JP3683677B2 - 射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の射出成形機における射出用のノズル・シリンダは、図5に示すように、スクリュー103が回転自在にかつ軸方向に進退自在に配設されたシリンダ101と、シリンダ101の先端部に取り付けられたノズル102と、シリンダ101の後端のフランジ105に取り付けられたホッパ104を備え、このノズル・シリンダは、ホッパ104側からノズル102にかけて、供給部A、圧縮部B、計量部Cおよびノズル部D等の複数の加熱制御ゾーンに区分され、加熱制御ゾーンの供給部A、圧縮部Bおよび計量部Cでは、シリンダ101の外周面にそれぞれ加熱体(ヒータ)111a、111b、111cが設けられ、ノズル部Dにはノズル102の外周面に加熱体(ヒータ)111dが設けられている。そして、供給部A、圧縮部B、計量部Cおよびノズル部Dの各加熱制御ゾーンには、各ゾーンのノズル・シリンダ温度をそれぞれ計測する測温体112a〜112dが各ゾーンの適宜部位にそれぞれ設けられ、さらに、各加熱制御ゾーンのノズル・シリンダ温度を制御する制御器113a〜113d、およびそれぞれの制御器113a〜113dに接続して各加熱制御ゾーンA〜Dのノズル・シリンダ温度を所定の成形温度に設定するための温度設定器114a〜114dが設けられている。
【0003】
各加熱制御ゾーンのノズル・シリンダ温度は、樹脂材料の種類や金型条件等の成形条件に応じてそれぞれ設定されており、特に、供給部Aは、樹脂の予熱部であって樹脂が溶融しないように他の加熱制御ゾーンB〜Dに比べて最も低い温度に設定され、そして、通常は、圧縮部B、計量部Cおよびノズル部Dへと順次高い温度となるように設定され、ノズル部Dにおいて最も高い温度に設定されている。
【0004】
各加熱制御ゾーンA〜Dは、それぞれの制御器113a〜113dを介して、各加熱体111a〜111dに通電することより加熱され、そして、各加熱制御ゾーンA〜Dにそれぞれ設けられた測温体112a〜112dによって計測しながら、各温度設定器114a〜114dにより予め設定されている設定成形温度に達するまで加熱昇温され、設定成形温度に達した後は、各制御器113a〜113dによりそれぞれの加熱制御ゾーンA〜Dの設定成形温度を維持するように通常のPID制御に基づいて個別に制御されている。そして、全ての加熱制御ゾーンA〜Dのノズル・シリンダ温度がそれぞれ設定された設定成形温度に昇温した状態で樹脂の射出が行なわれるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の制御は、上述したように、各加熱制御ゾーン毎に個々に独立して制御され、また昇温させる場合も同様に独立して制御されている。
【0006】
そして、射出成形機における各加熱制御ゾーンの熱容量については、最も高い成形温度に設定されるノズル部Dの熱容量が最も小さく、最も低い成形温度に設定される供給部Aの熱容量が最も大きく形成されているけれども、各加熱制御ゾーンの加熱体の発熱容量は、連続成形時の樹脂の発熱なども勘案して決定されるために、必ずしも被加熱体の熱容量にみあったものとなっていないのが現状である。そのために、各加熱制御ゾーンA〜Dにおいて、室温あるいは保温状態にある各加熱体への通電開始時から予め設定された成形温度に達するまでのそれぞれの昇温過程は、例えば、図6に示すように、各加熱制御ゾーンA〜Dによって異なり、特に、熱容量が最も小さく設定成形温度が最も高いノズル部Dで最も早く設定成形温度に達するが、他の加熱制御ゾーンはノズル部よりも遅れてそれぞれの設定成形温度に順次達している。
【0007】
