JP3688787B2 - 中通し竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、穂先竿、特に、内部を釣り糸が挿通可能な中通し竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
振出式の中通し竿は、手元竿と、手元竿の穂先側に連結される入れ子構造の中間竿や穂先竿等の複数の竿体からなる中子竿体ユニットとを有している。手元竿及び中子竿体ユニットは、竿体内部に釣り糸の内部経路を有しており、各竿体は、先端側がわずかに小径となるような緩やかなテーパがつけられている。また、手元竿には、内部経路と外部とを連通させて釣り糸を内部経路に導く糸導入口が設けられている。さらに中子竿体ユニットの先端の竿体(穂先竿)には、内部経路から釣り糸を外部に導出するトップガイドが設けられている。手元竿及び中子竿体ユニットの各竿体は、伸長状態(使用状態)で固定されるように連結されている。このような中通し竿では、リールに巻き付けられた釣り糸は糸導入口を通って竿体内部の内部経路に導入され、さらに竿体の穂先のトップガイドから外部に導かれる。
【0003】
この種の中通し竿において、糸導入口を通して内部経路に釣り糸を導入し、さらに、穂先のトップガイドから取り出すために糸通しが用いられる。この糸通しは、複数の素線によって形成されたワイヤと、ワイヤの後端に設けられた糸止め部と、ワイヤの前端に固定されたキャップとを有している。
このような糸通しを用いて釣り糸を中通し竿内部に通す場合には、まず、中子竿体ユニットを手元竿から引き出し、中子竿体ユニットの後端を手元竿の糸導入口近傍に配置し、中子竿体ユニットの内部経路後端を外部から目視できるようにする。次に、糸通しの糸止め部に釣り糸を係止し、先端を手元竿の糸導入口から内部経路に挿入する。そして、糸通しを穂先側に送っていき、糸通しの先端を穂先のトップガイドから外部に導出する。その後、糸通しの先端を外部に引っ張り、糸止め部に係止されている釣り糸をトップガイドから導出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の中通し竿では、糸通しを糸導入口から挿入する際に、中子竿体ユニットの後端を手元竿の糸導入口近傍に配置すると、中子竿体ユニットの後端が手元竿の内部でふらつくことがある。これは、各竿体に先細りのテーパがつけられ、各竿体を伸長した状態(使用状態)で各竿体が固く連結されるようになっているため、各竿体を縮めると各竿体間に僅かな隙間が生じるからである。中子竿体ユニットの後端がふらつくと、糸通しを内部経路にうまく挿入できず、釣り糸を内部経路に挿入しにくい。
【0005】
本発明の課題は、中通し竿において、糸通しを内部経路に挿入しやすくすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る中通し竿は、内部を釣り糸が挿通可能な竿であって、手元竿体と、中子竿体ユニットと、連結手段とを備えている。手元竿体は、釣り糸が挿通する内部経路と、リールが装着可能なリール取付部と、リール取付部の前方に形成されリール取付部に装着されるリールからの釣り糸を内部経路に導入する糸導入口とを有している。中子竿体ユニットは、内部経路を有し、手元竿体の穂先側に連結されかつ手元竿体の内部を軸方向に移動可能な1又は複数の竿体からなっている。連結手段は、手元竿体と中子竿体ユニットとを、少なくとも中子竿体ユニットの後部が糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で嵌合により連結する。また、連結手段は、中子竿体ユニットの竿元側端部に設けられ、手元竿体の内周に摺接可能である。
【0007】
ここでは、中子竿体ユニットの後端が糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で手元竿体と中子竿体ユニットとが嵌合により連結されるので、糸通しを中子竿体ユニットの内部経路に挿入する際に、中子竿体ユニットがふらつかず、糸通しを中子竿体ユニットの内部経路に簡単に挿入できる。
