JP3682885B2 - Ti基ろう及びTi基ろうを用いたろう付け構造 - Google Patents
Ti基ろう及びTi基ろうを用いたろう付け構造 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、Ti、Ti合金、超硬合金、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、グラファイト及びセラミックス等の接合に用いられるTi基ろう及びそのTi基ろうを用いたろう付け構造、並びにより一般的にはろう付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Ti及びTi合金は、鉄鋼、アルミニウム、銅に次ぐ実用金属材料で、比強度と耐食性に優れた材料として知られ、宇宙機器、航空機から化学、原子力プラントに至る幅広い分野で使用されている。また、眼鏡、自転車、スポーツ用具や装飾品など民生品等に用途が広がり、さらに、最近では生体に対する適合性が良好なことから歯科用、外科用等の生体用(医療用)インプラント材としても注目を集めている。
【0003】
チタンは極めて活性な金属であり、多くの元素と反応し、特に高温で酸素、窒素と反応して機械的性質が劣化する。そのため、チタン及びチタン合金の接合は、鉄鋼等のろう付けとは異なった配慮が必要である。
【0004】
ろう付け法は、母材に熱影響等を与えにくく、広い面積の接合や異種材料との接合が可能であり、複雑かつ精密な構造の接合に適しており、チタンに関する接合方法として注目されている。
【0005】
また、チタン合金の他、超硬合金、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、グラファイト、セラミックス、セラミックス複合材料等を同種異種接合する適当な接合材料が求められている。
【0006】
「溶接技術1992年7月号「チタン・チタン合金のろう付け」渡部健彦」には、チタンろう付け用ろう材の種類として、Ag基ろう、Al基ろう、及びTi基ろうが紹介されている。
【0007】
Ag基ろうはろう材自体が延性に富み、Ag−Cu系、Ag−Cu−Ni系、Ag−Al系が記載されている。
【0008】
Al基ろうは安価で融点が低く、純Al、Al−Mn系が記載されている。
【0009】
Ti基ろうは耐食性に優れており、Ti−Ni−Cu系、これにZrを添加して融点を低下させたTi−Zr−Ni−Cu系が記載されている。Niは、ぬれ性の向上及びチタン酸化物の形成阻止のために必須の構成元素とされている。また、Ti−Ni−Cu系は加工性が悪く積層ろうとして使用されており、これらの系ではCuはTiと脆い金属間化合物を形成する性質が強かった。
【0010】
また、恩沢らによって上記低融点Ti−Zr−Cu−Niろう材が開発されており、この系のろう材は、引張強度においては最高1000MPaに達するが、Ti39.8Zr20.6Cu19.7Ni19.9(wt%)ろうで、Ti母材(被ろう付け材)をろう付けしたJIS3号試験片を用いたシャルピー衝撃試験によれば衝撃強さは0.75J/cm2と低いものであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のろう材には、以下のような問題点があった。
【0012】
即ち、いずれの系のろうにおいても、接合強度が十分ではなく、特に実際の使用で問題となる衝撃強度が低いという問題があり、各ろう付け温度によってぬれ性の良さと接合強度を両立させることが困難であった。
【0013】
さらに、従来のTi基ろうにおいては、ろうの融点を下げるためにNiを構成元素とするが、Niを含有するろう材を生体に用いる場合、Niの微量溶出による金属アレルギが懸念される。
【0014】
また、上記Ni成分の代わりにAu、Ag、Pd、及びPt等の貴金属を含有する例えばAg基ろうは、生体に金属アレルギ等の悪影響を及ぼさないが、高価であり、Ag等は、それ自体強度があまり高くないという欠点を有しているので、Agを主成分とするろうは接合強度面で特に不十分であった。
【0015】
また、Al基ろうは、Alが被ろう付け材と脆い金属間化合物を形成し易く、Alの融点が660℃と低いため、例えばろう付け後にセラミックスを焼結ないし焼き付けする場合などには、セラミックスの焼結温度(例えば歯冠用セラミックスの場合約850℃)よりろう材の融点が低く使用できないという重大な欠点を有していた。
【0016】
ところで、被ろう付け材がTiの場合、Ti自体の衝撃強度はJIS3号試験片によるVノッチ衝撃強度試験(シャルピー衝撃試験)によれば、室温で138.6(J/cm2)、アルゴン雰囲気中1100℃×4分の熱処理後259.6(J/cm2)、アルゴン雰囲気中1160℃×4分の熱処理後266.3(J/cm2)という高い強度を有しているが、従来のろう材では上記のようにろう材部の衝撃強度が低いために、ろう材部から破断し易くTi自体の高強度を十分に発揮させた複雑な形状を有する構造部品等を製作することが困難であった。
【0017】
そこで、本発明は前記問題点を解消し、接合強度の高いTi基ろうを提供することを目的とする。
【0018】
さらに、使用態様によって変わる各ろう付け温度で、良好なぬれ性を有するTi基ろうを提供することを目的とする。
【0019】
また、歯科、外科等の医療用ろうとして好適なTi基ろうを提供することを目的とする。
【0020】
また、Ti、Ti合金の他、超硬合金、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、グラファイト、セラミックス、セラミックス複合材料等を同種異種接合するのに好適なTi基ろうを提供することを目的とする。
【0021】
その上、本発明のTi基ろうを用いてろう付けした接合強度の高いろう付け構造を提供することを目的とする。
【0022】
さらに、ろう付け後の均質化熱処理等のろう付け後工程を不要にすることを目的とする。
【0023】
なお、本発明は上記課題のうち少なくとも1つを達成することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のTi基ろうに係る手段は、下記のとおりである。
【0025】
第1の視点において、Ti、Pd及びCuを必須成分とし、Pd20〜80wt%、Cu2〜5wt%、残部Tiからなる。
【0026】
第2の視点において、Ti、Pd及びCoを必須成分とし、Pd20〜80wt%、Co0.01〜30wt%、残部Tiからなる。
【0027】
第3の視点において、Ti、Pd、Cu、Coを必須成分とし、Pd20〜80wt%、Cu及びCoの2種以上0.01〜30wt%、残部Tiからなる。
【0028】
また、本発明のTi基ろうを用いたろう付け構造に係る手段は、第1〜3の視点におけるTi基ろうを用いて、被ろう付け材同士のろう付け間隔が150μm以下である。
【0029】
【好適な手段】
【0031】
第2の視点において好ましくは、Co2〜10wt%である。
【0032】
第3の視点において好ましくは、Cu及びCoの2種以上が2〜10wt%である。
【0033】
