JP3683684B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性に優れた感熱層を有する感熱記録材料に関し、特にスティッキング性に優れ、その効果の経時変化が小さい透明感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方法は、1)現像が不要である、2)支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、3)取扱が容易である、4)発色濃度が高い、5)記録装置が簡単であり安価である、6)記録時の騒音が無い等の利点があるためファクシミリやプリンターの分野で近年急速に普及し、POS等に於けるラベル分野等、感熱記録の用とも拡大している。このような背景の元に、近年に於いては、多色化に適応するため、或はオーバーヘッドプロジェクター(OHPと略す)に使用するために、サーマルヘッドで直接記録することの出来る透明な感熱記録材料が開発されるに至り、最近では支持体上に、無色又は淡色の電子供与性染料前駆体を含有するマイクロカプセル、及び、水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解せしめた顕色剤とを乳化分散した乳化分散物からなる塗布液を塗布乾燥した透明な感熱記録材料も開発されている(例えば、特開昭63−45084号、特開昭63−265682号)。
【0003】
このような透明感熱記録材料においては、表面のスティッキング性を改良するために、保護層中に顔料、離型剤、界面活性剤等を配合することが一般的である。しかしながら、表面性状を改良するための界面活性剤が保護層中の顔料に徐々に吸着され、塗布適性が悪化したり表面のスティッキング性が経時的に悪化するという問題点があった。また、スティッキング性の改良効果を持続させるために無機顔料の配合を増加させると、透明性が低下し、離型剤の配合を増加させるとヘッド汚れが悪化するという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、優れた表面のスティッキング性を有し、且つ、その効果が経時的に安定した透明な感熱記録材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記欠点を解決すべき鋭意検討した結果、特定の界面活性剤を保護層中に配合することにより、持続的なスティッキング性改良効果が達成されることを見いだし、本発明に至った。
即ち、本発明の感熱記録材料は、支持体上に、無色又は淡色の電子供与性染料前駆体を含有するマイクロカプセル、及び、顕色剤を乳化分散して得られた乳化分散物とを含む塗布液を塗布乾燥して形成した少なくとも一層の感熱層と、該感熱層の上に少なくとも一層の顔料を含む保護層を有する感熱記録材料であって、該保護層中に少なくとも下記一般式(I)で表されるパーフルオロポリオキシアルキレン系界面活性剤を含有することを特徴とする。
一般式(I)
【0006】
【化2】
【0007】
式中、Rfは炭素数4以上のパーフルオロアルキル基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Mは一価のカチオンを表す。mは1〜50の、nは1〜5の整数を表す。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の透明感熱記録材料は、その保護層中に顔料と共に前記一般式(I)で表されるパーフルオロポリオキシアルキレン系界面活性剤を含有する。
このフッ素系ノニオン/アニオン界面活性剤の特性の目安として、0.1%水溶液を調製した場合、その表面張力が25dyne/cm2 以下、好ましくは20dyne/cm2 以下のものが好適である。
【0009】
前記一般式(I)において、Rfは炭素数4以上のパーフルオロアルキル基を示すが、好ましくは、炭素数6以上、さらに好ましくは炭素数8〜20程度の比較的長鎖のものが好ましい。
また、Rは水素原子又はアルキル基を示すが、このアルキル基は炭素数1〜5のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が好適である。
Mは一価のカチオン性対イオンであり、好ましくはナトリウム、カリウム等の一価のアルカリ金属やアンモニウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。
nは1〜50の整数であり、効果の観点からは5〜30、さらに10〜20の範囲であることが好ましい。
【0010】
以下に、本発明に好適に使用し得るパーフルオロポリオキシエチレン系界面活性剤の具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
【0011】
【化3】
【0012】
保護層中おける、前記フッ素系ノニオン/アニオン界面活性剤の使用量は、保護層全重量の0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%の割合で添加される。
【0013】
次に、保護層中に含まれ得る他の成分について説明する。保護層中にはバインダーポリマーが含まれる。本発明の保護層に用いるポリマーの具体例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体水分解物、スチレン−無水マレイン酸共重合体ハーフエステル川水分解物、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等の水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等の水不溶性ポリマー等が挙げられる。
