JP3706268B2 - クリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車の内部に配線されるワイヤーハーネス等の長尺物と、裏面にボス部を突設したガーニッシュ等の内装部品とを同時に車体パネルに固定することのできるクリップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるワイヤーハーネス用のクリップとして、特開平10−238657号公報に示すものが存する。
該従来のクリップは、具体的には図示しないが、ワイヤーハーネスをテープ巻きする短冊状の基板部と、該基板部の下面から一体に垂下する錨状の脚部とからなり、実際の使用に際しては、上記基板部上にワイヤーハーネスをその長手方向に沿ってテープ巻きした後、そのまま、脚部を車体パネルに予め穿設されている取付孔に係着すれば、これにより、ワイヤーハーネスを車体パネルの定位置に固定できる構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来のクリップにあっては、これを単体として捉えると、極めて簡単な構造の下で、ワイヤーハーネスを容易に固定できる利点を有するものではあるが、通常は、1本のワイヤーハーネスに対して複数個のクリップが間隔をおいて同時に使用されることが多々あるので、このような場合に、ワイヤーハーネスをテープ巻きしている保持個所と車体パネルの対応する取付孔との間に位置関係のバラツキが生じると、その構造上、当該位置関係のバラツキを吸収することは困難であった。
【0004】
この為、実際の作業に際しては、一旦、上記したような位置関係のバラツキが生じたような場合には、煩雑な手修正で、ワイヤーハーネスのテープ巻き個所を無理に変更しなければならないので、作業的には、決して合理的であるとは言えなかった。
又、ワイヤーハーネスに近接して、ボス部を突設したガーニッシュ等の内装部品を固定することが要求される場合には、内装部品専用のクリップが別に必要となって、部品点数が自ずと増加する嫌いがあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯かる従来クリップの抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、長尺な第一部品とボス部を有する第二部品とを同時に取付部材に固定するクリップであって、上記第一部品を保持する保持部と、第二部品のボス部を嵌合して取付部材に係着される係着部と、該係着部を挿入する長孔を形成して上記保持部と一体に連設される鍔部とからなり、鍔部は、取付部材と係着部間に挟まれて移動可能に支持される構成を採用した。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、係着部と鍔部とは紐条体を介して連結されて、鍔部の長孔内に係着部を挿入することにより、両者が相対移動可能に係合する構成を採用した。
【0007】
請求項3記載の発明は、長尺な第一部品とボス部を有する第二部品とを同時に取付部材に固定するクリップであって、上記第一部品を保持する保持部と、第二部品のボス部を嵌合して取付部材の取付孔に係着される係着部と、該係着部を挿入する長孔を形成して上記保持部と一体に連設される鍔部とからなり、鍔部は、取付部材と係着部間に挟まれて移動可能に支持され、係着部は、その外面に取付部材の取付孔の孔縁に係止する係止肩を形成すると共に、内面に第二部品のボス部に係止する係止突起を形成し、鍔部は、その長孔の孔縁に係着部の側面に係合する逆止爪を形成する構成を採用した。
【0008】
依って、請求項1記載の発明にあっては、長尺な第一部品はクリップの保持部に保持され、ボス部を有する第二部品は取付部材側に係着されるクリップの係着部に嵌合されるので、これにより、両部品が同一のクリップによって取付部材側に同時に固定されると共に、長尺な第一部品を保持する保持部と取付部材の取付個所との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、その長孔を利用して、取付部材と係着部間に挟まれた鍔部を保持部と一緒に所定方向に移動するだけで、上記バラツキを吸収することが可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明にあっては、これに加えて、係着部が保持部から一体に連設されている鍔部に紐条体を介して連結されているので、クリップ自体の取り扱いが頗る至便となると共に、紐条体を撓ませて、鍔部の長孔に係着部を挿入すれば、両者は相対移動可能に係合されるので、位置関係のバラツキが効率良く吸収できる。
【0010】