したがって、ある加熱制御ゾーンのシリンダ温度が設定された成形温度に達しても、隣接する他の加熱制御ゾーンのシリンダ温度がまだ十分に昇温していない状態が生じ、このような状態においては、設定成形温度に達している加熱制御ゾーンの熱がそのゾーンに隣接する加熱制御ゾーンへ伝わり、熱の一部が取られてしまうために、設定成形温度に達している加熱制御ゾーンでは温度の不均一が生じて、該加熱制御ゾーンの一部では非常に高い温度に過加熱されてしまう事態が発生することがあった。特に、計量部Cやノズル部Dにおいて顕著であって、例えば、ノズル部Dの温度が設定成形温度に達しても、隣接する計量部Cの温度がまだ十分に昇温しておらず、このような状態においては、ノズル部Dの熱の一部が計量部Cに取られてしまうために、ノズル部Dで温度の不均一が生じて、該ノズル部Dの先端部では非常に高い温度に過加熱されてしまう事態が発生していた。また、昇温時においては、成形時と比較して見かけ上の伝達関数が変化するため、オーバーシュートも通常の場合より大きくなっていた。
【0008】
このような状態においては熱安定性の良くない樹脂などでは熱劣化や分解が生じてしまうため、ヤケやコンタミ等といった成形不良を生じる原因となっている。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、射出成形機におけるノズル・シリンダの複数の加熱制御ゾーンにおいて、全ての加熱制御ゾーンを常に同じ温度で上昇して行くように各加熱制御ゾーンの加熱量を制御するようにし、昇温時における過加熱による樹脂の熱劣化や分解を防止するとともに昇温のためのエネルギーを最小限に抑えることができる射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法は、射出成形機のノズル・シリンダを複数の加熱制御ゾーンに区分し、各加熱制御ゾーン毎に設けた加熱体により各加熱制御ゾーンを室温あるいは保温状態から予め設定された所定の成形温度までそれぞれ昇温させる射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法において、前記複数の加熱制御ゾーンのなかで最も温度上昇の遅い加熱制御ゾーンに合わせて各加熱制御ゾーンが同じ温度で上昇するように各加熱制御ゾーンの加熱体の加熱制御量を制御することを特徴とするものである。
【0011】
そして、本発明の射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法においては、複数の加熱制御ゾーンのなかで最も温度上昇の遅い加熱制御ゾーンの温度を計測して、該加熱制御ゾーンの温度上昇率から所定時間経過後の該加熱制御ゾーンの温度を予測し、その他の加熱制御ゾーンにおいて前記予測した温度を仮目標温度として当該加熱体の加熱制御量をそれぞれ演算し、該加熱制御量をもって対応する加熱体を逐次加熱するようにすることが好ましく、あるいは、複数の加熱制御ゾーンのなかで最も温度上昇の遅い加熱制御ゾーンの昇温速度に対するその他の加熱制御ゾーンの昇温速度の比率を予めそれぞれ計算し、該昇温速度比率に応じた補正係数を基にそれぞれ対応する加熱制御ゾーンの補正加熱制御量を演算し、該補正加熱制御量をもってそれぞれ対応する加熱制御ゾーンの加熱体を逐次加熱するようにすることが好ましい。
【0012】
【作用】
射出成形機のノズル・シリンダを複数の加熱制御ゾーンに区分し、各加熱制御ゾーン毎に設けた加熱体により各加熱制御ゾーンを予め設定された所定の成形温度までそれぞれ昇温させる射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法において、複数の加熱制御ゾーンのなかで最も温度上昇の遅い加熱制御ゾーンに合わせて各加熱制御ゾーン全てが同じ温度で上昇するように各加熱制御ゾーンの加熱体の加熱制御量を制御することにより、昇温時における過加熱を防止し、過昇温による樹脂の熱劣化や分解を防止するとともに、オーバーシュートや、他のゾーンが設定成形温度まで昇温するまでその温度を維持するために使われていた無駄なエネルギーを抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
先ず、本発明の第1の実施例にかかるノズル・シリンダ温度の昇温方法を説明する。図1は本発明の第1の実施例の昇温方法を実施するための制御装置の構成を示すブロック図であり、図2はその昇温方法のフローチャートを図示する。
【0015】
