JP3699543B2 - 抗菌剤及びこれを含有して成る抗菌性化粧料 - Google Patents

抗菌剤及びこれを含有して成る抗菌性化粧料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた抗菌活性を有し、且つ安定性及び安全性の高い抗菌剤、及び優れた抗菌性を有し、細菌,かび等の微生物により汚染されることのない、安定で且つ皮膚に対する刺激性の低い化粧料に関する。さらに詳しくは、シラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より得られる抗菌活性を有する画分、或いはシラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より分画,精製して得られる抗菌性を有する化合物を含有して成る抗菌剤、及びこれら或いはこれらと多価アルコール,多価アルコールのアルキルエーテルを含有して成る抗菌性化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、医薬品,化粧料及び食品等の分野において、特にローション剤,乳剤,軟膏,化粧水,乳液,クリーム等、水を含有する剤型のものにおいては、製造時及び使用時における細菌,かび等の微生物の混入による変質を防止するため、種々の防腐防黴剤が使用されてきた。かかる防腐剤としては、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,フェノキシエタノール,ヒノキチオール等のフェノール類、安息香酸及びその塩,サリチル酸及びその塩,デヒドロ酢酸及びその塩,ソルビン酸及びその塩等の酸類、塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、塩酸アルキルアミノエチルグリシン,塩化ステアリルヒドロキシエチルベタインナトリウム等の両性界面活性剤、感光素等が用いられている。
【0003】
しかし、上記の防腐防黴剤には、急性毒性等の他、皮膚に対する一次刺激性,感作性或いは光感作性の報告されているものが多く、安全性の面から日本薬局方,化粧品原料基準,食品添加物公定書において配合量が規制されており、実際に有効な抗菌活性を示す量を配合できないことが多い。さらに、皮膚外用剤や化粧料に添加した時、皮膚に対して発赤,発疹,浮腫といった刺激或いは感作反応を示さなくても、これらを使用する際に刺すような痛みやヒリヒリする感じ又はチクチクする感じといった不快感を与えるものが多いことも知られている。また、医薬品等の基剤や組成物中の他の配合成分との相互作用により、十分な抗菌活性を示さない場合もある。
【0004】
たとえば、イソプロピルメチルフェノール,パラオキシ安息香酸エステル,ソルビン酸等の油溶性防腐防黴剤は、高分子増粘剤や粉体を含む組成物に配合した場合、吸着等により抗菌活性が低下する。また、界面活性剤を含有する組成物においては、界面活性剤ミセルへの取り込みによりやはり抗菌活性の低下が見られる。かといって、十分な抗菌活性を期待して多量を配合すると、低温での結晶析出等、製品の安定性上の問題が生じる。
【0005】
また、安息香酸塩,サリチル酸塩,デヒドロ酢酸塩等の水溶性防腐防黴剤は、組成物のpHが弱酸性でないと有効ではなく、酸性下にて使用する場合であっても、酸性が強くなるに従い水に対する溶解度が低下し、結晶の析出を来すことがある。
【0006】
さらに、第4級アンモニウム類や両性界面活性剤については、皮膚刺激性,眼粘膜刺激性が認められたり、発泡しやすい,酸性側で抗菌活性が低下する,陰イオン性物質との相互作用等の実使用上の問題がある。一方、親水性の陽イオン性界面活性剤として汎用されるN-長鎖アシル塩基性アミノ酸誘導体及びその酸付加塩は、殺菌性洗浄剤として古くから知られており(特公昭51−5413)、それらの1種であるN-ココイル-L-アルギニンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩は、「CAE」の商品名で市販されているが、医薬品や化粧料のように他種類の原料を含有する複雑な系では、配合した濃度に対して期待した通りの抗菌効果が得られず、十分な抗菌作用を示すまで増量した場合には系の安定性が低下するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、医薬品,化粧料等の基剤や組成物中の他の配合成分により抗菌活性が低下することなく、優れた抗菌活性を有し、安定性及び安全性の高い抗菌剤を得ることを目的とした。そしてさらに、可能な限り抗菌剤の添加量を少なくして、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さないだけではなく、化粧料使用時の刺すような痛みやヒリヒリ感,チクチク感といった不快感をも与えない化粧料を得ることをも目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以前に本発明者らは、抗菌活性を有し且つ安定性及び安全性が高い植物の抽出物を見い出しているが、上記課題を解決するため、前記植物抽出物について抗菌活性の高いもののスクリーニングを行った。その結果、シラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より、高い抗菌活性を有する画分を見い出し、さらにシラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より抗菌活性を有する化合物を精製,単離し、それらを抗菌剤に含有させることにより、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明においては、シラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より得られる、抗菌性を有する画分、或いはシラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より分画,精製して得られる、(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノピラノシド((+)-lyoniresinol 