JP3685599B2 - 印刷用ブランケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば平版オフセット印刷やグラビアオフセット印刷などに使用される、新規な印刷用ブランケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の印刷用ブランケットは、基布を積層してなり、かつ多孔質の圧縮性層を有する、または有しない支持体層の上に、加硫ゴム製の表面印刷層を設けたものである。上記の表面印刷層を構成するゴムとしては、たとえばインキに対する耐性などを考慮して、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)などの、弾性と高い耐油性とを兼ね備えた合成ゴムが好適に使用される。また紫外線硬化型のインキの場合は、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)なども使用される。
【0003】
上に述べた従来のブランケットの問題点として、排紙性(紙離れ)が悪く、とくに高速印刷時にスムーズに排紙が行われずに、紙がばたついたり破れたりする現象を多発しやすいということがあげられる。
そこで排紙性を向上すべく、表面印刷層の表面粗度を高めたり、あるいは表面印刷層のゴム硬度を高くしたりすることが試みられている。しかし、これらの対策を施すと逆に、網点の再現性やベタ着肉性の低下によって印刷品質が悪くなるという、新たな問題を生じるおそれがある。
【0004】
また、表面印刷層に紫外線を照射したり(特開昭51−37706号公報)、表面を塩素処理したりすることも試みられている。しかしいずれの場合にも、作業環境の悪化、工程管理の複雑化といった、印刷用ブランケットを製造する上での新たな問題があるため、実用化には至っていない。
また印刷用ブランケットには、上記の各特性に加えてさらに、長時間、印刷を繰り返した際に表面印刷層に紙粉が蓄積され、それがインキに混入するなどして印刷品質を低下させるのを防止すべく、紙粉の蓄積を防止する特性(紙粉残り性)にもすぐれることが要求される。
【0005】
とくに近年、省資源化や資源のリサイクルの動きに応じて、紙質の悪い再生紙を使用する機会がこれまでよりも増加する傾向にあるため、紙粉の問題は、今後ますます重要な課題になると考えられる。
そこで、上記のような種々の問題の発生を抑制して、排紙性、ベタ着肉性および紙粉残り性の各特性を適度にバランスさせるべく、現状の印刷用ブランケットの表面印刷層においては、当該表面印刷層を構成するゴムとして、たとえば前述したNBRやEPDMなどの耐油性のゴムに所定量の多硫化ゴム(T)を添加したものを使用する(特許第2540674号公報)などして、その弾性率の損失正接tanδを0.08〜0.17程度、インキの溶剤であるトルエンで膨潤させた際の体積変化率ΔVを100〜180%程度、そしてゴムの硬度(IRHD)を50〜75程度に規定している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
合成ゴムなどのゴム製の表面印刷層は通常、未加硫のゴムと、加硫剤などの添加剤とを溶剤(主にトルエン)中に溶解した、いわゆるゴム糊を支持体層上に塗布し、乾燥後、加圧、加熱してゴムを加硫させることにより製造される。
しかし環境問題を考慮すれば、多量の溶剤を使用するこのような工程はできるだけ少なくすることが肝要であり、溶剤を使用しない、いわゆるドライプロセスへの移行が望まれている。
【0007】
また、加硫ゴム製の表面印刷層は後加工が困難であるため、破損した際の修復が不可能である上、材料のリサイクルもできない。
本発明の目的は、従来に比べて簡単な工程にて、溶剤を使用せずに形成することができ、しかも加硫ゴム製のものと同等の特性を有する上、破損した際の修復や材料のリサイクルなどが可能な表面印刷層を有する、新規な印刷用ブランケットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、発明者らは、熱可塑性を有しながらなおかつ加硫ゴムのようなゴム弾性をも有する、いわゆる熱可塑性エラストマーにて表面印刷層を形成すべく、種々の熱可塑性エラストマーについて検討した。
その結果、熱可塑性樹脂のマトリクス中に加硫ゴム粒子を分散した構造を有し、熱可塑性樹脂のもつ熱可塑性と、加硫ゴム粒子によるゴム弾性とを兼ね備えた熱可塑性エラストマーを使用すればよいことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明の印刷用ブランケットは、少なくとも表面印刷層を備え、かかる表面印刷層が、熱可塑性樹脂のマトリクス中に加硫ゴム粒子を分散した構造を有する熱可塑性エラストマーにて形成されていることを特徴とするものである。
