JP3690868B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字性、防水性、抗引裂性、縫製性に優れ、かつ、カール防止性にも優れた水性インクジェット記録用紙に関する。
本発明によるインクジェット記録用紙は、屋外広告ポスタ−用紙、立て看板、吊し広告用紙として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式を用いて高速でカラーハードコピーを作成するインクジェットカラープリンターの技術が進んでいる。高品位の記録画像を得るために、記録シート上に付着した水性インクが表面上に拡がることなく、厚さ方向に速やかに吸収されるよう、パルプ抄造紙を支持体とし、この表面に合成シリカ粉末を主成分とする顔料とポリビニルアルコール(シラノール変性ポリビニルアルコールも含む)水系接着剤、カチオン系ポリマーよりなるインクセット剤を含有するインク受理層が設けられた水性インクジェット記録紙が数多く提案(特開昭55−51683号、特開昭56−148586号、特開平7−89216号、特開平7−89217号などの公報)されており、又、実用化されている。
【0003】
このインク受理層、および支持体として用いられているパルプ抄造紙が共に吸水性であるので印字後の乾燥時間が長くなったり、印字された記録紙にしわやカールが発生する等の問題が生じていた。
これを防ぐために、支持体として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム(特開平7−76162号公報)を用いたり、無機微細粉末を含有する樹脂延伸フイルムよりなる合成紙(特開平7−89218号公報、特公平6−62003号公報)を用いることが提案され、実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
後者の延伸フイルムを支持体とするインクジェット記録用紙においても、乾燥時間の更なる向上が望まれているのが実情であり、又、印字されたインクジェット記録用紙(ポスター、広告等)を画鋲で掲示板上に掲示したり、吊るし広告に用いた場合に、強風により記録紙がバタついて画鋲跡をノッチとして記録紙が裂けたり、吊り広告が風でバタついて近傍に存在する釘や針金に引っかかり、その傷部分をノッチとして裂けるという問題が生じていた。
本発明は、印字後のカール防止性、巻きロールとして保存し、これを巻き戻してもカールがなく、抗引裂性に優れた水性インクジェット記録用紙の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水性インクを用いて記録画像を形成するインクジェット記録用紙において、該記録用紙が、(A)短繊維を絡み合せた不織布状物を加熱加圧して得た坪量が12〜80g/m2 の不織布シート、または該不織布状物に熱可塑性樹脂粉末を散布および/または熱可塑性樹脂シートを積層し、次いでこれを加熱加圧一体化した坪量が60〜200g/m2 の繊維補強不織布シートを裏面層とし、この不織布シートの表面に接着剤を用いて、クラーク剛度(S値)が縦方向8〜300、横方向8〜300であり、肉厚20〜300μmの耐水性の延伸樹脂フイルム(B)を貼合して積層構造の支持体とし、この支持体の延伸樹脂フイルム層(B)側にピグメントを主成分とするインク受理層(C)を設けてなるインクジェット記録用紙を提供するものである。
【0006】
【作用】
支持体の延伸樹脂フイルム(B)が耐水性を有するので、印字物のシワが発生するのが妨げられる。又、支持体の裏面層が不織布シートであるので、記録紙の空気との接触面が同じ肉厚の合成紙の場合よりも大きくなり、乾燥時間が短縮できると共に、この不織布シート(A)の存在で抗引裂性が改善され、強風に煽られても印字物が裂けることはない。更に、不織布シート(A)の存在によりカールが防止され、記録紙をロール状に巻いての保管や移動が可能であり、これを使用時に巻き戻してもカールを生じることなく平坦となるので、従来のパルプ抄造紙や合成紙を支持体としたインクジェット記録用紙のような巻き戻し後のカールくせを直すためのアイロンかけ等の作業が不要となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のインクジェット記録用紙について、更に詳細に説明する。
支持体:
インク受理層が設けられる支持体は、不織布シート(A)と耐水性の延伸樹脂フイルム(B)とを接着剤を用いて貼合した積層シートである。
不織布シート(A):
短繊維を絡み合せた不織布状物を加熱加圧して得られる繊維補強シートの製造方法は、特公昭37−4993号公報、特開昭53−10704号公報、同53−90404号公報、同53−119305号公報、同53−122803号公報、同56−15500号公報、同57−29700号公報、同57−39299号公報、同59−70600号公報、同57−61796号公報、同57−139597号公報等に記載されるように公知である。
【0008】
通常、この不織布シートはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂の開繊した短繊維(繊維太さ0.2〜15デニール、繊維長1〜20mm)を水中に分散させた紙料を短網または長網もしくは円網抄紙機を用いて抄紙した後、120〜270℃の温度と5〜200kg/cm2 の圧力をロール、プレスで抄造紙にかけることにより製造される。かかるシートは帝人(株)よりスパンボンド#ユニセルの商品名(タイプとして、RTタイプ、Bタイプ、BTタイプ)で販売されている。
