JP3681720B2 - ポリオレフィン製微多孔膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン製ポ微多孔膜に関するものであり、特に電池用セパレータに適したポリオレフィン製微多孔膜に関するものである。さらには、負極として、リチウムイオンを挿入可能な炭素材料,金属リチウム,リチウム合金等を用いている電池にセパレータとして使用されるイオン透過性,機械特性,安全性に優れるポリオレフィン製微多孔膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯電話,ノート型パーソナルコンピュータ,PDAといった情報関連機器の目覚しい発達に伴い、小型軽量で且つ高エネルギー容量の電池が要求されている。各種電池が研究・開発・販売されている中、特にリチウムイオン電池が市場を拡大させており、それに用いられるセパレータとしてポリオレフィン製微多孔膜が用いられている。
【0003】
このリチウムイオン電池用のセパレータとしては、優れた電池特性を発揮することができる高いイオン透過性,電池組立時や電池使用時のストレスに耐え得る優れた機械特性,過充電時等の温度上昇時に孔が閉塞してイオンの流れを遮断し電流を流れなくすること(フューズ特性)や、高温加熱時にも収縮や破膜が生じることにより正極負極間で短絡することがない(ショート耐性)といった高い安全性、等が要求されており、改良が続けられている。
【0004】
電池特性に対する具体的要求としては、電子機器におけるより長時間の駆動を実現させるための「高容量化」、加えて、短時間での充電を完了させるための「大電流での充電特性」の向上、消費電力の増大に伴う「大電流での放電特性」の向上、さらには過酷な充放電に耐えるための「大電流でのサイクル特性」の向上等がある。
当然のことながら、電池特性が向上するのに伴い、安全性向上に対する要求が厳しくなっており、改善手段として、例えば特許文献1,2,3のような方法が知られている;
これらのように、より優れた電池特性と、より高い安全性を両立できるセパレータとしてのポリオレフィン製微多孔膜が常に要求され続けており、現在もなお旺盛な研究開発が進められている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2657434号公報
【特許文献2】
特許第3113287号公報
【特許文献3】
特許第3177744号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電池において、優れた電池特性を発揮するとともに、高い安全性を有するセパレータとして用いられるポリオレフィン製微多孔膜を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)少なくとも、粘度平均分子量(以下Mv)が10万以上50万未満でエチレン単位のみからなるポリエチレンPEaを10〜85重量%と、Mvが50万以上500万以下でエチレン単位のみからなるポリエチレンPEbを10〜85重量%と、Mvが10万を越え500万未満でエチレンとコモノマーとを共重合させてなるポリエチレンPEcを5〜50重量%含有している組成物からなり、且つそれらMvの大きさがPEa<PEc<PEbであることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜、
(2)前記ポリエチレンPEcが、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする(1)記載のポリオレフィン製微多孔膜、
(3)前記(1)または(2)記載のポリエチレンPEa,PEb,PEcとポリプロピレンを含有する組成物からなり、且つ前記ポリプロピレン含有量が1〜30重量%であることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜、
(4)算出平均孔径が0.030〜0.060μmの範囲であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜、
(5)気孔率が20〜80%であり、透気度と透水度から計算により導かれた孔屈曲率が1.50〜3.50、孔数が55〜300個/μm2であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜、
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、具体的に説明する。
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、少なくとも、Mvが10万以上50万未満でエチレン単位のみからなるポリエチレンPEaを10〜85重量%と、Mvが50万以上500万以下でエチレン単位のみからなるポリエチレンPEbを10〜85重量%と、Mvが10万を越え500万未満でエチレンとコモノマーとを共重合させてなるポリエチレンPEcを5〜50重量%含有している組成物からなり、且つそれらMvの大きさがPEa<PEc<PEbであることを特徴とするものである。
【0009】
本発明におけるPEaのMvは10万以上50万未満である。本発明におけるPEbのMvは50万以上500万以下であるが、好ましくは50万以上400万以下であり、より好ましくは50万以上250万以下であり、さらに好ましくは50万以上150万以下である。ポリエチレン分散性の観点から500万以下であることが好ましい。
本発明におけるPEcのMvは10万を越え500万未満であるが、好ましくは10万を越え250万以下であり、より好ましくは10万を越え150万以下であり、さらに好ましくは10万を越え60万以下である。ポリエチレン分散性の観点から500万以下であることが好ましい。
【0010】
本発明におけるPEcの融点は100℃以上133℃以下であることが好ましく、より好ましくは110℃以上133℃以下、さらに好ましくは120℃以上133℃以下である。