【0014】
保護層中には、感熱記録時のサーマルヘッドとのマッチング性の向上、スティッキング防止、保護層の耐水性の向上等の目的で、顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等が添加される。
【0015】
顔料には、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、リトポン、タルク、蝋石、カオリン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ等があり、それらの添加重は、ポリマーの総重量の0.005〜3倍、特に好ましくは0.01〜1.5倍の量である。
【0016】
金属石鹸には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の高級脂肪酸金属塩のエマルジョン等があり、保護層全重量の0.5〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の割合の量で添加される。
【0017】
本発明で使用するワックスとしては、融点が40〜60℃のものを使用する。このようなワックスとして例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等がある。ワックスの使用量は、保護層全重量の0.5〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の割合で添加される。
【0018】
また、感熱層上に均一に保護層を形成させるために、保護層形成用塗布液には前記フッ素系界面活性剤の他に、保護層塗布液の均一化、安定化を向上させるための一般的な界面活性剤を添加することができる。この界面活性剤にはスルホコハク酸系のアルカリ金属塩等の界面活性剤があり、具体的にはジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩等がある。
【0019】
又、保護層の中には、感熱記録材料の帯電を防止するための界面活性剤、高分子電解質等を添加しても良い。保護層の固形分塗布量は0.2〜5g/m2 更に好ましくは1〜3g/m2 である。
【0020】
次に、本発明の感熱記録材料の他の構成について説明する。本発明の感熱記録材料は透明性の良好な感熱層を有するのが特徴であり、この感熱層には、下記一般式(II)又は(III )で表される顕色剤を含有することが好ましい。
一般式(II)
【0021】
【化4】
【0022】
一般式(III )
【0023】
【化5】
【0024】
本発明で使用する顕色剤として、前記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、1,3−ジ(2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフエニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2)2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、l,3−ジ(2−(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジt−ブチルフェニル))ベンゼン、1,4−ジ(2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジt−ブチルフェニル)ベンゼン、1,3−ジ(2−(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン等を挙げることができる。前記一般式(III )で表される化合物の具体例としては、1,3−ジ(2−(3−4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ジ(2−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピルベンゼン、1,4−ジ(2−(2,5−ジヒドロキシフェニル−2−プロピルベンゼン、1,3−ジ(2−(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ジ(2−(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−プロピルベンゼン、1,3−ジ(2(2,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)−2−プロピルベンゼン、1,4・ジ(2−(2,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
次に上記の顕色剤と接触して着色物を与える電子供与性染料前駆体についてのべる。本発明で使用する電子供与性染料前駆体としては、電子を供与して、又は酸等のプロトンを受容して発色する公知の化合物のの中から無色又は単色の物を適宜選択する。このような化合物は、ラクトン、ラクタム、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、顕色剤と接触してこれらの部分骨格が開環もしくは開裂するものであり、好ましい化合物としては、例えばトリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、チアジン系化合物、スピロピラン系化合物等を挙げることが出来る。特に好ましい化合物は、次の一般式(IV) で表される化合物である。
