JP3824473B2 - 洗浄処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板等の各種基板に所定の処理液を供給して行う洗浄処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体デバイスの製造工程においては、基板としての半導体ウエハ(ウエハ)を所定の薬液や純水等の処理液によって処理し、ウエハからパーティクル、有機汚染物、金属不純物等のコンタミネーションや有機物、酸化膜を除去している。このような液処理の中で、純水を用いた洗浄処理においては、洗浄処理中に静電気が発生してウエハに放電破壊が生ずることを防止するために、純水中に二酸化炭素(CO2)ガスを溶解させて比抵抗を低下させたCO2インジェクション水が用いられている。
【0003】
このようなCO2インジェクション水は、例えば、二酸化炭素を逆浸透膜等のフィルタに通すことによって、二酸化炭素を純水に溶解させて製造している。また、CO2インジェクション水の製造にあたっては、所定の比抵抗を有するように、製造されたCO2インジェクション水の比抵抗を測定しつつ、その測定結果を二酸化炭素の溶け込み量等の制御にフィードバックする構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなCO2インジェクション水を製造する手段を洗浄処理装置に取り付けた場合には、フィルタや比抵抗測定装置、フィードバック制御装置等の設備コストの増大や装置の大型化を招く問題がある。従って、より簡便な方法で純水の比抵抗を低下させ、静電気の発生を抑制してウエハの放電破壊を防止することができれば好ましいと考えられる。
【0005】
また、純水を用いた洗浄処理の前に行われる各種薬液を用いた洗浄処理においては、例えば、有機アミン系の薬液が使用される場合があるが、有機アミン系の薬液による洗浄処理の後に、純水による洗浄処理を行うと、薬液と純水との反応によりアルカリ性物質が生成し、このアルカリ性物質がウエハ表面に形成されていたアルミニウム配線を腐食させる問題がある。この問題を回避するためには、有機アミン系薬液と純水との直接反応を抑制して、生成するアルカリ性物質を中和するように、純水を酸性化させることが要求される。
【0006】
本発明は上述した従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、特に純水を用いた洗浄処理において、簡便な方法を用いて純水に二酸化炭素を溶解させて比抵抗を下げ、これにより静電気の発生を防止し、また酸性化された純水により有機アミン系等の薬液と純水との反応によるアルカリ性物質の生成を抑制して、ウエハに形成された回路を保護する洗浄処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明によれば、処理チャンバ内に保持される基板の洗浄処理方法であって、
前記処理チャンバ内に窒素ガスを供給し、
前記基板を所定の回転数で回転させながら有機アミン系の薬液を用いて液処理し、
前記処理チャンバ内に二酸化炭素ガスを供給して二酸化炭素濃度を上昇させた状態で、
前記基板を所定の回転数で回転させながら、かつ該基板に純水を吐出しながら洗浄し、
その後、前記処理チャンバ内に窒素ガスを供給しながら前記基板を所定の回転数で回転させながら乾燥処理することを特徴とする洗浄処理方法、が提供される。
【0008】
このような洗浄処理方法を用いた場合には、CO2インジェクション水を予め精製する装置を必要としないことから、装置の大型化を招くことがない。しかも、二酸化炭素を処理チャンバに供給する方法が簡便であり、洗浄処理中には、処理チャンバ内に存在する二酸化炭素が純水にとけ込むために比抵抗が低減され、静電気の発生が抑制される。これにより基板の放電破壊が防止される。また、例えば、有機アミン系薬液を用いた洗浄処理の後に、純水による洗浄処理を行う場合にも、純水に二酸化炭素が溶け込むことから、純水と有機アミン系薬液との反応によるアルカリ性物質の生成が抑制されて、基板に形成された回路の腐食が防止される効果も得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について具体的に説明する。本実施形態では、半導体ウエハ(ウエハ)の搬入、洗浄、乾燥、搬出をバッチ式に一貫して行うように構成された洗浄処理装置について説明する。