第1〜3の視点において好ましくは、Tiに対するPdの重量比Pd/Tiが0.25〜4であり、さらに好ましくはPd/Tiが0.66〜1.5であるTi基ろうである。
【0034】
第1〜3の視点において好ましくは、Ag、Au、Zrの一種以上を合量10wt%以下含む(0%より多く、有意量)。
【0035】
第1〜3の視点において好ましくは、生体用(例医療用)インプラント材に用いられるTi基ろう材である。
【0036】
さらに、生体親和性元素であるAg、Au、Zrの一種以上を合量10wt%以下含む生体用(例医療用)インプラント材に用いられるTi基ろう材である。
【0037】
第1〜3の視点において好ましくは、Ti、Ti合金、超硬合金、セラミックス、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、グラファイトの一種以上を互いにろう付けするTi基ろうないしTi基ろう付けする構造が得られる。
【0038】
なお、いずれの視点においても工業上不可避の不純物を微量含むことがある。
【0039】
【作用】
上記構成のもと、本発明のTi基ろうおいては、被ろう付け材であるTi及びTi合金等の接合強度を高くすることが可能であり、ぬれ性も良く、ろう材として非常に優れている。また、Ti、Ti合金、超硬合金、セラミックス、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、グラファイトの一種以上を互いにろう付けするろう材としても優れている。
【0040】
特に、Ti及びPdを主成分とし、Tiに対するPdの重量比Pd/Tiが0.25〜4であるTi基ろうは接合強度に優れており、工業上の利用価値が高い。さらにPd/Tiが0.66〜1.5であれば一層接合強度に優れる。
【0041】
また、特にTi、Pd及びCuを主成分とし、Pd20〜80wt%、Cu3〜30wt%、残部本質上TiからなるTi基ろうは、比較的低温でぬれ性が良い。さらにCu2〜10wt%であれば一層接合強度に優れる。
【0042】
また、特にTi、Pd及びCoを主成分とし、Pd20〜80wt%、Co3〜30wt%、残部本質上TiからなるTi基ろうも、比較的低温でぬれ性が良い。Tiを含む母材(被ろう付け材)とCoを含むろうは接合し易い。さらにCo2〜10wt%であれば一層接合強度に優れる。
【0043】
また、特にTi、Pd、Cu、Coを主成分とし、Pd20〜80wt%、Cu及びCoの2種以上3〜30wt%、残部本質上TiからなるTi基ろうも、比較的低温でぬれ性が良く、Ti及びTi合金の他に、その他超硬合金、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、セラミックス、セラミックス複合材料等を同種異種接合することができる。さらにCu+Co2〜10wt%であれば一層接合強度に優れる。
【0044】
その上、上記Ti−Cu−Pd、Ti−Co−Pd、Ti−(Cu,Co)−Pd3系ろうにおいて、Tiに対するPdの重量比Pd/Tiが0.25〜4であり、さらに好ましくはPd/Tiが0.66〜1.5であれば一層接合強度に優れ、ぬれ性との両立が実現できる。
【0045】
また、Ag、Au、Ni、Zr、Pt、In、Sn、Si、Zn、Al、Fe、Cr、Li、Sb、Mn、Mo、Nb、Be、Bi、V、W、Ta、Gaの一種以上を合量10wt%以下含むことで融点を下げることができる。
【0046】
また、Niを含まない本発明のTi基ろうは、生体に用いた場合にアレルギの原因となる成分が含まれていないので、歯科用、外科用インプラント材のろう付けに非常に適している。
【0047】
また、上記生体用に好適なTi基ろうに生体親和性の高い元素(Ag、Au、Zr、Pt、Sn、In、Si、Al、Fe、Sb、Mn、Mo、Nb、Ta、Bi、W、Ga等)を加えて融点を降下させることが可能であり、取扱い性等が向上する。
【0048】
さらに、本発明のTi基ろう用いてろう付けを行なう場合、ろう付け構造即ち被ろう付け材同士の接合間隙を150μm以下、更に好ましくは100μm以下(特に高い接合強度が求められる場合)とすることで、ろう付け組織からの破断が発生しにくくなり接合強度が上昇する。更に50μm以下であれば最も好ましい。
【0049】
さらに、本発明のTi基ろうを用いてろう付けする場合に、従来接合強度を得るために必要であったろう付け後の均質化熱処理が不要であり、従来5分以上必要であったろう付け時間を短縮可能である。そのため被ろう付け材を劣化させることがほとんどない。また、フラックスを必要としない利点があり、フラックスによる汚染を生じないため、特に生体用ろう付け材として好適である。
【0050】
【発明の概説】
本発明のTi基ろうは、被ろう付け材であるTi及びTi合金等の接合強度、特に衝撃強度高くすることが可能であり、ぬれ性も良く、ろう材として非常に優れている。そしてTiを主成分とするため耐食性も優れ、特に、Ti、Ti合金、超硬合金、セラミックス、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、グラファイトの一種以上を互いにろう付けするろう材としても優れている。その上、アレルギーの原因となるNi無添加のろう材ができるので生体用インプラント材のろう付け用として好適である。以下に、一般的にろう材に求められる特性・評価方法及び本発明のろう材の組成限定理由について詳細に説明する。
【0051】
ろう材の接合強度試験としては、引張試験、せん断試験及び衝撃試験があるが、後者2つ、中でも衝撃試験が、現実の使用環境でのモードの最も近く、ろう付けの接合強度(継手強度)の評価方法として適当であり、特に、歯科用インプラントの接合強度試験として最適である。
【0052】
この衝撃強度は、JIS3号衝撃試験片の室温でのシャルピー衝撃試験機によれば、少なくとも、おおよそ1J/cm2以上あることが好ましい。さらに好ましくは2、4、6、7、8各J/cm2、特に衝撃強度の必要な用途では10、20各J/cm2以上あることが好ましい。
【0053】
また、ろう付けをする際に、被ろう付け材間の接合間隔が重要である。接合間隔によって、ろう材の組織、ろう材と母材(被ろう付け材)の界面組織が変化する。ろう材部の組織は、母材に比べて機械的強度が落ちるので、ろう材部の強度が低過ぎると低衝撃で破断することになる。
【0054】
また、ろう材には被ろう材の使用態様によって高い耐食性が要求されるが、本発明のTi基ろうの必須構成元素であるTi、Pdは、とも耐食性に優れており、苛酷(高温多湿等)な環境下でも、ろう付け部が破壊の発生箇所となることがまず有り得ない。
【0055】
また、ろう材のぬれ性は、ある程度に融点に関係し融点の低いものが比較的ぬれ性が良い。医療用(歯科用、外科用等)には、融点の低いものが好ましい。
【0056】
但し、被ろう付け材(母材及びチップ)の種類によっては比較的高融点のろう材が求められる場合がある。例えば、セラミックス同士をろう付けしてから再度セラミックスの焼結を行なう場合、ろう材の融点がセラミックスの焼結温度より低ければろう材が流れてしまうので、ろう材の融点はセラミツクスの焼結温度以上でなければならない。また、工業上用いるには、ろう付け設備や安全が十分に確保できるので、ろう材の接合強度が高ければ融点が高くてもよい場合がある。