図1において、射出成形機における射出用のノズル・シリンダは、スクリュー3が回転自在にかつ軸方向に進退自在に配設されたシリンダ1と、シリンダ1の先端部に取り付けられたノズル2と、シリンダ1の後端のフランジ5に取り付けられたホッパ4を備え、ホッパ4側からノズル2にかけて、供給部A、圧縮部B、計量部C、ノズル部D等の複数の加熱制御ゾーンに区分され、加熱制御ゾーンの供給部A、圧縮部Bおよび計量部Cにおいては、シリンダ1の外周面にそれぞれ加熱体(ヒータ)11a、11b、11cが設けられ、ノズル部Dにはノズル2の外周面に加熱体(ヒータ)11dが設けられている。
【0016】
そして、各加熱制御ゾーンA〜Dには、加熱体11a〜11dを作動させてノズル・シリンダ温度を制御する制御器13a〜13dと、各加熱制御ゾーンA〜Dの外壁の適宜部位に埋設されて各加熱制御ゾーンの温度を計測するとともにその計測温度信号を制御器13a〜13dへ送る熱電対等からなる測温体12a〜12dと、制御器13a〜13dに接続して各加熱制御ゾーンA〜Dのノズル・シリンダ温度を所定の成形温度に予め設定するための温度設定器14a〜14dが設けられている。さらに、本実施例では、昇温速度の最も遅い加熱制御ゾーンの測温体12による計測温度に基づいて仮目標温度を設定する仮目標温度設定手段15を昇温速度の最も遅い加熱制御ゾーン以外の各制御器13に接続する。なお、昇温速度の最も遅い加熱制御ゾーンは予め実験や計算等を行なうことにより把握することができ、図1に示す第1の実施例では、昇温速度の最も遅い加熱制御ゾーンは供給部Aであると仮定して、供給部Aの測温体12aの計測温度に基づいて仮目標温度を設定する仮目標温度設定手段15b〜15dを供給部A以外の加熱制御ゾーンである圧縮部B、計量部Cおよびノズル部Dのそれぞれの制御器13b〜13dに接続している。
【0017】
以上のような構成を備えた制御装置における第1の実施例の昇温方法を図2に基づいて説明する。
【0018】
先ず、ノズル・シリンダにおける各加熱制御ゾーンA〜Dの温度設定器14a〜14dによりそれぞれ所定の成形温度T(Ta〜Td)を設定する。例えば、ノズル部Dにおいては温度設定器14dにより所定の成形温度Tdを設定する(ステップ1)。その後に、各加熱制御ゾーンの加熱体11a〜11dを作動させてそれぞれ昇温を開始し(ステップ2)、そして、所定の時間Δtの経過後に(ステップ3)、制御対象ゾーンである圧縮部B、計量部Cおよびノズル部Dの各加熱制御ゾーンのノズル・シリンダ温度Tn(Tbn〜Tdn)をそれぞれの測温体12b〜12dにより計測する(ステップ4)。ステップ5において、各加熱制御ゾーンにおける計測温度Tnと設定成形温度Tとを比較し、この計測温度Tn(Tbn〜Tdn)が設定成形温度T(Tb〜Td)に達しておれば、ステップ9にて、それ以降は通常のPID制御に基づいてその加熱制御ゾーンを制御する。また、この計測温度Tn(Tbn〜Tdn)が未だ設定成形温度T(Tb〜Td)に達していない場合(ステップ5)には、ステップ6で、最も昇温速度が遅いゾーンであって基準ゾーンとした供給部Aの現時刻nΔt(なお、n=1,2,3・・・・とする。)のシリンダ温度を測温体12aで計測し、その計測温度Tanを各制御対象ゾーンB〜Dのそれぞれの仮目標温度設定手段15b〜15dが受信する。そして、仮目標温度設定手段15b〜15dにおいて、基準ゾーンとする供給部Aにおける現時刻nΔtの温度Tanと(n−1)Δt時刻の温度Ta(n−1)とに基づいて、(n+1)Δt時刻における温度を線形外挿して予測演算し、この(n+1)Δt時刻の温度Ta(n+1)を求める(ステップ7)。
【0019】
