JP3689494B2 - 経皮吸収用製剤用の基剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬効成分の経皮吸収性を向上させる経皮吸収用製剤用の基剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下MPCと略す)等のリン脂質類似構造を持ち、かつ重合性官能性基を有する単量体は重合反応性に優れ、単独重合では生体親和性を有する親水性重合体を生成する。近年、MPC等の単独重合体や共重合体が、抗血栓性、抗タンパク付着性、生体親和性等の機能を示すことが明らかとなっており、各種医用医療材料、コンタクトレンズ、眼内レンズ、化粧品保湿剤等への用途が展開されつつある。またMPCは各種コモノマーとの共重合も容易なため、適度な疎水ユニットを導入したり、様々な機能をもたせることができることが知られている(特公昭60−21599号公報、及び特開平3−39309号公報)。
【0003】
ところで、医療分野における薬効成分の投与方法としては、従来から経口投与、皮下、筋肉内、静脈内への注射による投与、経皮投与、直腸や口腔内の粘膜への投与等が行われているが、これらの中でも最も簡便な経口投与が一般的に行なわれている。しかしながら、薬効成分を経口投与した場合には、薬効成分は短期間に大量に吸収されるために血中濃度のコントロールが難しく、また吸収された薬効成分が初回循環時に肝臓での代謝によりその効力を失うことがあり、さらに刺激性の薬効成分の場合はその投与により胃腸障害等の副作用を惹起しやすい等の多くの欠点がある。
【0004】
そこで近年これらの経口投与の欠点を回避するために、経皮投与のための外用製剤が開発されてきている。しかし従来皮膚外用製剤に常用されてきた基剤中に単に薬効成分を配合しただけでは十分な経皮吸収性は得られないので、経皮吸収性を改善するために、経皮吸収促進剤を含む皮膚外用製剤が検討されている。
【0005】
経皮吸収促進剤の作用メカニズムとしては(1)基剤中及び皮膚中の溶解度を高める作用、(2)皮膚の保湿・軟化作用、(3)角質層の高次構造をルーズにさせる作用、(4)角質層の細胞間脂質の流動性を増加させる作用、(5)上記作用の複合作用等が知られている。これらの作用のうち、どれが有効かは吸収させようとする薬剤の性状や皮膚との相互作用、吸収促進剤との相性等によって異なるが、いずれの場合においても薬剤の経皮吸収を促進させることにより、(1)有効性の向上、(2)皮膚外用製剤中の薬剤濃度を少量とすることが可能、(3)それによる可溶化剤・安定化剤量の削減可能、(4)使用時の感触(べたつき等)が良好、(5)組成のスリム化に伴う大幅なコストダウンが可能、等の商品価値の向上をもたらす効果が大いに期待できる。
【0006】
しかし現状において得られている皮膚外用製剤では、薬効成分の経皮吸収性が十分に得られない場合が多く、その効果を十分に得ているとは言いがたい。すなわち皮膚の表面は、皮膚角質層と呼ばれ、本来、体外からの異物の進入を防御したり、体外からの体液等の漏出を防いだりする障壁としての生理機能を有するため、薬効成分を、皮膚角質層を良好に通過させ、満足な前述の効果をもたらす経皮吸収促進剤は得られていない。
【0007】
かかる問題を改良するために、近年、各種の角質溶解性組成物、該角質溶解性組成物を成分とする経皮吸収促進剤が提案され、皮膚外用製剤の基剤に配合することが一般に行われてきている。このような基剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、N,Nージメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルデシルスルホキシド等が公知であるが、これらのものは経皮吸収促進効果、安全性、使用感等の面で十分なものとはいえない。
【0008】
