JPH11105527A - 車両用リヤサスペンション装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車室床面の地上高を低く乗降性が優れ、かつ
走行安定性が優れた構造簡単な小型バス等のスタビライ
ザ付リヤサスペンション装置を安価に提供する。 【解決手段】 リヤアクスルハウジングの車幅方向両端
付近を、リヤサスペンションにおけるリーフスプリング
の前後方向中間部分上方に装架してＵボルトにより同リ
ーフスプリングに固定する。リーフスプリングの上面と
リヤアクスルハウジングの下面との間に介装されたスプ
リングプレートを後方に延長して上方に屈曲させ、同延
長部上にスタビライザブラケットを設ける。平面形状が
Ｕ字状をなすスタビライザの前後方向に延びた脚部の前
端自由端部を、上記スタビライザブラケットに枢着す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用リヤサスペ
ンション装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の小型バスにおけるリヤサスペンシ
ョン装置の構成の一例を、図５ないし図７を参照して説
明する。図中、符号１０は車幅方向に延在して配置さ
れ、その両端部に駆動輪としての後輪１２を支持したリ
ヤアクスルハウジング、１４は車両前後方向に延在して
配置され、複数個の板ばねを重ね合わせて形成された左
右一対のリーフスプリングである。

【０００３】上記リーフスプリング１４は、夫々の前後
端の目玉部を、シャシフレーム１６の車両前後方向に延
在して配置され断面形状がコ字状をなす左右一組のサイ
ドレール１８に固着されたスプリングブラケット２０に
シャックルピン２２を介して枢着され、また左右のリー
フスプリング１４の前後方向の中間部分における下側
に、上記リヤアクスルハウジング１０の車幅方向両端付
近が、前後一対のＵボルト２４と、リヤアクスルハウジ
ング１０の下側に配置され上記Ｕボルト２４の下端のね
じ部が挿通される締付プレート２６と、同締付プレート
２６に挿通されたＵボルト２４のねじ部に螺合されるナ
ット２８とによって緊締固着されている。

【０００４】上記締付プレート２６の下面に、図６及び
図７に良く示されているように、平面形状が略長方形を
なすブラケット取付板３０が上記Ｕボルト２４及びナッ
ト２８により夫々共締め固着され、同ブラケット取付板
３０には、Ｕ字状をなすスタビライザブラケット３２が
溶接等により夫々固着されている。上記スタビライザブ
ラケット３２には、平面形状が略コ字状又はＵ字状をな
すスタビライザ３４の車両前後方向に延びた左右脚部３
４ａの先端自由端部が、自体周知のラバーブッシュ３６
及び協働するボルト３８を介して夫々枢着されている。

【０００５】また、上記スタビライザ３４は、車幅方向
に延在し上記左右の脚部３４ａを連結する横辺部３４ｂ
の両端付近を、ハンガロッド４０の下端に設けた支持部
材４２に相対回転を許容されるように支持され、同ハン
ガロッド４０の上端は、ラバーブッシュ４４及び協働す
るボルト４６を介してロッドブラケット４８に夫々枢着
されている。上記ロッドブラケット４８は、図５に示さ
れているように、複数のボルト５０によって前記サイド
レール１８の下方フランジに固着されている。

【０００６】なお、図５において、符号５２は上記サイ
ドレール１８のリヤアクスルハウジング１０の上方部分
に形成された上方わん曲部分を補強するため、同サイド
レール１８内に挿入され固着されたスティフナ、５４は
上記リーフスプリング１４の目玉部を枢支するスプリン
グブラケット２０近傍における左右サイドレール１８間
に車幅方向に延在して配置されその両端を各サイドレー
ルに固着された任意の断面形状を有するクロスメンバ、
５６はその下端を上記リヤアクスルハウジング１０に適
宜のブラケット及び枢軸を介して枢着され、かつ上端を
左右サイドレール１８間に架設された任意の断面形状を
有するクロスメンバ５４′にブラケット及び枢軸を介し
枢着されたショックアブソーバ、Ｇは地表面、Ｆは小型
バスの車室床面である。

【０００７】上記リヤサスペンション装置を備えた従来
の小型バスでは、車室床面Ｆの地表面Ｇからの高さが高
く、老人や幼児、傷病者等の乗降性が悪いので、車室床
面Ｆの高さを低くし、乗降性を改善することが望まれて
いる。しかしながら、上記リーフスプリング１４の下側
にリヤアクスルハウジング１０を配置した従来の構成で
は、走行上必要な最低地上高（上記リヤサスペンション
装置では、実質的に、リヤアクスルハウジング１０のデ
ィファレンシャル装置を収容したハウジング１０′の下
端面となる）を確保しながら、車室床面Ｆの高さを十分
に低減することは、実際上極めて困難である。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み創案されたもので、車両、特に小型バスの車室床面
を従来より十分低くして乗降性の改善を図ることがで
き、また走行中における車体のローリングを低減して乗
心地及び走行安定性を向上するスタビライザの配置に工
夫を施すことによって、構造簡単で製造コストが安く、
かつ跳石等によるスタビライザの損傷が少ない等の利点
を有するリヤサスペンション装置を提供することを、主
たる目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、シャシフレームの車両前後方向に延在し
た左右一組のサイドレールに前後端を夫々枢支されたリ
ーフスプリングと、車幅方向に延在して配置されその両
端付近を上記リーフスプリングの前後方向中間部分の上
方に装架されたリヤアクスルハウジングと、上記リーフ
スプリングとリヤアクスルハウジングとの間に介装され
たスプリングシートと、平面形状が略コ字状をなしその
両端自由端部を上記スプリングシートの車両前後方向延
長部に装着された取付ブラケットに夫々枢着されたスタ
ビライザとを具備したことを特徴とするリヤサスペンシ
ョン装置を提案するものである。