3α-O-α-L-rhamnopyranoside),(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロピラノシド((-)-lyoniresinol 3α-O-β-D-xylopyranoside),9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソラリシレシノール(9,9'-di-O-feruloyl-(-)-secoisolariciresinol),アセロゲニンE(acerogenin E),3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(3,4,5-trimethoxyphenol β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol 2-O-β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),(+)-カテキン7-O-β-D-キシロピラノシド((+)-catechin 7-O-β-D-xylopyranoside),ルペオール(lupeol)及びモノギノールA(monogynol A)より成る群から選ばれる1種又は2種以上を溶媒や基剤に含有させて抗菌剤とする。
【0010】
また、上記のシラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より得られる抗菌性画分、或いは前記樹皮抽出物より分画精製して得られる抗菌性化合物の1種又は2種以上を化粧料基剤に含有させて抗菌性化粧料とする。抗菌性化粧料には、さらに多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれる1種又は2種以上を併用して含有させてもよい。
【0011】
【作用】
本発明に係る抗菌剤は、広い抗菌スペクトルと優れた抗菌活性を有し、安定性及び安全性が高く、基剤や組成物中の他の配合成分により抗菌活性が低下することがない。また、これらを含有させて抗菌性化粧料とした場合、優れた防腐防黴効果が得られるとともに、皮膚に対する刺激性及び感作性が見られないだけでなく、皮膚に適用した際の刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感も著しく低減される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において抗菌性画分を得るのに用いられるシラカンバ属植物としては、シラカンバ(Betula platyphylla Sukatchev var. japonica Hara),ダケカンバ(Betula ermani Cham.),ジゾウカンバ(Betula globispica Shirai),ヤエガワカンバ(Betula davurica Pall.),ウダイカンバ(Betula maximowicziana Regel),アズサ(Betula grossa Sieb. et Zucc. var. ulmifolia Makino),ミズメ(Betula grossa Sieb. et Zucc.),ウラジロカンバ(Betula corylifolia Regel et Maxim.),オノオレ(Betula schmidtii Regel)等が挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。
【0013】
上記植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物は、これら植物の樹皮をそのまま、或いは細切,乾燥,粉砕等の処理を行った後に、水,メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロパノール,ブタノール,エチレングリコール,プロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール,ジエチレングリコール,ジプロピレングリコール,イソプレングリコール,ヘキシレングリコール,グリセリン,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸イソプロピル,エチルエーテル,イソプロピルエーテル,アセトン等の高極性溶媒の1種又は2種以上を抽出溶媒とし、浸漬,蒸留,圧搾,環流等の抽出操作により得ることができる。得られた抽出物を濃縮し、又は抽出溶媒を除去後乾固し、水,エタノール,プロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール,グリセリン等の溶媒に再溶解させて抗菌性画分とする。さらに抗菌作用を失わない範囲で脱臭,脱色,分画等の精製操作を加えてもよい。
【0014】
また本発明において用いる抗菌性化合物は、上記のシラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物を濃縮後、水-エーテル分配し、水層をシリカゲルクロマトグラフィーにより分画し、得られた画分をさらにセファデックスLH-20カラムクロマトグラフィー,オクタデシルシリカ(ODS)カラムを使用した高速液体クロマトグラフィー等により精製,単離された化学式(1)で示される(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノピラノシド((+)-lyoniresinol 3α-O-α-L-rhamnopyranoside),化学式(2)で示される(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロピラノシド((-)-lyoniresinol 3α-O-β-D-xylopyranoside),化学式(3)で示される9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソラリシレシノール(9,9'-di-O-feruloyl-(-)-secoisolariciresinol),化学式(4)で示されるアセロゲニンE(acerogenin E),化学式(5)で示される3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(3,4,5-trimethoxyphenol β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),化学式(6)で示される4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol 2-O-β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),化学式(7)で示される(+)-カテキン7-O-β-D-キシロピラノシド((+)-catechin 7-O-β-D-xylopyranoside),化学式(8)で示されるルペオール(lupeol),及び化学式(9)で示されるモノギノールA(monogynol A)であり、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。
