JPH10204194A - フッ素樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂成形体の製造方法

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JPH10204194A
JPH10204194A JP9009678A JP967897A JPH10204194A JP H10204194 A JPH10204194 A JP H10204194A JP 9009678 A JP9009678 A JP 9009678A JP 967897 A JP967897 A JP 967897A JP H10204194 A JPH10204194 A JP H10204194A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フッ素樹脂固有の特性を維持しながら、良好な
帯電防止効果を有し、且つ汚染性が極めて低いフッ素樹
脂成形体を提供する。 【解決手段】イオン交換基を実質的に有さないフッ素樹
脂成形体の少なくとも表層にイオン交換基に変換できる
基を有するフッ素樹脂を存在せしめ、該表層に存在する
イオン交換基に変換できる基を有機水酸化第4アンモニ
ウム水溶液によって加水分解してイオン交換基に変換す
ることによって表記特性を有する帯電防止性を有するフ
ッ素樹脂成形体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性を有す
るフッ素樹脂成形体の新規な製造方法に関する。詳しく
は、イオン交換基を実質的に有さないフッ素樹脂成形体
の表層に、該フッ素樹脂固有の特性を維持しながら良好
な帯電防止効果を有する帯電防止層を、表面汚染性の極
めて少ない方法により、効率的に形成することが可能
な、帯電防止性を有するフッ素樹脂成形体の製造方法で
ある。
【0002】
【従来の技術】フッ素樹脂は耐薬品性、耐熱性、電気的
絶縁特性、耐汚染性に優れており、広い産業分野におい
て使用されている。ところが、フッ素樹脂の表面抵抗は
極めて高いために静電気を帯電し易いという大きな欠点
を有する。
【0003】例えば、半導体製造工程に用いられるフッ
素樹脂製のウエハーキャリアーは、フッ素樹脂の有する
帯電性により、雰囲気中の微粒子を吸着し易く、その結
果、ウエハーキャリアーに吸着した微粒子が、これに保
持されるウエハーを汚染し、該ウエハーを使用して得ら
れる製品の不良率を高くするといった問題を有する。
【0004】また、可燃性液体を移送するパイプにおい
ては、該パイプ内を可燃性液体が通過することによる摩
擦で静電気が発生し、これによる着火の危険性がある。
【0005】従来、フッ素樹脂成形体に帯電防止性を付
与することを目的として、フッ素樹脂に導電性粉末を配
合した樹脂組成物および該組成物より成る成形体が知ら
れている。例えば、特開昭61−37842号公報、特
開昭62−223255号公報、特開平2−25575
1号公報には、テトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂
に炭素粉末と炭素繊維粉末、繊維状導電性酸化チタンと
酸化亜鉛などの導電性粉末を混合した樹脂組成物により
成形体を得る方法が開示されている。
【0006】また、特開平8−59864号公報には、
フッ素樹脂成形体の表層をプラズマ処理することによ
り、C−F結合を切断したC=C結合とすることによ
り、表面を導電性としたフッ素樹脂成形体の製造方法が
開示されている。
【0007】また、フッ素樹脂成形体に親水性を付与す
ることを目的として、特開平1−98641号公報に
は、放射線照射により、イオン交換基を含有する親水性
モノマーをフッ素樹脂の多孔質チューブの表面にグラフ
ト重合させる方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
うち、導電性粉末を混合した樹脂組成物により得られる
成形体は、帯電防止能を付与するために多量の導電性粉
末を混合することが必要であり、そのため、得られるフ
ッ素樹脂成形体より導伝性粉末又はそれに含まれる不純
物が溶出するといった問題を有する。かかる問題は、該
成形体と接触する物質を汚染するという現象を招き、特
に、該フッ素樹脂成形体をウエハーキャリアーに使用し
た場合、該溶出した導電性粉末に起因するパーティクル
等により、該ウエハーキャリアーに保持されるウエハー
が汚染されるという現象を招く。また、流体の移送用パ
イプの用途においては、該流体の汚染という現象を招く
おそれがある。
【0009】また、成形体の全体が該導電性粉末を含む
フッ素樹脂で構成されることにより、フッ素樹脂の特性
である電気的特性、耐汚染性が損なわれ、かかる特性が
要求される用途において使用が制限される。
【0010】一方、親水性を付与する目的で、親水性モ
ノマーをグラフト反応によって導入する方法の場合、フ
ッ素樹脂は本来このような反応においては分解型の樹脂
に属し、モノマー等を定量的に且つ大量に導入すること
が難しく、表面より数百オングストローム程度の極薄い
厚さでイオン交換基が付与されるに止まる。また、フッ
素樹脂成形体の表面を放射線照射することにより、分解
した樹脂がパーティクル発生の原因となることも懸念さ
れる。
【0011】その結果、上記製造方法によって得られる
フッ素樹脂成形体は、表面抵抗が十分に低下せず、帯電