本発明におけるPEcはエチレンとコモノマーとの共重合体であるが、特にエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。そのα−オレフィンの炭素数は3〜6が好ましく、3が特に好ましい。また、α−オレフィン単位の含有量は0.1〜4mol%であることが好ましい。
【0011】
本発明では、異なるMvを有する2種類のエチレン単位のみからなるポリエチレンPEaとPEbに、その2種類の間のMvを有するエチレンとコモノマーとを共重合させているポリエチレンPEcをブレンドして微多孔膜を作製することにより、その目的を達成できることが明らかとなった。この理由として、異なるMvを持つ3種類のポリエチレンをブレンドすることにより適度に分子量分布が広がることが挙げられる。このとき、比較的低いMvを有するPEaの存在で低分子量側に分子量分布の広がりがあることにより、製膜性において有利となって品位の向上につながることで優れた電池特性が得られる微多孔膜物性を安定して得ることができ、加えて、フューズ温度を下げ、電池安全性向上にも効果が期待できる。また、比較的高いMvを有するPEbの存在で、ショート耐性が向上し、これもまた電池安全性向上に効果が期待できる。また別の理由として、低融点成分であるPEcがPEaとPEbの間のMvを持つことにより、微多孔膜内に効果的に分散されて均一な微多孔膜物性が得られ、微多孔膜全体に均一な状態でフューズが生じる効果が期待できる、ということも挙げられる。
【0012】
また、本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、ポリエチレンPEa,PEb,PEcとポリプロピレン(PP)を含有する組成物からなることが好ましく、且つ前記PP含有量が1〜30重量%であることが好ましい。これによりショート耐性を上げる効果が期待できるが、突刺強度と透気度との物性バランスとの観点から、含有量は1〜15重量%であることが好ましい。また、ショート耐性を上げるという観点からPPのMvは15万以上であることが好ましく、一方、品位の観点から70万以下であることが好ましい。
【0013】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜の平均孔径は0.030〜0.060μmであるが、好ましくは0.030〜0.055μm、より好ましくは0.030〜0.050μmである。
また、本発明のポリオレフィン製微多孔膜の孔屈曲率は1.50〜3.50の範囲が好ましい。なお、孔屈曲率に膜厚を乗じることにより、孔の長さが求められる。加えて、孔数は55〜300個/μm2が好ましく、より好ましくは80〜300個/μm2、さらに好ましくは100〜300個/μm2である。
【0014】
ポリオレフィン製微多孔膜がこのような範囲の平均孔径,孔屈曲率,孔数を持つことでリチウムイオン電池は優れた充放電特性を発揮する。この理由として、以下のようなことを推定している。
充放電過程で電池内部では電解液が電気化学的に分解されることによって、有機物を含む固体副生成物や、エチレン,プロピレン,二酸化炭素,水素といったガスが生成する。これらの生成物は、セパレータの孔をふさぐことにより、イオン伝導を阻害し、充放電特性の悪化につながる。このとき、セパレータの空孔率が同じであれば、径の小さな孔が多量に存在する場合よりも、径の大きな孔が少量存在する場合の方が、正極負極間のイオン伝導経路を遮断してしまう状況を引き起こしやすい。初期はこの差がわずかな充放電効率の低下をもたらすだけであっても、この差が新たな劣化を生み出し、さらに充電時の電流が大きいほどこういった劣化を生じさせやすいため、加速度的に劣化が進行してしまう、と推定している。
【0015】
なお、ポリオレフィン製微多孔膜の平均孔径の求め方については、特開2001−89593におけるような、走査型電子顕微鏡写真から算出する方法、特開2001−205709におけるような窒素の吸脱着を用いる方法、さらに水銀ポロシメータによる方法等が知られているが、本発明では後に記すような方法で測定した平均孔径,孔屈曲率,孔数と電池特性の間に大きな相関があることを見出した。
【0016】
本発明に用いられるポリオレフィン原料の諸物性は次の試験方法にて評価する;
1.ポリエチレンのMv
ASTM D4020に基づき、135℃デカリン溶液中で極限粘度[η]を測定し、以下の式により求める;
[η]=6.77×10−4Mv0.67
2.ポリプロピレンのMv
ASTM D4020に基づき、135℃デカリン溶液中で極限粘度[η]を測定し、以下の式により求める;
[η]=1.10×10−4Mv0.80
【0017】
3.ポリエチレンの融点
示差走査熱量計(DSC)の測定によって得られる融解吸熱曲線が極大となる温度のことを指しており、以下の方法により測定する;
[測定装置]DSC220(セイコーインスツルメント製)
[試料調製]ポリエチレン約3mgを直径5mmのアルミ製オープンサンプルパンに入れ、クランピングカバーを乗せサンプルシーラーで密閉する。
リファレンス用として、ポリエチレンの入っていないものも作製する。
[測定条件]速度10℃/minで30℃から180℃まで昇温し、180℃で5分間保持する。その後速度10℃/minで30℃まで降温し、30℃で5分間保持する。そして再び速度10℃/minで昇温し、そのときに示す融解吸熱曲線から融点を求める。
【0018】
4.エチレンとα−オレフィンとを共重合させたポリエチレンにおけるα−オレフィン単位の含有量
13C−NMRスペクトルにおいて、α−オレフィン単位由来のシグナル強度の積分値のモル換算量(A)を、(A)とエチレン単位由来のシグナル強度の積分値のモル換算量(B)との和で除して得られた値に100を乗じることにより、求める。
【0019】
例えば、α−オレフィンとしてプロピレンを用いた共重合ポリエチレンの場合、下記の構造モデル
【0020】
【化1】
【0021】
において、I1、I1 '、I2、I3、Iα、Iβ、Iγ、Im、及びIMをそれぞれ対応する炭素に由来する13C−NMRスペクトルのシグナル強度とすると、
α−オレフィン単位の含有量(mol%)
=(A)/((A)+(B))×100
ここで、
(A)=(I1 '+Im+Iα/2)/3,
(B)=(I1+I2+I3+IM+Iα/2+Iβ+Iγ)/2
