JP3697927B2 - 車軸懸架式サスペンション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トーションビームを用いたリンク機構で、アクスルの動きを規制する車軸懸架式サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】
トラック(車両)では、快適な乗り心地を得るために、エアスプリングを用いて、フロントアクスルを懸架させることが行なわれている。この懸架構造には、トラックのフレームの下側および同フレームに搭載されたエンジンの下側を車幅方向に沿いに配設されたフロントアクスルの車幅方向両側にスプリングシートを形成し、これら各スプリングシートとフレームとの間にエアスプリングを装着する構造が用いられる。
【0003】
こうしたエアスプリングを用いてアクスルを懸架するサスペンションは、エアスプリングの支持剛性が低いために、それを補うべくフレームの前後方向、車幅方向に対してアクスルを位置決めるリンク機構が組み合わさる。
【0004】
ところで、トラックでも、他の車両と同様、車体のロールを抑える機能が求められる。
【0005】
そこで、アクスルの位置決め機構として、スタビライザを兼ねるリンク機構を用いて、アンチロール効果を得つつフロントアクスルの動きを規制することが行なわれている。
【0006】
詳しくは、例えばドイツ特許DE19624242に示されているようなリンク機構が用いられている。
【0007】
これは、中間部がスプリングシート間で回動可能に固定され、両側部がそれぞれフロントアクスルの前方に延び同前方のフレーム部分に取り付けたブラケットに固定されたコ字形のトーションビームと、このトーションビームの両側部と平行をなして先のブラケットとスプリングシートとの間に回動可能に連結したロッド部材とを組み合せた一対の平行リンク機構で形成される。そして、車幅方向両側の一対の平行リンク機構で、フロントアクスルを位置決めると同時に、平行リンク機構の一部材、すなわちトーションビームの変位を利用してアンチロール効果が選られるようにしてある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうしたサスペンションが用いられるトラックは、通常、フロントアクスルの上部にキャビンが搭載される構造なので、フロントサスペンションには、できるだけ快適な良好な乗り心地をもたらす性能が求められる。しかも、トラックは、フロントアクスルの上部にエンジンが搭載される構造なので、フレームの下側から良好にエンジンの整備が行なえるよう、エンジン下部には障害物が無いようにすることが求められる。
【0009】
ところが、ドイツ特許DE19624242のように、トーションビームの中間部分をスプリングシート間で固定させる構造だと、トーションビームのうち、重量のある(重量比率の大きい)中間部の重量が、フロントアクスルに加わるので、ばね下重量が重く、走行中、振動がフレームへ入力しやすくなり、乗り心地が損われやすい。
【0010】
またスプリングシート間に連結されるトーションビームの中間部は、フロントアクスルとほぼ平行でエンジンの下側を車幅方向沿いに通るので、フレームの下側から行なう整備作業には邪魔な存在となる。このため、エンジンの整備性も良好ではなかった。
【0011】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ばね下荷重の低減、エンジン整備性に優れるリンク機構を用いた車軸懸架式サスペンションを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した車軸懸架式サスペンションは、リンク機構を、中間部がエンジン前方に配置されて該エンジン前方のフレーム部分に回転可能に固定され、両側部がそれぞれ後方へ延びてアクスルの車幅方向両側にある各スプリングシートに固定されたコ字形のトーションビームと、このトーションビームの両側部と平行をなしてエンジン前方のフレーム部分とスプリングシートとの間に回動可能に連結されたロッド部材とを組み合せた構造とした。
【0013】
これにより、トーションビームのうち、重量のある(重量比率の大きい)中間部をフレームで支えられるので、アクスルには同中間部の重量が加わらずにすみ、その分、ばね下重量が低減され、乗り心地が向上するようになる。しかも、トーションビームの中間部は、エンジンの前方に配置されるので、エンジン(フレーム)の下側からは、フレームの下側からエンジン整備作業にとって邪魔になる部分が減少し、エンジンの整備性の向上が図られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0015】
図1は、例えばトラック(車両)の前輪Pを懸架する車軸懸架式サスペンションを示していて、図中1はトラックのフレームである。フレーム1は、車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム2を有するラダー形に形成してある。
【0016】
このフレーム1の前部(フロント側)には、サイドフレーム2間に収まるようにしてエンジン3が搭載されている。またエンジン3が搭載されたフレーム1の下方には、フロントアクスル4(アクスル:車軸)が、エンジン3の下側およびサイドフレーム2の下側を車幅方向沿いに挿通してある。そして、各サイドフレーム2から車幅方向に張り出たフロントアクスル4の各端部に、ナックル(図示しない)を介して、前輪Pが連結される。
【0017】
また各サイドフレーム2の下側と対応するフロントアクスル4の各上面部には、それぞれシート取付座(図示しない)が形成されている。これら各シート取付座には、それぞれスプリングシート部材5がボルト(図示しない)で締結してあり、同部分にスプリングシート6を形成している。そして、これらスプリングシート6とその直上のサイドフレーム部分との間には、それぞれエアスプリング7が取り付けられ、フロントアクスル4を支持している。なお、8はエアスプリング7をサイドフレーム2に固定するためのブラケットを示す。
【0018】