防止効果、汚染性等において未だ改良の余地があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題に関し、本発明
者らは鋭意研究をおこなった。その結果、イオン交換基
に変換できる基を有するフッ素樹脂を少なくとも表層の
一部に有するフッ素樹脂成形体において、イオン交換基
に変換できる基を有機水酸化第4アンモニウム水溶液に
より加水分解し、イオン交換基に変換して帯電防止層を
形成することにより、フッ素樹脂の元来有する電気的絶
縁特性を維持しながら、良好な帯電防止効果を発揮する
フッ素樹脂成形体を効率よく得ることができると共に、
該加水分解時に帯電防止層の表面を高純度に維持し得る
ことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、イオン交換基を実質的に
有さないフッ素樹脂成形体の少なくとも表層にイオン交
換基に変換できる基を有するフッ素樹脂を存在せしめ、
該表層に存在するイオン交換基に変換できる基を有機水
酸化第4アンモニウム水溶液によって加水分解してイオ
ン交換基に変換することを特徴とする、帯電防止性を有
するフッ素樹脂成形体の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、成形体を形成す
る、イオン交換基を実質的に有さないフッ素樹脂として
は、フッ素樹脂固有の特性、特に、電気絶縁特性を有す
るものが使用される。具体的には、イオン交換基或いは
導電性物質を実質的に含有しない公知のフッ素樹脂、例
えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレンとアルキルビニルエーテルとの共重合体、テトラ
フルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重
合体、ポリモノクロロトリフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレンとパーフルオロジメチルジオキソールと
の共重合体、ポリパーフルオロアルケニルビニルエーテ
ル等が挙げられる。
【0015】上記アルキルビニルエーテルは、パーフル
オロアルキルビニルエーテルまたは一部に水素原子を有
するポリフルオロアルキルビニルエーテルである。具体
的には、一般式、 Rf(CH2lOCF=CF2 (但し、Rfはパーフルオロアルキル基、lは0または
1である。) 該アルキルビニルエーテルは、得られる共重合体中に占
める水素原子の割合が0.2重量%以下、好ましくは、
0.15重量%以下の範囲で使用することが好ましい。
【0016】また、イオン交換基を実質的に有さないフ
ッ素樹脂として、後記のイオン交換基に変換できる基を
有するフッ素樹脂を単独或いは上記フッ素樹脂と混合し
て使用することも可能である。
【0017】また、本発明においては、上記イオン交換
基を実質的に有さないフッ素樹脂成形体は、イオン交換
基が完全に存在しない態様に限定されるものではなく、
フッ素樹脂中に不可避的に存在するイオン交換基は、許
容するものである。かかる許容量は、用途によって要求
される寸法安定性や吸着、透過性が異なるため、一概に
限定することはできないが、一般には、イオン交換基を
含む単量体に換算して0.2モル%未満、特に、0.1
モル%以下が好適である。
【0018】尚、本明細書において、フッ素樹脂中に含
まれるイオン交換基の量は、イオン交換基の全モノマー
の単量体単位に対する組成で表す。また、フッ素樹脂中
に含まれるイオン交換基に変換できる基の量は、イオン
交換基に変換できる基の全モノマーの単量体単位に対す
る組成で表す。
【0019】本発明において用いられるイオン交換基に
変換できる基を有するフッ素樹脂は、公知のものが特に
制限無く使用される。例えば、テトラフルオロエチレン
とイオン交換基に変換できる基を有するモノマーとの共
重合体が好適に使用される。
【0020】この場合、共重合体の成形性、物性の改善
の目的でテトラフルオロエチレンに対して30モル%以
下のヘキサフルオロプロピレン、下記一般式 CF2=CFO(CH2ab2b+1 (但し、aは0又は1であり、bは1〜10の整数であ
る。)で示されるアルキルビニルエーテル類、またはモ
ノクロロトリフルオロエチレン等の含フッ素モノマーを
混合して使用することができる。
【0021】また、イオン交換基に変換できる基を有す
るモノマーとしてはパーフルオロスルホン酸イオン交換
基に変換できる基を有するモノマーとして下記一般式 CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕oCF2CFRF
SO2X (但し、XはF又はClであり、RFはF又はCF3であ
り、oは1〜3の整数である。)で示されるモノマー
が、又パーフルオロカルボン酸イオン交換基に変換でき
る基を有するモノマーとしては、下記一般式 CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕p(CF2qY (但し、YはCO2R(但しRは低級アルキル基であ
る。)、CN、COF、COClであり、pは1〜3の
整数であり、qは2〜8の整数である。) 又は、 CF2=CFO(CF2rOCF(CF3)Y (但し、YはCO2R(但しRは低級アルキル基であ
る。)、CN、COF、COClあり、rは2〜8の整