この抄造の際、水分散液中にパルプ状粒子を10〜90重量%の割合で配合させてもよい。パルプ状粒子の原料としては芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル等があげられる。また、ポリビニルアルコール繊維状バインダーやポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂粉末を短繊維結合剤として5〜30重量%配合してもよい。更に、顔料、可塑剤、粘着調整剤、分散剤等を配合してもよい。
【0009】
この不織布シートの坪量は12〜80g/m2 の範囲である。12g/m2 未満ではカール防止に十分でない。80g/m2 を越えてもよりカール防止効果の向上は望まれず、コスト高となる。
また、厚すぎると記録紙をロール巻きにして保管するときのロール径が大となる。
また、抄造法により得られた不織布状物に熱可塑性樹脂の粉末を散布および/または熱可塑性樹脂シートを積層し、次いでこれを加熱加圧一体化して不織布シートを製造してもよい。粉末、シートの素材となる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−アクリルニトリル共重合体、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリメチルメタアクリレート、ポリスルフオン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエステル、共重合ポリエステル、ポリブエニレンスルフイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフオン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミドおよびポリエステルアミドなどが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることができる。
【0010】
更に、不織布シートは、特公昭48−32986号公報に記載される製造方法により得られた不織布合成紙、即ち、少なくとも75重量%が繊維用デニールの不規則に配置された結晶性の且つ配向した合成有機重合体のフイラメントから成るウェブを該フイラメントに対し非溶解性の加熱流体に露出することにより該フイラメントを空間的に間隔をおいて配置された多数の交叉点で自己接合せしめるに当たり、少なくとも大気圧の流体圧を持った流体に対する該露出を、本文で定義した臨界接合温度をTxとしてTx(1±0.03)℃の温度範囲内にある接合温度で行ないこの際該ウェブの温度をウェブの全三次元方向に亘りその温度変動が5℃以内になる如く一定に保ち、且つ該接合温度においてフイラメントの収縮を20%以内に抑え且つフイラメントの複屈折の低下を50%以内に抑えるのに十分なだけの軽い圧縮力下に該ウェブを置いてウェブの拘束を続け、しかる後に該フイラメントの収縮を防ぐのに十分な温度にまで該ウェブの温度を低下させた後に始めて該拘束力を取り去ることを特徴とするウェップを自己接合した不織布合成紙であってもよい。かかる不織布合成紙は、米国デュポン社より“タイベック”の商品名で販売されている。
本発明においてこれら繊維補強不織布シートの坪量は60〜200g/m2 の範囲である。
【0011】
延伸樹脂フィルム(B)
インクジェット記録用紙の印字機への供給、印字機からの排出を容易にする機能を備える延伸樹脂フィルムとしては、耐水性であって、クラーク剛度(JISP−8116;S値)が縦方向、横方向ともに8〜300の範囲であり、肉厚が20〜300μmの範囲のものが使用される。
クラーク剛度が8未満であると、腰強度が弱く、記録用紙のインクジェット印字機への供給や印字機からの排出等の取り扱いが困難となる。又、保管時、記録用紙にしわが付き易い。クラーク剛度が300を越えては、記録用紙の保管が平板状で積み重ねて保管することに限られ、記録用紙をロール状に巻いて保管することが困難となる。
【0012】
かかる延伸樹脂フイルムとしては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂の延伸樹脂フイルム、フイルム内部に微細なボイドを有する延伸樹脂フイルムよりなる微多孔性の合成紙であって、その不透明度(JIS P−8138)が85%以上、好ましくは90%以上で、次式(1)で算出される空孔率が10〜60%、好ましくは15〜45%、肉厚が20〜300μm、好ましくは50〜150μmの微多孔性合成紙が挙げられる。
【0013】
【式1】
【0014】
かかる微多孔性の合成紙としては、例えば次の▲1▼〜▲3▼のものが挙げられる。
▲1▼ 無機又は有機充填剤を8〜65重量%の割合で含有する微多孔を有する熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルム(特公昭54−31032号公報、米国特許第3775521号明細書、米国特許第4191719号明細書、米国特許第4377616号明細書、米国特許第4560614号明細書等)。
