JP3696756B2 - 罫線形成体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、段ボールシートなどの板紙を用いて製函する工程で折目となる罫線を正確に形成するための罫線形成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、段ボールシートによる包装容器の製函に際しては、その段ボールシートとしてのブランクを打抜き型によって打抜くと同時に、その打抜き型に組み付けられている罫押し部材によりそのブランクに折曲げ部もしくは折畳み部となる罫線を形成し、これら罫線に沿って折曲げもしくは折畳みを行って、所定の部分で糊付けすることによって函体を形成するようにされている。この場合、ブランク上に正確でかつ折曲げに有用な罫線を圧刻するために、罫押し部材と協働してブランク上に罫線を形成するテープ状の罫線形成体が受け型の盤面上に貼着される。
【0003】
従来知られているこの種の罫線形成体100が図5に示されている。この図5の例では、ベースシート101の表面に二本の溝形成部材102が一定間隔を保って平行に固着されており、それら二本の溝形成部材102間に罫押し溝103が形成されている。このベースシート101の裏面は感圧接着層104を介して打抜き型の受け型(下型)盤面105上に貼着される。このように構成されている罫線形成体100は、通常、下面に前記罫押し溝103と嵌り合う突条を備えて上面には罫押し部材が嵌合するガイド溝を形成された罫押しガイド部材を、その突条を罫押し溝に係合させて例えば薄い接着テープによって前記罫線形成体100と一体的に仮接合させて供給される。このような罫線形成体100は、これを打抜き型の上型106に植設された罫押し部材107に前記罫押しガイド部材のガイド溝を嵌め合わせて装着し、その後において罫線形成体のベースシート101裏面の感圧接着層104を露出させて受け型を上昇させることにより、下型盤面105上に貼着されて使用可能な状態にされる。
【0004】
このようにして使用される罫線形成体100と罫押し部材107とでは、一般に図5において示されるように、罫線形成体100の罫押し溝103の幅に対して罫押し部材107の幅との間で生じる僅かな間隙分ブランクの罫線形成部においてそのブランク構成シートの一部が塑性変形されて罫線が創成されることになる。しかしながら、このような加工手段では、ブランクを構成する段ボールシートの場合、その中芯の位置が例えば図6(b)で示されるように、段ボールシート108の中芯の山になる部分に対向する位置に罫押し部材107が押し付けられると、形成される罫線の形状が左右非対称になる。このようにして形成された罫線位置を折目として段ボールシート108を折曲げると、どうしても罫線形成部の左右において張力差によるずれが生じて正しく折曲げられないという問題が生じる。なお、図中左側に表しているのは罫押し操作時における条件のよい場合を示している。
【0005】
特に、120°以上に折曲げが進むと外側から内側に向かって圧縮力が生じ、図7(c)に示される折曲げ部110の内面同士が干渉し始め、180°近くまで折曲げられると図7(d)で示されるように折曲げ部とは別の位置に無用な折曲がり部111が生じてしまう。このため、折曲げ箇所が不確実になり、折曲げ不良が生じる。
【0006】
このようなことから、図8(a),(b),(c)に示されるように、函体112を形成するために糊代片113をその糊代片113に対応する貼着部に貼着したとき、接合部に隙間,重なり,接合ずれなどが生じ、函体112の仕上がり具合が不揃いになって不具合であるという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような製函時における罫押し部分での折曲げ効果を高める手段として、例えば特開平10−249958号公報によって開示されているように、罫押し部材に対向する位置に凸条の受け部を配置して、その罫押し部材と凸条受け部とによって段ボールシートを挟み付け、罫線を表裏両面からの押圧によって形成するものが記載されている。
【0008】