数である。)で示されるモノマーが好適に用いられる。
【0022】これらイオン交換基に変換できる基を有す
るモノマーを具体的に例示すれば、 CF2=CFOCF2CF2SO2F、 CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO
2F、 CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF(C
3)OCF2CF2SO2F、 CF2=CFOCF2CF(CF3)SO2F、 CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF(C
3)SO2F、 CF2=CFO(CF23-8CO2CH3、 CF2=CFOCF2CF2OCF2CF(CF3)CO2
3 が挙げられる。
【0023】更に、これらのモノマーは単独で用いても
良く、また混合して用いても何等差し支え無い。
【0024】上記のテトラフルオロエチレンとイオン交
換基に変換できる基を有するモノマーとの共重合は公知
の方法を何等制限なく用いることができる。即ち、溶液
重合法、懸濁重合法、及び乳化重合法のうち共重合性等
の条件を考慮して最適な重合方法を選択すれば良い。
【0025】何れの場合もイオン交換基に変換できる基
を有するモノマーの分散液又は溶液にテトラフルオロエ
チレンを加圧下に溶解させて共重合がおこなわれるが、
イオン交換基に変換できる基を有するモノマーやテトラ
フルオロエチレンに加えて他のモノマーを用いる場合、
そのモノマーがヘキサフルオロプロピレン等の気体であ
ればテトラフルオロエチレンに混合して、また、アルキ
ルビニルエーテル等の液体であればイオン交換基に変換
できる基を有するモノマーへ混合して重合すれば良い。
【0026】乳化重合或いは有機溶媒を使用しない懸濁
重合の場合、分散媒としては水が好適である。一方、溶
液重合或いは有機溶媒を使用する懸濁重合の場合、有機
溶媒が連鎖移動剤として作用し、重合体の分子量を低下
させ、その結果得られた共重合体の物性が劣ることがあ
るため、用いる溶媒はフッ素系の液体が好ましい。
【0027】かかるフッ素系の液体としては、具体的に
は、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パー
フルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオ
ロオクタン等のパーフルオロアルカン類、パーフルオロ
シクロブタン、パーフルオロシクロヘキサン等のパーフ
ルオロシクロアルカン類、パーフルオロエーテル類、パ
ーフルオロトリブチルアミン等のパーフルオロ3級アミ
ン類、パーフルオロモルホリン類、トリフルオロモノク
ロロエタン等のクロロフルオロエタン類等が好適に用い
られる。
【0028】重合開始剤としては乳化重合の場合過硫酸
アンモニウム等の過硫酸塩が好適に用いられ、また溶液
重合、懸濁重合の場合は公知の有機系ラジカル発生剤が
用いられるが、得られる共重合体の耐熱性を考慮する
と、フッ素系のジアシルパーオキシド類が好適に用いら
れ、具体的には次のものが挙げられる。
【0029】(CF3CF2CO22、(HCF2CF2
22、(ClCF2CF2CO22、(CF3CF2CF
2CO22、(CF3CF2CF2OCF(CF3)CO2
2また、重合時のフルオロオレフィンの圧力はモノマー
組成、重合温度により一概には決定できないが、1〜3
0kg/cm2−Gが好ましい。また重合温度は用いる
重合開始剤の分解温度によって異なるため、一概には決
定できないが通常0〜100℃であり、重合開始剤とし
てフッ素系のジアシルパーオキシドを用いた場合は0〜
50℃が好ましい。
【0030】本発明において、イオン交換基に変換でき
る基を有するフッ素樹脂を少なくとも表層の一部に有す
るフッ素樹脂成形体(以下、前駆成形体と略称する。)
の製造方法は特に制限されない。代表的な製造方法を例
示すれば下記の方法が挙げられる。
【0031】すなわち、イオン交換基に変換できる基を
有するフッ素樹脂単独或いは該フッ素樹脂とイオン交換
基を実質的に有さないフッ素樹脂との混合物(以下、こ
れらを前駆体樹脂と総称する。)を溶融成形などの成形
方法によって成形体全体にイオン交換基に変換できる基
が存在する成形体を製造する方法(前駆成形体の製造例
1)が挙げられる。
【0032】上記方法において、イオン交換基に変換で
きる基を有するフッ素樹脂とイオン交換基を実質的に有
さないフッ素樹脂との混合には、公知の混合方法が何等
制限無く採用されるが、例示すると、ヘンシェルミキサ
ー、ニーダブラベンダー等が挙げられる。
【0033】また、前駆成形体の他の製造方法として、
イオン交換基を実質的に有さないフッ素樹脂成形体の少
なくとも一部の表層に前駆体樹脂を融着して、表層にイ
オン交換基に変換できる基が存在する成形体を製造する
方法(前駆成形体の製造例2)が挙げられる。
【0034】上記方法を具体的に示せば、金型内面に前
駆体樹脂を層状に存在させた後に、イオン交換基を実質
的に有さないフッ素樹脂を射出成形、或いはブロー成形
することによって表層を形成することにより前駆成形体
を製造する方法(前駆成形体の製造例2−1)、予めイ
オン交換基に変換できる基を実質的に有さないフッ素樹
脂成形体を成形し、次いで、該成形体の表面、或いは成
形体の形状に加工した金型内面に、前駆体樹脂を存在さ
