JP3679311B2 - 旋回作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックホー等の旋回作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設、土木作業に利用されるバックホー等の旋回作業機は、クローラ形式の走行装置上に上下方向の軸心回りに回動自在に旋回台を備え、該旋回台の前部に掘削装置を設けると共に、後部に掘削装置との前後重量バランスを図るウエイトを設けたものとなっている(例えば、特開平9−67832号公報等)。
この従来の旋回作業機では、前記旋回台の底部に厚板材により形成されたベースフレームを備え、該ベースフレームの後部中央及び左右両側に支持部材を立設しており、この支持部材にウエイトの左右両側及び中央部の前面を接触させて前後方向のボルトで締結することによって、ベースフレームにウエイトを装着するものとなっていた。
【0003】
また、ベースフレームの左右側部及び前側部には、板金製等のカバーが取り付けられ、このカバーとウエイトとによってベースフレームの周囲を囲んで旋回台の外郭を構成し、カバー及びウエイトの上側には、エンジン等の機器を覆うボンネットが搭載されるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の旋回作業機では、支持部に対して前後方向のボルトでウエイトを締結するだけであるので、該ウエイトの左右水平度を適正に設定し難く、カバーやボンネットとの間にズレが生じることがある。そのため、ベースフレームに対するウエイトの装着位置を調整する手段を備えた旋回作業機も従来より知られているが、この位置調整は、ウエイトが重量物であるが故に労力を要する作業となっていた。
【0005】
他方、前記従来の旋回作業機では、ウエイトが3箇所の締結部位の周辺でのみベースフレームと接触していたためにウエイトの支持面積が小さく、旋回台の揺れ等に伴うウエイトの動きで締結ボルトに生じる曲げ応力、剪断応力が増大するという課題があった。
本発明は、ウエイトの左右両側部及び略中央部をベースフレーム上に載置して位置決めすることによって、多大な労力を必要とするウエイト位置調整を容易化し、組立て作業性の向上を図った旋回作業機を提供することを目的とする。
【0006】
また、ウエイトの左右両側部を左右内方に膨出してベースフレームに載置することで、組立て作業性を向上するだけでなくウエイト重量を確保することができる旋回作業機を提供することを目的とする。
また、ウエイトとベースフレームとの締結部位に生じる応力を低減することができる旋回作業機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明にかかる旋回作業機は、旋回台の下部を構成するベースフレームと、該ベースフレームの後部に装着されるウエイトとを備え、該ウエイトの左右両側部及び左右略中央部を前記ベースフレーム上に載置することによって同ベースフレームに対する前記ウエイトの位置決めを行うように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
このような構成によって、ベースフレームに対するウエイトの位置決め、特にウエイトの水平度の設定が容易に行え、組立て作業性が向上されるようになる。また、ベースフレームに対する載置部分にてウエイト重量を担持できることから、ウエイトとベースフレームの締結部分に発生する応力を低減することが可能となる。
また、本発明は、前記ウエイトの左右両側部に、左右内方に膨出してベースフレーム上に載置される膨出部を形成していることを特徴とするものである。このような構成によって、ベースフレームへの載置面積を好適に確保しながら、ウエイト重量も確保することができるのである。
【0009】
また、本発明は、ウエイトの左右両側部における載置部分と左右略中央部における載置部分との左右間で、前記ウエイトが前記ベースフレームに締結されていることを特徴とするものである。このような構成によって、ベースフレームとウエイトとの接触面積(ウエイトの支持面積)を実質的に増大でき、締結ボルト等に生じる応力を低減することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、バックホーで例示する本発明の旋回作業機1を示しており、このバックホー1は、クローラ形式の走行装置2の上部に、旋回台3を上下方向の軸心X回りに旋回自在に支持しており、クローラ走行装置2の前部にはドーザ装置4が設けられ、旋回台3には掘削装置(作業装置)5が設けられている。
また、本実施形態のバックホー1は、図2に示すように、旋回台3が平面視で略円形状を呈するものとなっており、旋回台3の平面範囲内に掘削装置5の支持部6を配設し、且つ旋回台3の旋回軌跡が走行装置2の前後左右幅内にほぼ収まるように構成された、所謂超小旋回型のバックホーとされている。
【0011】
掘削装置5は、旋回台3の支持部6に前後揺動自在に支持された第1ブーム8と、該第1ブーム8の上端に左右揺動自在に枢結された第2ブーム9と、該第2ブーム9の前端に左右揺動自在に枢結された連結ブラケット10と、該連結ブラケット10に上下又は前後揺動自在に枢結されたアーム11と、該アーム11に前後又は上下揺動自在に枢結されたバケット12とを有し、第1ブーム8、アーム11及びバケット12は、それぞれ油圧シリンダよりなるブームシリンダ13、アームシリンダ14、バケットシリンダ15により揺動動作されるようになっている。
【0012】