一般式(IV)
【0026】
【化6】
【0027】
式中、R1 は炭素原子数1〜8のアルキル基、R2 は炭素原子数4〜18のアルキシル基又はアルコキシル基もしくはテトラヒドロフルフリル基、R3 は水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基もしくはハロゲン原子、R4 は炭素数6〜20の置換又は無置換のアリール基を表す。R4 の置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基及びハロゲン原子が望ましい。
【0028】
本発明においては、前記の電子供与性染料前駆体をマイクロカプセル中に内包せしめることにより、感熱材料製造時のカブリを防止すると同時に、感熱材料の生保存性を良好なものとすることが出来る。この場合マイクロカプセルの壁材料及び製造方法を選択することにより記録時の画像濃度を高くすることが出来る。電子供与性染料前駆体の使用量は、0.05〜5.0g/m2 であることが好ましい。
【0029】
マイクロカプセルのへ基材料としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。本発明においてはこれらの高分子物質を2種以上併用することもできる。
【0030】
本発明においては、上記の高分子物質のうちポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましく、特にポリウレタン及びポリウレアが好ましい。
【0031】
本発明で使用するマイクロカプセルは、電子供与性染料前駆体等の反応物質を含有した芯物質を乳化した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成してマイクロカプセル化することが好ましく、この場合高分子物質を形成するリアクタントを油滴の内部及び/又は油滴の外部に添加する。マイクロカプセルの好ましい製造方法等、本発明で好ましく使用することのできるマイクロカプセルについての詳細は、例えば特開昭59−222716号に記載されている。また、特開平4−101885号に記載されているような、有機溶剤を実質的に内包していないマイクロカプセルを使用することもできる。
【0032】
ここで、油滴を形成するための有機溶剤としては、一般に感圧オイルとして用いられるものの中から適宜選択することができる。中でも好ましいオイルとしては、エステル類の他、下記一般式(V)〜(VII )で表される化合物及びトリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニールメタン)、ターフェニル化合物(例えばターフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニールエーテル、水添ターフェニル(例えば、へキサヒドロターフェニル)、ジフェニルエーテル、塩素化パラフィン等が挙げられる。
一般式(V)
【0033】
【化7】
【0034】
式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を表す。p1、q1は1〜4の整数を表し、かつアルキル基の総和は4個以内とする。なお、R1 、R2 のアルキル基は炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
一般式(VI)
【0035】
【化8】
【0036】
式中、R3 は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基、R4 は炭素数1〜12のアルキル基、nは1又は2を表す。p2、q2は1〜4の整数を表す。
n=1の場合には、アルキル基の総和は4個以内であり、n=2のときアルキル基の総和は6個以内である。
一般式(VII )
【0037】
【化9】
【0038】
式中、R5 及びR6 は水素原子又は炭素数1〜18の同種もしくは異種のアルキル基を表し、mは1〜13の整数を表す。p3、q3は1〜3の整数を表し、かつアルキル基の総和は3個以内である。なお、R5 及びR6 のアルキル基は炭素数2〜4のアルキル基が特に好ましい。
【0039】
一般式(V)で表される化合物例としては、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン等が挙げられる。一般式(VI)で表される化合物例としては、ジメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル等が挙げられる。一般式(VII )で表される化合物例としては、1−メチル−ジメチルフェニル−l−フェニルメタン、1−エチル−ジメチルフェニル−l−フェニルメタン、1−プロピル−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、等が挙げられる。上記のオイル同志、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0040】