となるので、末端の炭素由来のシグナル強度I1,I2及びI3を無視して上式を整理すると、
α−オレフィン単位の含有量(mol%)
=Im/(Im+(IM+5Im)/2)×100
となる。
【0022】
次に、本発明のポリオレフィン製微多孔膜の製法について説明する。
まず、原料となるポリオレフィンを混合し、これをダイが装着された押出し機内で、その融点以上分解温度未満の温度で可塑剤中に溶解させ溶融混練させる。これをダイリップより押出して冷却ロール上にキャストすることにより数十μmから数mm厚のシート状にし、ゲル状組成物とする。
ここでいう可塑剤とは、沸点以下の温度でポリオレフィンと均一な溶液を形成し得る有機化合物のことをいう。具体的には、流動パラフィン,デカリン,キシレン,ジオクチルフタレート,ジブチルフタレート,ステアリルアルコール,オレイルアルコール,デシルアルコール,ノニルアルコール,ジフェニルエーテル,n−デカン,n−ドデカン等が挙げられ、特に流動パラフィン,デカリンが好ましい。
【0023】
可塑剤中のポリオレフィン濃度は10〜80重量%が好ましく、より好ましくは20〜60重量%の範囲である。容易に連続シート形成を行うという観点から10重量%以上であることが好ましく、適切な気孔率を得るという観点から80重量%以下であることが好ましい。
なお、加熱溶解時にはポリオレフィンの酸化を防止するために、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。
【0024】
このゲル状組成物を加熱して延伸を行い、延伸膜とする。
延伸温度は常温から高分子ゲルの融点の範囲が好ましく、より好ましくは80〜130℃,さらに好ましくは100〜125℃の範囲である。
延伸方法はテンター法,ロール法,インフレーション法,圧延法もしくはこれらの方法の組み合わせ等により所定の倍率で行う。一軸延伸,二軸延伸でも構わないが、二軸延伸が好ましく、二軸延伸の場合は縦横同時延伸でも逐次延伸でも構わない。
延伸倍率は面積倍率で4〜400倍が好ましく、より好ましくは8〜200倍、さらに好ましくは16〜100倍の範囲である。高強度化の観点から延伸倍率が4倍以上であることが好ましく、生産安定性の観点から400倍以下であることが好ましい。
【0025】
次に、延伸膜から可塑剤を抽出することにより微多孔膜とする。
抽出方法として有機溶剤による抽出があるが、このときの溶剤としては、メチルエチルケトン,塩化メチレン,ヘキサン,ジエチルエーテル等が好ましく使用され、その後、加熱,風乾により乾燥することが好ましい。可塑剤としてデカリン等の低沸点化合物を使用する場合は加熱乾燥によりこれを除去することも可能である。何れの場合においても、膜の収縮による物性低下を防ぐため、膜を拘束した状態で行うことが望ましい。
【0026】
以上の後に、寸法安定性を高めたり、熱収縮率を低減させたりする目的で、熱固定(ヒートセット)を行うことが望ましい。このときの温度としては、結晶分散温度から融点の範囲で行うことが好ましい。また、熱固定時には幅方向の延伸(通常では、最大倍率まで延伸した後、最終倍率までリラックスをとる)を同時に行うことがあり、通常の延伸倍率としては、最大倍率1.01〜2.00倍,最終倍率0.70〜1.80倍の範囲が好ましい。
以上のようにして得られたポリオレフィン製微多孔膜の諸物性について以下に述べる。
【0027】
膜厚は1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜50μmである。機械的強度の観点から1μm以上であることが好ましく、電池製造工程における捲回性や電池容量の観点から100μm以下であることが好ましい。
気孔率は20〜80%が好ましく、より好ましくは30〜55%である。イオン透過性の観点から気孔率は20%以上であることが好ましく、機械的強度の観点から80%以下であることが好ましい。透気度は1〜2000sec./100cm3が好ましく、より好ましくは30〜1500sec./100cm3、さらに好ましくは50〜1000sec./100cm3である。イオン透過性の観点から2000sec./100cm3以下であることが好ましい。
【0028】
突刺強度は0.4N/20μm以上が好ましく、より好ましくは0.8N/20μm以上、さらに好ましくは2.4N/20μm以上である。電池生産時の収率の観点から0.4N/20μm以上であることが好ましい。
また、安全性を評価する指標として、フューズ温度、及びショート温度が重要となる。フューズ温度は143℃以下であることが好ましく、また、ショート温度は150℃以上であることが好ましい。
【0029】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜の諸物性は次の試験方法にて評価する;
1.膜厚
微小測厚器(東洋精機製;商標「KBM」,端子径φ5mm,測定圧62.47kPa)を用いて、室温23±2℃にて測定する。
2.透気度
デジタル型王研式透気度試験器(旭精工製;商標「EG01」)を用いて測定する。
3.気孔率
得られたポリオレフィン製微多孔膜を矩形状に切り出してサンプルとし、以下の式により算出する;
気孔率={1−(10000×M/0.95)/(X×Y×T)}×100
上式中、X,Y:サンプルの縦,横長(cm)
T:サンプル厚み(μm),M:サンプル重量(g)
4.突刺強度
ハンディ圧縮試験機(カトーテック製:商標「KES−G5」)に、直径1mm、先端曲率半径0.5mmの針を装着し、温度23±2℃、針の移動速度0.2cm/secで突刺試験を行う。得られる突刺強度(N)に20(μm)/膜厚(μm)を乗じることにより20μm膜厚換算突刺強度(N/20μm)を算出する。
【0030】
5.フューズ温度及びショート温度
厚さ10μmのニッケル箔を2枚(A,B)用意し、一方のニッケル箔Aをスライドガラス上に、縦10mm、横10mmの正方形部分を残してテフロン(登録商標)テープでマスキングすると共に固定する。
