以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、ボラジン化合物用装置の洗浄方法であって、有機化合物を用いて前記装置を洗浄する洗浄工程(I)と、前記洗浄工程(I)後に、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下の水を用いて前記装置を洗浄する洗浄工程(II)と、を有する、ボラジン化合物用装置の洗浄方法である。
まず、「ボラジン化合物」および「ボラジン化合物用装置」について、説明する。
「ボラジン化合物」とは、ボラジン環骨格を有する化合物を意味し、例えば下記化学式1で表される。
式中、各R1および各R2は、それぞれ同一であってもよいし異なってもよく、水素原子またはアルキル基である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これら以外のアルキル基が用いられてもよい。そして、R2が水素原子である場合のボラジン化合物の例としては、ボラジン、N,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジンなどが挙げられる。また、R2がアルキル基である場合のボラジン化合物の例としては、B,B’,B”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリエチルボラジン、B,B’,B”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(イソプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(n−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(イソブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(ネオペンチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、B,B’,B”−トリシクロヘキシルボラジン、B,B’−ジメチル−B”−エチルボラジン、B,B’−ジエチル−B”−メチルボラジン、B,B’−ジメチル−B”−プロピルボラジンなどが挙げられる。なお、ボラジン化合物の耐水性等の安定性や取扱い性を考慮すると、ボラジン化合物は、ボラジン環骨格の窒素原子にアルキル基が結合したN−アルキルボラジンであることが好ましい。
また、ボラジン化合物は、ボラジン環骨格の窒素原子およびホウ素原子の双方がアルキル基で置換された(すなわち、R1およびR2の双方がアルキル基である)、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B,B’,B”−トリエチル−N,N’,N”−トリメチルボラジンなどのアルキルボラジン化合物であってもよい。
なお、ボラジン化合物の合成方法により本発明の技術的範囲が限定されることはなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。ここで、上記の化学式1で表されるボラジン化合物の合成方法の一例を挙げると、ABH4(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、(RNH3)nX(Rは水素原子またはアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させる手法が例示される。
水素化ホウ素アルカリ(ABH4)において、Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である。水素化ホウ素アルカリの例としては、水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化ホウ素リチウムが挙げられる。
アミン塩((RNH3)nX)において、Rは水素原子またはアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子である。そして、Xが硫酸基である場合にはnは2であり、Xがハロゲン原子である場合にはnは1である。nが2である場合、Rは、同一であっても異なっていてもよいことは上述した通りである。合成反応の収率や取り扱いの容易性を考慮すると、Rは好ましくは同一のアルキル基である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これら以外のアルキル基が用いられてもよい。アミン塩の例としては、塩化アンモニウム(NH4Cl)、モノメチルアミン塩酸塩(CH3NH3Cl)、モノエチルアミン塩酸塩(CH3CH2NH3Cl)、モノメチルアミン臭化水素酸塩(CH3NH3Br)、モノエチルアミンフッ化水素酸塩(CH3CH2NH3F)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、モノメチルアミン硫酸塩((CH3NH3)2SO4)が挙げられる。
使用する水素化ホウ素アルカリおよびアミン塩は、合成するボラジン化合物の構造に応じて選択すればよい。例えば、ボラジン環を構成する窒素原子にメチル基が結合しているN−メチルボラジンを製造する場合には、アミン塩として、モノメチルアミン塩酸塩などの、Rがメチル基であるアミン塩を用いればよい。
