JP3700931B2 - マルチトラック・ディジタル録音再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタル・オーディオ・データをマルチトラックでハードディスク装置などの外部記憶装置に録音して再生する録音再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、入力したアナログ信号のオーディオ・データをディジタル・データに変換し、またディジタル・データであるオーディオ・データをそのまま入力し、ミキシングして出力するディジタル・ミキサが知られている。また従来より、ディジタル・オーディオ・データをハードディスク装置などの外部記憶装置に録音し再生するディジタル・レコーダが知られている。ディジタル・レコーダには、複数系列のオーディオ・データを複数のトラックに分けて録音できるマルチトラックのものがある。近年では、上述したディジタル・ミキサとマルチトラックのディジタル・レコーダとを組み合わせたものが知られている。
【0003】
従来のディジタル・ミキサとマルチトラックのディジタル・レコーダとを組み合わせたものでは、各入力チャンネルへ入力する信号のパッチング(選択的な結線)を可能にしたものが知られている。これは、ディジタル・ミキサへの入力である複数のアナログ入力信号、複数のディジタル入力信号、および内部サンプラや外部エフェクタなどからの入力信号を、ディジタル・ミキサの各入力チャンネルへ、任意に割り当てる機能である。また、各入力チャンネルからどのバスへ出力するか、あるいは、ダイレクトに出力するかを設定することが可能なものが知られている。これは、ディジタル・ミキサの各入力チャンネルから複数のミキシング用バスおよびステレオバスなどのバスへの出力、あるいはミキシングせずに入力した信号をダイレクトに出力することを設定する機能である。ダイレクトに出力された信号あるいはミキシングバスなどのバスからの出力信号はディジタル・レコーダの録音用の各トラックへ任意に割り当てることができるようになっている。
【0004】
以上のように入力信号のパッチングおよび録音すべきチャンネルの選択などが自由にパッチングできるようになったため、録音時に却ってパッチングの設定に手間がかかるようになった。
【0005】
そこで、入力信号を他の入力信号とミキシングせずにそのまま録音しようとするときのパッチングを簡単にするための簡易録音設定(クイックREC)機能を用意したものが知られている。図13は、所定の操作に応じて表示されるクイックREC画面を示す。この画面で、複数の入力チャンネル、ルーティング、およびトラックについて、最初の録音に適したようにまとめて設定することができる。
【0006】
図13において、1301の「INPUT CH」は入力信号を表す。例えば、8チャンネル分のアナログ入力やスロットに挿入されたカードによる8チャンネル分の入力などが選択可能である。1302の「MIXER CH」は、ディジタル・ミキサのミキサ入力チャンネル1〜8と9〜16の2通りのブロックが固定で表示されている。同様に、1303の「REC TR」は、録音トラック番号1〜8と9〜16の2通りのブロックが固定で表示されている。「MIXER CH」と「REC TR」については、操作子操作で変更することができない。
【0007】
この画面により、1301の「INPUT CH」を適宜設定してEXECUTE1304の指示を行なうことにより、▲1▼「INPUT CH」に表示されている各入力が「MIXER CH」に表示されている各入力チャンネルに入力されるように入力パッチが設定され、かつ、▲2▼「MIXER CH」に表示されている各入力チャンネルの出力がダイレクトに「REC TR」に表示されている内部レコーダの各トラックへ入力されるように設定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した簡易録音設定機能では、8入力チャンネルおよび8トラック単位で設定するようになっており、小回りが利かなかった。例えば、既にトラック2に録音されており、それを消さずに別のトラックに録音したい場合、トラック1〜8の簡易録音設定を行なった後に、トラック2を録音しないトラックに指定し直さなければならなかった。
【0009】
また、上述した簡易録音設定機能では、入力チャンネルに何が入力されているかを変更することができなかった。すなわち、簡易録音設定の前または後に、別の設定画面で入力チャンネルへの入力割り当てを選択設定する必要があった。
【0010】
さらに上述の簡易録音設定では、各入力チャンネルのコンプレッサ、イコライザ、およびフェーダなどの設定(特性設定)をすべて初期設定するようになっていた。これは、簡易録音設定の直前にフェーダなどが絞られたままになっていたり、コンプレッサを強く掛けていた場合に、その調整を直すのを忘れてそのままの状態で録音してしまうと、入力の適切でない録音になってしまい、そのような事故を防ぐために初期設定するものである。しかし、簡易録音設定の直前に調整していた入力チャンネルの状態を保持したまま、簡易録音設定後の録音をしたいという場合もあり、従来の仕様ではそのような要求に対応することができなかった。
【0011】
この発明は、上述の従来技術における問題点に鑑み、ディジタル・ミキサとマルチトラックのディジタル・レコーダとを組み合わせたものにおいて、録音時に、録音のソースとなる信号と録音するレコードトラックとのパッチングを容易にかつ柔軟に設定することを可能にする録音再生装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に係る発明は、複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段と、複数のミキサ入力チャンネルと、複数の録音トラックを有するマルチトラックレコーダと、前記複数のミキサ入力チャンネルに入力したデータを選択的に入力する混合バス手段であって、同混合バス手段に入力された入力データをミキシングする機能を備えるとともに、入力データとして前記マルチトラックレコーダからの再生出力を入力可能としたものと、前記複数のミキサ入力チャンネルそれぞれについて前記複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段のうちのいずれかを割り当て設定する入力パッチ手段と、前記混合バスからのミキシング出力、または前記複数のミキサ入力チャンネルからのダイレクト出力を、前記マルチトラックレコーダの任意のトラックに個別に割り当て設定する録音セレクタ手段とを備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、前記複数のミキサ入力チャンネルのうちの任意の1乃至複数チャンネルについて、前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当てと前記複数トラックのうちの1つへの結線を、チャンネル毎にそれぞれ指定する、簡易録音設定の指示を受け付ける手段と、該受け付けた簡易録音設定の指示に応じて、同簡易録音設定で指定されなかったミキサ入力チャンネルについては前記入力パッチ手段による設定状態を保持する一方、同簡易録音設定で指定されたミキサ入力チャンネルについては、前記入力パッチ手段において指定されるディジタル・オーディオ・データ入力手段に代えて同簡易録音設定において指定されたディジタル・オーディオ・データ入力手段を割り当てるとともに、該ミキサ入力チャンネルのダイレクト出力を同ミキサ入力チャンネルと結線されたトラックへルーティングして該トラックを録音指定する手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、前記簡易録音設定の指定がされたトラックについては、トラック単位でトラック出力のモニタ用バスへのルーティングを設定し、前記簡易録音設定の指定がされなかったトラックについては、そのトラックのモニタ用バスへのルーティングは簡易録音設定の直前の状態を引き継ぐものであることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、前記簡易録音設定の指定がされたトラックについては、トラック