JP3692380B2 - 容器の洗浄方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばレジストを収容する缶のような容器の洗浄方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LCD用基板に塗布するレジストは、ユーザーに対しナウパック缶(商品名)と呼ばれる容器に詰めて供給されている。この容器は、その内側にライナーを入れ、その内部にレジストを充填し、容器にキャップ、クロージャー、ディップチューブを装着してユーザーに発送される。そして、ユーザーはレジストを使用後、容器を発送元へ返送してくる。発送元では空の容器を受け取った後、ライナーを抜き出して捨て、容器、キャップ、クロージャ、ディップチューブを洗浄し、洗浄された容器に新しいライナーを施してレジストを充填し、さらにキャップ、クロージャー、ディップチューブを装着して再びユーザーに発送する。
【0003】
上記のように容器を洗浄する場合、従来は、人手により容器をまず溶剤で洗浄し、次いで水洗浄をした後乾燥を行い、容器を再使用している。そして、従来の溶剤洗浄では、溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類等を使用して洗浄を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの溶剤洗浄は,溶剤の引火点が低く(アセトンは−18℃、メチルエチルケトンは−7℃、アルコール類は12〜14℃)、引火、爆発の危険性があり、また揮発性のために瞬時に蒸発し臭いがきつく防毒マスク等の保護具の着用が求められ、さらに人体への危害がある等、作業環境上も問題のある作業であった。
【0005】
よって、本発明は、上述の手洗いによる溶剤洗浄を無くして自動洗浄を可能にし、しかも溶剤洗浄に続いて水洗浄を自動的に行うことを可能にする容器の洗浄方法および装置を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、洗浄すべきレジスト収容容器を溶剤洗浄室内で、水溶性或いは部分水溶性溶剤である1・2エタンジオール、1・2プロパンジオール、アセトニルアセトン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルのいずれかを噴射することにより洗浄し、次いで、溶剤により洗浄された容器を水洗浄室内に送り、水洗浄室内で容器に洗浄水を噴射して洗浄することを特徴とするレジスト収容容器の洗浄方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、水溶性溶剤の噴射手段を内部に備えた溶剤洗浄室と、溶剤洗浄室に接続されるとともに、内部に洗浄水噴射装置を備えた水洗浄室と、溶剤洗浄室および水洗浄室を経て走行可能に設けられたコンベヤと、前記溶剤の噴射手段および洗浄水噴射装置からそれぞれ噴射される溶剤および洗浄水により容器が順次洗浄されるように、容器を支持してコンベヤと共に走行する容器支持装置と、前記溶剤洗浄室の入口、および溶剤洗浄室と前記水洗浄室の間を仕切る仕切り位置と、前記容器支持装置およびそれに支持される容器が前記溶剤洗浄室から前記水洗浄室へ通過することを可能にする待機位置との間で移動可能なシャッターと、を備え、前記シャッターが、前記待機位置と前記仕切り位置の間で上下方向回転軸線周りでほぼ90度にわたり回動可能に支持され、前記待機位置では、シャッターは前記溶剤洗浄室および前記水洗浄室のいずれかの洗浄室の、前記コンベヤ走行方向に関しての側部に、コンベヤ走行方向に沿って位置することを特徴とする容器の洗浄装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の容器の洗浄装置の正面図を示す。図1において、容器の洗浄装置は全体的に直方体形状のハウジング2を備えており、このハウジング2は外気に対し基本的に遮断されている。洗浄すべき容器は典型的には前述のナウパック缶(商品名)であり、通常、C1、C2で示すように2種類の寸法のものがある。容器C1は背が高いが径が小さく、容器C2は背が低いが径が大きい。これらの容器C1、C2は同時に重ねて洗浄されるわけではないが、以下の説明では便宜的に重ねて図示してあり、共通の符号Cにより示してある。なお、容器Cは各図に示すように底部を上向きに、開口部を下向きにした状態で支持されて洗浄される。
