JP6163057B2 - 水素化シラン化合物用装置の洗浄方法、およびこの方法により洗浄された水素化シラン化合物用装置 - Google Patents
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下記式(1)
(SiH2)n …(1)
(式(1)中、nは3〜6である。)
および/または下記式(2)
SimH2m+2 …(2)
(式(2)中、mは3〜6である。)
で表される水素化シラン化合物が接触した装置を、
非プロトン性溶媒で洗浄する第1洗浄工程、
アルカリ性化合物のアルコール溶液で洗浄する第2洗浄工程、および
25℃における電気伝導率が1μS/cm以下の水で洗浄する第3洗浄工程を含むことを特徴とする水素化シラン化合物用装置の洗浄方法である。
(SiH2)n …(1)
(式(1)中、nは3〜6である。)
および/または下記式(2)
SimH2m+2 …(2)
(式(2)中、mは3〜6である。)
で表される化合物である。
第1洗浄工程では、非プロトン性溶媒を用いて装置を洗浄する。装置に付着している水素化シラン化合物が非プロトン性溶媒に溶解して、洗い流される。また、装置に残存しているシロキサン化合物や水素化シランポリマーは非プロトン性溶媒には溶解しないが、この第1洗浄工程で、物理的に洗い流すことができる。使用できる非プロトン性溶媒としては、トルエンやキシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサンやオクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の飽和環状炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の鎖状および環状エーテル類等が使用できる。これらは単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
第2洗浄工程では、アルカリ性化合物のアルコール溶液を用いて、第1洗浄工程で洗浄された装置を洗浄する。この工程は、第1洗浄工程で除去できなかった水素化シラン化合物を安全なシロキサン化合物へと変性させると共に、このシロキサン化合物はアルカリに溶解するため、この工程で除去が可能である。
第3洗浄工程は、第1洗浄工程および第2洗浄工程後に行われ、装置内に残存した不純物や微粒子を除去する工程である。また、第2洗浄工程で用いたアルカリ性化合物のアルコール溶液も洗い流される。
第3洗浄工程後、水素化シラン化合物用装置を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。乾燥工程は、乾燥機を用いたり、ケミカルクリーンレベルの不活性ガス(例えば、窒素等)を噴射することにより、行える。
本発明には、本発明の洗浄方法で洗浄された水素化シラン化合物用装置も包含されるが、本発明の水素化シラン化合物用装置は高度に清浄化されているので、精製後の高純度な水素化シラン化合物を保管するための容器として用いることが好ましい。この保管用容器(保管用容器には限定されず、水を溜められる水素化シラン化合物用装置なら何でもよい)は、第3洗浄工程で洗浄液として用いる25℃における電気伝導率が1μS/cm以下の水を入れ、25℃で1時間放置しても、水中のハロゲンイオンの増加量が100質量ppb以下、金属元素(例えば、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、カリウム等)の増加量が50質量ppb以下、粒径0.5μm以上の粒子の増加量が100個/mL以下であるという特性を有する。すなわち、容器に入れる前の水が、容器に入れた後でもほとんど汚染されないということである。ハロゲンイオンの増加量は50質量ppb以下であることが好ましく、30質量ppb以下であることがより好ましい。また、金属元素の増加量は30質量ppb以下であることが好ましく、10質量ppb以下であることがより好ましい。そして、粒径0.5μm以上の粒子の増加量は50個/mL以下であることが好ましく、10個/mL以下であることがより好ましい。なお、ハロゲンイオン、金属元素の定量方法と、粒径0.5μm以上の粒子数の測定方法は、実施例で後述する。
レーザー光散乱を利用したパーティクルカウンター(パーティクル メジャリング システムズ(PMS)社製;「AZ−SO2/LS−200」)により、粒径0.5μm以上の粒子の個数を測定した。
イオンクロマトグラフィ(日本ダイオネクス社製;「ISC−3000」)を用いた。
ICP−MS(高周波発光質量分析器;Agilent Technologies社製;「Agilent7700」)を用いて、金属元素の定量を行った。
