JP3703600B2 - 接着フォームテープ及びそれを使用した接着方法 - Google Patents

接着フォームテープ及びそれを使用した接着方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は接着フォームテープに関し、さらに詳しく述べると、電磁誘導融着可能な接着フォームテープに関する。本発明の接着フォームテープは、フレキシブルな部材、特にウェザーストリップを車両ボディー、ドア等の被着体に接着するのに適している。本発明はまた、そのような接着フォームテープを使用した接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウェザーストリップは、収容空間とその空間と連通する開口部とを有する本体と、その開口部を開閉自在に閉塞する蓋体との間に配置され、蓋体により開口部を閉塞したときに、収容空間の気密性を高める働きをする部材である。たとえば、上記の本体として、自動車等の車両、航空機、船舶などのボディーなどを具体的に挙げることができ、これらの本体の場合、組み合わせて用いられる蓋体は通常ドアあるいは扉である。
【0003】
ウェザーストリップは、一端から他端へ長さ方向に延在する有端形状、または、ドアまたはボディーの開口部の外周形状と相似した無端形状、すなわち、閉じた形状を有し、通常、ドアまたはボディーの開口部の外周縁の2次元または3次元曲面に追従させ、その外周縁に固着して使用する。ウェザーストリップ自体は通常フレキシブルな材料であるゴム、例えばエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDMゴム)などから形成されるので、固着部位の曲面に対する追従性は良いが、ウェザーストリップを固着する接着材料にも良好な曲面追従性が要求される。そこで、接着材料として、接着フォームテープが利用されている。ここで、「接着フォームテープ」とは、フォーム基材の両面が接着性を有する両面接着テープであり、フォーム基材の表面に接着剤の層が配置されたもの、またはフォーム基材自体が接着性を有するものを包含する。このようなフォームテープとして、例えば、住友スリーエム社製のウェザーストリップ接着用アクリルフォームテープ「(品番)#4232」などがある。
【0004】
図6は、常用の接着フォームテープの断面図である。接着フォームテープ20は、図6において示されるように、通常フォーム基材23の片方の表面が感圧接着剤層24に由来する粘着性を有し、他方の表面に熱融着接着剤層22を積層した構造を有する。感圧接着剤層24の表面は剥離紙(ライナー)25で保護されている。熱融着接着剤層22は、ホットメルト接着剤として用いられる熱可塑性樹脂からなり、その厚みは、通常10〜200μmである。このような厚みの熱可塑性樹脂の層はフォーム基材の柔軟性を損なわず、フォームテープ全体として曲面追従性を良好に保っている。
【0005】
この接着フォームテープを用い、ウェザーストリップを自動車ボディー等の被着体に固着する場合、一般には次のように実施する。まず、熱融着接着剤層を加熱(換言すると、熱活性化)して接着可能な状態にし、ウェザーストリップの被着体と向かい合う部位に熱融着接着剤層を接触させ、熱融着接着剤層を十分に冷却して、フォームテープをウェザーストリップに接着する。冷却は、自然放冷などによる。次いで、剥離紙を剥がし、フォームテープの粘着面を被着体の所定の部位表面に接触させ、ウェザーストリップ側から加圧して接着する。この方法によれば、被着体の接着部位が曲面形状を有する場合、フォームテープが全体的にまたは部分的に伸長されるように、ウェザーストリップをその形状に追従するように変形させ、十分な接着強度で固着できる。
【0006】
しかしながら、この従来の接着フォームテープを使用した接着方法では、フォームテープをウェザーストリップに、正確に位置決めして接着することは困難である。すなわち、熱活性化された熱融着接着剤層は、ウェザーストリップにフォームテープを接触させた後、フォームテープを剥がしてもう一度貼り直すことができない。これは、熱融着接着剤層がウェザーストリップと接触し、融点未満の温度になると接着強度(換言すると、剥離強度)が増大するからである。
【0007】
