JP3686459B2 - エポキシ化ブロック共重合体の脱水方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ化ブロック共重合体の脱水方法に関する。さらに詳しくは、エポキシ化ブロック共重合体の溶液をスチームストリッピングすることにより溶媒除去して得られたクラム状の重合体を、効率的に脱水する方法に関する。本発明で得られたエポキシ化ブロック共重合体は、ゴム状重合体または樹脂状重合体の、改質剤または改質助剤、接着剤、シーラントなどの用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビニル芳香族炭化水素化合物と共役ジエン化合物とからなるブロック共重合体は、常温で透明で加硫をしなくても加硫された天然ゴムあるいは合成ゴムと同様の弾性を有し、しかも高温で熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、各種改質剤や接着剤などの用途に広く利用されている。上記ブロック共重合体の性能をさらに向上させる目的で、本発明者らは、ブロック共重合体のジエンブロックに由来する不飽和結合をエポキシ化して得たエポキシ化ブロック共重合体を使用するという方法を、多数提案している。
【0003】
これらのエポキシ化ブロック共重合体の製造に際して、エポキシ化反応を有機溶剤中で実施し、生成した重合体は溶媒に均一に溶解しているか、またはスラリー状で得られるため、重合体と溶媒とを分離し、重合体を回収する工程が必要となる。重合体と溶媒とを分離する方法としては種々の方法があるが、その一つとして重合体溶液を熱水中に注入し、溶媒を水蒸気と共に蒸留し、重合体をクラム状で析出させる、いわゆるスチームストリッピング法が知られている(例えば、特公昭55−7457号公報、特公昭55−22489号公報、特公昭58−10411号公報などに記載などを参照)。これら提案の方法により得られたクラム状の重合体は、脱水・乾燥工程で水分が除去される。脱水・乾燥方法としては、例えば特開昭59−53504号公報、特開昭61−218614号公報などに記載の方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この脱水・乾燥方法においては、脱水工程における含水クラムの脱水装置として、ロール式脱水機、バンバリー式脱水機、スクリュー押出機式絞り脱水機などが一般に使用される。これらの脱水装置のうち、スクリュー押出機式絞り脱水機が、連続生産に好適であるので、広く使用されている。スクリュー押出機式絞り脱水機では、絞った水を装置外に排出するためのスリットが、シリンダーに付設されている。しかしながら、このような通常の装置を用いてエポキシ化ブロック共重合体の脱水を行うと、この共重合体は熱可塑性であるため、絞り部での発熱により可塑化し、本来水を排出するためのスリットから重合体が絞り出され、そのスリットを閉塞してしまい脱水不良をおこし、正常な脱水運転を長期にわたって行うことができなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、含水重合体の脱水装置としてスクリュー押出機式絞り脱水機を用いた重合体の脱水方法において、従来技術の上記欠点を解決すべく鋭意検討した結果、脱水用のスリットの間隙を特定の範囲にすることにより、上記欠点が解消できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明によれば、ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体またはその水添物を、エポキシ化することにより得られたエポキシ化ブロック共重合体の溶液を、スチームストリッピングすることにより溶媒を除去して得られたクラムをスクリュー押出機式絞り脱水機によって脱水するに際して、この脱水機の脱水用のスリット部におけるスリット間隙を0.06〜1.0mmの範囲にすることにより含水率20重量%以下の重合体を得るという脱水方法が提供される。
【0007】
以下に、本発明について詳細に記述する。
本発明でいうブロック共重合体とは、ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体をいう。また、ブロック共重合体の水添物とは、ブロック共重合体の重合体ブロックに存在する不飽和炭素結合を水添反応により部分的に水素化した重合体を指す。また、本発明でいうエポキシ化ブロック共重合体とは、ブロック共重合体またはその水添物の重合体ブロックに存在する不飽和炭素結合をエポキシ化した重合体をいう。
【0008】
ブロック共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素化合物の代表例としては、スチレン、αーメチルスチレンなどの種々のアルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ビニルナフタレン、アルキル置換ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンなど挙げられる。これらの中で、スチレンが好ましい。これらは1種でも、2種以上の混合物であってもよい。
【0009】