単位でトラック出力のモニタ用バスへのルーティングを設定し、前記簡易録音設定の指定がされなかったトラックについては、そのトラックのモニタ用バスへのルーティングを禁止するものであることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段と、複数のミキサ入力チャンネルと、複数の録音トラックを有するマルチトラックレコーダと、前記複数のミキサ入力チャンネルに入力したデータを選択的に入力する混合バス手段であって、同混合バス手段に入力された入力データをミキシングする機能を備えるとともに、入力データとしてマルチトラックレコーダからの再生出力を入力可能としたものと、前記複数のミキサ入力チャンネルそれぞれについて前記複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段のうちのいずれかを割り当て設定する入力パッチ手段と、前記混合バスからのミキシング出力、または前記複数のミキサ入力チャンネルからのダイレクト出力を、前記マルチトラックレコーダの任意のトラックに個別に割り当て設定する録音セレクタ手段とを備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、前記の各種設定とは独立して、前記複数のミキサ入力チャンネルと前記マルチトラックレコーダの複数のトラックとをグラフィック表示する簡易録音設定画面を表示する手段と、前記簡易録音設定画面上で、前記ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当てを各チャンネル毎に変更する手段と、前記簡易録音設定画面上で、前記ミキサ入力チャンネルのうちの任意の1つと前記トラックのうちの任意の1つとをそれぞれ指定して結線を行なう手段と、実行指示に応じて、前記簡易録音設定画面における前記ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当ておよび前記ミキサ入力チャンネルと前記トラックとの結線に従い、前記ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当ての設定、および、前記ミキサ入力チャンネルと前記トラックとの結線の設定を一括して実行する手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1から4の何れか1つに記載のマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、第1のモードと第2のモードとの何れかを選択する手段と、前記簡易録音設定で、指定されたミキサ入力チャンネルから指定されたトラックへの録音ルーティングを設定する際、第1のモードが選択されているときは、前記録音ルーティングと同時に前記ミキサ入力チャンネルに対して所定の標準録音設定を設定し、第2のモードが選択されているときは、前記ミキサ入力チャンネルの設定状態を変更しないように設定する手段とを、さらに備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項6に係る発明は、複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段と、複数のミキサ入力チャンネルと、複数の録音トラックを有するマルチトラックレコーダと、前記複数のミキサ入力チャンネルに入力したデータを選択的に入力する混合バス手段であって、同混合バス手段に入力された入力データをミキシングする機能を備えるとともに、入力データとしてマルチトラックレコーダからの再生出力を入力可能としたものと、前記複数のミキサ入力チャンネルそれぞれについて前記複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段のうちのいずれかを割り当て設定する入力パッチ手段と、前記混合バスからのミキシング出力、または前記複数のミキサ入力チャンネルからのダイレクト出力を、前記マルチトラックレコーダの任意のトラックに個別に割り当て設定する録音セレクタ手段とを備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、前記の各種設定とは独立して、前記複数のミキサ入力チャンネルと前記マルチトラックレコーダの複数のトラックとをグラフィック表示するとともに、前記複数のミキサ入力チャンネルの各々への前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当てを示す入力ソースを表示する、簡易録音設定画面を表示する手段と、前記簡易録音設定画面上に表示されるカーソルを、前記複数のミキサ入力チャンネル、前記複数のトラック、および前記入力ソースの上で移動可能とする手段と、前記カーソルが、何れかのミキサ入力チャンネルの前記入力ソースの上に位置するとき、変更操作に応じて当該入力ソースを変更する手段と、前記カーソルが、前記複数のミキサ入力チャンネルまたは前記複数のトラックの上に位置するとき、設定操作された場合、当該ミキサ入力チャンネルまたはトラックを選択状態にするとともに、カーソル移動の制限モードを設定し、カーソルが前記複数のミキサ入力チャンネルまたは前記複数のトラックの上に移動を制限されるように制御する手段と、前記制限モードのとき、前記ミキサ入力チャンネルが選択されていたときは前記複数のトラックのうちの何れか、前記トラックが選択されていたときは前記複数のミキサ入力チャンネルのうちの何れかに、カーソルが位置して設定操作された場合、前記選択状態にあるミキサ入力チャンネルまたはトラックと、今回カーソルを合わせて設定操作したトラックまたはミキサ入力チャンネルとを結線する手段と、実行指示に応じて、前記簡易録音設定画面で変更された各ミキサ入力チャンネルの入力ソースに従い、当該ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当ての設定を行なうとともに、前記簡易録音設定画面の各ミキサ入力チャンネルから前記トラックの結線に従い、当該ミキサ入力チャンネルの前記トラックとの結線の設定を行なう手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係るミキシング機能を備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置の全体構成を示す。この装置は、表示器101、フェーダ102、操作子103、中央処理装置(CPU)104、フラッシュメモリ105、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)106、パーソナル・コンピュータとの入出力(I/O)インターフェース107、ハードディスク(HD)108、転送回路109、バッファメモリ110、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)111、およびバスライン122を備えている。また、外部接続端子として、アナログ入力(AD)112、ディジタル入力(DinL/R)113、スロット(SL)114,115、アナログ出力(AoutL/R)118、ディジタル出力(DoutL/R)119、オムニ出力(OMNI)120、および外部エフェクタ入力(EF)121を備えている。
【0025】
アナログ入力(AD)112は、アナログのオーディオ・データ入力端子(8本ある)を示し、ここから入力したアナログ・オーディオ・データは不図示のアナログ・ディジタル変換器によりディジタル・データに変換されてDSP111に入力する。ディジタル入力(DinL/R)113は、ステレオ2チャンネル(以下、chと略す)のディジタル・オーディオ・データの入力端子を示す。アナログ出力(AoutL/R)118は、DSP111からのステレオ2chの出力を不図示のディジタル・アナログ変換器によりアナログ信号に変換して出力する外部端子を示す。ディジタル出力(DoutL/R)119は、DSP111からのステレオ2chのディジタル出力端子を示す。オムニ出力(OMNI)120は、DSP111からの4ch分のディジタル・データ出力端子を示す。外部エフェクタ入力(EF)121は、外部エフェクタ(効果付与装置)からのステレオ2chが2系列分(合わせて4ch分)の入力を示す。
