JP3636319B2 - 結像光学系 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光学装置に関し、特に、カメラのファインダー光学系等の結像光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭部又は顔面装着式画像表示装置の従来の周知なものとして、特開平3ー101709号のものがある。図50(a)に全体の光学系を、図50(b)にその接眼光学系の部分を示すように、この画像表示装置は、画像表示素子の表示画像を正レンズよりなるリレー光学系にて空中像として伝達し、凹面反射鏡からなる接眼光学系でこの空中像を拡大して観察者の眼球内に投影するものである。
【0003】
また、従来の他のタイプのものとして、米国特許第4,669,810号のものがある。この装置は、図51に示すように、CRTの画像をリレー光学系を介して中間像を形成し、反射ホログラフィック素子とホログラム面を有するコンバイナによって観察者の眼に投影するものである。
【0004】
また、従来の他のタイプの画像表示装置として、特開昭62ー214782号のものがある。この装置は、図52(a)、(b)に示すように、画像表示素子を接眼レンズで拡大して直接観察できるようにしたものである。
【0005】
さらに、従来の他のタイプの画像表示装置として、米国特許第4,026,641号のものがある。この装置は、図53に示すように、画像表示素子の像を伝達素子で湾曲した物体面に伝達し、その物体面をトーリック反射面で空中に投影するようにしたものである。
【0006】
また、従来の他のタイプの画像表示素子として、米国再発行特許第27,356号のものがある。この装置は、図54に示すように、半透過凹面鏡と半透過平面鏡によって物体面を射出瞳に投影する接眼光学系である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図50、図51ような画像表示素子の映像をリレーするタイプの画像表示装置では、接眼光学系の形式によらず、接眼光学系以外にリレー光学系として数枚のレンズを用いなければならないため、光路長が長く、光学系は大型になり、重量も重くなる。
【0008】
また、図50(a)の接眼光学系のみの場合は、図50(b)に示すように、観察者に対して凹面を向けた反射面のみに正のパワーがあるため、図中、P1に示されるような負の像面湾曲が大きく発生してしまう。
【0009】
また、図52のようなレイアウトでは、観察者の顔面からの装置突出量が大きくなってしまう。さらに、画像表示素子と照明光学系がその突出した部分に取り付けられることになり、装置はますます大きく、重量も重くなってしまう。
【0010】
頭部装着式画像表示装置は、人間の身体、特に頭部に装着する装置であるため、装置が顔面から突出する量が大きいと、頭部で支持している点から装置の重心までの距離が長くなり、装着時のバランスが悪くなる。さらに、装置を装着して移動、回転等を行うときに装置が物にぶつかるおそれも生じる。
【0011】
つまり、頭部装着式画像表示装置は、小型軽量であることが重要である。そして、この装置の大きさ、重量を決定する大きな要因は光学系の構成にある。
【0012】
しかしながら、接眼光学系として通常の拡大鏡のみを用いると、発生する収差は非常に大きく、それを補正する手段がない。拡大鏡の凹面の形状を非球面にすることで、ある程度球面収差が補正できても、コマ収差、像面湾曲等が残存するため、観察画角を大きくすると、実用的な装置にはなり得ない。あるいは、接眼光学系として凹面鏡のみを用いる場合には、通常の光学素子(レンズやミラー)のみではなく、図53に示すように、発生した像面湾曲に合わせて湾曲した面を有する伝達素子(ファイバープレート)によってこれを補正するという手段を用いなければならない。
【0013】
一方、図54に示すような、半透過凹面鏡と半透過平面鏡を用いて物体面を観察者の瞳に投影する共軸系の接眼光学系においては、半透過面を2枚用いているために、理論値でも像の明るさは1/16にまで低下してしまう。さらに、半透過凹面鏡によって発生する像面湾曲を物体面自体を湾曲させて補正を行っているため、LCD(液晶表示素子)等のいわゆるフラットディスプレイを画像表示素子として用いることが困難である。
【0014】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、広い画角において明瞭に結像が可能であり、像の明るさの低下がほとんど生じることがなく、さらに、非常に小型軽量であるカメラのファインダー光学系等の結像光学系を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の結像光学系は、絞りと、その絞りを通過する光束を結像させて物体像を形成する結像光学系において、
前記結像光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間が屈折率が1より大きい第1媒質で満たされており、
前記絞りから前記物体像に向かって順に、屈折面かつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、光軸に対して偏心するかあるいは傾いた正のパワーを有する反射面である第2面、前記物体像に最も近接している屈折面である第3面で構成され、前記少なくとも3つの面の中、少なくとも2つの面は有限の曲率半径を有する面であり、かつ、前記第1面、前記第2面及び前記第3面の何れか1面は非回転対称な非球面形状であり、
屈折作用を有する少なくとも1つの光学面を、前記物体像の形成される像面から前記絞りまでの間の光路中に配設してなることを特徴とするものである。
【0016】
【作用】
以下に、上記の本発明の結像光学系の作用を光学装置に基づいて説明する。この説明においては、画像表示装置に用いる場合、光学系の設計上の利便性から観察者の瞳位置から画像表示素子に向けて光線を追跡する逆光線追跡によって行う。
【0017】
本発明の基本的な構成は、被観察像を形成する像形成手段と、前記像を観察者眼球に導くために設けられた接眼光学系とを備えた光学装置において、前記接眼光学系が、前記像側から順に入射面を形成する第3面と、反射面と射出面とを形成する第1面と、反射面を形成する第2面とを含み、前記第1面乃至第3面が屈折率が1より大きい媒質を挟んで一体形成されていることを特徴とするものである。この面番号の順は、観察者眼球側から逆光線追跡の順によると、第1面、第2面、第1面、第3面となる。