【化1】
Figure 0003699543
【化2】
Figure 0003699543
【化3】
Figure 0003699543
【化4】
Figure 0003699543
【化5】
Figure 0003699543
【化6】
Figure 0003699543
【化7】
Figure 0003699543
【化8】
Figure 0003699543
【化9】
Figure 0003699543
【0015】
抗菌剤としては、上記の抗菌性画分又は抗菌性化合物を、水,メタノール,エタノール,プロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール,グリセリン等の溶媒や、水性基剤,乳剤,クリーム,軟膏等の基剤に溶解させて提供する。
【0016】
また本発明においては、上記抗菌性画分又は抗菌性化合物の1種又は2種以上を含有する抗菌性化粧料を提供する。本発明は特に水を多く含有する系や、外相が水相であるO/W型の乳化系に有用であり、化粧水,乳液,ジェル,クリーム,パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション若しくはクリーム,乳液状又はクリーム状ファンデーション,乳化型アイカラー又はチークカラー,水性懸濁型のアイライナー,乳化型のアイライナー又はマスカラ等のメイクアップ化粧料、シャンプー,リンス,整髪料等の毛髪化粧料、或いはクレンジング剤,洗顔料,液体石鹸,ハンドソープ等の洗浄剤などとして提供できる。かかる抗菌性化粧料への配合量としては、化粧料全量に対し、抗菌性画分で0.1〜10.0重量%、抗菌性化合物で0.1〜1.0重量%程度が適当である。
【0017】
さらに本発明に係る抗菌性化粧料においては、上記の抗菌性画分又は抗菌性化合物の1種又は2種以上に加えて、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルの1種又は2種以上を併用することにより、抗菌作用の増強を図ることができる。本発明においては通常化粧料原料として使用される多価アルコールであれば用い得るが、特に分子内に4個以下の水酸基を有するものが、相乗的な抗菌活性を得る上で好ましい。たとえば、エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール,3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソプレングリコール),ヘキシレングリコール,グリセリン,ジグリセリン等が例示され、これらより、1種又は2種以上を選択して用いる。
【0018】
また、本発明において用いる多価アルコールのアルキルエーテルとしては、グリコール類又はグリセリンのアルキルエーテルが好適に使用でき、特に、エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ),エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ),エチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール),ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール),ジエチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコールモノエチルエーテル,グリセリルモノパルミチルエーテル(キミルアルコール),グリセリルモノステアリルエーテル(バチルアルコール),グリセリルモノオレイルエーテル(セラキルアルコール)等が好ましいものとして例示され、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。これら多価アルコール等の抗菌性化粧料への配合量は通常用いられる量であるが、抗菌作用の増強を得るには5.0重量%以上の配合が好ましい。
【0019】
なお、本発明に係る抗菌性化粧料には、通常化粧料に用いられる油脂類,ロウ類,炭化水素類,脂肪酸類,低級アルコール類,高級アルコール類,エステル類,界面活性剤,水溶性高分子化合物,保湿剤,抗炎症剤,美白剤,皮膚細胞賦活剤,紫外線吸収剤,香料等を配合することができる。本発明に係る抗菌性化粧料においては、これらの併存成分により抗菌活性が影響を受けることが少なく、良好な抗菌作用が維持される。特に、これまで抗菌性が問題となりやすかった糖類,多糖類,ペプチド類,タンパク質,動植物抽出物等を配合したい場合には本発明は有用である。
【0020】
【実施例】
さらに本発明について、実施例により詳細に説明する。
【0021】