▲2▼ 二軸延伸熱可塑性フィルムを基材層とし、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムを紙状層とする合成紙(特公昭46−40794号公報、特開昭57−149363号公報、同57−181829号公報等)。
【0015】
この合成紙は、2層構造であっても、基材層の表裏面に一軸延伸フィルムの紙状層が存在する3層構造(特公昭46−40794号公報)であっても、紙状層と基材層間に他の樹脂フィルム層が存在する3層〜7層の合成紙(特公昭50−29738号公報、特開昭57−149363号公報、同56−126155号公報、同57−181829号公報)であっても、裏面がプロビレン・エチレン共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(Na、Li、Zn、K)、塩素化ポリエチレン等の基材層樹脂よりも低融点の樹脂よりなるヒ−トシ−ル層を有する3層以上の合成紙であってもよい(特公平3−13973号公報)。
【0016】
3層構造の合成紙の製造方法は、例えば、無機微細粉末を0〜30重量%、好ましくは8〜25重量%含有する熱可塑性樹脂フィルムを、該樹脂の融点より低い温度で一方向に延伸して得られる一軸方向に配向したフィルムの両面に、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の溶融フィルムを積層し、次いで前記方向と直角の方向にこの積層フィルムを延伸するものであり、それにより得られる合成紙は紙状層が一軸方向に配向し、微細な空隙を多数有するフィルムであり、基材層は二軸方向に配向した積層構造物である。
【0017】
▲3▼ 上記▲2▼の合成紙の紙状層側に、更に、無機微細粉末を含有しない肉厚0.1〜20μmの透明な熱可塑性樹脂ラミネ−ト層が設けられた構造の高い光沢の印刷が可能な合成紙(特公平4−60437号公報、同1−60411号公報、特開昭61−3748号公報)、例えば、熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを基材層とし、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムよりなる表面層と裏面層を有する複層フィルムを支持体とし、この支持体の表面層側に無機微細粉末を含有しない熱可塑性樹脂の透明フィルム層を設け、更に帯電防止機能を有するプライマ−塗布層が設けられた合成紙(特開昭61−3748号公報)、あるいは、熱可塑性樹脂フィルムの二軸延伸フィルムを基材層とし、この基材層の少なくとも片面に、無機微細粉末を8〜65重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムよりなる紙状層と、熱可塑性樹脂フィルムの一軸延伸フィルムよりなる表面層とのラミネ−ト物が備えられている合成紙であって、前記表面層の肉厚(t)は、紙状層に存在する無機微細粉末の平均粒径を(R)としたとき、次式(2)を満足することを特徴とする複層樹脂フィルムよりなる合成紙である(特公平1−60411号公報)。
【0018】
【数1】
R≧t≧1/10×R ・・・ (2)
この複層構造の合成紙▲3▼も、▲2▼の合成紙と同じくヒ−トシ−ル層が裏面に設けられたものであっても良い。
合成紙の素材となる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、また、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレ−ト、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分加水分解物、エチレン−アクリル酸共重合体およびその塩、塩化ビニリデン共重合体たとえば塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、その他、およびこれらの混合物を例示することができる。これらの中でも耐水性、耐薬品性の面からポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。また、基材層にポリプロピレンを用いる場合は、延伸性を良好とするためポリエチレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリプロピレンよりも融点が低い熱可塑性樹脂を3〜25重量%配合するのがよい。
【0019】
また、無機微細粉末としては炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等、粒径が0.03〜16ミクロンのものが使用される。延伸倍率は縦、横方向とも4〜10倍が好ましく、延伸温度は樹脂がホモポリプロピレン(融点164〜167℃)のときは150〜162℃、高密度ポリエチレン(融点121〜124℃)のときは110〜120℃、ポリエチレンテレフタレ−ト(融点246〜252℃)のときは104〜115℃である。また、延伸速度は50〜350m/分である。
【0020】
合成紙の空孔率が10%未満では、支持体の軽量化が乏しく、逆に空孔率が60%を越えては、合成紙の強度(引張強度、曲げ強度)が低くなり、実用的ではない。
合成紙の肉厚は、20〜300μmの範囲であり、20μm未満では微多孔性の合成紙を製造することが困難であり、300μmを越えては合成紙の市場への供給がA3、菊判サイズ等のシート状に裁断し、これを梱包して輸送するものに限られ、巻きロールとしての供給が困難となる。