【0018】
このような構成をとった理由は、第1面〜第3面がそれぞれ独立した光学素子とする場合、これらを配置するときの角度や距離等に非常に高精度が求められるため、組立が困難となり、生産性が低下する不具合が生じる。そこで、第1面〜第3面を一体的(例えば、プリズム)に形成し、組立を容易にし、生産性の向上を図ることができる。
【0019】
ところで、このような接眼光学系に入射させるための像形成手段として、物体像を形成する全体として正の屈折力を有する対物レンズ系からなり、この対物レンズ系と接眼光学系との間に物体像を形成するものとして、光学系をファインダー光学系として用いると、一眼レフカメラ、観察光学系とファインダー光学系とが別体に設けられたコンパクトカメラ、又は、フィルムに代えて電子撮像素子を用いた電子カメラ等への利用が可能になるものである。
【0020】
もちろん、像形成手段として、観察画像を形成する画像表示素子を用い、画像表示素子と接眼光学系とを観察者頭部に装着する装着手段を備えさせることにより、この光学装置を頭部装着式画像表示装置に適用することができる。
【0021】
なお、上記接眼光学系は、屈折率が共に1より大きくかつ相互に屈折率の異なった複数の媒質を接合して形成することもでき、これは、色収差等の補正のために接合面をレンズ(プリズム)内に加えたものであり、組立の容易化を妨げることなく、収差補正を実現することができる。
【0022】
さて、本発明においては、接眼光学系の第1面、第2面及び第3面によって形成される空間を屈折率が1より大きい媒質で満たし、さらに、3面の中、2面を有限の曲率半径を有するようにしたことによって、偏心して傾いた第2面で発生する球面収差とコマ収差及び像面湾曲の補正を行うことが可能となり、広い射出瞳径と広い観察画角を持つ明瞭な観察像を観察者に提供することに成功したものである。
【0023】
一般に、凹面鏡では、凹面に強いパワーを持たせることによってペッツバール和が大きくなり、正の像面湾曲が発生する。また、内コマ収差が発生する。第1面、第2面及び第3面によって形成される空間を屈折率が1より大きい媒質で満たすことによって、瞳からの光線が第1面において屈折されるため、軸外光線の主光線及び従属光線の第2面に入射する高さを低く抑える効果が得られる。それによって主光線の高さが低いため、第2面が大きくならず、接眼光学系を小型にすることができる。あるいは、画角を広くとることが可能になる。また、従属光線高が低くなるために、第2面で発生するコマ収差、特に高次コマ収差の発生を抑えることが可能となる。
【0024】
接眼光学系の3面の中、2面を有限の曲率半径とする場合において、第2面の他に第1面が有限の曲率半径を有する面の場合であって第1面が正のパワーを有する場合には、第1面で光線が屈折する効果が大きいため、第2面に入射する光線高をより低くすることが可能となる。この作用によって、第2面の凹面鏡で発生する強い内コマ収差の発生を小さくすることができる。第1面が負のパワーを有する場合には、第2面で反射した後、再び第1面で内部反射するときに第2面で発生するコマ収差及び像面湾曲の補正に有効な手段となる。
【0025】
第2面の他に第3面が有限の曲率半径を有する面の場合、第3面に負のパワーを持たせることで、特に第2面で発生する像面湾曲を補正することが可能となる。
【0026】
さらに、画像表示素子の観察像をリレー光学系によって中間像として空中に実像を結像させ、接眼光学系によって眼球に拡大投影するのではなく、画像表示素子をそのまま拡大して観察者の眼球に投影するようにすることによって、観察者は拡大された画像表示素子の画像を虚像として観察できるため、少ない光学素子数で光学系を構成できる。また、構成する光学素子は、接眼光学系の反射面である第2面が観察者の顔面の直前に顔面のカーブに沿った形状で配備されるため、顔面からの突出量は非常に小さくでき、小型で軽量な画像表示装置を実現することができる。
【0027】
上記の第2面で反射した後の第1面での内部反射を全反射とすることが、光学素子の大きさ、性能上大変有効に作用する。以下に詳しく説明する。
【0028】
図45に本発明の光学装置の光路図を示す。同図(a)は第1面3が全反射しない場合の接眼光学系、同図(b)は第1面3で全反射する場合の接眼光学系を示している。それぞれの断面図において、図中、1は観察者瞳位置、2は観察者視軸、3は接眼光学系の第1面、4は接眼光学系の第2面、5は接眼光学系の第3面、6は画像表示素子、7は接眼光学系である。また、図45(a)において、第1面3の内部反射領域Mにはミラーコートが施してあり、その他の領域は屈折する領域である。
【0029】
瞳1から出た光線は接眼光学系の第1面3に入射して屈折されて凹面鏡である第2面4で反射し、再び第1面3で内部反射する構成であるが、図45(a)のように、上側軸外光線Uの第2面4の反射高さと第2面4で反射した後の第1面3での反射高さの差が大きければそれだけ接眼光学系7自体が長くなり、大型化する。つまり、反射点の高さの差が小さければ小さい程、接眼光学系7の大きさは小型にできる。言い換えれば、同じ大きさの接眼光学系ならば、その反射点の高さの差が小さい程、観察画角を広くとることが可能になる。
【0030】
しかしながら、本発明の接眼光学系において、図45(b)のように、上側光線Uの第2面4と第1面3の反射高さの差を小さくすると、第1面3に入射する下側光線Lよりも上で反射するため、第1面3が全反射でない場合には、第1面3の屈折領域がミラーコート領域M’と重なり、下側の光線Lが遮られてしまう。
【0031】
すなわち、第1面3での内部反射が全反射する条件を満たしていれば、第1面3にミラーコートを施す必要がないため、第2面4で反射後の上側光線Uと第1面3に入射する下側光線Lが第1面3で干渉しても、それぞれの光線は本来の作用ができることになる。
【0032】
また、偏心した凹面鏡である第2面4では、その反射角が大きくなればなる程コマ収差が大きく発生するが、第1面3で全反射する場合には、第2面4における反射角を小さくすることできるため、第2面4でのコマ収差の発生を抑制する効果を得ることができる。
【0033】
なお、第1面3の内部反射が全反射条件を満足しない場合には、第1面3の内部反射する領域Mにおいてミラーコートされている必要がある。
【0034】
