JP3726928B2 - 面倒れ補正光学系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光等を偏向して被走査面上を走査させる光走査装置に使用される面倒れ補正光学系に関するものであり、特に詳細には、光ビームを回転多面鏡等の偏向器により偏向走査させる際に該偏向器の面倒れにより被走査面上に生じる走査線のピッチむらを補正する光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリゴンミラー等の回転多面鏡やガルバノ式スキャナによって反射偏向される光ビームにより光走査を行う光走査装置がよく知られている。
【0003】
この種の光走査装置においては、上記回転多面鏡等における光ビームの反射面の変動により走査スポットの位置が、被走査面内における光ビームの走査方向(以下、主走査方向という)に垂直な方向(以下、副走査方向という)に変動する現象が生じ、これが副走査方向のピッチすなわち走査線の間隔を不安定なものにするという問題が生じる。回転多面鏡の場合は製造精度に起因する各反射面の回転軸に対する平行度の誤差(面倒れという)が、ガルバノミラーの場合は運動中のふらつき(ウォブリングという)が原因となっているが、以下これを総称して「面倒れ」ということとする。
【0004】
そこで、この面倒れを補正するためにポジティブシリンドリカルレンズあるいはシリンドリカルミラー等の光学素子を使用した面倒れ補正光学系を使用することが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし近年、より高精度、高密度の走査が要求されており、このような観点から上記面倒れ補正もより高精度に行う必要があり、上記シリンドリカルレンズあるいはシリンドリカルミラーを単独で用いる補正光学系により面倒れ補正を高精度に行うのは困難となってきている。
【0006】
そこで、特公平4-21164号においては、ネガティブ屈折シリンドリカルレンズとポジティブシリンドリカルミラーとを組み合わせた補正光学系が提案されている。その一例を図5および図6を参照して説明する。
【0007】
レーザ光源111 から発生された光ビームLは、シリンドリカルレンズ112 を通過して、偏向器である回転多面鏡113 に該回転多面鏡113 の回転軸に垂直な線像として入射され、回転多面鏡113 が矢印R方向に回転するのに伴って反射偏向される。図5はこの反射偏向された光ビームLの光路を前記回転軸と平行な方向から見た概略図であり、図6は前記光路を前記回転軸と垂直な方向から見た概略図である。まず、図5を参照して偏向された光ビームLの主走査について説明する。前記回転多面鏡113 の反射面(偏向面)114 により反射偏向された光ビームLは光路上に設けられた走査レンズ115 に入射し、この走査レンズ115 に平行光として入射した光ビームLはネガティブ屈折シリンドリカルレンズ116 を通過してポジティブシリンドリカルミラー117 によって被走査面120 上に集束され、矢印X方向に繰り返し主走査が行われる。また、前記走査レンズ115 と被走査面120 との間に設けられている主走査方向に延びたネガティブシリンドリカルレンズ116 およびポジティブシリンドリカルミラー117 は、入射した光を主走査方向と垂直な方向(副走査方向)にのみそれぞれ発散および集束させるレンズおよびミラーであり、図5においては光ビームを透過および反射させるだけである。一方、前述したように前記回転多面鏡113 は面倒れ等を生じることが多く、これを補正するシステムを図6により説明する。
【0008】
回転多面鏡113 の偏向面114 により反射偏向された光ビームLは、前記走査レンズ115 に入射し該走査レンズ115 を通過してやや広がった光ビームとなる。このやや広がった光ビームLは該光ビームLを前記被走査面120 上において副走査方向(矢印Y方向)にのみ集束させるシリンドリカルミラー117 に入射する。この時、回転多面鏡113 に面倒れ等があっても、偏向面114 の一点で反射された光はシリンドリカルミラー117 により被走査面120 上の副走査方向において同一位置に集束させることができる。すなわち、面倒れ等により図6の上下方向に光ビームLの光路がずれてもそのズレを補正することが可能となる。また、走査レンズ115 とシリンドリカルミラー117 との間にシリンドリカルレンズ116 を配して像面湾曲を補償している。
【0009】