せた後、該金型に挿入し、金型を閉じ加熱し融着するこ
とにより前駆成形体を製造する方法(前駆成形体の製造
例2−2)、前駆体樹脂よりなる層と、イオン交換基に
変換できる基を実質的に有さないフッ素樹脂よりなる層
とを少なくとも一層含む樹脂による多層押出成形、或い
は多層ブロー成形することにより前駆成形体を製造する
による方法(前駆成形体の製造例2−3)等が挙げられ
る。
【0035】上記した前駆成形体の製造方法の中で金型
を用いた方法の場合、金型内面への前駆体樹脂を存在さ
せる方法は、その目的にあった公知の方法を適宜採用す
れば良いが、例示すれば、粉体静電スプレー法、懸濁液
での塗布による方法が好適であり、また、フィルムで存
在させる方法も好適である。さらに、フッ素樹脂成形体
の表面への前駆体樹脂を存在させる方法も特に制限され
ないが、懸濁液での塗布による方法が好適である。
【0036】本発明にかかるフッ素樹脂成形体の具体的
形状は特に制限されるものではない。例えば、図1に示
した構造のウエハーキャリアーのような構造体、チュー
ブ、パイプ等の管状体、シート、フィルム等の薄物成形
体などが挙げられる。これら成形体の成形方法は、製造
しようとする構造体によって射出成形、押出成形、トラ
ンスファー成形、圧縮成形、ブロー成形等の公知の方法
から適宜選択すれば良い。
【0037】本発明の帯電防止能を有するフッ素樹脂成
形体は、前駆成形体中の少なくとも表層の一部に存在す
るイオン交換基に変換できる基をイオン交換基に変換し
て、帯電防止層を形成することによって製造される。
【0038】本発明の特徴は、かかるイオン交換基に変
換できる基をイオン交換基に変換する加水分解反応に、
有機水酸化第4アンモニウム水溶液を用いることにあ
る。
【0039】ここで、加水分解反応にNaOH、KOH
等のアルカリ金属水酸化物やCa(OH)2等のアルカ
リ土類金属水酸化物を用いた場合、イオン交換基への変
換は達成されるが、加水分解反応時にアルカリ金属塩や
アルカリ土類金属塩が副生し、帯電防止層中に残留す
る。このため、その後の成形体使用時にこれら金属塩が
徐々に溶出することがあり、好ましくない。
【0040】これに対して、加水分解反応に、有機水酸
化第4アンモニウム水溶液を用いる方法によって製造し
た帯電防止能を有するフッ素樹脂成形体は、アルカリ金
属イオン、アルカリ土類金属イオンが成形体内に含まれ
ておらず、従って、使用時に、かかる金属イオンが無い
ため金属イオンによる汚染を嫌う半導体製造工程におい
て好適に用いられる。
【0041】本発明における加水分解後の陽イオン交換
基の対イオンは、アンモニウムイオンとなっているが、
水素イオン、他のアンモニウムイオンへの変換は公知の
方法がなんら問題なく採用される。
【0042】加水分解反応は、数〜数十重量%の有機水
酸化第4アンモニウム水溶液に成形体を浸漬し、数分〜
百数十時間、室温〜150℃で加熱すれば良いが、より
好ましくは、5〜40重量%の有機水酸化第4アンモニ
ウム水溶液を用い、1〜12時間、50〜150℃で加
水分解反応を行えば良い。ここで有機水酸化第4アンモ
ニウムであれば特に制限は無いが、より好ましくはテト
ラアルキルアンモニウムハイドロオキシドが用いられ
る。この加水分解反応を促進する為に、メチルアルコー
ル(以下MeOHと略称する。)、エチルアルコール
(以下EtOHと略称する。)、ジメチルスルホキシド
(以下DMSOと略称する。)等の有機溶媒を添加する
ことは有効である。
【0043】なお、有機水酸化第4アンモニウム水溶液
に含まれるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオ
ン等の濃度は少ないほど好ましいが、具体的には10p
pb以下である。
【0044】上記方法によって付与されるイオン交換基
は、前駆成形体に存在するイオン交換基に変換し得る基
の種類によって決定される。例えば、パーフルオロスル
ホン酸基、またはパーフルオロカルボン酸基が挙げら
れ、これらのイオン交換基はパーフルオロ炭素鎖又はパ
ーフルオロエーテル鎖を介して化学的にフッ素樹脂に結
合している。
【0045】これらイオン交換基を更に詳しく説明すれ
ば、パーフルオロスルホン酸基は下記一般式 −CFRFSO3M (但し、RFはF又はCF3であり、Mは水素原子、又は
NR'4で示される基(但しR'は水素原子又は低級アル
キル基である。)である。)で示され、又パーフルオロ
カルボン酸基は、下記一般式 −CFRFCO2M (但し、RF及びMは前記と同じである。)で示される
ものである。
【0046】これらイオン交換基のうち、パーフルオロ
スルホン酸基は、パーフルオロカルボン酸基に対して耐
熱性が良く、結合する対イオンが水素イオンの場合、パ
ーフルオロカルボン酸基に比べて帯電防止能が高いため
好適である。
【0047】本発明において、フッ素樹脂成形体の表層
に形成される帯電防止層は、イオン交換基を存在させる
ことによって、一般に、表面抵抗率が1013Ω未満、好
ましくは、1010Ω以下の表面抵抗を示す。尚、本発明
において、表面抵抗率は、JIS K−6911に記載
の方法に準じて行った。
【0048】本発明において、上記帯電防止層のイオン
交換基の濃度は0.25モル%以上、好ましくは0.2
5〜20モル%、更に好ましくは0.25〜18モル%
とすることが良好な帯電防止性を付与するために好まし
い。即ち、前記した前駆成形体の製造例において用いる