さらに、接眼光学系の第1面、第2面及び第3面の何れか1面は、偏心非球面であることが収差補正上有効である。
【0035】
特に、後記する座標系(X,Y,Z)において、Y方向に偏心又は視軸から傾いて配置される第2面で発生するコマ収差、特に、高次コマ収差やコマフレアーを補正するために、これは重要な条件である。
【0036】
本発明のように、観察者眼球の前方に偏心するかあるいは傾いた反射面を有するタイプの接眼光学系を用いる画像表示装置においては、観察者の視軸上においても反射面に入射する光線が斜めになるため、コマ収差が発生する。このコマ収差は、反射面の傾き角が大きくなるに従って大きくなる。しかしながら、小型で広画角の画像表示装置を実現しようとすると、偏心量又は傾き角をある程度大きくしないと、観察者の頭部と光路、又は、画像表示素子と光路が干渉するため、広画角な観察像を確保することが困難になる。そのため、広画角で小型の画像表示装置になればなる程、反射面の傾き角が大きくなり、コマ収差の発生を如何に補正するかが重要な問題となる。
【0037】
このような複雑なコマ収差を補正するためには、接眼光学系を構成する第1面、第2面、第3面の何れか1面を偏心した非球面とすることで、光学系のパワーを視軸に対して非対称な構成にすることができ、さらに、軸外においては非球面の効果を利用することができるため、軸上を含めたコマ収差の補正を有効に行うことが可能となる。
【0038】
さらに、接眼光学系の第1面、第2面及び第3面の何れか1面はアナモフィック面であることが重要である。つまり、Y−Z面内の曲率半径と、この面と直交するX−Z面内の曲率半径が異なる面であることである。
【0039】
この条件は、第2面が視軸に対して偏心あるいは傾いているために起こる収差を補正するための条件である。一般に、球面が偏心していると、その面に入射する光線は、入射面内と入射面に直交する面内で光線に対する曲率が異なる。このため、本発明のように観察者眼球の前に反射面が視軸に対して偏心あるいは傾いて配置されている接眼光学系では、観察画像中心にあたる視軸上の観察像も、上記理由により非点収差が発生する。この軸上の非点収差を補正するために、接眼光学系の第1面、第2面及び第3面の何れか1面の曲率半径は入射面内とこれと直交する面内において異なるものとすることが重要になる。
【0040】
さて、観察者視軸を含む上下方向の面をY−Z面、この観察者視軸を含む左右方向の面をX−Z面と定義する場合、第2面のY−Z面内における曲率半径をRy2、第2面のX−Z面内における曲率半径をRx2とするとき、
Ry2/Rx2≧1 ・・・・(1)
を満たすことが好ましい。
【0041】
上記(1)式は、第2面が視軸に対して傾いているために起こる収差、特に軸上を含む非点収差を補正するための条件である。一般的に、画角が大きくなると、高次の非点収差が現れ、凸レンズ系では、子午像は画角が大きくなると負の方向に大きくなり、球欠像は正の方向に大きくなる。これらの非点収差を補正するためには、子午面内のパワーを小さくし、球欠面内のパワーを大きくするような光学系の構成にすることが必要となる。したがって、1つの面における曲率半径ではY方向を大きく、X方向を小さくすることになる。
【0042】
本発明の接眼光学系において、主な正のパワーを持つ面は第2面の反射面であるため、他の面でY−Z面内の曲率半径とX−Z面内の曲率半径に差を持たせるよりも、第2面が(1)の条件を満たすことによって、非点収差補正の効果を大きく持たせることが可能となり、収差補正上より好ましい。
【0043】
さて、第1面は、第2面に対して凸面を向けた透過反射面であることが有効である。第2面は接眼光学系全体の主な正のパワーを有する反射面であるため、上述したコマ収差の他に、像面湾曲も大きく発生している。第1面を負のパワーを持つ面とすることで、第2面で発生する内コマ収差とは逆のコマ収差をこの面で発生させ、コマ収差を補正させることが可能である。さらに、第2面で発生する正の像面湾曲に対して、第3面で負の像面湾曲を発生させて像面湾曲の補正も同時に行うことが可能となる。
【0044】
また、第1面の内部反射を全反射とするためには、第1面での全ての光線の反射角が臨界角θr =sin-1(1/n)よりも大きいことが条件となる(ただし、nは光学系の媒質の屈折率である。)。例えば、n=1.5の場合は、θr =41.81であり、それ以上の反射角が必要である。以下、図46を参照にして説明する。
【0045】
図46に第2面4で反射した後、第1面3で内部反射する部分の説明図を示す。同図(a)は第1面3が第2面4に向かって凹面の場合、同図(b)は第1面3が第2面4に向かって凸面の場合である。
【0046】
第2面4で反射後の光線は、それぞれの光線はある角度をもって下側に反射される。図46(a)に示すように、第1面3が第2面4に対して凹面を向けた反射面の場合、第1面3の法線Sは第2面4に対して内側に向かう方向になる。第2面4で反射した下側光線Lは第1面3の法線に沿った方向から入射するため、第1面3での反射角γを大きくすることができない。つまり、第1面3で反射した光線全てに対して全反射条件を満たすことは困難である。逆に、図46(b)のように、第1面3が第2面4に対して凸面の形状をしている場合には、第1面3の法線S’は第2面4に対して外側に発散する方向になるため、下側光線に対しても反射角γ’を大きくする効果が得られ、広い画角において、第1面3における全反射条件を満たすことが容易となる。
【0047】
また、接眼光学系の第1面及び第3面の何れか1面は、視軸に対してティルトあるいはディセンタリングしていることが望ましい。第1面及び第3面の何れか1面がティルトあるいはディセンタリングすることにより、視軸に対して画像表示素子側の画像とその反対側の画像で非対称に発生するコマ収差の補正や、画像表示素子を配置する面を第2面で反射後の光軸に対して略垂直に配置することが可能となる。これは、視野角特性の良くない画像表示素子を用いるときに有効となる。
【0048】
接眼光学系の第2面と視軸のなす角をαとするとき、
40°<α<110° ・・・・(2)
であることが望ましい。
【0049】
これは、本発明の画像表示装置の接眼光学系と画像表示素子を適性な位置に配備するための条件である。(2)式の下限の40°を越えると、反射後の光線は視軸に対して90度以上の反射角を持ってしまうため、画面の上と下の軸外光線の結像位置が非常に離れてしまい、現実的ではなくなる。逆に、上限の110°を越えると、図45で示されている上側光線Uが第2面で反射後視軸より上方向に反射されてしまうため、軸外光線の結像位置が反対方向となってしまう。