ブロック共重合体を構成する共役ジエン化合物の代表例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらの中で、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが安価であり、かつ、入手し易いので好適である。これらは1種でも、2種以上の混合物であってもよい。
【0010】
ブロック共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素化合物と共役ジエン化合物との共重合組成比は、好ましくは5/95〜70/30であり、さらに好ましくは10/90〜60/40である。本発明に使用できるブロック共重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000であり、さらに好ましくは10,000〜100,000である。低分子量では、ゴム状弾性体の性質が発現し難く、また高分子量では溶融し難くなるので好ましくない。ここで数平均分子量とは、GPC法によって測定した標準ポリスチレン換算分子量を意味する。
【0011】
ブロック共重合体の構造は特に限定されるものではないが、例えばA−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどで表される、ビニル芳香族炭化水素化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体であってもよい。また、分子自体の構造は、直鎖状、分岐状、放射状などのいずれの構造であってもよく、さらにこれらの任意の組合せであってもよい。ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素化合物は、均一に分布していても、またテーパー状に分布していてもよい。また、この共重合部分は、ビニル芳香族炭化水素化合物が均一に分布している部分および/またはテーパー状に分布している部分が、それぞれ複数個共存していてもよい。
【0012】
エポキシ化する前のブロック共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、どのような方法で製造されたものでもよい。例えば、特公昭40−23798号公報、特公昭47−3252号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭56−28925号公報などに記載されているように、リチウム触媒などを用いて不活性溶媒中で製造する方法が挙げられる。
【0013】
ブロック共重合体の水添物の製造方法は、特に限定されるものではなく、どのような方法で製造されたものでもよい。例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報などに記載されているように、ブロック共重合体を、不活性溶媒中で、水素化触媒の存在下に水素化する方法が挙げられる。水素化量は特に限定されるものではないが、引き続きエポキシ化反応を行なう際、エポキシ化剤と反応しうる不飽和炭素結合が水添物の分子内に残っている必要がある。ブロック共重合体またはその水添物を、適当な有機溶剤に溶解またはスラリー状にした後、エポキシ化する。エポキシ化剤によりエポキシ化される部位は、重合体ブロックに存在する不飽和結合である。
【0014】
エポキシ化するの際に使用される有機溶剤の代表例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの直鎖状および分岐状炭化水素類およびそれらのアルキル置換誘導体類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類、およびそれらのアルキル置換誘導体類、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、およびアルキル置換芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの中でも好ましいのは、ブロック共重合体またはその水添物の溶解性、およびその後の溶剤回収の容易性などから、シクロヘキサン、酢酸エチル、クロロホルム、トルエン、キシレン、ヘキサンなどである。
【0015】
また、エポキシ化反応を行う際に使用できるエポキシ化剤の代表例としては、過酢酸、過安息香酸、過ギ酸、トリフルオロ過酢酸などの有機過酸類、過酸化水素、過酸化水素と低分子の脂肪酸とを組み合わせたものなどが挙げられる。これらエポキシ化剤の中では、過酢酸が工業的に大量に製造されるため安価に入手でき、しかも安定度が比較的高いので好ましい。使用するエポキシ化剤の量は、特に限定されるものではなく、使用するエポキシ化剤の反応性、所望されるエポキシ化度、使用するブロック共重合体、またはその水添物中の不飽和炭素結合量などの条件により、任意に適当な量を選択することができる。エポキシ化反応を行う際には、必要に応じて、触媒を使用することもできる。
【0016】
