JP3678987B2 - 引戸の停止装置及び引戸の戸当たり装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自閉式の引戸を開扉位置に保持する引戸の停止装置、及び、引戸の全開時の衝撃を緩和する引戸の戸当たり装置に関し、特に、開扉時に壁内に収納されるタイプの引戸に使用される引戸の停止装置及び引戸の戸当たり装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、引戸は、開扉時に壁の外部に位置するタイプと、開扉時に壁内に収納されて見えなくなるタイプとに大別される。そして、後者の場合には、引戸を吊下支持するハンガーレールは、その開き側(戸尻側)略半分が壁内に隠れるように配設され、閉じ側(戸先側)略半分は、壁に引戸のサイズに対応して開設された引戸取付用開口部に表出するようにその開口部上部に配設される。尚、引戸取付用開口部の上部には着脱自在な蓋体が設けられており、ハンガーレールの閉じ側略半分は蓋体の内側に位置し、メンテナンス等を行う際には、この蓋体を開けて行われる。
【0003】
一方、引戸が、手動開扉時に蓄積されたエネルギーにより自動閉扉する、いわゆる自閉式の引戸である場合、引戸を開扉位置で保持する停止装置が用いられることがある。従来の引戸の停止装置は、例えば、特開平8−218727号公報所載のようにハンガーレールの開き側端部に取り付けられる構成となっており、引戸が全開位置まで開くと、停止装置が引戸の所定部位、例えば、引戸の上部に取り付けられた戸車等、を保持するよう構成されている。この停止装置が引戸の所定部位を保持することにより、引戸の閉じ側への復帰力に抗して引戸を全開位置に保持することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、引戸が壁内に収納されるタイプの場合、ハンガーレールの開き側端部に装着された停止装置は壁内に位置しているため、停止装置に故障等の不具合が生じた場合に作業面での問題があった。
【0005】
即ち、停止装置を調整、交換等する場合には、引戸取付用開口部の上部に位置する蓋体を外し、そこからハンガーレールを壁から引き出すようにして取り外し、ハンガーレールと共に停止装置を壁内から取り出していた。そして、調整や交換等の作業が終了すると、再びハンガーレールを元の状態に戻す必要があった。
【0006】
このように、従来、壁内に収納される引戸に用いられる停止装置は、ハンガーレールの開き側端部に装着されて壁の引戸取付用開口部からは直接取付取り外しできない構成であったので、停止装置の取り外し等の際にその都度ハンガーレールを取り外し取り付ける必要があって作業負担が大きいという問題があったのである。
【0007】
かかる作業面での問題は、引戸の停止装置のみならず、ハンガーレールの開き側端部に装着されて壁内に位置する引戸の戸当たり装置においても同様であった。
【0008】
それゆえに本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされ、壁内に収納される引戸に適応可能で且つ、メンテナンスが容易な引戸の停止装置及び引戸の戸当たり装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る引戸の停止装置は、開扉時に壁の引戸取付用開口部から壁内に収納される自閉式の引戸を開扉位置に保持すべく、引戸に設けられた被保持部を開扉時に壁内において保持する保持部を備えた引戸の停止装置において、ハンガーレール等の固定部における引戸取付用開口部に表出した部分に取付可能な取付部を備え、取付状態において保持部が壁内に位置するように、取付部から開扉方向に向けて延長腕部を延設し、該延長腕部に保持部を備えたことを特徴とする。
尚、自閉式の引戸とは、手動開扉時に蓄積されたエネルギーにより自動閉扉する引戸をいう。また、ハンガーレールとは、引戸を直線的に開閉可能に吊下支持する部材であって引戸の開閉方向に沿って固定配設されるものである。
【0010】
