JP4904032B2 - 精製ボラジン化合物の製造方法 - Google Patents

精製ボラジン化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、ボラジン化合物に関する。ボラジン化合物は、例えば、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層を形成するために用いられる。
情報機器の高性能化に伴い、LSIのデザインルールは、年々微細になっている。微細なデザインルールのLSI製造においては、LSIを構成する材料も高性能で、微細なLSI上でも機能を果たすものでなければならない。
例えば、LSI中の層間絶縁膜に用いられる材料に関していえば、高い誘電率は信号遅延の原因となる。微細なLSIにおいては、この信号遅延の影響が特に大きい。このため、層間絶縁膜として用いられ得る、新たな低誘電率材料の開発が所望されていた。また、層間絶縁膜として使用されるためには、誘電率が低いだけでなく、耐湿性、耐熱性、機械的強度などの特性にも優れている必要がある。
かような要望に応えるものとして、分子内にボラジン環骨格を有するボラジン化合物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ボラジン化合物は分子分極率が小さいため、形成される被膜は低誘電率である。その上、形成される被膜は、耐熱性にも優れる。
ボラジン化合物としては、これまでに種々の化合物が提案されている。例えば、ホウ素部位がアルキル基で置換されたアルキルボラジン化合物は、低誘電率材料として非常に優れた特性を有する(例えば、特許文献2を参照)。
特開2000−340689号公報 特開2003−119289号公報
ここで、ボラジン化合物が、例えば上述したような半導体用層間絶縁膜として用いられる場合には、用いられるボラジン化合物中の不純物は少ないほど好ましい。例えば半導体の層間絶縁膜として用いる場合に、用いられるボラジン化合物中の不純物が多すぎると、得られる層間絶縁膜等の性能が低下してしまう虞がある。
これに対し、用いられるボラジン化合物中の不純物が少ないと、上述したような問題の発生は抑制されうる。しかしながら、ボラジン化合物の製造や輸送などのプロセスにおいて当該化合物中の不純物を効果的に除去するための手段としては、未だ満足のいくものが提案されておらず、かような手段の開発が待たれているのが現状である。
そこで、本発明の目的は、ボラジン化合物を製造する際、および製造されたボラジン化合物を容器中に充填する際の当該化合物への不純物の混入を効果的に抑制しうる手段を提供することである。また本発明の他の目的は、不純物の含有量の少ないボラジン化合物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を行った。その結果、ボラジン化合物の製造および充填時にボラジン化合物が水分と接触すると分解し、分解により生成する物質が不純物として混入することを見出した。そしてかような知見に基づき、ボラジン化合物を製造または充填する際の雰囲気中の水分含量を制御することで、ボラジン化合物への不純物の混入が抑制されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ボラジン化合物を準備するボラジン化合物準備段階と、準備された前記ボラジン化合物を水分含量2000体積ppm以下の雰囲気条件下にて濾過する濾過段階と、を有する、精製ボラジン化合物の製造方法である。
また本発明は、容器中へボラジン化合物を充填するボラジン化合物の充填方法であって、水分含量2000体積ppm以下の雰囲気条件下にて、前記容器中へ前記ボラジン化合物を充填する充填段階を有することを特徴とする、ボラジン化合物の充填方法である。
さらに本発明は、化合物中に含まれる粒子径0.5μm以上の不純物の個数が100個/mL以下である、ボラジン化合物である。
本発明によれば、ボラジン化合物を製造する際や容器中へ充填する際の当該化合物への不純物の混入が効果的に抑制される。その結果、例えば半導体の層間絶縁膜の品質向上に有効に寄与しうる。
本発明の第1は、ボラジン化合物の製造時における当該化合物への不純物の混入を抑制するための技術に関する。具体的には、本発明の第1は、ボラジン化合物を準備するボラジン化合物準備段階と、準備された前記ボラジン化合物を水分含量2000体積ppm以下の雰囲気条件下にて濾過する濾過段階と、を有する、精製ボラジン化合物の製造方法である。
本発明の製造方法では、所定の水分含量を有する雰囲気条件下において、ボラジン化合物を濾過する。これにより、精製ボラジン化合物中への不純物の混入が効果的に抑制されうる。