水素化ホウ素アルカリとアミン塩との混合比は、特に限定されないが、アミン塩の使用量を1モルとした場合に、水素化ホウ素アルカリの使用量を1〜1.5モルとすることが好ましい。
合成用の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
水素化ホウ素アルカリとアミン塩との反応条件は、特に限定されない。反応温度は、好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜240℃、さらに好ましくは100〜220℃である。上記範囲で反応させると、水素発生量の制御が容易である。反応温度は、K熱電対などの温度センサーを用いて測定されうる。
一方、アルキルボラジン化合物は、出発物質としてB,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリアルキルボラジンなどのハロゲン化ボラジン化合物を原料として、グリニャール試薬を用いて当該化合物の塩素原子をアルキル基で置換することによって合成されうる(D.T.HOWORTH and L.F.HOHNSTEDT,J.Am.Chem.Soc.,82,3860(1960)を参照)。
合成装置の大きさや種類は、環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量のボラジン化合物を合成するのであれば、工業的規模の合成装置が用いられうる。
合成されたボラジン化合物は、必要に応じて精製されうる。ボラジン化合物の精製方法としては、例えば、蒸留精製が用いられる。
蒸留精製装置の大きさや種類は、環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量のボラジン化合物を処理するのであれば、工業的規模の蒸留塔が用いられうる。
蒸留精製の際の温度は特に制限されず、合成されたボラジン化合物の種類に応じて適宜設定されうる。一例を挙げると、通常は100〜150℃程度である。
さらに、得られたボラジン化合物の純度を向上させることを目的として、濾過処理などの追加的な処理が施されてもよい。
「ボラジン化合物用装置」とは、ボラジン化合物の合成や保存などの工業的な一連の全ての段階において、ボラジン化合物と接触しうる全ての装置を意味する。例えば、以上の説明において例示したボラジン化合物の合成方法において、ボラジン化合物は、合成装置や蒸留精製装置と接触しうる。また、濾過処理が施される場合には、濾過装置にもまた、ボラジン化合物は接触しうる。さらに、これらの各装置どうしの間をボラジン化合物が流通しうるように各装置間を接続する配管にも、ボラジン化合物は接触しうる。従って、これらの合成装置、蒸留精製装置、濾過装置、配管などは全て、「ボラジン化合物用装置」の概念に包含される。
ただし、ボラジン化合物用装置の形態はこれらのみに限定されない。通常、工業的に合成されたボラジン化合物は、ボラジン化合物保存用容器に充填され、密封状態で保存される。そして、必要に応じ、ボラジン化合物は当該容器に充填された状態で輸送され、輸送先において当該容器から取り出されて、半導体用層間絶縁膜の形成などの目的に使用される。ここで、使用済みのボラジン化合物保存用容器においても同様に、合成装置やその配管などにおける問題が生じうる。すなわち、容器中に充填されたボラジン化合物をその使用時に当該容器から完全に取り出すことはほとんど不可能であるから、一定の割合のボラジン化合物は当該容器中に残存せざるを得ない。そして、容器中に残存したボラジン化合物は、空気中の水分との接触によりN−B結合が加水分解され、分解物(例えば、メチルアミンおよびホウ酸)が不純物として生成してしまう。従って、もともと充填されていたボラジン化合物の純度が極めて高かったとしても、使用済みのボラジン化合物保存用容器を回収する間に不純物が混入してしまうのはやむを得ない。そして、このように回収時に不純物が混入してしまった使用済みのボラジン化合物保存用容器を従来公知の手法を用いて洗浄しても、十分な洗浄を達成することは困難である。その結果、次回に充填されるボラジン化合物中にこれらの不純物が混入してしまい、ボラジン化合物の純度低下などの問題が生じる虞がある。
これに対し、かような使用済みのボラジン化合物保存用容器を本発明の手法により洗浄すると、次回に充填されるボラジン化合物への不純物の混入が最小限に抑制され、充填されるボラジン化合物の純度低下といった問題の発生が防止されうる。従って、本発明における「ボラジン化合物用装置」の概念には、「ボラジン化合物保存用容器」もまた、包含されうる。
続いて、本発明の特徴的な構成である洗浄工程について、洗浄工程(I)および洗浄工程(II)の順に詳細に説明する。
[洗浄工程(I)]
本工程においては、有機化合物を用いてボラジン化合物用装置を洗浄する。これにより、装置に付着したボラジン化合物その他の有機不純物が有機化合物に溶解して、洗い流される。
本工程において、洗浄に用いられる有機化合物は、ボラジン化合物用装置の洗浄に用いても当該装置や当該装置に接触するボラジン化合物に対して悪影響を及ぼさないものであればよく、その具体的な形態は特に制限されない。洗浄に用いられる有機化合物は、疎水性であってもよいし、親水性であってもよい。疎水性有機化合物としては、例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;酢酸エチルなどの脂肪族エステル等が挙げられる。また、親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級脂肪族アルコール;アセトンなどの脂肪族ケトン;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エチレングリコールなどのエーテル化合物;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド化合物;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール化合物等が挙げられる。