シラカンバ樹皮700gを5lのメタノールにて6時間環流抽出し、抽出液を濃縮後水に分散し、エチルエーテルとの分配を経て水層を分取し、これを濃縮した後シリカゲルクロマトグラフィーにより、クロロホルム及びメタノールを用いて分画を行った。抗菌性を有する画分を分取し、さらにセファデックスLH-20カラムクロマトグラフィーにより80重量%メタノールを用いて精製単離して得られる(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノピラノシド((+)-lyoniresinol 3α-O-α-L-rhamnopyranoside),(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロピラノシド((-)-lyoniresinol 3α-O-β-D-xylopyranoside),9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソラリシレシノール(9,9'-di-O-feruloyl-(-)-secoisolariciresinol),アセロゲニンE(acerogenin E),3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(3,4,5-trimethoxyphenol β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol 2-O-β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),(+)-カテキン7-O-β-D-キシロピラノシド((+)-catechin 7-O-β-D-xylopyranoside),ルペオール(lupeol)及びモノギノールA(monogynol A)を、それぞれ15重量%の1,3-ブチレングリコール水溶液に1.0重量%となるように溶解させ、実施例1〜実施例9とした。
【0022】
上記の実施例1〜実施例9の抗菌活性を、細菌として大腸菌(Escherichia co li),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis),緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa),Pseudomonas cepacia,変形菌(Proteus vulgaris),アクネ菌(Propyonibacterium acnes)、真菌として黒カビ(Aspergillus niger),カンジダ菌(Candida albicans)及びフケ菌(Pityrosporum ovale)を用いて評価した。各実施例に前記試験菌を細菌については1.0×106個/g、真菌については1.0×105個/gをそれぞれ植菌し、細菌については37℃、真菌については25℃で培養して経時的に生菌数を測定した。なお、15重量%の1,3-ブチレングリコール水溶液を対照とした。結果は細菌については表1〜表4に、真菌については表5及び表6に示した。
【0023】
【表1】
Figure 0003699543
【表2】
Figure 0003699543
【表3】
Figure 0003699543
【表4】
Figure 0003699543
表1〜表4より明らかなように、本発明の実施例1〜実施例9においては、試験菌は14日後にすべて死滅しており、多種の細菌に対して優れた抗菌活性を有することが示された。
【0024】
【表5】
Figure 0003699543
【表6】
Figure 0003699543
表5及び表6においても、全実施例で試験した真菌の生菌数は14日後には102個/g以下となっており、十分な抗菌活性を有することが認められる。
【0025】
以上のように、本発明の実施例1〜実施例9は広い抗菌スペクトルを有し、グラム陰性菌,グラム陽性菌,黴類及び酵母類に対し、いずれも有効な抗菌活性を示す。
【0026】
続いて、本発明に係る抗菌性化粧料の実施例を示す。
【0027】
[実施例10〜実施例13] 化粧水
(1)エタノール 10.0(重量%)
(2)ヒドロキシエチルセルロース 1.0
(3)ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
(4)シラカンバ属植物樹皮由来抗菌性画分 1.0
(5)精製水 87.9
製法:(1)〜(4)を順次(5)に添加し、混合溶解する。各実施例に配合したシラカンバ属植物樹皮由来抗菌性画分は表7に示した。
【表7】
Figure 0003699543
【0028】
[実施例14] 乳液
(1)スクワラン 4.0(重量%)
(2)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
(3)2-エチルヘキサン酸セチル 3.0
(4)セタノール 0.6
(5)ステアリルアルコール 0.4
(6)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.2
(7)1,3-ブチレングリコール 6.0
(8)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.8
モノステアリン酸エステル
(9)(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノ 0.5
ピラノシド
(10)精製水 81.4
(11)香料 0.1
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、加熱融解して75℃に保つ。一方、(9)を(7)に溶解し、(8)とともに(10)に加え、75℃に加熱して水相とする。これに前記油相を攪拌しながら添加して乳化する。冷却後、40℃にて(11)を添加,混合する。
【0029】
[実施例15] クリーム
(1)ステアリルアルコール 6.0(重量%)
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水素添加ラノリン 4.0
(4)スクワラン 9.0
(5)オクチルドデカノール 10.0
(6)ポリオキシエチレン(25E.O.)セチルエーテル 3.0
(7)グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0
(8)プロピレングリコール 6.0
(9)アセロゲニンE 0.8
(10)精製水 57.1
(11)香料 0.1
製法:(1)〜(7)の油相成分を混合し、加熱融解して75℃に保つ。一方、(9)を(8)に溶解して(10)に加え、75℃に加熱して水相とする。これに前記油相を攪拌しながら添加して乳化する。冷却後、40℃にて(11)を添加,混合する。
【0030】
[実施例16] 皮膚用ゲル
(1)ジプロピレングリコール 10.0(重量%)
(2)カルボキシビニルポリマー 0.5
(3)水酸化カリウム 0.1
