JP3677433B2 - コンクリートブロック並びにコンクリートブロックの設置法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、擁壁ブロック,排水溝ブロック,柵渠溝ブロック,ボックスカルバートなどの大型のコンクリートブロック並びにコンクリートブロックの設置法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
大型のコンクリートブロックを順次並べて擁壁や排水溝や排水トンネルなどを施工する場合、コンクリートブロックをトラックなどの運搬車両で現場に運び、トラッククレーンなどにより吊り下げて基礎面上に降ろし、順次所定位置に並べていく。
【0003】
また、この際、コンクリートブロックは、基礎面上に載置した上下調整装置によって一旦底板の四隅を支承し、この上下調整装置によって正しい姿勢となるように調整是正する必要がある。
【0004】
ところが、クレーンで吊り下げたコンクリートブロックは非常に不安定であるために、この吊り下げたコンクリートブロックを基礎面上の所定の位置に載置された上下調整装置に支承させるためには、非常に慎重な作業を要し、この作業が施工能率を大きく低下させているという現状であった。
【0005】
本発明は、このような現状に鑑み、これを解決するもので、コンクリートブロックの底板の下面の周縁部に凹部を形成することで、コンクリートブロックを基礎面に載置して安定させた状態でも、この凹部を利用して極めて簡易に且つ迅速にコンクリートブロックの底板を上下調整装置の支承爪で支承することができ、これによりこの作業には従来のような慎重さを要しないこととなって、施工能率が向上することになる簡易構造の画期的なコンクリートブロック並びにコンクリートブロックの設置法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
コンクリートブロック1の底板2の下面の周縁部に、このコンクリートブロック1を昇降調整し得る上下調整装置3の支承爪4を外方から挿入係止し得る凹部5を形成し、前記コンクリートブロック1を基礎面6に載置した際、前記凹部5によりこの凹部5と基礎面6との間に外方から前記上下調整装置3の支承爪4を挿入するための挿入空隙7が形成されるように凹部5を構成したことを特徴とするコンクリートブロックに係るものである。
【0008】
また、前記凹部5は、前記コンクリートブロック1の成形時に一体成形したことを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロックに係るものである。
【0009】
また、前記請求項1,2のいずれか1項に記載のコンクリートブロックを基礎面6に載置し、この載置したコンクリートブロック1の前記凹部5に外方から前記上下調整装置3の支承爪4を挿入係止して、この上下調整装置3によりコンクリートブロック1の底板2を所定の水平状態若しくは傾斜状態に調整是正した後、このコンクリートブロック1の正しい姿勢を保持手段8により保持せしめて上下調整装置3を取り除き、前記基礎面6とコンクリートブロック1の底板2の下面との間隙9にセメントモルタルやコンクリートモルタルなどの硬化剤10を充填して基礎面6上にコンクリートブロック1を設置することを特徴とするコンクリートブロックの設置法に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0011】
基礎面6の所定の位置にコンクリートブロック1を載置すると、底板2に形成した凹部5と基礎面6との間に外方から上下調整装置3の支承爪4を挿入するための挿入空隙7が形成される。
【0012】
従って、本発明においては、基礎面6の所定の位置にコンクリートブロック1を安定的に載置させておいてからでも、凹部4(挿入空隙7)に上下調整装置3の支承爪4を挿入係止してこの上下調整装置3で底板2を支承することができるので、この支承作業に従来のような慎重な作業は全く不要となり、この作業を極めて容易に且つ迅速に行うことができることになる。よって、本発明によれば、それだけ従来の設置法に比して施工能率が向上することになる。
【0013】
また、この本発明のコンクリートブロック1は、単に底板2の下面の周縁部に凹部5を形成するだけで構成できるため、この構成は簡易に設計実現可能であり、量産性に秀れ安価な製品として提供できることになる。
【0014】
この上下調整装置3によりコンクリートブロック1の底板2を支承したら、この底板2を所定の水平状態若しくは傾斜状態に調整是正し、このコンクリートブロック1の正しい姿勢を保持手段8により保持せしめて上下調整装置3を取り除く。