また、これらの問題点に対して、特開昭63−77825号公報には、シネオール、ノニオン系界面活性剤、水及び薬剤の組み合わせにより安全性及び薬剤の皮膚透過性を高めることが開示されており、また特開昭63−208536号公報には、アニオン性界面活性剤以外で分子内に窒素原子を有する界面活性剤の一種以上を有効成分とする技術が開示され、さらに特開平5−148158号公報には経皮吸収の障壁は角質層ばかりでなく、生きた表皮細胞層も障壁であるという2段階の障壁機構を想定して、角質層にはN−ラウロイルサルコシン、生きた表皮細胞層にはβ−カロチン及び/又はアラントラクトンが有効であることを見出して、これにより前記問題を解決することが提案されている。しかしながらこれでも未だ十分な経皮吸収性は得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、薬効成分の十分な経皮吸収性を得ることができ、安全性の高い経皮吸収用製剤用の基剤を提供することにある。
0010
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、皮膚刺激性、毒性のない安全な合成の重合体である、ホスホリルコリン基を有する単量体の単独重合体が、極めて高い親水性を有することに注目し、上記問題点について鋭意検討した結果、これが皮膚になんら悪影響を及ぼすことなく角質層のバリアー能を低下させ、薬効成分の経皮吸収性を向上させる効果を有すること、及び経皮吸収用外用製剤用の基剤として優れた特性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明によれば、数平均分子量2,000〜5,000,000の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体からなる、薬効成分の経皮吸収性を向上させる経皮吸収用製剤用( 但し、化粧料用を除く )の基剤が提供される。
0012
【発明の実施の形態】
本発明の経皮吸収用製剤用の基剤は、数平均分子量2,000〜5,000,000のMPCの単独重合体からなる。
前記単独重合体の数平均分子量は、製造する際の重合温度、重合開始剤使用量、重合度調整剤の使用等によって様々なものとなるが、2,000〜5,000,000、好ましくは5,000〜1,000,000の範囲内である。数平均分子量が2000より小さいと真皮中に重合体が浸透する可能性があり、また、数平均分子量が5,000,000以上であると重合体の粘性が高くなりすぎて、取り扱いが困難となる。
0013
前記単独重合体は、MPCをラジカル重合等通常の方法で単独重合する方法によって容易に得ることができる。
0014
前記ラジカル重合を行なう際には、重合開始剤を添加することができる。重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレ−ト、t−ブチルペルオキシジイソブチレ−ト、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、サクシニルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。また、重合開始剤と共に、レドックス系のラジカル促進剤を併用してもよい。
0015
重合開始剤の使用量としては全単量体100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜5重量部である。
0016
前記重合を行なう際の重合条件は、好ましくは30〜80℃、特に好ましくは40〜70℃において10分〜72時間重合させるのが望ましい。この際、重合反応をより円滑に行なうために溶媒を用いてもよく、該溶媒としては、水、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ジメチルホルムアミド及びこれらの混合物等を挙げることができる。
0017
本発明の経皮吸収用外用製剤用の基剤は、各種の薬効成分を配合して使用することができる。前記薬効成分としては、具体的には例えば吉草酸ベタメタゾン、トリアムノシロンアセトアニリド、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルオシノニド、フルオシノロアセトニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン;インドメタシン、ジクロフェナク、イプフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、トラネキサム酸、フルフェナム酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、サリチル酸メチル、サリチル酸ナトリウム、臭化プロパンテリン;塩酸シプロヘプタジン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、トリペレナミン、プロメタジン;クロルプロマジン、ジアゼパム、レセルピン;インシュリン、テストステロン、メチルテストステロン、プロゲステロン、エストラジオール;アテノロール、塩酸アルプレノロール、塩酸ラベタロール、クロニジン、酒石酸メトプロロール、α−メチルドパ、硫酸グアネチジン;ジギトキシン、ジコキシン、ジピリダモール;塩酸プロプラノロール、塩酸プロカインアミド、アジマリン、ピンドロール;硝酸イソソルビド、塩酸パパベリン、ニトログリセリン、四硝酸ペンタエリスリトール、ニフェジピン;塩酸プロカイン、リドカイン、ベンゾカイン、塩酸ジブカイン;バルビタール、チオペンタール、テオフィリン、フェノバルビタール、シクロバルビタール、ヨード;アスピリン、アセトアニリド、p−アミノ安息香酸エチル、アミノピリン、アルクロフェナック、アンチピリン、コデイン、酢酸ハロプレドン、スリンダク、ナプロキセン、フェノプロフェンカルシウム、モルヒネ;イソニアジド、塩酸クリンダマイシン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸リンコマイシン、エリスロマイシン、オキシテトラサイクリン、クロラミン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、セファレキシン、セフォキシチンナトリウム、テトラサイクリン、ぺニシリン、ホスホマイシンナトリウム;アムホテリシンB、塩化ベンザルコニウム、アセトフエニルアミン、グリセオフルビン、ニトロフラゾン、ペンタマイシン、ナフチオメート;5−フルオロウラシル、ブスルファン、アクチノマイシン,ブレオマイシン、マイトマイシン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン;ヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド;アトロピン、スコポラミン;ニトラゼパム、メプロバメート;スルファミン、スルファモノメトキシン、スルファメチゾール;アルブチン、コウジ酸、ヒドロキノン、チアベンダゾール、塩酸カルテオロール、マレイン酸チモロール、メシル酸ベタヒスチン;臭化ブチルスコポラミン等が挙けられるが、これらに特に限定されるものではなく、各種の、皮膚を通り全身に循環して作用を発現する薬物あるいは塗布面で局所的作用を発現する薬物を配合することができる。
0018
これらの薬効成分は、本発明の経皮吸収用外用製剤用の基剤に配合して皮膚に塗布することによって、速やかに皮膚に吸収させることができる。局所的作用の発現を目的とする薬物であれば、皮膚内に深く浸透して優れた効果を発揮し、全身に循環して作用を発現する薬物であれば、薬物が血中に移行し優れた効果を発揮することができる。なお、使用対象は人だけでなく、家畜、犬、猫等の温血動物等を含むことができる。薬効成分の配合量は、薬効を発揮するに十分な量であれば良く、薬効成分の種類、患者の体重、症状等によっても異なるが、一般には薬効成分1重量部に対して、前記単独重合体が1.25×10-5〜104重量部、より好ましくは、2×10-4〜5×102重量部となるよう配合するのが好ましい。
0019
本発明の経皮吸収用外用製剤用の基剤は、薬効成分を適宜配合してそのまま経皮投与のための皮膚外用製剤として用いてもよいが、さらに適宜薬理上許容される各種添加剤、例えば安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、香料、充填剤等を添加して使用してもよい。
0020
本発明の経皮吸収用外用製剤用の基剤を含む皮膚外用製剤の使用様式については特に制限はなく、使用感触や適用のしやすさ等を勘案して、従来外用剤として慣用されている剤型、例えば軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、乳剤、液剤、スプレー剤、パップ剤、テープ剤、パッチ剤等任意の剤型の皮膚外用製剤として使用することができる。
0021