また、本発明に係る引戸の戸当たり装置は、開扉時に壁の引戸取付用開口部から壁内に収納される引戸の全開時における衝撃を緩和すべく、引戸に設けられた当て部が全開時に壁内において衝突する緩衝部を備えた引戸の戸当たり装置において、ハンガーレール等の固定部における引戸取付用開口部に表出した部分に取付可能な取付部を備え、取付状態において緩衝部が壁内に位置するように、取付部から開扉方向に向けて延長腕部を延設し、該延長腕部に緩衝部を備えたことを特徴とする。
【0011】
このように、引戸取付用開口部に表出した部分に取付可能な取付部を備えているので、引戸取付用開口部から直接装置の取付、取り外し作業を行うことができる。このように、ハンガーレール等の固定部をその都度取り外すことなく、装置のみを引戸取付用開口部から取付、取り外しできる。
【0012】
また、開扉方向に向けて延長腕部が延設され、該延長腕部に保持部や緩衝部が設けられているので、取付部が引戸取付用開口部に表出していても、取付状態において保持部や緩衝部を壁内に位置させることができる。従って、引戸を壁内で開扉位置に保持したり、壁内においてその衝撃を緩和できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図7を参酌しつつ、開扉時に壁内に収納される引戸1を吊下支持すべく閉じ側が壁内に位置し且つ開き側が壁の引戸取付用開口部Pに表出するように配設されたハンガーレール4に取り付けられて使用される、引戸の停止装置及び引戸の戸当たり装置について説明する。
【0014】
図1及び図2は、引戸施工箇所を概略的に透視的に示し、図1は全閉状態を、図2は全開状態をそれぞれ示しており、引戸1は右引き用のものである。尚、二点鎖線Cより図上右側は壁であり、実際は外部からは見えない。そして、壁に形成された引戸取付用開口部Pは、二点鎖線Cから図上左側であって、引戸取付枠2と二点鎖線Cによって囲まれた領域である。この引戸取付枠2は、閉じ側柱部2aと開き側柱部2b、及び、両柱部2a,2bの上下端部をそれぞれ水平方向に連結する上梁部2cと下梁部(図示せず)とから構成されている。従って、矩形状の引戸取付枠2の開き側略半分、即ち、開き側柱部2aと上下梁部2cの開き側略半分は壁内に位置している。尚、図示しないが壁内には戸袋が形成されており、戸袋に引戸1が収納される。
【0015】
また、引戸取付枠2の上部には、両柱部2a,2bの上端部と上梁部2cとに連結されるようにレール取付プレート3が固定配設されている。該レール取付プレート3の手前側に、引戸1を直線的に開閉可能に吊下支持するハンガーレール4がネジ止めされている。尚、レール取付プレート3及びハンガーレール4の開き側略半分も壁内にあって外部からはその様子が実際には確認できない。また、逆に、レール取付プレート3及びハンガーレール4の閉じ側略半分は引戸取付用開口部Pに表出しているが、引戸取付用開口部Pの上部には、図1に二点鎖線で示すように着脱自在な蓋体5が目隠しとして設けられている。従って、通常はレール取付プレート3及びハンガーレール4の閉じ側略半分は蓋体5の内側に位置し、メンテナンス等を行う際には、この蓋体5を開けて行われる。
【0016】
また、引戸1の上面には、前後一対の戸車6が各々取付ベース7を介して取り付けられている。そして、引戸1は、図3のように、前後一対の戸車6が断面視略L字状のハンガーレール4における戸車レール部9上を走行することで開閉可能となっている。また、ハンガーレール4を右上がりの傾斜状態に固定配設することで、引戸1はその自重により左側に向かって自閉する。尚、自閉させる手段としては、このようにハンガーレール4を傾斜させる以外に、ゼンマイバネや錘を用いることも可能である。
【0017】
尚、図3のように、ハンガーレール4には、戸車レール部9の奥側に平行に上面に開口したガイドレール部10が形成されており、該ガイドレール部10には図1及び図2に示すようにラック11が挿入固定されている。そして、該ラック11に噛合可能なピニオンを有する引戸制動装置12が前記戸車6の取付ベース7にネジ止めされている。閉扉時に引戸制動装置12のピニオンがラック11に噛合することで引戸1の閉じ速度が減少される。
【0018】
ところで、上述のように、ハンガーレール4の閉じ側略半分は引戸取付用開口部Pに表出しているが、ハンガーレール4の表出した部分に引戸の停止装置Qが取り付けられている。具体的には、ハンガーレール4の表出部分の壁際の位置(二点鎖線Cの近傍位置)に、その取付部がネジ止めにより着脱可能に取り付けられている。