【0010】
図1は洗浄処理装置1の斜視図であり、図2はその平面図である。これら図1および図2に示されるように、洗浄処理装置1は、ウエハWを収納可能なキャリア(基板収納容器)Cの搬入出が行われるイン・アウトポート(容器搬入出部)2と、ウエハWに対して洗浄処理を実施する洗浄処理ユニット3と、イン・アウトポート2と洗浄処理ユニット3との間に設けられ、洗浄処理ユニット3に対してキャリアCの搬入出を行うためのステージ部4と、キャリアCを洗浄するキャリア洗浄ユニット5と、複数のキャリアCをストックするキャリアストックユニット6とを備えている。なお、参照符号7は電源ユニットであり、8はケミカルタンクボックスである。
【0011】
イン・アウトポート2は、4個のキャリアCを載置可能な載置台10と、キャリアCの配列方向に沿って形成された搬送路11を移動可能に設けられ、載置台10のキャリアCをステージ部4に搬送し、かつステージ部4のキャリアCを載置台10に搬送するためのキャリア搬送機構12とを有している。キャリアC内には例えば26枚のウエハWが収納可能となっており、キャリアCはウエハWの面が鉛直に配列されるように配置されている。
【0012】
ステージ部4は、キャリアCを載置するステージ13を有しており、イン・アウトポート2からこのステージ13に載置されたキャリアCがシリンダを用いたキャリア搬送機構により洗浄処理ユニット3内に搬入され、洗浄処理ユニット3内のキャリアCがこのキャリア搬送機構によりステージ13に搬出される。
【0013】
なお、ステージ13には、載置台10からキャリア搬送機構12のアームを回転させてキャリアCが載置されるため、載置台10とは逆向きにキャリアCが載置される。このため、ステージ13にはキャリアCの向きを戻すための反転機構(図示せず)が設けられている。
【0014】
ステージ部4と洗浄処理ユニット3との間には仕切壁14が設けられており、仕切壁14には搬入出用の開口部14aが形成されている。この開口部14aはシャッター15により開閉可能となっており、処理中にはシャッター15が閉じられ、キャリアCの搬入出時にはシャッター15が開けられる。
【0015】
キャリア洗浄ユニット5は、キャリア洗浄槽16を有しており、後述するように洗浄処理ユニット3においてウエハWが取り出されて空になったキャリアCが洗浄されるようになっている。
【0016】
キャリアストックユニット6は、洗浄前のウエハWが入ったキャリアCや洗浄前のウエハWが取り出されて空になったキャリアCを一時的に待機させるためや、洗浄後のウエハWを収納するための空のキャリアCを予め待機させるためのものであり、上下方向に複数のキャリアCがストック可能となっており、その中の所定のキャリアCを載置台10に載置したり、その中の所定の位置にキャリアCをストックしたりするためのキャリア移動機構を内蔵している。
【0017】
次に、洗浄処理ユニット3について説明する。図3は洗浄処理ユニット3の内部を示す断面図、図4および図5は洗浄処理ユニットの洗浄処理部を示す断面図であり、図4は内側チャンバ27を外側チャンバ26の外部に出した状態(内側チャンバ27が「退避位置」にある状態)、図5は外側チャンバ26の内部に内側チャンバ27を配置した状態(内側チャンバ27が「処理位置」にある状態)を示している。
【0018】
洗浄処理ユニット3の内部には、図3に示すように、洗浄処理部20と、洗浄処理部20の直下にキャリアCを待機させるキャリア待機部30と、キャリア待機部30に待機されたキャリアC内の複数のウエハWを押し上げて洗浄処理部20に移動させ、かつ洗浄処理部20の複数のウエハWを保持してキャリア待機部30のキャリアCに収納させるためのウエハ移動機構40とが設けられている。
【0019】
キャリア待機部30は、キャリア搬送機構35のスライドステージ32を載置するステージ31を有しており、ステージ31上でキャリアCを待機させるようになっている。キャリア搬送機構35は、ベース部材34と、その上に設けられた2本のガイドレール33と、ガイドレール33に沿って、ステージ部4のステージ13とキャリア待機部30のステージ31との間を移動するスライドステージとを有している。キャリア待機部分であるステージ31は、ロータ24の直下に設けられている。