また、第1ブーム8と連結ブラケット10とは連係リンク16により相互に連結され、この連係リンク16と、第1,第2ブーム8,9及び連結ブラケット10とによって平行4連リンクが構成され、第1,第2ブーム8,9間に介装された油圧シリンダよりなるオフセットシリンダ17によって第2ブーム9が左右に揺動動作されるようになっている。
旋回台3は、図1〜図4に示すように、その底部(下部)を構成する平面視略円形状の厚板材からなるベースフレーム20を有し、該ベースフレーム20の後部には、掘削装置5との重量バランスを図るウエイト21が設けられている。また、ベースフレーム20の左右側部及び前部にはカバー部材22が設けられ、前記ウエイト21とともに旋回台3の外郭を構成するようになっている。
【0013】
図2に示すように、ベースフレーム20上には、ブラケット、ステー等を介してエンジン24、ラジエータ25、作動油タンク26、バッテリ27、燃料タンク、制御バルブユニット28等が搭載され、これら機器はボンネット38,39,40により覆われている。
前記エンジン24は、旋回台3の後部に横向きに配置され、その一側(右側)にラジエータ25が配置されている。また、旋回台3の左右一側(右側)でラジエータ25の前側には、作動油タンク26が配設され、該作動油タンク26の前側に制御バルブユニット28が配設されている。
【0014】
この制御バルブユニット28は、掘削装置5や走行装置2等の各油圧機器を制御する複数の制御バルブを互いに連結、一体化することによって略直方体のブロック状に形成されたものであり、その長手方向を前後方向に向けて横置きに配設されている。
また、制御バルブユニット28の上方であって作動油タンク26の前側には、ステーを介してバッテリ27が設けられている。
エンジン24の前側で旋回台3の左右他側(左側)には、運転席32と、ステップ33と、操縦レバー34とを有する操縦部36が備えられ、該操縦部36の上方はキャノピ装置31(図1参照)により覆われている。また、掘削装置5の支持部6は、操縦部36と、作動油タンク26、バッテリ27及び制御バルブユニット28との左右間であってベースフレーム20上に設けられている。
【0015】
前記ボンネット38,39,40は、樹脂製又は金属製板材により形成されており、前記エンジン24及びラジエータ25の後端部を覆う開閉自在な後ボンネット38と、ラジエータ25の前部、作動油タンク26、バッテリ27,制御バルブユニット28を覆う右側部ボンネット40と、エンジン24の前部、燃料タンク等を覆う左側部ボンネット39とを有し、左右側部ボンネット39,40は左右に隣接して配置され、旋回台3に対して固定されている。なお、この左右側部ボンネット39,40は、互いに一体に形成されたものであってもよい。
【0016】
図4〜図7に示すように、前記ベースフレーム20の後部には、前記ウエイト21を装着するための装着具42が設けられている。
この装着具42は、ベースフレーム20の後部に左右方向に設けられた基板部43と、該基板部43の左右略中央上に立設して設けられた中間支持部44と、基板部43の左右両端に立設して設けられた左右支持部45,45とを備え、基板部43は、厚板材又は鋳物等によって横長の略ブロック状に形成されていて、その後端面がベースフレーム20の後縁に略沿って円弧状に形成されている。
【0017】
なお、前記基板部43上には、エンジン24を支持するため支持台41も設けられている。
中間支持部44及び左右支持部45は、直方体のブロック形状に形成されており、中間支持部44の上面には上下方向の雌ネジ孔44aが穿設され、左右支持部45には、前後方向に貫通する雌ネジ孔45aが穿設されている。
他方、ウエイト20内側面の左右略中央であって、上下中央よりもやや上側には、板状の中間被装着部46が前方に突出して形成されており、前記中間支持部44の上面に中間被装着部46が載置されるようになっている(図5のハッチング箇所W1)。
【0018】
また、ウエイト21の左右両端部には、左右内方へ向けて膨出する膨出部47が形成されており、この膨出部47の下面を含むウエイト21の下面内側縁には、ベースフレーム20の後端円弧に略沿うように切欠48が形成され、前記膨出部47の下面(切欠48の上側面)が、ベースフレーム20の後部左右側縁に載置されるようになっている(図5のハッチング箇所W2)。
中間被装着部46と左右膨出部47との左右間には、前記左右支持部45の雌ネジ孔45aに対応した取付孔49aと収納孔49bとを有する左右被装着部49が設けられており、図7(b)に示すように、左右被装着部49の前面を左右支持部45の後面に面接触し、ボルトよりなる締結具50を取付孔49aに挿通して左右支持部45の雌ネジ孔45aに螺合するとともにボルト50頭部を収納孔49b内に収納することによって、ウエイト21の左右両側がベースフレーム20に締結されるようになっている。
【0019】
また、中間被装着部46には、中間支持部44の雌ネジ孔44aに対応する取付孔46aが上下に貫通して形成され、図7(a)に示すように、ボルトよりなる締結具51を取付孔46aに挿通して中間支持部44の雌ネジ孔44aに螺合することで、ウエイト21の左右略中央がベースフレーム20に締結されるようになっている。
ここで、ウエイト21は、その左右両側部及び略中央部をベースフレーム20上(中間支持部44上を含む)に載置することで、ベースフレーム20に対する位置決め(特に水平度の設定)がなされるようになっており、この状態で中間及び左右支持部44,45に中間及び左右被装着部46,49を締結することで、容易に適正位置にウエイト21を装着できるようになっている。
