JP3607736B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、画像表示装置に関し、特に、観察者の頭部又は顔面に保持することを可能にする頭部又は顔面装着式画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、頭部装着式画像表示装置の周知なものとして、特開平3ー101709号のものがある。この画像表示装置は、図19に光路図を示すように、2次元画像表示素子の表示画像を正レンズよりなるリレー光学系にて空中像として伝達し、凹面反射鏡からなる接眼光学系でこの空中像を拡大して観察者の眼球内に投影するものである。
【0003】
また、従来の他のタイプのものとして、米国特許第4,669,810号のものがある。この装置は、図20に示すように、CRTの画像をリレー光学系を介して中間像を形成し、反射型ホログラフィック素子とホログラム面を有するコンバイナによって観察者の眼に投影するものである。
【0004】
また、従来の他のタイプの画像表示装置として、特開昭62ー214782号のものがある。この装置は、図21(a)、(b)に示すように、画像表示素子を接眼レンズで拡大して直接観察できるようにしたものである。
【0005】
また、従来の他のタイプの画像表示装置として、米国特許第4,026,641号のものがある。この装置は、図22に示すように、画像表示素子の像を伝達素子で湾曲した物体面に伝達し、その物体面をトーリック反射面で空中に投影するようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図19、図20ような画像表示素子の映像をリレーするタイプの画像表示装置では、接眼光学系によらず、接眼光学系以外にリレー光学系として数枚のレンズを用いなければならないため、光路長が長く、光学系は大型になり、重量も重くなる。また、図21のようなレイアウトでは、観察者の顔面からの装置突出量が大きくなってしまう。さらに、画像表示素子と照明光学系をその突出した部分に取り付けることになり、装置はますます大きく、重量も重くなる。
【0007】
頭部装着式画像表示装置は、人間の体、特に頭部に装着する装置であるため、装置が顔面から突出する量が大きいと、頭部で支持している点から装置の重心までの距離が長くなり、装着時のバランスが悪く、疲労が大きくなる。さらに、装置を装着して移動、回転等を行うときに、装置が物にぶつかる恐れも生じる。つまり、頭部装着式画像表示装置は、小型軽量であることが重要である。そして、この装置の大きさ、重量を決定する大きな要因は光学系の構成にある。
【0008】
しかしながら、接眼光学系として通常の拡大鏡のみを用いると、発生する収差は非常に大きく、補正する手段がない。拡大鏡の凹面の形状を非球面にすることである程度球面収差が補正されても、コマ収差、像面湾曲等が残存するため、観察画角を大きくすると、実用的な装置にはなり得ない。あるいは、接眼光学系として凹面鏡のみを用いる場合には、通常の光学素子(レンズやミラー)のみではなく、図22に示すように、発生した像面湾曲にあわせて湾曲した面を有する伝達素子(ファイバープレート)によって補正するという手段を用いなければならない。
【0009】
本発明は従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、広い画角において明瞭に観察が可能であり、さらに、非常に小型軽量であるために疲労し難い頭部装着式画像表示装置等の画像表示装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、前記接眼光学系は少なくとも2つの面を持ち、前記少なくとも2つの面の中、観察者眼球側の面を第1面、これに続く面を第2面とし、第1面と第2面の間を屈折率1以上の媒質で満たすと同時に、前記の少なくとも2つの面は、観察者が観察する投影画像の中心方向となる視軸に対して2つとも同じ方向に偏心して配備され、さらに、前記第2面は、反射又は半透過面で構成され、前記第2面は観察者眼球側に凹面を向けた曲面で構成され、かつ、前記第1面と前記第2面は異なる曲率を持ち、前記画像表示素子から出た光線は前記第1面で屈折し、前記第2面によって反射され、前記第1面でさらに屈折し、前記画像表示素子の前記接眼光学系による一次像を観察者眼球に入射するように構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明のもう1つの画像表示装置は、画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、前記接眼光学系は少なくとも2つの面を持ち、前記少なくとも2つの面の中、観察者眼球側の面を第1面、これに続く面を第2面とし、第1面と第2面の間を屈折率1以上の媒質で満たすと同時に、前記の少なくとも2つの面は、観察者が観察する投影画像の中心方向となる視軸に対して2つとも同じ方向に偏心して配備され、さらに、前記第2面は、反射又は半透過面で構成され、前記第2面は観察者眼球側に凹面を向けた曲面で構成され、かつ、前記第1面と前記第2面は異なる曲率を持ち、前記画像表示素子から出た光線は前記第1面で屈折し、前記第2面によって反射され、前記第1面でさらに屈折し、前記画像表示素子の前記接眼光学系による一次像を観察者眼球に入射するように構成され、さらに、前記接眼光学系と前記観察者眼球の間に、正の屈折力を有する光学素子が配備されていることを特徴とするものである。