【0019】
該停止装置Qは、左右一対の取付部としての取付板13,13と、該取付板13の上端部を連結し且つ右側の取付板13から更に右側(開扉方向)に向けて延設された延長腕部14と、該延長腕部14の先端部に取り付けられて引戸1の被保持部を開扉時に壁内において保持する保持部15とを備えている。取付板13のハンガーレール4への取付について更に説明すると、ハンガーレール4のガイドレール部10には、図3のように板状の固定具16が挿入されている。該固定具16には、ネジ孔が設けられており、ネジ孔に六角ボルト17を上方からねじ込むことで、図3のように、ガイドレール部10の上面に取付板13の下端部をボルト17で固定する構成となっている。二箇所の取付板13,13は同一の構成である。
更に、本実施形態では、延長腕部14と取付板13が分離可能に構成されている。即ち、取付板13の上端部に延長腕部14が手前側からネジ止めされて固定されており、ネジの脱着により、延長腕部14を取付板13から分離、一体化できる。
【0020】
一方、該延長腕部14の先端部に取り付けられた保持部15は、引戸1の閉じ側の戸車6の取付ベース7に上方に向けて突設された被保持部としてのピン18を保持できる構成となっている。即ち、図4及び図5のように、保持部15は、ピン18を係止する回動可能なフック15aと、該フック15aの回動動作に負荷を与えるコイルバネ15bと、フック15a及びコイルバネ15bが取り付けられて延長腕部14にネジ止めされる本体部15cとを備える。
【0021】
フック15aは、図4(a)のように閉じ側を向いた状態と、図4(c)のように開き側を向いた状態との間を回動可能になっており、一方の状態から他方の状態へと回動して変化する間は、フック15aに取り付けられたコイルバネ15bの一端部がフック15aと共に回動してコイルバネ15bが伸長することとなる。従って、コイルバネ15bはフック15aの各々の状態を保持するように、フック15aを付勢する。
【0022】
そして、開扉時にピン18がフック15aに当接し、手動による開扉の力がピン18を介してフック15aに作用すると、その力によってフック15aがコイルバネ15bのバネ力に抗して回動して図4(c)の状態となる。図4(c)及び図5(c)の状態においても、フック15aはコイルバネ15bに付勢されてその状態を保持しているので、引戸1の閉扉方向への閉じ力により、図5(c)に二点鎖線にて示すように、開き側を向いたフック15aにピン18が当接しても、閉じ力よりもコイルバネ15bのバネ力が勝っているので、フック15aはその状態を維持し、ピン18のそれ以上の閉じ側への移動が阻止される。従って、引戸1は全開位置に保持される。
【0023】
また、手で引戸1に閉扉方向の力を作用させると、その力がピン18を介してフック15aに作用する。その結果、コイルバネ15bのバネ力に抗してフック15aが逆方向に回動し、フック15aによるピン18の規制が解除され、その後は引戸1はその自重により自閉する。
【0024】
かかる保持部15は、延長腕部14の先端部に取り付けられていて、取付板13をハンガーレール4に取り付けた状態では、保持部15が二点鎖線Cを越えて壁の戸袋内に位置する。従って、引戸1を壁内において保持することができ、壁内に収納される引戸1に対応させることができる。
【0025】
その一方、取付板13は、ハンガーレール4の表出部分に取り付けられるので、従来のようにハンガーレール4を取り外すことなく、停止装置Qのみをハンガーレール4から取り外して停止装置Qの交換や調整を引戸取付用開口部Pから直接行うことができる。
【0026】
しかも、延長腕部14が取付板13から分離可能であるので、延長腕部14を取付板13から分離させてその先端部に位置する保持部15を壁内から引戸取付用開口部Pに表出させることもできる。このように、延長腕部14と保持部15のみを取り外せば、停止装置Qの取付位置が狂うことがない。
【0027】
以上、引戸の停止装置Qについて説明したが、引戸の戸当たり装置Rについても同様の構成である。即ち、図6及び図7に引戸の戸当たり装置Rの一例を示しているが、該実施形態では、上述した引戸の停止装置Qにおける保持部15に代えて緩衝部としてのゴム体20を延長腕部14の先端部に取り付けている。その他の構成は同一である。尚、上述したピン18に代えて、戸車6の取付ベース7には、当て部として、平面視略L字状の当て板21がネジ止めされている。