このような罫線形成手段によれば、確かに段ボールシートの表裏から所要の箇所に罫線を形成できるので、従来行われている前述のような罫線の形成よりは有効であるが、表面側に押し込む条痕を形成する関係上取扱われる段ボールシートの材質によっては割れが発生する虞があるという問題がある。
【0009】
本発明は、前述のような問題点を解消するためになされたものであって、段ボールシートのような紙器形成用板材を折目線に沿って正確に折り曲げることができるように、紙器形成用板材上に罫線を形成する罫線形成体を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するためになされた、本発明による罫線形成体は、罫押し部材と共働して紙器形成用板材を折り曲げるための罫線を、その紙器形成用板材上に形成する罫線形成体であって、前記罫押し部材に対向する位置にその幅よりも狭い幅の溝部を有し、かつその溝部の両側を罫押し部材より広い区間で前記溝部に向かって下がり勾配面に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
このように構成される本発明によれば、紙器打抜き作業時に、例えば段ボールシートのような紙器形成用板材が罫押し部材によって罫線形成体に押し付けられると、その紙器形成用板材は罫押し部材を受ける罫線形成体側の溝部に一部が押し込まれ、同時にその両側部分が罫線形成体の下がり勾配面に沿って前記溝部に押し込まれた部分に追従して次第に押し潰される状態となる。その結果、紙器形成用板材には、罫押し部材による押圧力が加えられた面と反対の面に前記溝部の幅に応じた突条が形成され、その突条に沿ってその両側が押し潰された状態に形成される。要するに、罫押し部の反対面で細い突条を挟んでその両側に罫押し条が形成される。同時にその細い突条形成部の反対面(罫押し部材による押圧面)側には紙器形成用板材に圧縮部が生じる。
【0012】
このように、紙器形成用板材は、罫線形成体の溝部とその溝部幅より広い幅の罫押し部材とによって挟まれて圧縮される部分では、前記溝部に押し込まれた部分が細幅で溝側に膨れ出して線状に折曲げ罫線の基準部が定まり、その反対面での罫押し部材による圧縮で段ボールシートの厚みが局部的に薄くされるので、前記折曲げ罫線の基準部とその両側に形成される圧縮部との微値的な圧縮密度差で、前記基準部がその両側に形成される圧縮部よりも圧縮密度が低いことにより、折曲げ容易になる。その結果、当該弱め部に沿って正しく折曲げが行えるものが得られることになる。このように、本発明の罫線形成体によれば、紙器形成用板材に正確に折曲げ用の罫線を形成できて、組立時には正確に折曲げて紙器の組立ができ、接合部での隙間,重なり,接合ずれなどを防止できるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明では、前記溝部を逆台形状断面に形成されたものであるのがよい。こうすると、表ライナーに比較的坪量の大きいものを使用して構成される段ボールシートで製函する場合の罫線形成時に、その表ライナーを無理なく塑性変形させて罫線の基準部を形成することができるという効果を奏するのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による罫線形成体の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には本発明の一実施例にかかる罫線形成体の断面図が示されている。
【0016】
この実施例の罫線形成体1は、中央部に断面角形の溝部2を形成するように一対の罫線形成部材3,3が対称に配されてそれらの裏面をベースシート4によって一体に接合されてなり、そのベースシート4の下面に感圧接着剤層5が塗布形成され、未使用時における前記感圧接着剤層5の保護シート6が付着されている。そして、上面は中央部に位置する溝部2に対して所要の幅で下がり勾配面7,7が形成され、それら勾配面7および溝部2は罫線設置ガイド8によって覆われている。
【0017】
前記溝部2の幅寸法は、対向する罫押し部材10(後述)の幅よりも狭い寸法に設定されており、その溝部2に続く勾配面7,7は左右のものを合わせてその幅寸法を後述される罫押し部材10の幅より大きくされている。
【0018】
