JP3700139B2 - 火源探知機能付火災用ロボット設備 - Google Patents

火源探知機能付火災用ロボット設備 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、火災用ロボット設備に関するもので、特に、火源探知機能付火災用ロボット設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル等の構築物等の消火対象物には、火災発生に備えて消火用ロボットが設けられている。この消火用ロボットには放水ノズルに連通する給水タンクと駆動用の蓄電池とが搭載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例の消火用ロボットは次の様な問題点がある。
(1)消火用ロボットは、モノレールに所定間隔、例えば、25m間隔で設けられた移動定点に停止する様に制御される。しかし、この移動定点に停止して放水すると、該火災用ロボットと火災発生地点との距離が離れすぎ、効率良く消火することができないことがある。
【0004】
(2)大火災に対応できるように給水タンクを大きくすると、消火用ロボットが重くなり、駆動用の蓄電池を大きくしなければならなくなる。
逆に、給水タンクを小さくすると、消火作業に必要な十分な水量を確保できない。
【0005】
(3)蓄電池は、消火用ロボットの長時間の駆動により、電圧が低下する。そのため、消火作業中に該消火用ロボットが作動しなくなることがある。
【0006】
この発明は、上記事情に基づき、火災用ロボットを消火に最適な位置に停止させることを目的とする。他の目的は、駆動用の電源及び消火剤の供給を十分に確保できるようにすることである。
【0007】
この発明は、蓄電池により駆動し、かつ、放水ノズルを備えた火災用ロボットと、該火災用ロボットの走行を案内し、かつ、火災用ロボットが消火或いは火災監視のために移動する時の停止位置である複数の移動定点を備えた移動経路と、該火災用ロボットの制御手段と、を備えた火災用ロボット設備であって;
該火災用ロボットが、火源探知手段である赤外線画像センサシステムを備え、該赤外線画像センサシステムはXY座標で表される複数の分割エリアからなる警戒エリアを監視しており、該制御手段が、火災用ロボットを、火災発生地点の情報に基づき制御盤が指定する移動定点まで移動させ、該火源探知手段の火源情報に基づき火源までの距離と火源の大きさを確認して、前記放水ノズルからの放水が届き消火できる消火範囲内に位置するか否かを判断し、該火災用ロボットが消火範囲外に位置する場合には、前記移動定点から移動させて該火災用ロボットを消火範囲内になるように位置せしめ、消火すべき分割エリアの数を判断し、該分割エリアが複数の場合は前記分割エリア中、出力が最大の分割エリア、或いは連続している分割エリアの大きいものを火源として選択し、その火源の幅を確認し、又、該分割エリアが単数の場合はその火源の幅を確認し、該火源の幅に対応して前記放水ノズルの放水パターンを制御する火源探知機能付火災用ロボット設備、により前記目的を達成しようとするものである。
【0008】
【作用】
火災が発生すると、火災用ロボットの制御手段は、該火災用ロボットに火災地点近傍迄移動する様指令する。該火災用ロボットは該指令に基づき火災地点近傍まで走行し、次いで、火災用ロボットは、火源探知手段からの火源情報に基づき、最適消火点迄移動するとともに、放水ノズルの位置を調整し放水を開始する。
【0009】
【実施例】
この発明の第1実施例を図1〜図17により説明する。トンネルの走行路の側壁上部又は真上にモノレール30を設け、該モノレール30に車輪11を介して火災用ロボット10を設ける。
【0010】
この火災用ロボット10は、例えば、消火、火災監視用の消火用ロボットであり、間隔をおいて複数配設されている。前記モノレール30は、火災用ロボットの走行を案内する移動経路で、例えば、前記トンネルの他、石油化学工場などのプラント設備の敷地、工場内、ビルなどの建物内、などの消火対象物に沿って配設される。
【0011】
このモノレール30には前記火災用ロボット10を待機させるロボットステーション31が間隔をあけて複数設けられている。このロボットステーション31は開閉自在なボックスである。
【0012】
モノレール30には、所定間隔、例えば、25m間隔、に移動定点32が設けられている。この移動定点32は火災用ロボット10が消火、或いは火災監視のため移動する時の停止位置である。
【0013】