【0050】
また、画像表示素子の表示面は視軸に対して傾いて配備されていることが重要である。光学素子を構成する屈折面あるいは反射面が偏心又は傾いている場合、瞳からの光線は屈折面あるいは反射面での屈折角又は反射角が像高によって異なり、像面が視軸に対して傾くことがある。その場合、画像表示素子面を視軸に対して傾いて配備することで、像面の傾きを補正することが可能となる。
【0051】
さて、より広画角な小型の画像表示装置になればなる程、最初の反射面である第2面の傾き角が大きくなり、高次コマ収差の発生が増える。また、面の傾きによって発生する非点収差も増大するため、第1面と第2面及び第3面によって形成される空間を屈折率が1より大きい媒質で満たされており、少なくとも3つの面の中、少なくとも2面は有限の曲率半径を有する面である偏心光学素子のみでは、これらの収差補正を十分に行なうことが困難になってしまう場合がある。
【0052】
そのため、観察者眼球と画像表示素子の間に、上述した偏心光学素子に加えて、屈折作用を有する少なくとも1つの光学面を配備することによって、接眼光学系で発生する収差の補正をより有効に行うことが可能となる。
【0053】
本発明の偏心光学素子では、第2面とその後の第1面の内部反射は反射面であるため、それらの面で色収差は発生しない。また、画像表示素子に近接する第3面における主光線は光軸に略平行であるため、色収差の発生は少ない。したがって、接眼光学系の色収差は、屈折面である第1面での色収差の発生が支配的になる。また、本発明のような広画角な光学系では、軸上の色収差よりも倍率の色収差の方が顕著に現れる。つまり、第1面で発生する倍率の色収差の補正を行うことが重要であり、それによりより鮮明で高解像な画像を表示することを可能とする。そのために、接眼光学系の構成として、観察者眼球と画像表示素子の間に偏心光学素子と屈折作用を有する少なくとも1つの光学面とを配備することによって、接眼光学系を構成する光学素子を2種類以上の媒質にすることができ、それらの媒質のアッベ数の違いによって、倍率の色収差を補正することが可能となる。
【0054】
上述したように、本発明の接眼光学系においては、偏心光学素子の第1面で発生する色収差の補正が重要である。上記の屈折作用を有する少なくとも1つの光学面が、第1面で発生する色収差量と略同等の逆の色収差を発生させる面で構成されることによって、この色収差の補正が可能となる。
【0055】
以下に、色収差の補正について詳しく説明する。画像表示素子から観察者眼球に至る光路中に偏心光学素子と屈折作用を有する少なくとも1つの光学面とを配備することによって、接眼光学系の媒質を2つ以上で構成することができる。その場合、媒質のアッベ数の差異によって倍率の色収差を補正することが可能となる。例えば、偏心光学素子の第1面と第2面の間に光学面を配備した場合であって、偏心光学素子が2つの媒質で構成されている場合を考える。全体の焦点距離f、第1面側偏心光学素子の焦点距離、アッベ数をそれぞれf1 、ν1 、第2面側偏心光学素子の焦点距離、アッベ数をそれぞれf2 、ν2 とすると、光学系全体の色消し条件は次式で与えられる。
【0056】
f1 =(ν1 −ν2 )×f/ν1
f2 =−(ν1 −ν2 )×f/ν2
1/f=1/f1 +1/f2
接眼光学系の焦点距離f及び第2面側偏心光学素子の焦点距離f2 は正であり、第1面側の焦点距離f1 が負であるため、第1面側偏心光学系と第2面側偏心光学素子のアッベ数の関係はν1 <ν2 となる。つまり、この場合の第1面側偏心光学素子は、アッベ数がより小さい媒質を用いることで、色収差を良好に補正することが可能となる。
【0057】
上述以外の場所に、少なくとも1つの光学面が存在する場合におけるそれぞれの媒質のアッベ数の設定は、上述した例に準じて、同様の方法で設定することができる。
【0058】
上記の少なくとも1つの光学面が、観察者眼球と偏心光学素子の第1面の間に配設されている場合で、光学素子と観察者眼球の間に正の屈折力を有する光学面を配備する場合には、偏心光学素子の第2面での光束径が小さくなるため、高次のコマ収差の発生が少なくなり、画像表示画面周辺まで鮮明に画像を観察することができる。また、画像周辺での主光線は、正の屈折力を有する少なくとも1つの光学面によって屈折されるために、偏心光学素子に入射する光線高を低くすることができるため、偏心光学素子のみの場合よりもさらに観察画角を大きく設定することが可能となる。
【0059】
また、上記の少なくとも1つの光学面が、偏心光学素子の第1面と第2面の間に配設された場合、上述したように、偏心光学素子が第1面側と第2面側に2種類の媒質で構成することになるため、色収差補正に有効である。
【0060】
さらに、上記の少なくとも1つの光学面が、偏心光学素子の第3面と画像表示素子との間に配設されている場合、負のパワーを有するときは、画像表示素子に最も近い位置であるため、光学素子で発生した像面湾曲の補正を行なうことが可能である。
【0061】
上記の少なくとも1つの光学面を視軸に対して偏心して配設することで、視軸に対して画像表示素子側の画像とその反対側の画像との間で非対称に発生するコマ収差を補正し、画像表示素子を配置する面に対する光軸を略垂直にすることが可能となる。
【0062】
また、上記の少なくとも1つの光学面を接合レンズで構成することによって、偏心光学素子で発生する倍率の色収差を補正することができ、さらに鮮明で広画角を確保する場合に有効である。
【0063】
また、上記の少なくとも1つの光学面と偏心光学素子の向かい合った面を凹面とすることで空気レンズが形成される。この場合、2面の負のパワーを有効に利用できるため、光学系全体のペッツバール和を小さくすることができ、偏心光学素子の第2面で発生する像面湾曲の補正を有効に行うことができる。
【0064】
なお、画像表示素子と接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする位置決め手段を有することによって、観察者は安定した観察像を観察することが可能となる。
【0065】
また、画像表示素子と接眼光学系を観察者頭部に対して支持する支持手段を有し、観察者頭部に装着できるようにすることによって、観察者は自由な観察姿勢や観察方向で画像を観察することが可能となる。