発明2に係る中通し竿は、発明1に記載の竿において、前記連結手段は、穂先側ユニットの竿元側端部に固定され、竿元側端部より僅かに大径でありかつ手元竿体の内周に摺接可能な弾性を有する環状部材を有している。この場合には、環状部材が手元竿体に摺接しているので、中子竿体ユニットの後端部が常に手元竿体に連結され、後端部がふらつきにくい。
【0008】
発明3に係る中通し竿は、発明2に記載の竿において、環状部材の竿元側端部に螺合され、外径が環状部材より小さいガイドリングと、ガイドリングの内周面に装着された硬質リングとをさらに備えている。この場合には、内部経路に案内された釣り糸が硬質リングに接触するので、釣り糸による磨耗が少なくなる。
発明4に係る中通し竿は、内部を釣り糸が挿通可能な中通し竿であって、手元竿体と、中子竿体ユニットと、連結手段とを備えている。手元竿体は、釣り糸が挿通する内部経路と、リールが装着可能なリール取付部と、リール取付部の前方に形成されリール取付部に装着されるリールからの釣り糸を内部経路に導入する糸導入口とを有している。中子竿体ユニットは、内部経路を有し、手元竿体の穂先側に連結されかつ手元竿体の内部を軸方向に移動可能な1又は複数の竿体からなっている。連結手段は、手元竿体と中子竿体ユニットとを、少なくとも中子竿体ユニットの後部が糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で嵌合により連結する。また、連結手段は、中子竿体ユニットの後部が糸導入口の穂先側に配置された状態で手元竿体の先端部内周に位置するように中子竿体ユニットの外面に配置され、外周面が手元竿体の内周面に接触可能な厚肉部と、厚肉部より穂先側に移動可能でありかつ径方向に伸縮自在であり、中子竿体の外周に嵌められた状態で外径が手元竿体の先端内径より大きい割りパイプとを有している。
【0009】
この場合には、厚肉部を手元竿体内の穂先端部に配置し、割りパイプをその厚肉部の穂先側に配置すると、中子竿体ユニットの後部が糸導入口の穂先側に配置されかつ厚肉部が手元竿体の内周面に接触して中子竿体ユニットの後部のふらつきが抑えられる。また、割りパイプがストッパとして機能し、中子竿体ユニットがそれ以上手元竿体内部に収納されなくなる。
【0010】
発明5に係る中通し竿は、発明4に記載の竿において、前記厚肉部がリング状に形成されている。この場合には、厚肉部の形成が容易である。
発明6に係る中通し竿は、内部を釣り糸が挿通可能な中通し竿であって、手元竿体と、中子竿体ユニットと、連結手段とを備えている。手元竿体は、釣り糸が挿通する内部経路と、リールが装着可能なリール取付部と、リール取付部の前方に形成されリール取付部に装着されるリールからの釣り糸を内部経路に導入する糸導入口とを有している。中子竿体ユニットは、内部経路を有し、手元竿体の穂先側に連結されかつ手元竿体の内部を軸方向に移動可能な1又は複数の竿体からなっている。連結手段は、手元竿体と中子竿体ユニットとを、少なくとも中子竿体ユニットの後部が糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で嵌合により連結する。また、連結手段は、手元竿体の糸導入口より竿先側の内面に嵌め込まれ、竿先側の内径が中子竿体ユニットの竿元側外径より大きく、竿元側の内径が中子竿体ユニットの竿元側外径より小さいテーパ面を内面に有し、周面の一部に軸方向に切り欠かれた切り欠き部を有する弾性リングを有している。
【0011】
この場合には、中子竿体ユニットを手元竿体内に収納して中子竿体ユニットの後端が弾性リングに当接すると、弾性リングを押圧してその外径を拡げて、中子竿体ユニットの後端部が糸導入口近傍で手元竿体に連結され、糸通しを容易に挿入できる。また、それよりさらに手元竿体内に収納した後、中子竿体ユニットを引き出すと、弾性リングにより手元竿体の内周面との隙間が塞がれるので、中子竿体ユニットと手元竿体との間で釣り糸が噛み込むことが少なくなる。
