JP2003277538A - フッ素樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂成形体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003277538A
JP2003277538A JP2002082408A JP2002082408A JP2003277538A JP 2003277538 A JP2003277538 A JP 2003277538A JP 2002082408 A JP2002082408 A JP 2002082408A JP 2002082408 A JP2002082408 A JP 2002082408A JP 2003277538 A JP2003277538 A JP 2003277538A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluororesin
molding
ion
group
wafer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002082408A
Other languages
English (en)
Inventor
Miyuki Takenaka
みゆき 竹中
Shoji Kozuka
祥二 小塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2002082408A priority Critical patent/JP2003277538A/ja
Publication of JP2003277538A publication Critical patent/JP2003277538A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な作業で、帯電防止能を持つフッ素樹脂
成形基体の製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 フッ素樹脂で形成された基体を酸性水溶
液中に浸漬することで、基体表面のフッ素樹脂を酸化分
解するとともに、分解された基に水酸基を導入し、帯電
防止能を持たせた表面層を基体表面に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素樹脂成形体
及びその製造方法に係わり、特に、帯電に起因する汚染
が低減されるフッ素樹脂成形体及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体製造工程中に半導体ウエハ
ーが汚染されると製品の不良率を悪化させるため、半導
体製造工程中は、汚染されていないウエハーキャリア中
に半導体ウエハーを収納して搬送している。
【0003】このウエハーキャリアとして、耐汚染性に
優れているフッ素樹脂が用いられている。しかしなが
ら、フッ素樹脂は一般にその表面抵抗は極めて高く、静
電気を帯びやすい。そのため、半導体製造工程の雰囲気
中の微粒子を静電吸着し易く、その結果、ウエハーキャ
リアに収納されている半導体ウエハーを静電吸着した微
粒子で汚染してしまうという問題が生じる。
【0004】具体的には、フッ素樹脂例えばPFAにて
なるウェーハキャリアを純水に10分間浸漬しただけ
で、キャリア表面には−15,000Vの高電位の帯電が生
じ、これを窒素ガス(N2)雰囲気で乾燥しても帯電電
位は殆ど変化しないという報告もある。このように、フ
ッ素樹脂からなるウェーハキャリアやハンドラーの手指
部等のウェーハ接触部品は、帯電し易いことによって雰
囲気中の微粒子を静電吸着し易く、そのパーティクルが
ウェーハに移されるようになる。
【0005】また、流体の移送用パイプの用途にフッ素
樹脂成形体を用いた場合、この静電吸着した微粒子によ
って流体の汚染という現象を招くおそれがある。
【0006】このような問題に対し、フッ素樹脂成形体
に帯電防止性を付与することを目的として、フッ素樹脂
に導電性粉末を配合した樹脂組成物および該組成物から
なる成形体が知られている。例えば、特開昭61−37
842号公報、特開昭62−223255号公報、特開
平2−25575号公報には、テトラフルオロエチレン
などのフッ素樹脂に炭素粉末と炭素繊維粉末、繊維状導
電性チタンと酸化亜鉛などの導電性粉末を混合した樹脂
組成物により成形体を得る方法が開示されている。
【0007】しかしながら、上記のうち、導電性粉末を
混合した樹脂組成物により得られる成形体は、帯電防止
能を付与するために大量の導電性粉末を混合することが
必要であり、そのため、得られるフッ素樹脂成形体より
導電性粉末またはそれに含まれる不純物が溶出するとい
った問題を有する。かかる問題は、フッ素樹脂成形体と
接触する物質を汚染するという現象を招き、特に、該フ
ッ素樹脂成形体をウエハーキャリアに使用した場合、該
溶出した導電性粉末に起因するパーティクル等により、
該ウエハーキャリアに保持されるウエハーが汚染される
という現象を招く。
