JP3683317B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置に関し、特に、観察者の頭部又は顔面に保持することを可能にする頭部又は顔面装着式画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭部又は顔面装着式画像表示装置の従来の周知なものとして、特開平3ー101709号のものがある。図46(a)に全体の光学系を、図46(b)にその接眼光学系の部分を示すように、この画像表示装置は、画像表示素子の表示画像を正レンズよりなるリレー光学系にて空中像として伝達し、凹面反射鏡からなる接眼光学系でこの空中像を拡大して観察者の眼球内に投影するものである。
【0003】
また、従来の他のタイプのものとして、米国特許第4,669,810号のものがある。この装置は、図47に示すように、CRTの画像をリレー光学系を介して中間像を形成し、反射ホログラフィック素子とホログラム面を有するコンバイナによって観察者の眼に投影するものである。
【0004】
また、従来の他のタイプの画像表示装置として、特開昭62ー214782号のものがある。この装置は、図48(a)、(b)に示すように、画像表示素子を接眼レンズで拡大して直接観察できるようにしたものである。
【0005】
さらに、従来の他のタイプの画像表示装置として、米国特許第4,026,641号のものがある。この装置は、図49に示すように、画像表示素子の像を伝達素子で湾曲した物体面に伝達し、その物体面をトーリック反射面で空中に投影するようにしたものである。
【0006】
また、従来の他のタイプの画像表示素子として、米国再発行特許第27,356号のものがある。この装置は、図50に示すように、半透過凹面鏡と半透過平面鏡によって物体面を射出瞳に投影する接眼光学系である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図46、図47ような画像表示素子の映像をリレーするタイプの画像表示装置では、接眼光学系の形式によらず、接眼光学系以外にリレー光学系として数枚のレンズを用いなければならないため、光路長が長く、光学系は大型になり、重量も重くなる。
【0008】
また、図46(a)の接眼光学系のみの場合は、図46(b)に示すように、観察者に対して凹面を向けた反射面のみに正のパワーがあるため、図中、P1に示されるような負の像面湾曲が大きく発生してしまう。
【0009】
また、図48のようなレイアウトでは、観察者の顔面からの装置突出量が大きくなってしまう。さらに、画像表示素子と照明光学系がその突出した部分に取り付けられることになり、装置はますます大きく、重量も重くなってしまう。
【0010】
頭部装着式画像表示装置は、人間の身体、特に頭部に装着する装置であるため、装置が顔面から突出する量が大きいと、頭部で支持している点から装置の重心までの距離が長くなり、装着時のバランスが悪くなる。さらに、装置を装着して移動、回転等を行うときに装置が物にぶつかるおそれも生じる。
つまり、頭部装着式画像表示装置は、小型軽量であることが重要である。そして、この装置の大きさ、重量を決定する大きな要因は光学系の構成にある。
【0011】
しかしながら、接眼光学系として通常の拡大鏡のみを用いると、発生する収差は非常に大きく、それを補正する手段がない。拡大鏡の凹面の形状を非球面にすることで、ある程度球面収差が補正できても、コマ収差、像面湾曲等が残存するため、観察画角を大きくすると、実用的な装置にはなり得ない。あるいは、接眼光学系として凹面鏡のみを用いる場合には、通常の光学素子(レンズやミラー)のみではなく、図49に示すように、発生した像面湾曲に合わせて湾曲した面を有する伝達素子(ファイバープレート)によってこれを補正するという手段を用いなければならない。
【0012】
一方、図50に示すような、半透過凹面鏡と半透過平面鏡を用いて物体面を観察者の瞳に投影する共軸系の接眼光学系においては、半透過面を2枚用いているために、理論値でも像の明るさは1/16にまで低下してしまう。さらに、半透過凹面鏡によって発生する像面湾曲を物体面自体を湾曲させて補正を行っているため、LCD(液晶表示素子)等のいわゆるフラットディスプレイを画像表示素子として用いることが困難である。
【0013】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、広い画角において明瞭に観察が可能であり、像の明るさの低下がほとんど生じることがなく、さらに、非常に小型軽量であるために疲労し難い画像表示装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、正のパワーを有し、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の別の画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、接合レンズであり、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とするものである。
本発明のさらに別の画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、2つの偏心した光学面からなるプリズムであり、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とするものである。
本発明のもう1つの画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、前記観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置されており、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とするものである。
【0016】
以下に、本発明の画像表示装置の作用について説明する。以下の説明においては、光学系の設計上の利便性から、観察者の瞳位置から画像表示素子に向けて光線を追跡する逆光線追跡に基づいて説明する。なお、視軸とは、観察者が正面を向いて画像表示素子を観察した場合の軸上主光線を指す。
【0017】
本発明の基本的な構成においては、接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、この少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、観察者眼球から画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、この第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記の第1面と観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とによって構成されているために、視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された第2面で発生するコマ収差及び像面湾曲の補正を行うことが可能となり、広い射出瞳径と広い観察画角を持ち明瞭な観察像を観察者に提供することに成功したものである。
【0018】
一般に、凹面鏡では、凹面に強いパワーを持たせると、ペッツバール和が大きくなり、像面湾曲が発生し、さらに、内コマ収差が発生する。
本発明の接眼光学系では、第1光学素子において、第1面、第2面及び第3面によって形成される空間を屈折率が1より大きい媒質で満たすことによって、瞳からの光線が第1面において屈折されるため、軸外光線の主光線及び従属光線の第2面に入射する高さを低く抑える効果が得られる。主光線の高さが低いため、第2面が大きくならず、接眼光学系を小型にすることができる。また、従属光線高が低くなるために、第2面で発生するコマ収差、特に高次コマ収差の発生を抑えることが可能となる。
【0019】
より広画角な小型の画像表示装置になればなる程、最初の反射面である第2面の傾き角が大きくなり、高次コマ収差の発生が増える。また、面の傾きによって発生する非点収差も増大するため、第1面と第2面及び第3面によって形成される空間が屈折率が1より大きい媒質で満たされている第1光学素子のみでは、これらの収差補正を十分に行うことが困難になってしまう場合がある。
【0020】
そのため、観察者眼球と画像表示素子の間に、上述した第1光学素子に加えて第2光学素子を第1面と観察者眼球の間に配備することによって、接眼光学系で発生する収差の補正をより有効に行うことが可能となる。
【0021】
第1光学素子では、第2面とその後の第1面の内部反射は反射面であるため、それらの面で色収差は発生しない。また、画像表示素子に近接する第3面における主光線は光軸に略平行であるため、色収差の発生は少ない。したがって、接眼光学系の色収差は、屈折面である第1面での色収差の発生が支配的になる。また、本発明のような広画角な光学系では、軸上の色収差よりも倍率の色収差の方が顕著に現れる。つまり、第1面で発生する倍率の色収差の補正を行うことが重要であり、それによりより鮮明で高解像な画像を表示することを可能となる。そのために、接眼光学系の構成として、観察者眼球と画像表示素子の間に第1光学素子と屈折作用を有する第2光学素子を配備することによって、接眼光学系を構成する光学素子を2種類以上の媒質にすることができ、それらの媒質のアッべ数の違いによって倍率の色収差を補正することが可能となる。
【0022】
この第2光学素子が正のパワーを有する場合には、第2光学素子において軸外光線高を強く低くする作用を有し、また、全ての画角における光線束の従属光線高を抑える作用を有する。したがって、第1光学素子の第2面に入射する軸外の光線高がより低く抑えられるため、第1光学素子を小さく構成することができる。さらに、第2面における従属光線が絞られているために、偏心による収差を含めたコマ収差の発生を強力に抑える効果を有することとなる。
【0023】
この第2光学素子は正レンズとすることで、製作が容易となり、コストを安く抑えることが可能となる。また、通常のレンズの場合は、硝材を豊富に選択することができるため、色収差補正に有利である。
【0024】
この第2光学素子を接合レンズで構成することによって、第1光学素子の色収差と第2光学素子で発生する色収差を補正することができ、さらに鮮明な観察像を広画角で確保する場合に有効である。
【0025】
第2光学素子として、2つの偏心した光学面からなる特殊プリズムで構成することによって、第2光学素子のパワーを非対称にすることが容易となり、視軸に対して画像表示素子側の画像とその反対側の画像とでの非対称に発生するコマ収差を補正し、さらに鮮明で広画角を確保する場合に有効である。
【0026】
また、第2光学素子を観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置することで、レンズ、特殊プリズム等の形状に係わらず、視軸に対して画像表示素子側の画像とその反対側の画像での非対称に発生するコマ収差を補正し、画像表示素子を配置する面に対する光軸を略垂直にすることが可能となる。
【0027】
第1光学素子の第2面で反射した後の第1面での内部反射を全反射とすることが光学素子の大きさ、性能上有効に作用する。図41は第1光学素子7の光路を示す図であり、同図(a)に示すように、瞳1から出た光線は第1光学素子7の第1面3に入射し、屈折されて凹面鏡である第2面4で反射し、再び第1面3で内部反射する構成であるが、上側軸外光線Uの第2面4の反射高さと第2面4で反射した後の第1面3での反射高さの差が大きければそれだけ接眼光学系自体が長くなり、大型化する。つまり、反射点の高さの差が小さければ小さい程接眼光学系の大きさは小型にできる。言い換えれば、同じ大きさの接眼光学系ならば、その反射点の高さの差が小さい程観察画角を広くとることが可能になる。