かかる本発明の印刷用ブランケットにおいては、たとえば押出成形法などによって、熱可塑性エラストマーを加熱して可塑化しつつシート状に成形したのち、冷却するだけで、表面印刷層が形成される。よって上記表面印刷層は、溶剤を使用せずに形成できる上、加硫工程を必要としない分、従来に比べて簡単な工程にて形成することができる。
【0010】
しかも、形成された表面印刷層は、その後も加熱すれば加工できるため、破損した際の修復や、あるいは材料のリサイクルなども容易である。
また、たとえば加硫ゴム粒子の粒径などを調整することにより、上記の表面印刷層には、従来の加硫ゴム製の表面印刷層と同等の排紙性、ベタ着肉性および紙粉残り性を付与することもできる。
【0011】
すなわち、加硫ゴム粒子の粒径を小さくすると、表面印刷層のゴム弾性が向上してベタ着肉性が向上する傾向を示す。
また逆に、加硫ゴム粒子の粒径を大きくすると、表面印刷層の排紙性および紙粉残り性が向上する傾向を示す。
加硫ゴム粒子の粒径を大きくすると排紙性、紙粉残り性が向上するのは、表面印刷層の表面に、加硫ゴム粒子が、周囲よりも盛り上がった突起として存在し、それによって表面印刷層の表面が、排紙性のよい凹凸の状態になるのが原因である。
【0012】
また加硫ゴム粒子が、表面印刷層の表面に、周囲よりも盛り上がった突起として存在するのは、押出成形法などによって表面印刷層を形成する際の、樹脂と加硫ゴムとの膨張量の違いが原因である。つまり、押出成形機の口金から押し出されたときの膨張量が、樹脂よりも加硫ゴムの方が大きいために、加硫ゴム粒子が、表面印刷層の表面に突起として存在するものと考えられる。
【0013】
よって、加硫ゴム粒子の粒径を規定して、上記の各特性を適度にバランスさせれば、表面印刷層に、加硫ゴム製のものと同等の特性を付与できるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を説明する。
表面印刷層を構成する熱可塑性エラストマーとしては、前述のように、熱可塑性樹脂のマトリクス中に加硫ゴム粒子を分散した構造を有するものが使用される。
【0015】
かかる熱可塑性エラストマーとしては、いわゆる動的加硫法により製造されたものが好ましい。
動的流動法とは、熱可塑性樹脂と、未加硫のゴムと、加硫剤を含む添加剤とを、熱可塑性樹脂が溶融し、かつゴムが加硫反応する温度で混練して、熱可塑性樹脂中にゴムを粒状に分散させつつ加硫させる方法である。
【0016】
上記動的加硫法によれば、粒径の揃った加硫ゴム粒子が熱可塑性樹脂中に均一に微分散した熱可塑性エラストマーを、効率よく生産できるという利点がある。混練には、加熱と混練とを同時に行いうる種々の装置が使用でき、とくに上記の操作を連続的に行える、つまり熱可塑性エラストマーを連続的に生産できる単軸あるいは多軸の押出機などが好適に使用される。
【0017】
熱可塑性樹脂としては、とくに加硫ゴム粒子によるゴム弾性の発現を阻害しないことや、あるいはインキに対する耐性などを考慮すると、柔軟でかつ耐溶剤性にすぐれた、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系の熱可塑性樹脂が好適に使用される。
またゴムとしては、インキに対する耐性や、上記の熱可塑性樹脂との適度な相溶性、あるいは表面印刷層にゴム弾性を付与する効果などを考慮すると、前述したNBRやEPDM、あるいはアクリルゴム(ACM)やクロロプレンゴム(CR)などの合成ゴム、またはこれらの混合物などが好適に使用される。
【0018】
なお、ここでいう適度な相溶性とは、加硫前の状態で熱可塑性樹脂と完全に相溶せずに、加硫反応の進行にともなって粒状に凝集し、しかも加硫後は、表面印刷層から容易に脱落しない程度に熱可塑性樹脂との相溶性を有することをいう。上記熱可塑性樹脂PとゴムRの配合割合は、本発明ではとくに限定されないが、両者の重量比R/Pで表して、R/P=40/60〜80/20程度であるのが好ましい。
【0019】
この範囲よりもゴムが少ない場合には、加硫ゴム粒子による、表面印刷層にゴム弾性を付与する効果が不十分となるおそれがある。また逆にこの範囲よりも熱可塑性樹脂が少ない場合には、十分な熱可塑性がえられないために、加工性が悪化するおそれがある。
なお比R/Pは、上記範囲内でもとくに40/60〜70/30程度であるのが好ましく、45/55〜65/35程度であるのがさらに好ましい。