本発明においては、マイクロカプセルのサイズは、たとえば特開昭60−214990号に記載されている測定法による体積平均粒子サイズで、4ミクロン以下であることが好ましい。
【0041】
上記の如く製造される好ましいマイクロカプセルは、従来の記録材料に用いられているような熱や圧力によって破壊するものではなく、マイクロカプセルの芯及び外に含有されている反応性物質は、マイクロカプセル壁を透過して反応することができる。
【0042】
本発明に於ては、マイクロカプセルの壁剤を選択し必要に応じてガラス転移点調整剤(例えば、特開昭61−277490号に記載の可塑剤)を添加することによって、ガラス転移点の異なる壁からなるマイクロカプセルを調整し、色相の異なる電子供与性染料前駆体とその顕色剤の組合せを選択することにより多色の中間色を実現することが出来る。従って、本発明は、単色の感熱記録材料に限定されるものではなく、2色或は多色に適した感熱記録材料にも応用することが出来る。又、必要に応じて、例えば、特開昭61−283589号、同61−283590号、同61−283591号に記載された光退色防止剤を適宜加えることが出来る。
【0043】
本発明で使用する顕色剤は、前記の化合物に加えて、その他の公知のものの中から適宜選択して使用することが出来る。例えば、フェノール化合物、トリフェニルメタン系化合物、含硫フェノール系化合物、カルボン酸系化合物、サリチル酸誘導体、スルホン系化合物、尿素又はチオ尿素系化合物等が挙げられ、その詳細は、例えば、紙パルプ技術タイムス(1985年)49−54項及び65−70項に記載されている。これらの中でも、特に融点が50℃〜250℃の物が好ましく、中でも60℃〜200℃の、水に難溶性のフェノール及び有機酸が望ましい。顕色剤を2種以上併用した場合には溶解性が増加するので望ましい。顕色剤の使用量は通常電子供与性染料前駆体1重量部に対して0.3〜160重量部、好ましくは0.3〜80重量部である。
【0044】
本発明に於いては、顕色剤を水に難溶又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた後、これを界面活性剤を含有し水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合して乳化分散した分散物を使用する。
【0045】
顕色剤を溶解する有機溶剤は、水に難溶又は不溶の有機溶剤の中から適宜選択することが出来る。特に、沸点150℃以下の有機溶剤を使用した場合には熱感度が良好であり好ましい。これらの有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、及びメチレンクロライド等を挙げることができる。
【0046】
本発明においては、これらの有機溶剤に適宜高沸点のエステル類や、前記感圧オイルを混合して用いることができるが、特に、顕色剤乳化分散物の安定の観点からエステル類を用いることが好ましい。
【0047】
エステル類としては、燐酸エステル類(例えば、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ブチル、燐酸オクチル、燐酸クレジルジフェニル)、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル)テトラヒドロフタル酸ジオクチル、安息香酸エステル(安息香酸エステル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ペンジル)、アビエチン酸エステル(アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、アゼライン酸ジオクチル、シュウ酸エステル(シュウ酸ジブチル、シュウ酸ペンチル、マロン酸ジエチル、マレイン酸エステル(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル)、クエン酸トリブチル、ソルビン酸エステル、(ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル)、エチレングリコールエステル類(ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステル、バルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステアリン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエステル及びジエステル、トリアセチン炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホウ酸エステル(ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル)等が挙げられる。これらの中でも、燐酸トリクレジルを単独または混合して使用した場合には顕色剤の乳化分散安定性が特に良好であり好ましい。
【0048】
顕色剤を溶解した油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することが出来るが、ポリビニールアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。又、水相に含有せしめる界面活性剤としては、アニオン性、ノニオン性又は両性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ)、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキルグリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0049】
