JP3697876B2 - 再生装置及び再生方法 - Google Patents
再生装置及び再生方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3697876B2 JP3697876B2 JP35744297A JP35744297A JP3697876B2 JP 3697876 B2 JP3697876 B2 JP 3697876B2 JP 35744297 A JP35744297 A JP 35744297A JP 35744297 A JP35744297 A JP 35744297A JP 3697876 B2 JP3697876 B2 JP 3697876B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- signal
- frequency
- pilot
- level
- pilot signal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる4周波のパイロット信号を用いてトラッキングサーボを行うVCR装置等に適用される再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )のパイロット信号を用いてトラッキングサーボを行うVCR装置、例えば8ミリ方式のビデオ装置においては、それぞれのパイロット信号の周波数が、例えばf1 = 6.5fH 、f2 = 7.5fH 、f3 =10.5fH 、f4 = 9.5fH (fH は水平周波数)に定められる。これによって隣接トラックのパイロット信号との周波数差は、常にfH または3fH になるようにされているものである。
【0003】
そこで再生時には、トラッキングしたいトラックのパイロット信号の周波数を再生信号に乗算することで、隣接トラックからのパイロット信号の成分がfH 及び3fH に低域変換される。そしてこの低域変換された信号からバンドパスフィルタを用いてfH 及び3fH の成分を抽出して、上述の低域変換されたパイロット信号の成分を検出する。さらにこれらの抽出信号をエンベロープ検波し、その差分信号からトラッキングサーボの誤差信号を得るようにされている。
【0004】
ここでパイロット信号の成分をfH 及び3fH に低域変換しているのは、元の周波数で100kHz〜166kHzのパイロット信号の各周波数を直接検波しようとすると、極めてQ値の高い急峻な特性のバンドパスフィルタ等が必要とされるためである。すなわち信号を低域変換することで、比較的Q値の低いバンドパスフィルタでも検出器を構成することができるようにしているものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上述のような低域変換によってパイロット信号の検出を行っている方法では、低域変換の過程でパイロット信号周波数の±fH 及び±3fH の信号を検出するために、例えばf1 = 6.5fH のパイロット信号の−fH の位置にノイズがあると、周波数 5.5fH のパイロット信号は存在しないにもかかわらず、このノイズ成分をパイロット信号と誤検出してしまう恐れがある。
【0006】
すなわち低域変換によってパイロット信号の検出を行う方法では、例えば元の周波数でf1 −3fH 、f2 −3fH 、f1 −fH 、f2 +fH 、f4 −fH 、f3 +fH 、f4 +3fH 、f3 +3fH などのノイズ成分が、このようなパイロット信号は本来は存在しないにもかかわらず、パイロット信号と誤検出されてしまう恐れがあるものである。
【0007】
また上述の低域変換による方法では、例えば上述のトラッキングサーボの誤差信号を自動利得制御する場合に不都合が生じる。すなわちこの方法では、一度に検出される信号は、本質的に|f1 |−|f3 |または|f2 |−|f4 |のいずれか一方のみであって、これらはいずれも隣接トラックのパイロット信号に応じたものである。従って、例えば再生中のトラックのパイロット信号の信号レベルを用いての自動利得制御は行うことができないものである。
【0008】
そこで従来の装置で、例えば周波数f1 のパイロット信号のトラックを再生中の自動利得制御を行う場合には、上述のトラッキングサーボの誤差信号|f2 |−|f4 |を検出するポイントとは別のポイントで、上述の乗算に用いる信号の周波数を切り換えることによって|f1 |−|f3 |の信号を検出する。そしてこの検出信号のレベルを周波数f1 の信号レベルと見做して、自動利得制御のための信号レベルを得る手段が取られていた。
【0009】
従ってこの手段では、トラッキングサーボの誤差信号を検出するポイントと、自動利得制御のための信号レベルを得るポイントの時間差は出来るだけ小さいことが望ましい。ところが現実には、上述の|f1 |−|f3 |または|f2 |−|f4 |の信号の検出の時定数が約300Hz〜1kHz程度あり、この時定数以上にサンプリングの間隔を縮めることはできないものである。