【0020】
また、ウエイト21が適正に装着されることから、該ウエイト21に対して位置ズレすることなくカバー部材22及びボンネット38,39,40も容易に装着することができるようになっている。
なお、ウエイト21の左右両端前面には、カバー部材22との隙間を目隠しするための覆い部52が前方突出状に形成されている。
ウエイト21は、その左右両側部(膨出部47)及び略中央部における載置部分W1,W2において、ベースフレーム20によって下側から受け持ち支持されることから、各締結具50,51に生じる曲げ応力、剪断応力を低減することが可能となっている。
【0021】
更に、ウエイト21は、前記載置部分W1,W2だけでなく、左右の被装着部49を左右支持部45に面接触することで前側からも支持されるようになっており、これによって、ウエイト21の支持面積を実質的に増大して各締結具50,51に生じる曲げ応力、剪断応力等を低減することが可能となっている。
このような締結具50,51の応力低減は、締結具50,51の減少又は小径化に繋がり、更なる組立て作業性の向上やコスト低減に発展するものとなる。
また、ウエイト21の左右両側部及び略中央部における上下方向の面接触部分と、左右の被装着部49における前後方向の面接触部分とを左右方向で交互に配置することにより、ウエイトをバランス良く支持できるようにしている。
【0022】
ウエイト20の左右両側部に膨出部47を形成することでベースフレーム20に対する載置面積を増大できるとともに、ウエイト重量を十分に確保でき、また、装着具42における基板部43を厚板又は鋳物によって略ブロック状に形成していることから、この基板部43が補助ウエイトとしての機能を有するものとなっている。
なお、ウエイト21の膨出部47以外の箇所において他の膨出部を形成し、これをベースフレーム20上に載置することも可能であるが、これでは、ベースフレーム20に対するウエイト21の内方突出量が増大し、ボンネット内のエンジンスペースを圧迫することとなる。その点、上述のように、ウエイト21の左右両側部に膨出部47を形成することで、エンジンスペースを差ほど圧迫することなく位置決めや締結具50,51の応力低減に必要な載置面積を確保できるようになっている。
【0023】
本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。
例えば、旋回作業機1としては、上述した超旋回型のバックホーに限らず、旋回台3の前端部に掘削装置5の左右揺動支点を配置し、且つ旋回台3の後端部が描く旋回軌跡を走行装置2の左右前後幅内に収めた、所謂後方小旋回型のバックホーや、旋回台3の前端部に掘削装置5の左右揺動支点を配置し、且つ旋回台3の後端部が描く旋回軌跡が走行装置の左右又は前後幅から突出する形態の標準型のバックホーであってもよい。
【0024】
また、掘削装置5のバケット12に変えて他のアタッチメント機器を装着したものであってもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、旋回台のベースフレームに対してウエイトを容易に位置決めして装着することができ、組立て作業性の向上が図られる。また、ウエイトの左右両側部を左右内方に膨出してベースフレームに載置することで、組立て作業性を向上するだけでなくウエイト重量を確保することができる。
また、ウエイト左右両側部の載置部分と略中央部の載置部分との左右間で、該ウエイトをベースフレームに締結することで、両者の接触面積(ウエイトの支持面積)を増大することができ、ウエイトとベースフレームの締結部位に発生する応力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる旋回作業機の全体側面図である。
【図2】同旋回台の平面図である。
【図3】同旋回台の背面図である。
【図4】ベースフレームの平面図である。
【図5】ウエイトの平面図である。
【図6】ウエイトの正面図である。
【図7】(a)は図5のA−A矢示断面図、(b)は図5のB−B矢示断面図である。
【符号の説明】
1 旋回作業機
3 旋回台
20 ベースフレーム
21 ウエイト
42 装着具
47 膨出部
Claims (1)
- 旋回台(3)の下部を構成するベースフレーム(20)と、該ベースフレーム(20)の後部に装着するウエイト(21)とを備え、
前記ウエイト(21)の下面内側縁に前記ベースフレーム(20)に略沿うように切欠(48)を形成してこの切欠(48)の上側面をベースフレーム(20)に載置可能とし、
前記ウエイト(21)の左右両側部に左右内方に膨出していて前記ベースフレーム(20)上に載置する膨出部(47)を形成し、
前記ウエイト(21)の左右略中央部を載置する中間支持部(44)をベースフレーム(20)上に立設し、この中間支持部(44)に載置する中間被装着部(46)を前記ウエイト(21)の左右略中央部に形成し、
前記ウエイト(21)の膨出部(47)と中間被装着部(46)との間でこのウエイト(21)を支持する左右支持部(45)を前記ベースフレーム(20)に設け、前記左右支持部(45)の後面と面接触する左右被装着部(49)を前記ウエイト(21)に設け、
前記締結具(50、51)を介して前記中間被装着部(46)を前記中間支持部(44)に締結しかつ前記左右被装着部(49)を前記左右支持部(45)に締結したことを特徴とする旋回作業機。
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