これらの有機化合物は1種のみが単独で洗浄に用いられてもよいし、2種以上が混合されて洗浄に用いられてもよい。
洗浄の具体的な形態についても特に制限はなく、化合物の合成や保存に用いられる装置の洗浄に関する従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、例えばボラジン化合物の合成終了後に合成装置を洗浄する場合には、合成装置内に残留している原料や反応生成物などを系外に排出させて、装置を開放する。次いで、上述したような有機化合物を用いて、合成装置を洗浄すればよい。洗浄の具体的な操作も特に制限されないが、例えばホースやスプレーなどを用いたかけ洗いが例示される。また、かけ洗いが困難な部位の洗浄には、拭き洗いも有効である。なお、かような洗浄操作は、手動で行ってもよいし、半自動化または自動化された装置を用いて行ってもよい。一方、ボラジン化合物保存用容器の洗浄を考えると、上述したようなかけ洗いや拭き洗いも有効であるが、容器内に上述した有機化合物を充填して静置するといった手法が用いられてもよい。また、洗浄される装置に対して必要に応じて振動を加えることで、本工程における洗浄が促進されうる。この際に用いられる加振装置としては、例えば、超音波印加装置などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
本工程における有機化合物を用いた洗浄回数についても特に制限はなく、1回でもよいし複数回であってもよいが、有機物(残留ボラジン化合物や副生物など)の十分な除去を達成するという観点からは、有機化合物を用いた洗浄回数は、好ましくは2〜50回であり、より好ましくは3〜10回である。なお、洗浄回数が多すぎると、洗浄回数の増加に見合っただけの洗浄効果が得られない虞がある。
本工程において、有機化合物が洗浄に供される際の温度は特に制限されないが、好ましくは0〜70℃であり、より好ましくは0〜50℃であり、さらに好ましくは10〜30℃である。かような範囲内の温度の有機化合物を用いて洗浄を行うことで、優れた洗浄効率が達成されうる。
本工程において、洗浄に用いられる有機化合物の使用量も特に制限されないが、洗浄面積あたりの使用量として、好ましくは0.1〜10.0mL/cm2であり、より好ましくは0.2〜5.0mL/cm2であり、さらに好ましくは0.2〜2.0mL/cm2である。有機化合物の使用量をかような範囲内の値とすることで、洗浄コストの高騰を招くことなく十分な洗浄が達成されうる。
本工程の好ましい形態においては、まず、疎水性有機化合物を用いてボラジン化合物用装置を洗浄した後、親水性有機化合物を用いて当該装置を洗浄する。かような形態によれば、疎水性有機化合物を用いた洗浄により同じく疎水性の残留ボラジン化合物や疎水性の不純物(例えば、副生物など)が洗浄され、続いて親水性有機化合物を用いた洗浄により、親水性の不純物(例えば、副生物など)が洗浄される。そして、後述する洗浄工程(II)における水を用いた洗浄へと洗浄操作がスムーズに移行しうる。すなわち、親水性有機化合物による洗浄後に洗浄工程(II)で水を用いて洗浄することで、洗浄に用いた親水性有機化合物の除去が十分に達成されうる。
当該形態において、疎水性有機化合物および親水性有機化合物のそれぞれによる洗浄回数や、それぞれの化合物の使用量の割合は特に制限されず、洗浄が必要な不純物の種類や量に応じて適宜決定されうる。好ましい一例を挙げると、疎水性有機化合物による洗浄回数は、好ましくは2〜50回であり、より好ましくは3〜10回である。また、親水性有機化合物による洗浄回数は、好ましくは2〜50回であり、より好ましくは3〜10回である。なお、洗浄回数が多すぎると、洗浄回数の増加に見合っただけの洗浄効果が得られない虞がある。また、使用量の割合の好ましい一例を挙げると、疎水性有機化合物:親水性有機化合物の体積比として、好ましくは1:0.5〜1:4であり、より好ましくは1:1〜1:2である。ただし、これらの範囲を外れる形態が採用されても、勿論よい。なお、上記体積比は、疎水性有機化合物および親水性有機化合物の少なくとも一方による洗浄が複数回行われる場合には、複数回の使用量の合計値に基づいて算出するものとする。
なお、洗浄工程(I)の終了後、洗浄工程(II)に移行するにあたって、洗浄工程(I)で用いられた有機化合物を洗い流す目的で、追加的な洗浄処理を行ってもよい。かような洗浄処理には、例えば、一般的な純水が用いられうる。
[洗浄工程(II)]
本工程においては、上述した洗浄工程(I)後に、純度の高い所定の水を用いてボラジン化合物用装置を洗浄する。これにより、主に装置に付着した不純物(例えば、ハロゲンや金属元素、その他の微粒子など)が、洗い流される。