(4)4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール 0.5
2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-
グルコピラノシド
(5)精製水 86.8
(6)胎盤抽出物 2.0
(7)香料 0.1
製法:(5)に(2)を均一に溶解させた後、(4)を(1)に溶解して添加し、次いで(3)を加えて増粘させ、(6),(7)を添加する。
【0031】
[実施例17] ゼリー状ピールオフパック
(1)ポリビニルアルコール 15.0(重量%)
(2)カルボキシメチルセルロース 5.0
(3)1,3-ブチレングリコール 6.0
(4)エタノール 6.0
(5)ポリオキシエチレン(20E.O.)オレイルエーテル 0.5
(6)ルペオール 1.0
(7)香料 0.1
(8)精製水 66.4
製法:(8)に(3)を加えて70〜80℃に加熱する。これに(1),(2)を添加して溶解させる。次いで、(5),(6)を(4)に溶解させて前記水相に添加して可溶化し、冷却後40℃にて(7)を加える。
【0032】
[実施例18] メイクアップベースクリーム
(1)ステアリン酸 12.0(重量%)
(2)セタノール 2.0
(3)自己乳化型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0
(4)プロピレングリコール 10.0
(5)グリセリン 3.0
(6)水酸化カリウム 0.3
(7)9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソ 1.0
ラリシレシノール
(8)精製水 68.1
(9)香料 0.1
(10)二酸化チタン 1.0
(11)ベンガラ 0.1
(12)黄酸化鉄 0.4
製法:(7)を(5)に溶解し、(6)とともに(8)に加える。これに(10)〜(12)を(4)で練って添加,混合し、70℃に加熱する。一方、(1)〜(3)の油相成分を混合,加熱して70℃とし、これを前記水相に攪拌しながら添加して乳化する。乳化後冷却して40℃にて(9)を添加,混合する。
【0033】
[実施例19] 乳液状ファンデーション
(1)ステアリン酸 2.4(重量%)
(2)モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
(3)セトステアリルアルコール 0.2
(4)液状ラノリン 2.0
(5)流動パラフィン 3.0
(6)ミリスチン酸イソプロピル 8.5
(7)グリセリルモノステアリルエーテル 3.5
(8)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
(9)ベントナイト 0.5
(10)イソプレングリコール 4.0
(11)トリエタノールアミン 1.1
(12)(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロ 0.5
ピラノシド
(13)(+)-カテキン7-O-β-D-キシロピラノシド 0.5
(14)精製水 53.5
(15)香料 0.1
(16)酸化チタン 8.0
(17)タルク 4.0
(18)ベンガラ 3.0
(19)黄酸化鉄 2.5
(20)黒酸化鉄 0.5
製法:(16)〜(20)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(14)を70℃に加熱し、(9)を加えてよく膨潤させ、これにあらかじめ(8)を(10)に分散させたものを加え、さらに(11)〜(13)を添加し、溶解させる。(1)〜(7)の油相は混合し、加熱,融解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(15)を添加する。
【0034】
[実施例20] クリーム状ファンデーション
(1)ステアリン酸 5.0(重量%)
(2)親油型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.5
(3)モノラウリン酸プロピレングリコール 3.0
(4)セトステアリルアルコール 1.0
(5)流動パラフィン 7.0
(6)ミリスチン酸イソプロピル 8.0
(7)ジグリセリン 3.0
(8)トリエチレングリコール 2.0
(9)トリエタノールアミン 1.2
(10)モノギノールA 0.6
(11)精製水 45.6
(12)香料 0.1
(13)酸化チタン 8.0
(14)カオリン 5.0
(15)タルク 2.0
(16)ベントナイト 1.0
(17)ベンガラ 2.6
(18)黄酸化鉄 2.1
(19)黒酸化鉄 0.3
製法:(13)〜(19)の顔料を混合後、粉砕機により粉砕する。(10)を(8)に溶解し、(7),(9)とともに(11)に添加,溶解し、加熱する。(1)〜(6)の油相は混合し、加熱,融解して80℃とする。前記顔料を水相に攪拌しながら加え、コロイドミルを通して75℃とし、前記油相を攪拌しながら加えて乳化し、冷却後40℃にて(12)を添加する。
【0035】
[実施例21] 乳化型アイカラー
(1)ステアリン酸 8.00(重量%)
(2)白色ワセリン 15.00
(3)パルミチン酸イソプロピル 5.00
(4)ラノリン 5.00
(5)1,3-ブチレングリコール 5.00
(6)ヘキシレングリコール 5.00
(7)トリエタノールアミン 2.00
(8)3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオ 0.80
フラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド
(9)精製水 52.53
(10)香料 0.15
(11)赤色221号 0.02
(12)グンジョウ 1.50
製法:(8)を(5)に溶解して(6),(7)とともに(9)に添加,混合,溶解して加熱し、さらにあらかじめ混合,粉砕した(11),(12)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(4)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(10)を添加,混合する。
【0036】