前駆体樹脂におけるイオン交換基に変換できる基の濃度
を、0.25モル%以上、好ましくは0.25〜20モ
ル%、更に好ましくは0.25〜18モル%に調整する
ことが好ましい。
【0049】また、イオン交換基を有する表層の厚みが
1〜500μmで、かつ、成形体の厚みの80%以下と
なるように成形条件の設定、及び前記イオン交換基への
変換を実施することが好ましい。具体的には、該帯電防
止層の厚みの上限は、成形体の厚みに対して80%以
下、好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下
である。特に該層の上限は絶対的な厚みで500μm以
下とすることが更に好ましい。
【0050】本発明においては帯電防止層の厚みは、前
記したように、本発明の効果を発現する上で重要であ
る。帯電防止層の厚みは、加水分解条件と前駆体樹脂層
の形成の方法および条件によって調整される。
【0051】即ち、前述した前駆成形体の製造例1では
加水分解条件によって、帯電防止層の厚さが制御され
る。即ち、加水分解反応の条件においては、用いる水酸
化第4アンモニウム水溶液の濃度、温度、有機溶媒の種
類、量、イオン交換基に変換できる基の存在量、樹脂の
組成等によって一概には決定できない。従って、予め加
水分解条件と加水分解によって生成する帯電防止層の厚
さ方向での濃度を測定しておけば、本発明の範囲に帯電
防止層の厚みを調節することができる。
【0052】また、前駆成形体の製造例2−1〜3では
成形の方法および条件によって調整される。即ち、成形
時に前駆体樹脂層の厚さを制御し、該層を加水分解する
ことにより、帯電防止層の厚さを制御することができ
る。更に具体的には、金型内部もしくはフッ素樹脂成形
体へ、前駆体樹脂粉体を存在させる方法において、塗布
量の制御を、粉体静電スプレー法では、印加電圧、フィ
ードガス流量、パターンガス流量、ノズル部の形状等で
制御をおこない、また懸濁液の塗布方法の一つとして
の、懸濁液スプレー法では溶剤、樹脂濃度、スプレーガ
ス流量等の制御をおこない、前駆体樹脂層の厚みを制御
することができる。また、フィルムによって存在させる
方法においては挟み込むフィルムの厚さ調整によって前
駆体樹脂層の厚みを制御することができる。また、前記
した前駆成形体の製造方法2−2に示したような方法の
場合は、成形体の外寸法と金型の内寸法による間隙によ
っても厚みを制御することができる。また、多層押出成
形による方法においては、ノズル形状,押出量比,引き
取り速度等の制御によって前駆体樹脂層の厚みを制御す
ることができる。
【0053】各種の条件によっては、表面がイオン交換
基の濃度が高く、厚み方向にイオン交換基の濃度が低く
なる濃度勾配が形成されるが、イオン交換基の濃度が
0.25モル%以上の濃度である層の厚みが1μm以上
であるのがよく、この帯電防止層の下にはイオン交換基
の濃度が0.2モル%未満、特に0.1モル%以下の基
体が存在すべきである。もちろん、帯電防止層と基体と
の間には、イオン交換基の濃度がそれらの中間にある遷
移層が存在していても何ら差し支えない。
【0054】加水分解はフッ素樹脂成形体の全表面でお
こなうことが好ましいが、用途によっては片面、または
一部の加水分解をおこなっても良い。また、用途によっ
ては前駆体樹脂層全てを加水分解しなくても良い。この
場合は、加水分解条件によって帯電防止層の厚さを制御
することができる。
【0055】また、フッ素樹脂成形体を後記のフィル
ム、シートなどの薄物、チューブ、パイプ等の用途に使
用する場合、フッ素樹脂の有する絶縁性、イオンの不透
過性、耐薬品性等の特性を十分発揮するため、基体であ
るイオン交換基を実質的に有さない部分の厚みを10μ
m以上確保するように該層の厚みの上限を制御すること
が好ましい。
【0056】本発明において、帯電防止層は成形体の全
表面に存在させるのが一般的であるが、用途によっては
成形体表面の一部に存在させても良い。
【0057】例えば、フィルム、シート等々の薄物の片
面、チューブ、パイプ状物の内面または外面に帯電防止
層を有し、他の面には帯電防止層を有さない構造となっ
ていても良い。例えば、フッ素樹脂成形体の片面で静電
気が問題とされ、他面では静電気が問題とされないとい
った用途に対しては充分使用することができる。
【0058】本発明の帯電防止層の厚み、イオン交換基
の存在量及び基体の厚みは例えば赤外吸収スペクトル
(以下IRスペクトルと略称する。)を測定することに
よって知ることができる。即ち、本発明のフッ素樹脂成
形体の表面から垂直に数十〜数百μmの厚みでフィルム
を切り出し、IRスペクトルを表面より、数μmの間隔
で透過、又は反射スペクトルを測定することにより、或
いは本発明のフッ素樹脂成形体の表面から数〜数十μm
で削りその切削面の反射スペクトルを測定するすること
により、帯電防止層、及び基体の厚みが算出される。
【0059】かかる帯電防止層をイオン交換基を実質的
に有さないフッ素樹脂よりなる基体の表面に存在させ、
表面抵抗率を下げることにより、従来の導電性物質を添
加して帯電防止性を付与する手段に対して、その表面か
らのパーティクルの発生が極めて少なく、ウエハーキャ
リアー等のこれに接触する物品に対する汚染性が問題と
される用途において、有用である。また、基体となるフ
ッ素樹脂に多量の添加物を含有しないため、フッ素樹脂
成形体の強度も十分あり、上記ウエハーキャリアー等の