また、熱融着前の接着性のほとんどない状態の接着剤層を、ウェザーストリップの接着部位に接触させ、正確に位置決めした後、接着剤層を通常の加熱装置で加熱する方法は、次のような点から実用的ではない。たとえば、加熱装置としてアイロンを用いる場合、フォームテープの剥離紙表面にアイロンを接触させる必要があるが、剥離紙、特にポリエチレンやポリプロピレン等のポリマーを含むプラスチック製の剥離紙(ライナー)が、変形するなどの損傷を受け、その保護機能を十分に果たせなくなる。また、オーブン中で加熱を行う場合は、ウェザーストリップにも不要な熱が加わり、変形するなどの損傷を受ける。
【0008】
一方、ライナーや、ウェザーストリップ等の被着部材には不要な熱が加わらないようにし、熱融着接着剤層にのみ十分な加熱を行うために、熱融着接着剤層と直接接する金属基材を有する接着テープを使用し、電磁誘導により加熱を行う方法が試みられている。このような接着テープは、たとえば、特開平4−368563号公報に開示されている。この接着テープは、電磁誘導により発熱可能なアルミ箔の両面に熱融着接着剤層をコーティングして形成されている。ちなみに、この接着テープの用途は、表面が平坦な床材の接着施工などである。
【0009】
特開平4−368563号公報に開示される接着テープは、次のようにして使用される。すなわち、床材裏面と床面との間にこの接着テープを配置し、床材表面側から電磁誘導アイロン等の電磁誘導加熱装置を作用させ、両方の熱融着接着剤層を熱活性化させた後、加熱装置を取り外して接着剤層を冷却し、接着操作を完了させる。なお、この公報には、接着テープの曲面追従性を改良することについて何らの言及もない。
【0010】
また、上記した特開平4−368563号公報の開示内容を参考に、電磁誘導融着可能な接着フォームテープを作製する場合、次のような問題が生じる:上記のようなウェザーストリップ等のフレキシブルなストリップ部材接着用のフォームテープは、フォームテープ全体として曲面追従性を良好に保つ必要がある。しかしながら、フォームテープ内に通常のアルミ箔等の金属基材を内包させることは、フォームテープ全体の曲面追従性を損なう結果を招くという問題を生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明の目的は、ウェザーストリップに代表されるフレキシブルなストリップ部材接着用のフォームテープとしての十分な曲面追従性を有し、ライナーおよびストリップ部材自体が熱変形等の損傷を受けないようにしながら、フォームテープをストリップ部材に正確に位置決めして接着することが可能な、電磁誘導融着可能な接着フォームテープを提供することにある。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、このような接着フォームテープを使用した接着方法を提供することにある。
本発明のその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その1つの面において、粘着性のフォーム層と、該フォーム層の粘着面に対向する側に配置された熱融着接着剤層とを含む接着テープであって、前記フォーム層と前記熱融着接着剤層の中間に、電磁誘導により発熱可能でありかつ5〜40μmの厚みを有する金属基材が介在せしめられていることを特徴とする接着フォームテープを提供する。
【0014】
また、本発明は、かかる接着フォームテープを使用してフレキシブルなストリップ部材を被着体に接着する方法であって、下記の工程:
(a)前記フレキシブルな部材の、接着後に前記被着体と向かい合わされるべき部位に、前記接着フォームテープを位置決めして配置し、その際、前記ストリップ部材に前記熱融着接着剤層の表面を接触させる工程、
(b)前記接着フォームテープに前記フォーム層の粘着面の側から電磁誘導加熱装置を作用させて、電磁誘導の結果として前記金属基材を発熱させ、よって前記熱融着接着剤層を活性化し、前記接着フォームテープを前記ストリップ部材に固定する工程、及び
(c)前記被着体の所定の部位に前記接着フォームテープのフォーム層の粘着面を接触させ、前記ストリップ部材の側からの加圧により前記接着フォームテープを前記被着体に接着し、固定する工程、
を含んでなることを特徴とする接着フォームテープを使用した接着方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、被着体に接着されるべきフレキシブルなストリップ部材としてウェザーストリップを参照するけれども、本発明を実施するに当ってその他のストリップ部材も適用可能であることも理解されたい。