続いて、本発明の第1の製造方法について、工程順に詳細に説明する。
[ボラジン化合物準備段階]
本発明の製造方法では、まず、ボラジン化合物を準備する。
準備されるボラジン化合物の具体的な形態は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。ボラジン化合物は、例えば下記化学式1で表される。
Figure 0004904032
式中、各Rおよび各Rは、それぞれ同一であってもよいし異なってもよく、水素原子またはアルキル基である。ボラジン化合物の例としては、ボラジン、N,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジン、B,B’,B”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリエチルボラジン、B,B’,B”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(イソプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(n−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(イソブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(ネオペンチル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、B,B’,B”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、B,B’,B”−トリシクロヘキシルボラジン、B,B’−ジメチル−B”−エチルボラジン、B,B’−ジエチル−B”−メチルボラジン、B,B’−ジメチル−B”−プロピルボラジンなどが挙げられる。なお、製造されるボラジン化合物の耐水性等の安定性や取扱い性を考慮すると、ボラジン化合物は、N−アルキルボラジンであることが好ましい。
また、準備されるボラジン化合物は、ホウ素部位がアルキル基で置換された、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリメチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B,B’,B”−トリエチル−N,N’,N”−トリメチルボラジンなどのアルキルボラジン化合物であってもよい。
準備するボラジン化合物の入手経路は、特に制限されない。ボラジン化合物の商品が市販されている場合には当該商品を購入したものを用いてもよいし、自ら調製したボラジン化合物を用いてもよい。
ボラジン化合物を自ら調製する手法についても特に制限されない。上記の化学式1で表されるボラジン化合物の調製方法の一例を挙げると、ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、(RNHX(Rは水素原子またはアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させる手法が例示される。
水素化ホウ素アルカリ(ABH)において、Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である。水素化ホウ素アルカリの例としては、水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化ホウ素リチウムが挙げられる。
アミン塩((RNHX)において、Rは水素原子またはアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子である。そして、Xが硫酸基である場合にはnは2であり、Xがハロゲン原子である場合にはnは1である。nが2である場合、Rは、同一であっても異なっていてもよいことは上述した通りである。合成反応の収率や取り扱いの容易性を考慮すると、Rは好ましくは同一のアルキル基である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これら以外のアルキル基が用いられてもよい。アミン塩の例としては、塩化アンモニウム(NHCl)、モノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)、モノエチルアミン塩酸塩(CHCHNHCl)、モノメチルアミン臭化水素酸塩(CHNHBr)、モノエチルアミンフッ化水素酸塩(CHCHNHF)、硫酸アンモニウム((NHSO)、モノメチルアミン硫酸塩((CHNHSO)が挙げられる。