【0057】
また、本発明のTi基ろうは、純Tiの接合を行なう場合、熱間加工により高強度を得るα+β型のTi−6Al−4V合金と異なり、Tiのβ変態は、前記純Tiの長時間加熱による結晶粒粗大化のみに留意すれば、大きな問題にはならない。なお、熱処理後もTi母材(Ti自体)のシャルピー衝撃試験によるVノッチ衝撃強度は約260J/cm2もの値が得られている。
【0058】
また、本発明のろう材はTiを含んでいるので、金属及びセラミックスの双方のろう接において高い接合強度を発揮することができる。Tiは金属であり、さらに炭化チタン又は窒化チタン(TiC、TiN、Ti3N4等)のようなセラミックスにもなることから分かるように、多種の元素と親和性が高いからである。
【0059】
以上の観点から、以下、本発明の組成限定理由について述べる。
【0060】
本発明のTi基ろうの成分は、第1の視点においてはTi、Pdを主成分とする。Ti−Pdろうは融点が高くぬれ性がやや劣るが、接合強度が高い。そのため、比較的高温でろう付けが可能である工業上での利用価値が高い。なお、Ti−Pd系は全率固溶体を形成する。
【0061】
Pdは、量が多ければ接合強度を高めるが、融点が高くなりぬれ性が悪くなる。また、Ti多で融点低下する。従ってTiに対するPdの重量比Pd/Tiはおおよそ1対1を中心として0.25〜4である。上記範囲を外れれば融点が上がり過ぎ、偏析、また脆い金属間化合物が析出し易くなる。より好ましくは、0.66〜1.5であり一層接合強度が高い。なお、Pd以外の貴金属以外を多量に添加すると接合強度が低下する。なお、ろう付け温度はTi50−Pd50(Pd/Ti=1)で約1165℃(固相−液相変態点は1118〜1140℃の間)がおおよそ好ましい。
【0062】
本発明のTi基ろうの成分は、またTi、Pd、Cuを主成分とする。Ti−Cu−Pd系ろうはTi−Pd系に比べて融点が低く比較的ぬれ性に優れている。なお、融点はTi70〜45−Cu10−Pd20〜45系ろうで約925〜980℃、Ti20〜45−Cu10−Pd45〜70系ろうで約925〜980℃である。
【0063】
Cuは、量が多ければろうの融点を下げ、ぬれ性を向上させるが、ろう付け部中心付近に偏析等を生じ、接合強度を低下させる。よってPd20〜80wt%、Cu0.01〜30wt%、残部本質上Tiからなるものとする。より好ましくは、Cu2〜10wt%である。また、特に接合間隙が広くCu成分が多い場合、ろう付け部の中心部にCuの強度の低い偏析組織を生じやすくなる。
【0064】
Coは、Cuとほぼ同種の添加効果を示し、量が多ければろうの融点を下げ、ぬれ性を向上させるが、接合強度を低下させる。よってPd20〜80wt%、Cu0.01〜30wt%、残部本質上Tiからなるものとする。より好ましくは、Cu2〜10wt%である。また、CoとTiは合金化し易く、Tiを含む母材(被ろう付け材)とCoを含むろうは接合し易い。
【0065】
本発明のTi基ろう、特にCu+Coの複合添加したろうは、グラファイト、カーボンコンポジット、ダイヤモンド、鋼、超硬合金(WC等)、Mo、セラミックス(炭化珪素、窒化珪素(Si3N4等))、ZrO2焼結体、アルミナ、その他酸化物系、窒化物系及びホウ化物系セラミックス等のこれら同種間又は異種間のろう付けに優れている。Cu+Coの複合添加量は、0.01〜30wt%が好ましい。より好ましくは、2〜10wt%である。
【0066】
また、上記基本系に下記の元素の1種以上を添加物として合量10wt%以下含むことも好ましい。それらの元素は、Ag、Au、Ni、Zr、Pt、In、Sn、Si、Zn、Al、Fe、Cr、Li、Sb、Mn、Mo、Nb、及びBeである。その効果として共通にはろう材の融点の降下である。但し、歯科用等生体親和性のためには、有害元素(上記元素中でNi、Zn、Cr、Li、Be)を含まないことが好ましい。
【0067】
また、本発明のTi基ろうのろう付け方法においては、被ろう付け材間の接合間隔、例えばTiからなる母材及びチップのろう付け間隔は150μm以下、高接合強度が求められる用途では100μm以下が好ましい。さらに好ましくは75μm以下である。そして、接合間隙50μm、Ti−Ti50Pd50−Tiで60J/cm2を超える衝撃強度が得られている。他の本発明に係るろうについても、接合間隙50μmで極めて高い衝撃強度が得られている。
【0068】
また、本発明のTi基ろうにおいて、衝撃強度は、JIS3号衝撃試験片の室温でのシャルピー衝撃試験機によれば、少なくとも、おおよそ1J/cm2以上あることが好ましい。さらに好ましくは2、4、6、7、8各J/cm2以上あることでろう材の用途が一層拡大し、特に大きな耐衝撃強度の必要な用途では10、20各J/cm2以上あることが好ましい。また、接合間隙を狭くして耐衝撃力を重視して組成を選定すれば、60J/cm2以上の極めて優れた特性が得られる。
【0069】
そして、ろう付けする場合にも、特にアルゴン雰囲気や真空の場合には、フラックスは通常不要であるため、フラックスの蒸発成分による汚染のおそれもなく、フラックスを使用しない分安価になる。なお、Tiろう付け用フラックスとしては、AgCl−KF−LiF−LiCl系等がある。
【0070】
さらに、本発明のTi基ろうを用いた場合、B等の融点降下元素を含まず、衝撃破断(シャルピー衝撃試験による)がろう材側で起こっていることからも、通常はろう付け後の均質化熱処理が不要であるという利点もあり、被ろう付け材に対する加熱による悪影響を生じるおそれが極めて低くなる。なお、熱処理はTi母材とろう材界面付近の針状組織の改善(消失)に特に効果的であるが、衝撃破断がほとんどろう材側で起こっているので、均質化熱処理の意味は比較的薄いと考えられる。
【0071】
本発明のTi基ろうを実際に使用する場合の形態は、粉末、箔状、線状、板状、棒状、あるいは特別に積層ろう等、通常用いられるろう材と同様の形態で用いることができる。Ti基ろうは一般のろう材に比べると硬く脆いため、クラッド化することによりろうの形状を箔にすることができる(ろう付け製品の組立が大変容易になる)。アモルファス化も箔にする有効な手段で、この場合、クラッドろうに比べ溶け別れしにくいという利点もある。
【0072】
また、ろう付け機としては、高周波ろう付け機、抵抗ろう付け機、赤外線ろう付け機等、通常工業上あるいは医療上使用されているろう付け機を用いることができる。
【0073】
用途としては、医療分野では、歯科用及び外科用インプラント材(差歯、人工関接等)のろう付け、民生品では眼鏡フレームのろう付け、及び工業分野では、切削・研削工具におけるダイヤモンド、サーメット及び超硬工具等のペレットへの取り付け、航空宇宙分野ではカーボンコンポジット製品のろう付け、さらに耐食性・耐衝撃性を活かし原子力を含む発電所等の配管設備のろう付けに使用することが可能である。
【0074】
【実施例】
<実施例1>(ろう材の製造方法及びぬれ性試験)
また、ろう材の製造はボタンステム溶解炉を用いて行った。溶解は総量約3gの各金属を中央の銅の窪みに乗せ、タングステン電極によるアーク熱にて、アルゴンガス雰囲気中で溶解し作製した。