【0028】
しかしながら、本発明の接眼光学系において、図41(b)のように、上側光線Uの第2面4と第1面3の反射高さの差を小さくすると、第1面3に入射する下側光線Lよりも上側で反射するため、第1面3が全反射面でない場合には、第1面3の屈折領域がミラーコート領域M’と重なり、下側の光線Lが遮られてしまう。
【0029】
第1面3での内部反射が全反射する条件を満たしていれば、第1面3にミラーコートを施す必要がないため、第2面4で反射後の上側光線Uと第1面3に入射する下側光線Lが第1面3で干渉しても、それぞれの光線は本来の作用ができることになる。
【0030】
また、偏心した凹面鏡である第2面4では、その反射角が大きくなればなる程コマ収差が大きく発生するが、第1面3で全反射する場合には、第2面4における反射角を小さくすることができるため、第2面4でのコマ収差の発生を抑制する効果を得ることができ。
【0031】
なお、第1面の内部反射が全反射条件を満足しない場合には、第1面の内部反射する領域においてミラーコートされている必要がある。
【0032】
また、第1光学素子の第1面、第2面及び第3面の何れか1面は偏心非球面であることが収差補正上有効である。これは、後記するように、観察者の視軸を原点から接眼光学系に向かう方向を正とするZ軸、観察者の視軸に直交し、観察者の眼球からみて上下方向の下から上を正とするY軸、観察者の視軸に直交し、観察者の眼球からみて左右方向の右から左を正とするX軸と定義した場合、Y方向に偏心又は視軸から傾いて配置される第2面で発生するコマ収差、特に高次コマ収差やコマフレアーを補正するために重要な条件である。
【0033】
本発明のように、観察者眼球の前方に偏心あるいは傾いた反射面を有するタイプの接眼光学系を用いる画像表示装置においては、軸上においても反射面に入射する光線は斜めになるために、複雑なコマ収差が発生する。この複雑なコマ収差は反射面の傾き角が大きくなるに従って大きくなる。しかしながら、小型で広画角の画像表示装置を実現しようとすると、偏心量又は傾き角をある程度大きくしないと画像表示素子と光路が干渉する。そのため、広画角で小型の画像表示装置になればなる程反射面の傾き角が大きくなり、高次コマ収差の発生を如何に補正するかが重要な問題となる。
【0034】
このような複雑なコマ収差を補正するためには、第1光学素子を構成する第1面、第2面、第3面の何れか1面を偏心した非球面とすることで、光学系のパワーを視軸に対して非対称な構成にすることができ、さらに、軸外においては非球面の効果を利用することができるため、軸上を含めたコマ収差の補正を有効に行うことが可能となる。
【0035】
上記において、第1光学素子の第1面、第2面及び第3面の何れか1面はアナモフィック面であることが重要である。つまり、Y−Z面内の曲率半径とこの面と直交するX−Z面内の曲率半径が異なる面であることである。この条件は、第2面が視軸に対して偏心あるいは傾いているために起こる収差を補正するための条件である。一般に、球面が偏心していると、その面に入射する光線は、入射面内と入射面に直交する面内で光線に対する曲率が異なる。このため、本発明のように、観察者眼球の前に反射面が視軸に対して偏心あるいは傾いて配置されている接眼光学系では、観察画像中心に当たる視軸上の観察像も上記理由により非点収差が発生する。この軸上を含めた非点収差を補正するためには、第1光学素子の第1面、第2面及び第3面の何れか1面の曲率半径は、入射面内とこれに直交する面内において異なるものとすることによって、軸上を含めた非点収差を補正することができ、クリアーな観察像を提供することができる。
【0036】
第1光学素子の第2面のY−Z面内における曲率半径をRy2、第2面のX−Z面内における曲率半径をRx2とするとき、
Ry2/Rx2≧1 ・・・(1)
を満たすことが好ましい。
【0037】
(1)式は、第2面が視軸に対して傾いているために起こる収差、特に、軸上を含む非点収差を補正するための条件である。一般的には、画角が大きくなると高次の非点収差が現れ、凸レンズ系では子午像は画角が大きくなると負の方向に大きくなり、球欠像は正の方向に大きくなる。これらの非点収差を補正するためには、子午面内のパワーを小さくし、球欠面内のパワーを大きくするような光学系の構成にすることが必要となる。したがって、1つの面における曲率半径ではY方向を大きく、X方向を小さくすることになる。
【0038】
本発明の接眼光学系において、主な正のパワーを持つ面は第2面の反射面であるため、他の面でY−Z面内の曲率半径とX−Z面内の曲率半径に差を持たせるよりも、第2面が(1)の条件を満たすことによって非点収差補正の効果を大きく持たせることが可能となり、収差補正上より好ましい。
【0039】
次に、第1光学素子の第1面は第2面に対して凸面を向けた反射面であることが有効である。第2面は接眼光学系全体の主な正のパワーを有する反射面であるため、上述したコマ収差の他に像面湾曲も大きく発生している。第1面を負のパワーを持つ面とすることで、第2面で発生する内コマ収差とは逆のコマ収差をこの面で発生させ、コマ収差を補正させることが可能である。さらに、第2面で発生する像面湾曲に対して、第3面で逆の像面湾曲を発生させて像面湾曲の補正を同時に行うことが可能となる。
【0040】
また、第1面の内部反射を全反射とする場合には、第1面での全ての光線の反射角が臨界角θr =sin-1(1/n)よりも大きいことが条件となる(ただし、nは光学系の媒質の屈折率である。)。例えば、n=1.5の場合は、θr =41.81°であり、それ以上の反射角が必要である。以下、図によって説明する。
【0041】