【0012】
この場合、正の屈折力を有する光学素子としては、正の屈折力を有するレンズを用いることができる。
【0013】
【作用】
以下に、本発明の画像表示装置の作用について説明する。以下の説明においては、光学系の設計上の利便性から、観察者の瞳位置から画像表示素子に向けて光線を追跡する逆光線追跡に従って行う。
本発明においては、接眼光学系に2つの面を持たせ、その第1面と第2面に異なる曲率を持たせることによって、偏心して傾いた第2面で発生する球面収差とコマ収差の補正を行うことが可能となり、広い射出瞳径と広い観察画角を持ち、明瞭な観察像を観察者に提供できるようにしたことに成功したものである。
【0014】
一般に、凹面鏡では、瞳位置が凹面鏡の反射面から見て、曲率中心より遠くにある場合には、強い内コマ収差が発生する。この強い内コマ収差を補正するために、本発明では、凹面鏡となる第1面と第2面の間を屈折率1以上の媒質で満たすと同時に、第1面と第2面の曲率を異ならせることによって、第1面での光線の屈折作用を利用して、第2面に入射する光線高を低くすることが可能となる。この作用によって、凹面鏡で発生する強い内コマ収差の発生を比較的小さくすることに成功したものである。
【0015】
また、本発明においては、画像表示素子の観察像をリレー光学系によって中間像として空中に実像を結像させるのではなく、画像表示素子をそのまま拡大して観察者の眼球に投影することによって、観察者は拡大された画像表示素子の画像を虚像として観察できるため、少ない光学素子で光学系を構成することができる。また、拡大投影する光学素子は、観察者の顔面の直前に顔面のカーブに沿った形状で配備される凹面鏡(拡大鏡)のみであるため、顔面からの突出量は非常に小さくでき、小型で軽量な画像表示装置を実現することができる。
【0016】
この接眼光学系の第1面が観察者眼球側に凹面を向けた負の屈折力を持つ面とすることが重要である。第1面に負の屈折力を持たせることによって、第1面では負の球面収差が発生する。これは、凹面鏡で発生する正の球面収差と打ち消し合って、球面収差の発生を補正する効果がある。
【0017】
この場合、コマ収差の発生は比較的大きくなってしまうが、収差全体としてのまとまりは良くなり、良い結果を得られる。しかし、第1面の曲率が第2面の曲率と概略等しくなってしまうと、コマ収差、球面収差共、補正効果が低減してしまう。
【0018】
また、接眼光学系の第1面の曲率半径Ry1と第2面の曲率半径Ry2とが以下の条件式を満足することが重要となる。
Ry1/Ry2<2 ・・・(1)
(1)式は、傾いて配置される第2面で発生するコマ収差、特に高次のコマ収差又はコマフレアーの発生を補正するために重要な条件である。特に、第2面の傾き角が大きくなると、この条件を満足することが重要となる。
【0019】
本発明のように、観察者眼球の前方に傾いた凹面鏡を配置する接眼光学系を用いる画像表示装置では、凹面鏡に入射する光線が斜めであるため、凹面鏡の中心軸に対称ではない複雑なコマ収差が発生する。この複雑なコマ収差は、凹面鏡の傾き角が大きくなるに従って大きくなる。小型で広画角の画像表示装置を実現しようとすると、この傾き角を大きくしないと、画像表示素子と観察光路が干渉するため、広画角な観察像を確保することが困難になる。そのため、広画角で小型の画像表示装置になればなる程凹面鏡の傾き角が大きくなり、高次コマ収差の発生をいかに補正するかが重要になる。したがって、条件式(1)に示されたコマ収差の補正条件を満足することが重要となる。
【0020】
さらに、接眼光学系の第1面の曲率半径Ry1と第2面の曲率半径Ry2とが以下の条件式を満足することが重要となる。
Ry1/Ry2<1 ・・・(2)
(2)式も、傾いて配置される第2面で発生するコマ収差、特に高次コマ収差又はコマフレアーの発生を補正するために重要な条件である。観察画角を略30°以上に確保するときに重要となる。(2)式の上限の1を越えると、第2面で発生する高次コマ収差の補正が第1面で補正し切れなくなり、周辺まで明瞭な観察像を観察することが難しくなる。
【0021】
さらにまた、接眼光学系の第1面の曲率半径Ry1と第2面の曲率半径Ry2とが以下の条件式を満足することが重要となる。
Ry1/Ry2<0.8 ・・・(3)
(3)式も、傾いて配置される第2面で発生するコマ収差、特に高次コマ収差又はコマフレアーの発生を補正するために重要な条件であり、観察画角を略35°以上に確保するときに重要となる。(3)式の上限の0.8を越えると、広画角においては、特に第2面で発生する高次コマ収差の補正が困難となり、周辺まで明瞭な観察像を観察することが難しくなる。