【0075】
このろう材を、Ti基板上に載せアルゴン雰囲気中で各温度(1000〜1165℃)で、ろう材のぬれ性を観察した。なお、各ろう材の融点は、Ti50−Pd50(Pd/Ti=1)で約1118〜1140℃(好ましいろう付け温度は1165℃)、Ti70〜45−Cu10−Pd20〜45系ろう(Pd/Ti=1)で約925〜980℃、Ti20〜45−Cu10−Pd45〜70系ろう(Pd/Ti=1)で約925〜980℃であり(表5参照)、ぬれ性試験の試験温度としては、これらの融点より5〜100℃程度高いことを基準とした。但し、合金の融点であるから厳密に測定することは非常に困難である。
【0076】
表1ないし表4に、各種ろう材の各温度におけるTi基板に対するぬれ性の良否を示す。○はぬれ性の特に良いもの、△はそのろう付け温度でぬれ性が普通のもの、×はぬれ性の劣るもの、−はデータなしを夫々示す。* は比較例、 **は参考例である。さらに、図1及び図2に表1〜3に記載のろうの内、幾つかのろう材のぬれ性試験結果示す金属組織のマクロ写真を示す。なお、ぬれ性が良いとは、図1及び図2の示す通りろうの流れ・広がりが良く、液体(ろう)と固体(被ろう付け材、母材)との接触角が鋭角であることをいう。
【0077】
表1に、Ti80−Cu20−(貴金属元素)20系の1000〜1150℃でのろう材のぬれ性の試験結果を示す。
【0078】
【表1】
【0079】
Ti−Cu−Pd系ろう材が、1100℃及び1150℃で良好なぬれ性を示し、Au、Pt、及びAgを含む系は上記温度ではぬれ性が劣っていた。
【0080】
そこで、比較的低温(1100℃)でぬれ性の高いTi−Pd−Cu系の組成を変え、特にCu含有量を20wt%から5又は10wt%に減量し、あるいは添加元素を加えたろう材をさらに試験した。
【0081】
表2に、Ti−Cu−Pd系ろう材、及び上系にAg、Au、及びZrを単独又は複合添加したろう材の1100℃におけるぬれ性の試験結果を示す。
【0082】
【表2】
【0083】
これより、Ti−Cu−Pd系ではぬれは良いが、CuにAu,Pt,Agが入るとぬれが悪く、Zrが入るとぬれが改善されることが分かった。このように、貴金属元素でもPd以外は、低温でのぬれ性が劣っていた。
【0084】
表3に、Ti−Pd系、Ti−Pd−Cu系、及びCuをCoで一部又は全部置換したろう材の1100、1165℃でのぬれ性の試験結果を示す。
【0085】
【表3】
【0086】
Ti−Cu−Pd系ろう材のみが、1100℃及び1150℃で良好なぬれ性を示した。
【0087】
表4に、試料No.5〜17(表2)の追加実験として、1075〜1175℃でのぬれ性の試験結果を示す。
【0088】
【表4】
【0089】
低温(表2)でぬれ性の比較的劣るろう材も、高温(表4)ではぬれ性が向上していることが分かる。
【0090】
以上より、表1〜4の結果よりTi−Cu−Pd系において、Cu又はPd含有量が多い程低温でのぬれ性が良く、Ti−Co−Pd系及びTi−Cu−Co−Pd系もぬれ性が良いことが分かった。
【0091】
表5に、各種Ti基ろうの融点及びろうの酸化について示す。
【0092】
【表5】
【0093】
本実施例のTi基ろうは合金組成であるので、正確に融点を測定するのが困難であるが、固相〜液相への相変態温度から、各ろうの特性に応じてぬれ性の良好なろう付け温度を推定することが可能であり、ろう付け温度の最適化に貢献する。
【0094】
次に、図1及び図2に表1〜3に記載のろうの内、幾つかのろう材のぬれ性試験結果示す金属組織のマクロ写真を示す。
【0095】
図1に、図中上から、Ti60−Cu20−Pd20(ぬれ性良)、以下ぬれ性の劣るTi60−Cu20−Au20、Ti60−Cu20−Pt20、Ti60−Cu20−Ag20各ろうを示す。ぬれ性の良いTi60−Cu20−Pd20ろうは基板上に密着して広がっている。
【0096】
図2に、いずれもぬれ性の良い、図中上からTi60−Cu20−Pd20、Ti40−Cu20−Pd40、Ti45−Cu10−Pd45、Ti47.5−Cu5−Pd47.5各ろうを示す。
【0097】
<実施例2>(Ti60Cu20Pd20ろうの組織観察)
【0098】
次に、実施例1でぬれ性の良かったTi60Cu20Pd20ろうの組織観察を行なった。母材(ベース)とチップ(被ろう付け材)には純チタン(JIS3種)を使用し、ベ−スは3×11×22mm、チップは3×4×6mmに切断し、ろう付面をエメリ−紙で1000番まで研磨した後、アセトンで洗浄した。ろう材には、表1〜表3に示す各種ろう材の中でぬれ性の良好なTi60Cu20Pd20ろうを用いた。ベースとチップの間に、50,100,又は150μmのタングステンワイヤーのスペーサーを挟みベース−チップ間の所定の間隔を確保した。そして、チツプのまわりにろう材を置き、観察試料を作成した。
【0099】
次に、この試料に熱電対を付け、既に電気炉内で所定の温度まで昇温してあるシリカチューブ内に挿入した。また、チタンは極めて活性な金属であるため高温では窒素、酸素、水素などを吸収し硬化するとともに、靱性が低下するため、高純度のアルゴンガス雰囲気中でろう付を行った。ろう付温度は、1100℃で240s保持した後、シリカチューブ出口付近で冷却してから取り出した。この時、ろう付出来たものだけを後のせん断試験と組織観察に使用した。
【0100】
図3に試作ろうTi60Cu20Pd20のろう付部の金属組織の顕微鏡組織写真を示す。ろう付け条件は、上述のようにろう付温度は1100℃、保持時間は240s、ベースとチップの接合間隙は50,100,150μmで行なった。組織観察をする為に使用した腐食液は、チタクリーン腐食液(弗酸1%,硝酸13%)で、試料を2秒ほど浸した後、水洗して観察を行った。
【0101】
図3(a)、(b)及び(c)は、夫々ベースとチップの接合間隔が、50,100,150μmである。
【0102】
図3(a)及び(b)より50,100μmの接合間隙では、接合部に細かい針状組織が現れ、母材組織の境界は明瞭に観察されない。そして、100μm,150μmと接合間隙が広くなるにしたがい、中央部に白いCuの相が認められた。
【0103】
次に、ろう付部の組成を詳しく調べるために、上記接合間隙100μmの試料について、高分解能電子顕微鏡で組織観察及び組成の元素分析を行った。
【0104】
図4に図3(b)(接合間隙100μm)とおなじ部分の電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を、表6〜9に組成像に示す各組成分析点(1,2,3,4)での元素分析結果を示す。点1を中央灰色部、点2を中央白色部、点3を端部黒色部、点4を端部灰色部とする。
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