[実施例22] 乳化型チークカラー
(1)ミツロウ 3.00(重量%)
(2)ステアリン酸 2.00
(3)セタノール 3.00
(4)ラノリン 3.00
(5)流動パラフィン 15.00
(6)ミリスチン酸イソプロピル 7.00
(7)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 4.20
モノステアリン酸エステル
(8)ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.80
(9)グリセリルモノステアリン酸エステル 2.00
(10)グリセリルモノパルミチルエーテル 2.00
(11)プロピレングリコール 5.00
(12)トリエタノールアミン 0.60
(13)ウラジロカンバ樹皮由来抗菌性画分 1.00
(14)オノオレ樹皮由来抗菌性画分 1.00
(15)精製水 46.95
(16)香料 0.15
(17)赤色202号 0.05
(18)黄酸化鉄 2.25
製法:(13),(14)のシラカンバ属植物樹皮由来抗菌性画分は、各植物樹皮よりエタノール中圧搾して得た抽出物を濃縮し、精製水に分散してエチルエーテルにて洗浄後、シリカゲルクロマトグラフィーにおいてクロロホルム,メタノールにより溶出される画分を乾固し、エタノールに再溶解して調製する。(11)〜(15)の水相を混合,溶解して加熱し、これにあらかじめ混合,粉砕した(17),(18)を添加,分散し、75℃に加熱する。これにあらかじめ混合,加熱して均一とした(1)〜(10)を攪拌しながら添加して乳化し、冷却後(16)を添加,混合する。
【0037】
[実施例23] エマルション型アイライナー
(1)ステアリン酸 3.5(重量%)
(2)ミツロウ 2.0
(3)カルナウバロウ 0.5
(4)マイクロクリスタリンワックス 5.0
(5)1,3-ブチレングリコール 7.0
(6)エチレングリコールモノブチルエーテル 2.5
(7)トリエタノールアミン 1.5
(8)9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソ 0.1
ラリシレシノール
(9)アセロゲニンE 0.1
(10)4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール 0.1
2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-
グルコピラノシド
(11)精製水 47.6
(12)香料 0.1
(13)3.0重量%ベントナイト分散液 20.0
(14)酸化チタン 8.0
(15)カーボンブラック 2.0
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合,加熱して溶解させる。一方、(8)〜(10)を(5)に溶解し、(6),(7)とともに(11)に加えて水相とする。この水相を加熱し、攪拌しながら前記油相に加えて乳化する。次いで、この乳化物に(13)〜(15)を加え、コロイドミルを通して分散させた後冷却し、40℃にて(12)を加える。
【0038】
[実施例24] エマルション樹脂型マスカラ
(1)50.0重量%酢酸ビニルエマルション 30.0(重量%)
(2)カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
(3)1,3-ブチレングリコール 3.5
(4)エチレングリコールモノメチルエーテル 3.5
(5)(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノ 0.2
ピラノシド
(6)4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール 0.1
2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-
グルコピラノシド
(7)モノギノールA 0.2
(8)酸化チタン 8.0
(9)カーボンブラック 1.6
(10)ベンガラ 0.4
(11)精製水 51.5
製法:(5)〜(7)を(3)に溶解し、(2),(4)とともに(11)に添加して溶解させ、次いで(8)〜(10)を添加し、コロイドミルを通して分散させる。これに(1)を加え、均一に分散させる。
【0039】
[実施例25] クレンジングジェル
(1)グリセリン 15.00(重量%)
(2)1,3-ブチレングリコール 10.00
(3)無水ケイ酸 7.00
(4)ポリオキシエチレン(20E.O.)ラウリルエーテル 5.00
(5)ポリオキシエチレン(50E.O.)硬化ヒマシ油 2.50
(6)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 5.00
(7)カルボキシビニルポリマー 0.50
(8)水酸化カリウム 0.45
(9)3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオ 0.50
フラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド
(10)(+)-カテキン7-O-β-D-キシロピラノシド 1.00
(11)香料 0.10
(12)精製水 52.95
製法:(3),(7)を(12)に添加し均一とした後、(1)及び(2)に(4)〜(6)及び(9),(10)を溶解させて加え、70℃に加熱して均一に溶解させる。次いで冷却して40℃にて(11)を添加し、最後に(8)を加えて中和する。
【0040】
[実施例26] ヘアーリンス
(1)セタノール 2.000(重量%)
(2)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.000
(3)シリコーン油 3.000
(4)ポリオキシエチレン(10E.O.)オレイル 1.000
エーテル
(5)グリセリン 5.000
(6)4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール 0.500
2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-
グルコピラノシド
(7)ルペオール 1.250