図42に第2面4で反射した後、第1面3で内部反射する部分の説明図を示す。図(a)は第1面3が第2面4に向かって凹面の場合、図(b)は第1面3が第2面4に向かって凸面の場合である。第2面4で反射後の光線は、それぞれの光線がある角度をもって下側に反射される。図42(a)に示すように、第1面3が第2面4に対して凹面を向けた反射面の場合、第1面3の法線Sは第2面4に対して内側に向かう方向になる。第2面4で反射した下側光線Lは第1面3の法線に沿った方向から入射するため、第1面3での反射角γを大きくすることができない。つまり、第1面3で反射した光線全てに対して全反射条件を満たすことは困難である。逆に、図42(b)のように、第1面3が第2面4に対して凸面の形状をしている場合には、第1面の法線S’は第2面4に対して外側に発散する方向になるため、下側光線Lに対しても反射角γ’を大きくする効果が得られ、広い画角において第1面3における全反射条件を満たすことが容易となる。また、第1面3が第2面4に対して凸面を向けることで、第1光学素子と観察者顔面との間に第2光学素子を配設するスペースが大きくなり、第2光学素子を配置する上で有効である。
【0042】
また、第1光学素子の第1面及び第3面に何れか1面は視軸に対してティルトあるいはディセンタリングしていることが望ましい。第1面及び第3面の何れか1面がティルトあるいはディセンタリングすることにより、視軸に対して画像表示素子側の画像とその反対側の画像での非対称に発生するコマ収差の補正や、画像表示素子を配置する面を第2面での反射後の光軸に対して略垂直に配置することが可能となる。これは、視野角特性の良くない画像表示素子を用いるときに有効となる。
【0043】
また、第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることが望ましい。
【0044】
これは本発明の画像表示装置の接眼光学系と画像表示素子とを適切な位置に配備するための条件である。(2)式の下限の5°を越えて小さくなると、第2面で反射後の光線が第1光学素子内部における第1面の反射において、入射角が小さくなりすぎるため、臨界角以下になり全反射の条件を満たすことが困難になる。上限の30°を越えて大きくなると、第2面での反射角が大きくなり、第2面で発生するコマ収差が他の面で補正できない程大きくなってしまう。さらに、第2面と第1面の反射点が離れすぎてしまい、第1光学素子が非常に大きくなってしまう。
【0045】
以上において、画像表示素子の表示面は、前記観察者視軸に対して傾いて配備されていることが有効である。光学素子を構成する屈折面あるいは反射面が偏心又は傾いている場合、瞳からの光線は屈折面あるいは反射面での屈折角又は反射角が像高によって異なり、像面が視軸に対して傾くことがある。その場合、画像表示素子面を視軸に対して傾いて配備することで、像面の傾きを補正することが可能となる。
【0046】
また、画像表示素子と接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする手段を有することによって、観察者は安定した観察像を観察することが可能となる。
【0047】
また、画像表示素子と接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする手段を有し、観察者頭部に装着できるようにすることによって、観察者は自由な観察姿勢や観察方向で画像を観察することが可能となる。
【0048】
また、少なくとも2組の画像表示装置を一定の間隔で支持する支持手段を有することによって、観察者は左右両眼で楽に観察することが可能となる。また、左右の画像表示面に視差を与えた画像を表示し、両眼でそれらを観察することによって、立体像を楽しむことが可能となる。
【0049】
さらに、接眼光学系における画像表示素子面を像面として、無限遠の物体を結像させるように構成することで、後記するように、図45に示すようなカメラのファインダー光学系等の結像光学系として利用することが可能である。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の画像表示装置の実施例1から10について、それぞれの単眼用の接眼光学系の断面図である図1〜図10を参照して説明する。
各実施例の構成パラメータは後記するが、以下の説明において、面番号は、観察者の瞳位置1から接眼光学系9へ向う逆追跡の面番号として示してある。そして、座標の取り方は、図1に示すように、観察者の虹彩位置1を原点とし、観察者視軸2を原点から接眼光学系9に向かう方向を正とするZ軸、観察者視軸2に直交し、観察者眼球から見て上下方向の下から上を正とするY軸、観察者視軸2に直交し、観察者眼球からみて左右方向の右から左を正とするX軸と定義する。つまり、紙面内をYーZ面とし、紙面と垂直方向の面をX−Z面とする。また、光軸は紙面のY−Z面内で折り曲げられるものとする。
【0051】
そして、後記する構成パラメータ中において、偏心量Y,Zと傾き角θが記載されている面については、基準面である1面(瞳位置1)からのその面の面頂のY軸方向、Z軸方向の偏心量、及び、その面の中心軸のZ軸からの傾き角を意味し、その場合、θが正は反時計回りを意味する。なお、偏心量Y,Zと傾き角θの記載のない面は、その前の面と同軸であることを意味する。ただし、実施例5の4面に関しては、その前の3面を基準面とし、3面の中心軸に沿って記載の面間隔(1.000)の位置を基準点にし、その基準点から偏心量Yの点が4面の面頂になり、3面の中心軸から傾き角θだけ傾いた軸が4面の中心軸になる。
【0052】
また、面間隔は、2面に関しては1面からのZ軸に沿う距離であり、その位置が基準点になり、その基準点から偏心量Yの点が2面の面頂になる。同軸系部分についてはその面から次の面までの軸上間隔である(ただし、上記のように、実施例5の3面と4面は同軸ではない。)。なお、面間隔は、光軸に沿って逆追跡の方向を正として示してある。
【0053】
また、各面において、非回転対称な非球面形状は、その面を規定する座標上で、Ry 、Rx はそれぞれY−Z面(紙面)内の近軸曲率半径、X−Z面内での近軸曲率半径、Kx 、Ky はそれぞれX−Z面、Y−Z面内の円錐係数、AR、BRはそれぞれZ軸に対して回転対称な4次、6次の非球面係数、AP、BPはそれぞれZ軸に対して回転非対称な4次、6次の非球面係数とすると、非球面式は以下に示す通りである。