【0008】また、特開平10−204194号公報に
は、イオン交換基を実質的に有さないフッ素樹脂表層に
イオン交換基に変換できる基を有するフッ素樹脂に調整
せしめ、このフッ素樹脂でフッ素樹脂成形基体を形成
し、形成されたフッ素樹脂成形基体に存在するイオン交
換基に変換できる基を有機水酸化第4アンモニウム水溶
液によって加水分解してイオン交換基に変換すること
で、帯電防止性を有するフッ素樹脂成形体の製造方法が
開示されている。
【0009】この製造方法においては、フッ素樹脂成に
イオン交換基に変換できる基を有するフッ素樹脂を存在
せしめるという前処理工程が必要であるため、この前処
理工程を無くし、より簡単な処理によりフッ素樹脂成形
基体表面に、イオン交換基を導入して、帯電防止能を持
つフッ素樹脂成形基体を製造する方法が求められてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡単な作業
で製造できる、帯電防止能を持ったフッ素樹脂成形体及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のフッ素樹脂成形
体の製造方法は、フッ素樹脂成形基体を酸性水溶液に接
触させて、表面のフッ素樹脂の置換基をイオン交換基で
置換することを特徴とする。
【0012】また、本発明のフッ素樹脂成形体の製造方
法は、フッ素樹脂成形基体の表面を酸化分解して前記フ
ッ素樹脂成形基体表面にイオン交換基を導入することを
特徴とする。
【0013】前記イオン交換基は、水酸基であることが
望ましい。
【0014】前記酸化分解は、室温で2ヶ月以上行うこ
とが望ましい。
【0015】本発明のフッ素樹脂成形体は、Rf(C
2lOCF=CF2(但し、Rfはパーフルオロアルキ
ル基、lは0または1である)及びテトラフルオロエチ
レンとの共重合体、及びポリテトラフルオロエチレンの
群から選ばれる少なくとも一種のフッ素樹脂を成形して
得られた成形基体と、前記フッ素樹脂成形基体を表面処
理して形成された、イオン交換基を含有する帯電防止層
とを有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らは、鋭意研究の結果、
ウエハーキャリアをフッ化水素酸や塩酸中で6ケ月間ほ
ど浸すことにより、パーフルオロ基自身が反応し、分解
することにより、表面が改質され、イオン交換基を持つ
ことを発見するに至った。すなわち、導電性材料を使用
する必要も、イオン交換基を導入するための前処理を行
う必要もなく、単純にウエハーキャリアを高濃度の酸性
溶液に浸漬することにより、迅速にフッ素樹脂の表面改
質を行なうことが可能となる。その結果、良好な帯電防
止効果を発揮するフッ素樹脂成形基体を効率よく得るこ
とができると共に、該酸化分解時に帯電防止層の表面を
高純度に維持し得ることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0017】以下、本発明の実施形態について詳細に説
明する。
【0018】本実施形態においては、フッ素樹脂成形基
体を製造する工程、および酸化分解工程とによってフッ
素樹脂成形体を製造する。
【0019】まず、フッ素樹脂成形基体を製造する工程
の一例を説明する。
【0020】フッ素樹脂成形基体を形成する樹脂は、フ
ッ素樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリテトラ
フルオロエチレン以外にも、テトラフルオロエチレンと
アルキルビニルエーテルとの共重合体、テトラフルオロ
エチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポ
リモノクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレンとパーフルオロジメチルジオキソールとの共重合
体あるいはポリパーフルオロアルケニルビニルエーテル
等、ポリテトラフルオロエチレンの一部のフッ素元素が
適当な置換基によって置換された樹脂であっても良い。
【0021】特に、フッ素樹脂のうち、一般式、Rf
(CH2lOCF=CF2(但し、Rfはパーフルオロア
ルキル基、lは0または1である)で示されるアルキル
ビニルエーテルと、テトラフルオロエチレンとの共重合
体は、量産されている材料であるため、フッ素樹脂とし
て実際に採用しやすい材料である。
【0022】フッ素樹脂成形基体は、製造しようとする
形状によって、射出成形、押出成形、トランスファー成
形、圧縮成形、ブロー成形などの既知の方法から適宜選
択することができる。また、その形状は特に制限される
ものではない。
【0023】このようなフッ素樹脂成形基体の表面に酸
性水溶液を接触させることによってフッ素樹脂成形基体
を作製することができる。
【0024】具体的には、例えば、フッ素樹脂成形基体
を形成するフッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレ
ン(化学式1)を例に挙げると、このフッ素樹脂は酸性