前記罫線設定ガイド8には、罫線形成体1の溝部2に嵌り合う突条部8aが下面に突設され、かつ下面を前記勾配面7,7に合致するように形成されて、上面中央に罫押し部材10の厚みとほぼ等しい幅のセット溝8bが設けられている。
【0019】
このような前記罫線形成部材3,3と罫線設置ガイド8との上面には、長さ方向にセロハンテープのような接合テープ9が貼着されており、この接合テープ9によって罫線形成部材3,3およびベースシート4とにより形成される溝部2に罫線設定ガイド8の下面に突設される突条部8aが嵌り合い保持される状態に維持されるようになっている。
【0020】
このように構成される罫線形成体1は、図で示される断面の方向に長く形成される長尺体で、適宜長さに裁断して使用される。また、図2に示されるように、罫押し部材10は、合板で形成される上型20に所要の位置で装着されている。なお、前記罫押し部材10は、その先端部を対象とする紙器形成用板材に応じて図示するような丸みを持った形状のほかに、やや尖らせたもの、あるいは先端の一部を突出させて尖らせたものなどが使用される。これら罫押し部材10の幅は、2〜3mmのものが一般的であり、これに対して前記罫線形成体1における溝部2の幅は、1.4〜1.6mm程度にされる。なお、これら数値については限定されない。
【0021】
このように構成される罫線形成体1の使用に際しては、図2に示されるように、打抜き型の上型20に装着されている罫押し部材10の先端に、罫線設置ガイド8のセット溝8bを嵌め込んで、この状態で罫線形成体1の底面に付着されている剥離紙6を除去して感圧接着剤層5を露出させ、下型30を上昇させてその盤面に打ち付ければ、その罫線形成体1は下型30の盤面上所定の位置に固着される。次いで、下型30を下降させると、罫線設定ガイド8は罫押し部材10と分離されたままになる。その後において、罫線設定ガイド8を安定させていた接合テープ9を剥離してその罫線設定ガイド8を持上げて除去することにより、罫線形成部材3,3が下型30の盤面上に設置されることになる。
【0022】
このようにして下型30の盤面上に設置された罫線形成部材3は、従来同様にして紙器形成用板材(以下,段ボールシート15として説明)を打抜き操作されるとき、上型20に取付く罫押し部材10との共働によって、その段ボールシート15に罫線を形成する。図3(a)に本実施例による段ボールシート上への折目形成状態を示す図が、図3(b)に折目を形成された段ボールシートの断面図が、それぞれ示されている。
【0023】
図3(a)にて示されるように、段ボールシート15を間に挟んで罫押し部材10を罫線形成部材3,3間に形成される溝部2に押し付けると、段ボールシート15の表面側(外面)がその罫押し部材10による押圧力で溝部2に強く押し付けられる。すると、その罫押し部材10の幅が溝部2の幅よりも広い寸法にされているので、押圧力で段ボールシート15の外ライナー15a部分がその溝部2内に押し込まれることにより膨出し、かつその膨出部16の両脇16′,16′が溝部2を形成する罫線形成部材3,3の角部3a,3aによって局部的に押されて塑性変形され、前記膨出部16の両脇16′,16′を含む罫押し部材10による押圧部分17が両罫線形成部材3,3に形成されている下がり勾配面7,7に沿って次第に押下げられるので、中芯(波形段紙)がライナーとともに押されて無理なく偏平に変形して内側に罫線18が形成される。
【0024】
このようにして形成された罫線18の形成部では、図3(b)で示されるように、段ボールシート15の外ライナー15aに向かって細幅の膨出部16が塑性変形して膨出形成されるとともに、その内側で段ボールシート15の波形段紙が幅広く潰されるので、この罫線18形成部分で確実に折り曲げることができる。
【0025】
特に、前記罫線18の形成部における表側の膨出部16は細幅であるが、その膨出部16の両脇16′,16′で外ライナー15aが強く内向きに押し付けられて、その膨出部16を保形する役目を果たしているので、当該部分では微値的に膨出部16とその両脇16′,16′での圧縮密度差が生じて、製函のための折曲げ操作を容易にする効果を発揮できるのである。したがって、段ボールシート15の中芯部分で罫線形成部がその波形部分の山部、あるいは谷部のいずれの位置に当たっても支障なく罫線18の形成ができる。もちろん、前述のようにして外面側に膨出部16が形成されることから罫線18部分で正確に折り曲げて製函でき、折曲げ不良の発生を防止できるのである。