【0009】
容器Cはハウジング2の図1における右側からハウジング2内へ送り込まれ左方へ向けて間欠送りされ、ハウジング2の左端から送り出される。ハウジング2の内部は図1の右側から左側へ向かって溶剤洗浄部S、市水洗浄部W1、純水洗浄部W2および乾燥部Dが順次配列され、これらの部分は互いに区画されている。洗浄される容器Cは最初容器受入部3上に開口部を上に向けた状態で送り込まれ、次いで無端コンベア4上に反転移載されて矢印で示すように左方へ送られ、溶剤洗浄部S内で溶剤の噴射により溶剤洗浄され、次に市水洗浄部W1で市水の噴射による洗浄を受け、さらに純水洗浄部W2で純水の噴射による洗浄を受け、最後に乾燥部Dで乾燥されて、容器取出部5上に移載されて洗浄ずみ容器として外部へ取り出される。溶剤洗浄部Sの上部には蒸発した溶剤の回収用フード7が、また乾燥Dの上部には乾燥用水蒸気の取出し用フード8がそれぞれ設けられている。
【0010】
図2は図1に示した容器洗浄装置の平面図を示す。図2において、ハウジング2の一側には、溶剤タンク10が配置され、溶剤タンク10内に貯められた溶剤は、ハウジング2内の配管11を経て溶剤噴射ノズル(後述)へ送られる。また、ハウジング2の一側には、市水タンク12および純水タンク13が配置され、これらの市水タンクおよび純水タンクからの市水および純水は、それぞれ、ハウジング2内の配管14および15を経て、市水噴射ノズルおよび純水噴射ノズル(いずれも図示しない)へ送られるようになっている。
【0011】
図3は図1の右端部分を拡大して示している。コンベア4の無端チェーンはスプロケット17に掛けられて矢印に示す方向に間欠駆動される。容器受入部3上に載置された容器Cは、水平回転軸18周りに回転する移載レバー19(原理的に示す)の支持部19aに保持され、移載レバー19の矢印M方向への回動によって、コンベヤ4に支持された容器支持装置20上へ上下に反転させられた状態で移載され、コンベヤ4の走行によって左方へ送られる。容器支持装置20については後述する。
【0012】
図3に示すように、溶剤洗浄部Sは溶剤洗浄室22を備えている。溶剤洗浄室22は天井壁23と前後の仕切りシャッター24によって区画され、基本的に外部とは遮断されている。なお、同様な仕切りシャッター24は前記純水洗浄部W2と乾燥部Dの間にも設けられる。溶剤洗浄室22の底は溶剤受けシンク26により仕切られており、溶剤洗浄室22内の容器Cに向かって噴射された溶剤は落下してシンク26により集められ、シンク26の回収孔27から回収されて再使用されるようになっている。回収経路については後述する。前記コンベヤ4のチェーンは、溶剤洗浄室22内を図3において右方から左方へ向かって走行するように樋状のチェーンガイド28に支持されている。
【0013】
図3の4−4線断面を示す図4から明らかなように、容器はこの実施形態では2列をなして送られる。そして、コンベヤ4のチェーンは、容器C、Cの進行方向の両側に平行に設けられた樋状の前記チェーンガイド28、28によって案内されつつ走行する。コンベヤ4の平行な1対のチェーンの間には容器支持装置20が架設されており、この容器支持装置20上に左右1対の容器C、Cが支持される。
【0014】