モノレール30に沿って給電区画毎にループ状の給電用配線620が配設されている。この給電用配線620は耐腐蝕性の樹脂でコーティングされるとともに、高周波電源装置411に接続されている。
【0014】
火災用ロボット10には、前記給電用配線620から給電を受けるための受電体650が設けられている。該受電体650で受電した高周波電流は、必要に応じて直流、又は交流に交換して電動モータ642、制御装置17、充電式蓄電池20、監視用モニタカメラ22、火源探知手段、例えば、赤外線画像センサシステム110、等に供給する。この受電体650として、例えば、受電コイルが用いられる。
【0015】
図3は、給電用配線620と受電コイル650との位置関係を説明する図で、660はループ状に配線された給電用配線620の支持部材、661は火災用ロボット10のアーム663に設けられた補助輪、662は火災用ロボット10の上部に設けられ、上端に車輪641とモータ642を有するアームである。その給電用配線620の間に間隙を空けて挿入されるように、受電コイル650が火災用ロボット10のアーム662に固定されている。
【0016】
また、火災用ロボット10の電源変換装置322は、例えば、受電コイル650と並列に、この受電コイル650と給電用配線620の周波数に共振する共振回路を構成するコンデンサと、この共振回路のコンデンサと並列に接続された整流用ダイオードと、このダイオードに接続され、出力を所定電圧に制御する安定化電源回路と、直流を交流に変換するDC−ACコンバータ等とから構成されている。なお、安定化電源回路は、例えば、電流制限用のコイルと出力調整用トランジスタとフィルタを構成するダイオード及びトランジスタから構成されている。
【0017】
前記電動モータ642は車輪641を正転/逆転させ火災用ロボット10を走行させる。又、モニタノズル13は、ホースリール103に接続され、該ホースリール103のホース105は受給管体530に接続されている。この受給管体530の先端部には、接触式継手510が設けられている。
【0018】
受給管体530の後端部530aはジョイントサポータ120により支持されている。このジョイントサポート120は火災用ロボット10の基台101に固定されており、電動シリンダ102により摺動する。該受給管体530には、該基台101に固定されたホースリール103のホース105が接続しているが、このホース105は速度調整式ローラ106により挾持されている。
【0019】
受給管体530の先端部530bには、供給管体520のフランジ522に係合する係止爪107が設けられている。
【0020】
火災用ロボット10には、火源探知装置110が設けられている。この火源探知装置110として、例えば、赤外線画像センサシステムが用いられている。このセンサシステム110はセンサ本体111と、該センサ本体111を保持するセンサホルダ112と、から構成されている(図6)。
【0021】
センサ本体111には、複数の焦電素子113を備えたセンサ部114と、該センサ部114を制御する制御部115と、が備えられている。
このセンサ部114は、縦方向Y及び横方向Xに所定範囲、例えば、図9に示す様に、縦方向回転角θYは70゜、図10に示す様に、横方向回転角θXは150゜、回転して監視領域の温度分布を計測する。
【0022】
センサ部114の縦方向Y及び横方向Xの移動により、異常温度部分のY軸、X軸位置を制御部115に送出する。制御部115は、その位置情報から図11に示す様な分割エリアのマトリックスX4Y4(斜線部分)から火災位置を確定し、その情報を制御装置17に出力する。
【0023】
制御装置17は、前記火災位置から火災用ロボット10の位置が、消火に適当か否か判断する。即ち、火災発生位置X4Y4が火災用ロボット10のモニタノズル13の放水範囲内か否かを判断する。
【0024】
例えば、消火範囲を示す斜視図である図12、平面図である図13、の消火可能部HWが火災発生地点である場合は、そこを最適消火点と判断し、又、そうでない場合には火災用ロボット10を前進F、又は後退Bさせてその位置を調整し、火災発生地点Fが消火可能部HWに入るようにする。
上記では、縦方向に回転するセンサ部を示したが、縦方向に回転させることなく、複数のセンサ自体で縦方向の監視領域をカバーするようにしてもよい。
尚、上記ではセンサ本体Wのセンサ部114には、焦電素子を用いたが、この代わりに太陽電池を用いてもよい。
【0025】