【0021】
接着剤
接着剤としては液状のアンカ−コ−ト剤、例えばポリウレタン系アンカ−コ−ト剤としては東洋モ−トン(株)のEL−150(商品名)またはBLS−2080AとBLS−2080Bの混合物が、ポリエステル系アンカ−コ−ト剤としては、同社のAD−503(商品名)が挙げられる。アンカ−コ−ト剤は坪量が0.5〜25g/m2 となるように塗布される。
また、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(いわゆるサ−リン)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のホツトメルト接着剤は、延伸樹脂フィルム製造時の延伸温度より低い融点を有する熱可塑性樹脂を用いる必要があり、前記延伸温度より高い温度で該ホツトメルト接着剤を用いると延伸樹脂フィルムが収縮してしまうことがある。
【0022】
前記アンカーコート剤で接着する場合は、不織布シート(A)または延伸樹脂フィルム(B)のいずれかの面にアンカーコート剤を塗布し、ロ−ルで加圧接着すればよく、ホツトメルト接着剤を用いる場合は、不織布シート(A)または延伸樹脂フィルム(B)上にダイより溶融フィルム状に押し出し、ラミネ−トし、ついで他方の不織布シートもしくは延伸樹脂フィルムを圧着ロ−ルで接着させてよく、また、不織布シ−ト製造時の加熱、加圧する短繊維を絡み合わせた不織布状物に溶融した接着剤フィルムをラミネ−トし、これに延伸樹脂フィルムを積層し、ロ−ルで圧着して接着してもよい。
【0023】
隠蔽層
延伸樹脂フィルム(B)の不透明度が不足する場合には、延伸樹脂フィルム(B)の片面または両面にオフセットまたはグラビア印刷により厚さ1〜5μmの黒色ベタ印刷を行うことによって隠蔽層(D)を形成するか、不織布シート(A)と延伸樹脂フィルム(B)とを接着剤(アンカーコート剤)を用いて貼合する際、接着剤の中に、酸化チタンホイスカー、酸化チタン微細粒子等の白色充填剤を多量(5〜75重量%)に含有させ、該接着剤を2〜10g/m2 塗布することにより得られる支持体の不透明度(JIS P−8138)を100%とすることにより、印字が反対面から透けて見えることを防止することができる。
【0024】
インク受理層(C)
インク受理層(C)は、ピグメントを主成分とし、これに水系接着剤、インクセット剤を含有させたものであり、好ましくは、固型分量で無機質のピグメントを50〜88重量%、水系接着剤を10〜40重量%、インクセット剤を2〜20重量%の割合で含有するものが用いられる。
ピグメントとしては合成シリカ、アルミナヒドロゾル、タルク、炭酸カルシウム、クレイ等が挙げられるが、中でも多孔質の合成シリカ、アルミナヒドロゾルが好ましい。
【0025】
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール、シラノール基を含むエチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、メチルエチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、でんぷん等が挙げられる。中でもピグメントが多孔質の合成シリカ、アルミナゾルである場合はポリビニルアルコール、シラノール基を含むエチレン・ビニルアルコール共重合体が好ましい。
【0026】
インクセット剤としては、ポリエチレンイミンの4級アンモニウム塩、4級アンモニウム基を共重合成分として含むアクリル共重合体、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等が挙げられる。
支持体へのインク受理層の形成は、上記成分を含有する塗工剤を支持体の延伸樹脂フィルム層(B)側に5〜50g/m2 、好ましくは10〜30g/m2 (固型分量)の割合で塗布し、乾燥させることにより得られる。
必要により乾燥した塗工層の表面にスーパーカレンダー処理を行って塗工層(インク受理層)を平滑にする。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
延伸樹脂フィルムの製造例
(例 1)
(1)メルトフロ−レ−ト(MFR)1.0g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%を混合した組成物(a)を270℃の温度に設定した押出機にて混練させた後、シ−ト状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シ−トを得た。
そして、このシ−トを150℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向5.5倍の延伸を行って5.5倍縦延伸フィルムを得た。
【0028】