容器支持装置20の詳細は図5ないし図7に示す通りである。左右1対のコンベヤ4のチェーンにわたって長方形枠状の容器支持枠29が架け渡されてボルト30によってチェーンに固定されている。したがって、チェーンの走行によって容器支持枠29も同じ方向に走行する。容器支持枠29の対向するビーム29a、29aからは斜め内側へ向かって2組の容器支持バー31が放射状配置で突設されている。各組の容器支持バー31は基端がビーム29aに固定され、先端部には、図7に示すように小径容器C1に適応する容器支持段部33および大径容器C2に適応する容器支持段部34が形成されている。これら2つの容器支持段部33、34を有することによって、容器C1、C2のいずれを洗浄する場合にも対応することができる。図5からわかるように、1組4本の容器支持バー31はその先端部で1個の容器を支持する。そして、この場合容器は、図3に示した移載レバー19による移載作用により開口部が下方を向く反転状態で支持されることになる。
【0015】
図4に示すように2列をなして容器支持装置20上に支持されて搬送される容器C、Cが溶剤洗浄室22内へ送り込まれて停止すると、容器C、Cの外面に溶剤が噴射される。このための、溶剤噴射装置は次のように構成される。図4に示すように、溶剤噴射装置は、前記溶剤タンク10(図2)に接続された溶剤供給管11を有し、この溶剤供給管11は分配管37を介して各容器Cの周面に沿って下降するノズル管38に接続され、各ノズル管38にはノズル39が容器周壁に向けて突設されている。ノズル管38は平面図である図8に示すように、各容器Cの外周に4本ずつ配設され、これらのノズル管38内からノズル39によって容器Cの外周壁に向けて溶剤が吹きつけられ、これによって容器外面が洗浄される。
【0016】
一方、溶剤洗浄室22内にある容器の内面を洗浄するために、容器支持装置20上に支持されている各容器Cの下向き開口から上方に向けて溶剤を噴射する溶剤噴射管が設けられる。溶剤噴射管は図3で符号41で示されている。溶剤噴射管41は前記溶剤タンク10(図2)に接続されていて、上向きに設けられており、その先端および周面に多数の溶剤噴射孔を有している。
【0017】
図3に示すエアシリンダ42を上方へ伸長させる、リンク43が固定軸44周りでレバー45を上方へ回動させることにより、スライダ46が上昇し、このスライダ46に支持されている上向き溶剤噴射管41が上昇して、図3に示すように容器Cの開口部を通って容器内に挿入され、溶剤噴射管41から上向きおよび半径方向外方へ噴射される溶剤によって、容器内面が洗浄される。洗浄が終わると、溶剤噴射管41はエアシリンダ42の収縮によって下降する。そして、容器の外面および内面を洗浄した溶剤は落下し、シンク26により集められて回収孔27を経て回収される。図4において、左側の溶剤噴射管41は容器Cの内部へ上昇した位置にあり、また右側の溶剤噴射管41は容器Cの内部へ挿入されていない通常位置にある。
【0018】
以上のようにして、溶剤洗浄室22内で容器を洗浄している間、噴射された溶剤が溶剤洗浄室22外へ漏れないように、溶剤洗浄室22内の空間を他の空間に対し隔離しなければならない。このために、図3について既に説明したように、シャッター24が溶剤洗浄室22の容器導入側および市水洗浄室W1との接続部に設けられる。ただし、このシャッター24は、溶剤洗浄室22内へ洗浄すべき使用ずみ容器を導入する時、および溶剤洗浄室22内で溶剤洗浄を終った容器を、次に続く市水洗浄部W1へ送る時に、図3に示す位置にあったのでは容器が通過できなくなるので邪魔にならない位置へ移動させなければならない。
【0019】
このようにシャッター24を、仕切り作用を果たす図3の仕切り位置と邪魔にならない待機位置との間で変位させる機構について次に説明する。図9に示すようにシャッター24は全体的に横断面円弧形状をなす主体24aと、主体24aの上下端を塞ぐように溶接された天板24bおよび底板24cとからなり、天板24bには、主体24aの円弧の中心方向に突出する回転アーム50の基部が固定されている。回転アーム50の先端はロータリアクチュエータ51の駆動軸52に固定されている。したがって、アクチュエータ51の作動により、シャッター24は実線で示す仕切り位置と仮想線で示す待機位置との間で回動可能となる。実線で示す仕切り位置では、容器の送り方向を示す矢印Tの方向をシャッター24が横切ることになり、これにより仕切り作用が果たされ、一方、仮想線で示す待機位置では、シャッター24は容器の送り通路の側方に退避して容器の通過を可能にする。