22は監視用テレビカメラ、40は消火剤の貯蔵部、41は火災受信機44とアンテナ43を有する送受信機42とが接続されている制御盤、45は火災受信機44に接続され、かつ、トンネルの側壁に間隔をおいて複数配設された火災感知器、をそれぞれ示す。この火災感知器45として、例えば、熱、煙、炎の光、ガス、臭いなどによる各種感知器があるが、必要に応じて適宜選択される。
なお、47は連絡管33を介して供給配管100に接続され、かつ、制御盤41により制御される給水ポンプである。
【0026】
供給配管100は、モノレール30に沿って配設され、該配管100には移動定点32に対応して複数の供給管520が設けられている。この供給管520には、弁135と接触式継手510が設けられている。
【0027】
前記接触式継手510は図4に示す様に、供給管520と受給管530とから構成されている。
【0028】
供給管520の供給路523は直径Dに形成されているが、その先端部は絞り込まれ、断面円錐台状をなしている。放出口521の直径dは、前記直径Dに比べ大幅に縮径されている。両直径の割合d/Dは必要に応じて適宜決定されるが、例えば、d/Dは1/5が選ばれる。
【0029】
供給管520の先端にはフランジ522が設けられている。この供給管520の先端面は接触面524をなしているが、この接触面524は、平滑に、かつ、軸心Cに対して垂直状に形成されている。
【0030】
受給管530には受給路533が設けられているが、この受給路533は、出口536に向って次第に広がっている。受給口531の直径wは前記放出口521の直径dより若干大きく形成されている。該両直径の割合d/wは必要に応じて適宜選択され、例えば、d/wは0.9が選ばれる。
前記放出口521と受給口531とは対向しており、両口521、531の軸心は該流体継手510の軸心C上に位置している。
【0031】
受給管530の後端には、フランジ532が設けられている。この受給管530の後端面は、接触面534をなしているが、この接触面534は平滑に、かつ、軸心Cに対して垂直状に形成されている。
【0032】
この接触面534は、Oリング537を介して前記接触面524に当接しているが、両接触面524、534間にはわずかな隙間があり、この隙間が吸引部Gを形成している。
【0033】
この吸引部Gは放出口521、受給口531と連通し、通水時は両口521、531間における圧力と同圧、即ち、負圧となる。なお、両接触面524、534の面積の大きさは、必要に応じて適宜選択されるが、その面積が大きくなるに従って吸引力が増大する。
【0034】
本実施例の作動につき図14〜図17を参照して説明する。火災受信機44が、火災感知器45から火災情報、例えば火災信号を受信すると、その火災信号に基づいて火災発生地点を判別し、その情報を制御盤41に出力する(S302)。
【0035】
制御盤41は、火災発生地点の情報に基づき、火災用ロボット10を停止させる移動消火定点32aを判別する。この移動消火定点32aとして、ロボットステーションに最も近い発報感知器に対応する移動定点32から1つロボットステーション31寄りの移動定点が指定される(S304)。そして、火災用ロボット10を特定して火災発生地点の情報と移動消火定点32aの情報、並びに移動指令を送受信機43を通じ無線で送信する(S305)。
【0036】
ここで、例えば、火災用ロボット10の特定方法としては、制御盤41から出力したアドレスと各火災用ロボット10に記憶されている自己アドレスが一致した場合に、その火災用ロボット10が火災発生地点の情報と移動指令を受け取る方法が用いられる。
【0037】
又、制御盤41は、火災受信機44から火災情報を受信すると、電源供給装置411から給電用配線620に高周波電流を供給し、火災ロボット10に電源を無接触で供給する。火災用ロボット10は受電コイル650で無接触で受電し電源変換装置322で変換された電源により電動モータ642を駆動し、移動消火定点32aまで移動し、テレビカメラ22を動作させ、火災地点の状況を撮影して制御盤41に無線で送信する。
【0038】
なお、給電用配線620と受電コイル650との間の無接触による電源の供給は、給電用配線620を流れる高周波電流により、図3に点線Mで示すように給電用配線620の周囲に交番磁界を生じ、受電コイル650に起電力を発生させる。この起電力により発生した交流電流は電源変換装置322のダイオードで整流され、安定化電源回路により所定の直流電圧にされて出力され、またDC−ACコンバータによって交流電圧として出力され、各種搭載機器17、20、22等に供給される。
【0039】