溶液と接触することで、化学式(2)に示すようなフッ
化物に酸化分解されるものと思われる。
【0025】
【化 1】
【0026】また、ポリテトラフルオロエチレンの一部
のフッ素元素が置換されたフッ素樹脂の例として、化学
式(3)に示すようなフッ素樹脂の場合、酸性水溶液と
反応して化学式(4)に示すようなフッ化物に分解され
るものと思われる。
【0027】
【化 2】
【0028】すなわち、フッ素樹脂表面を酸性溶液で酸
処理することで、フッ素樹脂が分解されると共にフッ素
樹脂の主鎖の切断部にイオン交換基(ここではOH基)
が結合する(化学式(2)の状態)、あるいはフッ素樹
脂の側鎖の置換基が酸化分解されてイオン交換基が置換
される。なお、主鎖の切断部に置換基が結合すること
を、本発明においては「導入」と呼ぶ。
【0029】このように、酸化分解反応によってフッ素
樹脂成形基体表面にイオン交換基を導入した場合、以下
のような効果が得られる。 (1)フッ素樹脂成形基体を単に酸性溶液と接触させる
だけで、特に前処理を施した特殊なフッ素樹脂を用いな
くともイオン交換樹脂を導入できる。その結果、製造工
程が少なくすることができる。あるいは、既存のフッ素
樹脂成形基体を入手し、これを帯電防止能を持たせたフ
ッ素樹脂成形体に変質させることも可能である。 (2)第4アンモニアを使用しないこと。具体的には、
アンモニウムイオンがフッ素樹脂(ウエハーキャリア)
に残存すると半導体ウエハーがアンモニウムイオンに汚
染される。アンモニウムイオンは半導体ウエハーに対し
て吸着性が高いために、洗浄などによって除去すること
が困難である。このアンモニウムが化学増幅型レジスト
を用いたエキシマレーザー露光前に、シリコン表面でプ
ロトンと反応して中和される結果、解像不良となり、歩
留りを低下させるなどの様々な問題が発生する。本発明
では処理液が塩酸、硝酸、フッ酸などで、イオン化した
状態で半導体ウエハーに対して吸着性が低く、容易に洗
浄で除去できるため、フッ素樹脂(ウエハーキャリア)
に残存しても半導体ウエハーに与える悪影響は小さい。 (3)フッ素樹脂内部の金属イオンが酸性溶液中に溶出
してフッ素樹脂基体が洗浄されるため、フッ素樹脂中に
残存している金属イオンによる半導体ウエハーの汚染を
低減できる。 (4)フッ素樹脂基体に加圧などを行う必要が無いた
め、フッ素樹脂基体の表面で酸化分解反応が進み、内部
では酸化分解反応が進まないため、内部でのフッ素樹脂
の劣化を招くことがない。
【0030】酸性溶液は前述したように、フッ素樹脂表
面に存在するパーフルオロ基をイオン交換基に分解する
ものであり、例えば、フッ化水素酸、塩酸、硝酸、過塩
素酸あるいは硫酸などの強酸を単独あるいは混合した3
wt%〜50wt%水溶液を用いればよい。他にも、発
煙硝酸や無水硫酸、無水フッ化水素酸の混合溶液などを
用いてもよい。
【0031】また、酸分解に供する時間は、室温(0℃
〜35℃)では1ヶ月以上とすることが望ましく、これ
より短いとフッ素樹脂成形体表面のイオン交換基の量が
少なくなり、帯電防止能を充分に高めることができなく
なる恐れがある。さらには3ヶ月以上とすることが望ま
しい。また、接触時間が12ヶ月を超えると、フッ素樹
脂の分解反応が進み、フッ素樹脂成形体の表面に形成さ
れるイオン交換基をもつ樹脂の膜厚が大きくなり、フッ
素樹脂が本来持つ特性が低下する恐れがある。また、加
熱状態で酸化分解を行うことで、反応時間を短縮化する
ことも可能であるが、酸化分解速度の均一性を調整する
ことが困難になり、イオン交換基をもつ樹脂の膜厚が不
均一になるため、室温で酸化分解反応を行うことが好ま
しい。
【0032】なお、フッ化樹脂成形体の金属イオンによ
る汚染を低減することを考慮すれば、酸性溶液中に混入
する金属イオンの濃度は少ないほど好ましく、具体的に
は50ppb以下であることが望ましい。
【0033】このようにして製造されたフッ素樹脂成形
体は、表面にイオン交換基が存在する帯電防止層が形成
されるため、表面抵抗率が低下して帯電防止能が発揮さ
れる。
【0034】フッ素樹脂成形体の表層に形成される帯電
防止層は、イオン交換基を存在させることによって、一
般に、フッ素樹脂成形体の表面抵抗率が1013Ω未満、
好ましくは、1010Ω以下の表面抵抗になるように酸処
理を調整することが好ましい(表面抵抗率はJIS K
−6911に記載の方法に準じた測定値)。表面抵抗が
上述した値よりも大きくなると、帯電防止特性を充分に
発揮できなくなる恐れがある。
【0035】また、帯電防止層についてイオン交換基の
濃度に着目してみると、その濃度は1モル%以上、好ま
しくは1モル%〜25モル%、更に好ましくは5モル%
〜15モル%とすることが良好な帯電防止性を付与する
ために好ましい。1モル%よりも少ないと充分な表面抵
抗が得られなくなる恐れがある。また、15モル%を超
え、より高い濃度になると、帯電防止層の膜厚が大きく
なり、フッ素樹脂本来の特性(耐汚染性)が低下する傾
向が強くなる。
【0036】帯電防止層の膜厚に着目してみると、0.