【0022】
観察者視軸を含み画像表示素子の中心を含む面内の接眼光学系の第2面の曲率半径をRy2とし、この面に直交し、観察者視軸を含む面内の第2面の曲率半径をRx2とするとき、Ry2とRx2が異なることが重要である。
この条件は、第2面が視軸に対して傾いているために起こる収差を補正するための条件である。一般に、球面が傾いていると、その面に入射する光線は、入射面と入射面に直交する面内で、光線に対する曲率が異なる。このため、本発明のように視軸に対して偏心して配置されている接眼光学系では、観察画像中心に当たる視軸上の観察像も上記理由により非点収差が発生する。この軸上の非点収差を補正するために、第2面の反射面の入射面内とこれと直交する面内において曲率半径の異なるものとすることが重要になる。
【0023】
接眼光学系の第2面の曲率半径Ry2とRx2の関係は、以下の条件を満足することが重要となる。
Ry2/Rx2≦1 ・・・(4)
(4)の条件式の上限の1を越えると、上記の説明と同様に、入射面内と入射面と直交する面内の光線に対する曲率半径の違いにより発生する非点収差を補正することが困難になる。
【0024】
また、接眼光学系の第2面の曲率半径Ry2とRx2の関係は、以下の条件を満足することが重要となる。
Ry2/Rx2<0.8 ・・・(5)
(5)の条件式の上限の0.8を越えると、上記の非点収差を補正することが不十分になり、観察画面周辺の観察像が不鮮明になったり、広い観察画角を観察できなくなる。また、第2面の傾き角が小さくなり、小型の画像表示装置を実現できなくなる。
【0025】
接眼光学系と観察者眼球の間に正の屈折力を有する光学素子を配備することによって、接眼光学系の第2面での光束径が小さくなるため、高次のコマ収差の発生が少なくなり、画像表示画面周辺まで鮮明に画像を観察することができる。また、画像周辺での主光線は正の屈折力を有する光学素子によって屈折されるために、接眼光学系に入射する光線高を低くすることができ、接眼光学系のみの場合よりもさらに観察画角を大きく設定することが可能となる。
【0026】
また、正の屈折力を有する光学素子としてレンズを用いることによって、製作性が良く、安価で広画角であり、画面周辺まで鮮明な画像表示装置を提供することができる。
【0027】
また、この正の屈折力を有する光学素子を視軸に対して偏心して配備することによって、偏心した第2面で発生した高次コマ収差の補正に良い結果を得ることができる。
【0028】
また、この正の屈折力を有する光学素子を接合レンズで構成することによって、その正の屈折力を有するレンズで発生する倍率の色収差を補正することができ、さらに鮮明で広画角な観察像を確保する場合に有効である。
【0029】
また、接眼光学系の第2面をアナモルフィックアスフェリカル面で構成することによって、視軸上の非点収差だけでなく、周辺画像の非点収差やコマ収差の補正も可能となる。
【0030】
また、接眼光学系の第2面は、視軸上になく視軸に対してティルトしていると同時にディセンタリングして配置されていることが望ましい。第2面の面頂をディセンタリングすることにより、視軸に対して画像表示素子側の画像とその反対側の画像とに非対称に発生するコマ収差の補正や、画像表示素子を配置する面を第2面での反射後の光軸に対して略垂直に配置することが可能となる。これは視野角特性の良くない液晶表示素子を用いるときに有効となる。
【0031】
なお、本発明においては、画像表示素子と接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする手段を有することによって、観察者は安定した観察像を観察することが可能となる。
【0032】
さらに、画像表示素子と接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする手段を有し、観察者頭部に装着できるようにすることによって、観察者は自由な観察姿勢や、観察方向で画像を観察することが可能となる。
【0033】
さらにまた、少なくとも2組の画像表示装置を一定の間隔で支持する支持手段を有することによって、観察者は左右両眼で楽に観察することが可能となる。また、左右の画像表示面に視差を与えた画像を表示し、両眼でそれらを観察することによって立体像を楽しむことが可能となる。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明の画像表示装置の実施例1から8について、図面を参照して説明する。
各実施例の構成パラメータは後記するが、以下の説明において、面番号は、観察者の瞳位置1から画像表示素子6へ向う逆追跡の面番号として示してある。そして、座標の取り方は、図1〜図8に示すように、観察者の瞳位置1中心から視軸方向をZ軸とし、紙面に垂直な方向に紙面表面から裏面に向かう方向を正としてX軸をとり、X軸、Z軸に垂直で右手系を構成するY軸を紙面内にとり、光軸は紙面のY−Z面内で折り曲げられるものとする。