【0020】
添加剤としては、前記加硫剤のほか、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫促進助剤などの、ゴムの加硫に係わる各種の薬剤や、あるいはオイルなどの軟化剤があげられる。またそれ以外にも、たとえば老化防止剤、安定剤、シリカなどの充てん材などの従来公知の種々の添加剤を添加してもよい。なおこれらのうち加硫剤以外の成分は、添加しなくてもよい。
【0021】
熱可塑性エラストマー中の加硫ゴム粒子の粒径は、先に述べたように表面印刷層の特性と密接に係わっており、表面印刷層に要求される前記の各特性のバランスを考慮して好適な範囲が設定される。
かかる範囲は、使用する材料の種類などによって異なるが、たとえば前述したポリオレフィン系の熱可塑性樹脂と、NBRやEPDMなどの合成ゴムとの組み合わせにおいては、加硫ゴム粒子の平均粒径が0.05〜45μmであるのが好ましい。
【0022】
加硫ゴム粒子の平均粒径が上記の範囲未満では、表面印刷層の表面に加硫ゴム粒子にて形成される突起が小さすぎるために、当該表面の凹凸が不十分となって、表面印刷層の排紙性および紙粉残り性が低下するおそれがある。また逆に上記の範囲を超えた場合には、表面印刷層のゴム弾性が低下してベタ着肉性が低下するおそれがある。
【0023】
なお、加硫ゴム粒子の平均粒径は、上記各特性のさらなる向上と、各特性のバランスとを考慮すると、上記範囲内でもとくに0.1〜30μmであるのが好ましく、1〜10μmであるのがさらに好ましい。
加硫ゴム粒子の粒径を調整するには、たとえば前記押出機などを用いた動的加硫法の場合、混練条件、具体的には加熱温度と混練速度とを調整する方法などがあげられる。
【0024】
かかる方法によって加硫ゴム粒子の粒径を小さくするには、たとえば加熱温度を低くするか、または混練速度を高くすればよい。つまり、加熱温度を低くするほど、混練時に熱可塑性樹脂やゴムに加わる応力が大きくなり、また加硫速度が遅くなって相対的に混練時間が長くなる分、加硫ゴム粒子の粒径を小さくできる。また混練速度を高くするほど、加硫ゴム粒子の粒径を小さくできる。
【0025】
また、加硫ゴム粒子の粒径を調整するための、上記以外の方法としては、たとえば熱可塑性樹脂とゴムの配合割合を調整する、使用する熱可塑性樹脂やゴムの種類を変更する、などもあげられる。
上記の熱可塑性エラストマーから、支持体層上に表面印刷層を形成するには、前記のように押出成形法などによって、熱可塑性エラストマーを加熱して可塑化しつつシート状に成形すればよい。詳しくは、
(1) 押出機を用いて、支持体層の表面に直接に、熱可塑性エラストマーをシート状に押出成形しつつラミネートする、
(2) 押出機を用いて押出成形した、熱可塑性エラストマーのシートを支持体層上に積層し、加熱して熱可塑性エラストマーを溶融させて、両者を一体化する、
(3) 上記熱可塑性エラストマーのシートを、接着剤により支持体層上に積層し、接着する、
などの方法がいずれも採用できる。
【0026】
ただし、できるだけ溶剤を使用しないという観点からは、上記のうち(1) および(2) の方法が好適であり、その中でもとくに(1) の方法が、工程が簡単で生産性にすぐれるため好適に採用される。
また、(1) または(2) の方法を採用する場合には、表面印刷層の、支持体層との接着性を向上させるために、当該支持体層の、シートが積層される最表層を、基布を露出させた状態としておくのが好ましい。また上記基布を、表面印刷層を構成する熱可塑性エラストマーとの接着性を有する薬品、たとえば加硫接着剤などを用いて、あらかじめ処理しておけば、表面印刷層の接着性をさらに向上できる。
【0027】
表面印刷層の厚みは従来と同程度、すなわち0.2〜0.5mm程度であればよい。
また、形成された表面印刷層の表面を、たとえばバフ研磨などによって仕上げ加工してもよい。この際には、熱可塑性樹脂よりも加硫ゴムの方が削れにくいために、加硫ゴム粒子の突起よりも熱可塑性樹脂の方が選択的に研磨仕上げされる。このため、表面印刷層の表面の凹凸がより一層、強調されて、排紙性がさらに向上する。
【0028】
上記の表面印刷層を支持する支持体層は、従来と同様に構成できる。
すなわち支持体層は、複数枚の基布を積層してなり、かつ多孔質の圧縮性層を有する、または有しない種々の構成とすることができる。ただし前述のようにその最表層は、基布を露出させた状態としておくのが好ましい。
基布としては、綿、ポリエステル、レーヨンなどの各種繊維からなる織布または不織布があげられる。
【0029】
多孔質の圧縮性層としては、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造を有するものと、各気孔が連続した連続気孔構造を有するものとがあるが、このいずれを採用してもよい。
前者の、独立気孔構造を有する圧縮性層は、当該層を構成する未加硫のゴム層中に発泡剤を分散しておき、加硫時の熱によってこの発泡剤を発泡させるか、またはゴム層中に、中空状の微小粒子を分散することにより形成される。
【0030】
また後者の、連続気孔構造を有する圧縮性層は、たとえば当該層を構成する未加硫のゴム層中に食塩の微小粒子を分散しておき、ゴムを加硫したのち、水によって食塩を抽出除去する、いわゆるリーチング処理によって形成される。
基布同士、および基布と圧縮性層とを接着するには、従来同様に加硫接着剤を使用すればよい。
【0031】
支持体層の厚みは従来と同程度、すなわち圧縮性層の厚みがおよそ0.2〜0.5mm程度で、かつ支持体層のトータルの厚みがおよそ1.45〜1.75mm程度であればよい。
【0032】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
参考例(支持体層の作製)
基布としての1枚の綿布上に、食塩の粒子を含有する未加硫のゴム層を形成し、加硫したのち60℃の温水に10時間、浸漬して食塩を抽出除去して、上記1枚の基布と、連続気孔構造を有する圧縮性層との積層体を形成した。
【0033】
つぎにこの積層体の、圧縮性層が露出した側の面に、基布としての3枚の綿布を、それぞれ加硫接着剤の層を介して積層したのち再度、加硫して上記の各層を積層、一体化して、圧縮性層の片側に1層の基布が、そして反対側に3層の基布が積層された、圧縮性層の厚みが0.4mmで、かつ全体の厚みが1.5mmである支持体層を作製した。
【0034】
実施例1〜8
(熱可塑性エラストマーの作製)
表1、2に示した各成分をドライブレンドしたのち、2軸押出機〔アイペック社製〕を用いて加熱下で混練して、動的加硫法により、熱可塑性樹脂のマトリクス中に加硫ゴム粒子を分散した構造を有する熱可塑性エラストマーを作製した。
【0035】
なお各実施例のうち実施例2〜8は、混練条件を、混練温度180℃、混練速度(軸回転数)150r.p.m.で同一とし、実施例1は、それよりも混練速度のみ高めの200r.p.m.に設定して混練したものである。
また表1中の加硫促進剤としては、加硫促進剤DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)と、TET(テトラエチルチウラムジスルフィド)とを、重量比で1:1の割合で混合したものを使用した。
(印刷用ブランケットの製造)
上記各実施例で作製した熱可塑性エラストマーを、ペレタイザを用いてペレット化したのち、60℃で4時間、乾燥させた。
【0036】
ついでこのペレットを、単軸押出機〔池貝社製〕を使用して、加熱温度180℃の条件で、前記参考例で作製した支持体層のうち、1層構造の基布側の、当該基布が露出した最表層に直接に、シート状に押出成形しつつラミネートして、厚み0.5mmの表面印刷層を形成して、実施例1〜8の印刷用ブランケットを製造した。
【0037】
実施例9、10
表2に示した各成分を使用したこと以外は実施例1〜8と同様にして熱可塑性エラストマーを製造し、それを用いて実施例1〜8と同様にして、実施例9、10の印刷用ブランケットを製造した。
なお両実施例のうち実施例9は、熱可塑性エラストマー製造時の混練条件、すなわち混練温度および混練速度(軸回転数)を実施例2〜8と同一とし、実施例10は、それよりも混練温度のみ低めの170℃に設定し、それにともなって相対的に混練時間を長くして混練したものである。
【0038】
また表2中の加硫促進剤としては、加硫促進剤TET(テトラエチルチウラムジスルフィド)と、TRA(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)とを、重量比で1:1の割合で混合したものを使用した。
比較例1〜6
表3に示した各成分を、トルエン中に溶解して、表面印刷層用のゴム糊を作製した。そしてこのゴム糊を、前記参考例で作製した支持体層のうち、1層構造の基布側の、当該基布が露出した最表層に塗布し、乾燥させたのち加硫して、厚み0.5mmの表面印刷層を形成して、比較例1〜6の印刷用ブランケットを製造した。
【0039】
上記各実施例、比較例の印刷用ブランケットについて、以下の各試験を行って、その特性を評価した。
加硫ゴム粒子の粒径測定
各実施例の印刷用ブランケットの表面印刷層を切断して、その切断面の顕微鏡写真を撮影し、当該写真の、一定面積内に写された加硫ゴム粒子の粒径を実測して、その実測値から加硫ゴム粒子の平均粒径を求めた。