(2)MFRが4.2g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)54重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム46重量%とを混合した組成物(b)を別の押出機にて210℃で混練させた後、これをダイによりシ−ト状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5.5倍縦延伸フィルムの両面に積層し、三層構造の積層フィルムを得た。次いで、この三層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び約155℃の温度にまで加熱してテンタ−を用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニ−リング処理し、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして三層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚110μm(b/a/b=25μm/60μm/25μm)の積層フィルムで、不透明度94.2%、空孔率32%、密度0.79g/cm3 、クラーク剛度(S値)が縦方向29.7、横方向71.9の延伸樹脂フィルムを得た。
【0029】
(例 2)
(1)メルトフロ−レ−ト(MFR)0.8g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%を混合した組成物(a)を270℃の温度に設定した押出機にて混練させた後、シ−ト状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シ−トを得た。そして、このシ−トを140℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦延伸フィルムを得た。
(2)MFRが4.0g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)54重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム46重量%とを混合した組成物(b)を別の押出機にて混練させた後、これをダイによりシ−ト状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムの両面に積層し、三層構造の積層フィルムを得た。
【0030】
次いで、この三層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び約160℃の温度にまで加熱して、テンタ−を用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニ−リング処理して、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして、密度が0.77g/cm3 、不透明度95%、破裂強さ8kg/cm2 の三層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚130μm(b/a/b=30μm/70μm/30μm)、クラーク剛度(縦方向)51、クラーク剛度(横方向)108の延伸樹脂フィルムを得た。また、各層の空孔率は(b/a/b=30%/33.7%/30%)であった。
【0031】
(例 3)
(1)メルトフロ−レ−ト(MFR)4.0g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)55重量%に、高密度ポリエチレン25重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム20重量%を混合した組成物を270℃の温度に設定した押出機にて混練させた後、シ−ト状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シ−トを得た。
(2)そして、このシ−トを150℃の温度にまで再度加熱させた後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦延伸フィルムを得た。
【0032】
次いで、このフィルムを再び155℃の温度にまで加熱して、テンタ−を用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニ−リング処理して、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして密度が0.88g/cm3 、不透明度86%、クラーク剛度(縦方向)8、横方向9の肉厚45μm、空孔率37%の二軸延伸フィルムよりなる微多孔性延伸樹脂フィルムを得た。
これら例1〜例3まで得た微多孔性延伸フイルムの表裏面をコロナ放電処理した後、塗布剤水溶液を両表面に固型分で片面0.05g/m2 となるよう両面に塗布、乾燥して、巻取った。塗布剤水溶液の組成は、下記の通りであった。
【0033】
〔不織布シート〕
帝人(株)の不織布シート“スパンボンド#ユニセル”(商品名)の物性を表1に示す。
併せて、デュポン社の不織布合成紙“タイベック”(商品名)の物性を同表に示す。
【0034】
(実施例1)
例1で得た複層延伸樹脂フィルムの片面に東洋モ−トン(株)のポリウレタン系アンカ−コ−ト剤「BLS−2080A」と「BLS−2080B」の混合物85重量部に、酸化チタン15重量部を混合した接着剤を4g/m2 (固型分の割合)で塗布し、ついで帝人(株)の不織布シート“スパンボンド#ユニセル”を圧着ロ−ルを用いて貼着し、不織布シート/隠蔽層/延伸樹脂フィルムからなる支持体を得た。このものの物性を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