制御盤41によって指定された火災用ロボット10は、その制御装置17が火災発生地点情報と移動命令を受信すると(S102)、移動消火定点番号n読込(S103〜S105)、電動モータ始動命令(S106)を発し、電動モータ642を正転もしくは逆転してロボットステーション31から制御盤41によって指定された移動消火定点32aまで移動する。制御装置17は、火災用ロボット10が指定された移動消火定点32aまで移動し、定点信号を発すると(S109)、電動モータ停止命令(S110)を発し、電動モータ642を停止させる。このとき、停止した移動消火定点32aの位置を制御盤41に送信するようにしてもよい。
【0040】
停止位置の判別方法として、各移動定点32に突起を設け、一方、火災用ロボット10には移動定点32の突起を検出するマイクロスイッチを設け、該マイクロスイッチが移動定点32を通過する毎に定点信号を出力する。この通過した移動定点の数をカウントして、そのカウントされた数と火災用ロボットが移動命令とともに読込んだ火災地点情報としての通過すべき移動定点の数Kとの大小の比較を行って、移動停止点32aを判別する。(S107、S108、S109)
【0041】
別方法としては、電動モータ642が何回転したかを回転計などで計測することにより、移動停止点を判別する方法もある。又、カウント方法としては、発光素子及び受光素子を設ける方法をとってもよい。
【0042】
火災用ロボット10が停止した場合に、制御盤41が停止信号を受信したならば、操作者が制御盤41を操作し、無線で、監視用テレビカメラ22の回動命令を火災用ロボット10に送る。
そして、上下左右に回動している監視用テレビカメラ22が火災地点を写した場合には制御盤41から監視用テレビカメラ22の回動停止命令を送出する。
【0043】
ここで、上下左右に監視用テレビカメラ22を首振りさせて火災地点を監視用テレビカメラ22の中央に映し出させ、操作者が映像から火災を確認する。
【0044】
また、火災用ロボット10が移動消火定点32aで停止すると、制御装置17はジョイント接続命令(S110A)を発して電動シリンダ102を駆動させ、一点鎖線の位置にある受給管530Aを移動して、フランジ532を供給管部520のフランジ522に当て、接触面524、534を当接させる。この両接触面524、534の当接により、図示しないロック装置のスイッチがオンとなり係止爪107がフランジ522に係合する。
【0045】
制御装置17は該火災用ロボット10が移動消火定点32aで停止すると同時に赤外線画像センサシステム110に火源探知命令を発する(S111)。
【0046】
該システム110はセンサ部114の焦電素子113を縦方向Y、横方向Xに移動しながら警戒エリアを監視する(S201)。この警戒エリアSAは複数の分割エリアDAから構成され各分割エリアDAは図11に示す様に、XY座標で表わされる。例えば、該センサシステム110の縦方向Yの監視角度θYは70゜、横方向の監視角度θXは150゜に調整される。
【0047】
該センサシステム110の制御部115がセンサ部114の出力から火源があると判断される分割エリアDAの数とそのそれぞれの個所のすなわち、座標位置の確認(S203)をすると、火源FGまでの距離とその大きさ(火災規模)の確認(S204)を行なう。例えば、火災発生地点、即ち、火源FGは図11に示す様に座標X4Y4の分割エリアDA1の1個である。
【0048】
火源FGの分割エリアDA1が確定すると、制御部115はその情報を制御装置17に出力し、制御装置17は火災用ロボット10のノズル13が火源FGが消火範囲HW内、即ち、ノズル13からの放水が届き効果的に消火できる範囲内、に位置するか否か判断する(S205)。
【0049】
火災用ロボット10が消火範囲外に位置する場合には、消火範囲HWになるように火災用ロボット10を前進F、又は後退Bさせ、最適消火点32bに位置せしめる。この時、火災用ロボット10の移動にともなって、ホース105がホースリール103より繰り出される。
【0050】
火災用ロボット10が消火範囲内になると、制御部115は、消火すべき分割エリアDAの数が単数か否か判断する(S206)。そして、該エリアDAが複数の場合は前記分割エリアDA中、出力が最大の分割エリア、あるいは連続している分割エリアの大きいものを火源FGとして選択し(S209)、火源FGの幅の確認を行なうとともに(S210)、方向制御用モータ21を駆動させてノズルに首振運動させながら(S211)放水(S113)する。なお、このとき、ノズルに首振運動させる代わりに、火源FGの幅を確認し、ノズルの放水パターンを制御して、適宜、棒状放水や噴霧状放水等を行なうようにしてもよい。
