を装着する。
【0027】標準ホルダ22が装着されたことがチェッ
クされると(ステップS2)、X線源アーム2を適宜に
回転してX線源Sの走査角度θS をθS =0゜にセット
する(ステップS3)。さらに、カウンタアーム4を適
宜の微小角度範囲でθd 回転させながら(ステップS
4)、標準スリット23を通過するX線の強度をX線カ
ウンタ3によって測定する。そして、測定されるX線強
度が最大となるところでカウンタアーム4のθd 回転を
停止して、その点をθd =0゜に設定する(ステップS
5,S6)。以上により、ゴニオメータのゼロ位置が確
定する。
【0028】その後、CRT21上に試料Sa を装着す
べき旨の表示をする(ステップS7)。オペレータはこ
の表示に応じて、標準ホルダ22をゴニオメータから外
しそれに代えて液体試料Sa を試料支持台13に載せる
(図1)。このとき、液体試料Sa とX線ビームとの平
行性は未調整であるので、図5に示すように、X線ビー
ムRと液体試料Sa の液面が傾斜することが多い。よっ
て、以下のステップによって、液体試料Sa とX線ビー
ムとの平行性を調整する。
【0029】すなわち、液体試料Sa の装着が確認され
ると(ステップS8)、X線源Sを図5の正反両時計方
向へ所定の微小角度ごとにステップ的にθS 回転させ、
同時にX線カウンタ3をそれと同じ方向へ等しい微小角
度ごとにステップ的にθd 回転させる。つまり、X線源
S、ゴニオ中心ω及びX線カウンタ3が一直線を成す状
態を維持しながら、X線源S及びX線カウンタ3の両者
をゴニオ中心ωを中心として所定の微小角度づつ往復揺
動回転させる。そしてその各回転ステップごとにX線強
度を測定し、その強度が最大となる点で回転を停止する
(ステップS10,S11)。この点が、図6に示すよ
うに、液体試料Sa の液面とX線ビームRとがほぼ平行
になる点である。
【0030】ところで、X線源Sを回転駆動するθS
転駆動装置6(図1)やX線カウンタ3を回転駆動する
θd 回転駆動装置7は、ウオームとウオームホイールを
用いた駆動系によって構成されことが多く、この場合に
は、どうしてもバックラッシュに起因するガタツキが存
在する。これ以外の構成の駆動系を採用したとしても、
多かれ少なかれそのようなガタツキは存在する。通常の
ゴニオメータでは、そのようなバックラッシュ等がX線
反射率測定の本測定に悪影響を及ぼさないようにX線源
S及びX線カウンタ3の回転方向と駆動系の構造とに相
関を持たせてある。例えば、図1に示す本実施例では、
X線源S及びX線カウンタ3が上方向へ回転移動すると
きにバックラッシュ等の影響が出ないように設定する。
【0031】ところが本実施例では上述のように、ゴニ
オメータの初期位置設定を行うに際して、X線源S、ゴ
ニオ中心ω及びX線カウンタ3が一直線を成す状態を維
持しながら、X線源S及びX線カウンタ3の両者をゴニ
オ中心ωを中心として所定の微小角度づつ往復揺動回転
させるようにしたので、その際には、X線源Sが図4の
上方向へ回転するときにはX線カウンタ3は下方向へ回
転し、逆にX線カウンタ3が上方向へ回転するときには
X線源Sは下方向へ回転する。下方向へ回転移動するX
線源SやX線カウンタ3に関しては、駆動系の構造上、
バックラッシュ等の影響が現れて希望する角度への測角
ができないおそれがある。従ってそのような悪影響を回
避するため、X線源SやX線カウンタ3が下方向へ回転
移動する際には、それらを希望の回転角度よりも少し大
きな角度まで余分に降下させた後に再び上方へ持ち上げ
て希望の回転角度位置にセットすることが望ましい。つ
まり、X線源等の回転移動機器を一旦オーバーラップさ
せた後に希望角度位置にセットすることが望ましい。勿
論、駆動系の構造が極めて精密であってバックラッシュ
等の程度が実用上無視できる程度である場合には、その
ようなオーバーラップによる角度設定は不要である。
【0032】以上のようにして図6に示すように、液体
試料Sa の液面とX線ビームRとの平行性が出されたと
しても、液体試料Sa 及び試料容器14がX線ビームR
の断面領域のどの部分を遮るかに関しては未調整であ
る。そこで、ステップS12のように試料昇降駆動装置
17(図1)を作動して、図6に矢印A−A’で示すよ
うに、液体試料Sa をゴニオ中心ωに対して上下方向へ
平行移動させながら、逐次、X線カウンタ3によってX
線強度を測定する。そして、測定したX線強度が最大値
の半分になる点で昇降をストップする(ステップS1
3,S14)。これにより図7に示すように、液体試料
a の液面がX線ビームRの中心線に一致するように設
定されたことになる。
【0033】以上により、所期の目的であるゴニオメー