【0020】
シャッター24の溶剤洗浄室22との関係位置は図3、図4、図8に示す通りである。図3では既に説明したようにシャッター24は溶剤洗浄室22の上流側を仕切るとともに、溶剤洗浄室22と市水洗浄部W1とを仕切っている。一方、図4の状態では、ロータリアクチュエータ51の作用で、シャッター24は容器側部の待機位置へ退避している。図8ではシャッター24の待機位置は仮想線で、仕切り位置は実線で示されている。シャッター24が実線で示す仕切り位置に回動した状態では、シャッター24の外側端部は仕切り壁54(図8)に近接して遮断状態を維持する。シャッター24の外面を駆動軸52(図9)を中心とする円筒形状に形成しておくことによって、シャッター24が仕切り位置と待機位置との間で回動する時にも仕切り壁54とシャッター24の外面の間隙は一定の僅かな空隙のクリアランスに保たれる。ロータリアクチュエータ51は容器が停止する位置の真上に設置される。
【0021】
図10ないし図12は、コンベヤ4のチェーン間に架設した容器支持装置20上に支持されて間欠搬送されるために、容器Cを溶剤洗浄部Sの手前で検出して位置決めをする位置決めセンサーを示している。図10に仮想線で示す位置に右方から左方へ向かって容器Cが送り込まれると、両側2箇所に設置した容器位置決めセンサー60が容器Cの外周面に接触してそれを止め不動状態にする。位置決めセンサー60は、容器Cが左方へさらに送られる時には軸61周りで外方へ回動して退避する。容器Cが送られる左方位置には固定の位置決めセンサー62が設置されている。図11および図12に示すように、位置決めセンサ60、62は容器Cの下側周面に接触する高さ位置に設置されている。
【0022】
溶剤洗浄部Sに続く市水洗浄部W1および純水洗浄部W2も、基本的には前述した溶剤洗浄部Sと同様な構成をもっている。ただし、溶剤に代って、市水および純水が容器の内外面に噴射される点が主として異なっている。市水洗浄部W1および純水洗浄部W2は従来使用されているものであるから、その詳細な説明は省略する。純水洗浄部W2に続く乾燥部Dでは水蒸気の熱で加熱された温風が吹き込まれて容器の水分を蒸発させて乾燥を行う。
【0023】
図13は以上に説明した容器洗浄装置の配管図を示す。この図では左側に示したハウジング2内に下方から上方へ向かって溶剤洗浄部S、市水洗浄部W1、純水洗浄部W2および乾燥部Dが配設されており、容器は下方から上方へ向かってハウジング2内を搬送される。前記溶剤タンク10は右下に示されており、順次上方へ向かって前記市水タンク12および純水タンク13が示されている。溶剤はポンプ70により溶剤タンク10内に供給され、必要に応じて溶剤タンク10内の溶剤はポンプ71により取り出され、廃棄される。溶剤タンク10内の溶剤はポンプ72により取り出され、熱交換器73で加熱されて昇温し、配管74を経て溶剤洗浄室22内に噴射されて容器Cを洗浄する。洗浄に用いられた溶剤はシンク26で集められ、配管75を経て溶剤タンク10内に戻される。なお、熱交換器73を出た後の溶剤の一部は配管76を経て溶剤タンク10に戻すことができるようになっている。溶剤タンク10内の溶剤は40℃程度またはそれ以上の温度に保持され、また溶剤タンク10内の溶剤のレベルは液面制御装置77によって一定レベルに保持される。即ち、系内の溶剤は溶剤タンク10の液面レベルを保持するために新たに供給される新しい溶剤により、また必要に応じてポンプ71により溶剤タンク10内の溶剤を廃棄、補給することにより徐々に置換される。したがって、特にライン中にフィルターの設置を要しない。なお、78で示す位置は、溶剤洗浄後に容器に付着した溶剤の溜切り部を示す。