【0012】
発明7に係る中通し竿は、発明1から6のいずれかに記載の竿において、前記リール取付部と糸導入口との間に設けられ、糸導入口に釣り糸を案内する糸導入ガイドをさらに備えている。この場合には、糸通しを糸導入ガイドを通した後糸導入口から内部通路に挿入することで、糸通しを中子竿体ユニットの内部通路により挿入しやすくなる。
【0013】
発明8に係る中通し竿は、発明7に記載の竿において、前記糸導入ガイドは、糸導入口を挟んで両端形成され手元竿体の外周面に固定される前後の固定部と、前後の固定部を連結するとともにリールからの釣り糸が挿通可能でこの釣り糸を糸導入口に案内するためのガイド部を有する連結部とを有している。
ここでは、前後2か所で糸導入ガイドが手元竿体に固定されるので強度上安定している。しかも、前後の固定部を連結する連結部にガイド部が形成されているので、連結部が他の部材に衝突してもガイド部が折れ曲がったりすることが少ない。
【0014】
発明9に係る中通し竿は、発明8に記載の中通し竿において、前記連結部は前記固定部と一体で形成されているので、製造が容易になる。
発明10に係る中通し竿は、発明8又は9に記載の竿において、前記連結部は糸導入口の上方で外方に湾曲するアーチ状に形成され、前記ガイド部はリール側の傾斜部分に形成されている。ここでは、連結部がアーチ状に形成されているので、連結部を滑らかに突出することとなり、連結部の強度が高くなりかつ釣り糸のひっかかりも少なくなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
図1に示す本発明の一実施形態による中通し竿は、筒状の手元竿体1と、手元竿体1の穂先側に振出形式で連結された複数の筒状の竿体からなる中子竿体ユニット2とを有している。手元竿体1及び中子竿体ユニット2の各竿体は、穂先側が手元側に比べて僅かに小径となるようなテーパがついた円筒部材である。手元竿体1の前端部には糸導入口1aが形成されており、この糸導入口1aから竿体内部に導入された釣り糸は、竿体の内部経路20(図3)を通って中子竿体ユニット2の穂先竿体(図示せず)の先端のトップガイドから導出される。手元竿体1の手元側にはスピニングリール3が装着可能なリール取付部5が設けられており、また手元竿体1の前端には糸導入ガイド4が装着されている。なお、中子竿体ユニット2は、手元竿体1に収納可能である。
【0016】
図2に示すように、糸導入ガイド4は、パイプ材の軸方向中間部を切り欠くとともに切り欠かれた部分を外方に湾曲させて形成したものであり、筒状の前固定部10および後固定部11と、前後の固定部10,11を連結する連結部12とを有している。連結部12は、前後の固定部10,11から滑らかに外方に湾曲するアーチ状に形成されている。また、軸方向中間部はその前後の部分に比べて徐々に幅が狭くなっている。
【0017】
糸導入ガイド4は、糸導入口1aの上方にアーチ状連結部12の前方側傾斜部が位置するように手元竿体1に固定されている。そして、アーチ状連結部12のリール側(後方側)傾斜部にガイド部15が設けられている。ガイド部15は、連結部12に形成された貫通孔16と、貫通孔16の開口縁部に装着されたセラミック等からなる硬質リング17aとを有している。なお、糸導入口1aの縁にも硬質リング17bが嵌め込まれている。
【0018】
この糸導入ガイド4では、パイプ材を用いて前後の固定部10,11及び連結部12を一体で形成でき、製造が容易である。また、製造工程も簡略化される。また、前後の固定部10,11によって竿に支持されるので、連結部12が他の部材に衝突しても従来のように糸導入ガイド4が折れ曲がったりしにくい。さらに、連結部12がアーチ状に形成され、前後の固定部10,11に滑らかに連続しているので、リール3から繰り出された釣り糸がふけた場合でも、連結部12等にふけた釣り糸が絡むことがすくない。また、糸導入口1aが見やすいように糸導入ガイド4が構成されているので、糸通しを中子竿体ユニット2の後端に挿入する際に作業がしやすい。
【0019】