【0028】
そして、保持部15と同様に、取付状態においてゴム体20は壁内に位置することとなり、図6及び図7のように、引戸1の全開時に当て板21がゴム体20に壁内で衝突し、その際の衝撃が緩和される。
【0029】
以上のように、引戸取付用開口部Pから停止装置Qや戸当たり装置Rの取付取り外し作業を直接行えるので、そのメンテナンス性が従来に比して大幅に向上されるのである。特に、取付板13と延長腕部14とを分離可能に構成すれば、取付板13をガイドレール部10(ハンガーレール4)から外す必要がないのでより一層手間が省け作業が楽になる。
【0030】
また、固定具16がガイドレール部10に挿入される構成で、ガイドレール部10内を固定具16がスライド可能であるので、取付位置の微調整も容易である。
【0031】
尚、停止装置Qや戸当たり装置Rの構成は本発明の意図する範囲内で適宜設計変更可能であり、ハンガーレール4以外の固定部、例えば、レール取付プレート3に取り付ける構成としてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、壁に開口する引戸取付用開口部から取付取り外し作業を行うことができるので、従来のようにその都度ハンガーレールを取り外したりする必要がなくなってメンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における引戸の停止装置の使用状態を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態における引戸の停止装置の使用状態を示す概略図。
【図3】同引戸の停止装置の使用状態を示す断面図。
【図4】同装置の使用状態を示す平面図で、(a)は開扉中を示し、(b)は全開直前の状態を示し、(c)は全開状態を示す。
【図5】図4に対応した正面図であり、(a)は開扉中を、(b)は全開直前の状態を、(c)は全開状態を、それぞれ示す。
【図6】引戸の戸当たり装置の使用状態を示す平面図で、(a)は開扉中を示し、(b)は全開直前の状態を示し、(c)は全開状態を示す。
【図7】図6に対応した正面図であり、(a)は開扉中を、(b)は全開直前の状態を、(c)は全開状態を、それぞれ示す。
【符号の説明】
P…引戸取付用開口部、Q…引戸の停止装置、R…引戸の戸当たり装置、1…引戸、2…引戸取付枠、3…レール取付プレート、4…ハンガーレール、5…蓋体、6…戸車、7…取付ベース、9…戸車レール部、10…ガイドレール部、11…ラック、12…引戸制動装置、13…取付板(取付部)、14…延長腕部、15…保持部、15a…フック、15b…コイルバネ、15c…本体部、16…固定具、17…ボルト、18…ピン(被保持部)、20…ゴム体(緩衝部)、21…当て板(当て部)
Claims (2)
- 開扉時に壁の引戸取付用開口部(P)から壁内に収納される自閉式の引戸(1)を開扉位置に保持すべく、引戸(1)に設けられた被保持部(18)を開扉時に壁内において保持する保持部(15)を備えた引戸の停止装置において、ハンガーレール(4)等の固定部における引戸取付用開口部(P)に表出した部分に取付可能な取付部(13)を備え、取付状態において保持部(15)が壁内に位置するように、取付部(13)から開扉方向に向けて延長腕部(14)を延設し、該延長腕部(14)に保持部(15)を備えたことを特徴とする引戸の停止装置。
- 開扉時に壁の引戸取付用開口部(P)から壁内に収納される引戸(1)の全開時における衝撃を緩和すべく、引戸(1)に設けられた当て部(21)が全開時に壁内において衝突する緩衝部(20)を備えた引戸の戸当たり装置において、ハンガーレール(4)等の固定部における引戸取付用開口部(P)に表出した部分に取付可能な取付部(13)を備え、取付状態において緩衝部(20)が壁内に位置するように、取付部(13)から開扉方向に向けて延長腕部(14)を延設し、該延長腕部(14)に緩衝部(20)を備えたことを特徴とする引戸の戸当たり装置。
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