【0024】
前記市水タンク12には配管79を経て新しい市水が供給される。溶剤タンクの場合と同様に市水タンク12内の市水レベルも一定値に維持される。市水タンク12内の市水の一部はポンプ80により取り出されて熱交換器81で水蒸気との熱交換により加熱され、再び市水タンク12内へ戻される。そして、市水タンク12内の市水は例えば70℃程度の温度に維持されている。この70℃程度の市水は前記ポンプ80によって配管82を経て前記熱交換器73へ送られて溶媒を加熱する。熱交換器73からの市水は管配83を経て市水タンク12内に戻されるようになっている。市水タンク12内の市水は前記ポンプ80で熱交換器81へ送られる途中から分岐して、配管85を経て市水洗浄部W1の洗浄室内へ送られて噴射され、溶剤洗浄後の容器Cの内外面を洗浄する。洗浄後の市水はシンク87で集められ、配管86を経て市水タンク12内へ戻される。
【0025】
純水タンク13へは配管90を経て純水が供給される。純水タンク13内の純水は、加熱されることなく常温のままでポンプ91の作用で配管92を経て純水洗浄部W2内へ送られて噴射され、市水洗浄後の容器を純水洗浄する。使用された純水は全量市水タンク12へ送られ、市水の消費を補う。
【0026】
乾燥部D内へは、送風機94によりヒーター95およびフィルター96を経て温風が送り込まれて洗浄後の容器Cが乾燥され、次いで送風機97によりフィルター98を経て冷風が送り込まれて容器Cが室温付近にまで冷却される。ヒーター95へは配管99を経て水蒸気が送られる。水蒸気はさらに配管100を経て前記市水加熱用交換器81に送られる。
【0027】
次に、以上に説明した容器洗浄装置の作用、すなわち容器洗浄方法を説明する。図3において容器受入部3上に置かれた容器Cは、移載レバー19の回動によって容器支持装置20上に2個ずつ同時に載置され、コンベヤ4の間欠移動によって、まず溶剤洗浄部S内へ送り込まれる。この時、溶剤洗浄部Sの溶剤洗浄室22入口のシャッター24は側方の待機位置へアクチュエータ51の作用で自動的に退避して容器Cの進入を可能にする。容器Cが溶剤洗浄室22内の所定位置に停止すると、シャッター24はアクチュエータ51の作用で自動的に仕切り位置へ回動して、溶剤洗浄室22を外部に対し隔離する。この時、溶剤洗浄室22とその下流側の市水洗浄部W1の洗浄室との間にあるシャッター24も仕切り位置へ回動して、溶剤洗浄室22を市水洗浄部W1の洗浄室に対して隔離する。
【0028】
そして、この状態で溶剤洗浄室22内のノズル39および上向き溶剤噴射管41から溶剤が噴射され、下向きに支持されている容器Cの内外面が溶剤により洗浄される。この溶剤洗浄時には、シャッター24が閉じているので、噴射される溶剤は下流側の市水洗浄部W1内へ入ることがない。また、溶剤は図13について説明したように溶剤タンク10内で約40℃に維持されているので、この温度で噴射される。このように加温された溶剤による洗浄により、容器Cの洗浄は好適に行われる。洗浄に用いた溶剤はシンク26上に落下し、図13について説明したように再び溶剤タンク10に戻される。
【0029】
以上のようにして、溶剤洗浄部Sでの容器の洗浄がなされた後、溶剤洗浄室22の前後のシャッター24が待機位置へ回動されて開き、溶剤洗浄ずみ容器は市水洗浄部W1の洗浄室内へコンベヤ4により送られ、一方、コンベヤ4によって新しい容器が溶剤洗浄室22内へ送り込まれて停止する。そして、再びシャッター24が閉じて前述のように溶剤洗浄が行われる。
【0030】
市水洗浄部W1における市水による洗浄作用は、基本的に溶剤による洗浄の場合と異なるところはない。市水洗浄部W1では、約70℃に加熱された市水が容器の内外面に噴射され、容器に付着している水溶性溶剤が洗い流され、残留している汚れ等が洗い流される。使用された洗浄水は排水される。