【0010】
また、例えばテープのトラックパターンにいわゆる標準モードと低速モードが設けられている場合に、これらのパターンを判別するためには、例えば|f1 |−|f3 |または|f2 |−|f4 |の信号を連続して検出する必要があるが、上述の低域変換による方法では、そのような検出を、例えばトラッキングサーボの誤差信号を検出するポイントと同じポイントで行うことは困難であった。
【0011】
なお、このような検出のポイントを一致させることによって、例えば変速再生時のテープパスがずれているような場合に、再生サーボのロック性能を向上させることができるものである。
【0012】
この出願はこのような点に鑑みて成されたものであって、解決しようとする問題点は、従来の装置ではノイズ成分がパイロット信号と誤検出されてしまう恐れがあり、また自動利得制御のための良好な信号レベルを得ることが困難であり、またトラックパターンを判別する際の信号も容易に得ることができず、さらにこれらの検出を同一のポイントで行うこともできなかったというものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このため本発明においては、4周波のパイロット信号をそれぞれ独立に検波してレベルを検出し、当該再生トラックに記録されているパイロット信号のレベルを用いてトラッキングサーボの誤差信号の自動利得制御を行うようにしたものであって、これによれば、ノイズ成分をパイロット信号と誤検出する恐れがなく、また同一のポイントで誤差信号の自動利得制御のための信号レベルの検出と、トラックパターンを判別する際の信号の検出を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
すなわち本発明は、4周波のパイロット信号を検出してトラッキングサーボを行う再生装置において、4周波のパイロット信号をそれぞれ独立に検波してレベルを検出し、当該再生トラックに記録されているパイロット信号のレベルを用いてトラッキングサーボの誤差信号の自動利得制御を行ってなるものである。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明を説明するに、図1は本発明を適用した再生装置の要部の一例の構成を示すブロック図である。
【0016】
この図1において、磁気テープ1に記録された信号が記録再生ヘッド(ヘリカルスキャン型の回転ヘッドを代表して示す)2を通じて再生される。この再生信号(PB・RF信号)が再生アンプ3を通じて、後段回路での折り返し歪み等を避けるために帯域をサンプリング周波数の1/2以下に制限するローパスフィルタ(LPF)4に供給される。そしてこのローパスフィルタ4で帯域制限された信号が後段のA/D変換回路5に供給される。
【0017】
さらにこのA/D変換回路5でデジタル化された信号が、それぞれ上述の4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )に対応したバンドパスフィルタ(BPF)+エンベロープ検波回路+ローパスフィルタ(LPF)の信号処理回路6、7、8、9に供給されて各パイロット信号の検波検出が行われる。なお、処理回路6〜9における各フィルタは、従来のアナログ回路では構成が困難なものであるが、本願においてはデジタル信号処理を行うことによって実現されるものである。
【0018】
これらの処理回路6、7、8、9で検波検出された4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )の各再生パイロット信号(PB・ATF・PILOT信号)の信号レベルの情報が、それぞれデータラッチ回路10、11、12、13に供給される。さらにこれらのラッチ回路10〜13には、ATF・PILOTデータラッチ信号発生部14からのラッチタイミング信号が供給される。
【0019】
そしてこれらのラッチ回路10〜13にラッチされた信号情報が、後述するトラッキングサーボの位相エラー(ATFエラー)の計算+トラッキングサーボの位相エラー信号の自動利得制御(AGC)の計算+トラックパターンの判別等を行う演算回路15に供給される。
【0020】
また例えばテープ移送機構のキャプスタンの回転速度を検出するFG検出素子16からの信号が、キャプスタンFG信号(CFG)検出回路(波形成形回路)17に供給されて矩形波のキャプスタンFG信号が検出される。この検出されたキャプスタンFG信号がCFG周期検出回路18に供給される。そしてこのCFG周期検出回路18からの信号がキャプスタン速度エラーの計算を行う演算回路19に供給される。
【0021】
さらに上述の演算回路15からのトラックパターンの判別信号が演算回路19に供給される。これによってこの演算回路19では、判別された標準モードと低速モードのトラックパターンに応じて、キャプスタン速度エラーの計算が行われて、必要な速度エラー信号が出力される。
【0022】