【0035】
そして、後記する構成パラメータ中において、偏心量Y,Zと傾き角θが記載されている面については、基準面(1面、4面)に対してのその面の面頂のY軸方向、Z軸方向の偏心量、及び、その面の中心軸のZ軸からの傾き角を意味し、その場合、θが正は反時計回りを意味する。なお、偏心量Y,Zと傾き角θの記載のない面は、その前の面と同軸であることを意味する。ただし、実施例7に関しては、3面から7面まについては、2面の面頂を原点とし、元の座標を2面で与えられる傾き角θ(−15°)だけ回転して得られる座標のY軸、Z軸が新たなY軸、Z軸となり、その新たなY軸方向、Z軸方向の面頂の偏心量、及び、新たなZ軸からの中心軸の傾き角θがそれらの面の偏心量Y,Zと傾き角θとして与えられている。
【0036】
また、面間隔は、2面に関しては1面からのZ軸に沿う距離であり、その位置が基準点になり、その基準点から偏心量Yの点が2面の面頂になる。同軸系部分(正のパワーを有する光学素子8)についてはその面から次の面までの軸上間隔である。なお、面間隔は、光軸に沿って逆追跡の方向を正として示してある。
【0037】
また、各面において、非回転対称の非球面形状は、その面を規定する座標上で、Ry 、Rx はそれぞれY−Z面(紙面)内の近軸曲率半径、X−Z面内での近軸曲率半径、Kx 、Ky はそれぞれX−Z面、Y−Z面内の円錐係数、AR、BRはそれぞれZ軸に対して回転対称な4次、6次の非球面係数、AP、BPはそれぞれZ軸に対して回転非対称な4次、6次の非球面係数とすると、非球面式は以下に示す通りである。
さらに、各面において、回転対称の非球面形状は、近軸曲率半径をRとすると、次の式で与えられる。
【0038】
ここで、Kは円錐係数、A、Bはそれぞれ4次、6次の非球面係数である。
なお、面と面の間の媒質の屈折率はd線の屈折率で表す。長さの単位はmmである。
【0039】
さて、以下に示す実施例は全て右眼用の画像表示装置であり、左眼用は構成す光学要素を全てX−Z面に対称に配備することで実現できる。
また、実際の装置においては、接眼光学系によって光軸が屈曲する方向は、観察者の上方あるいは下方、側方何れの方向にあってもよいことは言うまでもない。
【0040】
図1〜8に、それぞれ実施例1〜8の単眼用の画像表示装置の断面図を示す。それぞれの断面図において、1は観察者瞳位置、2は観察者視軸、3は接眼光学系の第1面、4は接眼光学系の第2面を構成する凹面鏡、5は接眼光学系の第3面(第1面3と共通)、6は画像表示素子、7は第1面3と第2面(反射面)4と第3面5からなる接眼光学系、8は正のパワーを有する光学系である。
【0041】
各実施例における実際の光線経路は、映像表示素子6から発した光線束は、順に接眼光学系7の第3面5で屈折、第2面(凹面鏡)4で反射、第1面3で屈折されて、実施例1、2、8の場合は、直接観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影され、実施例3〜7の場合は、正のパワーを有する光学系8を経て観察者の瞳の虹彩位置又は眼球の回旋中心を射出瞳1として観察者の眼球内に投影される。
【0042】
実施例1
本実施例は、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第2面4、第3面5はアナモルフィク非球面である。
【0043】
実施例2
本実施例は、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第3面5はトーリック面であり、第2面4はアナモルフィック非球面である。
【0044】
実施例3
本実施例は、水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第2面4、第3面5はアナモルフィック非球面である。また、瞳1と接眼光学系7の間には無偏心で球面で構成された正のパワーを有する単レンズ8が配備されている。
【0045】
実施例4
本実施例は、水平画角35°、垂直画角26.6°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第2面4、第3面5はアナモルフィック非球面である。また、瞳1と接眼光学系7の間には球面で構成された正のパワーを有する単レンズ8が視軸2に対して偏心して配備されている。
【0046】
実施例5
本実施例は、水平画角40°、垂直画角30.6°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第2面4、第3面5はアナモルフィック非球面である。また、瞳1と接眼光学系7の間には1面が非球面、1面が球面で構成された正のパワーを有する単レンズ8が視軸2に対して偏心して配備されている。
【0047】
実施例6
本実施例は、水平画角40°、垂直画角30.6°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第2面4、第3面5はアナモルフィック非球面である。また、瞳1と接眼光学系7の間にはそれぞれの面が球面であり、それぞれの面が偏心して構成された正のパワーを有する単レンズ8が配備されている。