【0051】
該分割エリアDAが単数の場合は、火源FGの幅を確認し(S207)、火源中心にノズル13を向け(S208)るとともに、ノズルの放水パターンを制御する(S213)。この放水パターンとして、遠距離迄消火できる棒状放水や、広い範囲にわたって消火できる噴霧状放水、などがあるが、ノズルに設けた図示しない放水パターン制御手段により、必要に応じて適宜選択される。
【0052】
制御装置17は、放水制御部に弁開放命令(S112)を送出し、弁135を開放させる。制御装置17は送受信機18、42を介して制御盤41に放出開始命令を送信し(S113)、給水ポンプ47を始動させ、接触式継手510を通じて図示しないタンクに貯蔵されている消火剤、例えば泡混合液を供給し、モニタノズル13から放出させる。
【0053】
この時、制御盤41に放出開始を送信するようにしてもよい。又、弁開放命令は、例えば供給管520側にマイクロスイッチを、受給管530側にレバーを設けておき、このレバーを倒してマイクロスイッチを動作させるようにしても良い。
【0054】
供給管520の入口526に流体、例えば、消火用水Sを圧力P1で供給すると、該水Sは供給路523を通りながら放出口521で絞り込まれ、該水の圧力P1は速度水頭に変換された後、放出口521から受給管部530の受給口531に供給されるとともに、受給路533内で再び圧力水頭に変換され、圧力P3で出口536から排出される。
【0055】
この時の放出口521からの放水圧力P2は、ベルヌーイの定理に基いて次式により求められる。
P2=P1−Q2/2gS1 2
【0056】
この式において、Qは放出口521の流量、S1は放出口521の断面積、gは重力加速度、をそれぞれ示す。従って、流量Q、圧力P1が一定の場合には放出圧力P2は放出口521の断面積S1の関数となり、断面積S1を選択することにより放水圧力P2の値を負にすることができる。
【0057】
この様に放出口521の放水圧力P2は、供給路523及び受給路533中で最も小さな圧力となる。例えば、供給路523の圧力P1が10kg/cm2であり、受給路533の圧力P3が8kg/cm2である時には、放水圧力P2は−1kg/cm2となる。
【0058】
この放水圧力P2は、接触面524、534間の吸引部Gの圧力となるので、両接触面524、534は吸引部Gを介して強く引き合い吸着する。これにより両管部520、530は強固に接続されて一体となる。
【0059】
給水中に両管部520、530を互いに反対方向に引っ張っても、前記吸引部Gにおける吸引力のため両者520、530を引き離すことはできない。
しかし、供給管部520への給水を停止すると、前記吸引部Gにおける吸引力はなくなるので、両管部520、530は自動的に吸着が解除され、離れてしまう。
【0060】
なお、火災用ロボットに消火剤、例えば泡混合液を貯蔵したタンク及びそのタンクに貯蔵された消火剤量を検出する消火剤量検出部を設け、消火初期においてはタンクから消火剤をモニタノズル13に供給し、消火剤量検出部によって消火剤がないと判別された場合に、消火剤の貯蔵部40から消火剤を供給するようにしてもよい。
【0061】
また、タンクに泡原液のみを貯蔵し、消火剤の貯蔵部からは消火用水のみを供給するようにして、それらを例えば、ラインプロポーションのような混合器を用いて混合した後にモニタノズル13から放出するようにしてもよい。ここで、タンクを設ける場合にはモニタノズル13とホースリール103との間に弁を設けるようにし、それを制御する放水制御部も制御装置17に設ける。
【0062】
消火活動中は、制御装置17は、センサシステム110に鎮火されたか否かを監視させ(S114)、鎮火されたと判断した場合には、送受信機18、42を介して、制御盤41に放出停止命令(S115)を送信するとともに、弁135に対する閉弁命令及びジョイント切離命令(S115A)を出力する。制御盤41は放出停止命令の受信により、給水ポンプ47を停止させる。(S308、S309)。
なお、火災の鎮火をセンサシステム110に監視させ、システム110が鎮火を判別した時に上記動作を行なうようにしてもよい。
【0063】
一方、制御装置17は、電動モータ始動命令(S116)を発して火災用ロボット10を移動消火定点32aに向かって移動させると共に、ホースリール103を矢印A103方向に回転させ、ホース105を巻き取りながら該火災用ロボット10を移動消火定点32a迄戻す。次に電動シリンダ102を駆動してジョイントホルダ120を矢印A120方向に伸ばし、受給管体530を嵌合させて保持する。
