JP3684185B2 - ウナギの蒲焼き用調味料およびそれを用いたウナギの蒲焼き - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はウナギの蒲焼き用調味料及びウナギの蒲焼き、特に赤色系色素を含むウナギの蒲焼き用調味料の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
スープ等、調味料そのものを主体とする食品は無論、各種食品の調味、あるいは場合により保存性向上を図るためにも調味料が不可欠である。たとえばウナギの蒲焼きなどは調理済み食品を液状調味料とともに真空パックし、食する直前にマイクロ波加熱装置、あるいは湯煎などにより再加熱する。
ところで、これらの調味料において、見栄えをよくする観点から赤色系色素は不可欠であり、濃赤色系の色素としてはカラメルなど、鮮やかな赤色を得る場合にはアナトー系色素を用いることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこれらの調味料により調味、再加熱された食品を再加熱すると、部分的に変色が見られる場合がある。
たとえば前記ウナギの蒲焼きの調味済み食品の場合には、再加熱時に蒲焼き表面が部分的にピンク色に変色し、食味あるいは栄養価などには大きな影響はないものの、商品価値を大きく低下させる要因として問題になっていた。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は変色を生じにくい調味料及び調味食品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、高蛋白質食品の調味料に汎用されるアナトー系色素が変色の原因であることを突き止め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるウナギの蒲焼き用調味料は、実質的にアナトー系色素を含まず、米紅麹粉を含むものである。
なお、本発明において、米紅麹粉を0.5〜5%含む液状調味料であることが好適である。
【0005】
また、本発明にかかるウナギの蒲焼きは、前記調味料により調味・保存され、食事時に再加熱されることを特徴とする。
なお、本発明かかる調味料はスープ、あるいはソバ汁などにも用いることができるが、特に高蛋白質塊状食品の調味料として用いた場合に高い効果を発揮し、ウナギの蒲焼き、焼き魚、焼き肉、焼き鳥などのパック食品用調味料として好適である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明者らは調味食品に見られる斑点状ピンク色変色の原因について検討を行った。
すなわち、調味食品として特に変色が顕著に見られるウナギの蒲焼きを対象とし、調理済み蒲焼きを下記に示す各試験例の調味料とともに真空パックし冷却、その後に湯煎で再加熱した。
なお、再加熱前の蒲焼きの色調、再加熱後の変色ともに目視で観察し、評価した。
【0007】
【表1】
試験例 1 2 3
醤油 45 45 45
みりん 25 25 25
砂糖 20 20 20
カラメル 2 2.5 −
アナトー系色素 0.5 − 1.0
アミノ酸など 2 2 2
水 残部 残部 残部
色調 ○ × ×
変色 × ○ ×
【0008】
上記結果より、良好な色調を得るためにはアナトー系色素等の鮮やかな色調を有する色素を一部使用する必要があるが、一方このアナトー系色素が変色の原因であることが示された。
この原因についてさらに検討したところ、再加熱時にウナギの蒲焼きから染み出した蛋白質あるいは脂質がアナトー系色素により染色され、これが不自然なピンク色となり変色の原因となることが推察された。
【0009】
すなわち、アナトー系色素はベニノキの種子から抽出されたものであり、安全性が高く鮮やかな赤色を呈するばかりでなく、特に蛋白質の染色性が高いため、鋼蛋白食品の調味料に多用されている。しかしながら、再加熱時の食品からの蛋白質溶出時にアナトー系色素の蛋白質染色性が問題となるのである。
現在、他の赤色系天然色素では、色調が鮮やかさと食品の染色性の点でアナトー系色素に替わるものはないのが実状である。