【0066】
また、光学装置の少なくとも2組を一定の間隔で支持する支持手段を有することによって、観察者は左右両眼で楽に観察することが可能となる。また、左右の画像表示面に視差を与えた画像を表示し、両眼でそれらを観察することによって、立体像を楽しむことが可能となる。
【0067】
また、接眼光学系における画像表示素子面を像面として無限遠の物体を結像させるように構成することで、図48〜図49に示すようなカメラのファインダー光学系等の結像光学系として利用することが可能である。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明の光学装置を適用した画像表示装置の実施例1から11について、それぞれの単眼用の画像表示装置の断面図である図1〜図11を参照して説明する。
【0069】
各実施例の構成パラメータは後記するが、以下の説明において、面番号は、観察者の瞳位置1から画像表示素子6へ向う逆追跡の面番号として示してある。そして、座標の取り方は、図1に示すように、観察者の虹彩位置1を原点とし、観察者視軸2を原点から接眼光学系7に向かう方向を正とするZ軸、観察者視軸2に直交し、観察者眼球から見て上下方向の下から上を正とするY軸、観察者視軸2に直交し、観察者眼球からみて左右方向の右から左を正とするX軸と定義する。つまり、紙面内をYーZ面とし、紙面と垂直方向の面をX−Z面とする。また、光軸は紙面のY−Z面内で折り曲げられるものとする。
【0070】
そして、後記する構成パラメータ中において、偏心量Y,Zと傾き角θが記載されている面については、基準面である1面(瞳位置1)からのその面の面頂のY軸方向、Z軸方向の偏心量、及び、その面の中心軸のZ軸からの傾き角を意味し、その場合、θが正は反時計回りを意味する。なお、偏心量Y,Zと傾き角θの記載のない面は、その前の面と同軸であることを意味する。
【0071】
また、面間隔は、2面に関しては1面からのZ軸に沿う距離であり、その位置が基準点になり、その基準点から偏心量Yの点が2面の面頂になる。同軸系部分についてはその面から次の面までの軸上間隔である。なお、面間隔は、光軸に沿って逆追跡の方向を正として示してある。
【0072】
また、各面において、非回転対称な非球面形状は、その面を規定する座標上で、Ry 、Rx はそれぞれY−Z面(紙面)内の近軸曲率半径、X−Z面内での近軸曲率半径、Kx 、Ky はそれぞれX−Z面、Y−Z面内の円錐係数、AR、BRはそれぞれZ軸に対して回転対称な4次、6次の非球面係数、AP、BPはそれぞれZ軸に対して回転非対称な4次、6次の非球面係数とすると、非球面式は以下に示す通りである。
【0073】
また、回転対称な非球面形状は、Rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A、Bはそれぞれ4次、6次の非球面係数、hはh2 =X2 +Y2 とすると、非球面式は以下に示す通りである。
【0074】
Z =(h2/R)/[1+{ 1-(1+K) ( h2/R2)}1/2 ]+Ah2 +Bh6
なお、面と面の間の媒質の屈折率はd線の屈折率で表す。長さの単位はmmである。
【0075】
さて、以下に示す実施例は全て右眼用の画像表示装置であり、左眼用は構成す光学要素を全てY−Z面に対称に配備することで実現できる。
【0076】
また、実際の装置においては、接眼光学系によって光軸が屈曲する方向は、観察者の上方あるいは下方、側方何れの方向にあってもよいことは言うまでもない。
【0077】
それぞれの断面図において、図中、1は観察者瞳位置、2は観察者視軸、3は接眼光学系の第1面、4は接眼光学系の第2面、5は接眼光学系の第3面、6は画像表示素子、7は接眼光学系、9は光学面である。
【0078】
各実施例における実際の光線経路は、実施例1を例にとると、次のようになる。すなわち、画像表示素子6から発した光線束は、接眼光学系7の第3面5で屈折して接眼光学系7に入射し、第1面3で内部反射し、第2面4で反射されて、再び第1面3に入射して屈折されて、観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
実施例1
本実施例は、図1に断面を示すが、水平画角40°、垂直画角30.6°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、2、3、4面はアナモフィック非球面であり、5面は球面である。
実施例2
本実施例は、図2に断面を示すが、水平画角45°、垂直画角34.5°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、2、3、4面はアナモフィック非球面であり、5面は平面である。
実施例3
本実施例は、図3に断面を示すが、水平画角45°、垂直画角34.5°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、2、3、4、5面はアナモフィック非球面である。
実施例4
本実施例は、図4に断面を示すが、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、3面はアナモフィック非球面であり、2、4面は平面、5面は球面である。
実施例5
本実施例は、図5に断面を示すが、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、3、5面はアナモフィック非球面であり、2、4面は球面である。
実施例6
本実施例は、図6に断面を示すが、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、3面はアナモフィック非球面であり、2、4、5面は球面である。
実施例7
本実施例は、図7に断面を示すが、水平画角45°、垂直画角34.5°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、2、3、5、6、7面は球面、4面はアナモフィック非球面、8面は回転対称な非球面である。また、光学面9は、3面と5面と7面で定義されており、接眼光学系(偏心光学素子)7の2面と4面の間、4面と6面の間、6面と8面の間に視軸に対して偏心して配備されている。
実施例8