この速度エラー信号の出力と、上述の演算回路15からの位相エラー信号の出力が加算されてD/A変換回路20に供給される。このD/A変換回路20でアナログ化された信号が電力増幅回路21に供給される。そして電力増幅された信号がモータドライバ回路22に供給されて、テープ移送機構のキャプスタン駆動モータ23の駆動が行われる。
【0023】
すなわちこの装置において、処理回路6、7、8、9からは、4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )の各再生パイロット信号のレベルが、それぞれ独立に取り出されている。そしてこれらの各再生パイロット信号のレベルを用いて、演算回路15にて、トラッキングサーボの位相エラーの計算、位相エラー信号の自動利得制御の計算、トラックパターンの判別等が行われる。
【0024】
そこでトラッキングサーボの位相エラーの計算は、例えば周波数f1 、f3 のパイロット信号のトラックを再生中には、周波数f2 とf4 の再生パイロット信号のレベルとを比較して行うものである。また周波数f2 、f4 のパイロット信号のトラックを再生中には、周波数f1 とf3 の再生パイロット信号のレベルとを比較して行うものである。
【0025】
すなわち例えば周波数f1 のパイロット信号のトラックを再生中には、周波数f2 とf4 の再生パイロット信号のレベルとを比較して、例えば周波数f2 の再生レベルの方が大きいときはテープが進んでいるのでテープを遅らせるように位相エラー信号を出力する。また周波数f4 の再生レベルの方が大きいときはテープが遅れているのでテープを進ませるように位相エラー信号を出力する。
【0026】
同様に、周波数f2 のパイロット信号のトラックを再生中には、周波数f1 とf3 の再生パイロット信号のレベルとを比較して、例えば周波数f3 の再生レベルの方が大きいときはテープが進んでいるのでテープを遅らせるように位相エラー信号を出力する。また周波数f1 の再生レベルの方が大きいときはテープが遅れているのでテープを進ませるように位相エラー信号を出力する。
【0027】
また周波数f3 のパイロット信号のトラックを再生中には、周波数f2 とf4 の再生パイロット信号のレベルとを比較して、例えば周波数f4 の再生レベルの方が大きいときはテープが進んでいるのでテープを遅らせるように位相エラー信号を出力する。また周波数f2 の再生レベルの方が大きいときはテープが遅れているのでテープを進ませるように位相エラー信号を出力する。
【0028】
また周波数f4 のパイロット信号のトラックを再生中には、周波数f1 とf3 の再生パイロット信号のレベルとを比較して、例えば周波数f1 の再生レベルの方が大きいときはテープが進んでいるのでテープを遅らせるように位相エラー信号を出力する。また周波数f3 の再生レベルの方が大きいときはテープが遅れているのでテープを進ませるように位相エラー信号を出力する。このようにして、トラッキングサーボの位相エラー信号を求めることができる。
【0029】
そこでさらにこの位相エラー信号の自動利得制御の計算は、それぞれの再生されているトラックのパイロット信号の再生レベルを検出して行うことができる。すなわちこの装置では、各再生パイロット信号のレベルがそれぞれ独立に取り出されているので、再生中のトラックのパイロット信号も独立して同時に検出することができる。そしてこの当該パイロット信号のレベルを検出して、上述の位相エラー信号の自動利得制御を行うことができるものである。
【0030】
また、記録されたトラックがいわゆる標準モードであるか低速モードであるかのトラックパターンの判別は、例えば4周波のパイロット信号の内の任意のパイロット信号のエンベロープを検出して行うことができる。すなわち例えば周波数f1 とf3 の再生パイロット信号の絶対値をそれぞれ求めて、それらの差分信号を形成し、その差分信号のエンベロープを検出する。
【0031】
そして例えば標準モードで再生を行っているときに、このエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの1回転ごとに変動した場合には、トラックパターンは標準モードであるとの判別を行うことができる。また例えば標準モードで再生を行っているときに、このエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの回転にかかわらず一定の場合には、トラックパターンは低速モードであるとの判別を行うことができる。
【0032】
これに対して例えば低速モードで再生を行っているときに、このエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの1回転ごとに変動した場合には、トラックパターンは低速モードであるとの判別を行うことができる。また例えば低速モードで再生を行っているときに、このエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの2回転ごとに変動した場合には、トラックパターンは標準モードであるとの判別を行うことができる。