エポキシ化反応を行う際の温度は、使用するエポキシ化剤、用いる溶剤、ブロック共重合体、またはその水添物の種類、量などにより異なり、特に限定されるものではない。例えば、過酢酸をエポキシ化剤として使用する場合の反応温度は、好ましくは0〜70℃の範囲で選ばれる。0℃以下では反応速度が遅く、70℃を越えると、生成したエポキシ基が開環したり、過酢酸の分解が進行したりして、いずれも好ましくない。過酢酸の安定性を向上するために、リン酸塩類をエポキシ化反応に際して反応系に添加してもよい。エポキシ化反応時間は、0.1〜72時間の範囲で選ぶことが生産性の観点から好ましい。エポキシ化反応終了後は、反応液を室温に下げ、エポキシ化反応の際に生成した酸類を、アルカリ水溶液で中和、または純水で洗浄除去する。
【0017】
上記のようにして得られたエポキシ化ブロック共重合体の溶液は、スチームストリッピング法により溶媒を除去することにより、重合体がクラム状で水中に分散したスラリーが得られる。このスチームストリッピング法における具体的な処理方法は、従来よく知られている方法によればよい。スチームストリッピングの際に、クラム化剤、場合により、クラム化剤に加えて分散助剤としての金属の水溶性塩を使用することもできる。
【0018】
クラム化剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられる。これら界面活性剤の添加量は、スチームストリッピングを行なう反応槽内の水に対して、好ましくは1〜20000ppm、さらに好ましくは5〜5000ppm、特に好ましくは10〜500ppmである。1ppmより少ないと、析出したクラムの分散性が低下し、20000ppmを越えると泡立ちが激しく、操作に支障をきたすため好ましくない。クラム化剤は、安定なクラムの分散性を維持できる範囲内で少ない方が好ましい。分散助剤として使用できる金属の水溶性塩の金属としては、Li、k、Na、Mg、Ca、Al、Znなどが挙げられる。
【0019】
次に、上記方法で得られた水分を含むエポキシ化ブロック共重合体のクラムを、脱水工程において脱水し、含水率を20重量%以下、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは2〜10重量%にする。本発明においては、この脱水工程で、1軸または2軸以上の多軸のスクリュー押出機式絞り脱水機を用いる。このような脱水機は、脱水効率および作業性の観点から他の脱水機よりも好ましい。この工程で脱水された重合体の含水率が20重量%を越えると、次の乾燥工程での乾燥が不十分となるため好ましくない。また、脱水工程において脱水された重合体の含水率を1重量%以下にするには、脱水処理時間が長くなりすぎたり、水絞り機による剪断力で重合体がゲル化したり、またはシャッ解したりするために、脱水工程における脱水後の重合体中の含水率は、一般に1〜20重量%にすることが好ましい。なお、スチームストリピング工程で得られるスラリー状のクラムを、あらかじめ回転式スクリーン、振動スクリーン、遠心脱水機などによって水切りし、含水率35〜60重量%にまで含水率を低下させ、その後絞り脱水機による脱水を行うことが好ましい。
【0020】
本発明方法においては、前記の脱水工程において、スクリュー押出機式絞り脱水機にて脱水するが、この際、脱水用のスリット部のスリット間隙を、0.06〜1mm、好ましくは0.07〜0.5mm、さらに好ましくは0.08〜0.3mmの範囲にすることである。スリット間隙が0.06mm未満の場合は、脱水効率が悪く、含水率20重量%以下の重合体が得られない。また、スリット間隙が1.0mmを超えると、スリット間隙からの重合体の漏れ出しが著しく、脱水効率が低下したり、重合体の損失が多くなったりするために好ましくない。脱水スリットの数、長さについては特に制限はないが、通常1〜3箇所、長さL/D=0.5〜5のものが一般的である。
【0021】
つぎに脱水された重合体は、乾燥装置により乾燥される。乾燥装置としては、スクリュー押出機型あるいはニーダー型乾燥機、エキスパンダー型乾燥機、熱風乾燥機等が使用できる。乾燥された重合体中の含水率は一般に1重量%未満、好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下である。特に好適な乾燥機は一軸または二軸などの多軸スクリューベント押出機型乾燥機であり、L/D=10〜40のものが使用できる。乾燥後の含水率が1重量%以上の場合には、重合体を成形するときに発泡したり、シルバーストリークなどが発生したりして、外観不良となり好ましくない。乾燥後の重合体は粒状、粉末状、ペレット状、ストランド状などのいかなる形態であってもよい。
【0022】
また、脱水機と乾燥機とを兼ね備えた装置を使用すると、脱水と乾燥とを同時に実施することができる。このような装置としては、脱水用のスリットを少なくとも1個、好ましくは2〜4個有する二軸以上のスクリューを備えたベント式多軸押出機が挙げられる。かかる構造のベント押出機としては、L/D=15〜50程度のものが好ましい。スクリューのかみ合い構造は、かみ合い、非かみ合い、いずれでも可能であり、また回転方向については同方向、異方向のいずれでもよい。このようなベント押出機のスクリュー回転数、シリンダー温度、ベント部の圧力は、押出能力、重合体の特性(粘度、熱安定性など)、製品の品質などを考慮して選定される。一般には、スクリュー回転数20〜500rpm、好ましくは30〜400rpm、シリンダー温度100〜300℃、好ましくは120〜250℃、ベント部の圧力は大気圧〜1torr、好ましくは500〜5torrの範囲から選択される。