【0016】
最初に、本発明の作用について説明する。
本発明の接着フォームテープは、
(i)電磁誘導により発熱可能な金属基材と、
(ii)金属基材の一方の面に設けられた熱融着接着剤層と、
(iii) 金属基材の他方の面に設けられた粘着性のフォーム層とを有してなる。このような構成としたことにより、フォームテープを正確に位置決めし、電磁誘導加熱により、ライナーおよびウェザーストリップ自体が熱変形等の損傷を受けないようにしつつ、ウェザーストリップに接着することが可能である。また、フォームテープが全体的にまたは部分的に伸長された時に金属基材は破断可能であるので、ウェザーストリップ接着用のフォームテープとしての十分な曲面追従性を有する。
【0017】
金属基材が、フォームテープ伸長時に破断可能であるようにするには、その厚みを5〜40μmの範囲にする。40μmを超えると破断が困難になり曲面追従性が低下し、反対に5μm未満であると、使用前(すなわち、保管中または運搬中)に、またはウェザーストリップに位置決め配置している間に破断し、電磁誘導による加熱が十分に行えなくなる。金属基材の厚みは、好ましくは10〜25μm、特に好ましくは12〜20μmの範囲である。
【0018】
金属基材の厚みが25μm以下であれば、テープ伸長時の破断は特に容易であるが、金属基材の厚みが25μmを超える場合は、
(A)金属基材の伸長方向を横ぎる方向に沿って、複数の切れ込みやミシン目を設けること、および
(B)メッシュ状の成形された金属基材を用いることにより、伸長時の破断をより確実にすること
ができる。
【0019】
本発明による上記した接着フォームテープを用いてウェザーストリップを被着体に接着するには、次のような方法が好適である。すなわち、(a)ウェザーストリップの被着体と向かい合う部位に、接着フォームテープを位置決めして配置し、熱融着接着剤層の表面を接触させ、(b)フォーム層の表面を保護するライナーの表面から電磁誘導加熱装置を作用させ、熱融着接着剤層を活性化し、ウェザーストリップに接着フォームテープを固定し、そして(c)ライナーを剥がし、被着体の所定の部位表面にフォーム層を接触させ、ウェザーストリップ側から加圧し、ウェザーストリップを被着体に接着する工程を含む接着方法である。この接着方法によれば、工程(a)においてフォームテープをウェザーストリップに正確に位置決めし、工程(b)において、ライナーおよびウェザーストリップ自体が熱変形等の損傷を受けないようにしながら接着することが可能である。さらに、工程(c)において、被着体の接着部位が曲面形状を有する場合、フォームテープが全体的にまたは部分的に伸長されるように、ウェザーストリップをその形状に追従するように変形させ、十分な接着強度で固着できる。
【0020】
次いで、本発明による接着フォームテープの構成について説明する。
図1は、本発明の好ましい1態様に従う接着フォームテープの構成を示した断面図である。接着フォームテープ10は、図示されるように、フォーム層3及び感圧接着剤層4から構成される粘着面を有するフォーム層を有している。また、この粘着面を有するフォーム層は、図示しないけれども、以下において説明するようにフォーム層自体が粘着性を有するものであってもよい。また、フォーム層3の粘着面に対向する側には、加熱により接着性を発現可能な熱融着接着剤層2が積層されている。そして、図示の接着フォームテープ10では、本発明の特徴であるところの、電磁誘導加熱により発熱可能でありかつ5〜40μmの厚みを有する金属基材1がフォーム層3と熱融着接着剤層2の間にサンドイッチされている。さらに、フォーム層3に付属の感圧接着剤層4の表面は、それを不所望な接着から保護するため、この技術分野において一般的に行われているように、必要に応じて剥離可能な剥離紙(ライナー)5で被覆されている。
【0021】
図示の接着フォームテープはそのすぐれた特性の故にいろいろな分野で有利に使用することができるけれども、好ましくは、曲面を有する被着体(自動車ボディーの曲面部位など)に対してフレキシブルなウェザーストリップを接着するのに使用することができる。
さらに、ウェザーストリップの接着は、好ましくは、図2〜図4において順を追って示すようにして実施することができる。なお、図示の例では、理解を容易にするため、被着体の接着部位が平坦面として示されており、また、ウェザーストリップも平板として示されている。