そこで本発明者らは、アナトー系色素以外の天然赤色系色素を用いた蒲焼き用調味料について検討を行った。
【0010】
【表2】
試験例 4 5 6
醤油 45 45 45
みりん 25 25 25
砂糖 20 20 20
カラメル 2 2 2
紅麹色素 − 1 −
米紅麹粉 − − 2
アミノ酸など 2 2 2
水 残部 残部 残部
調味料の色調 × ○ ○
蒲焼きの色調 × × ○
変色 × ○ ○
【0011】
上記表2より明らかなように、比較的鮮やかな赤色を呈する天然色素として汎用される紅麹色素は、調味料自体の色調を整えることは可能であるが、蒲焼きに用いた場合には、蒲焼き中に染み込んでしまい、良好な色調を発揮することができない。
一方、米紅麹粉を用いた場合には、調味料自体の色調は紅麹系の鮮やかな色調を呈するとともに、蒲焼きに用いた場合にも、色素が微細な粉体であるため蒲焼きへの染み込みは発生せず、良好な色調を維持することができた。無論、再加熱時にも変色は生じない。
【0012】
以上のことから、アナトー系色素を実質的に用いず、米紅麹粉を用いることにより、良好な色調を有するとともに再加熱時などにも変色を生じない調味料を得られることが明らかとなった。
なお、本実施形態に用いられた米紅麹粉は、米を主培地として紅麹菌を培養し、これを加熱失活、乾燥、粉砕したものである。粉体自体はピンク色あるいは淡いピンク色であるが、調味料、および調味対象となる食品に対し良好な着色性を有し、アナトー系色素を代替する場合にはその2〜5倍量程度を用いることが好ましい。
次に本発明者らは米紅麹粉の配合量についてさらに詳細に検討を行った。
その結果を次の表3に示す。
【0013】
【表3】
試験例 7 8 9 10 11 12
醤油 45 45 45 45 45 45
みりん 25 25 25 25 25 25
砂糖 20 20 20 20 20 20
カラメル 2 2 2 2 2 2
米紅麹粉 0.1 0.5 1.0 2.0 5.0 6.0
アミノ酸 2 2 2 2 2 2
水 残部 残部 残部 残部 残部 残部
調味料の色調 △ ○ ○ ○ ○ △
蒲焼きの色調 △ △ ○ ○ ○ △
変色 ○ ○ ○ ○ ○ ○
【0014】
前記表3の結果より、米紅麹粉は着色性は著しく高いものではないため、0.5質量%未満の配合では十分な効果が得られない場合がある。上限に関してはその調味料に要求される赤色の度合いによって大きく変化するが、着色料としてはおおよそ5%程度までの配合で十分な効果が得られる。
以下に、本発明の好適な配合例を示す。
【0015】
[配合例1]
焼肉のたれ(漬け込み)
醤油 35
砂糖 15
発酵調味料 10
にんにく 2
生姜 1.5
ごま 1
ごま油 1
香辛料 0.5
カラメル 0.5
米紅麹粉 1.6
水 残部
【0016】
[配合例2]
焼肉のたれ(かけだれ)
醤油 35
砂糖 15
発酵調味料 10
でん粉 2
にんにく 2
生姜 1.5
ごま 1
ごま油 1
香辛料 0.5
カラメル 0.5
米紅麹粉 1.6
水 残部
【0017】
[配合例3]
焼鳥のたれ(漬け込み)
醤油 45
砂糖 30
みりん 10
カラメル 2
米紅麹粉 1.2
水 残部
【0018】
[配合例4]
焼鳥のたれ(仕上たれ)
醤油 45
砂糖 30
みりん 10
でん粉 3
カラメル 2
米紅麹粉 1.2
水 残部
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかるウナギの蒲焼き用調味料およびそれを用いたウナギの蒲焼きによれば、アナトー系色素を実質的に含まず、米紅麹粉を配合することとしたので、鮮やかな色調が得られるとともに、再加熱時などに発生する変色を防止することができる。

Claims (3)

  1. 実質的にアナトー系色素を含まず、米紅麹粉を含むウナギの蒲焼き用調味料。
  2. 請求項1記載の調味料において、米紅麹粉を0.5〜5%含むことを特徴とするウナギの蒲焼き用調味料。
  3. 請求項1又は2記載の調味料により調味・保存され、食事時に再加熱されることを特徴とするウナギの蒲焼き
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