熱電対を繋いだセラミックスプレート上に、別のニッケル箔Bを載せ、この上にプロピレンカーボネート:エチレンカーボネート:γ−ブチロラクトン=1:1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiBF4を1.0mol/リットルとなるように溶解させた電解液に3時間浸漬させ充分に電解液を含浸させた測定試料の微多孔膜を置き、その上からニッケル箔Aを貼りつけたスライドガラスを載せ、更にシリコンゴムを載せる。
これをホットプレート上にセットし、油圧プレス機にて1.5MPaの圧力をかけた状態で、20℃/minの速度で昇温する。このときのインピーダンス変化をLCRメーターにて交流1V,1kHzの条件下で測定する。この測定において、インピーダンスが1000Ωに達した時点の温度をフューズ温度とし、その後インピーダンスが1000Ωを下回った時点の温度をショート温度とする。
【0031】
6.平均孔径,孔屈曲率,孔数
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より小さいときはポアズイユの流れ、大きいときはクヌーセンの流れに従うことが知られている。ここで、透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れ、常温での透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定すると、平均孔径d(m)及び孔屈曲率τ(無次元)は、空気の透過速度定数Rgas,水の透過速度定数Rliq,水の粘度η(Pa・sec),標準圧力Ps(101325Pa),気孔率ε(無次元),膜厚L(m),気体の分子速度ν(m/sec)から、次式を用いて求めることができる;
d=2ν(Rliq/Rgas)(16η/3)(1/Ps)
τ=(d×(ε/100)×ν/(3L×Ps× Rgas))1/2
ここで、Rgas は透気度(sec)から次式を用いて求められる;
Rgas(m3/(m2・sec・Pa))=0.0001/透気度/0.0006424/(0.01276×101325)
また、Rliq は透水度(cm3/(cm2・sec・Pa))から次式を用いて求められる;
Rliq(m3/m2・sec・Pa)=透水度/1000000/0.0001
【0032】
上記式中の透水度は以下のようにして測定する;
直径42mmのステンレス製の透液セルに、あらかじめエタノールに浸しておいた微多孔膜をセットし、該膜のエタノールを水で洗浄した後、約50000Paの差圧で水を透過させ、120秒間経過した際の透水量(cm3)から、単位時間,単位圧力,単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度(cm3/(cm2・sec・Pa))とする。
さらに、νは気体定数R(8.314J/ mol・K),絶対温度T(K),円周率π,気体の平均分子量M(=2.896×10−2)(kg/mol)から次式を用いて求められる;
ν2=8RT/πM
加えて、孔数B(個/μm2)は次式から求められる;
B=4×(ε/100)/(π×d2×τ)
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施形態について、実施例を挙げてさらに説明する。
[実施例1]
(1)ポリオレフィン製微多孔膜(セパレータ)の作製
原料ポリエチレンとして以下の3種類を使用した;
1.Mv:10万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:12万,融点:131℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
これら原料の全重量の0.3重量%にあたる量の酸化防止剤ペンタエリスチリル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、タンブラーミキサーを用いてドライブレンドし、ポリマー等混合物とする。このポリマー等混合物を十分に窒素置換した後、窒素雰囲気下で二軸押出し機へフィーダーにより供給する。加えて、流動パラフィンを押出し機シリンダーにプランジャーポンプにより注入する。このとき、ポリマー等混合物38重量%に対して、62重量%の流動パラフィン(37.78℃における動粘度75.9cSt)となるようにフィーダー及びプランジャーポンプを調整する。この状態で設定温度240℃,スクリュー回転数120rpmの条件で溶融混練し、吐出量12kg/hでTダイより押し出して、冷却ロール上にキャストすることにより、1400μm厚さのゲルシート状にする。これを同時二軸延伸機により、118〜123℃の範囲で巻取り方向7倍×幅方向6.4倍に同時二軸延伸する。この後、メチルエチルケトン槽にて流動パラフィンを抽出除去し、その後メチルエチルケトンを熱乾燥除去する。さらに、温度115〜125℃の条件でヒートセットを行う。このようにして作製したポリオレフィン製微多孔膜は、ピンホールの有無,塞孔部の有無,物性の均一性等の観点から判断して、品位は良好と判断された。得られた物性値を表1に示す。
【0034】
(2)正極の作製
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2を92.2重量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3重量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2重量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m2,活物質嵩密度は3.00g/cm3になるようにする。これを面積2.00cm2の円形に打ち抜く。
【0035】
(3)負極の作製
活物質として人造グラファイト96.9重量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4重量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7重量%を精製水中に分散させてスラリーを調製する。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m2,活物質嵩密度は1.35g/cm3になるようにする。これを面積2.05cm2の円形に打ち抜く。