【0064】
図示しない制御手段により係止爪107をフランジ522から外すとともに、電動シリンダ102を矢印A102と反対方向に移動させ、元の位置に戻す。
【0065】
このようにして、移動消火定点32aに対応して設けられた供給管520から切り離すとともに、弁135を閉じさせ、消火剤、例えば、泡混合液のモニタノズル13から放出を停止させる。
【0066】
その後、制御装置17は、電動モータ642を逆転もしくは正転させて火災用ロボット10を走行させ前記ロボットステーション31まで到達した時点でモータ停止命令(S120)を発信し、電動モータ642を停止し該火災用ロボット10を元の位置に戻すと共に、次の火災に備える。制御装置17は戻った旨を制御盤41に送信する(121)。
【0067】
火災用ロボット10がロボットステーション31まで戻ったことを判別する方法としては、フローチャートに示したように、停止した移動定点32aを起点として通過した移動消火定点の数をカウントして、その数と移動命令とともに読込んだ火災地点情報としての通過すべき移動定点の数Kとの差が0となった場合にロボットステーション31まで戻ったとする方法が採用される(S117〜S119)。
【0068】
別方法としては、電動モータ642が何回転逆回転したかを回転計などで計測することにより、ロボットステーション31に戻ったことを判別する方法もある。又、カウント方法としては前記発光素子及び受光素子を設ける方法を採用しても良い。
【0069】
また、火災用ロボット10が移動消火定点32aまで移動して電動モータ642を停止した後、更に所定位置に停止したか否かを判定し、否の場合には位置修正を行うプログラムを設けても良い。
【0070】
更に、火災用ロボット10を正確に指定した移動定点に停止させる為の移動微調整手段を設けても良い。この移動微調整手段として、例えば、火災用ロボット10がロボットステーション31から目標の移動定点に向う場合に、火災用ロボット10の移動速度をその途中迄高速で行い、該移動定点近傍に到達したら低速で行って、その移動定点に停止し易い様に速度を制御する方法が用いられる。
又、火災感知器45の情報に基づき該火災用ロボット10を移動消火定点 32a まで急速移動させるようにしても良い。
【0071】
また、火災用ロボット10の受給管530と移動定点32aに対応して設けられた給水管520との接続が完了したことを、圧力水が送液されたことを感知する圧力センサを用いて判別し、接続が不十分と判別される場合には、消火ロボット10の位置修正を行ない、再度接続を試みるようにしてもよい。
【0072】
この発明の第2実施例を図18により説明するが、図1〜図17と同一図面符号は、その名称も機能も同一である。この実施例と第1実施例との相違点は次の通りである。
(1)流体継手510を介して接続される給受水装置により火災用ロボットに給水する代わりに、火災用ロボット10に消火剤を貯蔵するタンク700を搭載し、該タンク780からモニタノズル13に消火剤を供給すること、
(2)給受電装置の代わりに、充電式蓄電池710を備えていること、
である。
この実施例では、第1実施例と異なり、ジョイントの着脱、給水ポンプ始動停止、給水管の開閉、全線式非接触給受電装置、などが不要となるので、構造が簡単であり、かつ、操作も容易となる。
【0073】
この発明の実施例は、上記に限定されるものではなく、例えば、次の様に構成してもよい。
(1)火災用ロボットの駆動用の電源として、非接触型全線式給受電装置を用い、消火剤供給源として、火災用ロボットに搭載した給水タンクを用いる。
【0074】
(2)火災用ロボットの駆動用の電源として、充電式蓄電池を用い、消火剤供給源として、接触式継手を備えた給受水装置を用いる。
【0075】
(3)火災用ロボットの駆動用の電源として、非接触型スポット式給受電装置を用い、消火剤供給源として給水タンク、又は接触式継手を備えた給受水装置を用いる。次に、この非接触型スポット式給受電装置を図19〜図21により説明する。
【0076】
モノレール30に間隔をおいて配設されたロボットステーション31と移動定点32には、それぞれ非接触式給電装置401、402が設けられている。
【0077】
この給電装置は第1の非接触式給電装置401と第2の非接触式給電装置402とからなり、図24に示す様に、コ字状の磁性体401a、402aに巻かれた給電用配線401b、402bを備えている。この配線401b、402bは腐食を防止するため樹脂により被覆されているとともに、高周波電源装置411を介して制御盤41に接続されている。