工程(a)
図2に示されるように、ウェザーストリップ6の、接着後に被着体と向かい合わされるべき部位に、接着フォームテープ10を位置決めして配置し、その際、ウェザーストリップ6に熱融着接着剤層2の表面を接触させる。
工程(b)
図3に示されるように、接着フォームテープ10にフォーム層3の粘着面の側から電磁誘導加熱装置11を作用させて、電磁誘導加熱の結果として金属基材1を発熱させ、よって熱融着接着剤層2を活性化し、接着フォームテープ10を熱融着接着剤層2を介してウェザーストリップ6に固定する。
工程(c)
ウェザーストリップに対する接着フォームテープの固定が完了した後、ライナーを接着フォームテープから剥離して次の工程の準備にはいる。図4に示されるように、被着体7の所定の部位に接着フォームテープのフォーム層3の感圧接着剤層4の粘着面を接触させ、ウェザーストリップ6の側からの加圧(矢印参照)により接着フォームテープを被着体7に接着し、固定する。
【0022】
引き続いて、本発明による接着フォームテープの構成要素と、そのテープの製造方法、そしてそのテープを使用した接着方法についてさらに詳しく説明する。金属基材:
金属基材の材質は、電磁誘導により発熱可能であり、かつフォームテープが伸長された時に破断可能であれば特に限定されない。通常、アルミニウム、鉄、銅、銀、ステンレス等の金属の単体、またはそれらの合金から実質的になる箔である。また、十分な発熱が可能であれば、金属酸化物も使用できる。さらに、本発明の効果を損なわない限り、純金属や金属酸化物からなる粉末を分散させて含むポリマーフィルムでも良い。金属基材は、必要に応じて、その他の形状であってもよい。
【0023】
金属基材は、通常、接着フォームテープの長さ方向に沿って連続して延在する。もちろん、所望により、複数の切れ込み、ミシン目、メッシュ孔などを設けることもできる。また、金属基材の幅は、通常、接着フォームテープの幅と略同一である。好ましい金属基材は、アルミニウム箔である。
熱融着接着剤層:
この層の形成に用いられる熱融着接着剤は、熱活性型の接着剤であり、たとえば、「ホットメルト接着剤」または「感熱性接着剤」として使用できるものから任意に選択できる。たとえば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等のホットメルト接着剤である。EPDMゴム等のポリオレフィン系材料からなる被着体に対する接着には、ポリオレフィン系の接着剤が好適である。ポリオレフィン系の接着剤としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−マレイン酸共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン含有共重合体を含んでなる接着剤が好適である。これらの接着剤は、EPDMゴムへの良好な接着性と、十分な柔軟性とを合わせ持つからである。市販の好ましいポリオレフィン系の接着剤は、ダウケミカル社製の「(品名)プリマコール接着性樹脂#3330」、住友化学社製の「(品名)ボンドファースト7B」などである。また、その他の熱融着接着剤として、好適には、ポリアミド系接着剤フィルム、日本マタイ社製の「(品名)エルファンNT140」が挙げられる。
【0024】
熱融着接着剤の融点は、通常、60〜230℃の範囲である。また、本発明の効果を損なわない限り、熱融着接着剤は、可塑剤、粘着付与剤、硬化剤、潤滑剤、充填剤、酸化安定剤等の添加剤を含有することができる。
熱融着接着剤層は、熱融着接着剤を含む溶液、分散液、または溶融液を、金属基材の表面に塗布して形成する。また、ライナーの上に設けた塗布層を、金属基材の一方の表面に積層して形成することもできる。熱融着接着剤層と基材との界面に易接着層を設けておくこともできる。塗布装置は、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、ダイコーター等の通常の装置が使用できる。金属基材の表面に接着剤層を積層する操作は、金属基材と接着剤フィルムとを重ねた後、加圧ローラを用いて行う。圧力は、通常1〜5kg/cmの範囲で行われ、必要に応じてローラを加熱することもできる。加熱操作は、通常60〜250℃の範囲の温度にて行う。また、金属基材と熱融着接着剤層との界面にプライマー処理を施すこともできる。適当なプライマーとしては、三和化学社製の「(品名)サンマイドHT−140」が挙げられる。