次に、ステップ8にて、この予測演算した温度Ta(n+1)をそれぞれの制御対象ゾーンB〜Dの仮の目標温度として、現時刻の計測温度Tn(Tbn〜Tdn)からその仮目標温度Ta(n+1)まで昇温するためのそれぞれの制御対象ゾーンB〜Dの加熱体11b〜11dの加熱制御量Qn(Qbn〜Qdn)を演算して、この加熱制御量Qn(Qbn〜Qdn)に基づいてそれぞれの加熱体11b〜11dを加熱する(ステップ8)。その後、ステップ3において、さらに所定の時間Δt経過後の(n+1)Δt時刻に制御対象ゾーンB〜Dのノズル・シリンダ温度を測温体12b〜12dにより計測し、その時点(n+1)Δtの計測温度と設定成形温度Tb〜Tdとを比較し、設定成形温度に達しておれば、ステップ9でそれ以降は通常のPID制御に基づいて加熱制御ゾーンを制御し、設定成形温度に達していない場合には、さらに、ステップ6〜8およびステップ3〜5を繰り返すことにより、制御対象ゾーンB〜Dの加熱体11b〜11dを加熱し所定の設定成形温度T(Tb〜Td)まで昇温する。なお、基準ゾーンとした供給部Aにおけるシリンダ温度の昇温は、温度設定器14aにより設定された成形温度Taに達するまで制御器13aを介して加熱体11aを作動させることにより通常の加熱が行なわれ、設定成形温度Taに達した後は他の加熱制御ゾーンと同様に通常のPID制御に基づいて制御されることはいうまでもない。
【0020】
なお、ノズル部Dにおけるステップ5〜9の制御について特に説明すると、測温体12dによる計測温度Tdnと設定成形温度Tdとを比較し(ステップ5)、この温度Tdnが設定成形温度Tdに達しておれば、ステップ9にて、それ以降は通常のPID制御に基づいてノズル部Dの温度を制御する。一方、計測温度Tdnが未だ設定成形温度Tdに達していない場合(ステップ5)には、ステップ6で、基準ゾーンである供給部Aの現時刻nΔtのシリンダ温度を測温体12aで計測し、その計測温度Tanをノズル部Dの仮目標温度設定手段15dが受信し、仮目標温度設定手段15dにおいて、基準ゾーンの供給部Aにおける現時刻nΔtの温度Tanと(n−1)Δt時刻の温度Ta(n−1)とに基づいて、(n+1)Δt時刻における温度を線形外挿して予測演算し、この(n+1)Δt時刻の温度Ta(n+1)を求め(ステップ7)、そしてステップ8にて、この予測演算した温度Ta(n+1)をノズル部Dの仮目標温度として、現時刻の計測温度Tdnからその仮目標温度Ta(n+1)まで昇温するためのノズル部Dの加熱体11dの加熱制御量Qdnを演算して、この加熱制御量Qdnに基づいて加熱体11dを加熱し(ステップ8)、その後、さらに所定の時間Δt経過後にノズル部Dのノズル・シリンダ温度を測温体12dにより計測し(ステップ4)、その時刻(n+1)Δtの計測温度Td(n+1)と設定成形温度Tdとを比較する(ステップ5)こととなる。
【0021】
このように本実施例においては、各加熱制御ゾーンの昇温過程を、最も昇温速度が遅いゾーンに合わせて各ゾーン全てが常に同じ温度で上昇させて行くことができ、これによって、一部の加熱制御ゾーンにおける昇温時の過加熱を防止し、過加熱による樹脂の熱劣化や分解を防止することができ、さらに、オーバーシュートや、他のゾーンが設定成形温度まで昇温するまでその温度を維持するために使われていた無駄なエネルギーを抑えることができる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施例にかかるノズル・シリンダ温度の昇温方法を説明する。図3は本発明の第2の実施例の昇温方法を実施するための制御装置の構成を示すブロック図であり、図4はその昇温方法のフローチャートを図示する。
【0023】
図3において、射出成形機における射出用のノズル・シリンダは、スクリュー3が回転自在にかつ軸方向に進退自在に配設されたシリンダ1と、シリンダ1の先端部に取り付けられたノズル2と、シリンダ1の後端のフランジ5に取り付けられたホッパ4を備え、ホッパ4側からノズル2にかけて、供給部A、圧縮部B、計量部C、ノズル部D等の複数の加熱制御ゾーンに区分され、加熱制御ゾーンの供給部A、圧縮部Bおよび計量部Cにおいては、シリンダ1の外周面にそれぞれ加熱体(ヒータ)21a、21b、21cが設けられ、ノズル部Dにはノズル12の外周面に加熱体(ヒータ)21dが設けられ、各加熱制御ゾーンのノズル・シリンダ温度を計測するとともにその計測温度信号を制御器23a〜23dに送る熱電対等からなる測温体22a〜22dが各ゾーンの外壁の適宜部位に埋設されている。これらの構成は前述した第1の実施例のものと同様である。
【0024】
そして、各加熱制御ゾーンA〜Dには、加熱体21a〜21dを作動させて各ゾーンのノズル・シリンダ温度を制御する制御器23a〜23dと、各ゾーンA〜Dのノズル・シリンダ温度を所定の成形温度に予め設定するために制御器23a〜23dにそれぞれ接続された温度設定器24a〜24dと、補正制御器26a〜26dおよび補正係数設定器27a〜27dを具備し、補正係数設定器27a〜27dは予め求められる補正係数Ka〜Kdを設定するためのものであり、補正係数設定器27a〜27dにより設定される補正係数Ka〜Kdを補正制御器26へ入力するように構成されている。
【0025】
次に、補正係数K(Ka〜Kd)について説明すると、本実施例においても、各加熱制御ゾーンA〜Dの温度上昇(昇温速度)を、各ゾーンの中で最も温度上昇の遅いゾーンを基準として、その他のゾーンの温度上昇をその基準とするゾーンの温度上昇に合わせて、各ゾーン全てが常に同じ温度で上昇するように構成するものである。そこで、予め実験や計算等によって、各加熱制御ゾーンA〜Dの通常の加熱量によりそれぞれの加熱体21a〜21dを加熱して昇温する際に、各ゾーンの中で最も温度上昇の遅いゾーンを把握して特定し、この温度上昇の最も遅いゾーンを基準ゾーンとして、各加熱制御ゾーンの昇温速度と前記基準ゾーンの昇温速度との比率をそれぞれ算出し、この昇温速度比率に応じた各ゾーンの補正係数K(Ka〜Kd)を求め、各加熱制御ゾーンにおける加熱体の通常の加熱制御量Q(Qa〜Qd)にそれぞれの補正係数K(Ka〜Kd)を乗じた補正加熱制御量K×Q(Ka×Qa〜Kd×Qd)を用いてそれぞれの加熱体21a〜21dを加熱制御することにより、各ゾーン全てを常に同じ温度で上昇させるものである。
【0026】
以上のような構成を備えた制御装置における第2の実施例の昇温方法を図4に基づいて説明する。
【0027】
先ず、ステップ11において、各加熱制御ゾーンA〜Dの温度設定器24a〜24dによりそれぞれ所定の設定成形温度T(Ta〜Td)を設定し、さらに、予め算出されている各加熱制御ゾーンA〜Dの基準ゾーンに対する昇温速度比率に応じた補正係数K(Ka〜Kd)を補正係数設定器27a〜27dによりそれぞれ設定する。その後に、各加熱制御ゾーンA〜Dの昇温を開始し(ステップ12)、各加熱制御ゾーンのノズル・シリンダ温度を測温体22a〜22dにより計測し(ステップ13)、各加熱制御ゾーンの計測温度Tn(Tan〜Tdn)と各ゾーンの設定成形温度T(Ta〜Td)とをそれぞれ比較し(ステップ14)、各加熱制御ゾーンにおいて計測温度Tnが設定成形温度Tに達しておれば、ステップ18により、その加熱制御ゾーンはそれ以降は通常のPID制御に基づいてノズル・シリンダ温度を制御する。この計測温度Tn(Tan〜Tdn)が未だ設定成形温度T(Ta〜Td)に達していない場合には、ステップ15で、通常の制御式に基づいて、各加熱制御ゾーンの加熱体21a〜21dの加熱制御量Q(Qa〜Qd)をそれぞれ算出するとともに、ステップ16で、各加熱制御ゾーンのそれぞれの加熱制御量Q(Qa〜Qd)に、予め補正係数設定器27a〜27dにより設定されている昇温速度比率に応じた補正係数K(Ka〜Kd)をそれぞれ乗じて、それぞれの加熱制御ゾーンにおける昇温時の補正加熱制御量K×Q(Ka×Qa〜Kd×Qd)を算出する。
【0028】
次に、各加熱制御ゾーンにおいて、それぞれの昇温時の補正加熱制御量K×Q(Ka×Qa〜Kd×Qd)に基づいてそれぞれの加熱体21a〜21dを加熱制御する(ステップ17)。その後、ステップ13においてさらに制御対象ゾーンのノズル・シリンダ温度を測温体22a〜22dにより計測し、その時点の計測温度T(n+1)と設定成形温度T(Ta〜Td)とをそれぞれ比較し、以後、それぞれの設定成形温度Tの達していない場合には、所定の設定成形温度Tに達するまで、ステップ13〜17を繰り返して所定の設定成形温度まで昇温する。
【0029】