【0078】
非接触式給電装置はモノレール30に沿って所定間隔、例えば、全長300mのモノレールに25mおきに設けられており、その給電装置の全長は、例えば、2mであり火災用ロボット10の停止位置が多少ずれても火災用ロボット10に給電ができるようになっている。この給電装置は第1の非接触式給電装置401と第2の非接触式給電装置402とから構成されている。
【0079】
第1の非接触式給電装置401は、ロボットステーション31内に設けられ、かつ、給電回路C1に配設されている。第2の非接触式給電装置402は、移動定点32に設けられ、かつ、前記給電回路C1と別個に形成された給電回路C2に配設されている。
【0080】
第1及び第2の非接触式給電装置401、402を高周波電流の供給先切り替え装置412を介して高周波電源装置411に接続している。
【0081】
火災用ロボット(移動式ロボット本体)10には、非接触式受電装置321が設けられている。この装置321は、図21に示す様に、コ字状の磁性体321aに巻かれた受電コイル321bを備えている。この受電コイル321bは電源変換装置322に接続されている。
【0082】
この電源変換装置322は、受電コイル321bによって受電された高周波電流を直流電流に変換して蓄電池(充電式電池)20を充電したり、電動モータ12、モニタノズル13の方向制御用モータ21、電動ポンプ15、制御装置17、アンテナ19付きの送受信機18などに電源を供給する。
【0083】
火災用ロボット10は、図示しない電圧監視回路が充電式電池(蓄電池)20の充電電圧を監視しており、電圧が所定電圧に低下したことを検出すると、制御装置17は送受信機18を介して制御盤41に給電要求信号を送信する。
【0084】
制御盤41は給電要求信号を受信すると、給電要求信号を送信した火災用ロボット10を判別し、要求した火災用ロボット10が停止しているロボットステーション31の非接触式給電装置401の給電用配線401bに高周波電源装置141と切り替え装置412を通じて高周波電流を給電する。
【0085】
火災用ロボット10は、給電用配線401bに流れる高周波電流を非接触式受電装置321の受電コイル321bによって電磁誘導により受電するとともに、受電した高周波電流を電源変換装置22で直流電流に変換し、充電式電池20を充電する。
【0086】
電圧監視回路が充電式電池20の電圧が規定電圧に回復したことを検出すると、制御装置17は制御盤41に給電完了信号を出力する。これにより、制御盤41は高周波電源装置411の動作を停止し、給電を停止する。
【0087】
そして、充電式蓄電池20の電圧が低下した時には、火災用ロボット10は近くの移動定点32に移動し、その受電コイル321bによって移動定点32に設けられた第2の非接触式給電装置402の給電用配線402bに流れる高周波電流を電磁誘導によって受電し、電源変換装置22によって直流や交流に変換し搭載している各種機器に供給する。
なお、非接触式給電装置を401、非接触式受電装置を321として、第1の実施例で説明した交番磁界方式を用いてもよい。
また、上記各実施例では、火災感知器45によって移動停止点を決めるようにしたが、火災用ロボット10が火災感知器による火災感知によって移動する時にセンサシステム110を動作させて、移動中にも火源探知させ、火源を探知したら移動を停止して火源位置を探知させるようにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】
この発明は以上の様に構成したので、火災用ロボットは火源探知装置からの火源情報に基づき最適消火点で効果的に消火活動を行なうことができる。
【0089】
接触式継手を備えた給受水装置を設けたので、火災用ロボットは必要な消火剤を十分得ることができる。
【0090】
又、全線式非接触型給受電手段を備えているので、火災用ロボットは十分な電源を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す火災用ロボット設備の概略図である。
【図2】火災用ロボットの拡大縦断面図である。
【図3】非接触型全線式給受電装置の概略図である。
【図4】接触式継手である。
【図5】接触式継手の使用状況を示す図である。
【図6】赤外線画像センサシステムを示す斜視図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】図7の左側面図である。
【図9】赤外線画像センサシステムの縦方向の監視状態を示す図である。