本発明の経皮吸収用外用製剤用の基剤を含む経皮投与のための皮膚外用製剤の用途としては、特に限定されないが、例えば、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、中枢神経作用剤、ホルモン剤、抗高血圧症剤、強心剤、抗不整脈用剤、冠血管拡張剤、局所麻酔剤、催眠剤・鎮静剤、鎮痛剤、抗生物質、抗真菌剤、抗悪性腫瘍剤、利尿剤、副交感神経遮断剤、抗パーキンソン病剤、サルファ剤、さらにはビタミン類、プロスタグランジン類、美白剤及び抗痙攣剤等として使用することができる。
0022
【発明の効果】
本発明の経皮吸収用外用製剤用の基剤は、薬効成分の十分な経皮吸収性を得ることができるので、(1)皮膚外用製剤の有効性の向上、(2)皮膚外用製剤中の薬剤濃度を少量とすることが可能、(3)それによる可溶化剤・安定化剤量の削減可能、(4)使用時の感触(べたつき等)が良好、(5)組成のスリム化に伴う大幅なコストダウンが可能、等の効果を得ることができる。また本発明の皮膚外用基剤及び皮膚外用基剤成分は皮膚になんら悪影響を及ぼすことがない。
0023
【実施例】
次に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1;MPC単独重合体の合成
MPC(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)単量体20g(68mmol)とサクシニルペルオキシド0.6g(2.6mmol)をイオン交換水80gに溶解し、1時間窒素を吹き込みバブリングした。次いで、70℃まで昇温し5時間重合させて、重合体を19.5重量%含有する重合体粗水性溶液を得た。反応終了後、得られた重合体粗水性溶液を分割分子量6000〜8000の透析膜(スペクトラポア社製)に接触させ、透析液としてイオン交換水15リットルを使用し、24時間毎に2度透析液を交換し合計72時間透析を行った。
得られた重合体水溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、分子量及び不純物の測定を行った。得られた重合体は、数平均分子量は69000であった。この重合体水溶液中の不純物は、MPC単量体0.8ppm、サクシニルペルオキシド0.1ppm、開始剤分解物0.2ppmであり、重合体水溶液は無臭であった。また、得られた重合体水溶液中の重合体の含有割合は15.2重量%であり、重合体及び前記不純物の合計量に対する不純物量は7.2ppmであった。
この重合体水溶液をイオン交換水で所定の1.0重量%に調製し、後述する実施例1に示す試験を行った。
0024
合成例2;MPC−BMA共重合体Aの合成
MPC単量体10g(34mmol)とブチルメタクリレート(以下BMAと略す)10g(70mmol)と、t−ブチルペルオキシネオデカノエート0.06g(0.35mmol)とエタノール80gに溶解し、1時間窒素を吹き込みバブリングした後、60℃まで昇温し4時間重合させた。反応終了後、得られた重合体(以下、MPC−BMA共重合体Aと称す)溶液を1.5リットルのアセトン中に滴下し、得られた沈殿を水:エタノール=7:3(wt/wt)混合液に溶解してMPC−BMA共重合体Aの粗水性溶液を調製した。この溶液を分画分子量6000〜8000の透析膜(スペクトラポア社製)に接触させ、透析液として水:エタノール=7:3(wt/wt)混合液15リットルを使用し、24時間毎に2度透析液を交換し合計72時間透析を行った。透析終了後得られたMPC−BMA共重合体A水溶液を、合成例1と同様に分析したところ、MPC−BMA共重合体Aの数平均分子量は68000であり、水溶液中の不純物は、MPC単量体0.4ppm、BMA単量体1.3ppm、未反応開始剤0.3ppm、開始剤分解物1.3ppm、アセトン0.3ppmであり、この水溶液中のMPC−BMA共重合体A含量は22.3重量%であった。このMPC−BMA共重合体A水性溶液は無臭であった。
このMPC−BMA共重合体A水性溶液をイオン交換水で所定の1.0重量%に調製し、後述する実施例2に示す試験を行った。
0025
合成例3;MPC−BMA共重合体Bの合成