物理的負荷のかかる用途に対して最適である。また、全
体にイオン交換基を有するイオン交換樹脂に比べて、不
純物イオンが内部まで浸透しないため、不純物イオンの
吸着量が少なく、得られるフッ素樹脂成形体に接触する
物品に対する不純物イオンの汚染性が極めて少ない。
【0060】本発明のフッ素樹脂成形体について、後述
する方法で測定した薬液吸着量は、50ppb/cm2以下、
特に10ppb/cm2以下である。
【0061】このことからも、本発明の方法によって得
られたフッ素樹脂成形体が前記ウエハーキャリアーのよ
うに汚染性が問題とされる用途に最適であることが理解
される。
【0062】本発明において、得られるフッ素樹脂成形
体の帯電防止効果は、電圧減衰率によって確認すること
ができ、一般に、10kVの電圧を1分間かけ、その後
1秒後の電圧減衰率が70%以上、好ましくは、90%
以上のものが好適である。
【0063】上記の本発明の方法によって製造されたフ
ッ素樹脂成形体は、表層を除いて実質的にイオン交換基
を含有しない部分が存在するため、従来のフッ素樹脂と
同等に扱うことができ、成形体内部の全体にわたってイ
オン交換基が存在するフッ素樹脂成形体に見られる下記
の問題をほとんど回避することができる。
【0064】即ち、イオン交換膜のように、全体にイオ
ン交換基を有する樹脂を使用した成形体は、溶剤や薬液
等に浸漬した場合、成形体の膨潤による寸法変化が生じ
たり、イオンや無機物、或いは有機物を吸着、透過する
という現象が生じる。そのため、ウエハーキャリアーの
用途に使用した場合、これに接触するウエハーの汚染の
問題が生じる虞がある。例えば、基体にイオン交換基を
有するフッ素樹脂として、フッ素系のイオン交換膜やイ
オン交換樹脂が知られているが、これらの樹脂はイオン
の透過、吸着を目的としたものであり、通常イオン交換
基を十数モル%程度含有している。そのため、上記ウエ
ハーキャリアーのようにフッ素樹脂の特徴である耐汚染
性が要求される分野においては、フッ素系のイオン交換
膜やイオン交換樹脂が有する、有機物やイオン等の吸着
特性は好ましくない。また、帯電防止能が要求されるフ
ッ素樹脂よりなるフィルム、チューブの成形体の用途に
おいても、イオン、水等の無機物、アルコール等の有機
物を透過、吸着させるという問題を有する。
【0065】
【発明の効果】以上の説明により理解されるように、本
発明の方法によれば、フッ素樹脂成形体の表層にイオン
交換基を有する層を付与することができ、該フッ素樹脂
成形体の元来有する電気絶縁性を維持し、帯電防止層を
高純度に維持しながら良好な帯電防止効果を発揮するフ
ッ素樹脂成形体を得ることができる。
【0066】即ち、この帯電防止能を有したフッ素樹脂
成形体は、有機水酸化第4アンモニウム水溶液によって
加水分解することにより、該フッ素樹脂成形体の使用時
に金属イオンの溶出が無いため、金属イオンによる汚染
を嫌う半導体製造工程において好適に用いられる。
【0067】また、通常のフッ素樹脂は1016Ω以上の
表面抵抗を有し、1時間後の電圧減衰率は数%であるの
に対し、本発明の方法によれば、フッ素樹脂成形体の表
面抵抗は1013Ω未満であり、また電圧減衰率は数秒以
内にほぼ100%となり、実質的にほとんど帯電しない
フッ素樹脂成形体を得ることが可能である。
【0068】従って、本発明によって製造される帯電防
止層を有したフッ素樹脂成形体は、現状のフッ素樹脂と
異なり静電気の発生がほとんど無く、また、静電気が発
生した場合の失散も速い。また、本発明によって製造さ
れるフッ素樹脂成形体は、基体に実質的にイオン交換基
を有していないので、薬液に浸漬した場合、イオンや無
機物又は有機物の吸着、透過が無いため、薬液からの汚
染が無く、また、このフッ素樹脂成形体を他の薬液や水
に移動した時にこれらの薬液や水を必要以上に汚染する
ことも無く、更には成形体の寸法変化も無いなど、フッ
素樹脂が本来有している優れた物性を保持することがで
きる。
【0069】以上のことより、本発明の方法によって得
られたフッ素樹脂成形体は、半導体製造工業、食品工
業、化学工業、或いは一般の理化学分野等での静電気の
発生、及び、金属イオンの溶出を嫌う分野において好適
に用いることができる。
【0070】具体的には、静電気による埃等の付着が無
いため、半導体製造時の周辺部品として、薬液移送チュ
ーブ、継ぎ手、バルブ、チェッキ弁、ストレーナー、薬
液容器、真空ピンセット、真空ピンセット用チップ、パ
ッキン、Oリング、ガスケット、シート、ライニング
材、コーティング材、ピンセット、トング、ディッパ
ー、ホールダー、ストレーナー、フラッシャー、ファン
ネル、メスシリンダー、バスケット、攪拌棒、ビーカ
ー、ワイプクリーナー、タンク、ボルト、ナット、ボト
ル、スノコ、トレー、プレートヒーター等に好適に用い
ることができる。
【0071】また、ウエハーキャリアー等の治具として
ウエハーキャリアー、ウエハーキャリアー用ハンドル、
ウエハーキャリアー用ボックス、リテーナー、プロセス
トレー、ウエハー用プロテクター、ウエハーボード、L
CDバスケット、LCDキャリアー、ウエハートレー、
ウエハートレー用カバー、ウエハートレー用スプリン
グ、ウエハーパック、ウエハーシッパー、マスクキャリ
アー、マスクキャリアー用ボックス、マスクキャリアー
用ハンドル、マスクパック、マスクケース、デバイスキ
ャリアー、デバイスキャリアー用ハンドル、サイドレー
ル、チップトレー、チップトレー用カバー、チップトレ
