JP3153100B2 - コンクリートブロック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コンクリートブロッ
ク、例えば、擁壁等のコンクリート構築物を構築する際
などに、基礎用のコンクリートブロックとして好適に用
いることができる、コンクリートブロックに関するもの
である。

【０００２】

【従来技術及び発明が解決しようとする課題】従来、コ
ンクリート構築物を構築するに当たっては、その最下段
として、基礎コンクリートブロックを設置現場に配置
し、この基礎コンクリートブロック上に、積みコンクリ
ートブロックを積み上げている。そして、コンクリート
構築物に使用される基礎コンクリートブロックは、強度
計算の基、その前方部分の高さ（厚さ）に比べて、後方
部分の高さ（厚さ）が高く（厚く）なっており、また、
前記前方部分と前記後方部分との間に、積みコンクリー
トブロックの下部を嵌め込んで積み上げるための、嵌め
合い凹部を備えている。

【０００３】しかし、この基礎コンクリートブロック上
に、積みコンクリートブロックを積み上げる場合、基礎
コンクリートブロックが、設置現場に水平に設置されな
いと、積みコンクリートブロックが傾いて積み上げら
れ、構築されたコンクリート構築物全体が、傾いたもの
となる。そのため、例えば、水平であるか否かを調べる
ことができる水準器を、基礎コンクリートブロック上に
置いて、このブロックが水平に設置されているか否かを
確かめ、水平に設置する調整作業を行いながら、基礎コ
ンクリートブロックの設置作業を進める必要がある。

【０００４】ところで、基礎コンクリートブロックは、
既述した如く、前方部分の高さに比べて、後方部分の高
さが高くなる形状であるため、それらの間の段差によっ
て、ブロックの前方部分の上面と後方部分の上面との間
を、水平に掛け渡すように水準器を置くことができなか
った。そのため、基礎コンクリートブロックが、設置現
場に水平に設置されているか否かの確認を容易に行うこ
とができず、これらブロックの設置作業に手間を要し
た。

【０００５】この発明は、上記した課題を解決するため
になされたものであり、その目的とするところは、設置
現場などの設置部に容易に水平に置くことができる、作
業性に優れたコンクリートブロックを提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係るコンクリ
ートブロックは、前記目的を達成するために、次の構成
からなる。すなわち、前方部分の高さに比べて、後方部
分の高さが高くなっているとともに、前記前方部分と前
記後方部分との間に、嵌め合い凹部もしくは凹凸部が設
けられている。そして、前記嵌め合い凹部もしくは凹凸
部の前方側に、上方に突き出る突部が設けられており、
コンクリートブロックの前方部分の底面から、前記突部
の上方基準面までの高さが、前記後方部分の底面から、
後方部分の上方の後方部分基準面までの高さとほぼ一致
するようになっている。

【０００７】また、前記突部は、コンクリートブロック
の横方向に一定間隔明けて、複数並んで設けられている
のが好ましい。

【０００８】また、コンクリートブロックの後面側の横
幅寸法は、前面側の横幅寸法よりも短く設定されてお
り、隣り合うこれらコンクリートブロックの相互間にお
いて、それら後方部分間に隙間が形成されるのが好まし
い。

【０００９】また、前記嵌め合い凹部もしくは凹凸部
は、積みコンクリートブロックの下部を嵌め合わすこと
ができる形状となっており、その積みコンクリートブロ
ックを積み上げることにより、基礎用のコンクリートブ
ロックとして用いることができるのが望ましい。

【００１０】ここで、突部の上方基準面及び後方部分基
準面とは、水準器を掛け渡すようにして置くために使用
される面を意味する。

【００１１】但し、前記突部の上方基準面及び後方部分
基準面は、コンクリートブロックを水平に複数段積み上
げるために使用される面として使用しても良い。すなわ
ち、コンクリートブロックを、例えば、ストックヤード
で複数段積み上げて保管するにあたって、下段側のコン
クリートブロックの突部の上方基準面及び後方部分基準
面に、上段側のコンクリートブロックを、その底面が当
たるように積み上げるのみで、上段側のコンクリートブ
ロックは、下段側のコンクリートブロックに対して水平
に積み上げられることとなる。

【００１２】また、「コンクリートブロックの前方部分
の底面から、突部の上方基準面までの高さが、後方部分
の底面から、後方部分の上方の後方部分基準面までの高
さとほぼ一致している」とは、両方の高さが、許容誤差
の範囲内で一致していることを意味する。

