JP2019001714A - 高純度シクロヘキサシラン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属元素の含有量が0.01〜100ppb、重合体成分の含有量が0〜5000ppm、ナトリウムの含有量が0.01〜100ppbである高純度シクロヘキサシランであって、その製造方法は、不純物を含むシクロヘキサシランを精製する方法であり、短行程蒸留、薄膜式蒸留、分子蒸留のいずれかによる第1蒸留工程を25〜80℃、3kPa〜10Paで行い、蒸留塔での第2蒸留工程を第1蒸留工程より高温で、かつ、50〜100℃で行う。
【選択図】なし
Description
(SiH2)n …(1)
(式(1)中、nは3〜6である。)
または下記式(2)
SimH2m+2 …(2)
(式(2)中、mは3〜6である。)
で表され、少なくとも、条件の異なる蒸留工程を2回以上行うところに特徴を有する。
本発明の高純度水素化シラン化合物は、不純物である金属元素の含有量が0.01〜100ppb(質量基準)であるところに特徴を有する。後述する精製方法を採用した製造方法で水素化シラン化合物を製造した結果、金属元素を上記範囲にまで低減させることができた。金属元素を上記範囲に低減することで、水素化シラン化合物を長期間保管する場合の重合体成分の増量も抑制できた。なお、金属元素としては、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、鉄、カルシウム、マグネシウム、チタン、クロム、銅等の還元剤や反応原料由来のものが挙げられる。この中でも、ナトリウムを0.01〜100ppbに低減させた高純度水素化シラン化合物であることが好ましい。ナトリウムは製法や工程によらず、混入の可能性が高い金属元素であり、ナトリウムを低減することは工業上有用だからである。
(SiH2)n …(1)
(式(1)中、nは3〜6である。)
または下記式(2)
SimH2m+2 …(2)
(式(2)中、mは3〜6である。)
で表される。以下の説明において、水素化シラン化合物、あるいは高純度水素化シラン化合物というときは、上記(1)と(2)で表される化合物が含まれる。
還元工程を経て得られる水素化シラン化合物には、不純物として、水素化シラン化合物(特に環状シラン化合物である場合)の重合体成分が数%〜十数%、また、還元剤由来の金属元素が数百〜数千ppm程度が含まれているため、このような不純物を含む水素化シラン化合物(特にシクロヘキサシラン)をいきなり高温で蒸留すると、さらに水素化シラン化合物の重合体が増量してしまうことが見出された。これは、不純物として水素化シラン化合物に含まれていた水素化シラン化合物の重合体成分や金属元素が、高温の蒸留塔等で行われる減圧蒸留の際に、水素化シラン化合物の重合を促進する重合促進剤的な作用を有するためであると考えられた。なお、重合体とは、目的の水素化シラン化合物の二量体およびそれ以上の多量体を指す。
第2蒸留工程では、公知の蒸留塔での減圧蒸留を行う。第1蒸留によって、水素化シラン化合物の重合を促進すると考えられる水素化シラン化合物の重合体成分がほぼゼロにまで、また金属元素が数〜十数ppm程度にまで、低減されているため、第1蒸留工程よりも高温で第2蒸留工程を行っても、水素化シラン化合物の重合体成分が増量してしまうおそれがない。よって、第2蒸留工程は、50〜100℃(第1蒸留工程で採用した温度よりも高温が望ましい)で行うことができる。より好ましくは60〜90℃であり、さらに好ましくは70〜85℃である。
本発明では、これまで説明した第1蒸留工程の次に、上記第2蒸留工程を行うことで、精製水素化シラン化合物中の水素化シラン化合物の重合体成分をゼロ(N.D)に、金属元素を100ppb以下に低減することができるので、さらに蒸留を行う必要はないが、適宜、第1蒸留工程と第2蒸留工程の間に、第1蒸留工程と同程度の条件で行う蒸留工程や、第2蒸留工程後のさらなる蒸留工程等を行っても構わない。
また、蒸留以外の精製方法として、水、有機溶媒、およびこれらの混合溶媒での生成物の洗浄、生成物を酸化剤と接触させる酸化剤処理や、吸着精製法、再沈殿法、分液抽出法、再結晶法、晶析法、クロマトグラフィー等による精製等、従来公知の精製方法を組み合わせても構わない。
本発明において、第1蒸留工程に供する未精製の水素化シラン化合物の合成方法は特に制限されるものではなく、公知の合成方法を適宜採用することができる。例えば、水素化シラン化合物がシクロヘキサシランである場合、ジフェニルジクロロシランを原料に、アルカリ金属を用いて環化させ、6員環を単離し、塩化アルミニウム存在下で塩酸ガスと接触させてケイ素上を塩素化し、次いで得られたシクロヘキサシランのハロゲン化物を水素化リチウムアルミニウム等の金属水素化物と接触させて還元する方法で得られた反応混合物を、未精製のシクロヘキサシラン(粗シクロヘキサシラン)として用いることができる。また、本発明者らが見出した後述の合成例2に記載の方法、すなわちトリクロロシラン等のハロシラン化合物を、ホスフィンの存在下で環化させ、得られたシクロヘキサシランのハロゲン化物を還元する方法で得られた反応混合物を粗シクロヘキサシランとして用いることもできる。