1μm〜10μmで、かつ、成形体の厚みの95%以下
となるように成形条件の設定、及び前記イオン交換基へ
の変換を実施することが好ましい。具体的には、該帯電
防止層の厚みの上限は、成形体の厚みに対して30%以
下、好ましくは20%以下、更に好ましくは5%以下で
ある。特に該層の上限は絶対的な厚みで10μm以下と
することが更に好ましい。
【0037】また、得られるフッ素樹脂成形体の帯電防
止効果は、後述する電圧減衰率によって確認することが
でき、一般に、10kVの電圧を1分間かけ、その後1
0秒後の電圧減衰率が85%以上、好ましくは、好まし
くは、95%以上のものが好適である。
【0038】前述の表面抵抗率、イオン交換基の濃度、
膜厚および帯電防止効果は、フッ素樹脂成形基体に使用
するフッ素樹脂の種類に応じて、酸処理に用いる酸性溶
液の酸強度(種類や濃度)、酸処理温度おおび酸処理時
間を適宜調整することで所望の値にすることが可能であ
る。
【0039】酸処理はフッ素樹脂成形基体の全表面で行
うことが好ましいが、用途によっては片面、または一部
に対して行っても良い。
【0040】また、フッ素樹脂成形体をフィルム、シー
トなどの薄状体、チューブ、パイプ等の管状体に使用す
る場合、フッ素樹脂の有する絶縁性、イオンの不透過
性、耐薬品性等の特性を十分発揮するため、本体部分
(イオン交換基を実質的に有さない部分)の厚みが10
μm以上確保できるように帯電防止層の厚みの上限を制
御することが好ましい。
【0041】例えば、フィルム、シート等々の薄物の片
面、チューブ、パイプ状物のフッ素樹脂成形基体の内面
または外面に帯電防止層を有し、他の面には帯電防止層
を有さない構造となっていても良い。例えば、フッ素樹
脂成形体の片面で静電気が問題とされ、他面では静電気
が問題とされないといった用途に対しては充分使用する
ことができる。
【0042】このようにして得られるフッ素樹脂成形体
は、その形状、あるいは用途について、特に限定される
ものではなく、その具体例を以下に示す。
【0043】このようなフッ素樹脂成形体は、静電気に
よる埃等の付着が無いため、半導体製造時の周辺部品と
して、薬液移送チューブ、継ぎ手、バルブ、チェッキ
弁、ストレーナー、薬液容器、真空ピンセット、真空ピ
ンセット用チップ、パッキン、Oリング、ガスケット、
シート、ライニング材、コーティング材、ピンセット、
トング、ディッパー、ホールダー、ストレーナー、フラ
ッシャー、ファンネル、メスシリンダー、バスケット、
攪拌棒、ビーカー、ワイプクリーナー、タンク、ボル
ト、ナット、ボトル、スノコ、トレー、プレートヒータ
ー等に好適に用いることができる。
【0044】また、ウエハーキャリアー等の治具として
ウエハーキャリアー、ウエハーキャリアー用ハンドル、
ウエハーキャリアー用ボックス、リテーナー、プロセス
トレー、ウエハー用プロテクター、ウエハーボード、L
CDバスケット、LCDキャリアー、ウエハートレー、
ウエハートレー用カバー、ウエハートレー用スプリン
グ、ウエハーパック、ウエハーシッパー、マスクキャリ
アー、マスクキャリアー用ボックス、マスクキャリアー
用ハンドル、マスクパック、マスクケース、デバイスキ
ャリアー、デバイスキャリアー用ハンドル、サイドレー
ル、チップトレー、チップトレー用カバー、チップトレ
ー用ケース、チップ移し替えトレー、チップ洗浄用キャ
リアー、チップ洗浄器、チップトレー用ボックス等に好
適に用いることができる。
【0045】特に本発明のフッ素樹脂成形体より成るウ
エハーキャリアーは、帯電防止性に優れるため、静電気
による使用雰囲気中の微粒子のウエハーへの付着が十分
効果的に抑えられるばかりでなく、パーティクルの発
生、不純イオンによる汚染、及び、金属イオンによる汚
染等の問題もなく、その結果、ウエハーの不良率を低く
抑えることができるといった効果をもたらす。
【0046】また、本発明のフッ素樹脂成形体をチュー
ブ(パイプを含む)として用い、このチューブ内にて可
燃性液体を移送した場合、帯電防止の効果によって静電
気の発生、蓄積が防止され、従って着火の危険性を防止
することができるばかりでなく、パーティクルの発生、
移送液体による膨潤、さらには移送液体の透過の問題も
なく、極めて有用である。
【0047】更に、食品製造分野においては本発明の成
形体を用いることにより、衛生上問題となる埃の付着を
形体を用いることにより、衛生上問題となる埃の付着防
ぐことができることから、食品製造において使用される
機器類の表面コーティング、例えば混合器の容器及び攪
拌翼、またチューブ、トレイ、ベルト等に好適に使用で
きる。
【0048】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するために実施例
を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0049】なお、フッ素樹脂成形体の表面抵抗率、電