【図10】赤外線画像センサシステムの横方向の監視状態を示す図である。
【図11】分割エリアのマトリックスを示す図である。
【図12】火災用ロボットの消火範囲を示す斜視図である。
【図13】火災用ロボットの消火範囲を示す平面図である。
【図14】火源探知システムの制御装置のフローチャートの前半部である。
【図15】火源探知センサシステムの制御装置のフローチャートの後半部である。
【図16】火源探知システムの制御装置/火源探知のサブルーチンである。
【図17】火源探知システムの制御盤のフローチャートである。
【図18】第2実施例を示す正面図である。
【図19】第3実施例を示す図で図1に相当する。
【図20】火災用ロボットの拡大断面図である。
【図21】非接触型スポット式給受電装置を示す図である。
【符号の説明】
10 火災用ロボット
30 モノレール
31 ロボットステーション
32 移動定点
321 非接触式受電装置
401 非接触式給電装置
402 非接触式給電装置
510 接触式継手
520 供給管部
S24 接触面
530 受給管部
534 接触面
610 非接触式給電装置
620 非接触式給電装置
650 非接触式受電装置
G 吸引部

Claims (5)

  1. 蓄電池により駆動し、かつ、放水ノズルを備えた火災用ロボットと、該火災用ロボットの走行を案内し、かつ、火災用ロボットが消火或いは火災監視のために移動する時の停止位置である複数の移動定点を備えた移動経路と、該火災用ロボットの制御手段と、を備えた火災用ロボット設備であって;
    該火災用ロボットが、火源探知手段である赤外線画像センサシステムを備え、該赤外線画像センサシステムはXY座標で表される複数の分割エリアからなる警戒エリアを監視しており、
    該制御手段が、火災用ロボットを、火災発生地点の情報に基づき制御盤が指定する移動定点まで移動させ、該火源探知手段の火源情報に基づき火源までの距離と火源の大きさを確認して、前記放水ノズルからの放水が届き消火できる消火範囲内に位置するか否かを判断し、
    該火災用ロボットが消火範囲外に位置する場合には、前記移動定点から移動させて該火災用ロボットを消火範囲内になるように位置せしめ、
    消火すべき分割エリアの数が単数か否かを判断し、該分割エリアが複数の場合は前記分割エリア中、出力が最大の分割エリア、或いは連続している分割エリアの大きいものを火源として選択し、その火源の幅を確認し、又、該分割エリアが単数の場合はその火源の幅を確認し、該火源の幅に対応して前記放水ノズルの放水パターンを制御する火源探知機能付火災用ロボット設備。
  2. 前記火災用ロボット設備は、火災監視領域に複数配設された火災感知器を備え、
    前記制御手段が、火災用ロボットを、火災発生地点の情報に基づき制御盤が指定する移動定点まで急速移動させてから、該火源探知手段の火源情報に基づき火源までの距離と火源の大きさを確認して、前記放水ノズルからの放水が届き消火できる消火範囲内に位置するか否かを判断し、該火災用ロボットが消火範囲外に位置する場合には、該火災用ロボットを消火範囲内になるように位置せしめ、
    消火すべき分割エリアの数を判断し、該分割エリアが複数の場合は前記分割エリア中、出力が最大の分割エリア、或いは連続している分割エリアの大きいものを火源として選択し、その火源の幅を確認し、又、該分割エリアが単数の場合はその火源の幅を確認し、該火源の幅に対応して前記放水ノズルの放水パターンを制御する請求項1記載の火源探知機能付火災用ロボット設備。
  3. 前記移動経路に沿って延伸して配置された給電用配線と、
    前記火災用ロボットに設けられ、かつ、該給電用配線に流れる電流を無接触で検出する受電コイルと、
    からなる全線給受電装置を備えた請求項1、又は、2記載の火源探知機能付火災用ロボット設備。
  4. 前記火災用ロボットに設けられた受給管の接触面と前記移動経路に沿って配設された供給管の接触面とを当接させ、該供給管の縮径された放出口と受給管の受給口とを連通せしめるとともに、前記両管の接触面間に前記放出口及び受給口と連通する吸引部を形成した、接触式継手を備えた請求項1、2、又は、3記載の火源探知機能付火災用ロボット設備。
  5. 前記制御手段が、火災感知器と連結された制御盤と、該制御盤と送受信器を介して接続された火災用ロボットの制御装置と、を備えている請求項1、2、3、又は、4記載の火源探知機能付火災用ロボット設備。
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