【0020】
なお、図3に示すように、キャリア待機部30上方のウエハ移動路の途中には、ウエハ移動路を挟んで前後に発光子および受光子が配置された複数対の光学センサーからなるウエハ検知部115が設けられており、このウエハ検知部115をウエハが通過することにより、ウエハWの枚数確認および正規に保持されていないウエハ(いわゆるジャンプスロット)の有無の確認が行われる。
【0021】
ウエハ移動機構40は、ウエハWを保持するウエハ保持部材41と、鉛直に配置されウエハ保持部材41を支持する支持棒42と、支持棒42を介してウエハ保持部材41を昇降する昇降駆動部43とを有している。昇降駆動部43によりウエハ保持部材41を昇降させることにより、キャリア待機部30にあるキャリアCに収納された洗浄処理前のウエハWを上方の洗浄処理部20のロータ24内に移動させ、またはロータ24内の洗浄処理後のウエハWをキャリア待機部30にあるキャリアCに移動させるようになっている。
【0022】
なお、ウエハ保持部材41にはウエハWを保持するための溝が所定のピッチで、例えば、52箇所形成されており、ウエハWはこの溝を1箇所飛ばしに保持され、洗浄処理前のウエハWをロータ24への搬入するために使用する溝と、洗浄処理が終了した後のウエハWを保持するための溝とを、区別して用いるようになっている。
【0023】
洗浄処理部20は、ウエハWのエッチング処理後にレジストマスク、エッチング残渣であるポリマー層等を除去するものであり、鉛直に設けられた支持壁18と、回転軸23aを水平にして支持壁18に固定されたモータ23と、モータ23の回転軸23aに取り付けられたロータ24と、モータ23の回転軸23aを囲繞する円筒状の支持筒25と、支持筒25に支持され、ロータ24を囲繞するように構成される外側チャンバ26と、外側チャンバ26の内側に配置された状態で薬液処理を行う内側チャンバ27とを有している。
【0024】
ロータ24は、鉛直にされた複数(例えば26枚)のウエハWを垂直状態として水平方向に所定間隔で配列した状態で保持可能となっており、このロータ24は、モータ23によって回転軸23aを介して、係止部材71a・71b(71aの背面に位置するため図示せず)・72a・72b(72bは72aの背面に位置するため図示せず)によって係止され、ウエハ保持部材83a・83b(83bは83aの背面に位置するため図示せず)により保持された複数のウエハWとともに回転されるようになっている。なお、係止部材71a・71b・72a・72bは、所定の間隔をおいて配置された一対の円盤70a・70bに架設されている。
【0025】
外側チャンバ26は円筒状をなし、処理位置(図3の二点鎖線)と支持筒25の外側の退避位置(図3の実線)との間で移動可能に構成されており、ウエハWの搬入出時には図3に示すように退避位置に位置される。また、図4に示すように、外側チャンバ26が処理位置にあり、内側チャンバ27が退避位置にある際には、外側チャンバ26とモータ23側の垂直壁26aと先端側の垂直壁26bとで処理空間51が形成される(図4参照)。垂直壁26aは支持筒25に取り付けられており、支持筒25と回転軸23aとの間にはベアリング28が設けられている。また、垂直壁26aと支持筒25の先端部はラビリンスシール29によりシールされており、モータ23で発生するパーティクル等が処理空間51に侵入することが防止されている。なお、支持筒25のモータ23側端部には外側チャンバ26、内側チャンバ27を係止する係止部材25aが設けられている。
【0026】
内側チャンバ27は外側チャンバ26よりも径が小さい円筒状をなし、図5に示す処理位置と図3、図4に示す支持筒25の外側の退避位置との間で移動可能に構成されており、ウエハWの搬入出時には外側チャンバ26とともに退避位置に位置される。また、図5に示すように内側チャンバ27が処理位置にある際には、内側チャンバ27と、垂直壁26a・26bとで処理空間52が形成される。なお、処理空間51および処理空間52は、シール機構により密閉空間とされる。
【0027】