【0026】
スロット(SL)114,115は、本装置に設けられている2つのスロットを示す。それぞれのスロットには、種々のオプション・カードを挿入することができる。図では、スロット114にカード116を挿入し、スロット115にカード117を挿入した例を示している。カード116,117は、例えばアナログ入力用のアナログ・ディジタル変換カード、ディジタルI/Oカード、アナログ出力用のディジタル・アナログ変換カードなどである。これらのカードをスロット114,115に挿入することで、外部接続用の入出力端子を増やすことができる。入力用のカードとしては1つのカードで最大8chの入力を受け付けるカードを挿すことができ、出力用のカードとしては1つのカードで最大8chの出力を行なうカードを挿すことができる。
【0027】
表示器101は、各種の情報を表示するためのディスプレイ(液晶表示装置など)である。フェーダ102は、適宜割り当てた入力または出力のchのレベル調整などを行なうスライドボリューム形式の操作子である。操作子103は、各種のスイッチなどである。CPU104は、この装置全体の動作を制御する。フラッシュメモリ105は、CPU104が実行する制御プログラムなどを格納する。RAM106は、HD108に格納されているプログラムをロードしてCPU104により実行するための領域、およびワーク領域などに使用する。パーソナル・コンピュータ(PC)とのI/Oインターフェース107は、PCと接続するためのインターフェースである。ハードディスク(HD)108は、CPU104で実行するプログラムや各種のデータを格納する外部記憶装置であり、特にディジタル・オーディオ・データの録音用の領域を備えている。バッファメモリ110は、HD108での録音・再生時に録音・再生用のデータを一時記憶するバッファである。ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)111は、後述するオーディオ・データのミキシング処理や、エフェクト付与処理などを行なう。
【0028】
転送回路109は、CPU104の指示にしたがって、HD108とバッファメモリ110との間のデータ転送131、およびDSP111とバッファメモリ110との間のデータ転送132を制御する。HD108に対する録音および再生は、マルチトラック(トラックとはオーディオ・データを録音・再生する系列を表す概念であり、HDの円盤上に同心円状に並ぶ物理的な記憶領域を示すトラックとは異なる)で行なわれる。1トラック分の録音における転送回路109の基本的な動作は、▲1▼サンプリング周期ごとにDSP111から録音用のデータを1サンプル受け取ってバッファメモリ110に書き込む、▲2▼バッファメモリ110に1クラスタ分のサンプルがたまったらそれをHD108の当該トラック記憶領域へ転送する、▲3▼その転送の間も上記▲1▼の動作は継続する、というものである。また、1トラック分の再生における転送回路109の基本的な動作は、▲1▼当該トラックの先頭の2以上のクラスタのサンプルをHD108から読み出してバッファメモリ110に書き込む、▲2▼サンプリング周期ごとにバッファメモリ110から1サンプル読み出してDSP111に渡す、▲3▼バッファメモリ110に1クラスタ分の空き領域(再生し終えたサンプルの記憶領域)ができたら、HD108からその空き領域へ後続の1クラスタ分のデータを転送する、というものである。なお、クラスタとは、HD108に対してデータを読み書きするための論理的な最小単位を表す。
【0029】
図2は、図1の装置のパネル外観図を示す。パネル上には、図1の表示器101、フェーダ102、および操作子103が設けられている。201は図1の表示器101に相当するディスプレイ201である。210はシフトキー、211〜215はF1〜F5キーを示す。221はディスプレイ201に表示されるカーソルを移動するためのカーソル移動キー、223はエンターキーである。222は各種データの設定値を設定変更するための値入力操作子(データ入力ダイアル)である。
【0030】
231−1〜231−16は、それぞれ、後述するミキサ入力chに割り当てて、割り当てたミキサ入力chに関する制御を行なう操作子セットである。ミキサ入力chとは、ミキシングを行なう混合バスへの入力系列を表すもので、ミキサ入力ch1からミキサ入力ch24までの24chがあるが、詳しくは図3で説明する。操作子セット231−1のうち、232は当該ミキサ入力chに関する画面を表示して各種の設定(周波数特性調整、コンプレッサ、およびパンなどの制御)を行なうことを指示するSELキー、233は当該ミキサ入力chのオン/オフの切り替えに使用するONキー、234は当該ミキサ入力chの音量レベル調整のためのフェーダ(スライドボリューム形式の操作子)である。SELキー232およびONキー233は、押下されて選択状態になると点灯し再度押下されて非選択状態になると消灯する自光式のスイッチである。1−16ch選択キー261を押下すると、上記の操作子セット231−1はミキサ入力ch1に割り当てられ、該ミキサ入力ch1に関する制御を行なう操作子セットとなる。また、17−24ch選択キー262を押下すると、上記の操作子セット231−1はミキサ入力ch17に割り当てられ、該ミキサ入力ch17に関する制御を行なう操作子セットとなる。そのことを示すため、操作子セット231−1の上には、「1」と「17」の数字がパネル上に印刷されている。
【0031】
上記の操作子セット231−1の右側に、同様の操作子セット231−2〜231−16が設けられている。それぞれの操作子セットの上側に印刷されている数字は、1−16ch選択キー261または17−24ch選択キー262がオンされたときの当該操作子セットによる制御対象ミキサ入力chを示す。なお、ミキサ入力ch15とミキサ入力ch16の制御を行なう操作子セット231−15,231−16の上側には、「15」と「16」の印刷の下側に「RTN1」と「RTN2」と印刷されている。これは、17−24ch選択キー262がオンされたとき、これらの操作子セット231−15,231−16が、2chのエフェクト・リターンch(後述する図3の313)に関する制御を行なうための操作子セットとして割り当てられることを示している。また、241は、全体のステレオ2chの出力に関する制御を行なうための操作子セットである。
【0032】
264はSOLOキーである。SOLOキー264をオンすると(SOLOキーのキートップが点灯し)、各chのONキー233の何れかをオンすることにより、当該chの音のみが出力されるようになる。REWキー251、FFキー252、PLAYキー253、RECキー254、PAUSEキー255、およびSTOPキー256は、それぞれ、巻き戻し、早送り、再生、録音、一時停止、および動作中止を指示するキーである。
【0033】
263は録音するトラックを選択するための録音トラックスイッチである。「1」〜「16」と印刷された各スイッチをオンすることにより、そのトラック番号のトラックが録音可能状態となる。265は、SETUPキーである。SETUPキーをオンすることにより、後述する入出力のパッチングの設定が可能になる。266はRECORDERキーである。RECORDERキー266をオンすることにより、図3で後述するレコーダch320に入力する信号に関して、図2の操作子セット231−1〜231−16を用いて、周波数特性調整、コンプレッサ、およびパンなどの制御(SELキーによる)や、音量レベル調整(フェーダによる)を行なうことができる。267はQuick RECキーである。Quick RECキー267をオンすることにより、図6以降で後述するQuick REC画面が表示され、複数の割り当てを簡単に行なうことができる。
【0034】
図3は、DSP111により実現されるミキシング処理の概要を表すブロック図である。301〜306はミキシング処理への入力を示す。AD301は、8本あるアナログ入力(図1のAD112)からそれぞれアナログ・ディジタル変換された8chの入力を示す。SLin302,303は、2つあるスロット(図1のSL114,115)に入力用のオプション・カードを挿入したときの当該カードによる入力を示す。1つのスロットで最大8chの入力を受け付けるカードを挿すことができるので、2つのスロットで合わせて最大16chの入力を受け付けることができる。DinL/R304は、ステレオ2chのディジタル入力(図1のDinL/R113)を示す。