【0054】
また、各面において、回転対称な非球面形状は、Rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A、Bはそれぞれ4次、6次の非球面係数、hはh2 =X2 +Y2 とすると、非球面式は以下に示す通りである。
Z =(h2/R)/[1+{ 1-(1+K) ( h2/R2)}1/2 ]+Ah2 +Bh6
なお、面と面の間の媒質の屈折率はd線の屈折率で表す。長さの単位はmmである。
【0055】
さて、以下に示す実施例は全て右眼用の接眼光学系9であり、左眼用は構成す光学要素を全てY−Z面に対称に配備することで実現できる。
また、実際の装置においては、接眼光学系9によって光軸が屈曲する方向は、観察者の上方あるいは下方、側方何れの方向にあってもよいことは言うまでもない。
【0056】
それぞれの断面図において、図中、1は観察者瞳位置、2は観察者視軸、3は第1光学素子の第1面、4は第1光学素子の第2面、5は第1光学素子の第3面、6は画像表示素子、7は第1光学素子、8は第2光学素子、9は接眼光学系である。
【0057】
各実施例における実際の光線経路は、実施例1を例にとると、次のようになる。すなわち、画像表示素子6から発した光線束は、第1光学素子7の第3面5で屈折して接眼光学系9に入射し、第1面3で内部反射し、第2面4で反射されて、再び第1面3に入射して屈折され、第2光学素子8を経て観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0058】
実施例1
本実施例の断面図を図1に示すが、本実施例は水平画角55°、垂直画角42.7°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、4面、5面、6面、7面、8面はY方向とZ方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面、7面は球面、4面、5面、6面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心していない正レンズ1枚からなる。
【0059】
実施例2
本実施例の断面図を図2に示すが、本実施例は水平画角60°、垂直画角46.8°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、2面、4面、5面、6面、7面、8面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、7面は球面、3面は回転対称な非球面、4面、5面、6面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心した正レンズ1枚からなる。
【0060】
実施例3
本実施例の断面図を図3に示すが、本実施例は水平画角50°、垂直画角39.5°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、2面、3面、4面、5面、6面、7面、8面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面、7面は球面、4面、5面、6面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心した2面で構成された偏心プリズムからなる。
【0061】
実施例4
本実施例の断面図を図4に示すが、本実施例は水平画角55°、垂直画角42.6°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、6面、7面、8面、9面、10面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面、4面、5面、9面は球面、6面、7面、8面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心していないレンズ2枚からなる。
【0062】
実施例5
本実施例の断面図を図5に示すが、本実施例は水平画角55°、垂直画角42.6°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、2面、4面、6面、7面、8面、9面、10面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、4面の偏心量、傾き角は3面からの量である。2面、3面、4面、5面は球面、6面、7面、8面、9面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心したレンズ2枚からなる。
【0063】
実施例6
本実施例の断面図を図6に示すが、本実施例は水平画角52°、垂直画角40.2°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、5面、6面、7面、8面、9面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面、4面は球面、5面、6面、7面、8面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心していない接合レンズからなる。
【0064】
実施例7
本実施例の断面図を図7に示すが、本実施例は水平画角60°、垂直画角46.8°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、2面、5面、6面、7面、8面、9面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面は球面、4面は回転対称な非球面、5面、6面、7面、8面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心した接合レンズからなる。