【0025】
熱融着接着剤層の厚みは、通常10〜200μm、好適には15〜100μmの範囲である。厚みが薄すぎると接着性能が低下し、反対に厚すぎると、接着フォームテープの曲面追従性を良好に保つことができないおそれがある。
熱融着接着剤層の接着面は、通常ライナーで保護する。ライナーとしては、シリコーン処理面を有するシリコーン系ライナー、超低密度または低密度ポリエチレンを含有するポリマーフィルムからなるポリオレフィン系ライナーなどが使用できる。
粘着性のフォーム層:
粘着性のフォーム層とは、フォーム層の表面が粘着性を有するように形成されたものであり、フォーム層の表面に例えば感圧接着剤等の粘着剤の層を積層したもの、またはフォーム層自体が粘着性を有するものを包含する。
【0026】
フォーム層は、アクリル、ネオプレン、イソプレン、ブチルゴム、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の樹脂からなるマトリックス内部にフォーム(気泡)を含有する層である。フォーム層の密度は通常0.30〜0.95g/cm3 の範囲である。また、フォーム層の表面に積層される粘着剤は、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着剤が使用できる。粘着性のフォーム層としての厚みは、通常0.1〜2.0mmの範囲である。
【0027】
フォーム層は、樹脂を含む塗布液を金属基材の表面に塗布した後、フォーム形成処理を施して形成することもできるが、市販の両面粘着フォームテープを、金属基材の表面に積層するのが好適である。予め均一な厚みのフォーム層を粘着フォームテープとして準備しておくことができるので、フォーム層の厚みの制御が容易である。粘着フォームテープは、具体的には、3M社製のアクリルフォームテープ「(品番)#4213(フォーム層の厚み0.8mm)」、同じく「(品番)#4212(フォーム層の厚み0.8mm)」、同じく「(品番)#4211(フォーム層の厚み1.2mm)」などである。
【0028】
金属基材の表面に両面粘着フォームテープを積層する操作は、金属基材とフォームテープとを重ねた後、加圧ローラを用いて行うことができる。圧力は、通常1〜5kg/cmの範囲で行われ、必要に応じてローラを加熱することもできる。加熱操作は、通常60〜150℃の温度にて行う。また、金属基材とフォームテープとの界面にプライマー処理を施すこともできる。適当なプライマーの例は、「サンマイドHT−140」(前出)である。
【0029】
フォーム層の粘着面は、ライナーで保護する。ライナーとしては、シリコーン処理面を有するシリコーン系ライナー、超低密度または低密度ポリエチレンを含有するポリマーフィルムからなるポリオレフィン系ライナーなどが使用できる。接着フォームテープの製造:
本発明の接着フォームテープは、たとえば次のようにして製造する。まず、両面粘着フォームテープの片面のライナーを剥離し、その粘着面に金属基材を重ねた後、加圧ローラを用いて積層する。続いて、金属基材のフォームテープが積層されていない面に、熱融着接着剤フィルム(ライナー付き)を重ねた後、加圧ローラを用いてヒートラミネートする。加熱温度は、通常、熱融着接着剤の融点とほぼ同じか、またはそれ以上である。熱融着接着剤フィルムは、前述のように、ライナーの表面に接着剤の塗布液を塗布して設けることができる。
接着フォームテープを用いた接着:
本発明の接着フォームテープを用いて第1の被着体を第2の被着体に接着するには、たとえば、次のようにして実施する。まず、第2の被着体と向かい合う第1の被着体の部位に、接着フォームテープを位置決めして配置し、熱融着接着剤層の表面を接触させ、フォーム層の粘着面を保護するライナーの表面から電磁誘導加熱装置を作用させ、熱融着接着剤層を活性化し、第1の被着体に接着フォームテープを固定する。続いて、ライナーを剥がし、第2の被着体の所定の部位表面にフォーム層を接触させ、第1の被着体側から加圧し、2つの被着体どうしを接着する。この方法では、第2の被着体に不要な熱が加わらないのみならず、第1の被着体にも不要な熱が加わらない。したがって、この方法は、第1の被着体が熱に弱いゴム製の部材、たとえばウェザーストリップなどである場合に好適な方法である。
【0030】