本発明における顕色剤の乳化分散物は、顕色剤を含有する油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水和を、高速攪拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に用いられる手段を使用して混合分散せしめ容易に得ることができる。
【0050】
この乳化分散物には、適宜顕色剤の融点降下剤を添加することもできる。このような融点降下剤の中の1部は、前期カプセル壁のガラス転移点調節剤の機能も有する。このような化合物としては、例えば、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、スルホンアミド化合物、芳香族メトキシ化合物等があり、それらの詳細は、例えば特開昭59−244190号に記載されている。
これらの融点降下剤は、融点を低下せしめる顕色剤1重量部に対し0.1〜2重量部、好ましくは0.5〜1重量部の範囲で適宜使用することができるが、融点降下剤とそれによって融点が降下する顕色剤は、同一の箇所に使用することが好ましい。異なった箇所に使用する場合には、上記の添加量の1〜3倍量を添加することが好ましい。
【0051】
本発明の感熱記録材料は適当なバインダーを用いて塗工することができる。本発明におけるバインダーとしてはポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビヤゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、カゼイン、スチレンブタジエンラテックス、アクリロニトリルーブタジエンラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種エマルジョンを用いることができる。使用量は固形分として0.5〜5g/m2 である。感熱記録材料層の塗布量は2.5〜25g/m2 が好ましい。
【0052】
本発明の感熱記録材料記録材料は、電子供与性染料前駆体を内包したマイクロカプセル及び少なくとも顕色剤を乳化分散した分散物、バインダー等その他の添加物を含有した塗布液を作り、紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上にバー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、デイップ塗布等の塗布方法により塗布乾燥することで製造される。このようにして製造した感熱材料の感熱層は、きわめて良好な透明性を有する。
【0053】
本発明の感熱記録材料の支持体には、目的、用途に応じて、透明支持体、紙等の不透明支持体の双方が用いられるが、本発明の透明感熱記録材料には透明支持体を使用することが好ましい。この透明支持体を使用することにより、熱記録後の記録物をOHPシート等に用いることができるのみならず、シヤーカステン上で透明画像として見ることもできる。透明支持体の両面に、それぞれ相異なる色相に発色する感熱層を設けることにより、多色化も容易となる。ここで言う透明支持体とは、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルのフイルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体のフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン等のポリ才レフィンのフィルム等があり、これらを単体で或は貼り合わせて用いることができる。透明支持体の厚みとしては20〜200μのものが用いられ、特に50〜100μのものが好ましい。
【0054】
本発明においては、透明支持体と感熱層の接着を高めるために両層の間に下塗層を設けることができる。下塗層の素材としては、ゼラチンや合成高分子ラテックス、ニトロセルロース等が用いられる。下塗層の塗布量は、0.1g/m2 〜2.0g/m2 の範囲にあることが好ましく、特に0.1g/m2 〜2.0g/m2 の範囲が好ましい。0.1g/m2 より少ないと支持体と感熱層との接着が充分でなく、また2.0g/m2 以上に増やしても支持体と感熱層との接着力は飽和に達しているのでコスト的に不利になる。下塗層は、感熱層がその上に塗布された時に感熱層中に含まれる水により下塗層が膨潤する場合には感熱層の画質が悪化することがあるので、硬膜剤を用いて硬化させることが望ましい。又、界面活性剤、帯電防止剤、消抱剤等を必要に応じて適宜添加することは、特性を損なわない限り何ら差し支えない。
【0055】
更に、下塗層を塗布する前には、支持体の表面を公知の方法により活性化処理することが望ましい。活性化処理の方法としては、酸によるエッチング処理、ガスバーナーによる火焔処理、あるいはコロナ放電処理、グロー放電処理等が用いられるが、コストの面あるいは簡便さの点から、米国特許第2,715,075号、同第2,846,727号、同第3,549,406号、同第3,590,107号等に記載されたコロナ放電処理が最も好適に用いられる。
【0056】