【0065】
実施例8
本実施例の断面図を図8に示すが、本実施例は水平画角60°、垂直画角46.8°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、2面、3面、4面、6面、7面、8面、9面、10面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面、4面、9面は球面、5面は回転対称な非球面、6面、7面、8面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心した2面で構成された偏心プリズムと偏心した正レンズからなる。
【0066】
実施例9
本実施例の断面図を図9に示すが、本実施例は水平画角52°、垂直画角40.2°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、2面、3面、4面、5面、6面、7面、8面、9面、10面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面、4面、5面は球面、6面、7面、8面、9面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心した2面で構成された偏心プリズム2つからなる。
【0067】
実施例10
本実施例の断面図を図10に示すが、本実施例は水平画角52°、垂直画角40.2°、瞳径4mmである。
後記する構成パラメータにおいて、2面、3面、4面、5面、6面、7面、8面、9面はY方向、Z方向の偏心量と傾き角が与えられており、2面、3面、4面、8面は球面、5面、6面、7面はアナモフィック非球面である。第2光学素子8は観察者視軸2に対して偏心した3面で構成された接合偏心プリズムからなる。
次に、上記した実施例1〜10の構成パラメータを示す。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
次に、上記実施例1の横収差図を図11〜図13に、同様に実施例2〜10の横収差図をそれぞれ図14〜図16、図17〜図19、図20〜図22、図23〜図25、図26〜図28、図29〜図31、図32〜図34、図35〜図37、図38〜図40に示す。これらの横収差図において、括弧内に示された数字は(水平画角,垂直画角)を表し、その画角における横収差を示す。
【0079】
以上、本発明の接眼光学系を画像表示装置に適用した場合の実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されず種々の変形が可能である。本発明の画像表示装置を頭部装着式画像表示装置(HMD)13として構成するには、図43(a)に断面図、同図(b)に斜視図を示すように、例えばヘッドバンド10を取り付けて観察者の頭部に装着して使用する。この使用例の場合に、第1光学素子7の第2面を半透過ミラー(ハーフミラー)12とし、このハーフミラー12の前方に液晶シヤッター11を配備し、外界像を選択的に又は画像表示素子6の映像と重畳して観察できるようにしている。
【0080】
さらに、本発明の画像表示装置の接眼光学系を結像光学系として用いた場合、例えば、図44に斜視図を示すように、撮影光学系Obとファインダー光学系Fiが別体に併設されたコンパクトカメラCaのファインダー光学系Fiに用いることができる。このような結像光学系として用いた場合の光学系の構成図を図45に示す。前側レンズ群GFと、明るさ絞りDとその後方に配備された本発明による接眼光学系DSとで対物光学系Ltを構成することができる。この対物光学系Ltによって形成された像は、この対物光学系Ltの観察者側に設けられた4回反射のホロプリズムPによって正立され、接眼レンズOcによって観察できる。
【0081】
以上の本発明の画像表示装置は、例えば次のように構成することができる。
【0082】
〔1〕 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【0083】
〔2〕 前記第2光学素子は、正のパワーを有することを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0084】
〔3〕 前記第2光学素子は、正レンズであることを特徴とする上記〔2〕記載の画像表示装置。
【0085】
〔4〕 前記第2光学素子は、接合レンズであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の画像表示装置。
【0086】
〔5〕 前記第2光学素子は、2つの偏心した光学面からなる特殊プリズムであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の画像表示装置。
【0087】
〔6〕 前記第2光学素子は、前記観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置されていることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0088】
〔7〕 前記第1光学素子の第1面の内部反射が全反射であることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0089】
〔8〕 前記第1光学素子の第1面の内部反射する領域がミラーコートされていることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0090】
〔9〕 前記第1光学素子の第1面、第2面及び第3面の少なくとも1面は偏心非球面であることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0091】
〔10〕 前記第1光学素子の第1面、第2面及び第3面の少なくとも1面はアナモフィック面であることを特徴とする上記〔9〕記載の画像表示装置。