請求項3記載の発明にあっては、同様に、長尺な第一部品はクリップの保持部に保持され、ボス部を有する第二部品は取付部材の取付孔に係着されるクリップの係着部に嵌合されるので、これにより、両部品が同一のクリップによって取付部材側に同時に固定されると共に、長尺な第一部品を保持する保持部と取付部材の取付孔との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、その長孔を利用して、取付部材と係着部間に挟まれた鍔部を保持部と一緒に所定方向に移動するだけで、上記バラツキを吸収することが可能となる。又、係着部は、その外面に形成された係止肩を介して取付部材の取付孔に確実に係止でき、内面に形成されている係止突起を介して第二部品のボス部に確実に係止できると共に、鍔部側に形成されている逆止爪を介して鍔部の長孔から抜け外れることなく係合できるので、取付部材に対する確実な係着と第二部品の確実な固定が保障される。
【0011】
尚、本発明にあって、保持部を長手方向に延びる矩形状となして、鍔部を当該保持部の長手方向と直交する状態にオフセットさせれば、保持部に保持される長尺な第一部品と係着部とが干渉することがなくなる。又、鍔部の下面の長手方向に長孔と平行する凸部を設ければ、当該凸部が取付部材の表面に接触して、鍔部の保持部を伴った円滑な移動が保障できる。更に、鍔部の長孔の孔縁に形成される逆止爪を下向きテーパー形状となせば、係着部の挿入ガイドとなると共に、当該逆止爪が係着部の側面に確実に係合できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する好適な実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係るクリップは、合成樹脂の一体成形品で、図1・図2に示す如く、長尺な第一部品たるワイヤーハーネス21をテープ巻きして保持する保持部1と、第二部品たるガーニッシュ22のボス部22aを内部に嵌合して取付部材たる車体パネルPの取付孔Hに係着する係着部2と、該係着部2を挿入する長孔4を形成して保持部1と一体に連設される鍔部3とから成る。
【0013】
そして、保持部1は、細長の矩形板状体に成形されて、その両端部にテープずれ防止壁5を形成する構成となっている。係着部2は、フランジ6と中空胴7とを有する袋状に成形されて、フランジ6にマイナスドライバー等の工具先端を挿入するスリット6aを形成する一方、中空胴7の対向する外面に車体パネルPの取付孔Hの孔縁に係止する一対の係止肩8を形成すると共に、当該各係止肩8の上位に後述する鍔部3の逆止爪を係合する段部9を形成し、且つ、対向する内面にガーニッシュのボス部に係止する係止突起10を形成する構成となっている。鍔部3は、内側に長孔4を形成したリング状に成形されて、長手方向において対向する孔縁に上記段部9に係合する一対の逆止爪11を下向きテーパー形状をもって形成すると共に、その下面の長手方向に長孔4と平行する一対の凸部12を形成する構成となっている。
【0014】
そして、保持部1と鍔部3との関係は、鍔部3が保持部1の長手方向と直交する状態にオフセットされて保持部1から一体に連設され、係着部2と鍔部3の関係は、係着部2のフランジ6の端縁と鍔部3の端縁同士が一対の紐条体13で相対移動可能に連結される構成となっているので、クリップ自体の取り扱いが頗る至便となると共に、紐条体13を撓ませて、鍔部3の長孔4に逆止爪11のテーパー形状を利用して係着部2の中空胴7を挿入すれば、鍔部3の逆止爪11が係着部2の段部9に弾性的に係合して、係着部2が鍔部3から抜け外れることを阻止される。尚、この状態にあって、上記したスリット6a内に工具先端を挿入して、逆止爪11の段部9に対する係合を解けば、係着部2を鍔部3から取り外すことが可能となる。
【0015】
依って、斯かる構成のクリップを使用して、長尺なワイヤーハーネス21と裏面にボス部22aを突設したガーニッシュ22とを同時に車体パネルP側に固定する場合には、まず、図3に示す如く、ワイヤーハーネス21を保持部1の長手方向に対してテープT巻きして保持する状態を得て、係着部2の中空胴7を鍔部3の長孔4内に挿入すると、既述した逆止爪11が中空胴7の段部9に係止して、係着部2が鍔部3に対して抜け外れることなく一体化されることとなるので、今度は、この一体化の状態のまま、図4に示す如く、係着部2の係止肩8を介して、係着部2の中空胴7を車体パネルPの取付孔Hに係着する。この場合においては、鍔部3が保持部1の長手方向と直交する状態にオフセットされているので、鍔部3の長孔4に挿入される係着部2がワイヤーハーネス21と干渉することがない。
【0016】
尚、係着部2を取付孔Hに係着した状態において、ワイヤーハーネス21を保持する保持部1と車体パネルPの取付孔Hとの間で位置関係のバラツキが生じているような場合には、鍔部3の長孔4を利用して、係着部2のフランジ6と車体パネルP間に挟まれている鍔部3を保持部1と一緒に所定方向に移動させれば、従来のような煩雑な手修正を行なわなくとも、上記バラツキを自動的に吸収して、ワイヤーハーネス21を車体パネルPの定位置に確実に固定することが可能となる。特に、鍔部3を移動させる時には、鍔部3の下面に形成されている凸部12が車体パネルPの表面に接触して、鍔部3の保持部1を伴った円滑な移動を保障する。
【0017】