【0033】
こうしてこの装置において、トラッキングサーボの位相エラーの計算、位相エラー信号の自動利得制御の計算、トラックパターンの判別を行うことができるものである。そしてこの場合に、処理回路6、7、8、9からは、4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )の再生パイロット信号のレベルがそれぞれ独立に取り出されているので、例えば上述の周波数f1 −fH 等の位置にノイズがあっても、このノイズ成分をパイロット信号と誤検出する恐れがない。
【0034】
また、4周波の再生パイロット信号のレベルが常に独立に取り出されているので、例えば自動利得制御を行うための再生中のトラックの再生パイロット信号のレベルも常に得ることができ、これによって常に良好な自動利得制御のための信号レベルを得ることができる。さらにトラックパターンの判別も常に良好に行うことができると共に、これらの検出を同一のポイントで行うことによって、例えば再生サーボのロック性能を向上させることができるものである。
【0035】
従ってこの装置において、4周波のパイロット信号をそれぞれ独立に検波検出して、トラッキングサーボ、トラッキングサーボの誤差信号の自動利得制御、トラックパターンの判別などを行うようにしたことによって、ノイズ成分をパイロット信号と誤検出する恐れがなく、また同一のポイントで誤差信号の自動利得制御のための信号レベルの検出と、トラックパターンを判別する際の信号の検出を行うことができる。
【0036】
これによって、従来の装置ではノイズ成分がパイロット信号と誤検出されてしまう恐れがあり、また自動利得制御のための良好な信号レベルを得ることが困難であり、またトラックパターンを判別する際の信号も容易に得ることができず、さらにこれらの検出を同一のポイントで行うこともできなかったものを、本発明によればこれらの問題点を容易に解消することができるものである。
【0037】
さらにこれらの検出を同一のポイントで行うことによって、例えば再生サーボのロック性能を向上させることができる。これは特に機構部とテープの相性やばらつき、互換等によって、2倍速や逆転再生モードでのノイズバーのロック位置がうまく合わせられないなどの問題を改善することができるものである。
【0038】
さらに図2には、上述のバンドパスフィルタ(BPF)+エンベロープ検波回路+ローパスフィルタ(LPF)の信号処理回路6、7、8、9の具体的な構成を示す。この図2において、入力端子30には上述のA/D変換回路5からのデジタル信号が供給される。ここでA/D変換回路5のサンプリングレートは、例えば4fsc(fscはクロマ信号の副搬送周波数で、例えばNTSC方式では14.318181MHz、PAL方式では14.187500MHz)とした場合である。
【0039】
この入力端子30からの信号データが、信号処理の時間間隔を落とすためのハーフバンドフィルタ(HBF)31、32、33に順次供給される。これによって信号レートは、入力の4fscから、2fsc、fscと順に低下され、ハーフバンドフィルタ33の出力では、信号レートはfsc/2とされる。このハーフバンドフィルタ33の出力が、それぞれ4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )に対応したエンベロープ検波回路101、102、103、104に供給される。
【0040】
このエンベロープ検波回路101においては、まずハーフバンドフィルタ33からの信号と、信号発生器34からの周波数f1 のサイン波信号が乗算器35で乗算される。この乗算出力が、信号処理の時間間隔を落とすためのハーフバンドフィルタ(HBF)36、37、38、39に順次供給される。
【0041】
これによって、信号レートがfsc/2から、fsc/4、fsc/16と順に低下され、ハーフバンドフィルタ39の出力の信号レートはfsc/32とされる。このハーフバンドフィルタ39の出力信号が、ローパスフィルタ(LPF)40を通じて2乗回路41に供給される。そしてこの2乗された信号データが加算回路42に供給される。
【0042】
また、ハーフバンドフィルタ33からの信号と、信号発生器43からの周波数f1 のコサイン波信号が乗算器44で乗算される。この乗算出力が、信号処理の時間間隔を落とすためのハーフバンドフィルタ(HBF)45、46、47、48に順次供給される。
【0043】
これによって、信号レートがfsc/2から、fsc/4、fsc/16と順に低下され、ハーフバンドフィルタ48の出力の信号レートはfsc/32とされる。このハーフバンドフィルタ48の出力信号が、ローパスフィルタ(LPF)49を通じて2乗回路50に供給される。そしてこの2乗された信号データが加算回路42に供給される。
【0044】