手元竿体1及び中子竿体ユニット2の内部には、図3に示すように、釣り糸が挿通する内部経路20が形成されている。中子竿体ユニット2のうち直接手元竿体1に収納される中間竿体2aおよびそれより先端の竿体(図示せず)の内部経路20には螺旋状突起で構成された釣り糸支持部21が形成されている。この釣り糸支持部21は、釣り糸と内部経路20との摩擦抵抗を減少し、釣り糸をスムーズに出し入れするために設けられている。
【0020】
中間竿体2aの竿尻側は、穂先側より厚肉の大径部2bとなっている。大径部2bは、図4に示すように、中間竿体2aが伸長状態(使用状態)のとき、手元竿体1の先端よりわずかに穂先側に出ている。中間竿体2aの竿尻端部(後側)には、プラスチック等の弾性体からなる環状部材25が装着されている。環状部材25は鍔付円筒形状の部材であり、手元竿体1と中間竿体2aとを糸通し位置(中間竿体2aの竿尻が糸導入口1aの竿先側に配置される位置)で固く連結する連結手段である。環状部材25は円筒部25aが中間竿体2aの竿尻側内周面に形成された段部2cに圧入又は接着により固定されている。環状部材25の鍔部25bの外径は、中間竿体2aの外径より僅かに大きくかつ手元竿体1の内周面に摺接可能な寸法である。このような環状部材25を中間竿体2aに設けることで、糸導入口1aの近傍で手元竿体1と中間竿体2aとを嵌合により連結でき、中間竿体2aの後端がふらつきにくくなり、内部経路20に糸通し30を簡単に挿入できる。
【0021】
環状部材25の竿尻側にはガイドリング26がねじ込まれている。ガイドリング26の外径は環状部材25より僅かに小さい。ガイドリング26は、後端内面に形成されたテーパ面26aと、テーパ面26aに連なる段部26bとを有している。この段部26bには、セラミック等からなる硬質リング27が嵌め込まれている。硬質リング27の内径は、内部経路20の釣り糸支持部21の内径より小さくなっている。
【0022】
このように構成された釣り竿では、釣り糸を竿体内部に挿入する場合には、糸通し30を用いる。糸通し30は、複数の素線によって形成されたワイヤ31と、ワイヤ31の後端に設けられた糸止め部32と、ワイヤ31の前端に固定されたキャップ33とを有している。
糸通し30を用いて釣り糸を内部に挿入する際には、中子竿体ユニット2を手元竿体1から引き出し、中間竿体2aの後端を糸導入口1aの近傍の糸通し位置(図3)に配置する。この結果、中間竿体2aに形成された内部経路20の後端に嵌め込まれた硬質リング27を外部から目視できるようになる。次に、糸通し30の糸止め部32に釣り糸を係止し、先端を糸導入ガイド4の硬質リング17aを通し、さらに手元竿体1の糸導入口1aから硬質リング27に挿入する。そして、糸通し30を穂先側に送っていき、糸通し30の先端を穂先のトップガイドから外部に導出する。その後、糸通し30の先端を外部に引っ張り、糸止め部32に係止されている釣り糸をトップガイドから導出する。
【0023】
この糸通し30挿入時に硬質リング27が嵌め込まれた中間竿体2aは、環状部材25により手元竿体1に嵌合により固く連結されているので、内部経路20の後端にある硬質リング27がふらつきにくくなり、糸通し30の内部経路20への挿入を容易に行える。
そして、中通し竿を使用状態に延ばした場合でもトップガイドから出るように釣り糸を十分な長さ外部に引き出すと、糸通し30から釣り糸を外して釣り糸の先端に釣り方に合わせた仕掛けを装着するとともに、中子竿体ユニット2の各竿体を引っ張って、釣り竿を図4に示す使用状態に伸長する。このとき、環状部材25が中間竿体2aに設けられており、かつ大径部2bが先細りの手元竿体1の先端内周面にきつく嵌合するので、この使用状態でも手元竿体1と中間竿体2aとは嵌合により固く連結される。
【0024】
〔実施形態2〕
図5に示すように、中間竿体2aの外周面に設けられたリング状の厚肉部40と、厚肉部40より穂先側を移動可能な弾性リング42とにより連結手段を構成してもよい。なお、以降の説明において実施形態1と同一機能の部材には同一の符号を付すものとする。