元素分析結果から、表6に示すcenter-gray部(中央の灰色部点1)では、Ti:56.9%,Cu:29.4%,Pd:13.7%,表7に示すceuter-white部(中央の白色部点2)では、Ti:43.1%,Cu:45.8%,Pd:11.2 %,表8に示すside-brack部(端部の黒色部点3)では、Ti:82.7%,Cu:4.3%,Pd:13.0%、表9に示すside-gray部(端部の灰色部点4)では、Ti:58.4%,Cu:25.9%,Pd:15.7% という組成であった。これらの結果よりろう付中心部にはCuが比較的多く含まれていることがわかった。
【0110】
<実施例3>(Ti60Cu20Pd20ろうのせん断試験)
【0111】
次に、実施例2で用いたろう材と同組成のTi60Cu20Pd20ろうの組織観察を行なった。試験材料及びろう付け方法は実施例2と同様であり、せん断試験はろう付後フィレット部をヤスリで除去した後、最大荷重4.9×104(N)のアムスラー試験機を用いて行った。
【0112】
図5に、せん断試験方法の模式図を示す。所定間隔でベース10にろう付けされたチップ9からなる試料を固定し、ろう付け面11にせん断力が働くように図中矢印の方向にベース10側面に応力を加える。
【0113】
図6に、Ti60Cu20Pd20ろうで、ろう付した時の夫々50μm、100μm、及び150μmの接合間隙におけるせん断試験結果を示す。
【0114】
Ti60Cu20Pd20ろうのせん断力の値は、50μmで467MPa,100μmで585MPa,150μmで503MPa と接合間隙の広さによらずほぼ一定であり、全体の平均値で518.3MPaと非常に高い値が得られた。破断の大部分が母材から生じていて、ろう材部からの破断は極一部だけであるためだと考えられる。
【0115】
せん断試験の結果から、Ti60Cu20Pd20ろうは、せん断力(静的荷重)に関して、かなり強度があることがわかった。
【0116】
<実施例4>(Ti60Cu20Pd20ろうの衝撃試験)
【0117】
特に歯科用ろう材の場合、せん断力(静的荷重)よりも衝撃力(動的荷重)の強度の値が高いことが重要であるため、前掲表2及び表3のろう材については衝撃力(動的荷重)についてのみ試験を行った。なお、本実施例では実施例2及び3で用いたろう材と同組成のTi60Cu20Pd20ろうについての結果を特に示す。試験材料及びろう付け方法は実施例2と同様であり、せん断試験はまた、歯科材料を接合する場合、接合隙間を均等に保つことは困難である為、それらのろう材は接合間隙を100μmとし実験を行い、その中でも強度のあるろう材については50,150μmの間隙での接合も行った。
【0118】
一辺10mm角、長さ27.5mmに切断したチタン角材を、加熱時にろう材が母材表面を流れ落ち難くする為にろう付面の一辺を面取りし、その後ろう付面をエメリ−紙で1000番まで研磨し、アセトン洗浄した。そして、接合面同士の研磨傷が垂直に交わる様にしてセットした。
【0119】
ろう材は母合金を適度な大きさに砕き、アセトン洗浄したものを用いた。この時、治具とチタンの端とが直接当たるのをさける為に、150μmのタングステン細線をゆるやかなV字に曲げ、カーボン部とチタンの間に挟んだ。また、接合間隙を一定に保つためにろう付面の間にスペーサーとして、50,100,150μmのタングステン細線を挿入した。ろう材は面取りした部分に乗せた。
【0120】
以上のように組み立てた試料をカーボン・プレートの上に乗せ、熱電対をカーボン部に付けた。それを、所定の温度に温められた炉の中のシリカチューブ内に入れてろう付を行った。ここで、シリカチューブ内は、高純度アルゴンガス雰囲気であり、ろう付温度は1100℃である。240s保持してから試料をシリカチューブ出口付近まで動かし、冷却後取り出し試験片とした。
【0121】
ろう付後、試験片からはみ出したろう材をエンドレス・ペーパーで取り除き、さらに、4面ともろう付による段差がなくなるように仕上げた。その後、窒化ボロン製カッターを用いてUノッチ加工し、JIS3号衝撃試験片に仕上げ、シャルピー衝撃試験機を用いて接合部の室温での衝撃強度を調べた。
【0122】
図7に、Ti60Cu20Pd20ろうでろう付した試料の常温における衝撃試験結果を示す。
【0123】
図8(a)〜(c)に、Ti60Cu20Pd20ろうでろう付けした試料の衝撃試験後のろう付け面における破断面の金属組織の写真を示す。
【0124】
図7より、このろう材の衝撃強度は50μmの接合間隙において平均値で11.1J/cm2と高い値を示したが、100,150μmと接合間隙を広くとると衝撃強度は低下する傾向がある。これは図8の破面観察より、50μmの接合間隙では結晶粒は非常に細かい。100,150μmの接合間隙になると結晶粒は50μmの結晶粒よりは粗くなっていること、及び、図8の断面組織からもわかるように接合間隙が広くなると、破断はろう付中心部で生じるようになる。このことは実施例2における図3、図4及び表6〜9の結果より、接合間隙が広くなると、ろう付中心部に強度の低いCuが多く含まれる相が存在するようになるため、接合部の強度が低下し、衝撃強度が比較的低くなるものと考えられる。
【0125】
これらのことから、Cuを多く含むろう材はろう付け部中心付近に強度のひくいCuの組織が偏在して衝撃強度が低くなるので、Ti−Cu−Pd系ろうにおいて、Cuの含有量はおおよそ30wt%以下が好ましく、さらに好ましくは20wt%以下であることが分かった。そこで、上述のようにろうの成分量を変え、さらに他の元素を加えた、各種ろう材(表2、表3)の内、ぬれ性の良かったものを再度試作し、次の実施例において衝撃試験を行うことにした。
【0126】
<実施例5>(他のろう材の衝撃試験)
【0127】
図9〜12に各種Ti基ろうのろう付組織の金属組織写真(倍率100倍)を示す。なお、図中下部の白色の円部はろう付け間隙を維持するためのタングステン線の断面である。ろう付温度は1100℃(Ti50Pd50のみ1165℃)、保持時間は240s、母材の接合間隙は50,100,150μmである。ここで、組織観察をする為に使用した腐食液は、チタクリーン腐食液で、試料を2秒ほど浸した後、水洗して観察を行った。
【0128】
図9はTi47.5Cu5Pd47.5ろう、図10はTi40Cu20Pd20ろう、図11はTi50Pd50ろう、図12はTi47.5Co5Pd47.5ろうである。
【0129】
ろう付け組織を観察すると、Cuを含むろう材(図9及び10)はろう付け部に細かい針状組織が現れ、かなり広い範囲において針状組織が形成されている。Ti47.5Cu5Pd47.5ろう(図9)はTi40Cu20Pd40ろう(図10)と比べて、より細かい針状組織であることがわかる。それに比べ、Ti50Pd50ろう(図11)やCoを含むろう材(図12)には、針状組織は観察されない。またCoの量を変えても組織に大きな変化は認められず、成分にCuを含むものと、含まないものでは違う組織になっていた。
【0130】
以下に、図13〜16に夫々グループ1,グループ2,グループ3,グループ4に各種ろう材によるTiろう付の常温における衝撃試験結果を示す。
【0131】
<グループ1(Ti-Cu10-Pd-M(添加元素)及びTi-Pd系>
【0132】
本実施例により、Cuが多くなると強度が低下することが分かった。従って、強度をあげるため、TiCu10PdろうをベースにZr、Au又はZr+Auをろう材に添加することにより強度の向上を計った。