この技術によれば、単にポジティブシリンドリカルレンズあるいはシリンドリカルミラーのみで面倒れ補正を行うよりも、高精度にその補正を行うことができる。しかし、上記の構成では部品点数の増加させることとなり、この部品点数の増加はコストアップにつながるだけでなく、高精度化をねらったにもかかわらず逆に取付時の累積誤差を増加させる原因ともなり得る。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、部品点数を抑制して、高精度に面倒れ補正を行うことができる面倒れ補正光学系を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の面倒れ補正光学系は、偏向手段によって偏向された光ビームを所定の被走査面上に結像するとともに該被走査面上で等速度走査せしめる光走査装置において、前記偏向手段と前記被走査面との間に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームを反射して前記被走査面上に前記走査の方向に垂直な方向に集束させる光学素子を備えた面倒れ補正光学系であって、
前記光学素子がインミラーレンズであることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、インミラーレンズとは、表面に屈折面を有し、裏面に反射面を有するレンズをいう。
【0013】
なお、前記インミラーレンズの屈折面および反射面はともに入射光に対して偏向手段側に凹円筒面であり、前記屈折面の曲率半径が前記反射面の曲率半径よりも小さいことが望ましい。
【0014】
【発明の効果】
本発明の光走査装置における面倒れ補正光学系は、光ビームを反射して被走査面上に副走査方向に集束させる光学素子としてインミラーレンズ採用しているので、シリンドリカルレンズ若しくはシリンドリカルミラーを単独に用いた補正光学系と比較して高精度に面倒れ補正をすることができる。
【0015】
また、このようにインミラーレンズにより面倒れを補正することにより、従来のようにシリンドリカルレンズとシリンドリカルミラーとによって光ビームの面倒れを補正する場合に比較して構成部品点数を削減することができ組立工程における累積誤差の増加を防止することができる。
【0016】
また、凹円筒状の屈折面と凹円筒状の反射面を有するインミラーレンズは、すなわち負素子と正素子との組合せであるため、一個の素子としてのパワーは小さくなる。一般にパワーが大きいほど誤差に対する感度も大きくなることから、パワーを小さく抑えることは性能の劣化を抑制することにつながる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光走査装置用の面倒れ補正光学系の具体的な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の面倒れ補正光学系を使用した光走査装置の概略構成を示す斜視図、図2および図3は図1に示した光走査装置のうち本発明の面倒れ補正光学系を含む集光光学系だけを抜粋した構成図であり、図2は図1の矢視Aを、図3は図1の矢視Bをそれぞれ示すものである。なお、図3(b)は同図(a)のインミラーレンズ部の拡大図である。
【0019】
図示の光走査装置は、レーザビームLを出射するレーザ光源11と、このレーザビームLを光偏向器であるポリゴンミラー13の反射面(偏向面)14上に線像として結像せしめるシリンドリカルレンズ12と、図示しないモータにより軸回りに回転せしめられて偏向面14に入射したレーザビームLを所定の方向に偏向せしめるポリゴンミラー13と、偏向されたレーザビームLを所定の感光材料20上に結像するとともにその感光材料20上で主走査方向Xについて等速度走査せしめる、2枚のレンズからなるfθレンズ15(fθ第一レンズ15A,fθ第二レンズ15B )と、このfθレンズ15を通過したレーザビームLの進行方向を感光材料20に向けて変える(立ち下げる)とともに主走査方向Xに垂直な副走査方向Yについてのポリゴンミラー13の面倒れを補正するための屈折力を有するインミラーレンズ18とから構成される。このインミラーレンズ18は凹円筒状の屈折面18a と凹円筒状の反射面18b とからなり、この屈折面18a および反射面18b により面倒れを補正するように構成されている。なお、屈折面18a の曲率半径は反射面18b の曲率半径よりも小さい。
【0020】
なお被走査媒体である感光材料20は図示しない搬送手段によって矢印Y方向(副走査方向)に搬送される。