この支持体の延伸樹脂フィルム側に、次の組成のインク受理層用塗工剤を固型分含量が30g/m2 となるように塗布し、乾燥した後、スーパーカレンダーで平滑処理を行ってインクジェット記録用紙を得た。
塗工剤組成:
合成シリカ粉末 100重量部
ポリビニルアルコール 30重量部
ポリエチレンイミン第4級アンモニウム塩 10重量部
ポリアクリル酸ソーダ 5重量部
水 1600重量部
【0037】
(比較例1)
例2で得た合成紙を支持体として単独で用いる他は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た(不透明度100%)。
(実施例2)
例3で得た合成紙の裏面に、墨濃度が1.65となるように黒べたオフセット印刷(厚さ2μm)を施し、これとデュポン社製繊維補強シート“ダイベック”とを、ポリウレタン系アンカーコート(2g/m2 )で接着して、不織布シート/接着剤/べた印刷/合成紙の肉厚245μmの支持体を得た。
この支持体の合成紙側に、次の組成の塗工剤を20g/m2 の量塗布し、乾燥させ、スーパーカレンダー平滑処理を施し、インクジェット記録用紙を得た。
【0038】
以上の組成を固型分濃度が12重量%となるように水で希釈、混合したもの。
【0039】
実施例3
実施例1において、不織布シートとして帝人(株)のユニセルBT−08U7W(商品名;坪量40g/m2 、厚さ0.15mm)を用いる他は同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
評価
キャノン(株)のインクジェットプリンターを用い、インクジェット記録用紙のインク受理層上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー印字を施し、インクの乾燥するまでの時間を調べた。
【0040】
ついで、いずれの色も発色が十分であることを確認した後、印字された記録用紙の一部に、ニチバン(株)製粘着テープ「セロテープ」(商品名)を印字面上に強く接着させ、次いで接着面に沿ってすばやく粘着テープを剥離し、紙面上のインクの残留程度を目視判定した。
【0041】
一方、印字された記録用紙を5分間流水中に浸した後、乾燥して画像の残存の程度と、記録用紙のしわの発生状況を調べたところ、いずれも残存画像良好、しわの発生なしであった。
これら印字された記録用紙の片隅にVノッチをナイフで切り込み、これを両手で軽く引き裂こうとしたときの裂けの有無を調べた。
また、印字された記録用紙(縦2,000mm、横1,000mm)をロール状に巻き、これを23℃、相対湿度55%の恒温室に1週間保管後、巻き戻し、平坦板上に置いたときのカールの有無を調べた。
【0042】
結果を表2に示す。
【表2】
【0043】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用紙は表面が強固で、インク吸収性、発色の鮮やかさのいずれも優秀なものであると同時に、用紙と画像の耐水性を持ち、かつ、抗引裂性に優れた従来の記録紙の欠点を解消した高解像度、高速、汎用のインクジェット・カラー・プリント・システムを可能ならしめるものである。
又、印字物はカールの問題がないので、ロール巻きし、これを巻き戻して壁に貼合したり、旗として棹に固定するとき、従来品のようなカールを小さくする作業をすることなく直ちに貼合、固定できる利点を有する。
Claims (3)
- 水性インクを用いて記録画像を形成するインクジェット記録用紙において、該記録用紙が、(A)短繊維を絡み合せた不織布状物を加熱加圧して得た坪量が12〜80g/m2 の不織布シート、または該不織布状物に熱可塑性樹脂粉末を散布および/または熱可塑性樹脂シートを積層し、次いでこれを加熱加圧一体化した坪量が60〜200g/m2 の繊維補強不織布シートを裏面層とし、この不織布シートの表面に接着剤を用いて、クラーク剛度(S値)が縦方向8〜300、横方向8〜300であり、肉厚20〜300μmの耐水性の延伸樹脂フイルム(B)を貼合して積層構造の支持体とし、この支持体の延伸樹脂フイルム層(B)側にピグメントを主成分とするインク受理層(C)を設けてなるインクジェット記録用紙。
- インク受理層(C)が、固型分量でピグメント50〜88重量%、水系接着剤10〜40重量%およびインクセット剤2〜20重量%の割合で含有するものであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- 延伸樹脂フィルム層(B)が、無機微細粉末を8〜30重量%含有する二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを基材層とし、無機微細粉末を8〜65重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムを紙状層とする複層合成紙であり、支持体は、(A)のシートの不織布状物側と、(B)の複層合成紙の紙状層側がそれぞれ表面層を形成するように貼着された構造となっていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
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