使用する水素化ホウ素アルカリおよびアミン塩は、合成するボラジン化合物の構造に応じて選択すればよい。例えば、ボラジン環を構成する窒素原子にメチル基が結合しているN−メチルボラジンを製造する場合には、アミン塩として、モノメチルアミン塩酸塩などの、Rがメチル基であるアミン塩を用いればよい。
水素化ホウ素アルカリとアミン塩との混合比は、特に限定されないが、アミン塩の使用量を1モルとした場合に、水素化ホウ素アルカリの使用量を1〜1.5モルとすることが好ましい。
合成用の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
水素化ホウ素アルカリとアミン塩との反応条件は、特に限定されない。反応温度は、好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜240℃、さらに好ましくは100〜220℃である。上記範囲で反応させると、水素発生量の制御が容易である。反応温度は、K熱電対などの温度センサーを用いて測定されうる。
一方、アルキルボラジン化合物は、出発物質としてB,B’,B”−トリクロロ−N,N’,N”−トリアルキルボラジンなどのハロゲン化ボラジン化合物を原料として、グリニャール試薬を用いて当該化合物の塩素原子をアルキル基で置換することによって合成されうる(D.T.HOWORTH and L.F.HOHNSTEDT,J.Am.Chem.Soc.,82,3860(1960)を参照)。
合成されたボラジン化合物は、必要に応じて精製されうる。ボラジン化合物の精製方法としては、例えば、蒸留精製が用いられる。
蒸留精製装置の大きさや種類は、環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量のボラジン化合物を処理するのであれば、工業的規模の蒸留塔が用いられうる。少量のボラジン化合物を処理するのであれば、蒸留管を用いた蒸留精製が用いられうる。例えば、少量のボラジン化合物を処理する蒸留装置の具体例としては、3つ口フラスコにクライゼン型の連結管でリービッヒ冷却管を取り付けた蒸留装置が用いられうる。ただし、このような蒸留装置を用いる実施形態に、本発明の技術的範囲が限定されるわけではない。
蒸留精製の際の温度は特に制限されず、合成されたボラジン化合物の種類に応じて適宜設定されうる。一例を挙げると、通常は100〜150℃程度である。
[濾過段階]
続いて、上記で準備したボラジン化合物を濾過する。これにより、ボラジン化合物がさらに精製され、精製ボラジン化合物の製造が完了する。
本発明の第1の製造方法は、この濾過段階を、水分含量が所定の値以下である雰囲気条件下にて行う点に特徴を有する。
具体的には、前記雰囲気の水分含量は2000体積ppm以下であり、好ましくは10体積ppm以下、より好ましくは1体積ppm以下である。上述したようにボラジン化合物は水に弱く、雰囲気の水分含量が多いと、水分との接触によりボラジン化合物が分解し、ボラジン化合物へ不純物が混入する虞がある。よって本発明によれば、水分との接触によるボラジン化合物の分解が抑制され、ボラジン化合物の精製効率が向上しうる。なお、雰囲気の水分含量を2000体積ppm以下とする手法としては、例えば、露点管理されたガスによる置換という手法が用いられうる。なお、濾過段階の行われる雰囲気の水分含量の値としては、後述する実施例において採用される手法により測定される値を採用するものとする。
また、本発明において、雰囲気のクリーン度もまた、所定の値以下に制御されていることが好ましい。
ここで「クリーン度」とは、1立方フィート(1ft)あたりに存在する0.1μm以上のサイズを有する異物の個数を意味する。本発明の第1の製造方法において、濾過段階は、1ftあたりに存在する0.1μm以上のサイズを有する異物の個数が好ましくは1000個以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは1以下の雰囲気条件下にて行われる。ここで、雰囲気のクリーン度を1000以下とする手法としては、例えば、フィルタを用いた空気濾過という手法が用いられうる。なお、濾過段階の行われる雰囲気のクリーン度の値としては、後述する実施例において採用される手法により測定される値を採用するものとする。
濾過段階の行われる雰囲気のその他の具体的な形態については特に制限されないが、好ましくは、アルゴン等の希ガス、窒素などの不活性ガス雰囲気下で濾過段階が行われる。