窒素雰囲気下のグローブボックス内でCHSを超脱水ヘキサンで2質量%に希釈し、バイヤル瓶にこの溶液を入れ密封した後、ガスクロマトグラフィ(島津製作所社製:「GC2014」)で下記条件で純度を測定した。
キャリアガス:N2
キャピラリーカラム:Agilent J&W社製;「DB−1MS」
試料注入温度:300℃
検出器温度:300℃
試料注入量:1μL
カラム温度:50〜300℃
非特許文献1(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1977, 16, 403.)に記載の方法で合成したシクロヘキサシラン(CHS)を蒸留して、純度97.0質量%の精製CHSを得た。CHS用保管容器として、SUS316L製の100mLの容器を準備した。窒素雰囲気下のグローブボックス内で、保管容器にCHSを満たし、24時間放置した後、容器からCHSを取り出し、容器を乾燥させた。
その後、クラス100のクリーンオーブン中で60℃で24時間乾燥を行った。
酸素濃度1ppm以下(体積基準)、露点−70℃以下に調整された窒素雰囲気のグローブボックス内で純度97質量%のCHSを乾燥後の清浄化された容器に充填し、30日後の純度を測定した。純度低下は0.1質量%以下であった。
実施例1において、第2洗浄工程でKOHを用いなかった以外は、実施例1と同様にして洗浄試験評価を行った。洗浄後の容器に超純水を充填して1時間放置した後のハロゲンイオンの増加量は730質量ppbであり、金属元素の含量の増加量は1200質量ppbであり、粒径0.5μmの粒子の増加量は500個/mLであった。また、容器内を目視で確認したところ、白色の固形物が付着しており、明らかに洗浄不足であった。
実施例1において、第2洗浄工程の洗浄液を、水90質量%とKOH10質量%の洗浄液とした以外は、実施例1と同様にして洗浄試験評価を行った。洗浄後の容器に超純水を充填して1時間放置した後のハロゲンイオンの増加量は80質量ppbであり、金属元素の含量の増加量は60質量ppbであり、粒径0.5μmの粒子の増加量は300個/mLであった。
Claims (8)
- 下記式(1)
(SiH2)n…(1)
(式(1)中、nは3〜6である。)
および/または下記式(2)
SimH2m+2…(2)
(式(2)中、mは3〜6である。)
で表される水素化シラン化合物が接触した装置を、
非プロトン性溶媒で洗浄する第1洗浄工程、
アルカリ性化合物のアルコール溶液で洗浄する第2洗浄工程、および
25℃における電気伝導率が1μS/cm以下の水で洗浄する第3洗浄工程を含むことを特徴とする水素化シラン化合物用装置の洗浄方法。 - 上記アルカリ性化合物が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酢酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩および炭酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の洗浄方法。
- 上記アルコールの炭素数が1〜12である請求項1または2に記載の洗浄方法。
- 第3洗浄工程後に乾燥工程を行う請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄方法。
- 下記式(1)および/または下記式(2)で表される水素化シラン化合物が接触した装置であり、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法により洗浄されたことを特徴とする下記式(1)および/または下記式(2)で表される水素化シラン化合物用装置。
(SiH 2 ) n …(1)
Si m H 2m+2 …(2)
(式(1)中、nは3〜6である。式(2)中、mは3〜6である。) - 上記式(1)および/または上記式(2)で表される水素化シラン化合物の保管用容器である請求項5に記載の水素化シラン化合物用装置。
- 上記水素化シラン化合物用装置に25℃における電気伝導率が1μS/cm以下の水を充填し、25℃で1時間放置した場合に、水中のハロゲンイオンの増加量が100質量ppb以下、金属元素の増加量が50質量ppb以下、粒径0.5μm以上の粒子の増加量が100個/mL以下である請求項5または6に記載の水素化シラン化合物用装置。
- 上記水素化シラン化合物用装置に、上記式(1)および/または上記式(2)で表される水素化シラン化合物を入れ、窒素雰囲気下密封した後、25℃で30日保管した場合の水素化シラン化合物の純度低下が0.5質量%以下である請求項5〜7のいずれかに記載の水素化シラン化合物用装置。
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