ー用ケース、チップ移し替えトレー、チップ洗浄用キャ
リアー、チップ洗浄器、チップトレー用ボックス等に好
適に用いることができる。特に本発明のフッ素樹脂成形
体より成るウエハーキャリアーは、帯電防止性に優れる
ため、静電気による使用雰囲気中の微粒子のウエハーへ
の付着が十分効果的に抑えられるばかりでなく、パーテ
ィクルの発生、不純イオンによる汚染、及び、金属イオ
ンによる汚染等の問題もなく、その結果、ウエハーの不
良率を低く抑えることができるといった効果をもたら
す。
【0072】また、本発明のチューブ(パイプを含む)
を用いて可燃性液体を移送した場合、帯電防止の効果に
よって静電気の発生、蓄積が防止され、従って着火の危
険性を防止することができるばかりでなく、パーティク
ルの発生、移送液体による膨潤、さらには移送液体の透
過の問題もなく、極めて有用である。
【0073】更に、食品製造分野においては本発明の成
形体を用いることにより、衛生上問題となる埃の付着を
防ぐことができることから、食品製造において使用され
る機器類の表面コーティング、例えば混合器の容器及び
攪拌翼、またチューブ、トレイ、ベルト等に好適に使用
できる。
【0074】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するために実施例
を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0075】尚、フッ素樹脂成形体の表面抵抗率、電圧
減衰率、薬液吸着量、及びNa+,K+イオン溶出量は次
のようにして求めた。
【0076】(1)表面抵抗率 JIS K−6911に準じて測定し、次の式によって
表面抵抗率を算出した。
【0077】
【数1】
【0078】 ここで、 ρS:表面抵抗率(Ω) d :表面電極の内円の外径(cm) D :表面の環状電極の内径(cm) RS:表面抵抗(Ω) 電圧 500V 測定時間 30秒 3回平均 (2)電圧減衰率 スタティック−ホネストメーター S−5109(宍戸
商会製)を用いて、電圧10kVを1分間かけ、電圧を
切ってからの電圧を測定した。
【0079】樹脂サイズ:40×40×0.25mm 減衰率=(初期電圧−t時間後の電圧)/初期電圧(単
位:%) (3)Na+,K+イオン溶出量 試験片を超純水で20分間リンスした後、試験片を超純
水500mlに入れ、80℃で加熱した。一定時間ごと
に超純水をサンプリングし、誘導結合プラズマ質量分析
法(ICP−MS)で分析し、該超純水に含まれるNa
+,K+イオンの量を試験片表面積1cm2当たりで算出
した。
【0080】(4)薬液吸着量 試験片を超純水で20分間リンスした後、試験片を洗浄
済み1lの石英容器にいれ、電子工業用硫酸500ml
を加え、室温で10分間保持して硫酸を該試験片に吸着
させた。
【0081】次いで、試験片を取り出し、超純水で20
分間リンスした後、超純水500mlに入れ、80℃で
加熱した。2時間経過後、超純水をサンプリングし、イ
オンクロマトで分析し、該超純水に含まれる硫酸の量を
試験片表面積1cm2当たりで算出し、薬液の吸着量と
した。
【0082】参考例1 攪拌機を有したステンレス製の500ml反応器に予め
蒸留により精製した1,1,2-トリクロロトリフルオロエタ
ン320gを入れた後、内部を脱気し、その後、窒素ガ
スで大気圧とした。反応器内にMeOH0.039g及
び、33.5gのCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fを入れ
た後、攪拌モーターの回転数を800回転とし、テトラ
フルオロエチレンを導入し圧力を4kg/cm2−Gに
した。
【0083】次いで、反応器内を25℃に保ちつつ、ビ
ス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシドの1,1,2-ト
リクロロトリフルオロエタン溶液(5重量%)1.77
gを導入して重合を開始した。重合中、重合温度は25
℃に保った。反応開始120分後、反応器内の圧力を放
出し、反応器を冷却トラップを介し、真空ポンプに接続
し攪拌しつつ減圧にし、溶媒、未反応モノマー等の低沸
点成分をトラップ内に回収した。留出後、反応器を解体
し、共重合体を取り出し、150℃で12時間真空乾燥
したところ24gの共重合体が得られた。
【0084】核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクト
ルの測定結果より、上記共重合体中に、テトラフルオロ
エチレンに基づく単量体単位が95.7モル%、CF2=CF
OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fに基づく単量体単位が4.3モ
ル%共重合したものであることが確認された。また、こ
の共重合体の372℃での比溶融粘度は、4.6×10
6ポアズであった。
【0085】実施例1 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、次いで、水酸化テトラメチルアンモ
ニウム(以下TMAHと略記する)/MeOH/H2
=15/25/60wt%の水溶液に浸漬し、100℃で
3時間加水分解を行って帯電防止層を形成した。このフ
ィルムのイオン交換基の存在量を調べたところ表面では
約4.3モル%、表面から20μmのところでは約0.