本工程において洗浄に用いられる水は、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下、好ましくは0.5μS/cm以下、より好ましくは0.1μS/cm以下、さらに好ましくは0.06μS/cm以下の値を示す。かような形態の水は不純物含有量が極めて少ない。従って、かような水を用いて洗浄工程(II)を行うことにより、洗浄工程(I)において洗浄されなかった不純物や微粒子などが除去され、さらに洗浄工程(I)において洗浄の目的で用いられた有機化合物もまた、洗い流される。その結果、洗浄された装置に対して次回にボラジン化合物が接触した際の当該ボラジン化合物への不純物の混入が最小限に抑制されうる。ここで、純度の高い水を洗浄に用いるという観点からは、用いられる水の電気伝導率の下限値は特に限定されず、低いほどよいが、入手の困難性などを考慮すると、当該電気伝導率は0.056μS/cm以上であれば十分である場合も多い。なお、本明細書において、「25℃における水の電気伝導率」の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
上述した所定の電気伝導率を示す水の入手経路は、特に制限されない。かような水が商品として市販されている場合には、当該商品を購入することにより用いてもよいし、市販されている装置を用いて低純度の水の純度を向上させてもよい。
本工程において洗浄のために用いられる水は電気伝導率が上述した範囲内の値を示すことが必須であるが、より好ましい形態においては、含まれる粒子の含量もまた規定される。すなわち、当該形態においては、本工程において用いられる水における0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量が100個/mL以下であり、より好ましくは50個/mL以下であり、さらに好ましくは10個/mL以下である。かような形態の水を用いて洗浄工程(II)を行うことにより、洗浄工程(II)における洗浄効率がより一層向上しうる。ここで、純度の高い水を洗浄に用いるという観点からは、用いられる水における前記粒子の含量の下限値は特に限定されず、低いほどよい。なお、本明細書において、「水における0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量」の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。かような粒子の含量が少ない水の入手経路についても特に制限されない。かような水が商品として市販されている場合には、当該商品を購入することにより用いてもよいし、市販されている装置を用い、例えば濾過などの手段によって粒子含量の低い水を得てもよい。
本工程における洗浄の具体的な形態についても特に制限はなく、化合物の合成や保存に用いられる装置の洗浄に関する従来公知の知見が適宜参照され、例えば洗浄工程(I)について上述した形態が同様に採用されうる。
本工程における水を用いた洗浄回数についても特に制限はなく、1回でもよいし複数回であってもよいが、不純物や微粒子の十分な除去を達成するという観点からは、水を用いた洗浄回数は、好ましくは2〜50回であり、より好ましくは3〜10回である。なお、洗浄回数が多すぎると、洗浄回数の増加に見合っただけの洗浄効果が得られない虞がある。
本工程において、水が洗浄に供される際の温度は特に制限されないが、好ましくは0〜70℃であり、より好ましくは20〜60℃であり、さらに好ましくは20〜50℃である。かような範囲内の温度の水を用いて洗浄を行うことで、優れた洗浄効率が達成されうる。
本工程において、洗浄に用いられる水の使用量も特に制限されないが、洗浄面積あたりの使用量として、好ましくは0.2〜10.0mL/cm2であり、より好ましくは0.2〜5.0mL/cm2であり、さらに好ましくは0.2〜2.0mL/cm2である。水の使用量をかような範囲内の値とすることで、洗浄コストの高騰を招くことなく十分な洗浄が達成されうる。
可能であれば、本工程は、所定のクリーン度(清浄度クラス)を有するクリーンルーム内において行われることが好ましい。本形態は、ボラジン化合物用装置がボラジン化合物保存用容器である場合に特に好適である。具体的には、本工程は、クラス10000よりも清浄なクリーンルーム内で行われることが好ましい。なお、本明細書において「クリーン度(清浄度クラス)」とは、FED−STD−209D(米国連邦規格、1988年)による値を採用するものとする。当該規格において、「クリーン度(清浄度クラス)」とは、1ft3あたりの0.5μm以上の粒径を有する粒子の個数として定義される。従って、例えば「クラス10000よりも清浄なクリーンルーム」とは、雰囲気中の0.5μm以上の粒径を有する粒子の個数が10000個/ft3以下のクリーンルームを意味する。なお、本工程は、クラス1000よりも清浄なクリーンルーム内で行われることがより好ましく、クラス100よりも清浄なクリーンルーム内で行われることがさらに好ましい。
上述したように、洗浄工程(II)では水を用いてボラジン化合物用装置を洗浄するが、この際に用いた水が当該装置に残留していると、次回に当該装置を用いて合成または保存されるボラジン化合物との接触により当該ボラジン化合物が分解してしまう虞がある。かような観点から、本発明においては、洗浄工程(II)において洗浄されたボラジン化合物用装置を乾燥させる乾燥工程をさらに有することが好ましい。