タの初期位置の設定が完了する。但し、多くの場合は、
初期位置の設定をより確実にするために、X線源SとX
線カウンタ3の直線状逆スキャン(ステップS9)から
試料の平行移動調整(ステップS14)へ至る工程を所
定回数繰り返す。
【0034】(X線反射率測定の本測定)以上のように
して初期位置設定が完了すると、測定モードは本測定に
移行する。実際の測定では、この本測定が重要な測定に
なるのであるが、本発明に関して云えば、この本測定は
通常一般的に行われている測定方法を採用できるので、
本明細書では簡単に説明しておくことにする。
【0035】図3に示すように、X線源Sをゴニオ中心
ωを中心として所定の微小角度づつ連続的又は間欠的に
正時計方向へθS 回転させると同時に、X線カウンタ3
をそれと等しい角速度で反対方向すなわち反時計方向へ
θd 回転させる。X線反射率測定の場合、θS 及びθd
のスキャン角度範囲は通常、1゜程度以下の低角度範囲
に制限される。従って、試料Sa に対するX線ビームの
初期位置を正確に設定するということは、広角度範囲を
測定領域とするX線装置に比べて、非常に重要である。
X線源S及びX線カウンタ3がスキャン移動する間、X
線源Sから放射されたX線が液体試料Sa の液面に入射
し、そこで反射したX線がX線カウンタ3によって検知
され、さらに演算部19(図1)によってその反射X線
の強度が求められる。
【0036】各反射角度(2θS )に対応する反射X線
の強度の変化をグラフに表すと、例えば、図9に示すよ
うな反射率曲線Kが得られる。このグラフは、表面に油
膜が形成された水を液体試料とした場合に得られる反射
率曲線を示している。この曲線Kは、液体試料に関する
様々な情報を含んでおり、よって、この反射率曲線Kを
解析することにより、液体試料に関する各種の特性を判
定することができる。例えば、曲線Kに現れる周期Tを
測定すれば、水の液面に形成された油膜の厚さを測定す
ることができる。
【0037】本実施例では、上述したゴニオ初期位置設
定工程において、測定に供される各液体試料ごとに正確
で安定した初期位置が行われるので、最終的に得られる
反射率測定の結果は非常に信頼性が高く、再現性も高
い。
【0038】以上、好ましい実施例を挙げて本発明を説
明したが、本発明はその実施例に限定されるものでな
く、請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改変で
きる。例えば、本発明は、液体試料に限られず固形試料
を測定対象とするX線測定にも適用できる。また本発明
は、X線反射率測定に限られず、広角度範囲を測定領域
とする周知のX線回折測定その他任意のX線測定を行う
場合にも適用できる。
【0039】また、図1に示したX線装置では、ゴニオ
フレーム5によって支持されるゴニオメータの全体と、
液体試料Sa を支持する支持ユニットとを別個独立に床
11の上に設置した。これは、ゴニオメータに発生する
振動を液体試料Sa にできるだけ伝達させないことを目
的とした設置形態である。従って、振動が実用上あまり
問題にならないような場合には、わざわざそのような別
個独立の設置形態を採用することなく、ゴニオメータ上
に直接、試料を装着することもできる。
【0040】
【発明の効果】請求項1記載のθ−θスキャン型X線装
置及び請求項4記載のゴニオ初期位置設定方法によれ
ば、水準器等のような間接的な機器を用いることなく、
ゴニオメータそれ自体の動作によってゴニオ光学系の試
料に対する初期位置を常に一定位置に設定できるので、
特に液体試料に関して正確で安定した初期位置の設定を
行うことができる。
【0041】請求項2記載のθ−θスキャン型X線装置
及び請求項5記載のゴニオ初期位置設定方法によれば、
ゴニオメータの初期位置を設定する際に、X線源及びX
線カウンタを駆動する駆動系に不可避的に発生するガタ
ツキがその初期位置設定作業に悪影響を及ぼすことを防
止できる。
【0042】請求項3記載のθ−θスキャン型X線装置
及び請求項6記載のゴニオ初期位置設定方法のように、
傾けた場合にも液面の傾斜角度を変化させることのでき
ないような液体試料を測定対象とする場合でも、本発明
によれば、水準器等といった補助機器を用いることなく
ゴニオメータの初期位置調整を行うことができる。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るθ−θスキャン型X線装置の一実
施例を示す図である。
【図2】同θ−θスキャン型X線装置の要部、特にX線
源の一例を示す斜視図である。
【図3】同θ−θスキャン型X線装置の要部、特に試料
の近傍を拡大して模式的に示す図である。