【００１０】上記構成によれば、リヤサスペンション装
置におけるリーフスプリングの車両前後方向中間部分の
上方にリヤアクスルハウジングを装架することにより、
走行上必要な最低地上高を確保しながら、車室床面を十
分に低くすることができる。また、リーフスプリングと
リヤアクスルハウジングとの緊締部分に介装されるスプ
リングシートに取付ブラケットを設けて、平面形状が略
コ字状又はＵ字状をなすスタビライザの両端自由端部を
枢着することによって、車室床面を低くして乗降性を改
善すると共に、スタビライザの効果的な配置により構造
の簡素化が達成され、さらに同スタビライザが跳石等に
よる損傷が少ない高位置に配置されることとなる。

【００１１】本発明においては、上記スプリングシート
の延長部が、車両後方に向って延びかつ上方に屈曲して
形成され、同延長部の上面に上記取付ブラケットが装着
される構成とすることが好ましい。この構成により、通
常、細長い長方形の板材からなるスプリングシートを後
方に延長してく字状に折曲げることにより、上記取付ブ
ラケットが装着される支持台が形成されるので、構造極
めて簡単となり、かつ上記スタビライザの配置位置を従
来より高くすることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下本発明の好ましい実施形態
を、図１ないし図４を参照して説明する。（なお、図５
ないし図７を参照して説明した従来のリヤサスペンショ
ン装置と実質的に同一又は対応する部材又は部分には、
同一の符号を用い、重複にわたる説明は省略する。） 図１に良く示されているように、リヤアクスルハウジン
グ１０は、その車幅方向の両端部分を、リーフスプリン
グ１４の前後方向中間部分（ここに謂う中間部分とは、
前後方向の中央を意味するものではなく中央を含みその
前後部分を包含するものである）の上方にスプリングシ
ート５８を介し装架され、車幅方向に並設された一対の
Ｕボルト２４と、同Ｕボルト２４のねじ部を挿通させリ
ーフスプリング１４の下面に当接された締付プレート２
６と、上記Ｕボルト２４のねじ部に螺合されたナット２
８とによって緊締固着されている。

【００１３】上記スプリングシート５８は細長い長方形
の平面形状を有すると共に、後方に延びかつ上方に屈曲
して、側面形状がく字状又はへ字状をなす延長部６０を
備えている。同延長部６０の上面に、図２に良く示され
ているように、スタビライザブラケット３２が固着され
ている。同スタビライザブラケット３２には、平面形状
が略コ字状又はＵ字状をなすスタビライザ３４の車両前
後方向に延在した脚部３４ａの先端自由端部が、ラバー
ブッシュ３６（図３参照）及びボルト３８を介し廻動自
在に枢着されている。

【００１４】上記スタビライザ３４の車幅方向に延在す
る横辺部３４ｂは、その両端付近をハンガロッド４０の
下端に設けられた支持部材４２に相対回転を許容される
ように支持され、同ハンガロッド４０の上端は、ロッド
ブラケット４８に固着されて車両中心面側に突設された
倒立Ｕ字状をなすハンガ腕６２に上下のラバーパッド６
４を介して吊持されている。また、上記ロッドブラケッ
ト４８は、図１に良く示されているように、シャシフレ
ーム１６の断面形状がコ字状をなすサイドレール１８内
に挿入され、複数のボルト６６により同サイドレールに
固着されている。

【００１５】なお、図１及び図２において、符号６８は
上記リーフスプリング１４の後端の目玉部をシャックル
ピン７０及びシャックル７２を介して枢支する後方のス
プリングブラケットであって、複数のボルト等固着具に
より、上記サイドレール１８に固着される。また、７４
は上記一対のＵボルト２４間においてリヤアクスルハウ
ジング１０の上方に配設されたバンプラバー、７６は同
バンプラバー７４と協働するストッパである。

【００１６】上記構成によれば、リヤアクスルハウジン
グ１０の車幅方向両端部分を、車両前後方向に配設され
たリーフスプリング１４の中間部分上方に装架したこと
により、必要な最低地上高を確保しながら、車室床面Ｆ
の高さを十分低くして、乗降性を向上することができる
ので、幼児、老人或いは傷病者の乗降が著しく容易にな
る利点がある。