乾燥工程に用いられる乾燥手段は特に制限されず、化合物の合成や保存に用いられる装置の洗浄後の乾燥に従来用いられている形態が同様に採用されうる。例えば、乾燥機を用いた乾燥や、ケミカルクリーンレベルの不活性ガス(例えば、窒素など)を噴射することによる乾燥などが例示されうる。
以上説明した通り、本発明の洗浄方法によれば、洗浄工程(I)および洗浄工程(II)によりボラジン化合物用装置の洗浄を行うことで、一旦ボラジン化合物の合成や保存に使用されたボラジン化合物用装置が高度に洗浄されうる。その結果、当該装置を用いて次回に合成または保存されるボラジン化合物への不純物や微粒子の混入が最小限に抑制され、合成または保存されるボラジン化合物の純度を長期間に亘って高い値に維持しうる。
従って、本発明によれば、上述した本発明の洗浄方法により洗浄されたボラジン化合物用装置が提供され、より好ましい形態においては、当該ボラジン化合物用装置はボラジン化合物を保存するためのボラジン化合物保存用容器である。
ここで、ボラジン化合物保存用容器のサイズや材質などの形態は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。実験室レベルで合成された少量のボラジン化合物を保存するためには、小さい保存用容器を用いればよい。また、工業レベルで合成された大量のボラジン化合物を保存するためには、大きい保存用容器を用いればよい。
保存用容器の材質については、例えば、ステンレス、ハステロイなどの金属材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのプラスチック材料等が採用されうる。なかでも、耐圧圧力が高いという観点からは、容器はステンレスから構成されることが好ましい。また、保存用容器の耐蝕性をより一層向上させる目的で、上記の金属等の材料から構成される容器の内面を樹脂でコーティングするとよい。この際、コーティングに用いられる樹脂は特に制限されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレンなどが例示される。なかでも、耐蝕性の向上効果が優れるという観点からは、PTFEを用いてコーティングすることが好ましい。ここで、樹脂コーティングのコーティング厚さについては特に制限はないが、好ましくは10〜3000μmであり、より好ましくは500〜1000μmである。
さらに、保存用容器は密封可能であることが好ましく、容器を密封可能とする手段としては、例えば、容器の一部にバルブを設ける形態が例示される。
本発明の洗浄方法により洗浄されたボラジン化合物用装置は、有機化合物および高純度の水を用いることにより、極めて高度に洗浄されている。この清浄の程度は、例えば、以下のパラメータにより規定されうる。すなわち、本発明により提供される(好ましくは、本発明の洗浄方法により洗浄された)ボラジン化合物用装置(例えば、ボラジン化合物保存用容器)は、25℃における電気伝導率が1μS/cm以下である水を充填して1時間放置した場合に、1時間放置後の水におけるハロゲンイオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオンなど)の含量の増加量が好ましくは100質量ppb以下であり、より好ましくは50質量ppb以下であり、さらに好ましくは10質量ppb以下である。ここで、ハロゲンイオンの含量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。また、1時間放置後の水における金属元素(例えば、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、カリウムなど)の含量の増加量が好ましくは50質量ppb以下であり、より好ましくは20質量ppb以下であり、さらに好ましくは10質量ppb以下である。ここで、金属元素の含量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。さらに、1時間放置後の水における0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の増加量は、好ましくは100個/mL以下であり、より好ましくは50個/mL以下であり、さらに好ましくは10個/mL以下である。ここで、当該粒子の含量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
なお、本明細書において、「水におけるハロゲンイオンの含量」および「水における金属元素の含量」の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。また、複数のハロゲンイオンまたは金属元素が水やボラジン化合物(後述する形態を参照)に含まれる場合、その含量としては、複数のハロゲンイオンの含量の合計値または複数の金属元素の含量の合計値を採用するものとする。また、これらのパラメータの測定において、ボラジン化合物保存用容器に充填される水の量は、容器体積に対して10%以上であり、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50%以上である。なお、ボラジン化合物用装置のうち、ボラジン化合物保存用容器のような密封可能な装置については、装置に水を充填した後に当該装置を密封して上述した種々のパラメータを測定すればよいが、例えば配管等の密封が困難な装置については、同等の清浄度を有する2つの密封可能な容器を準備してその双方に同量の水を充填し、2つの装置の一方に上記のパラメータの測定を希望する装置を浸漬させて上記のパラメータを測定し、他方の容器に充填された水における上記のパラメータをコントロール(比較対照)として、当該配管におけるパラメータ値とすればよい。