【図4】ゴニオ初期位置設定作業の第1段階を模式的に
示す図である。
【図5】ゴニオ初期位置設定作業の第2段階を模式的に
示す図である。
【図6】ゴニオ初期位置設定作業の第3段階を模式的に
示す図である。
【図7】ゴニオ初期位置設定作業の最終段階を模式的に
示す図である。
【図8】ゴニオ初期位置設定作業の処理手順を示すフロ
ーチャートである。
【図9】図1に示すX線装置による測定結果の一例を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 X線管 2 X線源アーム 3 X線カウンタ 4 カウンタアーム 5 ゴニオフレーム 8 入射光学ユニット 9 受光スリット 10 支持脚(ゴニオフレーム用) 11 床 12 支持脚(試料用) 13 試料支持台 14 試料容器 15 ターゲット 16 フィラメント 22 標準ホルダ 23 標準スリット 30 受光光学ユニット Sa 液体試料 S X線源 ω ゴニオ中心 F フォーカス領域 R X線ビーム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴニオ中心を中心として回転移動するX
    線源と、ゴニオ中心を中心として回転移動するX線カウ
    ンタと、試料をゴニオ中心の近傍に支持する試料支持手
    段とを有するθ−θスキャン型X線装置において、 X線源とX線カウンタとがゴニオ中心を中心として互い
    に等しい角度で同じ方向へ同期して回転移動するように
    それらの回転動作を制御するゴニオ制御部と、 ゴニオ中心に対して試料を平行移動させる試料平行移動
    手段とを有することを特徴とするθ−θスキャン型X線
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のθ−θスキャン型X線装
    置において、X線源及びX線カウンタはゴニオ中心を中
    心として垂直面内で回転移動するようになっており、そ
    して、X線源とX線カウンタとがゴニオ中心を中心とし
    て互いに等しい角度で同じ方向へ同期して回転移動する
    とき、下方側へ回転移動するものに関しては、希望の回
    転角度よりも少し大きな角度まで余分に降下させた後に
    再び上方へ持ち上げて希望の回転角度位置に置くことを
    特徴とするθ−θスキャン型X線装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のθ−θスキャン型X線装
    置において、試料支持手段に支持される試料が液体試料
    であることを特徴とするθ−θスキャン型X線装置。
  4. 【請求項4】 ゴニオ中心を中心として回転移動するX
    線源と、ゴニオ中心を中心として回転移動するX線カウ
    ンタと、試料をゴニオ中心の近傍に支持する試料支持手
    段とを有するθ−θスキャン型X線装置のためのゴニオ
    初期位置設定方法において、 X線源、ゴニオ中心及びX線カウンタを一直線上に置い
    た状態で、それらX線源及びX線カウンタをゴニオ中心
    を中心として互いに等しい角度で同じ方向へ同期して回
    転移動させることにより、X線源から出てX線カウンタ
    へ向かうX線ビームと試料表面との間の平行性を調節す
    ることを特徴とするゴニオ初期位置設定方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のθ−θスキャン型X線装
    置のためのゴニオ初期位置設定方法において、X線源及
    びX線カウンタはゴニオ中心を中心として垂直面内で回
    転移動するようになっており、そして、X線源とX線カ
    ウンタとがゴニオ中心を中心として互いに等しい角度で
    同じ方向へ同期して回転移動するとき、下方側へ回転移
    動するものに関しては、希望の回転角度よりも少し大き
    な角度まで余分に降下させた後に再び上方へ持ち上げて
    希望の回転角度位置に置くことを特徴とするゴニオ初期
    位置設定方法。
  6. 【請求項6】 請求項4記載のθ−θスキャン型X線装
    置のためのゴニオ初期位置設定方法において、試料支持
    手段に支持される試料が液体試料であることを特徴とす
    るθ−θスキャン型X線装置。
JP6332152A 1994-12-12 1994-12-12 θ−θスキャン型X線装置及びそのX線装置のためのゴニオ初期位置設定方法 Pending JPH08166361A (ja)

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