さらにこの加算回路42で加算された信号データが平方根(ルート)の計算回路51に供給され、この計算回路51からの信号がローパスフィルタ(LPF)52を通じて出力端子53に取り出される。これによって、周波数f1 のパイロット信号の絶対値が検波検出される。
【0045】
すなわちこの回路において、例えば再生信号に含まれる周波数f1 のパイロット信号のレベル(振幅)をAとすると、入力信号(Input )は
Input =Asin (2π×f1 ×t+α)
で表される。
【0046】
一方、信号発生器34、43で発生された信号の振幅をBとして、この信号を乗算して2乗した後、加算された計算回路51の入力は、
となる。
【0047】
ここで〔式1〕の信号の周波数成分は、
DC成分 → 大きさ(AB)2
AC成分 → 振幅 (AB)2 、周波数 2×f1
となり、計算回路51の入力には、周波数f1 のパイロット信号の振幅成分の2乗に比例する値を得ることができる。そこでこの計算回路51で平方根(ルート)を取ることによって、周波数f1 のパイロット信号の振幅成分の絶対値を得ることができる。
【0048】
なお上述の回路において、乗算器35、44を通した後の周波数f1 の成分はDCに落ちている。そこでローパスフィルタ40、49、52では、DC成分のみを抜き出す。すなわち乗算器35及び44からローパスフィルタ52までのフィルタ特性はDC成分のみを通すものである。
【0049】
ここで周波数f1 のパイロット信号以外の成分を落とすためには、特にfH 、2fH 、3fH の信号成分を充分に落とす必要がある。そこで上述のフィルタのカットオフ特性は、300Hz〜1kHz程度に設計される。これによって〔式1〕の2f1 の周波数成分を充分に落とすことができる。
【0050】
さらにエンベロープ検波回路102においても、同様にまずハーフバンドフィルタ33からの信号と、信号発生器54からの周波数f2 のサイン波信号が乗算器55で乗算される。この乗算出力が、信号処理の時間間隔を落とすためのハーフバンドフィルタ(HBF)56、57、58、59に順次供給される。
【0051】
これによって、信号レートがfsc/2から、fsc/4、fsc/16と順に低下され、ハーフバンドフィルタ59の出力の信号レートはfsc/32とされる。このハーフバンドフィルタ59の出力信号が、ローパスフィルタ(LPF)60を通じて2乗回路61に供給される。そしてこの2乗された信号データが加算回路62に供給される。
【0052】
また、ハーフバンドフィルタ33からの信号と、信号発生器63からの周波数f2 のコサイン波信号が乗算器64で乗算される。この乗算出力が、信号処理の時間間隔を落とすためのハーフバンドフィルタ(HBF)65、66、67、68に順次供給される。
【0053】
これによって、信号レートがfsc/2から、fsc/4、fsc/16と順に低下され、ハーフバンドフィルタ68の出力の信号レートはfsc/32とされる。このハーフバンドフィルタ68の出力信号が、ローパスフィルタ(LPF)69を通じて2乗回路70に供給される。そしてこの2乗された信号データが加算回路62に供給される。
【0054】
さらにこの加算回路62で加算された信号データが平方根(ルート)の計算回路71に供給され、この計算回路71からの信号がローパスフィルタ(LPF)72を通じて出力端子73に取り出される。これによって、周波数f2 のパイロット信号の絶対値が検波検出される。
【0055】
なお、周波数f2 のパイロット信号の絶対値が得られることの証明は、上述の周波数f1 のパイロット信号の場合と同じである。また、周波数f3 、f4 のパイロット信号を検波検出するエンベロープ検波回路103、104についても、具体的な回路の説明は省略するが、信号発生器からのサイン波信号及びコサイン波信号の周波数を変えることで同様に行われるものである。
【0056】
さらにこれらのエンベロープ検波回路101〜104はほぼ同等のものであるので、図2のブロック図で8つに別れた回路をマルチプレックスして同一の回路を使用することができる。これによって、これらの回路、及びそれ以降の平方根(ルート)の計算回路やローパスフィルタ(LPF)を共通にして、装置全体の回路規模を削減することが可能である。
【0057】
さらに図3は、例えば2倍速(×2)の変速再生モードでの動作を説明するタイミングチャートである。この図3において、トラックパターンと回転ヘッドの走査軌跡は同図のAに示すようになっている。
【0058】
この場合に例えばヘリカルスキャン型の一方の回転ヘッドで周波数f1 のパイロット信号のトラックが再生され、他方の回転ヘッドで周波数f3 のパイロット信号のトラックが再生されるように位相サーボが行われる。ここで他方の回転ヘッドは、ヘッドとトラックのアジマス角が不一致で再生信号が得られないので、一方の回転ヘッドで再生された信号をメモリに記憶して代用するものである。
【0059】