【００１７】また、上記リーフスプリング１４の上面と
リヤアクスルハウジング１０の下面との間に介装される
細長い長方形のスプリングシート５８にく字状又はへ字
状をなすように上方に屈曲した延長部６０が設けられ、
同延長部６０上にスタビライザブラケット３２を固着し
て、スタビライザ３４の脚部３４ａの先端自由端部を枢
着することにより、同スタビライザ３４を前記従来の装
置より高い位置に配置することができ、跳石等によるス
タビライザ３４の破損を防止し得る利点がある。

【００１８】さらに、スタビライザ３４が、上記のよう
に高い位置に配置されるので、同スタビライザ３４の横
辺部３４ｂをシャシフレーム１６に吊持するハンガロッ
ド４０の長さが短縮され小型軽量化されると共に、同ス
タビライザ３４の先端自由端部が上記スプリングプレー
ト５８の延長部６０を介してリヤアクスルハウジング１
０に連結されることとなるので、全体として従来より構
造簡単かつ小型軽量となり、製造コストを低減し得る利
点がある。なおまた、図５ないし図７に示した従来のリ
ヤサスペンション装置を備えた小型バスの低床化を図る
場合、従来のスタビライザ３４を設計変更することな
く、そのまま使用することができるので、一層のコスト
低減を達成することができる。

【００１９】なお、本発明は、小型バスのみならず小型
トラック等に広く適用し得ることが明らかである。ま
た、図示の実施形態は、車両の前方にエンジンが搭載さ
れて後輪１２が駆動輪を構成する通常の小型バスにおけ
るリヤサスペンション装置に関するものであるが、車両
の基本構造上、車両の後方にエンジンを配置して後輪１
２を駆動する場合は、リヤアクスルハウジング１０のデ
ィファレンシャル装置を収容するハウジング１０′が逆
方向を向いて配置されるので、この場合は、スプリング
シート５８の延長部６０を前方に形成し、スタビライザ
３４をリヤアクスルハウジング１０の前方に配置すれば
良い。

【００２０】

【発明の効果】叙上のように、本発明に係る車両用リヤ
サスペンション装置は、シャシフレームの車両前後方向
に延在した左右一組のサイドレールに前後端を夫々枢支
されたリーフスプリングと、車幅方向に延在して配置さ
れその両端付近を上記リーフスプリングの前後方向中間
部分の上方に装架されたリヤアクスルハウジングと、上
記リーフスプリングとリヤアクスルハウジングとの間に
介装されたスプリングシートと、平面形状が略コ字状を
なしその両端自由端部を上記スプリングシートの車両前
後方向延長部に装着された取付ブラケットに夫々枢着さ
れたスタビライザとを具備したことを特徴とし、構造簡
単で製造コストが安く、走行安定性が優れたスタビライ
ザ付車両の車室床面を十分低くして乗降性を向上するこ
とができ、またスタビライザが従来より高い位置に配置
されるので、跳石等によるスタビライザの破損を効果的
に防止し得る利点がある。

【００２１】また、本発明において、上記スプリングシ
ートの延長部が、車両後方に向って延びかつ上方に屈曲
して形成され、同延長部の上面に上記取付ブラケットが
装着される構成としたことによって、スタビライザの取
付構造を極めて簡単なものとし、一層のコスト低減を図
ることができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の好ましい実施形態を示す要部側面図で
ある。

【図２】図１に示したリヤサスペンション装置の平面図
である。

【図３】図１におけるスタビライザ３４及びその支持装
置の拡大平面図である。

【図４】図３に示したスタビライザ３４及びその支持装
置の側面図である。

【図５】従来の小型バスにおけるリヤサスペンション装
置の側面図である。

【図６】図５に示した装置におけるスタビライザ３４及
びその支持装置の拡大平面図である。

【図７】図６に示したスタビライザ３４及びその支持装
置の側面図である。

【符号の説明】

１０…リヤアクスルハウジング、１２…後輪、１４…リ
ーフスプリング、１６…シャシフレーム、１８…サイド
レール、２４…Ｕボルト、３２…スタビライザブラケッ
ト、３４…スタビライザ、３４ａ…スタビライザの脚
部、３４ｂ…スタビライザの横辺部、４０…ハンガロッ
ド、５４及び５４′…クロスメンバ、５６…ショックア
ブソーバ、５８…スプリングシート、６０…延長部、Ｆ
…車室床面、Ｇ…地表面。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シャシフレームの車両前後方向に延在し
   た左右一組のサイドレールに前後端を夫々枢支されたリ
   ーフスプリングと、車幅方向に延在して配置されその両
   端付近を上記リーフスプリングの前後方向中間部分の上
   方に装架されたリヤアクスルハウジングと、上記リーフ
   スプリングとリヤアクスルハウジングとの間に介装され
   たスプリングシートと、平面形状が略コ字状をなしその
   両端自由端部を上記スプリングシートの車両前後方向延
   長部に装着された取付ブラケットに夫々枢着されたスタ
   ビライザとを具備したことを特徴とする車両用リヤサス
   ペンション装置。
2. 【請求項２】 上記スプリングシートの延長部が、車両
   後方に向って延びかつ上方に屈曲して形成され、同延長
   部の上面に上記取付ブラケットが装着されたことを特徴
   とする請求項１記載の車両用リヤサスペンション装置。