濾過段階において、精製ボラジン化合物を得るために用いられる濾過手段の具体的な形態については特に制限はない。一例を挙げると、濾過フィルタを用いてボラジン化合物を精製する形態が挙げられる。この際、濾過フィルタの目開きは特に制限されないが、好ましくは0.01〜1μmであり、より好ましくは0.1〜0.5μmである。濾過フィルタの目開きが小さすぎると、すぐに目詰まりを起こし、濾過段階がスムーズに進行しない虞がある。一方、濾過フィルタの目開きが大きすぎると、化合物中の不純物が充分に除去されない虞がある。また、濾過フィルタの構成材料についても特に制限はないが、不純物の混入を充分に抑制しうるという観点からは、濾過フィルタは、樹脂から構成されることが好ましい。濾過フィルタを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレンなどが挙げられる。なかでも、有機不純物の混入を効果的に抑制するという観点からは、PTFEが濾過フィルタの構成材料として好ましく用いられうる。
濾過フィルタを通過させて濾過する際のボラジン化合物の流速についても特に制限はない。ただし、好ましくは0.01〜1000cm/秒であり、より好ましくは1〜100cm/秒である。この流速が小さすぎると、濾過時間が長くなり、製造コストが増大する虞がある。一方、この流速が大きすぎると、不純物の混入が充分に抑制されない虞がある。
本発明の第1の製造方法または本発明の第2の充填方法によれば、不純物の混入量が従来よりも低減された精製ボラジン化合物が製造されうる。すなわち、本発明は、不純物の含有量が低減された精製ボラジン化合物をも提供する。この際、本発明により提供される精製ボラジン化合物における不純物の含有量は、100個/mL以下であり、好ましくは50個/mL以下であり、さらに好ましくは10個/mL以下である。ここで、「不純物」とは、0.5μm以上の粒子径を有する異物(ボラジン化合物以外の物質)を意味する。なお、得られる精製ボラジン化合物における不純物の含有量が少ないほど好ましいことは言うまでもない。ただし、本発明の第1の製造方法の技術的範囲が、かような量の不純物を含有する精製ボラジン化合物を製造する形態のみに制限されるわけではない。場合によっては、この範囲を外れる量の不純物を含有する精製ボラジン化合物が製造されてもよい。また、本発明の精製ボラジン化合物の技術的範囲が、本発明の第1の製造方法により製造される形態のみに制限されるわけではなく、場合によっては、他の製造方法により製造されたものであってもよい。なお、製造された精製ボラジン化合物における不純物の含有量としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
続いて、本発明の第2について説明する。本発明の第2は、ボラジン化合物の容器中への充填時における不純物の混入を抑制するための技術に関する。具体的には、本発明の第2は、容器中へボラジン化合物を充填するボラジン化合物の充填方法であって、クリーン度1000以下の雰囲気条件下にて、前記容器中へ前記ボラジン化合物を充填する充填段階を有することを特徴とする、ボラジン化合物の充填方法である。
本発明の充填方法では、所定のクリーン度を有する雰囲気条件下において、容器中へボラジン化合物を充填する。これにより、ボラジン化合物の充填時における不純物の混入が効果的に抑制されうる。
続いて、本発明の第2の充填方法について、工程順に詳細に説明する。
[ボラジン化合物準備段階]
まず、充填を希望するボラジン化合物を準備する。ボラジン化合物を準備する具体的な形態、およびこれにより準備されるボラジン化合物の具体的な形態については、本発明の第1の製造方法の[ボラジン化合物準備段階]の欄において説明した形態が同様に採用されうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
本段階において好ましくは、本発明の第1の製造方法により製造された精製ボラジン化合物を準備する。この精製ボラジン化合物を用いることにより、充填されるボラジン化合物中の不純物量がより一層低減されうる。
[充填段階]
続いて、上記で準備したボラジン化合物を容器中へ充填する。本発明の第2の充填方法は、この充填段階を、水分含量2000体積ppm以下の雰囲気条件下にて行う点に特徴を有する。その他、充填段階の行われる雰囲気の具体的な好ましい形態については、本発明の第1の[濾過段階]の欄において説明した形態が同様に採用されうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
充填段階において、ボラジン化合物が充填される容器の具体的な形態についても特に制限はない。容器の構成材料について言えば、例えば、ステンレス、ハステロイなどの金属材料、PTFEなどのプラスチック材料等が採用されうる。なかでも、密閉性に優れるという観点からは、容器はステンレスから構成されることが好ましい。また、不純物の混入をより一層効果的に抑制するという観点からは、容器は密封可能であることが好ましく、容器を密封可能とする手段としては、例えば、容器の一部にバルブを設ける形態が例示される。