【0026】
次に、図4に罫線形成体の他の実施例図が、(a)に断面図を、(b)に罫線形成態様を、それぞれ示されている。この実施例で示される罫線形成体1Aは、基本的に前記実施例のものと同一であるが、溝部2Aの形状が異なるものである。したがって、前記実施例と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0027】
この実施例の罫線形成体1Aでは、所要の間隔で配される罫線形成部材3A,3A間の溝部2Aが上向きに開く勾配の逆台形断面にされている。そのために、両罫線形成部材3A,3Aの対向する側端面は勾配が付されている。したがって、罫線設定ガイド8Aは、罫線形成体1Aの溝部2Aに嵌り合う突条部8a′をその溝部2Aの断面形状に合致するようにされている。なお、前記溝部2Aの幅に対して罫押し部材10の幅は、前記同様に罫押し部材10側が溝部2Aの幅よりも広いものが対象となる。
【0028】
このようにされた罫線形成体1Aは、前記実施例と同様にして用いられる。そして、段ボールシート15への罫押し部材10による罫押し操作によって、その段ボールシート15には、前記実施例と同様に外ライナー15aに膨出部16Aが形成される。形成された膨出部16Aは、その両脇16′,16′が前記実施例のものよりややその塑性変形の程度が緩やかな変形になる。
【0029】
このような罫線形成体1Aは、坪量が大きい外ライナーを用いた段ボールシートに対する加工に適するものである。すなわち、前述のようにして罫押し部材10が罫線形成部材3A,3Aとの間にある段ボールシート15を挟んで罫押しされる際、溝部2Aによって外側に膨出される外ライナー15aの厚みが厚い場合に、前記実施例のように溝部を形成する両罫線形成部材3A,3Aの角部が鋭角になっていると、罫押し部材10によって強い押圧力が内側から加えられて変形する際の応力が対応箇所に過剰に作用してライナー部分を破損し易くなる。このような問題点を前記両罫線形成部材3A,3Aの角部では鈍角になるようにして、溝部2Aを形成することにより、段ボールシート15の外ライナー15aを破損することなく、前記実施例で説明したように所期の目的を達成することができる。
【0030】
前記実施例においては、平盤状の打抜き型における場合について説明したが、これをロータリー式の打抜き型に採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施例にかかる罫線形成体の断面図である。
【図2】 図2は、罫線形成体を下型に設置する太陽を表わす図である。
【図3】 図3は、本実施例による段ボールシート上への折目形成状態を示す図(a)、折目を形成された段ボールシートの断面図(b)である。
【図4】 図4は、罫線形成体の他の実施例図で、(a)断面図、(b)罫線形成態様を示す図である。
【図5】 図5は、従来の罫線形成体の断面図である。
【図6】 図6(a),(b)は、従来の罫線形成体における問題点を説明する図である。
【図7】 図7(c),(d)は、従来の罫線形成体における問題点を説明する図である。
【図8】 図8(a),(b),(c)は、従来の罫線形成体を用いた場合の函体成型時における問題点を説明する図である。
【符号の説明】
1,1A 罫線形成体
2,2A 溝部
3,3A 罫線形成部材
4 ベースシート
5 感圧接着剤層
8,8A 罫線設置ガイド
9 接合テープ
10 罫押し部材
15 段ボールシート
15a 段ボールシートの外ライナー
16 膨出部
16′ 膨出部の両脇
18 罫線
20 上型
30 下型
Claims (2)
- 罫押し部材と共働して紙器形成用板材を折り曲げるための罫線を、その紙器形成用板材上に形成する罫線形成体であって、前記罫押し部材に対向する位置にその幅よりも狭い幅の溝部を有し、かつその溝部の両側を罫押し部材より広い区間で前記溝部に向かって下がり勾配面に形成されていることを特徴とする罫線形成体。
- 前記溝部を逆台形状断面に形成されている請求項1に記載の罫線形成体。
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