エタノールを40g、重合時間を22分とした他は合成例2と同様な条件で重合反応を行った。反応終了後、得られた重合体(以下、MPC−BMA共重合体Bと称す)溶液を1.5リットルのアセトン中に滴下し、得られた沈殿を水:エタノール=5:5(wt/wt)混合液に溶解してMPC−BMA共重合体B粗水性溶液を調製した。この溶液を分画分子量6000〜8000の透析膜(スペクトラポア社製)に接触させ、透析液として重量比7:3の水:エタノール混合液を使用し、7度透析液を交換し透析を行った。透析終了後得られたMPC−BMA共重合体B水性溶液を、合成例1と同様に分析したところ、MPC−BMA共重合体Bの数平均分子量は716000であり、この溶液中のMPC−BMA共重合体B含量は26.6重量%であった。MPC−BMA共重合体B溶液は無臭であった。
MPC−BMA共重合体B溶液の溶媒を留去し固体生成物を得た。MPC−BMA共重合体Bは合成例2のMPC−BMA共重合体Aと異なり水には不溶であった。
0026
実施例1
有効拡散面積(薬液接触面積)が0.785cm2であるフランツ型拡散セルに、7週齢のヘアレスラット(雄)より摘出し、脂肪を取り除いた腹部皮膚を装着した。ドナー溶液として1.0重量%の5−フルオロウラシルをpHリン酸緩衝液に溶解した溶液及び1.0重量%の合成例1のMPC単独重合体水溶液の混合液を、透過側溶液にはpH7.00のリン酸緩衝液を用いて、5−フルオロウラシルの透過テストを行い、透過した5−フルオロウラシル濃度を経時的にHPLCにより測定した。
またブランク(コントロール)としてMPC単独重合体水溶液を加えないドナー溶液を用い、同様な操作を行い、透過した5−フルオロウラシル濃度を経時的に測定した。20時間後の累積透過量について、ブランクに対する比を算出し、経皮吸収性比として、経皮吸収促進性を求めた。表1に結果を示す。
なお、透過した5−フルオロウラシル濃度の定量は以下のHPLC装置を用いた。
HPLC機種 ;島津製作所 LC−10
検出波長 ;UV 267nm
カラム ;TOSOH TSK−GEL、ODS−80TS、2.0×250mm
条件;カラム温度;40℃
移動相 ;アセトニトリル/水=1/99(0.1%リン酸、pH 2.15)
流速 ;0.3ml/min
0027
比較例1
実施例1と同様にして、1.0重量%の5−フルオロウラシルをpHリン酸緩衝液に溶解した溶液及び1.0重量%の合成例2のMPC−BMA共重合体A水溶液の混合液を用いて、20時間後の累積透過量のブランクに対する比を算出し、経皮吸収性比として、経皮吸収促進性を求めた。表1に結果を示す。
0028
比較例2
5−フルオロウラシル20mgを水;エタノール=1:1(wt/wt)混合溶媒20gに溶解し、メンブランフィルターを用いて濾過後、濾液に合成例3のMPC−BMA共重合体B5gを溶解させ、ガラスシャーレ上でキャスト製膜し乾燥した。
実施例1と同様の拡散セル及びヘアレスラットの腹部皮膚を用い、皮膚上部側にMPC−BMA共重合体Bのキャスト膜をはさみこみ、透過側溶液にはpH7.00のリン酸緩衝液を用いて、5−フルオロウラシルの透過テストを行い、透過した5−フルオロウラシル濃度を経時的にHPLCにより測定した。
またブランク(コントロール)として、同様にMPC−BMA共重合体Bの代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のホモポリマーについても、5−フルオロウラシルと混合してからキャスト製膜し、乾燥した。このHEMAの単独重合体膜を用い、同様な操作を行い、透過した5−フルオロウラシル濃度を経時的に測定した。20時間後の累積透過量について、ブランクに対する比を算出し、経皮吸収性比として、経皮吸収促進性を求めた。表1に結果を示す。
0029
比較例3
5−フルオロウラシルの代りにテオフィリンを用いた他は比較例1と同様に操作し、テオフィリンにおけるMPC−BMA共重合体Aの経皮吸収促進性を求めた。表1に結果を示す。
0030
比較例4
5−フルオロウラシルの代りにテオフィリンを用いた他は比較例2と同様に操作し、テオフィリンにおけるMPC−BMA共重合体Bの経皮吸収促進性を求めた。表1に結果を示す。
0031
【表1】
Figure 0003689494

Claims (1)

  1. 数平均分子量2,000〜5,000,000の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体からなる、薬効成分の経皮吸収性を向上させる経皮吸収用製剤用( 但し、化粧料用を除く )の基剤。
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