【0035】
内部サンプラ305は、不図示の内部波形メモリ音源からの8ch分の入力である。この内部波形メモリ音源の各chには、任意の楽音波形を記憶させることができ、所定のスイッチの押下により随時その楽音を発生させることができる。例えば、拍手などの効果音を記憶させておき、必要なときに発生させるなどの使い方が可能である。
【0036】
EF306は、不図示の外部エフェクタ(効果付与装置)からのステレオ2chが2系列の入力(図1のEF121)を示す。本装置では、後述するAUXバスの1〜6chから取り出したディジタル・オーディオ・データを外部のエフェクタに入力してエフェクト付与し、そのエフェクト付与済みのディジタル・オーディオ・データを再び入力側に戻すことができる。EF306は、そのようなエフェクト入力を示す。なお、DSP111は、図3では不図示の内部エフェクタとしても機能し、AUXバスの7ch,8chから取り出したディジタル・オーディオ・データをその内部エフェクタでエフェクト付与し、その結果をEF306から入力側に戻すこともできる。
【0037】
331〜335はミキシング処理の出力を示す。AoutL/R331は、ステレオ2chのアナログ出力(図1のAoutL/R118)を示す。DoutL/R332は、ステレオ2chのディジタル出力(図1のDoutL/R119)を示す。SLout333,334は、2つあるスロットにデータ出力用のオプション・カードを挿入したときの当該カードによる出力を示す。1つのスロットで最大8chの出力を行なうことができるカードを指すことができるので、2つのスロットで合わせて最大16chの出力を行なうことができる。OMNI335は、4chのディジタル出力(図1のOMNI120)を示す。
【0038】
314〜317はミキシングを行なう混合バスを示す。314は8chの汎用バス(録音および再生用)でありBUS1〜8で表す。315は2chのステレオ録音再生用バスでありStereo_L/Rで表す。316はステレオ2chのソロ用バス(再生用)でありSolo_L/Rで表す。317はAUX用バス(録音および再生用)でありAUX1〜8で表す。
【0039】
312はミキサ入力chを示す。ミキサ入力chは、ミキシングを行なう混合バス314〜317への入力系列を表す。ミキサ入力ch312は、全部で24chあり、各chごとに、それぞれ図2で説明した操作子セット231−1〜231−16を割り当てて、入力の周波数特性調整、コンプレッサ、およびパンなどの制御(図2のSELキーによる)や、音量レベル調整(図2のフェーダによる)を行なうことができる。
【0040】
図3でミキサ入力ch312から各混合バス314〜317に矢印が入っているように、ミキサ入力chは任意の混合バスに選択的に接続できる。特に、各ミキサ入力chから、フェーダによりchレベル制御した信号を、8本の汎用バスBUS1〜8、または2本のステレオ録音用バスStereo_L/Rへ選択的に出力可能である。また、各ミキサ入力chから、chレベル制御する前の信号を、2本のソロ用バスSolo_L/Rへ出力可能である。さらに、各ミキサ入力chから、chレベル制御した信号にさらにAUXレベル制御した信号を8本のAUXバスAUX1〜8へ出力可能である。また、24chの中の最初の16chは、内部レコーダの16個のトラックへ直接入力するためのダイレクトアウトを持っている。ミキサ入力ch312から後述する録音セレクタ318への矢印がダイレクトアウトに相当する。なお、ダイレクトアウトでは、n番目の入力chからn番目のトラックへ入力、すなわち1対1の対応関係になっている。さらに、ミキサ入力chから、後述する出力パッチ321を介して出力端子331〜335に出力することができる。
【0041】
エフェクト・リターンch313は、2chの外部エフェクタまたは内部エフェクタからのリターン信号入力用の系列である。各chごとに、それぞれ図2で説明した操作子セット231−15,231−16を割り当てて、入力の周波数特性調整、コンプレッサ、およびパンなどの制御(図2のSELキーによる)や、音量レベル調整(図2のフェーダによる)を行なうことができる。図3でエフェクト・リターンch313から各混合バス314〜317に矢印が入っているように、エフェクト・リターンchは任意の混合バスに接続できる。
【0042】
ミキサ入力ch312とエフェクト・リターンch313に対し、上述の最大30本の外部入力(301〜304,306)および8本の内部入力(305)の全38本の入力のうちの何れか1つを選択的に割り当てることができる。入力パッチ311は、その割り当てを行なう機構である。入力パッチ311により割り当てを行なう際の画面は図4で後述する。
【0043】
HDレコーダ319は、16トラック録音/16トラック再生が可能な内部レコーダである。各トラックには、録音用の入力として、8本の汎用バスBUS1〜8、ミキサ入力ch312からの16本のダイレクトアウト、1組(2本)のステレオ録音再生用バスStereo_L/R、または8本のAUXバスAUX1〜8の全34本のうちの何れか1本を選択的に入力可能である。その割り当ては、録音セレクタ318により行なう。録音セレクタによる割り当てを行なう画面は図4で後述する。さらに、Quick RECキー267をオンすることにより、より簡単に、図6以降で説明する画面で上記の割り当てを行なうことができる。
【0044】
HDレコーダ319の各トラックの再生出力は、レコーダch320に供給される。レコーダch320は、内部レコーダの16トラックに対応して16ch設けられている。各レコーダch320では、図2のRECORDERキー266をオンすることにより、入力する信号に対して、周波数特性調整、コンプレッサ、およびパンなどの制御(図2のSELキーによる)や、音量レベル調整(図2のフェーダによる)を行なうことができる。各レコーダchへは、対応するトラックの録音用の入力(HDレコーダ319から再生したデータを再びBUS経由で録音用にする場合)、または対応するトラックからの再生出力が入力される。各レコーダch320から、フェーダによりchレベル制御した信号を、8本の汎用バスBUS1〜8、または2本のステレオ録音用バスStereo_L/Rへ選択的に出力可能である。また、各レコーダch320から、chレベル制御する前の信号を、2本のソロ用バスSolo_L/Rへ出力可能である。さらに、各レコーダch320から、chレベル制御した信号にさらにAUXレベル制御した信号を8本のAUXバスAUX1〜8へ出力可能である。
【0045】
各混合バス314〜317またはミキサ入力ch312から、選択的に各出力端子331〜335にデータ出力できる。その割り当ては、出力バッチ321の機構による。出力パッチ321により割り当てを行なう際の画面は図5で後述する。
【0046】
図4は、入力パッチ311による割り当て、および録音セレクタ318による割り当てを行なう画面例を示す。この画面は、図2のSETUPキー265をオンすることにより表示される。
【0047】
図4において、401の「MIXER CHANNEL INPUT ASSIGN」の領域は、ミキサ入力ch1〜ミキサ入力ch24およびエフェクト・リターンchに、どの入力301〜306を割り当てるかを指示する領域である。並べて表示されている「1」から「24」の数字でミキサ入力ch1〜ミキサ入力ch24を表し、その下に、割り当てた入力を「AD1」、「AD2」、…、「SL1−1」、…、「SL2−1」、…というように示している。「AD1」、「AD2」、…は、アナログ入力AD301の1番目、2番目、…を示す。「SL1−1」、…は、スロット1のオプション・カードの入力302の1番目、2番目、…を示す。「SL2−1」、…は、スロット2のオプション・カードの入力303の1番目、2番目、…を示す。また、「RTN1」と「RTN2」は、エフェクト・リターンch313への入力割り当てを示す。「RTN1」と「RTN2」に割り当ててある「EFF1 L/R」と「EFF2 L/R」は、エフェクト・リターンch313へ、エフェクト入力EF306を割り当ててあることを示す。