【0048】
実施例7
本実施例は、水平画角40°、垂直画角30.6°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第2面4、第3面5はアナモルフィック非球面である。また、瞳1と接眼光学系7の間にはそれぞれの面が球面である凹レンズと凸レンズの接合レンズで構成された正のパワーを有する光学系8が視軸に対して偏心して配備されている。
【0049】
実施例8
本実施例は水平画角30°、垂直画角22.7°、瞳経4mmであり、接眼光学系7の第1面3、第3面5は平面であり、第2面は球面である。
【0050】
次に、上記実施例1〜8の構成パラメータを示す。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
次に、上記実施例の中、実施例1、実施例3、実施例7の横収差図をそれぞれ図9〜図11、図12〜図14、図15〜図17に示す。これらの横収差図において、括弧内に示された数字は(水平画角,垂直画角)を表し、その画角における横収差を示す。
【0059】
以上、本発明の画像表示装置をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されず種々の変形が可能である。そして、本発明の画像表示装置を頭部装着式画像表示装置(HMD)として構成するには、例えば、図18(a)に断面図、同図(b)に斜視図を示すように、左右のHMD13の間を眼輻距離に合わせて固定的に支持し、これに例えばヘッドバンド10を取り付けて、このヘッドバンド10により観察者の頭部に装着して使用する。この使用例の場合に、接眼光学系の第2面を半透過ミラー(ハーフミラー)とし、このハーフミラーの前方に液晶シヤッター11を配備し、外界像を選択的に、又は、画像表示素子の映像と重畳して観察できるようにすることができる。
【0060】
以上に説明した本発明の画像表示装置は、例えば次にように構成することができる。
〔1〕 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、前記接眼光学系は少なくとも2つの面を持ち、前記少なくとも2つの面の中、観察者眼球側の面を第1面、これに続く面を第2面とし、第1面と第2面の間を屈折率1以上の媒質で満たすと同時に、前記の少なくとも2つの面は、観察者が観察する投影画像の中心方向となる視軸に対して2つとも同じ方向に偏心して配備され、さらに、前記第2面は、反射又は半透過面で構成され、前記第2面は観察者眼球側に凹面を向けた曲面で構成され、かつ、前記第1面と前記第2面は異なる曲率を持ち、前記画像表示素子から出た光線は前記第1面で屈折し、前記第2面によって反射され、前記第1面でさらに屈折し、前記画像表示素子の前記接眼光学系による一次像を観察者眼球に入射するように構成されたことを特徴とする画像表示装置。
【0061】
〔2〕 前記画像表示素子から出た光線が観察者の眼球に直接投影されることを特徴とする上記〔1〕記載の画像表示装置。
【0062】
〔3〕 前記接眼光学系の第1面は、観察者眼球側に凹面を向けた透過面として構成されていることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の画像表示装置。
【0063】
〔4〕 前記観察者視軸を含み、画像表示素子の中心を含む面の第1面及び第2面の曲率半径をRy1、Ry2とするとき、
Ry1/Ry2<2 ・・・(1)
なる条件を満足することを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0064】
〔5〕 前記接眼光学系の第1面の曲率半径Ry1と前記接眼光学系の第2面の曲率半径Ry2が
Ry1/Ry2<1 ・・・(2)
なる条件を満足することを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0065】
〔6〕 前記接眼光学系の第1面の曲率半径Ry1と前記接眼光学系の第2面の曲率半径Ry2が
Ry1/Ry2<0.8 ・・・(3)
なる条件を満足することを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0066】
〔7〕 前記観察者視軸を含み、前記画像表示素子の中心を含む面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRy2とし、この面に直交し、前記観察者視軸を含む面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRx2とするとき、Rx2とRy2が異なることを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0067】