【0023】
本発明方法で脱水されたエポキシ化ブロック共重合体(E)には、必要に応じて、各種添加剤、例えば老化防止剤、架橋剤、熱安定剤、紫外線吸収剤;シリカ、タルク、カ−ボンなどの無機物充填剤;可塑剤、オイルなどの軟化剤などを配合することができる。これら添加剤の添加時期は特に限定されるものではなく、エポキシ化ブロック共重合体を最終的に得る工程のどの段階であってもよい。例えば、スチームストリッピングを実施する前のエポキシ化ブロック共重合体の有機溶液またはスラリーに、耐熱安定剤などを添加することもできる。
【0024】
本発明方法で脱水されたエポキシ化ブロック共重合体(E)は、熱可塑性樹脂を目的物に成形する成形法、例えば射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法、回転成形法などによって、シート、フィルム、各種形状の射出成型品、中空成型品などの多様な製品、例えば家電製品、自動車部品、工業部品、家庭用品、玩具などの成形用素材として活用できるほか、各種熱可塑性樹脂の改質剤、粘着剤、接着剤の素材、アスファルト改質剤などの素材として有用である。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下の記載例において、「部」、「%」はいずれも重量基準を意味する。
【0026】
(実施例1)
攪拌機、温度計、ジャケットなどを装備した容量3リットルの反応器に、ポリスチレンーポリブタジエンーポリスチレン(SBS)のブロック共重合体(日本合成ゴム社製、商品名:TR−2000)300部と、酢酸エチル1500部とを仕込み、SBSを酢酸エチルに溶解した。反応器の内温を40℃に昇温し、攪拌下、過酢酸の30%酢酸エチル溶液169部を、3時間に亘って連続的に滴下し、40℃の温度でエポキシ化反応を行った。
エポキシ化反応終了後、反応器内温を常温に戻し、純水で洗浄し、エポキシ化ポリスチレンーポリブタジエンーポリスチレン重合体(「重合体イ」という)の酢酸エチル溶液を得た。この重合体の酢酸エチル溶液の濃度は、20%であった。この重合体溶液をスチームストリッピングするに当り、スチームストリッピング槽内の水に、非イオン性界面活性剤(旭電化社製、プルロニックF−108)を水に対して100ppm添加し、水温95℃でスチームストリッピングを行なった。重合体はクラム状で安定に分散し、重合体の相互付着や、重合体の反応器の器壁や攪拌翼へ付着は認められなかった。
【0027】
ついで、上記で得られた重合体の水分散スラリーを、回転式スクリーンによって水切りし、含水率40重量%の含水クラムを得た。この含水クラムを、スリット間隙0.1mmを2個所有する一軸スクリュー押出機式絞り脱水機に送り、脱水した重合体を得た。得られた重合体中の含水率は15重量%であった。その後、得られた重合体を二軸1段ベント押出機に供給し、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数200rpm、ベント圧力200torrの条件で溶融押出し、乾燥した。押出機先端に装着したダイスから、押出されたストランドをカッターで切断し、ペレット状(大きさ:直径2mm,長さ3mmの円柱形,以下も同様。)にした。乾燥後の重合体中の含水率は、400ppmであった。この実施例1の結果および、実施例2、比較例1〜2の結果を、併せて表−1に示す。
【0028】
(実施例2)
実施例1に記載の例において、一軸スクリュー押出機式絞り脱水機のスリット間隙を0.2mmに変更した外は、同例におけると同様の手順で重合体を脱水・乾燥操作を行った。
【0029】
(比較例1)
実施例1に記載の例において、一軸スクリュー押出機式絞り脱水機のスリット間隙を0.05mmに変更した外は、同例におけると同様の手順で重合体を脱水・乾燥操作を行った。
【0030】
(比較例2)
実施例1に記載の例において、一軸スクリュー押出機式絞り脱水機のスリット間隙を2mmに変更した外は、同例におけると同様の手順で重合体を脱水操作を行った。
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例3)
攪拌機、温度計、ジャケットなどを装備した容量10リットルの反応器に、ポリスチレンーポリブタジエンーポリスチレン(SBS)のブロック共重合体(実施例1のものと同種)300gと、シクロヘキサン3000gとを仕込み、SBSをシクロヘキサンに溶解した。水素化触媒として、ジーpートリルビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1ミリmol/リットル)40mlと、n−ブチルリチウム溶液(濃度5ミリmol/リットル)8mlとを0℃、2kg/cm2の水素圧条件下で混合したものを、前記の重合体溶液に添加し、水素分圧2.5kg/cm2で30分間反応させた。得られた部分水素化重合体溶液から減圧乾燥により溶剤を除去し重合体を取り出した(ブタジエンに由来する二重結合の水添率は50%であった)。この部分水添ブロック共重合体300部を、シクロヘキサン1500部に溶解し、これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液180部を連続的に滴下し、攪拌下40℃で3時間エポキシ化反応を行った。反応液を常温に戻し、反応液と等量の純水で3回洗浄し、エポキシ化部分水添ポリスチレンーポリイソプレンーポリスチレン共重合体(「重合体ロ」という)の溶液を得た。