【0048】
402の「EFFECT PATCH」は、内部エフェクタへの入力の割り当てを示す。「EFF1」と「EFF2」は内部エフェクタを示し、ここではAUX7とAUX8から内部エフェクタに入力するように割り当ててある。
【0049】
403の「HDR TRACK INPUT ASSIGN」は、録音セレクタ318による割り当てを示す。並べて表示されている「1」から「16」の数字で16あるトラックを表し、その下に、各トラックへの入力を「BUS1」、「BUS2」、…、「DIR1」、「DIR2」、…というように表示している。「BUS1」、「BUS2」、…は、汎用バスBUS1から8からの入力を示す。「DIR1」、「DIR2」、…は、ミキサ入力ch312のダイレクトアウトからの入力を示す。
【0050】
図4の画面により、各ミキサ入力ch312、各内部エフェクタ、およびHDレコーダ319の各トラックへの入力元をそれぞれ設定することが可能である。例えば、各入力chへの入力元を設定する場合、カーソル移動キー221を用いてカーソルを所望の入力chの表示領域に移動し、そこで値入力操作子(データ入力ダイアル)222を操作することにより、当該入力chに入力可能な入力元が順次表示されるので、所望の入力元を選べばよい。なお、当然ながらスロットに入力カードが挿入してある場合のみ、スロットからの外部入力が入力元として選択可能になる。
【0051】
図5は、各入力ch(ミキサ入力ch)からどの汎用バスBUS1〜8に出力するかを表示した画面である。ページ501は入力ch1〜16についての表示、ページ502は入力ch17〜24についての表示である。511は入力ch1に関する表示であり、該入力CH1から汎用バスBUS1〜8またはステレオ録音用バスStereo_L/Rへ出力が割り当てられているかを示している。四角で囲まれた「1」〜「8」が汎用バスBUS1〜8を表し、「ST」がステレオ録音用バスStereo_L/Rを表している。これが反転表示されていると、その出力が割り当てられていることを示す。また、512は当該入力ch1のパン(左右の定位)の設定表示である。これらの設定は、当画面で変更可能である。
【0052】
以上のように、本装置では、他の機器などからの入力(ミキサ入力ch)とレコーダで再生された信号の入力(レコーダch)とを区別している。ミキサ入力chは、以下の▲1▼と▲2▼の点でレコーダchに対して差別化されている。
【0053】
▲1▼ミキサ入力chは、パッチングにより入力元を切り替え可能である。これに対し、レコーダchの入力元は、レコーダの所定のトラックに固定されている。この対応関係が固定であるため、ユーザにとっては接続状況が理解しやすい。
【0054】
▲2▼ミキサ入力ch(1〜16ch)は、その信号を(混合バスを介さずに)レコーダの1〜16トラックへ直接に入力するための結線(ダイレクトアウト)を持つ。これに対し、レコーダchは、レコーダへ直接に入力するための結線を持たない。
【0055】
図6は、Quick RECキー267をオンしたとき表示される簡易録音設定画面を示す。この画面は、所定のバッファ上に格納された画面である。装置の電源が始めてオンされたときには、図4のパッチ画面で設定されている状態が反映された図6の画面が生成される。この場合は結線はクリアされている。後述するように図6の画面で各種の結線の編集を行なったときには、それがエグゼキュート・ボタンのオンで実行されるか、EXITキーでキャンセルされるかにかかわらず、上記バッファ上に反映されている。したがって、Quick RECキー267をオンして簡易録音設定画面を表示させたときには、直前の状態が再現される。この画面上で視覚的に結線することにより、ソースとレコード・トラックとのパッチングを容易に行なうことができ、さらにRECキー254とPLAYキー253とを同時に押せば録音が開始される状態までナビゲートする。
【0056】
図6において、601は、各チャンネルの、チャンネル番号と入力されるソース(AD1、SL1−1など)を表示する領域である。この画面上でミキサー部のセッティング変更はできない。611に示すCH1〜CH16は、図3で説明したミキサ入力チャンネル312のCH1〜CH16を示し、この表示は固定である。このCH1〜CH16をミキサ入力チャンネルのナンバと呼ぶ。各ナンバの表示611の右側の表示612は、そのCHに入力するソースをそれぞれ示す。入力するソースは、当画面で後述する操作で変更可能である。605は、録音するトラックの表示TR1〜TR16であり、この表示は固定である。このTR1〜TR16を録音トラックのナンバと呼ぶ。端子602および端子604は、結線に使用する端子を表し、ミキサ入力CH1〜CH16およびトラックTR1〜TR16ごとに用意する。これらの端子間を、プラグとコードの表示603で接続し、これによりパッチングの状態を表す。端子602と604との間のプラグとコードの表示603は、任意に変更することができ、これによりパッチングの変更を行なうことができる。
【0057】
ボタンとして、カレント(CURRENT)・ボタン608、フラット(FLAT)・ボタン609、クリア(CLEAR)・ボタン606、オールクリア(ALL CLEAR)・ボタン607、およびエグゼキュート(EXECUTE)・ボタン610を設けてある。カーソル移動キー221を用いて画面上のカーソルを移動し、所望のボタンにカーソルを合わせてエンターキー223を押すことにより、これらのボタンをオンすることができる。
【0058】
図10および図11を参照して、図6の画面におけるカーソルの移動について説明する。カーソル移動キー221により、カーソルを画面の上下左右に移動することができる。ただし、カーソルが設定できる位置は決まっている。図10の1001〜1005は、カーソルが設定できる範囲を示す。1001はミキサ入力チャンネルに割り当てられたソースの表示部分であり、カーソルは各ソースの表示に合わせることができる。1002は各ミキサ入力チャンネルに対応する端子の表示であり、カーソルは各端子の表示に合わせることができる。1003は各録音トラックに対応する端子の表示であり、カーソルは各端子の表示に合わせることができる。1004はクリアボタン群であり、カーソルは各クリアボタンに合わせることができる。1005はカレント・ボタン608、フラット・ボタン609、およびエグゼキュート・ボタン610であり、カーソルはこれらの各ボタンに合わせることができる。カーソルを左右に移動した場合は、これら各領域1001〜1005の間で移動する。
【0059】
図11は、カーソルを上下方向に移動したときに、カーソルが位置する範囲を示す。1101の範囲はカーソルが最上位に位置する場合を示す。ここから下方向に移動すると、途中で1102の範囲に入り、最下行で1103の範囲に入る。
【0060】
以上のように、カーソルが位置する範囲は決まっており、この範囲内で、ユーザが操作した上下左右方向のカーソル移動キーにほぼ視覚上見合うようにカーソルが上下左右に移動するものとする。
【0061】
図6の画面における簡易録音設定の操作と動作について説明する。
【0062】
まず、任意のミキサ入力チャンネルCH1〜CH16のソースの表示612にカーソルを合わせ、JOGダイアル222を操作することにより、選択肢「AD1」〜「AD8」、「SL1−1」〜「SL1−8」、「SL2−1」〜「SL2−8」、「DinL」、「DinR」、「MET」、および「SMP1」〜「SMP8」が表示されるので、所望のソースを表示することにより当該CHのソースを変更できる。なお、「AD1」〜「AD8」はアナログ入力301、「SL1−1」〜「SL1−8」と「SL2−1」〜「SL2−8」はスロット302,303に挿入されたカードからの入力、「DinL」と「DinR」はディジタル入力304、「MET」はメトロノーム、「SMP1」〜「SMP8」は内部サンプラ305からの入力を、それぞれ示す。図9の901は、CH9にカーソルを合わせ、JOGダイアル222を操作して、ソースをSL1−1にセットしたところを示す。この状態は、バッファに取り込まれる。
【0063】