充填段階において、ボラジン化合物を充填するために用いられる充填手段の具体的な形態については特に制限はない。一例を挙げると、ボラジン化合物が保存されたタンクからボラジン化合物を圧送することにより、ボラジン化合物を充填する形態が挙げられる。この際、ボラジン化合物を容器へと充填する際の充填速度についても特に制限はない。ただし、好ましくは0.1〜100cm/秒であり、より好ましくは1〜10cm/秒である。この充填速度が小さすぎると、充填時間が長くなり、製造コストが増大する虞がある。一方、この充填速度が大きすぎると、充填用容器の交換が困難となる虞がある。
本発明の第1の製造方法により製造されたボラジン化合物、または本発明の第2の充填方法により容器に充填されたボラジン化合物は、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層などの形成に用いられうる。その際には、ボラジン化合物がそのまま用いられてもよいし、ボラジン化合物に改変を加えた化合物が用いられてもよい。ボラジン化合物またはボラジン化合物の誘導体を重合させた重合体を、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層の原料として用いてもよい。以下、「ボラジン化合物」、「ボラジン化合物の誘導体」および「これらに起因する重合体」をまとめて、「ボラジン環含有化合物」と称する。
ボラジン環含有化合物を用いて、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層を形成する手法としては、例えば、ボラジン環含有化合物を含む溶液状またはスラリー状の組成物を調製し、これを所望の部位に塗布することによって、塗膜を形成する手法が用いられうる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
<実施例1>
冷却器を備えた反応容器に、窒素置換しながら、脱水処理したアミン塩であるメチルアミン塩酸塩(33.5g)、および溶媒であるトリグライム(98.6g)を仕込み、反応系を100℃まで昇温した。
一方、水素化ホウ素アルカリである水素化ホウ素ナトリウム(21.0g)を準備し、これを別途準備したトリグライム(88.7g)中に添加して、スラリーを調製した。
上記で調製した水素化ホウ素ナトリウムのスラリーを、上記で100℃に昇温した反応容器に1時間かけてゆっくりと添加した。
スラリー添加終了後、反応系を200℃まで2時間かけて昇温し、さらに200℃にて2時間熟成して、N,N’,N”−トリメチルボラジンを合成した。
得られたN,N’,N”−トリメチルボラジンを150〜220℃にて蒸留して、N,N’,N”−トリメチルボラジンを精製した。
精製されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、23℃、クリーン度500、水分含量127体積ppmの窒素雰囲気下にて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製0.1μm濾過フィルタを用いて濾過し、N,N’,N”−トリメチルボラジンをさらに精製した。なお、雰囲気のクリーン度はパーティクルカウンター(リオン株式会社製;KC−03A1)を用いて測定し、水分含量はオンライン露点計(永野電機産業株式会社製)を用いて測定した(以下の実施例においても同様)。さらに、濾過されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、バルブにより密閉可能なステンレス製容器中へ充填した。
容器中へ充填された精製N,N’、N”−トリメチルボラジン中に含まれる粒子径0.5μm以上の不純物の個数をパーティクルカウンター(パーティクル メジャリング システムズ インコーポレイテッド社(PMS社)製;LIQUIL AZ−S02−HF)を用いて測定したところ、46個/mLであった。また、充填された精製N,N’,N”−トリメチルボラジンの純度を測定したところ、99.9%であった。なお、ボラジン化合物の純度は、ガスクロマトグラフィを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
Figure 0004904032
<実施例2>
上記の実施例1と同様の手法によりN,N’,N”−トリメチルボラジンを合成し、蒸留により精製した。