圧減衰率、金属イオン溶出量、及び薬液吸着量は次のよ
うにして求めた。 (1)電圧減衰率 スタティック−ホネストメーター S−5109(宍戸
商会製)を用いて電圧減衰率を測定した。具体的には、
まず、フッ素樹脂成形体を切断して40mm×40mm
×0.25mmの試験片に加工する(40mm×40m
mの一対の面に帯電防止層が形成されている)。この試
験片の帯電防止層が形成された一方の面に電圧10kV
を1分間かけてこのフッ素樹脂成形体を帯電させ、電圧
を切った時に測定されるフッ素樹脂成形体の帯電電圧を
初期電圧(10kV)、電圧を切ってから10秒後のフ
ッ素樹脂成形体の帯電電圧を減衰電圧とした時の、以下
に示す式から求められるものが電圧減衰率である。
【0050】減衰率=(初期電圧−減衰電圧)/初期電
圧(単位:%) すなわち、電圧減衰率が大きいほど、帯電防止能が高い
ことになる。 (2)金属イオン溶出量 電圧減衰率の説明で述べたものと同じ試験片を作製す
る。超純水で20分間リンスした試験片を0.1モル硝
酸100mlに入れ、80℃で二時間加熱抽出する。加
熱抽出後、0.1モル硝酸をサンプリングし、誘導結合
プラズマ質量分析法(ICP−MS)で分析し、該超純
水に含まれるアルミニウムイオン、マグネシウムイオ
ン、鉄イオン、銅イオン、ニッケルイオン、クロムイオ
ン、ナトリウムイオン、およびカリウムイオンの総量を
試験片の帯電防止層が形成された面積1cm2当たりで
算出した。 (3)アンモニアイオンの測定 電圧減衰率の説明で述べたものと同じ試験片を作製す
る。超純水で20分間リンスした試験片を超純水100
mlに入れ、常温で一日放置する。放置後、超純水をサ
ンプリングし、イオンクロマトグラフ法(IC)で分析
し、該超純水に含まれるアンモニアイオンを試験片の帯
電防止層が形成された面積1cm2当たりで算出した。
【0051】(実施例1)パーフルオロアルコキシ置換
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PFA)[三井フロロケ
ミカル製、PFA340]をフッ素樹脂材料として準備した。
このフッ素樹脂材料を射出成形機を用い、シリンダー温
度360℃、金型140℃で、図1に示すようなウエハ
ー保持用溝2を持ったウエハーキャリア1(フッ素樹脂
成形基体)を射出成形した。
【0052】このフッ素樹脂成形基体を塩酸30%水溶
液(酸性水溶液)に3ケ月間常温(10℃〜30℃)で
放置し、フッ素樹脂基体表面を塩酸水溶液で表面処理
し、フッ素樹脂成形基体を作製した。
【0053】その結果、フッ素樹脂成形基体表面が酸化
分解し、表面劣化していることを確認できた。
【0054】このフッ素樹脂成形体に対し、前述したよ
うにして、電圧減衰率、金属イオン溶出量、アンモニア
イオンの吸着量を調べた。得られた結果を表1に示す。
【0055】(比較例1)実施例1と同様にしてフッ素
樹脂成形基体を作製し、得られたフッ素樹脂成形基体を
そのままフッ素樹脂成形体とした。
【0056】このフッ素樹脂成形体に対し、実施例1と
同様にして、電圧減衰率、金属イオン溶出率、アンモニ
アイオンの吸着量を調べた。得られた結果を表1に併記
する。
【0057】(比較例2)攪拌機を有したステンレス製
の500ml反応器に1,1,2-トリクロロトリフルオロエ
タン320gを入れた後、内部を脱気し、その後窒素ガ
スで大気圧とした。反応器にメタノール0.04g及び
34gのCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2
SO2Fを入れた後、攪拌し、テトラフルオロエチレン
を導入し、圧力を4kg/cm2−Gにした。次いで、
ビスペルオシドの1,1,2-トリクロロトリフルオロ
エタンを導入し、重合を開始し、共重合体を得た。次
に、得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィルムに
溶融成形した。
【0058】得られたフッ素樹脂材料を用いたことを除
き、実施例1と同様にして図1に示すようなフッ素樹脂
成形基体を射出成形した。
【0059】このフッ素樹脂成形基体を、水酸化テトラ
メチルアンモニウム/(NaOH+KOH)/H2O=
15:25:60wt%の水溶液に浸漬し、100℃で
3時間加水分解を行い、表面にイオン交換基を有するフ
ッ素樹脂成形体を作製した。
【0060】このフッ素樹脂成形体に対し、実施例1と
同様にして、電圧減衰率、金属イオン溶出率、アンモニ
アイオンの吸着量を調べた。得られた結果を表1に併記
する。
【0061】(実施例2)フッ素樹脂材料として、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)出光石油化学J-750を
材料として、[三井フロロケミカル製、700J]を用いたこ
とを除き、実施例1と同様にしてフッ素樹脂成形基体の