【0092】
〔11〕 前記観察者視軸を含む上下方向の面をY−Z面、前記観察者視軸を含む左右方向の面をX−Z面と定義する場合、前記第1光学素子の第2面のY−Z面内における曲率半径をRy2、前記第2面のX−Z面内における曲率半径をRx2とするとき、
Ry2/Rx2≧1 ・・・(1)
であることを特徴とする上記〔10〕記載の画像表示装置。
【0093】
〔12〕 前記第1光学素子の第1面は、前記第2面に対して凸面を向けた反射面であることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0094】
〔13〕 前記第1光学素子の第1面及び第3面の少なくとも1面は、視軸に対してティルトあるいはディセンタリングしていることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0095】
〔14〕 前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0096】
〔15〕 前記画像表示素子の表示面は、前記観察者視軸に対して傾いて配備されていることを特徴とする上記〔1〕から〔14〕の何れか1項記載の画像表示装置。
【0097】
〔16〕 前記画像表示素子と前記接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする位置決め手段を有することを特徴とする上記〔1〕から〔15〕の何れか1項記載の画像表示装置。
【0098】
〔17〕 前記画像表示素子と前記接眼光学系を前記観察者頭部に対して支持する支持手段を有し、前記観察者頭部に装着できることを特徴とする上記〔1〕から〔16〕の何れか1項記載の画像表示装置。
【0099】
〔18〕 前記画像表示装置の少なくとも2組を一定の間隔で支持する支持手段を有することを特徴とする上記〔1〕から〔17〕の何れか1項記載の画像表示装置。
【0100】
〔19〕 前記画像表示装置における接眼光学系を結像光学系として用いることを特徴とする上記〔1〕から〔18〕の何れか1項記載の画像表示装置。
【0101】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の画像表示装置によると、広い観察画角で、非常に小型軽量な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例1の光路図である。
【図2】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例2の光路図である。
【図3】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例3の光路図である。
【図4】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例4の光路図である。
【図5】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例5の光路図である。
【図6】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例6の光路図である。
【図7】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例7の光路図である。
【図8】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例8の光路図である。
【図9】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例9の光路図である。
【図10】本発明の画像表示装置の接眼光学系の実施例10の光路図である。
【図11】本発明の実施例1の横収差図の一部である。
【図12】本発明の実施例1の横収差図の残りの一部である。
【図13】本発明の実施例1の横収差図の残りの部分である。
【図14】本発明の実施例2の横収差図の一部である。
【図15】本発明の実施例2の横収差図の残りの一部である。
【図16】本発明の実施例2の横収差図の残りの部分である。
【図17】本発明の実施例3の横収差図の一部である。
【図18】本発明の実施例3の横収差図の残りの一部である。
【図19】本発明の実施例3の横収差図の残りの部分である。
【図20】本発明の実施例4の横収差図の一部である。
【図21】本発明の実施例4の横収差図の残りの一部である。
【図22】本発明の実施例4の横収差図の残りの部分である。
【図23】本発明の実施例5の横収差図の一部である。
【図24】本発明の実施例5の横収差図の残りの一部である。
【図25】本発明の実施例5の横収差図の残りの部分である。
【図26】本発明の実施例6の横収差図の一部である。
【図27】本発明の実施例6の横収差図の残りの一部である。
【図28】本発明の実施例6の横収差図の残りの部分である。
【図29】本発明の実施例7の横収差図の一部である。
【図30】本発明の実施例7の横収差図の残りの一部である。
【図31】本発明の実施例7の横収差図の残りの部分である。
【図32】本発明の実施例8の横収差図の一部である。
【図33】本発明の実施例8の横収差図の残りの一部である。
【図34】本発明の実施例8の横収差図の残りの部分である。
【図35】本発明の実施例9の横収差図の一部である。
【図36】本発明の実施例9の横収差図の残りの一部である。
【図37】本発明の実施例9の横収差図の残りの部分である。
【図38】本発明の実施例10の横収差図の一部である。
【図39】本発明の実施例10の横収差図の残りの一部である。
【図40】本発明の実施例10の横収差図の残りの部分である。
【図41】本発明による第1光学素子の第1面の内部反射についての説明図である。
【図42】本発明による第1光学素子の第1面の形状と全反射の関係の説明図である。
【図43】本発明による頭部装着式画像表示装置の断面図と斜視図である。