(4)非水電解液の調整
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調整する。
【0036】
(5)簡易電池組立
上記のポリオレフィン製微多孔膜セパレータ,円形に打ち抜いた正極及び負極,電解液をアルミニウムおよびステンレスでできたセル内に組み込んで、簡易のリチウムイオン電池を作製する。
(6)簡易電池評価
上記のようにして組み立てた簡易電池を25℃雰囲気下、3mA(約0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計6時間電池作製後の最初の充電を行い、そして3mAの電流値で電池電圧2.5Vまで放電する。
その後、25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、さらに4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行い、そして6mAの電流値で電池電圧2.5Vまで放電するというサイクルを300回繰り返す。このサイクルにおける、1サイクル目の容量に対する300サイクル目の容量の割合(%)を容量維持率として計算し、その値を表1に示す。
【0037】
[実施例2]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表1に示す。
【0038】
[実施例3]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:30万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:70万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:40万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表1に示す。
【0039】
[実施例4]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:40万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:100万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:50万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表1に示す。
【0040】
[実施例5]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:45万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:150万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:100万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表2に示す。
【0041】
[実施例6]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:45万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:250万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:200万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表2に示す。
【0042】
[実施例7]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン50重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン5重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表2に示す。
【0043】
[実施例8]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン35重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン35重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン30重量%…PEcを用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表2に示す。
【0044】
[実施例9]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン25重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン25重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン50重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表3に示す。
【0045】
[実施例10]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン85重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン10重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン5重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表3に示す。
【0046】
[実施例11]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン10重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン85重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン5重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表3に示す。