本実施例は、図8に断面を示すが、水平画角40°、垂直画角30.5°、瞳経8mmである。後記する構成パラメータにおいて、2、3、4、6、7面は球面、5面はアナモフィック非球面である。また、光学面9は、2面と3面で定義された正レンズであり、接眼光学系(偏心光学素子)7と観察者眼球の間に視軸に対して偏心して配備されている。
実施例9
本実施例は、図9に断面を示すが、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経8mmである。後記する構成パラメータにおいて、3、5、7面は球面、2、4、6面はアナモフィック非球面である。また、光学面9は、3面と5面で定義されており、接眼光学系(偏心光学素子)7の2面と4面の間、4面と6面の間に視軸に対して偏心して配備されている。
実施例10
本実施例は、図10に断面を示すが、水平画角45°、垂直画角34.5°、瞳経8mmである。後記する構成パラメータにおいて、5、6面は球面、2、3、4面はアナモフィック非球面である。また、光学面9は、6面で定義されており、接眼光学系(偏心光学素子)7の5面と負レンズを形成して視軸に対して偏心して偏心光学素子7に接合されている。
実施例11
本実施例は、図11に断面を示すが、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmである。後記する構成パラメータにおいて、2、3、4、6、7面は球面、5面はアナモフィック非球面である。また、光学面9は、2面と第3面で定義された正レンズであり、接眼光学系(偏心光学素子)7と観察者眼球の間に視軸に対して偏心して配備されている。
【0079】
次に、上記実施例1〜11の構成パラメータを示す。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
次に、上記実施例1の横収差図を図12〜図14に、同様に実施例2〜11の横収差図をそれぞれ図15〜図17、図18〜図20、図21〜図23、図24〜図26、図27〜図29、図30〜図32、図33〜図35、図36〜図38、図39〜図41、図42〜図44に示す。これらの横収差図において、括弧内に示された数字は(水平画角,垂直画角)を表し、その画角における横収差を示す。
【0091】
以上、本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されず種々の変形が可能である。本発明の光学装置を頭部装着式画像表示装置(HMD)13として構成するには、図47(a)に断面図、同図(b)に斜視図を示すように、例えばヘッドバンド10を取り付けて観察者の頭部に装着して使用する。この使用例の場合に、接眼光学系の第2面を半透過ミラー(ハーフミラー)12とし、このハーフミラー12の前方に液晶シヤッター11を配備し、外界像を選択的に又は画像表示素子6の映像と重畳して観察できるようにしている。
【0092】
さらに、本発明の画像表示装置の接眼光学系を結像光学系として用いた場合、例えば、図48に斜視図を示すように、撮影光学系Obとファインダー光学系Fiが別体に併設されたコンパクトカメラCaのファインダー光学系Fiに用いることができる。このような結像光学系として用いた場合の光学系の構成図を図49に示す。前側レンズ群GFと、明るさ絞りDとその後方に配備された本発明による接眼光学系DSとで対物光学系Ltを構成することができる。この対物光学系Ltによって形成された像は、この対物光学系Ltの観察者側に設けられた4回反射のホロプリズムPによって正立され、接眼レンズOcによって観察できる。
【0093】
以上の本発明による光学装置は、例えば次のように構成することができる。
〔1〕 被観察像を形成する像形成手段と、前記像を観察者眼球に導くために設けられた接眼光学系とを備えた光学装置において、
前記接眼光学系が、前記像側から順に入射面を形成する第3面と、反射面と射出面とを形成する第1面と、反射面を形成する第2面とを含み、前記第1面乃至第3面が屈折率が1より大きい媒質を挟んで一体形成されていることを特徴とする光学装置。
〔2〕 前記像形成手段が、物体像を形成する全体として正の屈折力を有する対物レンズ系からなり、前記対物レンズ系と前記接眼光学系との間に前記物体像が形成され、ファインダー光学系として用いられることを特徴とする上記〔1〕記載の光学装置。
〔3〕 前記像形成手段が、観察画像を形成する画像表示素子からなり、前記画像表示素子と前記接眼光学系とを観察者頭部に装着する装着手段を備えていることを特徴とする上記〔1〕記載の光学装置。
〔4〕 前記接眼光学系が、屈折率が共に1より大きくかつ相互に屈折率の異なった複数の媒質を接合して形成されていることを特徴とする上記〔1〕から〔3〕の何れか1項記載の光学装置。
〔5〕 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる光学装置において、
前記接眼光学系は少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間が屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に向かって順に、屈折面かつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いた正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成され、前記少なくとも3つの面の中、少なくとも2つの面は有限の曲率半径を有する面であることを特徴とする光学装置。
〔6〕 前記第1面の内部反射は全反射であることを特徴とする上記〔5〕記載の光学装置。
〔7〕 前記第1面の内部反射領域はミラーコートされていることを特徴とする上記〔5〕記載の光学装置。
〔8〕 前記第1面、前記第2面及び前記第3面の何れか1面は偏心非球面であることを特徴とする上記〔5〕から〔7〕の何れか1項記載の光学装置。
〔9〕 前記第1面、前記第2面及び前記第3面の何れか1面はアナモフィック面であることを特徴とする上記〔8〕記載の光学装置。
〔10〕 前記観察者視軸を含む上下方向の面をY−Z面、前記観察者視軸を含む左右方向の面をX−Z面と定義する場合、前記第2面のY−Z面内における曲率半径をRy2、前記第2面のX−Z面内における曲率半径をRx2とするとき、
Ry2/Rx2≧1 ・・・・(1)
であることを特徴とする上記〔9〕記載の光学装置。
〔11〕 前記第1面は前記第2面に対して凸面を向けた反射面であることを特徴とする上記〔5〕又は〔6〕記載の光学装置。