処理空間51を形成する外側チャンバ26の上端近傍部分には、多数の吐出口53を有する2本の吐出ノズル54(1本のみ図示)が、吐出口53が水平方向に並ぶようにして、垂直壁26bに取り付けられている。吐出ノズル54からは、図示しない供給源から供給された純水、IPA、各種薬液等の処理液や、二酸化炭素(CO2)ガスや窒素(N2)ガス、またはこれらの混合ガス等の各種のガスが吐出可能となっている。
【0028】
処理空間52を形成する内側チャンバ27の上端近傍には、多数の吐出口55を有する2本の吐出ノズル56(1本のみ図示)が、吐出口55が水平方向に並ぶようにして配置されている。吐出ノズル56からは、図示しない供給源から供給された各種薬液、純水、IPA等の処理液、CO2ガスやN2ガス等が吐出可能となっている。
【0029】
これらの吐出ノズル54・56は外側チャンバ26・内側チャンバ27にそれぞれ2本より多く配設することが可能であり、例えば、PTFEやPFA等のフッ素樹脂製のものや、ステンレス製のものが好適に用いられる。吐出ノズル54・56は同等の構造を有するものを用いることが可能であり、例えば、吐出ノズル54の一形態である吐出ノズル54a・54bの斜視図を図6に示す。
【0030】
図6(a)に示す吐出ノズル54aの一表面には、吐出口53aが形成された吐出口部材91a(両端を除く26箇所)・91b(両端の2箇所)が取り付けられており、1個の吐出口部材91aに形成された吐出口53aから吐出される処理液は、例えば扇形に平面状に拡がって1枚のウエハWの処理面に所定の角度で当たるように設計されている。
【0031】
吐出口部材91bに形成された吐出口53aから吐出される処理液は、吐出口部材91bの隣に配設されている吐出口部材91aから吐出される処理液が所定のウエハWの所定位置に当たるように、吐出口部材91aから吐出される処理液の吐出方向を制御する役割を果たす。つまり、逆に吐出口部材91bを設けなかった場合には、吐出口部材91aの両端の2箇所から吐出される処理液の軌道が曲がってしまい、所定のウエハWの所定位置に当たらなくなる問題を生ずるが、吐出口部材91bを設けることにより、このような問題が回避される。なお、吐出ノズル54aの背面には、処理液の供給管92が配設されている。
【0032】
吐出ノズル54aにおいて、吐出口53aが千鳥状に配置されているのは、吐出口部材91a・91bの大きさを考慮し、またウエハWの保持間隔に対応させたものである。従って、吐出口部材91a・91bの形状を変更することにより一列に配置することもできる。その場合には、吐出ノズル54aを細くすることが可能であるから、吐出ノズル54aの配置スペースが小さくなり、例えば、処理チャンバの小型化を図ることも可能となる。
【0033】
図6(b)に示す吐出ノズル54bは、吐出口53bが吐出ノズル54bの箱体93の表面に一体的に形成された形態を有している。この場合には、吐出口53bを一列に配設することが容易であり、また、吐出ノズル54aに用いた吐出口部材91a・91bの取り付けも必要でなく、形状をコンパクトなものとすることができる。吐出ノズル54bについても吐出口53bは28箇所形成されており、両端の2箇所については前出した吐出ノズル54aの両端の2箇所と同様の目的で形成されている。
【0034】
外側チャンバ26・内側チャンバ27には、吐出ノズル54・56の他にも、処理液に応じて異なる構造のノズルを、各チャンバの上部以外の場所に設けることもできる。また、内側チャンバ27の上部内壁には、円盤70a・70bの内側面(ウエハWに対向する面)を洗浄するための処理液の吐出ノズル75a・75bが配設されており、また、垂直壁26a・26bには、円盤70a・70bのそれぞれ垂直壁26a・26bと対向する外側面を洗浄するための処理液の吐出ノズル74a・74bが配設されている。これらの吐出ノズル74a・74b・75a・75bは、主に、種々の薬液処理後に純水で円盤70a・70bの洗浄を行う目的に使用される。
【0035】
垂直壁26bの下部には、図4の状態において処理空間51から使用済みの薬液、純水、IPAを排出する第1の排液ポート61が設けられており、第1の排液ポート61の上方には図5の状態において処理空間52から使用済みの薬液、純水、IPAを排出する第2の排液ポート62が設けられている。また、第1の排液ポート61および第2の排液ポート62には、それぞれ第1の排液管63および第2の排液管64が接続されている。