【0025】
この実施形態では、中間竿体ユニット2は、中間竿体2aと穂先竿体2dとから構成されている。これらの竿体2a,2dの後端面にはセラミック等からなる硬質リング27a,27bが装着されている。中間竿体2aの後端部には他の部分より厚肉の後端厚肉部43が形成されている。この後端厚肉部43の外径は、先細りテーパ状の手元竿体1の先端内径より少し大きい寸法である。これにより、中間竿体2aがの手元竿体1から抜けにくくなっている。穂先竿体2dは、図7に示すように、中間竿体2aの内部に収納されており、糸を導出するためのトップガイド2eを先端に有している。
【0026】
厚肉部40は、中間竿体2aの外周面において、中間竿体2aの後部が糸導入口1aの穂先側に配置された状態で手元竿体1の先端内周に配置される位置に形成されている。厚肉部40は、外径が手元竿体1の先端内周面に接触可能な寸法である。厚肉部40の断面は穂先側の傾斜がきつい波状である。このような形状に厚肉部40を形成したのは、弾性リング42が厚肉部40より竿元側に移動しないようにするためである。
【0027】
中間竿体2aの先端には厚肉部40と同一外径の先端厚肉部41が形成されている。先端厚肉部41は、中子竿体ユニット2を手元竿体1に収納した状態で手元竿体1の先端内周面に接触して中子竿体ユニット2のふらつきを防止するために設けられている。先端厚肉部41の竿先部には弾性リング42の抜け止めのための大径の鍔部44が形成されている。
【0028】
弾性リング42は、図6に示すように、円周の1か所に軸方向に切り欠きを入れた弾性体製であり、自然状態では、少なくとも中間竿体2aの外径より小さくなる部分を内周面に有するように成形されている。弾性リング42は、中間竿体2aの外周に嵌められた状態で外径が手元竿体1の先端内径より大きい寸法となる。このため、図5に実線で示すように厚肉部40の穂先側に配置されると、中間竿体2aがそれ以上手元竿体1に引き込まれないようにするためのストッパとして機能する。さらに、点線で示すように拡径されて先端厚肉部41の外周面に配置されると、中間竿体2aと手元竿体1との緩衝部材として機能する。
【0029】
糸導入ガイド4は、手元竿体1に取り付けられた脚部45と、脚部45の先端に装着された糸挿通部46とを有している。糸挿通部46には糸挿通孔47が形成されている。なお、糸導入ガイド4の糸挿通孔47及び糸導入口1aの縁には釣り糸を案内するセラミック等からなる硬質リング17a,17bが装着されている。
【0030】
このように構成された中通し竿では、糸通し時には、図5に示すように、中子竿体ユニット2を一端引き出した後、弾性リング42を厚肉部40の穂先側に配置する。そして、中子竿体ユニット2を弾性リング42が手元竿体1の先端に当接するまで、手元竿体1内に引き込む。すると、中子竿体ユニット2の後端が糸導入口1aの穂先側に配置される。この状態では、厚肉部40が手元竿体1に接触して手元竿体1と中子竿体ユニット2の中間竿体2aとが嵌合によって連結されるので、硬質リング27aがふらつかない。そして、硬質リング17a,17bに糸通し30を挿入し、さらに硬質リング27aに挿入して前述と同様にして糸通しを行う。
【0031】
また、竿を収納する際には、図7に示すように、弾性リング42を先端厚肉部41上の先端側に配置した後、中子竿体ユニット2を手元竿体1内に収納する。すると、先端厚肉部41が手元竿体1の先端内周に接触した状態になるので、収納状態で中子竿体ユニット2が手元竿体1の内部でふらつきにくい。
さらに、使用時に中子竿体ユニット2を手元竿体1から引き出すと、後端厚肉部43が手元竿体1の先端に接触し抜けない状態になるので、中間竿体2aと手元竿体1とが固く連結される。
【0032】
〔実施形態3〕