本発明の製造方法によれば、通常80%以上、さらに好ましくは90%以上の高い精製収率で、水素化シラン化合物の重合体成分を含まず(N.D)、また金属元素(特にナトリウム)が0.01〜100ppbの範囲に低減された高純度水素化シラン化合物を得ることが可能になる。特にシクロヘキサシランは、金属元素の存在量が多くなると重合反応が進行しやすいが、金属元素の含有量を上記範囲とすることにより、重合反応の進行を抑え、安定に保存することが可能となる。そして、シクロヘキサシランは、製膜時の成長速度が速い点において、より低次の水素化シラン化合物よりも優れており、有用性が高い。
また、金属成分量は、ICP−MS(Agilent Technologies社製の「Agilent 7700S」)で、5質量%の希硝酸で500倍に希釈した状態で測定した。
Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1977, 16, 403に記載の方法でシクロヘキサシランを合成した。未精製の状態のシクロヘキサシラン中の重合体量、金属元素量を表1に示した。なお、表1中、%は質量%であり、ppm、ppbはいずれも質量基準である。
フィンテック社から入手した短行程蒸留装置(ドイツU・I・C社製、KDL1型)を用いて、上記合成例1で得られたシクロヘキサシランの第1蒸留工程を行った。KDL1型短行程蒸留装置の蒸発面積は0.017m2である。第1蒸留工程での減圧度は100Pa、加熱温度は40℃、凝縮器の温度は5℃とした。また、粗シクロヘキサシランのフィード速度は1.5g/minとした。
この第1蒸留工程での収率、得られたシクロヘキサシラン中の重合体量および金属元素量を表1に示した。
上記合成例1で得られたシクロヘキサシランを、第1蒸留工程を行うことなく、上記第2蒸留工程と同じ減圧蒸留装置で同じ蒸留条件で蒸留した。収率は60質量%であり、かなりのシクロヘキサシランが重合体となってしまったと考えられるが、重合体は気化しないため検出できなかった。得られた精製シクロヘキサシラン中の金属元素量を表1に示した。また、実施例1と同様に、精製シクロヘキサシランを30日保管したところ、重合体成分が2質量%生成したことが確認できた。長期保存時にも水素化シラン化合物の純度を高度に維持するためには、金属元素量を高度に低減する必要があることがわかった。
温度計、コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を備えた3L四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、ホスフィンとしてトリフェニルホスフィン129g(0.49mol)と、塩基性化合物としてジイソプロピルエチルアミン382g(2.95mol)と、溶媒として1,2−ジクロロエタン1.2Lとを入れた。続いてフラスコ内の溶液を攪拌しながら、25℃条件下において滴下ロートより、ハロシラン化合物としてトリクロロシラン400g(2.95mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、60℃で6時間加熱攪拌することにより反応させた。得られた反応液を濃縮・洗浄して、非イオン性のドデカクロロシクロヘキサシラン含有化合物([Ph3P]2[Si6Cl12])を白色固体として得た。
上記合成例2で得られた粗シクロヘキサシランを用いて、実施例1と同様にして第1蒸留工程および第2蒸留工程を行い、精製シクロヘキサシランを得た。
得られた精製シクロヘキサシランを窒素雰囲気下25℃で30日保管し、保管後のシクロヘキサシラン中の重合体成分の存在を確認したところ、重合体成分は認められなかった。
Claims (4)
- 金属元素の含有量が0.01〜100ppbであり、重合体成分の含有量が0〜5000ppm(質量基準)であることを特徴とする高純度シクロヘキサシラン。
- ナトリウムの含有量が0.01〜100ppbであり、重合体成分の含有量が0〜5000ppm(質量基準)である高純度シクロヘキサシラン。
- クロムの含有量が0.01〜10ppbであり、重合体成分の含有量が0〜5000ppm(質量基準)である高純度シクロヘキサシラン。
- カリウムの含有量が0.01〜10ppbであり、重合体成分の含有量が0〜5000ppm(質量基準)である高純度シクロヘキサシラン。
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