【0036】
また、垂直壁26bの上部には、図4の状態において処理空間51を排気する第1の排気ポート65が設けられており、第1の排気ポート65の下方には図5の状態において処理空間52を排気する第2の排気ポート66が設けられている。また、第1の排気ポート65および第2の排気ポート66には、それぞれ第1の排気管67および第2の排気管68が接続されている。
【0037】
外側チャンバ26の胴体部上側(図4・図5参照)には、また、CO2ガスを含んだガスを供給するためのガス供給口76が形成されている。ガス供給口76にはガス供給管77が接続されており、図示しないガス供給装置から所定流量のガスが所定のタイミングで供給されるようになっている。CO2ガスを含んだガスとは、例えば、N2ガスとCO2ガスの混合ガスでの体積含有率が0.5%程度のもの等を挙げることができるが、特にCO2ガスの濃度は限定されるものではない。ガス供給口76の形成位置は、図4・図5に示した位置に限定されるものではなく、例えば垂直壁26b等に設けることもできる。
【0038】
外側チャンバ26の胴体部上側(図4・図5参照)には、純水を霧状に噴霧する噴霧機構78が取り付けられている。噴霧機構78には図示しない純水供給管が配設されており、純水供給管を用いて供給される純水は、例えば円錐状等の裾拡がりな形態で霧状の細かい水滴として処理空間51内に噴霧される。また、噴霧機構78には、図示しない加熱装置や超音波振動装置等の純水を霧状に変換する機構が配設されており、必要に応じて噴霧機構78から微細な水滴である霧状の純水ではなく、純水を水蒸気に変えて処理空間51内に供給することも可能となっている。
【0039】
次に、上述した洗浄処理装置1を用いたウエハWの洗浄処理方法について説明する。載置台10の所定位置に処理すべきウエハWが収容されたキャリアCを載置し、キャリア搬送機構12を用いてキャリアCをステージ部4へ搬入し、ステージ部4に設けられたステージ13上に待機しているスライドステージ32上に載置する。続いて、スライドステージ32をキャリア待機部30側へ移動させ、外側チャンバ26を待避位置側にスライドさせた状態として、昇降駆動部43によりウエハ保持部材41を上昇させることにより、キャリアCに収容されたウエハWを上方の洗浄処理部20のロータ24内に移動させ、ウエハWをロータ24内で保持した後に、ウエハ保持部材41を降下させる。
【0040】
外側チャンバ26を処理位置に戻し、また、内側チャンバ27を処理位置にスライドさせて処理空間52を形成し、モータ23による回転駆動によりロータ24を所定速度で回転させ、ウエハWを回転させながら吐出ノズル56から所定の薬液を吐出し、例えば、レジスト除去処理を行う。この処理は、所定時間ほど1回または複数回行う。
【0041】
次に、内側チャンバ27を待避位置へスライドさせて、外側チャンバ26による処理空間51を形成し、洗浄処理を行う。この洗浄処理に際しては、モータ23による回転駆動によりロータ24を所定速度で回転させ、ウエハWを回転させながら、所定濃度のCO2ガスが存在する雰囲気において吐出ノズル54から純水を吐出させてリンス処理を行う。
【0042】
このような条件で洗浄処理を行った場合には、吐出される純水は雰囲気中のCO2ガスに接してCO2ガスを取り込み、CO2ガスが溶け込んで比抵抗が高くなった状態でウエハWに当てられることから、静電気の発生が抑制されてウエハWの放電破壊を回避することができるようになる。
【0043】
特に、上述した洗浄処理装置1を用いた場合には、純水の供給を一時的に停止することが容易であり、また、純水の供給停止時にウエハWの表面に付着している純水や薬液の残渣を振り切ってウエハWの表面が露出した状態とすることが容易であることから、ウエハWの表面が直接にCO2ガスに接するような環境として、その後に再び純水を吐出するといった洗浄処理を行うことが可能である。この場合には、吐出された純水がウエハW表面のCO2ガスを取り込みながら、または取り込んだ後にウエハWに当たることとなる。
【0044】