【0015】
次いで、基礎面6とコンクリートブロック1の底板2の下面との間隙9にセメントモルタルやコンクリートモルタルなどの硬化剤10を充填して基礎面6上にコンクリートブロック1を設置し、作業終了となる。
【0016】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施例は、コンクリートブロック1の底板2の下面の周縁部に、このコンクリートブロック1を昇降調整し得る上下調整装置3の支承爪4を外方から挿入係止し得る凹部5を形成している。
【0018】
具体的に説明すると、本実施例のコンクリートブロック1は、図1〜図4では第一実施例として擁壁ブロック1Aを示し、図5では第二実施例として法止側溝ブロック1Bを示し、図6では第三実施例としてボックスカルバート1Cを示し、図7では第四実施例としてU字溝ブロック1Dを示している。また、図1,図5,図6,図7の各(a)はコンクリートブロック1の側面図,各(b)は背面図,各(c)は底面図を示している。
【0019】
本実施例の凹部5は、コンクリートブロック1の底板2の下面の周縁部の数箇所を方形状に凹設して形成すると共に、この各凹部5は、図1,図5,図6,図7の各(b)に示すように底板2の外側方へも開口するように形成している。また、本実施例では、単にコンクリートブロック1成形時にこの凹部5を一体成形する構成としている。
【0020】
また、この凹部5は、例えば図1の(a)に示すように、コンクリートブロック1を基礎面6に載置した際、この凹部5と基礎面6との間に外方から前記上下調整装置3の支承爪4を挿入するための挿入空隙7が形成されるように凹設深さを設定すると共に、この凹部5に前記上下調整装置3の支承爪4を挿入係止し得るように凹設幅寸法を設定構成している。
【0021】
また、更に詳しく説明すると、第一,第二実施例では、図1,図5の各(c)に示すように、横並びに設置されるコンクリートブロック1の底板2下面の前縁部の左右二箇所と、後縁部の中間一箇所との計三箇所に前記凹部5を形成した場合を示し、第三,第四実施例では、図6,図7の各(c)に示すように、コンクリートブロック1の底板2下面の前縁部の左右二箇所と、後縁部の左右二箇所との計四箇所に前記凹部5を形成した場合を示している。
【0022】
尚、この凹部5の形成数は特に限定するものではないが、本実施例のように、少なくとも凹部5を三箇所以上に形成して上下調整装置3で底板2の三点以上を支承するようにすると、安定的にコンクリートブロック1が支承されて上下調整装置3により安定的にコンクリートブロック1の姿勢是正が行われるため望ましい。また、前記第一,第二実施例のコンクリートブロック1に、前記第三,第四実施例のような凹部5の配置構造を適用しても良いし、第三,第四実施例のコンクリートブロック1に、第一,第二実施例のような凹部5の配置構造を適用しても良い。
【0023】
また、本実施例の上下調整装置3は、支承爪4を備えた油圧ジャッキを採用しているが、その他の構成のジャッキ装置などでも良い。
【0024】
次に、各実施例に略共通の設置方法を、第一実施例の図2〜図4を用いて説明する。
【0025】
先ず、トラッククレーンなどにより吊り下げたコンクリートブロック1を、図1に示すように、基礎面6上のこのコンクリートブロック1を設置させたい所定の位置に載置する。
【0026】
すると、底板2に形成した複数の凹部5と基礎面6との間に外方から上下調整装置3の支承爪4を挿入するための挿入空隙7が形成されるので、図2に示すようにこの各挿入間隙7に上下調整装置3の支承爪4を挿入係止して、この各上下調整装置3でコンクリートブロック1の底板2を支承することができる。
【0027】
従って、本実施例においては、予め基礎面6の所定の位置にコンクリートブロック1を安定的に載置させておいてから、凹部4(挿入空隙7)に上下調整装置3の支承爪4を挿入係止してこの上下調整装置3で底板2を支承することができるので、この作業に従来のような慎重な作業は全く不要となり、この作業を極めて容易に且つ迅速に行うことができることとなるため、それだけ従来の設置法に比して施工能率が向上することになる。
【0028】
この上下調整装置3によりコンクリートブロック1の底板2を支承したら、この底板2を所定の水平状態若しくは傾斜状態に調整是正し、図3に示すようにこのコンクリートブロック1の正しい姿勢を保持手段8により保持せしめて上下調整装置3を取り除く。
【0029】