また、第2の被着体に、粘着性フォーム層を介して接着フォームテープを固定した後、熱融着接着剤層と第1の被着体とを融着させ、2つの被着体の接着を完了させることできる。この方法は、第2の被着体の方が小さな部材の場合に、第1の被着体に対してこの部材を正確に位置決めするのに好適である。
さらに、本発明の接着フォームテープは、ストリップ部材以外の接着にも好適に用いられる。たとえば、石膏ボード、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)等の建材どうしを接合するのにも適している。このような建材は比較的大きな板状材料であるので、熱融着操作を完了するのに、オーブンを用いることは困難である。本発明の接着フォームテープを用いれば、建材の表面から電磁誘導加熱アイロンを作用させるだけで、熱融着操作を完了することができる。たとえば、ケイカル板にフォーム層を接着した後、熱融着接着剤層を石膏ボード表面に配置し、ケイカル板側から電磁誘導加熱アイロンを作用させ、両者を接合させることができる。
【0031】
電磁誘導加熱装置としては、通常の電磁誘導アイロンなどの装置が使用できる。電磁誘導アイロンは、たとえば、ティステム社製「(品名)ティステムワン」である。加熱時間は、特に限定されないが、作業性を考慮すれば、通常5〜60秒の範囲である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明をその実施例について説明する。なお、本例は下記の実施例に限定されるものではないことを、理解されたい。
実施例1
両面粘着フォームテープ(両面粘着アクリルフォームテープ#4212;前記した)の一方の面のライナー(ポリオレフィン系ライナー)を剥離し、その粘着面に厚み15μmのアルミ箔を重ねた後、加圧ローラを用いて積層した。続いて、アルミ箔のフォームテープが積層されていない面に、熱融着接着剤フィルムを重ねた後、加圧ローラを用いてヒートラミネートし、本例の接着フォームテープを作製した。なお、熱融着接着剤フィルムとしては、エチレン−アクリル酸共重合体(ダウケミカル社製「(品名)プリマコール接着性樹脂#3330」)を厚み75μmのホットメルト接着剤の層としてポリオレフィン系ライナーの上に形成して使用した。ヒートラミネート時の温度は、約180℃であった。
【0033】
本例の接着フォームテープを幅12mm×長さ200mmの寸法に裁断加工し、板状のEPDMゴム(厚み20mm、幅25mm、長さ250mm)に熱融着させた。EPDMゴムは、堀田社製の発泡タイプのものであった。電磁誘導アイロンは、ティステムワン(品名;前記した)を使用し、フォーム層上のライナーの上から作用させ、加熱時間は10秒であった。このEPDMゴム付き接着フォームテープを用い、次のような2つの評価試験を実施した。
(1)90度剥離接着力試験
幅20mm×長さ250mmのメラミンアルキド塗装鋼板の上に、EPDMゴム部材付きの接着テープを接着フォームテープの粘着性フォーム層を介して圧着し、24時間室温放置した後、EPDMゴム部材付きの接着テープを、塗装鋼板の被着面に対して90度方向に300mm/分の速度で、引っ張り試験機(図示せず)を用いて引っ張った。テープが剥離した時の接着力を測定したところ、接着力は、2.5kg×12mm(フォームテープ層内の凝集破壊)であった。なお、本例で使用した塗装鋼板は、日本テストパネル工業社製の、JIS G 3141(1977)に準拠して作製された塗装鋼板(品名「SPCC−SD」、U100−アミノアルキド片面、白)であった。
(2)曲面追従性試験
図5に示されるように、幅200mm×長さ250mmのメラミンアルキド塗装鋼板7の上に、接着テープ(図示せず)が接着されたEPDMゴム部材を接着フォームテープの粘着性フォーム層を介して、EPDMゴム部材の幅方向中心位置で測定した曲率半径が10cmおよび20cmになるように、鋼板7の水平面に平行な面内で湾曲させて圧着し、そのときの状態を観察した(R=20cmの例は図示せず)。本例の接着フォームテープは、どちらの曲率半径の場合でも容易に湾曲させて貼り付けることができ、粘着面と鋼板との密着も確実であり、曲面追従性はきわめて良好であった。
実施例2