【0031】
純水洗浄部W2では、常温の純水が純水タンク13から送られて容器に対し噴射され、最終洗浄が行われる。
【0032】
次の乾燥部Dでは温風が容器に吹きつけられ、次いで常温空気が容器に吹きつけられて乾燥が行われる。
【0033】
本発明では、溶剤として引火点が55℃以上の水溶性または部分水溶性溶剤が用いられる。このような溶剤としては、アルコール、ケトン、脂肪酸、エステル、アミド、2つ以上の官能基をもつ種々の化合物等がある。
【0034】
アルコールでは1・2エタンジオール、1・2プロパンジオール、ケトンではアセトニルアセトン、脂肪酸ではプロピオン酸酪酸、エステルとしてはジメトキシブチルアセテート、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、アミドではN・N−ジメチルアセトアミド、また2つ以上の官能基を持つ化合物では2エトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、フルフリルアルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどがある。
【0035】
溶剤の洗浄能力と洗浄温度は密接な関係にあり、温度を上げると洗浄力は大幅に増大する。これは被洗浄物に付着している油の粘度が温度の上昇により低くなり、その溶解性が増すことによると考えられる。しかし、洗浄温度を上げさえすれば洗浄能力が向上するというわけではなく、40℃程度より高くしても洗浄力は上がらない傾向がある。一方、溶剤、特に炭化水素系溶剤の洗浄温度は引火点より最低15℃程度低く設定することが安全対策上望ましいとされている。この理由は爆発下限界の25%以下の溶剤蒸気濃度が引火点マイナス15℃以下の溶剤温度で達成されることによるものである(株式会社 産業技術サービスセンター発行「最新洗浄技術総覧」第5編工業用洗浄剤及び洗浄 第1章化学的洗浄及び洗浄方法第1節洗浄剤参照)。
【0036】
上述のように洗浄力を高めるために溶剤40℃にまで加温した場合、それより15℃高い55℃より引火点が低くない溶剤を選択することが、上記の条件を満たすためには必要である。よって本発明では溶剤の引火点を55℃以上にする。また、溶剤が少くとも部分水溶性を有することが、後に続く水洗浄の効果を得るために必要である。
【0037】
40℃未満の引火点をもつ可燃物を扱う場合、消防当局の指導では、モータ、照明等は防爆仕様のものを用いる必要がある。ところが、防爆品は非防爆品に比較して2倍程度のコストがかかる。したがって、溶剤の引火点が高い程コスト面で有利で、しかも安全である。本発明のように溶剤の引火点を55℃以上にすると、防爆仕様を用いる必要がない利点がある。
【0038】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明の容器洗浄方法では、外部に対して隔離された溶剤洗浄室内で引火点が55℃以上の水溶性溶剤或いは部分水溶性を噴射することにより、溶剤洗浄室内で容器を溶剤洗浄し、溶剤洗浄後に直ちに水洗浄室内に容器を送って水洗浄を行うので、溶剤洗浄を含むすべての洗浄を自動化することができ、手洗い作業のような、汚れ易くしかも揮発性溶剤雰囲気中での劣悪環境作業を無くすることができる。そして、特に本発明の方法では引火点が55℃以上の溶媒を用いるので、従来のように引火、爆発の危険がなく、溶剤洗浄室内で噴射を行うことができ、溶剤を加熱して洗浄能力を高めることもでき、従来の手洗いに比し溶剤洗浄能力を飛躍的に向上させることができる。そして、溶剤は水溶性であるため溶媒洗浄に続く水洗浄工程で、容器に付着している溶剤を洗い流すことができ、能率が向上する。また、防爆仕様にする必要がないのでコストが高くなるのを抑えることができる。
【0039】