この重合体溶液をスチームストリッピングするに当り、スチームストリッピング槽内の水に、非イオン性界面活性剤(花王社製、エマルゲンPP−290)を水に対して100ppm添加し、水温95℃でスチームストリッピングを行なった。重合体はクラム状で安定に分散し、重合体の相互付着、および重合体の反応器の器壁や攪拌翼へ付着は認められなかった。
【0033】
ついで、上記で得られた重合体の水分散スラリーを、回転式スクリーンによって水切りして、含水率40重量%の含水クラムを得た。この含水クラムを、脱水と乾燥が同時にできるスリット間隙0.1mmを有する2段スリット、2段ベント付きの二軸スクリュー押出機式絞り脱水機に送った。押出条件は、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数200rpm、第1ベントは常圧で、第2ベントは圧力200torr条件で押出し乾燥した。押出機で溶融混練し、ダイスから押出されたストランドをカッターでペレット状にした。乾燥後の重合体中の含水率は、200ppmであった。この実施例の結果および、以下の実施例4、比較例3〜比較例5の結果を、併せて表−2に示す。
【0034】
(比較例3)
実施例3に記載の例において、二軸スクリュー押出機式絞り脱水機のスリット間隙を0.05mmに変更した外は、同例におけると同様の手順で重合体を脱水・乾燥操作を行った。
【0035】
(比較例4)
実施例3に記載の例において、二軸スクリュー押出機式絞り脱水機のスリット間隙を2mmに変更した外は、同例におけると同様の手順で重合体を脱水操作を行った。
【0036】
(実施例4)
攪拌機、温度計、ジャケットなどを装備した容量20リットルの反応器に、ポリスチレンーポリイソプレンーポリスチレン(SIS)のブロック共重合体(シェル化学社製、商品名:カリフレックスTR1111)300部と、シクロヘキサン1500部を仕込み、SISをシクロヘキサンに溶解した。これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液222部を連続的に滴下し、攪拌下、40℃で3時間エポキシ化反応を行った。反応液を常温に戻し、反応液と等量の純水で3回洗浄し、エポキシ化ポリスチレンーポリイソプレンーポリスチレン重合体(「重合体ハ」という)の溶液を得た。この重合体溶液をスチームストリッピングするに当り、スチームストリッピング槽内の水に、非イオン性界面活性剤(花王社製、エマルゲンPP−290)を水に対して100ppm添加し、水温95℃でスチームストリッピングを行なった。重合体はクラム状で安定に分散し、重合体の相互付着、および重合体の反応器の器壁や攪拌翼へ付着は認められなかった。
【0037】
ついで、上記で得られた重合体の水分散スラリーを、回転式スクリーンによって水切りし、含水率45重量%の含水クラムを得た。この含水クラムを、脱水と乾燥が同時にできるスリット間隙0.1mmを有する2段スリット、2段ベント付きの二軸スクリュー押出機式絞り脱水機に供給した。押し出し条件は、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数200rpm、第1ベントは常圧で、第2ベントは圧力200torrで押し出し乾燥した。押出機で溶融混練し、ダイスから押出されたストランドをカッターでペレット状にした。乾燥後の重合体中の含水率は、180ppmであった。
【0038】
(比較例5)
実施例4に記載の例において、二軸スクリュー押出機式絞り脱水機のスリット間隙を2mmに変更した外は、実施例4におけると同様の手順で、重合体を脱水操作を行った。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明は、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業状の利用価値は極めて大である。
1.本発明方法によるときは、スクリュー押出機式絞り脱水機のスリット間隙が適切な範囲にあるので、脱水処理操作中にエポキシ化ブロック共重合体がスリットから絞り出されることがなく、スリット間隙を閉塞することがない。
2.本発明方法によるときは、従って、エポキシ化ブロック共重合体の脱水処理操作を長期間に亘って、効率良く安定して行うことができる。
Claims (1)
- ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とする重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体またはその水添物を、エポキシ化することにより得られたエポキシ化ブロック共重合体の溶液を、スチームストリッピングすることにより溶媒を除去して得られたクラムをスクリュー押出機式絞り脱水機によって脱水するに際して、この脱水機の脱水用のスリット部におけるスリット間隙を0.06〜1.0mmの範囲にすることにより含水率20重量%以下の重合体を得ることを特徴とする、エポキシ化ブロック共重合体の脱水方法。
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