【図44】本発明による光学系を結像光学系として利用した場合の構成図である。
【図45】本発明による光学系を結像光学系として利用した場合の光学系の構成図である。
【図46】従来の1つの画像表示装置の光学系を示す図である。
【図47】従来の別の画像表示装置の光学系を示す図である。
【図48】従来のさらに別の画像表示装置の光学系を示す図である。
【図49】従来のもう1つの画像表示装置の光学系を示す図である。
【図50】従来のさらにもう1つ画像表示装置の光学系を示す図である。
【符号の説明】
1…観察者瞳位置
2…観察者視軸
3…第1光学素子の第1面
4…第1光学素子の第2面
5…第1光学素子の第3面
6…画像表示素子
7…第1光学素子
8…第2光学素子
9…接眼光学系
10…ヘッドバンド
11…液晶シヤッター
12…半透過ミラー(ハーフミラー)
13…頭部装着式画像表示装置(HMD)
Ob…撮影光学系
Fi…ファインダー光学系
Ca…コンパクトカメラ
GF…前側レンズ群
D …明るさ絞り
DS…接眼光学系(本発明)
Lt…対物光学系
P …ホロプリズム
Oc…接眼レンズ
Claims (17)
- 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、正のパワーを有し、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とする画像表示装置。 - 前記第2光学素子は、正レンズであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、接合レンズであり、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とする画像表示装置。 - 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、2つの偏心した光学面からなるプリズムであり、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とする画像表示装置。 - 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間は屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に到る逆光線追跡に従って光線が通過する順に、屈折面でかつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置された正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成された第1光学素子と、前記第1面と前記観察者眼球との間に配置された屈折作用を有する第2光学素子とを備え、
前記第2面が、前記媒質と反対側の面を空気と接して構成され、
前記第2光学素子は、前記観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いて配置されており、
前記第1光学素子の第2面の法線と軸上主光線のなす角をαとするとき、
5°<α<30° ・・・(2)
であることを特徴とする画像表示装置。 - 前記第1光学素子の第1面の内部反射が全反射であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記第1光学素子の第1面の内部反射する領域がミラーコートされていることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記第1光学素子の第1面、第2面及び第3面の少なくとも1面は偏心非球面であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記第1光学素子の第1面、第2面及び第3面の少なくとも1面はアナモフィック面であることを特徴とする請求項8記載の画像表示装置。
- 前記観察者視軸を含む上下方向の面をY−Z面、前記観察者視軸を含む左右方向の面をX−Z面と定義する場合、前記第1光学素子の第2面のY−Z面内における曲率半径をRy2、前記第2面のX−Z面内における曲率半径をRx2とするとき、
Ry2/Rx2≧1 ・・・(1)
であることを特徴とする請求項9記載の画像表示装置。 - 前記第1光学素子の第1面は、前記第2面に対して凸面を向けた反射面であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記第1光学素子の第1面及び第3面の少なくとも1面は、視軸に対してティルトあるいはディセンタリングしていることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記画像表示素子の表示面は、前記観察者視軸に対して傾いて配備されていることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記画像表示素子と前記接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする位置決め手段を有することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記画像表示素子と前記接眼光学系を前記観察者頭部に対して支持する支持手段を有し、前記観察者頭部に装着できることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記画像表示装置の少なくとも2組を一定の間隔で支持する支持手段を有することを特徴とする請求項1〜15の何れか1項記載の画像表示装置。
- 前記画像表示装置における接眼光学系を結像光学系として用いることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項記載の画像表示装置。
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