(8)緑色3号 0.002
(9)香料 0.100
(10)精製水 85.148
製法:(10)に(6),(7)を(5)に溶解して加え、70℃に加熱する。一方、(1)〜(4)を混合,溶解し、70℃に加熱する。この油相を攪拌しながら先に調製した水相に徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーを加えて均一とした後冷却し、40℃にて(9)を添加する。
【0041】
[実施例27] ハンドクリーム(W/O型)
(1)流動パラフィン 30.0(重量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)ワセリン 5.0
(4)ジグリセリルオレイン酸エステル 5.0
(5)酢酸トコフェロール 0.5
(6)ビタミンD 0.1
(7)L-グルタミン酸ナトリウム 1.6
(8)L-セリン 0.4
(9)プロピレングリコール 3.0
(10)グリセリン 10.0
(11)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 2.5
(12)(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロ 0.5
ピラノシド
(13)ルペオール 1.5
(14)香料 0.1
(15)精製水 37.8
製法:(7),(8)を(15)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に攪拌しながら徐々に添加する。これをあらかじめ混合し70℃に加熱溶解した(1)〜(3)及び(5),(6)に均一に分散して油相とする。一方、(12),(13)を(9)〜(11)に溶解し、次いで(15)の残部に添加,溶解して70℃に加熱し、水相とする。この水相を前記油相に攪拌しながら徐々に添加し、ホモミキサーにて乳化する。冷却後40℃にて(14)を添加する。
【0042】
次に、上記の実施例につき、抗菌活性,皮膚刺激性及び使用時の不快感について評価を行った。試料としては、実施例10と実施例14〜実施例27を用いた。また同時に、表8に示す比較例についても同様に評価を行った。これら比較例においては、各比較対象実施例中の抗菌性画分又は抗菌性化合物を表に示す代替物に代替し、精製水にて全量を100重量%とした。
【表8】
Figure 0003699543
【0043】
(1)抗菌活性の評価 実施例10と実施例14〜実施例27、及び比較例1〜比較例15について、細菌として、大腸菌(Escherichia coli),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)及びアクネ菌(Propionibacterium acnes)を、真菌としてカンジダ菌(Candida albicans),黒カビ(Aspergillus niger)及びフケ菌(Pityrosporum ovale)を用い、試料1g当たり細菌は1×106個,真菌は1×105個を植菌し、37℃及び25℃でそれぞれ培養して、2週間後の生菌数を測定した。結果は表9において、細菌については生菌が認められなかった場合を○、真菌については生菌が植菌数の1/1000に相当する102個以下となった場合を○として示した。
【0044】
【表9】
Figure 0003699543
表9より、本発明の実施例においては、いずれも細菌及び真菌の双方に対して十分な抗菌活性が認められていた。これに対し、抗菌剤成分としてシラカンバ属植物樹皮抽出物由来の抗菌性画分或いは抗菌性化合物を含有しない比較例1,4,5,9〜11及び13においては、ほとんどの細菌及び真菌に対して十分な抗菌活性が認められていなかった。また、比較例6〜8,12,14及び15においては、パラオキシ安息香酸エステル,2-フェノキシエタノールといった抗菌剤を含有するにもかかわらず、一部の試験菌に対して十分な抗菌活性が得られていなかった。
【0045】
(2)皮膚刺激性の評価 各試料について、男性パネラー30名を用いて48時間の閉塞貼付試験を行い、表10に示す判定基準により評価し、30名の皮膚刺激指数の平均値を求めた。なお、実施例25,実施例26と比較例13,比較例14については、1.0重量%水溶液にて評価を行った。
【表10】
Figure 0003699543
【0046】
(3)使用時の不快感の評価 女性パネラー20名を1群とし、各群に各試料をそれぞれ両頬に塗布させ、塗布後30秒から1分の間に感じる刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感について評価させた。評価結果は、「非常に強く感じる;5点」,「やや強く感じる;4点」,「感じる;3点」,「少し感じる;2点」,「微妙に感じる;1点」,「感じない;0点」として評価し、20名の平均値にて示した。なお本評価においても、実施例25,実施例26と比較例13,比較例14については、1.0重量%水溶液にて評価を行った。以上の結果は表11にまとめて示した。
【0047】
【表11】
Figure 0003699543
表11において、本発明の実施例については、いずれも皮膚刺激性はほとんど認められておらず、使用時の不快感についても、実施例24及び実施例26で少し感じられた他は、微妙に感じられた程度であった。これに対して、抗菌剤成分としてパラオキシ安息香酸エステル或いは2-フェノキシエタノールを相当量含有する比較例2,3,8及び12においては、わずかな紅斑及び浮腫の発生が認められ、若干の皮膚刺激性が認められていた。また、これらにおいては、使用時の不快感について顕著に高い評価点を示し、使用時にかなり強い不快感が認められていた。前記抗菌剤成分の含有量が少ない比較例6,7及び15においても、化粧料塗布後の不快感が明確に認められていた。
【0048】
上記の通り、本発明に係る実施例において、シラカンバ属植物樹皮抽出物由来抗菌性画分又は抗菌性化合物を、パラオキシ安息香酸エステル類,2-フェノキシエタノールといった従来の抗菌剤に代替した場合、十分な抗菌活性を得るにはかなり高濃度の配合を要し、高濃度を用いた場合には、皮膚刺激性や使用時の顕著な不快感の発現といった好ましくない影響が生じた。比較例14におけるように、安全性が高く、皮膚刺激性が低いといわれるN-ココイル-L-アルギニンエチルエステル-DL-ピロリドンカルボン酸塩を用いた場合も、これ単独では十分な抗菌活性は得られなかった。