〔12〕 前記接眼光学系の第1面及び第3面の何れか1面は視軸に対してティルトあるいはディセンタリングしていることを特徴とする上記〔11〕記載の光学装置。
〔13〕 前記接眼光学系の第2面と視軸のなす角をαとするとき、
40°<α<110° ・・・・(2)
であることを特徴とする上記〔12〕記載の光学装置。
〔14〕 前記画像表示素子の表示面は前記観察者視軸に対して傾いて配備されていることを特徴とする上記〔13〕記載の光学装置。
〔15〕 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる光学装置において、
前記接眼光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間が屈折率が1より大きい媒質で満たされており、前記観察者眼球から前記画像表示素子に向かって順に、屈折面かつ全反射面である第1面、前記第1面に対向し、観察者視軸に対して偏心するかあるいは傾いた正のパワーを有する反射面である第2面、前記画像表示素子に最も近接している屈折面である第3面で構成され、前記少なくとも3つの面の中、少なくとも2つの面は有限の曲率半径を有する面である偏心光学素子と、屈折作用を有する少なくとも1つの光学面とを前記画像表示素子から前記観察者眼球に至る光路中に配設してなることを特徴とする光学装置。
〔16〕 前記少なくとも1つの光学面は、前記第1面で発生する色収差量と略同等の逆の色収差量を発生させる面で構成されていることを特徴とする上記〔15〕記載の光学装置。
〔17〕 前記少なくとも1つの光学面は、前記観察者眼球と前記偏心光学素子の第1面の間に配設されていることを特徴とする上記〔15〕記載の光学装置。
〔18〕 前記少なくとも1つの光学面は、前記偏心光学素子の第1面と第2面の間に配設されていることを特徴とする上記〔15〕記載の光学装置。
〔19〕 前記少なくとも1つの光学面は、前記偏心光学素子の第3面と前記画像表示素子との間に配設されていることを特徴とする上記〔15〕記載の光学装置。
〔20〕 前記少なくとも1つの光学面は、前記観察者視軸に対して偏心していることを特徴とする上記〔15〕記載の光学装置。
〔21〕 前記少なくとも1つの光学面は、接合面であることを特徴とする上記〔15〕から〔20〕の何れか1項記載の光学装置。
〔22〕 前記少なくとも1つの光学面と前記偏心光学素子は空気レンズを形成することを特徴とする上記〔15〕から〔20〕の何れか1項記載の光学装置。
〔23〕 前記画像表示素子と前記接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする位置決め手段を有すること特徴とする上記〔5〕から〔22〕の何れか1項記載の光学装置。
〔24〕 前記画像表示素子と前記接眼光学系を観察者頭部に対して支持する支持手段を有し、前記観察者頭部に装着できるようにしたことを特徴とする上記〔5〕から〔23〕の何れか1項記載の光学装置。
〔25〕 前記光学装置の少なくとも2組を一定の間隔で支持する支持手段を有することを特徴とする上記〔5〕から〔24〕の何れか1項記載の光学装置。
〔26〕 前記光学装置における接眼光学系を結像光学系として用いることを特徴とする上記〔5〕から〔22〕の何れか1項記載の光学装置。
【0094】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の結像光学系によると、広い画角で、非常に小型軽量なカメラのファインダー光学系等の新規な結像光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例1の光路図である。
【図2】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例2の光路図である。
【図3】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例3の光路図である。
【図4】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例4の光路図である。
【図5】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例5の光路図である。
【図6】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例6の光路図である。
【図7】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例7の光路図である。
【図8】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例8の光路図である。
【図9】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例9の光路図である。
【図10】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例10の光路図である。
【図11】本発明の光学装置を画像表示装置に適用した場合の実施例11の光路図である。
【図12】本発明の実施例1の横収差図の一部である。
【図13】本発明の実施例1の横収差図の残りの一部である。
【図14】本発明の実施例1の横収差図の残りの部分である。
【図15】本発明の実施例2の横収差図の一部である。
【図16】本発明の実施例2の横収差図の残りの一部である。
【図17】本発明の実施例2の横収差図の残りの部分である。
【図18】本発明の実施例3の横収差図の一部である。
【図19】本発明の実施例3の横収差図の残りの一部である。
【図20】本発明の実施例3の横収差図の残りの部分である。
【図21】本発明の実施例4の横収差図の一部である。
【図22】本発明の実施例4の横収差図の残りの一部である。
【図23】本発明の実施例4の横収差図の残りの部分である。
【図24】本発明の実施例5の横収差図の一部である。
【図25】本発明の実施例5の横収差図の残りの一部である。
【図26】本発明の実施例5の横収差図の残りの部分である。
【図27】本発明の実施例6の横収差図の一部である。
【図28】本発明の実施例6の横収差図の残りの一部である。
【図29】本発明の実施例6の横収差図の残りの部分である。
【図30】本発明の実施例7の横収差図の一部である。