前記実施例1に記載の手法を繰り返した。但し、本例では、アルミ箔の厚みを25μmに変更した。得られた接着フォームテープの90度剥離接着力と曲面追従性を評価した。90度剥離接着力は、2.5kg/12mm(フォームテープ層内の凝集破壊)であった。また、曲面追従性に関しては、容易に湾曲させて塗装鋼板に貼り付けることができたので曲面追従性は良好と評価されたが、曲率半径が10cmと比較的湾曲度が大きくなると、粘着面と鋼板との界面には小さな波打ちが発生し、密着性はやや低下した。
比較例1
前記実施例1に記載の手法を繰り返した。但し、本例では、比較のため、アルミ箔の厚みを50μmに変更した。得られた接着フォームテープの90度剥離接着力と曲面追従性を評価した。90度剥離接着力は、3.0kg/12mm(フォームテープ層内の凝集破壊)であった。しかし、本例の接着フォームテープは、そのテープの剛性のため、10〜20cmの半径の曲率半径で湾曲させて塗装鋼板に貼り付けることはできず、曲面追従性は不良であった。これは、アルミ箔が、フォームテープが伸長された時に破断困難であるためである。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明によれば、正確に位置決めし、ライナーおよびウェザーストリップ自体が熱変形等の損傷を受けないようにしつつウェザーストリップに接着が可能で、かつ、ウェザーストリップ接着用途としての十分な曲面追従性を有する、接着フォームテープを提供できる。
【0035】
さらに本発明の接着フォームテープを使用する場合には、電磁誘導加熱は、テープの粘着剤のライナー面から行っても、あるいは被着体が比較的薄い場合には熱融着したい被着体面から行っても、金属箔層を短時間で発熱させ、熱融着接着剤層を容易に溶融させることができる。また、テープを被着体に位置決め、仮固定した後に、加熱を開始できるため、貼り付け作業時に位置決め性、接着の信頼性に優れることとなる。さらに、曲面追従性、ひずみ吸収性に優れるフォーム層を使用するので、金属基材、例えば金属箔が伸長時に破断するようにその厚みを規定することにより、曲率の小さな曲面にも容易に貼り付けることができる。本発明のテープは、したがって、自動車用ウェザーストリップゴム等の柔軟な被着体を3次元曲面に接着する際に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい1態様に従う接着フォームテープの構成を示した断面図である。
【図2】図1の接着テープの使用例を具現するための第1の工程を示した断面図である。
【図3】図1の接着テープの使用例を具現するための第2の工程を示した断面図である。
【図4】図1の接着テープの使用例を具現するための第3の工程を示した断面図である。
【図5】曲面追従性の評価に用いられた試験方法の概略を示した断面図である。
【図6】従来の接着フォームテープの1例を示した断面図である。
【符号の説明】
1…金属基材
2…熱融着接着剤層
3…フォーム層
4…感圧接着剤層
5…剥離紙(ライナー)
6…ウェザーストリップ
7…被着体
10…接着フォームテープ
11…電磁誘導加熱装置

Claims (2)

  1. 粘着性のフォーム層と、該フォーム層の粘着面に対向する側に配置された熱融着接着剤層とを含む接着テープであって、前記フォーム層と前記熱融着接着剤層の中間に、電磁誘導により発熱可能であり、10〜25μmの厚みを有し、かつテープ破断時に破断可能である金属基材が介在せしめられていることを特徴とする接着フォームテープ。
  2. 請求項1に記載の接着フォームテープを使用してフレキシブルなストリップ部材を被着体に接着する方法であって、下記の工程:
    (a)前記フレキシブルな部材の、接着後に前記被着体と向かい合わされるべき部位に、前記接着フォームテープを位置決めして配置し、その際、前記ストリップ部材に前記熱融着接着剤層の表面を接触させる工程、
    (b)前記接着フォームテープに前記フォーム層の粘着面の側から電磁誘導加熱装置を作用させて、電磁誘導の結果として前記金属基材を発熱させ、よって前記熱融着接着剤層を活性化し、前記接着フォームテープを前記ストリップ部材に固定する工程、及び
    (c)前記被着体の所定の部位に前記接着フォームテープのフォーム層の粘着面を接触させ、前記ストリップ部材の側からの加圧により前記接着フォームテープを前記被着体に接着し、固定する工程、
    を含んでなることを特徴とする接着フォームテープを使用した接着方法。
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