〔8〕 前記観察者視軸を含み、前記画像表示素子の中心を含む面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRy2とし、この面に直交する面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRx2とするとき、前記接眼光学系の第2面の曲率半径Rx2とRy2は
Ry2/Rx2≦1 ・・・(4)
なることを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0068】
〔9〕 前記接眼光学系の第2面の曲率半径Rx2とRy2は
Ry2/Rx2<0.8 ・・・(5)
なることを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0069】
〔10〕 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は少なくとも2つの面を持ち、前記少なくとも2つの面の中、観察者眼球側の面を第1面、これに続く面を第2面とし、第1面と第2面の間を屈折率1以上の媒質で満たすと同時に、前記の少なくとも2つの面は、観察者が観察する投影画像の中心方向となる視軸に対して2つとも同じ方向に偏心して配備され、さらに、前記第2面は、反射又は半透過面で構成され、前記第2面は観察者眼球側に凹面を向けた曲面で構成され、かつ、前記第1面と前記第2面は異なる曲率を持ち、前記画像表示素子から出た光線は前記第1面で屈折し、前記第2面によって反射され、前記第1面でさらに屈折し、前記画像表示素子の前記接眼光学系による一次像を観察者眼球に入射するように構成され、さらに、前記接眼光学系と前記観察者眼球の間に、正の屈折力を有する光学素子が配備されていることを特徴とする画像表示装置。
【0070】
〔11〕 前記正の屈折力を有する光学素子は正の屈折力を有するレンズであることを特徴とする上記〔10〕記載の画像表示装置。
【0071】
〔12〕 前記正の屈折力を有する光学素子は前記観察者視軸に対して偏心していることを特徴とする上記〔10〕記載の画像表示装置。
【0072】
〔13〕 前記正の屈折力を有する光学素子は接合レンズであることを特徴とする上記〔10〕記載の画像表示装置。
【0073】
〔14〕 前記接眼光学系の第2面はアナモルフィックアスフェリカル面で構成されたことを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0074】
〔15〕 前記接眼光学系の第2面は視軸に対してティルトしていると同時にディセンタリングしていることを特徴とする上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の画像表示装置。
【0075】
〔16〕 前記画像表示素子と前記接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする位置決め手段を有すること特徴とする上記〔1〕又は〔10〕記載の画像表示装置。
【0076】
〔17〕 前記画像表示素子と前記接眼光学系を前記観察者頭部に対して支持する支持手段を有し、前記観察者頭部に装着できることを特徴とする上記〔1〕又は〔10〕記載の画像表示装置。
【0077】
〔18〕 前記画像表示装置の少なくとも2組を一定の間隔で支持する支持手段を有することを特徴とする上記〔1〕又は〔10〕記載の画像表示装置。
【0078】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の画像表示装置によると、広い観察画角で、非常に小型軽量な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の画像表示装置の光路図である。
【図2】本発明の実施例2の画像表示装置の光路図である。
【図3】本発明の実施例3の画像表示装置の光路図である。
【図4】本発明の実施例4の画像表示装置の光路図である。
【図5】本発明の実施例5の画像表示装置の光路図である。
【図6】本発明の実施例6の画像表示装置の光路図である。
【図7】本発明の実施例7の画像表示装置の光路図である。
【図8】本発明の実施例8の画像表示装置の光路図である。
【図9】本発明の実施例1の横収差図の一部である。
【図10】本発明の実施例1の横収差図の別の部分である。
【図11】本発明の実施例1の横収差図の残りの部分である。
【図12】本発明の実施例3の横収差図の一部である。
【図13】本発明の実施例3の横収差図の別の部分である。
【図14】本発明の実施例3の横収差図の残りの部分である。
【図15】本発明の実施例7の横収差図の一部である。
【図16】本発明の実施例7の横収差図の別の部分である。
【図17】本発明の実施例7の横収差図の残りの部分である。
【図18】本発明による頭部装着式画像表示装置の断面図と斜視図である。
【図19】従来の1つの画像表示装置の光学系を示す図である。
【図20】従来の別の画像表示装置の光学系を示す図である。
【図21】従来のさらに別の画像表示装置の光学系を示す図である。