また、図面の保持手段8は、ライナープレート11を採用した場合を示しているが、クサビやその他の適宜なスペーサでも良い。
【0030】
次いで、図4に示すように、基礎面6とコンクリートブロック1の底板2の下面との間隙9にセメントモルタルやコンクリートモルタルなどの硬化剤10を充填して基礎面6上にコンクリートブロック1を設置(硬化固定)し、作業終了となる。
【0031】
尚、この硬化剤10の注入は、コンクリートブロック1の底板2に設けた注入口12から行うと良い。また、この硬化剤10注入に際しては、硬化剤10が脇から漏れ出ないように間隙9の周りに目張りをしておくことが好ましい。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、予め基礎面の所定の位置にコンクリートブロックを安定的に載置させておいてから、凹部(挿入空隙)に上下調整装置の支承爪を挿入係止してこの上下調整装置で底板を支承することができるため、この作業に従来のような慎重さは全く不要となり、よってこの作業を極めて容易に且つ迅速に行うことができるので、それだけ従来の設置法に比して施工能率が向上することになり、しかも単にコンクリートブロックの底板の下面の周縁部に凹部を形成するだけで本発明のコンクリートブロックを構成できるため、この構成は簡易に設計実現可能な構成であり、量産性に秀れ安価に構成可能となるなど極めて実用性に秀れた画期的なコンクリートブロックとなる。
【0033】
また、請求項2記載の発明においては、底板の下面の周縁部に凹部を有するコンクリートブロックを簡易に構成可能となり、量産性に秀れ安価な製品を提供できることになる極めて実用性に秀れたコンクリートブロックとなる。
【0034】
また、請求項3記載の発明においては、上述のように、予め基礎面の所定の位置にコンクリートブロックを安定的に載置させておいてから、凹部(挿入空隙)に上下調整装置の支承爪を挿入係止してこの上下調整装置で底板を支承するため、この作業には従来のような慎重さは全く不要となり、よってこの作業を極めて容易に且つ迅速に行うことができるので、それだけ従来の設置法に比して施工能率が向上することになる極めて実用性に秀れたコンクリートブロックの設置法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施例を示す説明図である。
【図2】 第一実施例のコンクリートブロックを基礎面に載置した状態を示す説明斜視図である。
【図3】 第一実施例のコンクリートブロックを保持手段により保持し、凹部から上下調整装置を取り除いた状態を示す説明斜視図である。
【図4】 図3の状態から、基礎面とコンクリートブロックの底板の下面との間に硬化剤を注入充填して基礎面上にコンクリートブロックを設置した状態を示す説明側面図である。
【図5】 第二実施例を示す説明図である。
【図6】 第三実施例を示す説明図である。
【図7】 第四実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 コンクリートブロック
2 底板
3 上下調整装置
4 支承爪
5 凹部
6 基礎面
7 挿入空隙
8 保持手段
9 間隙
10 硬化剤
Claims (3)
- コンクリートブロックの底板の下面の周縁部に、このコンクリートブロックを昇降調整し得る上下調整装置の支承爪を外方から挿入係止し得る凹部を形成し、前記コンクリートブロックを基礎面に載置した際、前記凹部によりこの凹部と基礎面との間に外方から前記上下調整装置の支承爪を挿入するための挿入空隙が形成されるように凹部を構成したことを特徴とするコンクリートブロック。
- 前記凹部は、前記コンクリートブロックの成形時に一体成形したことを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロック。
- 前記請求項1,2のいずれか1項に記載のコンクリートブロックを基礎面に載置し、この載置したコンクリートブロックの前記凹部に外方から前記上下調整装置の支承爪を挿入係止して、この上下調整装置によりコンクリートブロックの底板を所定の水平状態若しくは傾斜状態に調整是正した後、このコンクリートブロックの正しい姿勢を保持手段により保持せしめて上下調整装置を取り除き、前記基礎面とコンクリートブロックの底板の下面との間隙にセメントモルタルやコンクリートモルタルなどの硬化剤を充填して基礎面上にコンクリートブロックを設置することを特徴とするコンクリートブロックの設置法。
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