ミキサ入力チャンネルCH1〜CH16と録音トラックTR1〜TR16とは、1対1で接続可能であるとともに、1対「複数」でも接続可能とする。ただし、「複数」対1は設定できない。これ以外の設定は、より詳細なパッチ画面で行なう。
【0064】
ミキサ入力チャンネルCH1〜CH16と録音トラックTR1〜TR16との結線、すなわち端子602と604との間の接続(結線)の操作方法は、以下の通りである。ここでは、先にミキサ入力チャンネルCH1〜CH16を選択する場合と、先に録音トラックTR1〜TR16を選択する場合とに分けて、説明する。
【0065】
先にミキサ入力チャンネルCH1〜CH16を選択する場合は、まずミキサ入力チャンネルCH1〜CH16の何れかの端子602にカーソルを合わせ、エンターキー223を押して、当該ミキサ入力チャンネルを選択する。エンターキー223を押すことにより、選択したミキサ入力チャンネルのナンバと入力ソースが反転表示される。なお、以後の結線作業中、ミキサ入力チャンネルのナンバと入力ソースの表記部分は反転表示したままである。また、ミキサ入力チャンネルの選択後、カーソルは、結線作業を中止するまでその移動が制限され、ミキサ入力チャンネルに対応する端子の表記部分(図10の1002)と録音トラックに対応する端子の表記部分(図10の1003)以外には移動できない。
【0066】
ミキサ入力チャンネルの選択後、それとは異なるミキサ入力チャンネルに対応する端子にカーソルを合わせてエンターキー223を押した場合は、先に選択されていたチャンネルの選択状態が解除され、新たに指定されたチャンネルが選択状態となる。ミキサ入力チャンネルの選択後、再び同じミキサ入力チャンネルに対応する端子にカーソルがある状態でエンターキー223を押した場合は、当該チャンネルの選択状態が解除され、結線の作業を中止する。
【0067】
ミキサ入力チャンネルの選択後、カーソルを録音トラックの端子604に移動すると、録音トラックのナンバTR1〜TR16のうちカーソルがセットされているナンバが反転表示される。ここでカーソルを上下に移動(図10の1003の範囲内)させると、反転表示するナンバも変わる。録音の設定にかかわらず、すべてのトラックに対応する端子にカーソルを移動できる。所望のトラックの端子にカーソルを合わせてエンターキー223を押すことにより、録音するトラックを選択することで、結線が完了する。結線完了により、反転表示は元に戻る。ここでプラグとコードを描画する。結線完了により、カーソルの移動の制限も解除される。
【0068】
図6では、621に示すように、カーソルがCH5の端子にセットされている。図7は、図6の状態からCH5を選択して701に示すように反転表示させ、次にカーソルをTR9の端子に合わせたところを示す。TR9は、702のように反転表示されている。カーソルはTR9の端子703にセットされている。ここで、エンターキー223を押すことにより、図8の801の結線が完了する。
【0069】
なお、既に録音先として選択されているトラックに対応する端子上でエンターキー223が押された場合は、先に結線されている設定を無効とし、新たに設定された結線を有効して結線完了する。
【0070】
次に、先に録音トラックTR1〜TR16を選択する場合を説明する。この場合、まずトラックTR1〜TR16の何れかの端子にカーソルを合わせ、エンターキー223を押して、録音するレコーダのトラックを選択する。エンターキー223を押すことにより、選択したトラックのナンバが反転表示される。なお、以後の結線作業中、トラックのナンバ部分は反転表示したままである。また、トラックの選択後、カーソルは、結線作業を中止するまでその移動が制限され、ミキサ入力チャンネルに対応する端子の表記部分(図10の1002)と録音トラックに対応する端子の表記部分(図10の1003)以外には移動できない。
【0071】
トラックの選択後、それとは異なるトラックに対応する端子にカーソルを合わせてエンターキー223を押した場合は、先に選択されていたトラックの選択状態が解除され、新たに指定されたトラックが選択状態となる。トラックの選択後、再び同じトラックに対応する端子上にカーソルがある状態でエンターキー223を押した場合は、当該トラックの選択状態が解除され、結線の作業を中止する。
【0072】
トラックの選択後、カーソルをミキサ入力チャンネルの端子602に移動した場合、その端子に対応するミキサ入力チャンネルのナンバと入力ソースの部分を反転表示する。ここでカーソルを上下に移動(図10の1002の範囲内)させると、反転表示するナンバと入力ソースも変わる。すべてのミキサ入力チャンネルの端子にカーソルを移動できる。所望のミキサ入力チャンネルの端子にカーソルを合わせてエンターキー223を押すことにより、ミキサ入力チャンネルを選択することで、結線が完了する。結線完了により、反転表示は元に戻る。ここでプラグとコードを描画する。結線完了により、カーソルの移動の制限も解除される。
【0073】
クリア・ボタン607はトラックごとに設けられており、それぞれ対応するトラックの結線を解除するボタンである。また、オールクリアボタンをオンすることにより、すべてのトラックの結線を解除することができる。
【0074】
画面上の結線は、エグゼキュート・ボタン610を押したかどうかにかかわらず、画面上で1つの線が結線あるいは解線(結線の解除)されるたびにバッファに保存する。
【0075】
カレント・ボタン608とフラット・ボタン609は、常にどちらかがオンされた状態にあり、トグルで切り替わる。すなわち、カレント・ボタン608がオンされている状態でフラット・ボタン609をオンすると、カレント・ボタン608は強制的にオフされる。その逆も同様である。エグゼキュート・ボタン610をオンするとそのときの画面のパッチングの状態(ミキサ入力chへの入力信号の割り当てと、ミキサ入力chの録音トラックへの結線)が設定されるが、そのときカレント・ボタン608がオンされているかフラット・ボタン609がオンされているかで、録音ソースとして選択されたミキサchの設定状態を、初期状態にするかまたはそのままの状態にするかが決定される。従来のように、管理録音設定するとすべてのミキサchの設定を初期化してしまうと、それまでに調整してあった状態が初期化されてしまうため、再び設定し直す場合があった。本実施の形態では、カレント・ボタン608をオンしておけば、録音ソースとして選択されたミキサchの設定状態はそのまま維持されるので、使い勝手が良い。一方、ミキサchの状態を初期化したい場合には、フラット・ボタン609を押しておくだけでよい。
【0076】
以上のように結線および解線を行なった後、エグゼキュート・ボタン610を押すと、次の処理を行なう。
【0077】
図12(a)は、フラット・ボタン609がオンされた状態でエグゼキュート・ボタン610をオンしたときの処理を示す。ステップ1201で、入力信号のミキサ入力チャンネルへの割り当て(インプットパッチ)を、画面で設定された通りに変更する。ステップ1202で、録音ソースとして選択されたミキサ入力チャンネルについてのみチャンネルライブラリ#01をリコールする。チャンネルライブラリとは、コンプレッサやイコライザなどの設定状態、フェーダのレベルなどの設定状態、ミキサ入力チャンネルからどこに出力されるかを表すルーティングの設定状態など、各種の設定状態を保持するファイルである。チャンネルライブラリは、プリセットの複数のファイルがHD108に用意されており、チャンネルライブラリ#01はプリセットのファイルであって標準状態を設定するファイルである。したがって、ステップ1202により、録音ソースとして選択されたミキサ入力チャンネルについて標準状態に設定されることになる。標準状態とは、コンプレッサやイコライザなどの設定が全てフラット(操作していない状態)で、フェーダが基準レベル(0デシベル(音量が0という訳ではない))、ルーティングはステレオバス315のみオン、などの標準の設定である。次に、ステップ1203で、録音ソースとして選択されたミキサ入力チャンネルについてのみ、ステレオバス315へのルーティングをオフにする。これは、ステレオバス315が録音モニタ用のバスとして使用されるためである。
【0078】