一方、図3のBは、例えばヘリカルスキャン型の2つの回転ヘッドの切り換えと、パイロット信号のサンプリングのポイントA1 、A2 、A3 を示している。さらに同図のC〜Fはそれぞれ4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )のパイロット信号のレベルを示す。また同図のG、Hはそれぞれ|f1 |−|f3 |及び|f2 |−|f4 |のレベルを示している。なお従来の装置で自動利得制御を行うための信号レベルの検出ポイントは、例えばB1 に示されるものである。
【0060】
そこで上述のデータラッチ回路10、11、12、13にラッチされた各パイロット信号の信号レベルから、トラッキングサーボの位相エラー(ATFエラー)の計算と、位相エラー信号の自動利得制御(AGC)の計算と、トラックパターンの判別を行う演算回路15は、例えば図4に示すように構成される。
【0061】
すなわち図4において、上述のポイントA1 、A2 、A3 のタイミングで取り出された4周波(f1 、f2 、f3 、f4 )のパイロット信号のレベルが、それぞれ入力端子81、82、83、84に供給される。そして入力端子81、83からの信号(|f1 |、|f3 |)が、減算回路85に供給されて(|f1 |−|f3 |)が計算され、入力端子82、84からの信号(|f2 |、|f4 |)が、減算回路86に供給されて(|f2 |−|f4 |)が計算される。
【0062】
また減算回路85からの信号とその反転信号がスイッチ87で選択され、減算回路86からの信号とその反転信号がスイッチ88で選択される。さらにこれらのスイッチ87、88で選択された信号がスイッチ89で選択される。これによってスイッチ89からは、必要に応じて(|f1 |−|f3 |)と(|f2 |−|f4 |)の信号を取り出すことができる。
【0063】
さらにスイッチ89からの信号が、スイッチ90を通じて利得制御(AGC)アンプ91に供給される。またスイッチ89からの信号がスイッチ92を通じてローパスフィルタ(LPF)93に供給され、このローパスフィルタ93からの信号で利得制御アンプ91が制御される。
【0064】
これによって例えばポイントA1 では、|f2 |と|f4 |のレベルを比較して、例えば|f2 |のレベルの方が大きい(|f2 |−|f4 |>0)ときは、テープが進んでいるのでテープを遅らせるように位相エラー信号を出力する。また|f4 |のレベルの方が大きい(|f2 |−|f4 |<0)ときはテープが遅れているのでテープを進ませるように位相エラー信号を出力する。
【0065】
これに対して例えばポイントA2 では、|f2 |と|f4 |のレベルを比較して、例えば|f4 |の再生レベルの方が大きい(|f2 |−|f4 |<0)ときはテープが進んでいるのでテープを遅らせるように位相エラー信号を出力する。また|f2 |のレベルの方が大きい(|f2 |−|f4 |>0)ときはテープが遅れているのでテープを進ませるように位相エラー信号を出力する。このようにしてトラッキングサーボの位相エラー信号を求めることができる。
【0066】
さらに位相エラー信号の自動利得制御の計算は、例えば上述のポイントA1 、A2 、A3 のタイミングでいずれも||f1 |−|f3 ||のレベルを検出し、このデータをローパスフィルタ93を通して利得制御アンプ91の制御データとして用いる。これによって、例えば再生された|f1 |、|f2 |、|f3 |、|f4 |の信号レベルが大きいときにはアンプ91の利得を小さくし、逆に再生信号レベルが小さいときにはこれを大きくする利得制御を行うことができる。
【0067】
また、記録されたトラックがいわゆる標準モードであるか低速モードであるかのトラックパターンの判別も、例えば||f1 |−|f3 ||のレベルを検出して行うことができる。
【0068】
すなわち例えば標準モードで再生を行っているときに、この差分信号のエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの1回転ごとに変動した場合には、トラックパターンは標準モードであるとの判別を行うことができる。また例えば標準モードで再生を行っているときに、このエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの回転にかかわらず一定の場合には、トラックパターンは低速モードであるとの判別を行うことができる。
【0069】
これに対して例えば低速モードで再生を行っているときに、このエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの1回転ごとに変動した場合には、トラックパターンは低速モードであるとの判別を行うことができる。また例えば低速モードで再生を行っているときに、このエンベロープが例えばヘリカルスキャン型の回転ヘッドの2回転ごとに変動した場合には、トラックパターンは標準モードであるとの判別を行うことができる。
【0070】