精製されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、23℃、クリーン度10、水分含量1体積ppmの窒素雰囲気下にて、PTFE製0.1μm濾過フィルタを用いて濾過し、N,N’,N”−トリメチルボラジンをさらに精製した。さらに、濾過されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、バルブにより密閉可能なステンレス製容器中へ充填した。
容器中へ充填された精製N,N’、N”−トリメチルボラジン中に含まれる粒子径0.5μm以上の不純物の個数をパーティクルカウンター(PMS社製;LIQUIL AZ−S02−HF)を用いて測定したところ、10個/mL以下であった。また、充填された精製N,N’,N”−トリメチルボラジンの純度を測定したところ、99.9%であった。
<実施例3>
上記の実施例1と同様の手法によりN,N’,N”−トリメチルボラジンを合成し、蒸留により精製した。
精製されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、23℃、クリーン度50000、水分含量127体積ppmの窒素雰囲気下にて、PTFE製0.1μm濾過フィルタを用いて濾過し、N,N’,N”−トリメチルボラジンをさらに精製した。さらに、濾過されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、バルブにより密閉可能なステンレス製容器中へ充填した。
容器中へ充填された精製N,N’、N”−トリメチルボラジン中に含まれる粒子径0.5μm以上の不純物の個数をパーティクルカウンター(PMS社製;LIQUIL AZ−S02−HF)を用いて測定したところ、73個/mL以下であった。また、充填された精製N,N’,N”−トリメチルボラジンの純度を測定したところ、99.8%であった。
<比較例>
上記の実施例1と同様の手法によりN,N’,N”−トリメチルボラジンを合成し、蒸留により精製した。
精製されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、23℃、クリーン度50000、水分含量2570体積ppmの窒素雰囲気下にて、PTFE製0.1μm濾過フィルタを用いて濾過し、N,N’,N”−トリメチルボラジンをさらに精製した。さらに、濾過されたN,N’,N”−トリメチルボラジンを、バルブにより密閉可能なステンレス製容器中へ充填した。
容器中へ充填された精製N,N’、N”−トリメチルボラジン中に含まれる粒子径0.5μm以上の不純物の個数をパーティクルカウンター(PMS社製;LIQUIL AZ−S02−HF)を用いて測定したところ、3000個/mL以上であった。また、充填された精製N,N’,N”−トリメチルボラジンの純度を測定したところ、97.5%であった。
以上の実施例および比較例に示す結果から、ボラジン化合物を所定のクリーン度の雰囲気条件下にて濾過精製することで、また、所定のクリーン度の雰囲気条件下にて容器中へ充填することで、ボラジン化合物への不純物の混入が効果的に抑制されうることが示される。
従って、本発明によれば、ボラジン化合物が用いられる用途(例えば、半導体用層間絶縁膜)の品質のより一層の向上が図られる。

Claims (4)

  1. ボラジン化合物を準備するボラジン化合物準備段階と、
    準備された前記ボラジン化合物を水分含量2000体積ppm以下の雰囲気条件下にて濾過する濾過段階と、
    水分含量2000体積ppm以下の雰囲気条件下にて、濾過された前記ボラジン化合物を容器中へ充填する充填段階と、
    を有し、
    前記ボラジン化合物準備段階の後、前記濾過段階の前に、前記ボラジン化合物準備段階で準備した前記ボラジン化合物を蒸留精製する段階をさらに有することを特徴とする、精製ボラジン化合物の製造方法。
  2. 前記濾過段階が、1立方フィート(1ft(28.3リットル))あたりに存在する0.1μm以上のサイズを有する異物の個数として定義されるクリーン度1000以下の雰囲気条件下にて行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記充填段階が、1立方フィート(1ft(28.3リットル))あたりに存在する0.1μm以上のサイズを有する異物の個数として定義されるクリーン度1000以下の雰囲気条件下にて行われる、請求項1または2に記載のボラジン化合物の製造方法。
  4. 前記ボラジン化合物が前記濾過段階において液体状態の化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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