【0049】
なお、本発明に係る実施例のいずれについても、25℃で6カ月間保存した場合に、異臭や変色,凝集物,沈降物の発生、相分離等の状態の変化は見られなかった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、医薬品,化粧料等の基剤や組成物中の他の配合成分により抗菌活性が低下することなく、優れた抗菌活性を有し、安定性及び安全性の高い抗菌剤を得ることができた。そして、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さないだけではなく、化粧料使用時の刺すような痛みやヒリヒリ感,チクチク感といった不快感をも与えない化粧料を得ることができた。

Claims (3)

  1. シラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より分画,精製して得られる、(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノピラノシド((+)-lyoniresinol 3α-O-α-L-rhamnopyranoside),(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロピラノシド((-)-lyoniresinol 3α-O-β-D-xylopyranoside),9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソラリシレシノール(9,9'-di-Oferuloyl-(-)-secoisolariciresinol),アセロゲニンE(acerogenin E),3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(3,4,5-trimethoxyphenol β-D-apiofuranosyl-β-(1,6)-β-D-glucopyranoside),4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol 2-O-β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),(+)-カテキン7-O-β-D-キシロピラノシド((+)-c atechin 7-O-β-D-xylopyranoside)及びモノギノールA(monogynol A)より成る群から選ばれる1種又は2種以上を含有する抗菌剤。
  2. シラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より分画,精製して得られる、(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノピラノシド((+)-lyoniresinol 3α-O-α-L-rhamnopyranoside),(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロピラノシド((-)-lyoniresinol 3α-O-β-D-xylopyr anoside),9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソラリシレシノール(9,9'-di-O-feruloyl-(-)-secoisolariciresinol),アセロゲニンE(acerogenin E),3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(3,4,5-trimethoxyphenol β-D-apiofuranosyl-β-(1,6)-β-D-glucopyranoside),4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol 2-O-β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),及び (+)- カテキン 7- - β -D- キシロピラノシド( (+)-catechin 7- - β -D-xylopyranoside より成る群から選ばれる1種又は2種以上を含有して成る抗菌性化粧料。
  3. シラカンバ属植物の1種又は2種以上の樹皮抽出物より分画,精製して得られる、(+)-リオニレシノール3α-O-α-L-ラムノピラノシド((+)-lyoniresinol 3α-O-α-L-rhamnopyranoside),(-)-リオニレシノール3α-O-β-D-キシロピラノシド((-)-lyoniresinol 3α-O-β-D-xylopyranoside),9,9'-ジ-O-フェルロイル-(-)-セコイソラリシレシノール(9,9'-di-O-feruloyl-(-)-secoisolariciresinol),アセロゲニンE(acerogenin E),3,4,5-トリメトキシフェノールβ-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(3,4,5-trimethoxyphenol β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール2-O-β-D-アピオフラノシル-(1,6)-β-D-グルコピラノシド(4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanol 2-O-β-D-apiofuranosyl-(1,6)-β-D-glucopyranoside),及び (+)- カテキン 7- - β -D- キシロピラノシド( (+)-catechin 7- - β -D-xylopyranoside より成る群から選ばれる1種又は2種以上と、多価アルコール及び多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれる1種又は2種以上を含有して成る抗菌性化粧料。
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