28モル%であり、表面から30μm、及び中心付近で
は0.08モル%、0.02モル%であった。従って、
帯電防止層におけるイオン交換基の濃度が0.25モル
%以上である層の厚みは20μmである。
【0086】次に、このフィルムの表面抵抗率を測定し
たところ3.4×108Ωであり、電圧減衰率を測定し
たところ1秒で100%減衰した。また、このフィルム
の薬液吸着量を測定したところ1.0μg/cm2であ
った。このフィルムをイオン交換水中に一夜浸漬したと
ころ膨潤による伸びは観測されなかった。また、Na+
イオン溶出量は溶出開始から1時間後、3時間後、5時
間後の溶出量が0.8μg/cm2以下、0.8μg/
cm2以下、0.8μg/cm2以下であり、K+イオン
溶出量は溶出開始から1時間後、3時間後、5時間後の
溶出量が0.4μg/cm2以下、0.4μg/cm2
下、0.4μg/cm2以下であった。
【0087】また、上記の方法によって得られた0.2
5mmのフィルムについて、パーティクルの発生テスト
を実施した。即ち、先ず、該フィルムを5cm×10c
mのサンプルに切り出し、クラス1000のクリーンル
ーム内で超純水で10分間リンスした。その後、容器に
電子工業用イソプロピルアルコールを入れ、5分間振と
う後放置した。1日後電子工業用イソプロピルアルコー
ルを入れ替え、5分間振とう後放置した。同様な入れ替
え操作を繰り返し1日後、7日後、14日後のイソプロ
ピルアルコールに含まれる0.3〜2μmのパーティク
ル数をパーティクルカウンター(リオン社製、KL−2
2)を用いて測定したところ。1日後で750個/m
l、7日後で90個/ml、14日後で45個/mlの
パーティクルが観測された。
【0088】なお、この実験でもちいた電子工業用イソ
プロピルアルコールに含まれるパーティクルは20〜4
0個/mlであった。
【0089】実施例2〜3 実施例1のフィルムを用い、加水分解温度を変えた以外
は実施例1と同様にして加水分解を行って帯電防止層を
形成した。
【0090】表1に、加水分解温度、帯電防止層におけ
るイオン交換基の濃度が0.25モル%以上の層の厚
み、表面抵抗率、1秒後の電圧減衰率及び、Na+、K+
イオン溶出量(溶出開始から5時間後)を測定した結果
を示した。
【0091】
【表1】
【0092】実施例4〜8 実施例1のフィルムを用い、TMAH水溶液の濃度を変
えた以外は実施例1と同様にして加水分解を行って帯電
防止層を形成した。
【0093】表2に、加水分解液濃度と、帯電防止層に
おけるイオン交換基の濃度が0.25モル%以上の層の
厚み、表面抵抗率、1秒後の電圧減衰率及び、Na+
+イオン溶出量(溶出開始から5時間後)を測定した
結果を示した。
【0094】
【表2】
【0095】実施例9〜10 実施例1のフィルムを用い、加水分解時間を変えた以外
は実施例1と同様にして加水分解を行って帯電防止層を
形成した。
【0096】表3に、加水分解時間と、帯電防止層にお
けるイオン交換基の濃度が0.25モル%以上の層の厚
み、表面抵抗率、1秒後の電圧減衰率及び、Na+、K+
イオン溶出量(溶出開始から5時間後)を測定した結果
を示した。
【0097】
【表3】
【0098】比較例1〜2 実施例1のフィルムを用い、水酸化物としてTMAHの
代わりにNaOH、もしくはKOHを用いた以外は実施
例1と同様にして加水分解を行って帯電防止層を形成し
た。
【0099】表4に、水酸化物の種類と、帯電防止層に
おけるイオン交換基の濃度が0.25モル%以上の層の
厚み、表面抵抗率、1秒後の電圧減衰率及び、Na+
+イオンの溶出量(溶出開始から1時間後、3時間
後、5時間後)を測定した結果を示した。
【0100】
【表4】
【0101】実施例11〜12 実施例1のフィルムを用い、加水分解に用いる有機溶媒
を変えた以外は実施例1と同様にして加水分解を行って
帯電防止層を形成した。
【0102】表5に、加水分解液組成と、帯電防止層に
おけるイオン交換基の濃度が0.25モル%以上の層の
厚み、表面抵抗率、1秒後の電圧減衰率及び、Na+
+イオン溶出量(溶出開始から5時間後)を測定した
結果を示した。
【0103】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフッ素樹脂成形体によって構成され
るウエハーキャリアーの代表的な構造を示す斜視図
【符号の説明】
1 ウエハーキャリアー本体 2 ウエハー保持用の溝

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換基を実質的に有さないフッ素
    樹脂成形体の少なくとも表層にイオン交換基に変換でき
    る基を有するフッ素樹脂を存在せしめ、該表層に存在す
    るイオン交換基に変換できる基を有機水酸化第4アンモ
    ニウム水溶液によって加水分解してイオン交換基に変換
    することを特徴とする、帯電防止性を有するフッ素樹脂
    成形体の製造方法。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6013822A (ja) * 1983-07-01 1985-01-24 Asahi Chem Ind Co Ltd 帯電防止弗素系樹脂フイルムとその製造方法
JPH0971674A (ja) * 1995-06-26 1997-03-18 Tokuyama Corp フッ素樹脂成形体
JPH10195212A (ja) * 1997-01-16 1998-07-28 Tokuyama Corp フッ素樹脂成形体の製造方法

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