【0133】
図13に、各種Ti-Cu10-Pd-M(Zr、Au、Au+Zr)ろうでTi母材をろう付けした、各種Ti基ろうに対するろうの衝撃強さを示す。なお、Ti50Cu10Pd20Au10Zr10は比較材である。ろう付け条件は、アルゴン雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は100μmである。なお、比較のためにM元素無添加のTi45Cu10Ti45ろうの衝撃強さも図中左端に示す。
【0134】
その結果、図13に示すようにTi45Cu10Ti45ろう以外の衝撃強度は100μmの接合間隙において1J/cm2前後であった。破断組織の観察の結果、いずれの場合もろう付中心部より破断が生じ、その上ろう材自身の強度も比較的低いためと考えられる。従ってPdの添加による衝撃強度向上効果が大きいことが分かる。
【0135】
図14に示すように、一方Ti50−Pd50ろう(1165℃-240s保持)によるろう付けにより、衝撃強度は50μmの接合間隙において平均値で67.6J/cm2、100μmにおいて平均値で36.91J/cm2、150μmの接合間隙において平均値で13.1J/cm2と非常に高い10J/cm2をかなり超える継手強度が得られた。これは、Ti50Pd50ろうではろう材部の組織が強く、破断がろう/母材界面付近で生ずるためと考えられる。ろう付温度が1165℃で多少高く、ぬれ性はあまり良くなかった。しかし、衝撃強度が非常に高く、特に工業上使用するのに好ましいろう組成である。
【0136】
また、Pd/Ti=1であるTi50Pd50ろうはPd/Ti=0.33(Ti60Cu20Pd20ろう(実施例4参照))のろうよりも、衝撃強さが高い傾向にあった。
【0137】
<グループ2>:Ti-Cu-Pd系
ここでは グループ1でTi50Pd50ろう(Pd/Ti=1)が非常に高い継手強度を示したので、このろう材をベースにTiとPdを同比率にしその中に成分としてCuを入れて、融点を下げることにした。ろう付け条件は、アルゴン雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は100μmである。
【0138】
図15は、Ti−Cu−Pd系(Pd/Ti=1)のろう材による衝撃試験結果である。この中でCu量の最も少ないTi47.5Cu5Pd47.5ろうが、100μmの接合間隙において衝撃強度が平均値で19.7J/cm2と非常に高い値を示した。さらに全体に衝撃強度の高いものは、ろう/母材界面付近で破断し、衝撃強度の低いもの、または接合間隙の広いものは、ろう付中心部で破断が生じた。破断面も接合間隙が広くなるほど破面が粗くなっていた。従って、ぬれ性等を向上させるためのCuを添加しないTi−Pd系ろうは衝撃強度が非常に高いことから(図14参照)、Cuを多量に添加し過ぎることは、ろう材の衝撃強度を低下させる傾向があることが分かる。
【0139】
また図15には、各ろう付け接合間隙(50μm、100μm、150μm)おける、各ろう材の衝撃強度を整理して示されている。
【0140】
図示のように、接合間隙が狭い方が衝撃強度が高く、おおよそ150μm以下、好ましくは100μm以下程度が好ましい。なお、ぬれ性が特によい場合やろう付けの目的によって、例えば衝撃強度は余り必要としていない場合などで150μmを超えてもよい場合もある。
【0141】
<グループ3>:Ti-Co-Pd系
グループ2では強度、ぬれ性ともに好ましいろう材が出来たが、成分としてCuの代わりにCo入れてTi−Co−Pd系のろう材を作製し、衝撃強さを計測した。ろう付け条件は、アルゴン雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は100μmである。
【0142】
図16は、Ti−Co−Pd系のろう材による衝撃試験結果である。これより、最も衝撃強度が高かったものが、Ti47.5Co5Pd47.5ろうで、100μmの接合間隙において平均値が11.8J/cm2であった。しかし、Ti47.5Cu5Pd47.5ろうに比べれば低い値であった。これは、接合間隙が狭くても、破断がろう/母材界面付近ではなく、ろう付中心部で生じているためである。
【0143】
<グループ4>:Ti-Cu-Co-Pd系
【0144】
図17に、Ti−Cu−Co−Pd系ろうによる衝撃試験結果を示す。ろう付け条件は、アルゴン雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は50、100及び150μmである。この結果、Ti47.5Cu2.5Co2.5Pd47.5ろうによるろう付けは、50μmの接合間隙において衝撃強さが平均値で60.1J/cm2もの非常に高い値を示し、100μmにおいても平均値で5.3J/cm2を示した。また、150μmでも2.6J/cm2を上回っている。そして、ぬれ性は今までのろう材の中で最も良好であった。
【0145】
上述の実験を通じて、接合間隙が広くなるに従い、あるいはCuないしCoの含有量が多くなるのに従いぬれ性は向上するが、衝撃強さが低下していくことが分かった。また、衝撃試験結果より結晶粒の細かいものは衝撃強さが高い値を示し、粗いものは低い値を示している。さらに、衝撃試験による破断形態は、衝撃強さの高いろう材がろう/母材界面付近から破断しているのに対し、衝撃強さの低いろう材は、ろう付部の中心から破断している。
【0146】
<実施例6>(Ti以外のろう付け)
【0147】
Ti47.5Pd47.5Cu2.5Co2.5ろうについて、Gr(グラファイト)−Gr、SS41−SiC、SS41−Borts ダイヤモンド、W−Borts ダイヤモンド、WC焼結超硬合金−Borts ダイヤモンドのろう付実験を行った。なお、Borts ダイヤモンドとは工業用ダイヤモンドの一般的名称である。
【0148】
図18〜22に、Ti47.5Pd47.5Cu2.5Co2.5ろうを用いたろう付け実験の結果を表わす金属組織の写真を示す。
【0149】
図18は、グラファイト同士をTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、1100℃−240s保持。接合間隙は100μmである。
【0150】
図19は、SS41−SiCをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、1100℃−240s保持。接合間隙は50μmである。
【0151】
図20は、SS41−Borts ダイヤモンドをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、1100℃−240s保持。接合間隙は50μmである。
【0152】
図21は、W−Borts ダイヤモンドをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、1100℃−240s保持。接合間隙は50μmである。
【0153】
図22は、WC焼結合金−Borts ダイヤモンドをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、1100℃−240s保持。接合間隙は50μmである。