【0040】
損失正接tanδの測定
各実施例、比較例の印刷用ブランケットの表面印刷層から、幅4mm、長さ30mm、厚み0.3mmの短冊状の試験片を切り出した。そして、レオロジー社製の粘弾性スペクトロメータDVE−V4を用いて、環境温度23℃、チャック間距離20mmの条件下、この試験片に動的変化応力(振動周波数10Hz、振幅50μm、初期歪み2mm伸長)を加えつつ、損失正接tanδを測定した。
【0041】
体積変化率ΔVの測定
各実施例、比較例の印刷用ブランケットの表面印刷層から、幅50mm、長さ50mm、厚み0.3mmの平板状の試験片を切り出した。そしてこの試験片を、チョウバランス社製のSP−1Mを用いてトルエンに40℃で24時間、浸漬して膨潤させ、膨潤前後の体積を測定して、下記式により体積変化率ΔVを求めた。
【0042】
【数1】
Figure 0003685599
【0043】
IRHD硬度の測定
各実施例、比較例の印刷用ブランケットの表面印刷層から、幅20mm、長さ20mm、厚み0.3mmの平板状の試験片を切り出した。そして、この試験片を5枚重ねた状態で、ウォーレス社製のマイクロハードネステスタを用いて、ASTM D1415−83に準拠して、IRHD硬度を測定した。
【0044】
実機試験
各実施例、比較例の印刷用ブランケットを、オフセット印刷機〔リョービ社製の560型〕のブランケット胴に巻きつけて、下記の印刷条件で、コート紙に印刷を行った。
・印刷条件
印刷速度:10000枚/時
インキ:東洋インキ社製の商品名マークVニュー
コート紙:大王製紙社製の商品名ユトリロコート110kg
そして、下記の各特性を調べて、実施例、比較例の印刷用オフセットブランケットを評価した。
・排紙性
総べたで印刷したコート紙を10枚重ねたときのカールの高さh(mm)を測定して、下記の4段階で排紙性を評価した(いずれも単位はmm)。カールの高さhが高いほど紙離れが悪く、排紙性が悪いことを示している。
【0045】
◎:0≦h≦2(優)
○:2<h≦4(良)
△:4<h≦7(可)
×:7<h(不可)
・べた着肉性
印刷物のべた部を画像解析し、その標準偏差nを求めて、下記の4段階でべた着肉性を評価した。
【0046】
◎:n≦5(優)
○:5<n≦8(良)
△:8<n≦11(可)
×:11<n(不可)
・紙粉残り性
10万枚の連続印刷を行った後、ブランケットの表面に付着した紙粉の量を目視で観察して、下記の4段階で紙粉残りを評価した。
【0047】
◎:極めて少ない(優)
○:わずか(良)
△:エッジ部付近にたまる(可)
×:全面に付着(不可)
以上の結果を表1〜3に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003685599
【0049】
【表2】
Figure 0003685599
【0050】
【表3】
Figure 0003685599
【0051】
上記各表の結果より、実施例1〜10の印刷用ブランケットは、表面印刷層を、熱可塑性エラストマーを用いることで、従来に比べて簡単な工程にて、溶剤を使用せずに形成できる上、形成された表面印刷層は、比較例1〜6に示した従来の印刷用ブランケットの、加硫ゴム製の表面印刷層と同等の特性を有することが確認された。
【0052】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、従来に比べて簡単な工程にて、溶剤を使用せずに形成することができ、しかも加硫ゴム製のものと同等の特性を有する上、破損した際の修復や材料のリサイクルなどが可能な表面印刷層を有する、新規な印刷用ブランケットを提供できるという、特有の作用効果を奏する。

Claims (3)

  1. 少なくとも表面印刷層を備え、かかる表面印刷層が、熱可塑性樹脂のマトリクス中に加硫ゴム粒子を分散した構造を有する熱可塑性エラストマーにて形成されていることを特徴とする印刷用ブランケット。
  2. 加硫ゴム粒子の平均粒径が、0.1〜30μmである請求項1記載の印刷用ブランケット。
  3. 表面印刷層を形成する熱可塑性エラストマーが、マトリクスとなる熱可塑性樹脂と、未加硫のゴムと、加硫剤を含む添加剤とを、熱可塑性樹脂が溶融し、かつゴムが加硫反応する温度で混練して、熱可塑性樹脂中にゴムを粒状に分散させつつ加硫させることにより製造されたものである請求項1記載の印刷用ブランケット。
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