こうして上述の再生装置によれば、4周波のパイロット信号を検出してトラッキングサーボを行う装置において、4周波のパイロット信号をそれぞれ独立に検波してレベルを検出し、当該再生トラックに記録されているパイロット信号のレベルを用いてトラッキングサーボの誤差信号の自動利得制御を行うことにより、ノイズ成分をパイロット信号と誤検出する恐れがなく、また同一のポイントで誤差信号の自動利得制御のための信号レベルの検出と、トラックパターンを判別する際の信号の検出を行うことができるものである。
【0071】
【発明の効果】
従って請求項1及び請求項5の発明によれば、4周波のパイロット信号をそれぞれ独立に検波してレベルを検出し、当該再生トラックに記録されているパイロット信号のレベルを用いてトラッキングサーボの誤差信号の自動利得制御を行うようにしたことによって、ノイズ成分をパイロット信号と誤検出する恐れがなく、また同一のポイントで誤差信号の自動利得制御のための信号レベルの検出と、トラックパターンを判別する際の信号の検出を行うことができるものである。
【0072】
これによって、従来の装置ではノイズ成分がパイロット信号と誤検出されてしまう恐れがあり、また自動利得制御のための良好な信号レベルを得ることが困難であり、またトラックパターンを判別する際の信号も容易に得ることができず、さらにこれらの検出を同一のポイントで行うこともできなかったものを、本発明によればこれらの問題点を容易に解消することができるものである。
【0073】
さらにこれらの検出を同一のポイントで行うことによって、例えば再生サーボのロック性能を向上させることができる。これは特に機構部とテープの相性やばらつき、互換等によって、2倍速や逆転再生モードでのノイズバーのロック位置がうまく合わせられないなどの問題を改善することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用される再生装置の一例の構成図である。
【図2】本発明の適用される再生装置の要部の一例の構成図である。
【図3】その動作の説明のための図である。
【図4】本発明の適用される再生装置の他の要部の一例の構成図である。
【符号の説明】
1…磁気テープ、2…記録再生ヘッド、3…再生アンプ、4…ローパスフィルタ、5…A/D変換回路、6,7,8,9…信号処理回路、10,11,12,13…データラッチ回路、14…ラッチ信号発生部、15…演算回路、16…FG検出素子、17…キャプスタンFG信号検出回路、18…CFG周期検出回路、19…演算回路、20…D/A変換回路、21…電力増幅回路、22…モータドライバ回路、23…キャプスタン駆動モータ
Claims (8)
- 4周波のパイロット信号を検出してトラッキングサーボを行う再生装置において、
上記4周波のパイロット信号をそれぞれ独立に検波してレベルを検出し、
当該再生トラックに記録されているパイロット信号のレベルを用いて上記トラッキングサーボの誤差信号の自動利得制御を行う
ことを特徴とする再生装置。 - 請求項1記載の再生装置において、
再生された信号に上記4周波のパイロット信号と同じ周波数のサイン波及びコサイン波をそれぞれ乗算し、
これらの乗算された信号をそれぞれ2乗した後同じ周波数の乗算された信号同士を加算し、
この加算信号から上記パイロット信号のレベルを検出する
ことを特徴とする再生装置。 - 請求項1記載の再生装置において、
隣接トラックに記録されている上記パイロット信号をそれぞれ独立に検波検出した信号のレベルを比較して上記トラッキングサーボを行う
ことを特徴とする再生装置。 - 請求項1記載の再生装置において、
上記4周波のパイロット信号の内の任意のパイロット信号のエンベロープを検出して上記トラックパターンの判別を行う
ことを特徴とする再生装置。 - 4周波のパイロット信号を検出してトラッキングサーボを行う再生方法において、
上記4周波のパイロット信号をそれぞれ独立に検波してレベルを検出し、
当該再生トラックに記録されているパイロット信号のレベルを用いて上記トラッキングサーボの誤差信号の自動利得制御を行う
ことを特徴とする再生方法。 - 請求項5記載の再生方法において、
再生された信号に上記4周波のパイロット信号と同じ周波数のサイン波及びコサイン波をそれぞれ乗算し、
これらの乗算された信号をそれぞれ2乗した後同じ周波数の乗算された信号同士を加算し、
この加算信号から上記パイロット信号のレベルを検出する
ことを特徴とする再生方法。 - 請求項5記載の再生方法において、
隣接トラックに記録されている上記パイロット信号をそれぞれ独立に検波検出した信号のレベルを比較して上記トラッキングサーボを行う
ことを特徴とする再生方法。 - 請求項5記載の再生方法において、
上記4周波のパイロット信号の内の任意のパイロット信号のエンベロープを検出して上記トラックパターンの判別を行う