こうして、例えば、有機アミン系の薬液による洗浄処理の後でも、薬液と純水とが直接反応する前に純水がCO2ガスと反応して酸性となることから、薬液と純水の反応によるアルカリ性物質の生成が抑制され、ウエハWに形成された回路が保護される。さらに、CO2インジェクション水を製造する手段を洗浄処理装置に取り付ける場合と比較して、フィルタや比抵抗測定装置、フィードバック制御装置等の設備コストの増大や装置の大型化を招くことがない。
【0045】
処理空間51をCO2ガスが存在する雰囲気とする方法としては、例えば、前述したように、CO2ガスは吐出ノズル54から処理空間51に供給することが可能であるから、吐出ノズル54からまずCO2ガスを含むガスを処理空間51に供給しておき、しかる後に純水を吐出させる方法が挙げられる。但し、この方法では純水の吐出中にはCO2ガスが供給されないこととなるので、処理時間の経過に伴って処理空間内のCO2ガス濃度の減少は避けられない。このため、洗浄処理開始時のCO2ガス濃度を比較的高く設定し、終了時にも所定の濃度のCO2ガスが含まれる雰囲気とすることが好ましい。
【0046】
また、CO2ガスと純水を同時に吐出ノズル54から吐出させることもできる。この場合には、純水の吐出前にCO2ガスを吐出させることが好ましいが、吐出させなくともよい。また、特にフィルタ等を通してCO2ガスが純水に溶け込み易くするといった工夫を必要とするものではない。但し、この場合には、気泡が含まれる純水を吐出することとなるので、吐出口53から所定の形状で純水が吐出されなくなるといったことが起こらないように、純水とガスの吐出量やガスと純水との混合状態の制御を行う必要がある。
【0047】
一方、ガス供給口76からCO2ガスを含んだガスを供給しながら、吐出ノズル54から純水を吐出する方法を用いると、前述した種々の問題が起こらず、好ましい。その場合、先ず純水の吐出を行う前に、例えば体積比でCO2:N2=5:1000に調整されたガスを、例えば毎分100リットルの流量で処理空間51内に導入して、処理空間51内に所定量のCO2ガスが存在する状態としておくことが好ましい。そして、CO2ガスを含んだガスを供給しながら、モータ23による回転駆動によりロータ24を所定速度で回転させ、ウエハWを回転させながら純水を吐出ノズル54から吐出し、一方で第1の排気ポート65から排気を行う。こうして、処理空間51内のCO2ガス濃度を一定に保ちながら洗浄処理を行うことができる。
【0048】
処理空間51内のCO2ガスをより吐出ノズル54から吐出される純水へ溶け込ませるためには、処理空間51への純水の供給開始前に純水を霧状にして供給しておくことも好ましく、霧状の純水を噴霧するには、別途、純水噴霧機構を設けることが好ましい。また、霧状の純水は、水蒸気として供給してもよい。
【0049】
この霧状の純水は、ウエハWに向けて吐出するという性質のものではなく、純水を霧状とすることで表面積を大きくしてCO2ガスと反応し易くし、こうしてCO2ガスと反応した霧状の純水が次に吐出ノズル54から供給される通常の洗浄用の純水と接触して効率的に取り込まれ、通常の洗浄用の純水が酸性化して比抵抗が小さくなるという効果をもたらす。こうして、リンス処理における静電気の発生が防止されるとともに、特に、有機アミン系の薬液を用いた洗浄処理の後の純水によるリンス処理において、薬液と純水との反応によるアルカリ性物質の生成を抑制することに有効である。
【0050】
リンス処理が終了した後には、吐出ノズル54からN2ガスを吐出させるとともにロータ24を薬液による洗浄処理やリンス処理のときよりも高速で回転させる、いわゆるスピン乾燥を行う。スピン乾燥終了後は、外側チャンバ26を待避位置にスライドさせてロータ24が露出した状態とし、ウエハ移動機構40のウエハ保持部材41を上昇させて、ウエハ保持部材41にロータ24に保持されているウエハWを保持させる。その際に、ウエハWをロータ24に搬入したときに用いた溝とは異なる溝を用いてウエハ保持部材41にウエハWを保持させることにより、洗浄後のウエハWにパーティクルが再付着するのを防止することができる。
【0051】