そして、最後に、ガーニッシュ22のボス部22aを係着部2の中空胴7内に嵌合すれば、図5に示す如く、当該ボス部22aの窪みに係止突起10が係止して、これにより、ガーニッシュ22が同一クリップを介してワイヤーハーネス21と同時に車体パネルP側に固定される訳であるが、この場合においても、ガーニッシュ22とクリップの保持部1との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、やはり、鍔部3の長孔4を利用して、係着部2のフランジ6と車体パネルP間に挟まれている鍔部3を保持部1と一緒に所定方向に移動させれば、上記バラツキをも併せて吸収することが可能となる。
【0018】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1の下では、長尺な第一部品はクリップの保持部に保持され、ボス部を有する第二部品は取付部材側に係着されるクリップの係着部に嵌合されるので、これにより、両部品が同一のクリップによって取付部材側に同時に固定されると共に、長尺な第一部品を保持する保持部と取付部材の取付個所との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、その長孔を利用して、取付部材と係着部間に挟まれた鍔部を保持部と一緒に所定方向に移動するだけで、上記バラツキを吸収することが可能となる。
【0019】
請求項2の下では、これに加えて、係着部が保持部から一体に連設されている鍔部に紐条体を介して連結されているので、クリップ自体の取り扱いが頗る至便となると共に、紐条体を撓ませて、鍔部の長孔に係着部を挿入すれば、両者は相対移動可能に係合されるので、位置関係のバラツキが効率良く吸収できる。
【0020】
請求項3の下では、同様に、長尺な第一部品はクリップの保持部に保持され、ボス部を有する第二部品は取付部材の取付孔に係着されるクリップの係着部に嵌合されるので、これにより、両部品が同一のクリップによって取付部材側に同時に固定されると共に、長尺な第一部品を保持する保持部と取付部材の取付孔との間に位置関係のバラツキが生じている場合には、その長孔を利用して、取付部材と係着部間に挟まれた鍔部を保持部と一緒に所定方向に移動するだけで、上記バラツキを吸収することが可能となる。又、係着部は、その外面に形成された係止肩を介して取付部材の取付孔に確実に係止でき、内面に形成されている係止突起を介して第二部品のボス部に確実に係止できると共に、鍔部側に形成されている逆止爪を介して鍔部の長孔から抜け外れることなく係合できるので、取付部材に対する確実な係着と第二部品の確実な固定が保障される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るクリップを関連部品との関係をもって展開して示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】ワイヤーハーネスを保持部にテープ巻きして、且つ、鍔部の長孔内に係着部の中空胴を係合した状態を示す斜視図である。
【図4】係着部の中空胴を車体パネルの取付孔に係着した状態を示す断面図である。
【図5】ワイヤーハーネスと一緒にガーニッシュを固定した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 保持部
2 係着部
3 鍔部
4 長孔
5 テープずれ防止壁
6 係着部のフランジ
7 係着部の中空胴
8 係止肩
9 段部
10 係止突起
11 逆止爪
12 凸部
13 紐条体
21 ワイヤーハーネス(第一部品)
22 ガーニッシュ(第二部品)
22a ガーニッシュのボス部
P 車体パネル(取付部材)
H 取付孔
T テープ
Claims (3)
- 長尺な第一部品とボス部を有する第二部品とを同時に取付部材に固定するクリップであって、上記第一部品を保持する保持部と、第二部品のボス部を嵌合して取付部材に係着される係着部と、該係着部を挿入する長孔を形成して上記保持部と一体に連設される鍔部とからなり、鍔部は、取付部材と係着部間に挟まれて移動可能に支持されることを特徴とするクリップ。
- 係着部と鍔部とは紐条体を介して連結されて、鍔部の長孔内に係着部を挿入することにより、両者が相対移動可能に係合することを特徴とする請求項1記載のクリップ。
- 長尺な第一部品とボス部を有する第二部品とを同時に取付部材に固定するクリップであって、上記第一部品を保持する保持部と、第二部品のボス部を嵌合して取付部材の取付孔に係着される係着部と、該係着部を挿入する長孔を形成して上記保持部と一体に連設される鍔部とからなり、鍔部は、取付部材と係着部間に挟まれて移動可能に支持され、係着部は、その外面に取付部材の取付孔の孔縁に係止する係止肩を形成すると共に、内面に第二部品のボス部に係止する係止突起を形成し、鍔部は、その長孔の孔縁に係着部の側面に係合する逆止爪を形成したことを特徴とするクリップ。
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