さらに、本発明により提供される(好ましくは、本発明の洗浄方法により洗浄された)ボラジン化合物用装置がボラジン化合物保存用容器である場合には、当該容器を洗浄後に充分に乾燥させた後、ボラジン化合物を保存すると、極めて純度低下が小さい値に制御されうる。この程度は、例えば、以下のパラメータにより規定されうる。すなわち、本発明により提供されるボラジン化合物保存用容器に、ボラジン化合物を25℃にて保存し、30日間経過した後において、当該ボラジン化合物の純度低下は、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。なお、「ボラジン化合物の純度低下が0.5質量%である」とは、例えば保存開始時のボラジン化合物の純度が99.8質量%である場合には、25℃にて60日間保存後のボラジン化合物の純度が99.3質量%であることを意味する。つまり、「純度低下」とは、保存前後の相対値ではなく、ボラジン化合物の絶対純度の低下を意味する。なお、ボラジン化合物の純度の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
また、本発明により提供されるボラジン化合物保存用容器は、他のパラメータによっても規定されうる。すなわち、本発明により提供されるボラジン化合物保存用容器に、ボラジン化合物25℃にて保存し、30日間経過した後において、当該ボラジン化合物におけるハロゲンイオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオンなど)の含量の増加量は好ましくは100質量ppb以下であり、より好ましくは50質量ppb以下であり、さらに好ましくは20質量ppb以下である。なお、保存後のボラジン化合物におけるハロゲンイオンの含量の絶対値は特に制限されないが、好ましくは10ppm以下であり、より好ましくは1ppm以下であり、さらに好ましくは200ppb以下である。ここで、ボラジン化合物におけるハロゲンイオンの含量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。また、当該ボラジン化合物における金属元素(例えば、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、カリウムなど)の含量の増加量は好ましくは50質量ppb以下であり、より好ましくは20質量ppb以下であり、さらに好ましくは10質量ppb以下である。なお、保存後のボラジン化合物における金属元素の含量の絶対値は特に制限されないが、好ましくは10ppm以下であり、より好ましくは1ppm以下であり、さらに好ましくは200ppb以下である。ここで、ボラジン化合物における金属元素の含量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。さらに、当該ボラジン化合物における0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の増加量は、好ましくは100個/mL以下であり、より好ましくは50個/mL以下であり、さらに好ましくは10個/mL以下である。ここで、当該粒子の含量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
以下、実施例を用いて本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
<実施例>
まず、ボラジン化合物用装置として、SUS316L製ボラジン化合物保存用容器(2L)を準備した。
[洗浄工程(I)]
次いで、n−ヘキサン(疎水性有機化合物)を用いて、準備した容器をかけ洗いにより洗浄した(100mL×3回)。
続いて、イソプロピルアルコール(親水性有機化合物)を用いて、準備した容器をかけ洗いにより洗浄した(100mL×3回)。その後、純水を用いて、当該容器をかけ洗いにより洗浄した(100mL×10回)。
[洗浄工程(II)]
超純水製造装置(日本ミリポア株式会社製:Milli−Q Element A−10)を用いて、本工程において洗浄に用いるための水(以下、「超純水」とも称する)を準備した。準備した超純水は、超純水製造装置に内蔵された電気伝導率計によれば、25℃にて0.055μS/cmの電気伝導率を示した。また、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量を測定したところ、2個/mLであった。なお、「電気伝導率」の値は、以下の手法により測定した。また、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の測定には、レーザー光散乱を利用したパーティクルカウンター(パーティクル メジャリング システムズ インコーポレイテッド社(PMS社)製;AZ−SO2/LS−200)を用いた。
洗浄工程(I)で洗浄されたボラジン化合物保存用容器を、クラス1000のクリーンルーム内において、上記で得られた超純水を用いてかけ洗いにより洗浄した(300mL×3回)。
<評価>