なお、ペアリングされたミキサーチャンネルが録音ソースとして選択された場合は、ペアリングを解除して、録音ソースとして選択されたミキサーチャンネルのみチャンネルライブラリー#01をリコールする。
【0079】
次に、ステップ1204で、画面上で結線されているミキサ入力チャンネルと録音トラックについて結線のパッチングを変更する。内部的には、レコーダートラックインプットアサイン(図4の「HDR TRACK INPUT ASSIGN」403)に、録音ソースとなるミキサ入力chのダイレクトアウトをアサインする。ステップ1205で、録音先として選択されたトラックのREC READYをオンにする。REC READYがオンのトラックが、録音するトラックとなる。本実施形態では、簡易録音設定において、ダイレクトアウトを使用しているので、当該設定をしないミキサ入力ch、レコーダch、ミキシングバス等についての設定を変更せずにそのままにしておくことができる。
【0080】
さらに、ステップ1206で、録音先として選択されたトラックのモニターチャンネル(レコーダch320)は、チャンネルライブラリ#01をリコールする。これにより、当該レコーダchの出力はステレオバス315へルーティングされ、ステレオバス315にてミキシングされる。ユーザは、出力パッチでステレオバス315の出力をモニタ用のサウンドシステムが接続された出力に結線することにより、録音モニタを行なうことができる。なお、このとき、ペアリングされたチャンネルが録音先に選択された場合は、ペアリングを解除して、録音先に選択されたチャンネルにチャンネルライブラリー#01をリコールするものとする。最後に、ステップ1207で、フェーダのレイヤを1−16ch選択状態とし、画面を所定のページに変更して、処理終了する。
【0081】
図12(b)は、カレント・ボタン608がオンされた状態でエグゼキュート・ボタン610をオンしたときの処理を示す。ステップ1211は図12(a)のステップ1201に対応し、ステップ1213〜1217は図12(a)のステップ1203〜1207にそれぞれ対応する。カレント・ボタン608がオンされた状態では、図12(a)のステップ1202が実行されない点が異なる。これにより、ステップ1202が実行されないので、カレント・ボタン608がオンされた状態では、録音ソースとして選択されたミキサ入力チャンネルについて設定状態が初期化されることがなく、設定状態はそのまま維持される。なお、ステップ1213で、録音ソースとして選択されたミキサ入力チャンネルのステレオバスアサインへのルーティングをオフにするとき(他の設定状態は変更しない)、ペアリングされたチャンネルのうち片方だけが録音ソースとなり、もう一方のチャンネルが録音ソースとならない場合は、両チャンネルのステレオバスアサインをオフにするものとする。
【0082】
以上のように図12(a)および図12(b)の何れの手順でも、録音用に指定されなかったミキサ入力チャンネルについては、その設定状態を変更していないので、それらのチャンネルはそのままの状態が保持(録音指定は解除する)される。また、モニタ用バスであるステレオバス315へのルーティングについては、録音先として選択されたトラックのレコーダchをステレオバス315へルーティングし、録音先として選択されなかったトラックのレコーダchのルーティングについては設定状態を変えることなくそのままの状態を引き継ぐようにしている。これにより、録音モニタを行なうことができるとともに、録音先として指定されないトラックについては状態変更することなく出力されることになる。なお、録音先として指定されないトラックについては、モニタ用バスであるステレオバス315へのルーティングを禁止するようにしてもよい。禁止することで、無条件に録音するトラックのみをモニタすることができる。さらに、録音先として選択されなかったトラックのレコーダchのルーティングについて、そのままの状態を引き継ぐモードと、モニタ用バスであるステレオバス315へのルーティングを禁止するモードとを、切り替え可能にしてもよい。
【0083】
なお、エグゼキュート・ボタン610を押すことにより簡易録音設定の実行が行なわれるので、逆に言えば、エグゼキュート・ボタン610が操作される直前までは、簡易録音設定(入力chの入力パッチ、入力chの各種設定、トラックの設定など)は実行されない。図6から図9で説明した簡易録音設定画面はいつでも不図示のEXITキーなどにより抜けることができる。
【0084】
また、図6から図9で説明した簡易録音設定画面でエグゼキュート・ボタン610が押されたときのパッチング(入力パッチ)は、図4の「HDR TRACK INPUT ASSIGN」403に結果が反映されるが、図4の「HDRTRACK INPUT ASSIGN」403で設定されたパッチングは簡易録音設定画面には反映されない。また、他の画面から簡易録音設定画面にアクセスした場合は、バッファ内の結線を表示する。デフォルト(電源立ち上げ直後)は、インプットパッチのみカレントシーンの内容を反映し、他は全く結線されていない状態とする。さらに、簡易録音設定用のライブラリは用意しない。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、1入力チャンネルおよび1トラック単位で簡易録音設定が行なえるので小回りの利く簡易録音設定が行なえる。また、簡易録音設定画面で入力チャンネルへの入力割り当てを選択設定できる。さらに、簡易録音設定の直前に調整していた状態を保持することができるので、発明が解決しようとする課題に示したような強制的に初期化される不都合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るミキシング機能を備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置の全体構成図
【図2】図1の装置のパネル外観図
【図3】ミキシング処理の概要を表すブロック図
【図4】入力パッチによる割り当ておよび録音セレクタによる割り当てを行なう画面例を示す図
【図5】各入力chからどの汎用バスに出力するかを表示した画面図
【図6】簡易録音設定画面の例(その1)を示す図
【図7】簡易録音設定画面の例(その2)を示す図
【図8】簡易録音設定画面の例(その3)を示す図
【図9】簡易録音設定画面の例(その4)を示す図
【図10】簡易録音設定画面におけるカーソル移動(左右方向)を説明するための図
【図11】簡易録音設定画面におけるカーソル移動(上下方向)を説明するための図
【図12】エグゼキュート・ボタンがオンされたときの処理を示すフローチャート図
【図13】クイックREC画面を示す図
【符号の説明】
101…表示器、102…フェーダ、103…操作子、104…中央処理装置(CPU)、105…フラッシュメモリ、106…ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、107…パーソナル・コンピュータとの入出力(I/O)インターフェース、108…ハードディスク(HD)、109…転送回路、110…バッファメモリ、111…ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、122…バスライン、112…アナログ入力(AD)、113…ディジタル入力(DinL/R)、114,115…スロット(SL)、118…アナログ出力(AoutL/R)、119…ディジタル出力(DoutL/R)、120…オムニ出力(OMNI)。
Claims (6)
- 複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段と、
複数のミキサ入力チャンネルと、
複数の録音トラックを有するマルチトラックレコーダと、
前記複数のミキサ入力チャンネルに入力したデータを選択的に入力する混合バス手段であって、同混合バス手段に入力された入力データをミキシングする機能を備えるとともに、入力データとして前記マルチトラックレコーダからの再生出力を入力可能としたものと、
前記複数のミキサ入力チャンネルそれぞれについて前記複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段のうちのいずれかを割り当て設定する入力パッチ手段と、