【0047】
[実施例12]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:120℃であり、且つ炭素数4のα−オレフィン
単位含有量2.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表3に示す。
【0048】
[実施例13]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:30万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEa
2.Mv:70万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:40万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
加えて、原料ポリプロピレンとして、
4.Mv:40万であるポリプロピレンを5重量%…PP
を用いる。これら原料の全重量の1.0重量%にあたる量の酸化防止剤を添加する。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表4に示す。
【0049】
[実施例14]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:30万,融点:135℃であるポリエチレン35重量%…PEa
2.Mv:70万,融点:135℃であるポリエチレン35重量%…PEb
3.Mv:40万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
加えて、原料ポリプロピレンとして、
4.Mv:40万であるポリプロピレンを15重量%…PP
を用いる。これら原料の全重量の1.0重量%にあたる量の酸化防止剤を添加する。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表4に示す。
【0050】
[実施例15]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:30万,融点:135℃であるポリエチレン30重量%…PEa
2.Mv:70万,融点:135℃であるポリエチレン25重量%…PEb
3.Mv:40万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
加えて、原料ポリプロピレンとして、
4.Mv:40万であるポリプロピレンを30重量%…PP
を用いる。これら原料の全重量の1.0重量%にあたる量の酸化防止剤を添加する。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表4に示す。
【0051】
[比較例1]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:50万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:55万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表5に示す。
【0052】
[比較例2]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:45万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:70万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:40万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表5に示す。
【0053】
[比較例3]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:55万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:70万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:60万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
含量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量% …PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表5に示す。
【0054】
[比較例4]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:45万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:40万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表5に示す。
【0055】
[比較例5]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン25重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン20重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン55重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表6に示す。
【0056】
[比較例6]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.(PEaは用いない)
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン50重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン50重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表6に示す。