作製した。
【0062】引続き、得られたフッ素樹脂成形基体を実
施例1と同様にしてフッ素樹脂成形体を作製した。
【0063】得られたフッ素樹脂成形体に対し、実施例
1と同様にして、電圧減衰率、金属イオン溶出率、アン
モニアイオンの吸着量を調べた。得られた結果を表1に
併記する。
【0064】(実施例3および4)実施例1と全く同様
にして、フッ素樹脂成形基体を作製した。
【0065】酸性水溶液として、フッ化水素酸30%水
溶液(実施例3)、硫酸98%水溶液(実施例4)を用
いたこと、浸漬期間を6ヶ月(実施例3)、2ヶ月(実
施例4)としたことを除き、実施例1と同様にしてフッ
素樹脂成形基体を作製した。
【0066】得られたフッ素樹脂成形体に対し、実施例
1と同様にして、電圧減衰率、金属イオン溶出率、アン
モニアイオンの吸着量を調べた。得られた結果を表1に
併記する。
【0067】
【表 1】
【0068】各実施例と比較例1との比較から、酸性水
溶液でフッ素樹脂表面処理を行うことで、電圧減衰率が
向上することが分かる。すなわち、帯電防止能が向上し
ていることが分かる。また、この処理によって、金属イ
オンによる汚染も減少していることが分かる。
【0069】各実施例と比較例2との比較から、各実施
例の方が、電圧減衰量がより向上していることが分か
る。これは、確実に、且均一に帯電防止層が形成されて
いるためと思われる。また、各実施例の方が、金属イオ
ンによる汚染が少ないことが分かる。これは、表面処理
に金属水酸化物を使用しないこと、さらに酸処理によっ
てもともとフッ素樹脂中に混入していた金属イオンが溶
出したためであると思われる。加えて、比較例2では、
表面処理に第4アンモニアを使用したために、フッ素樹
脂表面にアンモニアイオンが残存してしまうことが確認
できた。
【0070】
【発明の効果】以上の説明により理解されるように、本
発明によれば、簡単な作業で製造できる、帯電防止能を
持ったフッ素樹脂成形体およびその製造方法を提供する
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ素樹脂成形体によって構成される
ウエハーキャリアの代表的な構造を示す斜視図。
【符号の説明】
1:ウエハーキャリア 2:ウエハー保持用溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA26 AA26X AA27X AA76 AF38 AG09 AH05 AH19 BB03 BB05 BB06 BC04 BC05 4F073 AA03 BA15 BA16 BB03 EA01 EA32 EA33 EA34 EA35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素樹脂成形基体を酸性水溶液に接触さ
    せて、表面のフッ素樹脂の置換基をイオン交換基で置換
    することを特徴とするフッ素樹脂成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】フッ素樹脂成形基体の表面を酸化分解して
    前記フッ素樹脂成形基体表面にイオン交換基を導入する
    ことを特徴とするフッ素樹脂成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記イオン交換基は、水酸基であることを
    特徴とする請求項1又は請求項2記載のフッ素樹脂成形
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記酸化分解は、室温で2ヶ月以上行うこ
    とを特徴とする請求項2記載のフッ素樹脂成形体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】Rf(CH2lOCF=CF2(但し、Rf
    はパーフルオロアルキル基、lは0または1である)及
    びテトラフルオロエチレンとの共重合体、及びポリテト
    ラフルオロエチレンの群から選ばれる少なくとも一種の
    フッ素樹脂を成形して得られた成形基体と、前記フッ素
    樹脂成形基体を表面処理して形成された、イオン交換基
    を有する帯電防止層とを具備することを特徴とするフッ
    素樹脂成形体。
JP2002082408A 2002-03-25 2002-03-25 フッ素樹脂成形体及びその製造方法 Pending JP2003277538A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002082408A JP2003277538A (ja) 2002-03-25 2002-03-25 フッ素樹脂成形体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002082408A JP2003277538A (ja) 2002-03-25 2002-03-25 フッ素樹脂成形体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003277538A true JP2003277538A (ja) 2003-10-02