前記混合バスからのミキシング出力、または前記複数のミキサ入力チャンネルからのダイレクト出力を、前記マルチトラックレコーダの任意のトラックに個別に割り当て設定する録音セレクタ手段と
を備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、
前記複数のミキサ入力チャンネルのうちの任意の1乃至複数チャンネルについて、前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当てと前記複数トラックのうちの1つへの結線を、チャンネル毎にそれぞれ指定する、簡易録音設定の指示を受け付ける手段と、
該受け付けた簡易録音設定の指示に応じて、同簡易録音設定で指定されなかったミキサ入力チャンネルについては前記入力パッチ手段による設定状態を保持する一方、同簡易録音設定で指定されたミキサ入力チャンネルについては、前記入力パッチ手段において指定されるディジタル・オーディオ・データ入力手段に代えて同簡易録音設定において指定されたディジタル・オーディオ・データ入力手段を割り当てるとともに、該ミキサ入力チャンネルのダイレクト出力を同ミキサ入力チャンネルと結線されたトラックへルーティングして該トラックを録音指定する手段と
を備えたことを特徴とするマルチトラック・ディジタル録音再生装置。 - 請求項1に記載のマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、
前記簡易録音設定の指定がされたトラックについては、トラック単位でトラック出力のモニタ用バスへのルーティングを設定し、前記簡易録音設定の指定がされなかったトラックについては、そのトラックのモニタ用バスへのルーティングは簡易録音設定の直前の状態を引き継ぐものであること
を特徴とするマルチトラック・ディジタル録音再生装置。 - 請求項1に記載のマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、
前記簡易録音設定の指定がされたトラックについては、トラック単位でトラック出力のモニタ用バスへのルーティングを設定し、前記簡易録音設定の指定がされなかったトラックについては、そのトラックのモニタ用バスへのルーティングを禁止するものであること
を特徴とするマルチトラック・ディジタル録音再生装置。 - 複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段と、
複数のミキサ入力チャンネルと、
複数の録音トラックを有するマルチトラックレコーダと、
前記複数のミキサ入力チャンネルに入力したデータを選択的に入力する混合バス手段であって、同混合バス手段に入力された入力データをミキシングする機能を備えるとともに、入力データとしてマルチトラックレコーダからの再生出力を入力可能としたものと、
前記複数のミキサ入力チャンネルそれぞれについて前記複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段のうちのいずれかを割り当て設定する入力パッチ手段と、
前記混合バスからのミキシング出力、または前記複数のミキサ入力チャンネルからのダイレクト出力を、前記マルチトラックレコーダの任意のトラックに個別に割り当て設定す る録音セレクタ手段と
を備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、
前記の各種設定とは独立して、前記複数のミキサ入力チャンネルと前記マルチトラックレコーダの複数のトラックとをグラフィック表示する簡易録音設定画面を表示する手段と、
前記簡易録音設定画面上で、前記ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当てを各チャンネル毎に変更する手段と、
前記簡易録音設定画面上で、前記ミキサ入力チャンネルのうちの任意の1つと前記トラックのうちの任意の1つとをそれぞれ指定して結線を行なう手段と、
実行指示に応じて、前記簡易録音設定画面における前記ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当ておよび前記ミキサ入力チャンネルと前記トラックとの結線に従い、前記ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当ての設定、および、前記ミキサ入力チャンネルと前記トラックとの結線の設定を一括して実行する手段と
を備えたことを特徴とするマルチトラック・ディジタル録音再生装置。 - 請求項1から4の何れか1つに記載のマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、
第1のモードと第2のモードとの何れかを選択する手段と、
前記簡易録音設定で、指定されたミキサ入力チャンネルから指定されたトラックへの録音ルーティングを設定する際、第1のモードが選択されているときは、前記録音ルーティングと同時に前記ミキサ入力チャンネルに対して所定の標準録音設定を設定し、第2のモードが選択されているときは、前記ミキサ入力チャンネルの設定状態を変更しないように設定する手段と
を、さらに備えたことを特徴とするマルチトラック・ディジタル録音再生装置。 - 複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段と、
複数のミキサ入力チャンネルと、
複数の録音トラックを有するマルチトラックレコーダと、
前記複数のミキサ入力チャンネルに入力したデータを選択的に入力する混合バス手段であって、同混合バス手段に入力された入力データをミキシングする機能を備えるとともに、入力データとしてマルチトラックレコーダからの再生出力を入力可能としたものと、
前記複数のミキサ入力チャンネルそれぞれについて前記複数のディジタル・オーディオ・データ入力手段のうちのいずれかを割り当て設定する入力パッチ手段と、
前記混合バスからのミキシング出力、または前記複数のミキサ入力チャンネルからのダイレクト出力を、前記マルチトラックレコーダの任意のトラックに個別に割り当て設定する録音セレクタ手段と
を備えたマルチトラック・ディジタル録音再生装置において、
前記の各種設定とは独立して、前記複数のミキサ入力チャンネルと前記マルチトラックレコーダの複数のトラックとをグラフィック表示するとともに、前記複数のミキサ入力チャンネルの各々への前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当てを示す入力ソースを表示する、簡易録音設定画面を表示する手段と、
前記簡易録音設定画面上に表示されるカーソルを、前記複数のミキサ入力チャンネル、前記複数のトラック、および前記入力ソースの上で移動可能とする手段と、
前記カーソルが、何れかのミキサ入力チャンネルの前記入力ソースの上に位置するとき、変更操作に応じて当該入力ソースを変更する手段と、
前記カーソルが、前記複数のミキサ入力チャンネルまたは前記複数のトラックの上に位置するとき、設定操作された場合、当該ミキサ入力チャンネルまたはトラックを選択状態にするとともに、カーソル移動の制限モードを設定し、カーソルが前記複数のミキサ入力チャンネルまたは前記複数のトラックの上に移動を制限されるように制御する手段と、
前記制限モードのとき、前記ミキサ入力チャンネルが選択されていたときは前記複数のトラックのうちの何れか、前記トラックが選択されていたときは前記複数のミキサ入力チャンネルのうちの何れかに、カーソルが位置して設定操作された場合、前記選択状態にあるミキサ入力チャンネルまたはトラックと、今回カーソルを合わせて設定操作したトラックまたはミキサ入力チャンネルとを結線する手段と、
実行指示に応じて、前記簡易録音設定画面で変更された各ミキサ入力チャンネルの入力ソースに従い、当該ミキサ入力チャンネルへの前記ディジタル・オーディオ・データ入力手段の割り当ての設定を行なうとともに、前記簡易録音設定画面の各ミキサ入力チャンネルから前記トラックの結線に従い、当該ミキサ入力チャンネルの前記トラックとの結線の設定を行なう手段と
を備えたことを特徴とするマルチトラック・ディジタル録音再生装置。
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