図8に示すように、手元竿体1にたとえばイソプレンゴム,シリコーンゴム等の合成ゴム製の弾性リング50を嵌め込むようにしてもよい。弾性リング50は内周面に竿先側に向けて広がるテーパ面51を有している。テーパ面51の竿先側の内径は中子竿体ユニット2の中間竿体2aの外径より大きく、竿元側の内径は中間竿体2aの外径より小さくなっており、中間竿体2aを挿入することで内径を拡大可能な寸法となっている。また、弾性リング50は、図9に示すように、周面の一部に軸方向に切り欠かれた切り欠き部52を有している。これにより、径の拡大をスムーズに行える。
【0033】
また、弾性リング50の通常の外径は、手元竿体1の内径より僅かに小さく、内径が拡大されると手元竿体1の内径より大きく膨らもうとする。また、弾性リング50は、中間竿体2aによって内径を拡げようとすると弾性によりそれに対する抗力が生じて縮まろうとする。この結果、中間竿体2aを弾性リング50内に挿入して拡げると、手元竿体1と中間竿体2aとが嵌合により連結される。
【0034】
他の構成は、前記実施形態2と同様にであり説明を省略する。
このように構成された中通し竿では、中間竿体2aの後端を、図8に示すように弾性リング50に接触させて弾性リング50を拡げることで、手元竿体1と中間竿体2aとを固く連結できる。また、図10に示すように、収納された状態から中子竿体ユニット2を引き出すとき、糸導入口1aの前側に弾性リング50が配置されているので、中子竿体ユニット2を延ばしたときに釣り糸が糸導入口1aより前方で隙間に噛み込むことがない。
【0035】
〔他の実施形態〕
振出式の中通し竿に代えて並継ぎ式の中通し竿にも本発明を適用できる。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る中通し竿では、中子竿体ユニットの後端が糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で手元竿体と中子竿体ユニットとが嵌合により連結されるので、糸通しを中子竿体ユニットの内部経路に挿入する際に、中子竿体ユニットがふらつかず、糸通しを中子竿体ユニットの内部経路に簡単に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による中通し竿の側面図。
【図2】その糸導入ガイドの斜視拡大図。
【図3】糸通し時の糸導入口近辺の断面部分図。
【図4】伸長時の断面部分図。
【図5】他の実施形態の図3に相当する図。
【図6】その弾性リングを示す断面図。
【図7】他の実施形態の収納時の断面図。
【図8】他の実施形態の図3に相当する図。
【図9】その弾性リングを示す断面図。
【図10】他の実施形態の収納時の断面図。
【符号の説明】
1 手元竿体
1a 糸導入口
2 中子竿体ユニット
2a 中間竿体
2d 穂先竿体
3 リール
4 糸導入ガイド
5 リール取付部
10,11 固定部
12 連結部
17a,27,27a 硬質リング
25 環状部材
26 ガイドリング
40 厚肉部
42,50 弾性リング
Claims (10)
- 内部を釣り糸が挿通可能な中通し竿であって、
釣り糸が挿通する内部経路と、リールが装着可能なリール取付部と、前記リール取付部の前方に形成され前記リール取付部に装着されるリールからの釣り糸を前記内部経路に導入する糸導入口とを有する手元竿体と、
前記内部経路を有し、前記手元竿体の穂先側に連結されかつ前記手元竿体の内部を軸方向に移動可能な1又は複数の竿体からなる中子竿体ユニットと、
前記手元竿体と前記中子竿体ユニットとを、少なくとも前記中子竿体ユニットの後部が前記糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で嵌合により連結する連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、前記中子竿体ユニットの竿元側端部に設けられ、前記手元竿体の内周に摺接可能である、
中通し竿。 - 前記連結手段は、
前記中子竿体ユニットの竿元側端部に固定され、前記竿元側端部より僅かに大径ありかつ前記手元竿体の内周に摺接可能な弾性を有する環状部材を有する、
請求項1に記載の中通し竿。 - 前記環状部材の竿元側端部に螺合され、外径が前記環状部材より小さいガイドリングと、前記ガイドリングの内周面に装着された硬質リングとをさらに備えた、