ことを特徴とする再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35744297A JP3697876B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 再生装置及び再生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35744297A JP3697876B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 再生装置及び再生方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11185326A JPH11185326A (ja) | 1999-07-09 |
JP3697876B2 true JP3697876B2 (ja) | 2005-09-21 |
Family
ID=18454147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35744297A Expired - Fee Related JP3697876B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 再生装置及び再生方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3697876B2 (ja) |
-
1997
- 1997-12-25 JP JP35744297A patent/JP3697876B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11185326A (ja) | 1999-07-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5465071A (en) | Information signal processing apparatus | |
JPH0754571B2 (ja) | ビデオ信号再生装置 | |
JP3697876B2 (ja) | 再生装置及び再生方法 | |
JPH11195257A (ja) | 再生装置 | |
US5594602A (en) | Tracking error detecting circuit | |
JPH0636407A (ja) | 磁気記録再生装置 | |
JP2558626B2 (ja) | 記録速度判別装置 | |
JP3430732B2 (ja) | 磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法 | |
JP2000149357A (ja) | 画像再生装置、方法及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 | |
JP2746094B2 (ja) | トラッキング誤差検出装置 | |
KR100215460B1 (ko) | 트래킹에러신호 발생장치 및 그 방법 | |
JPH11213482A (ja) | 記録再生装置 | |
JP3666215B2 (ja) | トラッキング誤差検出回路 | |
JP3385739B2 (ja) | Secam判別装置 | |
JPS6012837B2 (ja) | Secamカラ−映像信号の処理回路 | |
JP3407499B2 (ja) | 磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法 | |
JP3430735B2 (ja) | 磁気再生装置及び磁気再生方法 | |
JP3962435B2 (ja) | 再生装置 | |
JP2658575B2 (ja) | トラッキング装置 | |
JP2871121B2 (ja) | トラッキング誤差検出装置 | |
JP2573695B2 (ja) | 磁気記録再生装置のトラツキング制御装置 | |
JP2834275B2 (ja) | 自動トラッキング装置 | |
JPS6313587A (ja) | 磁気記録、再生装置 | |
JPH07210950A (ja) | トラッキング制御装置 | |
JPH04274045A (ja) | トラッキング装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040115 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050323 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050412 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050518 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050614 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050627 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |