JP4163394B2 - 加圧通電焼結装置およびそのパンチ温度制御方法 - Google Patents

加圧通電焼結装置およびそのパンチ温度制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加圧通電焼結装置およびそのパンチ温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
加圧通電焼結装置は一般に図2に示すように、被焼結粉体aを詰めた焼結型1、上下パンチ2,3のセットを上部電極4と下部電極5の間に配し、加圧力Pを焼結粉体に付加した状態で、直流パルス、直流又は交流電源により電流を上下部電極4,5間に付与することにより、焼結型1、上下パンチ2,3のセットを所定の温度に昇温させ被焼結粉末aを焼き固める装置である。焼結型1とパンチ2,3は通電発熱の為に均質な電気抵抗及び焼結に必要な温度での耐高温特性を両立させる必要が有ることから、黒鉛、超硬等が一般に用いられる。昇温度は焼結対象材により異なるが500〜2000℃の高温になる為、パンチ2,3を介して直接高温に曝される上下部電極4,5は水冷機能を具備している。
従来、電極冷却水は装置保護の観点から水量を決めており、パンチ2,3からの抜熱量、即ちパンチ温度に対しては特に規定していなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例では、直径で約30mm以下の小サイズ焼結では、全体マスが小さく焼結型、パンチの温度不均一に起因する焼結ムラは少ないが、大型サイズでは、上下面温度差に起因すると見られる厚さ方向の不均一(密度、組成状態)を生じ、焼結後に残留応力により割れが発生する場合がある。またこれらの不均一品質は最終製品として機能を満たさないケースも多い。
【0004】
上記の問題について本発明者らが鋭意研究した結果、以下の事が判明した。
パンチ上下面の温度差をパンチ2,3と電極間4,5に設けたスペーサ6,7(黒鉛)に熱電対を挿入し、上下電極4,5への冷却水量を一定にした状態で焼結中の温度変化を測定すると、上下スペーサ6,7の温度差は、通電開始から焼結完了までの時間を通し、時々刻々変化することが判明した。この温度差は上部、下部でどちらか一方が常に高いという訳ではなく、投入電流量、型の温度上昇によりその差が広がったり、縮まったり、場合によっては逆転する場合もある。この原因として、スペーサ6,7と接触している電極からの抜熱量が冷却水温の上昇により変化しているとみられ、上下電極4,5の水量差、冷却経路の長さの差が影響していると仮定できる。この温度差は同一条件で繰り返し焼結を行っても完全な再現性はみられ無い事から、最終製品のバラツキの大きな要因になっていると推定される。
温度差を無くする対策として、上下電極4,5の水量をあらかじめ差を付けておくことが考えられるが、上述の如く、焼結時間と共に上下パンチ2,3の温度差が変化することから、最終的に均一な温度状態に達するとは言えない。この為、焼結の進行に合わせて動的に上下電極4,5の冷却水量を変化させる必要がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑み、上下のパンチ温度の差を最小化して、焼結製品の品質の向上と均質化を図る装置および方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の加圧通電焼結装置は、焼結型と、該焼結型に入れられた被焼結粉末を加圧するための上部パンチおよび下部パンチと、前記上部パンチと前記下部パンチを加圧し、通電する上部電極および下部電極と、前記上部電極と前記下部電極それぞれ冷却水を供給する上部給水ラインおよび下部給水ラインと、該上・下部給水ラインに介装された上部バルブおよび下部バルブと、前記上部パンチおよび前記下部パンチの温度をそれぞれ検出し、上・下部パンチの温度を対比して、その温度差を許容値と対比して、その温度差が許容値以下となるように、前記上部バルブおよび(または)前記下部バルブを開閉する制御手段とからなることを特徴とする。
請求項2のパンチ温度制御方法は、焼結型と、該焼結型に入れられた被焼結粉末を加圧するための上部パンチおよび下部パンチと、前記上部パンチと前記下部パンチを加圧し、通電する上部電極および下部電極と、前記上部電極と前記下部電極それぞれ冷却水を供給する上部給水ラインおよび下部給水ラインと、該上・下部給水ラインに介装された上部バルブおよび下部バルブを備えている加圧通電焼結装置において、前記上部パンチおよび前記下部パンチの温度をそれぞれ検出し、上・下部パンチの温度を対比して、その温度差を許容値と対比して、その温度差が許容値以下となるように、前記上部バルブおよび(または)前記下部バルブを開閉することを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、上下部のパンチの温度差が許容値以下となるように、上下部の電極の冷却水量を変化させるので、時々刻々と変化する上下部のパンチ温度の差を最小化することができる。それにより、上下電極の水量差や冷却水路の長さの差などが影響していると仮定できる再現性のない温度差を最少化することにより焼結製品の均質化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、上下部電極の冷却水量を加減する事により、上下部パンチの差温を最小化できる。それにより、上下電極の水量差や冷却水路の長さの差などが影響していると仮定できる再現性のない温度差を最少化することから、焼結製品の厚さ方向の温度分布を均一化でき、その結果、密度や組成状態が均質であり、残留応力による割れの発生が生じない焼結製品を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る加圧通電焼結装置の説明図である。
図1において、焼結型1、上部パンチ2と下部パンチ3、上部電極4と下部電極5は図2の従来例と同様である。図示してないが、上部電極4と下部電極5には通電加熱用の電源が接続されており、加圧用のラム等で加圧できるようになっている。
この焼却装置では、金属、セラミック等の粉体を導電体でできた焼結型1に入れ、同様に導電体である上下のパンチ2,3により粉体を加圧した状態で、上下パンチ2,3から直接通電する事により、加熱・焼結させることができる。
【0009】
前記上部電極4には冷却水路が形成され、上部給水ライン8が接続され、この上部給水ライン8には上部バルブV1が介装されている。この上部バルブV1を開閉すると、上部電極4への給水量を増減できるようになっている。
また、前記下部電極5にも冷却水路が形成され、下部給水ライン9が接続され、この下部給水ライン9には、下部バルブV2が介装されている。この下部バルブV2を開閉すると、下部電極5への給水量を増減できるようになっている。
なお、これらのバルブV1,V2は付属の駆動源であるモータM1,M2等で自動開閉できるようになっている。
【0010】
前記上部パンチ2と前記上部電極4との間には上部スペーサ6が介在されており、この上部スペーサ6には温度計S1が取付けられている。また、前記下部パンチ3と前記下部電極5との間には、下部スペーサ7が介在されており、この下部スペーサ7には温度計S2が取付けられている。これらの温度計S1,S2としては、スペーサ6,7あるいはパンチ2,3の温度を計測できればどのようなセンサを用いてもよく、例えば熱電対が用いられる。また温度測定は、スペーサ6,7に限定するものではなく、上部・下部のパンチ2,3から取っても良い。
なお、S3は焼結型1の温度を検知する温度計である。
【0011】
Cは制御装置で、フィードバック制御を実行できるものであればよい。
この制御装置Cは、温度計S1,S2の検出温度T1,T2を取り込み、T1とT2の差温△Tを計算し、その差温△Tが許容範囲内か否かを判断し、差温△Tが許容範囲外であるときは、モータM1またはモータM2への駆動信号を発し、バルブV1またはバルブV2を開閉して、上部電極4および(または)下部電極5への冷却水供給量を加減し、差温△Tが許容範囲内に収まるように制御する。この制御動作は公知のPID制御でよい。
【0012】
上記の焼結装置の運転中、図1に示すように上部・下部スペーサ6,7に取り付けた温度計C1,C2で各スペーサ6,7の温度T1,T2を測定する。T1,T2の測温値を制御装置Cに取り込み温度差△T=T1−T2を計算する。△Tの絶対値が許容温度差、例えば5℃を超えた場合、PID制御回路により、上部、下部電極4,5を冷却している給水ライン8,9内に設けた流量調整可変バルブV1,V2の開度を調整して流量Q1,Q2を変えてスペーサ温度差△Tを所定内に戻していく。上下バルブV1,V2の開度調整は、どちらかのバルブを固定し、単独で行っても良く、上下で両方を用いても良い。
【0013】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、上下部のパンチの温度を測定し、その温度差が許容値以下となるように、上下部の電極の冷却水量を変化させて上下部のパンチ温度の差を最小化することができ、それにより焼結製品の均質化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、上下部電極の冷却水量を加減する事により、上下部パンチの差温を最小化できることから、焼結製品の厚さ方向の温度分布を均一化でき、その結果、密度や組成状態が均質であり、残留応力による割れの発生が生じない焼結製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る加圧通電焼結装置の説明図である。
【図2】従来の加圧通電焼結装置の説明図である。
【符号の説明】
1 焼結型
2 パンチ
3 パンチ
4 上部電極
5 下部電極
6 スペーサ
7 スペーサ
S1 温度計
S2 温度計
V1 上部バルブ
V2 下部バルブ
C 制御装置

Claims (2)

  1. 焼結型と、
    該焼結型に入れられた被焼結粉末を加圧するための上部パンチおよび下部パンチと、
    前記上部パンチと前記下部パンチを加圧し、通電する上部電極および下部電極と、
    前記上部電極と前記下部電極それぞれ冷却水を供給する上部給水ラインおよび下部給水ラインと、該上・下部給水ラインに介装された上部バルブおよび下部バルブと、
    前記上部パンチおよび前記下部パンチの温度をそれぞれ検出し、上・下部パンチの温度を対比して、その温度差を許容値と対比して、その温度差が許容値以下となるように、前記上部バルブおよび(または)前記下部バルブを開閉する制御手段と
    からなることを特徴とする加圧通電焼結装置。
  2. 焼結型と、
    該焼結型に入れられた被焼結粉末を加圧するための上部パンチおよび下部パンチと、
    前記上部パンチと前記下部パンチを加圧し、通電する上部電極および下部電極と、
    前記上部電極と前記下部電極それぞれ冷却水を供給する上部給水ラインおよび下部給水ラインと、該上・下部給水ラインに介装された上部バルブおよび下部バルブを備えている加圧通電焼結装置において、
    前記上部パンチおよび前記下部パンチの温度をそれぞれ検出し、上・下部パンチの温度を対比して、その温度差を許容値と対比して、その温度差が許容値以下となるように、前記上部バルブおよび(または)前記下部バルブを開閉する
    ことを特徴とする加圧通電焼結装置におけるパンチ温度制御方法。
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