【0021】
次に本実施形態の集光光学系の作用について説明する。
【0022】
レーザ光源11からレーザビームLが出射され、このレーザビームLはシリンドリカルレンズ12によりポリゴンミラー13の偏向面14上に線像として結像せしめられる。
【0023】
ポリゴンミラー13の偏向面14により偏向せしめられたレーザビームLは、fθレンズ15を通過し、インミラーレンズ18により屈折反射せしめられて感光材料20の面上に導光されるとともに走査スポットを形成する。ここでポリゴンミラー13は矢印R方向に高速回転されるため、この走査スポットは感光材料20の面上を矢印X方向に繰り返し主走査する。この間、感光材料20は矢印Y方向に副走査されるため、この主走査と副走査とにより走査スポットが感光材料20の面上を全面に亘って走査する。
【0024】
さらに詳しくは、ポリゴンミラー13の偏向面14により偏向せしめられたレーザビームLは、fθレンズ15により感光材料20の面上において等速度で主走査される一方、ポリゴンミラー13の偏向面14の面倒れにより副走査方向に走査位置が変動する。この副走査方向に変動するレーザビームLはインミラーレンズ18に入射せしめられ、インミラーレンズ18の屈折面18a で屈折され反射面18b で反射され再びその屈折面18a から出射される間にこの屈折面18a による発散および反射面18b による集束作用により高精度に面倒れ補正がなされる。
【0025】
このように本実施形態の光走査装置における面倒れ補正光学系によれば、シリンドリカルレンズおよびシリンドリカルミラーの効果を併せ持つインミラーレンズ18を用いて光ビームの面倒れを補正することにより、構成部品点数の増加を防止しつつ高精度な面倒れ補正を実現することができる。
【0026】
図2に示した本実施形態の集光光学系の具体的な実施例を表1に示す。表において、面数nとは、ポリゴンミラー13の偏向面を第1面とし、各レンズ面を偏向面側から数えた順番である。したがって、面数1,2,3,4,5,6,7はそれぞれ、偏向面、fθ第一レンズ15A の入射面および出射面、fθ第二レンズ15B の入射面および出射面、インミラーレンズ18の屈折面および反射面である。なお、IMGは感光材料20の面である。軸上面間隔dn のうちd1 からd4 は、図3(a)に示すように隣接する面間の間隔であり、d5 からd7 は図3(b)に示す距離である。屈折率は、各レンズのd線での屈折率である。なお、曲率半径を示すに当たっては軸方向を正にとり、曲率中心の位置を基準にして符号を付している。
【0027】
【表1】
【0028】
なお、図4(a), (b)に、表1に示した集光光学系による像面湾曲特性図およびfθ特性図をそれぞれ示す。図示のグラフによれば本実施例の光学系は良好に収差補正がなされているのが認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集光光学系を使用した光走査装置の概略構成を示す斜視図
【図2】図1に示した光走査装置のうち本発明の集光光学系を抜粋した構成であり、図1のAから見た図
【図3】図1に示した光走査装置のうち本発明の集光光学系を抜粋した構成であり、(a)は図1のBから見た図、(b)は(a)のインミラーレンズ部を拡大した図
【図4】本発明の光走査装置の具体的な実施例における収差図
【図5】従来の光走査装置における光ビームの光路を偏向器の駆動軸と平行な方向からみた概略図
【図6】従来の光走査装置における光ビームの光路を偏向器の駆動軸と垂直な方向からみた概略図
【符号の説明】
11 レーザ光源
12 シリンドリカルレンズ
13 ポリゴンミラー
15 fθレンズ
18 インミラーレンズ
20 感光材料
Claims (1)
- 偏向手段によって偏向された光ビームを所定の被走査面上に結像するとともに該被走査面上で等速度走査せしめる光走査装置において、前記偏向手段と前記被走査面との間に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームを反射して前記被走査面上に前記走査の方向に垂直な方向に集束させる光学素子を備えた面倒れ補正光学系であって、
前記光学素子がインミラーレンズであり、該インミラーレンズの屈折面および反射面がともに前記偏向手段側に凹円筒面であり、前記屈折面の曲率半径が前記反射面の曲率半径よりも小さいことを特徴とする面倒れ補正光学系。
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