各スプリングシート部材5の車両前方側の端部には、それぞれロッド支持部9が一体に形成されている。各ロッド支持部9は、いずれも例えば上側と下側とに向く2種類の二股形状のロッド端受部9a,9bを有した形状をなしている。また各ロッド支持部9の車幅方向外側の側部からは、ショックアブソーバ用支持ピン10が突き出ている。そして、これら各ショックアブソーバ用支持ピン10とその直上のサイドフレーム部分との間にそれぞれショックアブソーバ11が連結され、エアスプリング7と組んで、フロントアクスル4、前輪Pを懸架している。
【0019】
一方、エンジン前方の各サイドフレーム部分の下面には、一対のロッド支持用ブラケット12が下方へ突き出るように取り付けられている。ロッド支持用ブラケット12は、いずれも例えばサイドフレーム2の直下となる地点に車両前後方向に開口する角筒形のロッド支持部13を形成し、このロッド支持部13の下側に軸受ホルダ部14を形成してなる。なお、各軸受ホルダ部14の内部には、軸心方向が車幅方向に向くように軸受15が内蔵してある。
【0020】
このロッド支持用ブラケット12とスプリングシート6との間には、本発明の要部となるパラレルリンクを用いたリンク機構20(スタビライザを兼ねる)が取り付けられている。
【0021】
リンク機構20は、コ字形のトーションビーム21を有している。このトーションビーム21は、中間部が例えばチューブ部材22から形成され、両側部がチューブ部材22の両端部に連結された縦壁状の一対のアーム23とから形成してある。
【0022】
そして、トーションビーム21のうちチューブ部材22の両端側が、各ロッド支持用ブラケット12の軸受ホルダ部14で回動自在に軸受支持されている。これにより、ねじり作用をもたらすチューブ部材22をエンジン前方で車幅方向に配置させフレーム1に支持させている。
【0023】
トーションビーム21の各アーム23は、後方(エンジン3、アクスル4がある方向)のロッド支持部9へ延びている。そして、各アーム23の先端部に形成されている目玉部23aが、各ロッド支持部9の下側にあるロッド端受部9bにピン24で上下方向に回動可能に連結してある。
【0024】
また各アーム23の上側には、アーム23と平行をなすスイングアーム25が配置されている。各スイングアーム25は、両端部に車幅方向に向く目玉部25aが形成してある。そして、車両前後方向の前側にある目玉部25aが、各ロッド支持用ブラケット12のロッド支持部13の内部でピン26により上下方向に回動可能に支持されている。また各後側の目玉部25aは、各ロッド支持部9の上側にあるロッド端受部9aにピン27で上下方向に回動可能に連結してある。これにより、エンジン前方にある左右一対のロッド支持用ブラケット12とフロントアクスル4の左右にある一対のスプリングシート6との間に、スイングアーム25をアッパロッドとし、アーム23をロアロッドとした組み合わせで形成される左右(車幅方向両側)一対の平行リンク機構を形成している。
【0025】
こうしたエンジン前方のフレーム部分に支持されるリンク機構20によって、フロントアクスル4を位置決める(主に車両前後方向の動きを拘束)と同時に、平行リンク機構の一部材、すなわちトーションビーム21の変位を利用してアンチロール効果をもたらすようにしている。
【0026】
なお、28は、フロントアクスル4の後方に車幅方向沿いに配置され、一端部がスプリングシート部材5の一方に連結され、他端部が同スプリングシート部材5と反対側に配置されているサイドフレーム2に連結されて取り付けられたラテラルロッドを示す(主にフロントアクスル4の車幅方向の動きを拘束)。
【0027】
こうした車軸懸架式サスペンションのリンク機構20は、トーションビーム21のうち、特に重量のある(重量比率の大きい)チューブ部材22(中間部分)をフレーム1で支える構造なので、フロントアクスル4にはチューブ部材22の重量が加わらずに、フロントアクスル4の位置決めを行えるようになる。
【0028】
したがって、車軸懸架式サスペンションにおけるばね下重量が低減でき、トラックの乗り心地性を向上させることができる。しかも、トーションビーム21のチューブ部材22がエンジン前方に配置されることによって、エンジン3(フレーム)の下側からは、フレーム1の下側からの整備作業にとって邪魔になる部分が削減されるので、エンジン3の整備性が向上する。
【0029】
なお、一実施形態では、トラックのフロントサスペンションに本発明を適用した例を挙げたが、これに限らず、バスなどのフロントサスペンションでもよく、またリアサスペンションに適用してもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、ばね下荷重の低減、エンジン整備性に優れるパラレルリンクのリンク機構を用いた車軸懸架式サスペンションを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車軸懸架式サスペンションの構造を説明するための斜視図。
【符号の説明】
1…フレーム
3…エンジン
4…フロントアクスル(アクスル)
5…スプリングシート部材
6…スプリングシート
7…エアスプリング
9…ロッド支持部
12…ロッド支持用ブラケット
20…パラレルリンクのリンク機構
21…トーションビーム
22…チューブ部材(中間部)
23…縦形のアーム(側部)。
Claims (1)
- 車両のフレームの下側および同フレームに搭載されたエンジンの下側に車幅方向に沿って挿通されたアクスルを有し、このアクスルの車幅方向両側にスプリングシートを形成し、これら各スプリングシートと前記フレームとの間にエアスプリングを取り付けて前記フレームを支持し、かつ前記アクスルの動きをリンク機構で規制させてなる車軸懸架式サスペンションであって、
前記リンク機構は、中間部が前記エンジン前方で車幅方向沿い配置されてエンジン前方のフレーム部分に回転可能に固定され、両側部がそれぞれ後方へ延びて前記各スプリングシートに固定されたコ字形のトーションビームと、このトーションビームの両側部と平行をなして前記エンジン前方のフレーム部分と前記スプリングシートとの間に回動可能に連結されたロッド部材とを組み合せて構成されることを特徴とする車軸懸架式サスペンション。
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