Family

ID=29230602

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002082408A Pending JP2003277538A (ja) 2002-03-25 2002-03-25 フッ素樹脂成形体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003277538A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100416363C (zh) * 2005-06-20 2008-09-03 乐金显示有限公司 配向膜印刷掩模用架具及利用该架具清洗配向膜印刷掩模的装置和方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100416363C (zh) * 2005-06-20 2008-09-03 乐金显示有限公司 配向膜印刷掩模用架具及利用该架具清洗配向膜印刷掩模的装置和方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4386077B2 (ja) 半導体製造装置用のフッ素ゴム系成形品の洗浄方法および洗浄された成形品
KR0177279B1 (ko) 웨이퍼의 평활도를 유지하면서 웨이퍼기판의 금속오염물을 세척하는 방법
WO2002019390A2 (en) Cleaning of semiconductor process equipment chamber parts using organic solvents
JP6936274B2 (ja) 成形品およびその製造方法
US5332444A (en) Gas phase cleaning agents for removing metal containing contaminants from integrated circuit assemblies and a process for using the same
WO2020004083A1 (ja) 成形品およびその製造方法
US5350489A (en) Treatment method of cleaning surface of plastic molded item
JP2003277538A (ja) フッ素樹脂成形体及びその製造方法
JP3781498B2 (ja) フッ素樹脂成形体の製造方法
JPH06293069A (ja) フッ素樹脂成形品の平滑化方法および平滑成形品
JPH11116710A (ja) フッ素樹脂成形体の高純度化改質法
JP2020029042A (ja) 熱溶融性フッ素樹脂射出成形品
KR102423060B1 (ko) 챔버하우징을 세정하기 위한 세정액 조성물 및 이를 이용한 챔버하우징의 세정방법
EP4035872A1 (en) Welded body
JPH04309532A (ja) テフロン治具の表面処理方法
KR101416103B1 (ko) 불순물 제거용 세정액 및 이를 이용한 불순물 제거방법
JP3450597B2 (ja) フッ素樹脂成形体
JP2866161B2 (ja) 洗浄液用添加剤
JPH08245723A (ja) 撥水性樹脂及びその調整方法
JP2836891B2 (ja) フッ化塩素ガスによるSiOxのクリーニング方法
JP2011194380A (ja) 金属不純物の除去方法
JPH10204194A (ja) フッ素樹脂成形体の製造方法
JP3385173B2 (ja) フッ素樹脂成形体の製造方法
EP0481811A2 (en) Treatment method of cleaning surface of plastic molded item
JP2003201354A (ja) 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040616

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050414

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050606

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061130

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061208

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070330