【0154】
夫々被ろう付け材(母材及びチップ)に対して、ぬれ性は良く、ろう付状態も良好であった。
【0155】
このように、Ti−Pd系、Ti−Cu−Pd系、Ti−Co−Pd系、特にTi−Cu−Co−Pdは、金属とセラミックスのような異種材料の接合に適している。その理由としては、Ti基ろうであるためTiとセラミックスの接合性が良いことが考えられる。
【0156】
上記系のろう材がNi等の生体に有害な元素を含んでいなければ、特に歯科用分野では、複雑な形状のTi合金からなる歯冠及びTi合金からなる歯根部の製作に用いるろう材として好適であり、また、Ti合金からなる歯根部とセラミックスからなる歯本体をろう接することも、ろう材の衝撃強度の高さにより可能である。
【0157】
また、医療用としては、人工骨の心材として用いられるTi合金のろう接、および心材外周部に設けられるセラミックス質とのろう接も可能である。
【0158】
このように、複雑な構造を有し、かつ生体親和性が求められるTi合金からなる生体用インプラント材のろう接に、本発明のTi基ろう材は好適である(但し、融点効果等の目的でNi等の生体に有害な元素は無添加の場合)。
【0159】
以上本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記態様のみ限定されるものではなく、本発明の原理に基づいた各種態様を含むものである。
【0160】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明のTi基ろうはいずれも、接合強度、特に衝撃強度を高くしてTi及びTi合金、その他超硬合金、ダイヤモンド、グラファイト、カーボンコンポジット、セラミックス、セラミックス複合材料等を同種異種接合することができる。
【0161】
特に、Ti及びPdを主成分とし、Tiに対するPdの重量比Pd/Tiが0.25〜4であるTi基ろうは接合強度に優れており、工業上の利用価値が高い。さらにPd/Tiが0.66〜1.5であれば一層接合強度に優れる。
【0162】
また、特にTi、Pd及びCuを主成分とし、Pd20〜80wt%、Cu0.01〜30wt%、残部本質上TiからなるTi基ろうは、比較的低温でぬれ性が良い。さらにCu2〜10wt%であれば一層接合強度に優れる。
【0163】
また、特にTi、Pd及びCoを主成分とし、Pd20〜80wt%、Co0.01〜30wt%、残部本質上TiからなるTi基ろうも、比較的低温でぬれ性が良い。Tiを含む母材(被ろう付け材)とCoを含むろう材は接合し易い。さらにCo2〜10wt%であれば一層接合強度に優れる。
【0164】
また、特にTi、Pd、Cu、及びCoを主成分とし、Pd20〜80wt%、Cu及びCoの2種以上0.01〜30wt%、残部本質上TiからなるTi基ろうも、比較的低温でぬれ性が良く、Ti及びTi合金の他に、その他超硬合金、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、セラミックス、セラミックス複合材料等を同種異種接合することができる。さらに(Cu+Co)2〜10wt%であれば一層接合強度に優れる。
【0165】
その上、上記Ti−Cu−Pd、Ti−Co−Pd、及びTi−(Cu,Co)−Pd系ろうにおいて、Tiに対するPdの重量比Pd/Tiが0.25〜4であり、さらに好ましくはPd/Tiが0.66〜1.5であれば一層接合強度に優れる。
【0166】
また、Ag、Au、Ni、Zr、Pt、In、Sn、Si、Zn、Al、Fe、Cr、Li、Sb、Mn、Mo、Nb、Be、Bi、V、W、Ta、Gaの一種以上を合量10wt%以下含むことで融点を下げることができる。
【0167】
また、Niを含まない本発明のTi基ろうは、生体に用いた場合にアレルギの原因となる成分が含まれていないので、歯科用、外科用インプラント材のろう付けに非常に適している。歯科用としては、本発明のTi基ろうでろう接したTi合金歯根を用いて、そこにセラミックスを充填または塗布して、ろう付け温度より低温で焼結あるいは焼き付けしセラミックス人工歯を製作することができ、歯根部のろう部が流動することがない。なお、セラミックスにはアパタイト等が使用される。
【0168】
さらに、上記生体用に好適なTi基ろうに生体親和性の高い元素(Ag、Au、Zr、Pt、Sn、In、Si、Al、Fe、Sb、Mn、Mo、Nb、Ta、Bi、W、Gaの一種以上を合量10wt%以下)を加えて融点を降下させることが可能であり、取扱い性等が向上する。
【0169】
さらに、本発明のTi基ろう用いてろう付けを行なう場合、ろう付け構造即ち被ろう付け材同士の接合間隙を150μm以下、用途によってより好ましくは100μmとすることで、ろう付け組織からの破断が発生しにくくなり接合強度が上昇する。
【0170】
さらに、本発明のTi基ろうを用いてろう付けする場合に、従来接合強度を得るために必要であったろう付け後の均質化熱処理が不要であり、従来5分以上必要であったろう付け時間を短縮可能である。そのため被ろう付け材を劣化させることがほとんどない。また、フラックスを必要としない利点があり、フラックスによる汚染を生じないため、特に生体用ろう付け材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係り、各種ろう材のTi母材上でのぬれ性試験結果を示す、金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、1100℃−420s保持。
【図2】本発明の実施例1に係り、各種ろう材のTi母材上でのぬれ性試験結果を示す、金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、1100℃−420s保持。
【図3】本発明の実施例2に係り、各接合間隙(μm)でTi母材をTi60−Pd20−Cu20ろうでろう付けした、ろうとろう付け界面付近の金属組織を示す顕微鏡写真(倍率100倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は(a)は50μm、(b)は100μm、(c)は150μm。
【図4】本発明の実施例2に係り、Ti母材をTi60−Cu20−Pd20ろうでろう付けした、ろうとろう付け界面付近の金属組織を示す電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持、接合間隙は100μm。各点(1〜4)は元素分析点である。
【図5】本発明の実施例3に係り、Tiから成る母材及びチップを各種Ti基ろうでろう付けした試料のせん断試験方法を示す模式図である。
【図6】本発明の実施例3に係り、各接合間隙(50、100、及び150μm)でTi母材をTi60−Cu20−Pd20ろうでろう付けした、接合間隙(μm)に対するろうのせん断強さ(MPa)を示す。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。