【0057】
[比較例7]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン50重量%…PEa
2.(PEbは用いない)
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン50重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表6に示す。
【0058】
[比較例8]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン50重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン50重量%…PEb
3.(PEcは用いない)
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表6に示す。
【0059】
[参考例1]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:135℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表7に示す。
【0060】
[参考例2]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン45重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン40重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
を用いる。ヒートセットは温度115〜130℃の条件で行う。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表7に示す。
【0061】
[参考例3]
ポリオレフィン製微多孔膜作製時の原料ポリエチレンとして、
1.Mv:20万,融点:135℃であるポリエチレン25重量%…PEa
2.Mv:60万,融点:135℃であるポリエチレン25重量%…PEb
3.Mv:30万,融点:125℃であり、且つ炭素数3のα−オレフィン
単位含有量1.3mol%である共重合体ポリエチレン15重量%…PEc
加えて、原料ポリプロピレンとして、
4.Mv:40万であるポリプロピレンを35重量%…PP
を用いる。これら原料の全重量の1.0重量%にあたる量の酸化防止剤を添加する。これらのこと以外は実施例1と同様にする。作製したポリオレフィン製微多孔膜に関する内容及び簡易電池評価結果について表7に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】
表1〜6より次のことが明らかである。実施例1〜15の方法による本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、高い品位が得られ、フューズ温度及びショート温度の値から高い安全性を有することが期待でき、且つ簡易電池評価結果の容量維持率から優れた電池特性を発揮できることがわかる。一方、比較例1〜10の方法では、品位に難点があったり、適切なフューズ温度又はショート温度を示さなかったり、優れた電池特性を発揮できなかったりすることがわかる。
【0070】
なお、参考例1(表7)を実施例2(表1)を比較すると明らかのように、PEcの融点が133℃を越える場合は、請求項1を満たしていても、フューズ温度が143℃を越えてしまい、優れた電池特性を発揮していても、安全性に対しての懸念が生じる。
また、参考例2(表7)を実施例2(表1)を比較すると明らかのように、用いたポリオレフィン原料組成が同一で且つ請求項1を満たしているが、平均孔径,孔数が請求項4及び5を満たしていない場合は、高い安全性を有することが期待できるフューズ温度及びショート温度を示しても、電池特性としてはやや劣る、ということが有り得る。
加えて、参考例3(表7)から明らかのように、PEa,PEb,PEcが請求項1を満たしていても、PP含有量が請求項3を満たしていない場合は、品位に劣り、電池特性としてもやや劣る、ということが有り得る。
【0071】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、電池において優れた電池特性を発揮するとともに、高い安全性を有するセパレータとして用いることができる。
Claims (5)
- 少なくとも、粘度平均分子量(以下Mv)が10万以上50万未満でエチレン単位のみからなるポリエチレンPEaを10〜85重量%と、Mvが50万以上500万以下でエチレン単位のみからなるポリエチレンPEbを10〜85重量%と、Mvが10万を越え500万未満でエチレンとコモノマーとを共重合させてなるポリエチレンPEcを5〜50重量%含有している組成物からなり、且つそれらMvの大きさがPEa<PEc<PEbであることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜。
- 前記ポリエチレンPEcが、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 請求項1または2記載のポリエチレンPEa,PEb,PEcとポリプロピレンを含有する組成物からなり、前記ポリプロピレン含有量が1〜30重量%であることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜。
- 算出平均孔径が0.030〜0.060μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 気孔率が20〜80%であり、透気度と透水度から計算により導かれた孔屈曲率が1.50〜3.50、孔数が55〜300個/μm2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
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