【図22】従来のもう1つの画像表示装置の光学系を示す図である。
【符号の説明】
1…観察者瞳位置
2…観察者視軸
3…接眼光学系の第1面
4…接眼光学系の第2面を構成する凹面鏡
5…接眼光学系の第3面
6…画像表示素子
7…接眼光学系
8…正のパワーを有する光学系
10…ヘッドバンド
11…液晶シヤッター
13…頭部装着式画像表示装置(HMD)
Claims (14)
- 画像を表示する画像表示素子と、前記画像表示素子によって形成された画像を投影し、観察者眼球に導く接眼光学系とからなる画像表示装置において、
前記接眼光学系は少なくとも2つの面を持ち、前記少なくとも2つの面の中、観察者眼球側の面を第1面、これに続く面を第2面とし、第1面と第2面の間を屈折率1以上の媒質で満たすと同時に、前記の少なくとも2つの面は、観察者が観察する投影画像の中心方向となる視軸に対して2つとも同じ方向に偏心して配備され、
さらに、前記第2面は、反射又は半透過面で構成され、前記第2面は観察者眼球側に凹面を向けた曲面で構成され、かつ、前記第1面と前記第2面は異なる曲率を持ち、前記画像表示素子から出た光線は前記第1面で屈折し、前記第2面によって反射され、前記第1面でさらに屈折し、前記画像表示素子の前記接眼光学系による一次像を観察者眼球に入射するように構成され、
さらに、前記接眼光学系と前記観察者眼球の間に、正の屈折力を有する光学素子が配備されていることを特徴とする画像表示装置。 - 前記正の屈折力を有する光学素子は正の屈折力を有するレンズであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記画像表示素子から出た光線が、観察者の眼球に直接投影されることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記接眼光学系の第1面は、観察者眼球側に凹面を向けた透過面として構成されていることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記観察者視軸を含み、画像表示素子の中心を含む面の第1面及び第2面の曲率半径をRy1、Ry2とするとき、
Ry1/Ry2<2 ・・・(1)
なる条件を満足することを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。 - 前記観察者視軸を含み、前記画像表示素子の中心を含む面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRy2とし、この面に直交し、前記観察者視軸を含む面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRx2とするとき、Rx2とRy2が異なることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記観察者視軸を含み、前記画像表示素子の中心を含む面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRy2とし、この面に直交する面内の前記接眼光学系の第2面の曲率半径をRx2とするとき、前記接眼光学系の第2面の曲率半径Rx2とRy2は
Ry2/Rx2≦1 ・・・(4)
なることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。 - 前記正の屈折力を有する光学素子は前記観察者視軸に対して偏心していることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記正の屈折力を有する光学素子は接合レンズであることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記接眼光学系の第2面はアナモルフィックアスフェリカル面で構成されたことを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記接眼光学系の第2面は視軸に対してティルトしていると同時にディセンタリングしていることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記画像表示素子と前記接眼光学系を観察者頭部に対して位置決めする位置決め手段を有すること特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記画像表示素子と前記接眼光学系を前記観察者頭部に対して支持する支持手段を有し、前記観察者頭部に装着できることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記画像表示装置の少なくとも2組を一定の間隔で支持する支持手段を有することを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
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