【図7】本発明の実施例4に係り、各接合間隙(50、100、及び150μm)でTi母材をTi60−Cu20−Pd20ろうでろう付けした、各接合間隙(μm)に対するろうの衝撃強さ(J/cm2)を示す。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。
【図8】本発明の実施例4に係り、各接合間隙(50、100、及び150μm)でTi母材をTi60−Pd20−Cu20ろうでろう付けし衝撃試験を行なって破断させた、ろう付け面における破断面の金属組織を示す写真である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は(a)は50μm、(b)は100μm、(c)は150μm。
【図9】本発明の実施例4に係り、接合間隙100μmでTi母材をTi47.5Cu5Pd47.5ろうでろう付けした、ろうとろう付け界面付近の金属組織を示す顕微鏡写真(倍率100倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。
【図10】本発明の実施例4に係り、接合間隙100μmでTi母材をTi40Cu20Pd20ろうでろう付けした、ろうとろう付け界面付近の金属組織を示す顕微鏡写真(倍率100倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。
【図11】本発明の実施例4に係り、接合間隙100μmでTi母材をTi50Pd50ろうでろう付けした、ろうとろう付け界面付近の金属組織を示す顕微鏡写真(倍率100倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1165℃−240s保持。
【図12】本発明の実施例4に係り、接合間隙100μmでTi母材をTi47.5Co5Pd47.5ろうでろう付けした、ろうとろう付け界面付近の金属組織を示す顕微鏡写真(倍率100倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。
【図13】本発明の実施例5に係り、Ti−Cu−Pd−M(Zr、Au、Au+Zr)系ろうでTi母材をろう付けした、各種Ti基ろうに対するろうの衝撃強さ(J/cm2)を示す。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は100μm。
【図14】本発明の実施例5に係り、各接合間隙でTi母材をTi50−Pd50ろうでろう付けした、各接合間隙(μm)に対するろうの衝撃強さを示す。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1165℃−240s保持。接合間隙は(a)は50μm、(b)は100μm、(c)は150μm。
【図15】本発明の実施例5に係り、各接合間隙(50、100、及び150μm)でTi母材をTi−Cu−Pd系(Pd/Ti=1)各種ろうでろう付けした、接合間隙(μm)に対する各種ろうの衝撃強さ(J/cm2)を示す。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。
【図16】本発明の実施例5に係り、Ti母材をTi−Co−Pd系各種ろうでろう付けした、各種ろうの衝撃強さ(J/cm2)を示す。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持、接合間隙100μm。
【図17】本発明の実施例5に係り、各接合間隙(50、100、及び150μm)でTi母材をTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした、接合間隙(μm)に対するろうの衝撃強さ(J/cm2)を示す。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。
【図18】本発明の実施例6に係り、グラファイト同士をTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は100μm。
【図19】本発明の実施例6に係り、SS41−SiCをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は50μm。
【図20】本発明の実施例6に係り、SS41−Borts ダイヤモンドをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は50μm。
【図21】本発明の実施例6に係り、W−Borts ダイヤモンドをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は50μm。
【図22】本発明の実施例6に係り、WC焼結合金−Borts ダイヤモンドをTi47.5−Pd47.5−Cu2.5−Co2.5ろうでろう付けした金属組織のマクロ写真(倍率4倍)である。ろう付け条件は、Ar雰囲気、1100℃−240s保持。接合間隙は50μm。
【符号の説明】
1 組成分析点(中央灰色部)
2 組成分析点(中央白色部)
3 組成分析点(端部黒色部)
4 組成分析点(端部灰色部)
9 チップ
10 ベース
11 ろう付け部
Claims (11)
- Ti、Pd及びCuを必須成分とし、Pd20〜80wt%、Cu2〜5wt%、残部Tiからなることを特徴とするTi基ろう。
- Ti、Pd及びCoを必須成分とし、Pd20〜80wt%、Co0.01〜30wt%、残部Tiからなることを特徴とするTi基ろう。
- Co2〜10wt%であることを特徴とする請求項2に記載のTi基ろう。
- Ti、Pd、Cu、Coを必須成分とし、Pd20〜80wt%、Cu及びCoの合計0.01〜30wt%、残部Tiからなることを特徴とするTi基ろう。
- Cu及びCoの合計が2〜10wt%であることを特徴とする請求項4に記載のTi基ろう。
- Tiに対するPdの重量比Pd/Tiが0.25〜4であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のTi基ろう。
- Tiに対するPdの重量比Pd/Tiが0.66〜1.5であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のTi基ろう。
- Ag、Au、Zrの一種以上を合量10wt%以下含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のTi基ろう。
- 生体用インプラント材料のろう付けに用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のTi基ろう。
- Ti、Ti合金、超硬合金、セラミックス、ダイヤモンド、カーボンコンポジット、及びグラファイトの一種以上を互いにろう付けするための請求項1〜9のいずれかに記載のTi基ろう。
- 被ろう付け材間のろう付け間隔が150μm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のTi基ろうを用いたろう付け構造。
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