本発明の感熱記録材料は、上述した実質的に透明な感熱層が支持体の少なくとも片面に形成されていればよく、透明又は不透明な支持体の片面に前記感熱層を一層設ける態様、透明な支持体の両面に子となる色材の発色し得る実質的に透明な感熱層をそれぞれ一層づつ設ける態様、あるいは、公知の感熱層と積層する態様など、用途、目的に応じて様々な態様で用いることが可能である。
【0057】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
実施例1
(カプセル液の調製)
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−sec−ブチルアミノフルオラン14g、及びタケネートD−110N(武田薬品(株)製)10gを酢酸エチル20gの混合溶液に添加し、溶解した。この溶液を6重量%のポリビニルアルコール水溶液(クラレ(株)製PVA217E)112gに混合し、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)で8,000rpmで5分間乳化し、更に水142gとテトラエチレンペンタミン0.6gを加えて、50℃で3時間反応させてカプセルサイズ0.7μmのカプセル液を作製した。
【0058】
(顕色剤分散物の調製)
下記の構造式で表される顕色剤(a)7g、(b)9g、(c)9g、(d)2g、(e)2gを、5重量%のポリビニルアルコール水溶液(日本合成社製Z210)120gに分散し、シンマルエンタープライズ社製ダイノミルで微粒化し、粒子径(ホリバ社製LA500により測定)が0.45μmの顕色剤分散物を得た。
【0059】
【化10】
【0060】
(感熱材料の作製)
上記カプセル液5.0g、顕色剤乳化物10.0g、及び水5.0gを撹件混合して塗液を調製し、厚さ75μmの透明なポリエチレンテレフタレート支持体の片面に、固形分が15g/m2 になるように塗布し乾燥して感熱層を形成した。
【0061】
(保護層の作製)
上記感熱層の上に更に、下記の固形分組成となるように保護層を2.5g/m2 形成した。
ポリビニルアルコール 2重量部
(クラレ(株)製PVA124)
水酸化アルミニウム 3重量部
(昭和電工製ハイジライトH42S)
ステアリン酸亜鉛エマルジョン 0.2重量部
(中京油脂(株)製ハイドリンF115)
本発明の界面活性剤(1) 0.1重量部
【0062】
実施例2
保護層中の界面活性剤(1)0.1重量部を本発明の界面活性剤(2)0.2重量部に換えたほかは、実施例1と同様の方法で感熱記録材料を作製した。
実施例3
保護層中の界面活性剤(1)0.1重量部を本発明の界面活性剤(3)0.5重量部に換えたほかは、実施例1と同様の方法で感熱記録材料を作製した。
実施例4
保護層中の界面活性剤(1)0.1重量部を本発明の界面活性剤(4)0.15重量部に換えたほかは、実施例1と同様の方法で感熱記録材料を作製した。
【0063】
比較例1
保護層中の界面活性剤(1)をフッ素系のアニオン界面活性剤(大日本インキ(株)製、メガファックF120)0.1重量部に換えたほかは、実施例1と同様の方法で感熱記録材料を作製した。
比較例2
保護層中の界面活性剤(1)をノニオン系界面活性剤(大日本インキ(株)製、メガファックF142)0.2重量部に換えたほかは、実施例1と同様の方法で感熱記録材料を作製した。
比較例3
保護層中の界面活性剤(1)をカチオン系界面活性剤(大日本インキ(株)製、メガファックF150)0.4重量部に換えたほかは、実施例1と同様の方法で感熱記録材料を作製した。
【0064】
このようにして作製した実施例1〜4及び比較例1〜3の各試料の印画時のトルクをトルクメーター(AMHERST,N.H.社製)で測定した。また、サーマルイメージャーFTI1000(富士写真フイルム社製)で印画し、スティック発生の有無を調べた。スティック発生の評価は以下の基準による。
【0065】
5:スティック発生なし
4:わずかに発生
3:中程度発生
2:著しく発生
1:極めて著しく発生
【0066】
この評価基準によれば、3以下は実用レベルに達しないと評価される。
さらに、保護層塗布液の表面張力を保護層塗布液の調製直後と、調整後6時間経過後に表面張力計(協和科学社製)で測定した。以上の評価結果を下記表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例から、本発明の透明感熱記録材料はいずれも、トルクが小さく、スティッキング性も良好であることがわかった。さらに、保護層塗布液の表面張力の経時変化が少ないことから、この効果の経時的変化が少ないことがわかる。
一方、他の界面活性剤を用いた比較例の感熱記録材料では、ステックの発生が多発しており、さらに、保護層塗布液の表面張力が低下するため、経時的にスティッキング性が低下することがわかる。
【0069】
【発明の効果】
本発明の感熱記録材料は、優れた表面のスティッキング性を有し、且つ、その効果が経時的に安定しており、透明性にも優れるという効果を奏する。
Claims (2)
- 一般式(I)において、Rfは炭素数8〜20のパーフルオロアルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表すことを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
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