【図31】本発明の実施例7の横収差図の残りの一部である。
【図32】本発明の実施例7の横収差図の残りの部分である。
【図33】本発明の実施例8の横収差図の一部である。
【図34】本発明の実施例8の横収差図の残りの一部である。
【図35】本発明の実施例8の横収差図の残りの部分である。
【図36】本発明の実施例9の横収差図の一部である。
【図37】本発明の実施例9の横収差図の残りの一部である。
【図38】本発明の実施例9の横収差図の残りの部分である。
【図39】本発明の実施例10の横収差図の一部である。
【図40】本発明の実施例10の横収差図の残りの一部である。
【図41】本発明の実施例10の横収差図の残りの部分である。
【図42】本発明の実施例11の横収差図の一部である。
【図43】本発明の実施例11の横収差図の残りの一部である。
【図44】本発明の実施例11の横収差図の残りの部分である。
【図45】本発明による光学装置の第1面の内部反射についての説明図である。
【図46】本発明による光学装置の第1面の形状と全反射の関係の説明図である。
【図47】本発明による頭部装着式画像表示装置の断面図と斜視図である。
【図48】本発明による光学装置を結像光学系として利用した場合の構成図である。
【図49】本発明による光学装置を結像光学系として利用した場合の光学系の構成図である。
【図50】従来の1つの画像表示装置の光学系を示す図である。
【図51】従来の別の画像表示装置の光学系を示す図である。
【図52】従来のさらに別の画像表示装置の光学系を示す図である。
【図53】従来のもう1つの画像表示装置の光学系を示す図である。
【図54】従来のさらにもう1つ画像表示装置の光学系を示す図である。
【符号の説明】
1…観察者瞳位置
2…観察者視軸
3…接眼光学系の第1面
4…接眼光学系の第2面
5…接眼光学系の第3面
6…画像表示素子
7…接眼光学系
9…光学面
10…ヘッドバンド
11…液晶シヤッター
12…半透過ミラー(ハーフミラー)
13…頭部装着式画像表示装置(HMD)
Ob…撮影光学系
Fi…ファインダー光学系
Ca…コンパクトカメラ
GF…前側レンズ群
D …明るさ絞り
DS…接眼光学系(本発明)
Lt…対物光学系
P …ホロプリズム
Oc…接眼レンズ
Claims (16)
- 絞りと、その絞りを通過する光束を結像させて物体像を形成する結像光学系において、
前記結像光学系は、少なくとも3つの面を持ち、前記少なくとも3つの面によって形成される空間が屈折率が1より大きい第1媒質で満たされており、
前記絞りから前記物体像に向かって順に、屈折面かつ内部反射面である第1面、前記第1面に対向し、光軸に対して偏心するかあるいは傾いた正のパワーを有する反射面である第2面、前記物体像に最も近接している屈折面である第3面で構成され、前記少なくとも3つの面の中、少なくとも2つの面は有限の曲率半径を有する面であり、かつ、前記第1面、前記第2面及び前記第3面の何れか1面は非回転対称な非球面形状であり、
屈折作用を有する少なくとも1つの光学面を、前記物体像の形成される像面から前記絞りまでの間の光路中に配設してなることを特徴とする結像光学系。 - 光軸を含む上下方向の面をY−Z面としたときに、前記第3面が、前記像側に凹面を向けた形状にて構成されたことを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記結像光学系が、屈折率が共に1より大きくかつ相互に屈折率の異なった複数の媒質を接合して形成されていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記第1面の内部反射は全反射であることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記第1面の内部反射領域はミラーコートされていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記第1面、前記第2面及び前記第3面の何れか1面はアナモフィック面であることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記光軸を含む上下方向の面をY−Z面、前記光軸を含む左右方向の面をX−Z面と定義する場合、前記第2面のY−Z面内における曲率半径をRy2、前記第2面のX−Z面内における曲率半径をRx2とするとき、
Ry2/Rx2≧1 ・・・・(1)
であることを特徴とする請求項6記載の結像光学系。 - 前記第1面は、前記第2面に対して凸面を向けた反射面であることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記結像光学系の第1面及び第3面の何れか1面は、光軸に対してティルトあるいはディセンタリングしていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記結像光学系の第2面と光軸のなす角をαとするとき、
40°<α<110° ・・・・(2)
であることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。 - 前記物体像の形成される像面は、前記光軸に対して傾いて配備されていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記少なくとも1つの光学面は、前記第1面で発生する色収差量と略同等の逆の色収差量を発生させる面で構成されていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記少なくとも1つの光学面は、前記絞りと前記第1面との間に配設されていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記少なくとも1つの光学面は、前記第1面と前記第2面の間に配設されていることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
- 前記少なくとも1つの光学面は、前記第3面と前記像面との間に配設されていることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
- 前記少なくとも1つの光学面は、接合面であることを特徴とする請求項1記載の結像光学系。
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