また、本発明の容器洗浄装置では、溶剤洗浄室内での溶剤噴射による溶剤洗浄の自動化の利点に加えて、開閉可能なシャッターにより、溶剤洗浄時に溶剤洗浄室を外部および水洗浄室に対し隔離し、溶剤が水と混じらないようにして、溶剤洗浄を行うことができ、洗浄溶剤の回収、循環が可能となる。またさらに、容器をコンベヤ搬送するため、容器の溶剤洗浄室に対する出し入れの時にのみ、容器搬送の邪魔にならない位置へシャッターを合理的に退避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による容器の洗浄装置の正面図。
【図2】図1の容器の洗浄装置の平面図。
【図3】図1の右端部の拡大詳細図。
【図4】図3の4−4線断面図。
【図5】容器支持装置の平面図。
【図6】同側面図。
【図7】容器支持装置の容器支持バーの説明図。
【図8】図3の平面図。
【図9】シャッターの斜視図。
【図10】容器位置決めセンサーの構造を説明する平面図。
【図11】図10の側面図。
【図12】容器位置決めセンサーの容器との関係の説明図。
【図13】本発明の容器洗浄装置の配管図。
【符号の説明】
2 ハウジング
4 コンベヤ
C 容器
S 溶剤洗浄部
W1 市水洗浄部
W2 純水洗浄部
D 乾燥部
10 溶剤タンク
12 市水タンク
13 純水タンク
17 スプロケット
19 移載レバー
20 容器支持装置
22 溶剤洗浄室
23 天井壁
24 シャッター
26 溶剤受けシンク
27 溶剤回収孔
28 チェーンガイド
29 容器支持枠
31 容器支持バー
36 溶剤供給管
38 ノズル管
39 ノズル
41 溶剤噴射管
42 エアシリンダ
50 回転アーム
51 ロータリアクチュエータ
60 容器位置決めセンサー

Claims (4)

  1. 洗浄すべきレジスト収容容器を溶剤洗浄室内で、水溶性或いは部分水溶性溶剤である1・2エタンジオール、1・2プロパンジオール、アセトニルアセトン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールモノメチルエーテルのいずれかを噴射することにより洗浄し、次いで、溶剤により洗浄された容器を水洗浄室内に送り、水洗浄室内で容器に洗浄水を噴射して洗浄する、ことを特徴とするレジスト収容容器の洗浄方法。
  2. 前記洗浄水を温水とし、この温水とした洗浄水との熱交換により前記溶剤を加熱することを特徴とする請求項1記載のレジスト収容容器の洗浄方法。
  3. 水溶性溶剤の噴射手段を内部に備えた溶剤洗浄室と、
    溶剤洗浄室に接続されるとともに、内部に洗浄水噴射装置を備えた水洗浄室と、
    溶剤洗浄室および水洗浄室を経て走行可能に設けられたコンベヤと、
    前記溶剤の噴射手段および洗浄水噴射装置からそれぞれ噴射される溶剤および洗浄水により容器が順次洗浄されるように、容器を支持してコンベヤと共に走行する容器支持装置と、
    前記溶剤洗浄室の入口、および溶剤洗浄室と前記水洗浄室の間を仕切る仕切り位置と、前記容器支持装置およびそれに支持される容器が前記溶剤洗浄室から前記水洗浄室へ通過することを可能にする待機位置との間で移動可能なシャッターと、
    を備え、
    前記シャッターが、前記待機位置と前記仕切り位置の間で上下方向回転軸線周りでほぼ90度にわたり回動可能に支持され、前記待機位置では、シャッターは前記溶剤洗浄室および前記水洗浄室のいずれかの洗浄室の、前記コンベヤ走行方向に関しての側部に、コンベヤ走行方向に沿って位置することを特徴とする容器の洗浄装置。
  4. 前記シャッターが、前記上下方向回転軸線と同軸をなす回転駆動軸に径方向回転アームによって連結され、前記シャッターは径方向外面が前記回転軸線を中心とする円弧面に形成され、シャッターが前記仕切り位置にある時に、シャッターの両側縁に接して溶剤洗浄室および水洗浄室の仕切り壁が位置していることを特徴とする請求項3記載の容器の洗浄装置。
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