請求項2に記載の中通し竿。 - 内部を釣り糸が挿通可能な中通し竿であって、
釣り糸が挿通する内部経路と、リールが装着可能なリール取付部と、前記リール取付部の前方に形成され前記リール取付部に装着されるリールからの釣り糸を前記内部経路に導入する糸導入口とを有する手元竿体と、
前記内部経路を有し、前記手元竿体の穂先側に連結されかつ前記手元竿体の内部を軸方向に移動可能な1又は複数の竿体からなる中子竿体ユニットと、
前記手元竿体と前記中子竿体ユニットとを、少なくとも前記中子竿体ユニットの後部が前記糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で嵌合により連結する連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、
前記中子竿体ユニットの後部が前記糸導入口の穂先側に配置された状態で手元竿体の先端部内周に位置するように前記中子竿体ユニットの外面に配置され、外周面が前記手元竿体の内周面に接触可能な厚肉部と、
前記厚肉部より穂先側に移動可能でありかつ径方向に伸縮自在であり、前記中子竿体の外周に嵌められた状態で外径が前記手元竿体の先端内径より大きい割りパイプと、
を有している、
中通し竿。 - 前記厚肉部はリング状に形成されている、
請求項4に記載の中通し竿。 - 内部を釣り糸が挿通可能な中通し竿であって、
釣り糸が挿通する内部経路と、リールが装着可能なリール取付部と、前記リール取付部の前方に形成され前記リール取付部に装着されるリールからの釣り糸を前記内部経路に導入する糸導入口とを有する手元竿体と、
前記内部経路を有し、前記手元竿体の穂先側に連結されかつ前記手元竿体の内部を軸方 向に移動可能な1又は複数の竿体からなる中子竿体ユニットと、
前記手元竿体と前記中子竿体ユニットとを、少なくとも前記中子竿体ユニットの後部が前記糸導入口の穂先側近傍に位置する糸通し位置で嵌合により連結する連結手段と、
を備え、
前記連結手段は、
前記手元竿体の前記糸導入口より竿先側の内面に嵌め込まれ、竿先側の内径が前記中子竿体ユニットの竿元側外径より大きく、竿元側の内径が前記中子竿体ユニットの竿元側外径より小さいテーパ面を内面に有し、周面の一部に軸方向に切り欠かれた切り欠き部を有する弾性リングを有する、
中通し竿。 - 前記リール取付部と糸導入口との間に設けられ、前記糸導入口に釣り糸を案内する糸導入ガイドをさらに備えた、
請求項1から6のいずれかに記載の中通し竿。 - 前記糸導入ガイドは、
前記糸導入口を挟んで両端形成され、前記手元竿体の外周面に固定される前後の固定部と、
前記前後の固定部を連結するとともに、前記リールからの釣り糸が挿通可能でこの釣り糸を前記糸導入口に案内するためのガイド部を有する連結部と
を有している、
請求項7に記載の中通し竿。 - 前記連結部は前記固定部と一体で形成されている、
請求項8に記載の中通し竿。 - 前記連結部は前記糸導入口の上方で外方に湾曲するアーチ状に形成され、
前記ガイド部は前記リール側の傾斜部分に形成されている、
請求項8または9に記載の中通し竿。
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JP01986496A JP3688787B2 (ja) | 1996-02-06 | 1996-02-06 | 中通し竿 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3688787B2 (ja) |
-
1996
- 1996-02-06 JP JP01986496A patent/JP3688787B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH09205941A (ja) | 1997-08-12 |
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