本実施例は、各加熱制御ゾーンにおいて、以上のようなステップを繰り返すことにより、各加熱制御ゾーンの昇温過程を、最も昇温速度が遅いゾーンに合わせて各ゾーン全てが常に同じ温度で上昇させて行くことができ、このように制御することにより、一部の加熱制御ゾーンにおける昇温時の過加熱を防止し、過加熱による樹脂の熱劣化や分解を防止することができ、さらに、オーバーシュートや、他の加熱制御ゾーンが設定成形温度まで昇温するまでその温度を維持するために使われていた無駄なエネルギーを抑えることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、上述のように構成されているので、射出成形機におけるノズル・シリンダの複数の加熱制御ゾーンを常に同じ温度で上昇させることができるので、昇温時における過加熱を防止し、過加熱による樹脂の熱劣化や分解を防止できるとともに、ノズル・シリンダに加える昇温のためのエネルギーを最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノズル・シリンダ温度の昇温方法の第1の実施例を実施する制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のノズル・シリンダ温度の昇温方法の第1の実施例のフローチャートである。
【図3】本発明のノズル・シリンダ温度の昇温方法の第2の実施例を実施する制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のノズル・シリンダ温度の昇温方法の第2の実施例のフローチャートである。
【図5】従来の射出成形機における射出用のノズル・シリンダの加熱装置を概略的に示すブロック図である。
【図6】従来の射出成形機におけるノズル・シリンダにおける加熱制御ゾーン毎の温度上昇状態を示すグラフである。
【符号の説明】
A、B、C、D 加熱制御ゾーン
1 シリンダ
2 ノズル
3 スクリュー
4 ホッパ
11(11a〜11d) 加熱体
12(12a〜12d) 測温体
13(13a〜13d) 制御器
14(14a〜14d) 温度設定器
15(15b〜15d) 仮目標温度設定手段
21(21a〜21d) 加熱体
22(22a〜22d) 測温体
23(23a〜23d) 制御器
24(24a〜24d) 温度設定器
26(26a〜26d) 補正制御器
27(27a〜27d) 補正係数設定器
Claims (3)
- 射出成形機のノズル・シリンダを複数の加熱制御ゾーンに区分し、各加熱制御ゾーン毎に設けた加熱体により各加熱制御ゾーンを室温あるいは保温状態から予め設定された所定の成形温度までそれぞれ昇温させる射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法において、前記複数の加熱制御ゾーンのなかで最も温度上昇の遅い加熱制御ゾーンに合わせて各加熱制御ゾーンが同じ温度で上昇するように各加熱制御ゾーンの加熱体の加熱制御量を制御することを特徴とする射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法。
- 複数の加熱制御ゾーンのなかで最も温度上昇の遅い加熱制御ゾーンの温度を計測して、該加熱制御ゾーンの温度上昇率から所定時間経過後の該加熱制御ゾーンの温度を予測し、その他の加熱制御ゾーンにおいて前記予測した温度を仮目標温度として当該加熱体の加熱制御量をそれぞれ演算し、該加熱制御量をもって対応する加熱体を逐次加熱するようにしたことを特徴とする請求項1記載の射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法。
- 複数の加熱制御ゾーンのなかで最も温度上昇の遅い加熱制御ゾーンの昇温速度に対するその他の加熱制御ゾーンの昇温速度の比率を予めそれぞれ計算し、該昇温速度比率に応じた補正係数を基にそれぞれ対応する加熱制御ゾーンの補正加熱制御量を演算し、該補正加熱制御量をもってそれぞれ対応する加熱制御ゾーンの加熱体を逐次加熱するようにしたことを特徴とする請求項1記載の射出成形機におけるノズル・シリンダ温度の昇温方法。
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