上述した実施例において洗浄したボラジン化合物保存用容器内に超純水を充填し、1時間放置した。1時間放置後の超純水におけるハロゲンイオンの含量、金属元素の含量、および0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量をそれぞれ測定し、充填前の洗浄に用いた超純水における対応する値から、1時間放置後のそれぞれの値の増加量を算出した。その結果、ハロゲンイオンの含量の増加量は5質量ppbであり、金属元素の含量の増加量は3質量ppbであり、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の増加量は2個/mLであった。
なお、超純水におけるハロゲンイオンの含量の測定には、イオンクロマトグラフィであるICS−1500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いた。また、金属元素の含量の測定には、ICP−MS(高周波発光質量分析器)であるELAN DRCII(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用いた。さらに、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の測定にはレーザー光散乱を利用したパーティクルカウンター(パーティクル メジャリング システムズ インコーポレイテッド社(PMS社)製;LIQUIL AZ−SO2/LS−200)を用いた。
続いて、容器中に充填された超純水を抜き出し、クラス100のクリーンオーブン中で60℃にて24時間乾燥させた。
クラス10のクリーングローブボックス内で、ボラジン化合物である純度99.9質量%のN,N’,N”−トリメチルボラジンを乾燥後の容器に充填し、30日間経過後の当該ボラジンにおけるハロゲンイオンの含量、金属元素の含量、および0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量、並びに当該ボラジン化合物の純度をそれぞれ測定し、充填前の当該ボラジン化合物における対応する値から、30日間経過後のそれぞれの値の変化量を算出した。その結果、ハロゲンイオンの含量の増加量は17質量ppbであり、金属元素の含量の増加量は7質量ppbであり、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の増加量は5個/mLであり、N,N’,N”−トリメチルボラジンの純度低下は0.01質量%であった。
なお、ボラジン化合物におけるハロゲンイオンの含量および金属元素の含量の測定は以下の手法により行った。まず、ハロゲンイオンの含量については、ボラジン化合物をメチルアルコール(関東化学株式会社製;電子工業用メチルアルコール)で20倍に希釈分解させ、さらに超純水で分解物を20倍に希釈することにより分析用加水分解液を調製する。この液を、陽イオン吸着カラムを通過させた後、イオンクロマトグラフィであるISC−1500(日本ダイオネクス株式会社製)を用いて測定した。
また、金属元素の含量については、上記と同様にメチルアルコールで20倍に希釈分解後、さらに2質量%硝酸水溶液(多摩化学工業株式会社製;硝酸 TAMAPURE−AA−100を超純水で希釈することにより調製)で分解物を10倍に希釈することにより分析用加水分解液を調製する。この液を、ICP−MS(高周波発光質量分析器)であるELAN DRCII(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用いて測定した。
さらに、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の測定には上記と同様の手法を用いた。
なお、ボラジン化合物の純度は、ガスクロマトグラフィを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
装置:株式会社島津製作所製 GC−14B
カラム:株式会社日立サイエンスシステムズ Ultra Alloy(8H)
キャリアガス:窒素
キャリアガス流量:3.0mL/分
試料注入温度:300℃
検出器温度:300℃
試料注入量:0.2μL
カラム温度:50℃(5分)→20℃/分の昇温速度で250℃まで昇温
→10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温→300℃(10分)
<比較例>
洗浄工程(I)を行わなかったこと以外は、上記の実施例と同様の手法により、ボラジン化合物保存用容器を洗浄し、各種評価を行った。
その結果、当該容器に超純水を充填して1時間放置後の当該水におけるハロゲンイオンの含量の増加量は830質量ppbであり、金属元素の含量の増加量は110質量ppbであり、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の増加量は4600個/mLであった。
また、ボラジン化合物を充填して30日間経過後の当該ボラジン化合物におけるハロゲンイオンの含量の増加量は980質量ppbであり、金属元素の含量の増加量は120質量ppbであり、0.5μm以上の粒径を有する粒子の含量の増加量は13000個/mLであり、N,N’,N”−トリメチルボラジンの純度低下は2.1質量%であった。
以上の実施例および比較例に示す結果から、本発明のボラジン化合物用装置の洗浄方法によれば、当該装置が極めて高度に洗浄され、次回に保存されるボラジン化合物への不純物や微粒子の混入が最小限に抑制されうることが示される。