続いて、洗浄後のウエハWが保持されたウエハ保持部材41を降下させ、その際にウエハ検知部115により再度ウエハWの枚数等が確認される。そして、ウエハ保持部材41がキャリア待機部30に待機しているキャリアCと通過する際に、ウエハWがキャリアCのウエハ保持溝に保持される。ウエハWが収容されたキャリアCは、キャリア搬送機構35によりステージ部4へ搬出され、さらにキャリア搬送機構12によりイン・アウトポート2の載置台10に載置され、作業者または自動搬送装置により搬出され、一連の洗浄処理が終了する。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明が上記実施の形態に限定されるものでないことはいうまでもなく、種々の変形が可能である。例えば、CO2ガスをリンス処理を行う雰囲気に導入するという方法は、上記洗浄処理装置1以外の別の構造の装置にも適用することができることは言うまでもない。また、上記実施の形態では外側チャンバ26および内側チャンバ27の2つの処理チャンバを用いて液処理を行う場合について説明したが、チャンバは1つであってもよいし、3つ以上あってもよい。さらに、上記実施の形態では半導体ウエハの洗浄処理に適用した場合について示したが、これに限らず、液晶表示装置(LCD)用基板等、他の基板の処理にも適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、容易にリンス処理に用いられる純水にCO2ガスを溶け込ませて酸性化し、比抵抗を下げることが可能となるので、リンス処理における静電気の発生を抑制して、ウエハの放電破壊を防止することが可能となるという効果が得られる。また、従来のCO2インジェクション水を用いる方法と比較して、高価なCO2ガスインジェクション水製造装置を設ける必要がない点で装置コストが抑えられ、既存の設備への配設も容易である。さらに、有機アミン系等の薬剤を用いた後に純水によるリンス処理を行う場合にあっても、吐出される純水にCO2ガスが溶け込みやすく、これにより、薬液と純水の反応によって生ずるアルカリ性物質の生成が抑制され、また中和反応が起こることにより、ウエハに形成された回路が保護されるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置を示す斜視図。
【図2】 本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置を示す平面図。
【図3】 本発明の一実施形態に係る洗浄処理ユニットを示す断面図。
【図4】 図3に示した洗浄処理ユニットにおいて、内側チャンバを外側チャンバの外部に出した状態を示す断面図。
【図5】 図3に示した洗浄処理ユニットにおいて、外側チャンバの内部に内側チャンバを配置した状態を示す断面図。
【図6】 吐出ノズルの一実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
1;洗浄処理装置
2;イン・アウトポート
3;洗浄処理ユニット
4;ステージ部
20;洗浄処理部
23;モータ
24;ロータ
26;外側チャンバ
27;内側チャンバ
30;キャリア待機部
40;ウエハ移動機構
51;処理空間
53・55;吐出口
54・56;吐出ノズル
76;ガス供給口
77;ガス供給管
78;噴霧機構
W;半導体ウエハ(基板)
C;キャリア(基板収納容器)
Claims (4)
- 処理チャンバ内に保持される基板の洗浄処理方法であって、
前記処理チャンバ内に窒素ガスを供給し、
前記基板を所定の回転数で回転させながら有機アミン系の薬液を用いて液処理し、
前記処理チャンバ内に二酸化炭素ガスを供給して二酸化炭素濃度を上昇させた状態で、
前記基板を所定の回転数で回転させながら、かつ該基板に純水を吐出しながら洗浄し、
その後、前記処理チャンバ内に窒素ガスを供給しながら前記基板を所定の回転数で回転させながら乾燥処理することを特徴とする洗浄処理方法。 - 前記二酸化炭素ガスを、前記純水を供給する前に前記処理チャンバ内に供給することを特徴とする請求項1に記載の洗浄処理方法。
- 前記純水の前記処理チャンバへの供給開始前に、霧状にした純水を前記処理チャンバ内に供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄処理方法。
- 前記純水の前記処理チャンバへの供給開始前に、水蒸気を前記処理チャンバ内に供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄処理方法。
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