【００１３】

【作用】コンクリートブロックの前方部分の底面から、
突部の上方基準面までの高さが、後方部分の底面から、
後方部分の上方の後方部分基準面までの高さとほぼ一致
している。従って、かかるコンクリートブロックを、例
えば、基礎用コンクリートブロックとして、現場に設置
する際には、水平であるか否かを調べることができる水
準器を、前記突部の上方基準面と前記後方部分基準面と
の間に掛け渡すように載せることにより、そのコンクリ
ートブロックが水平に置かれているか否かを、容易に確
かめることができる。

【００１４】更に、上方基準面を備える突部は、コンク
リートブロックの横方向に一定間隔明けて、複数並んで
設けられているので、前記水準器を、各突部の上方基準
面と前記後方部分基準面との間に掛け渡すように載せる
ことにより、そのコンクリートブロックが、水平に置か
れているか否かを、コンクリートブロックの横方向にお
ける複数の位置で、容易に確かめることができる。

【００１５】

【実施例】以下、この発明にかかるコンクリートブロッ
クを、例えば、基礎コンクリートブロックとして使用し
た一実施例につき、図面に基づいて説明する。

【００１６】基礎コンクリートブロック１０は、図１に
示されるように、前方部分１２の高さＨ１に比べて、後
方部分１４の高さＨ２を高くするとともに、前記前方部
分１２と前記後方部分１４との間に、嵌め合い凹部もし
くは凹凸部としての、嵌め合い凹部１８を設けている。

【００１７】具体的には、図４に示される、例えば、擁
壁等のコンクリート構築物Ｙ１を、所要の勾配で設置面
Ｚ１上に構築するにあたって、基礎コンクリートブロッ
ク１０の前方部分１２及び後方部分１４は、前記構築物
Ｙ１を構築するために設計された強度計算に基づき、所
定の高さ（厚さ）Ｈ１、Ｈ２を有するように設定されて
おり、その結果、後方部分１４の高さ（厚さ）Ｈ２が、
前方部分１２の所定の高さ（厚さ）Ｈ１に比べて、高く
（厚く）なっている。そして、前記嵌め合い凹部１８
は、積みコンクリートブロック１６の下部を嵌め合わせ
て積み上げれるような形状からなっている。

【００１８】また、前記コンクリートブロック１０の前
記嵌め合い凹部１８の前方側には、上方に突き出る突部
２０が設けられており、前記コンクリートブロック１０
の前記前方部分１２の底面１２ａから、前記突部２０の
上方基準面２０ａまでの高さＨ３が、前記後方部分１４
の底面１４ａから、後方部分１４の上方の後方部分基準
面１４ｂまでの高さＨ４とほぼ一致するようになってい
る。

【００１９】この実施例においては、前記後方部分１４
上部の前記嵌め合い凹部１８側には、横方向に延びる凸
部２１が設けられており、この凸部２１の上面が、前記
後方部分基準面１４ｂになっている。また、前記突部２
０は、前記コンクリートブロック１０の横方向に一定間
隔明けて複数（図示実施例においては、２個）並んで設
けられており、各突部２０は、縦断面が台形形状をな
し、前記前方部分１２上面の横方向の各側部側に設けら
れている。

【００２０】このように前記ブロック１０の前方部分１
２の前記高さＨ３を、前記後方部分１４の前記高さＨ４
とほぼ一致させる理由は、前記ブロック１０を現場に設
置する際に、水平であるか否かを調べることができる水
準器２２を、図１及び図２に示すように、前記突部２０
の上方基準面２０ａと、前記後方部分基準面１４ｂとの
間に、掛け渡すように載せることにより、ブロック１０
が水平に置かれているか否かを、容易に確かめれるよう
にするためである。従って、「突部の上方基準面」及び
「後方部分基準面」とは、前記水準器２２を掛け渡すよ
うにして置くために使用される面を意味する。

【００２１】そして、基礎コンクリートブロック１０を
水平に設置されていないことを、作業者が水準器２２の
指示部２２ａにより確認した場合、前記ブロック１０の
底面１２ａ、１４ａと設置面Ｚ１との間に、例えば、モ
ルタル、スペーサ等の高さ調整材（図示せず）を挿入し
たり、あるいは、その設置面Ｚ１の、例えば、土、砂等
の敷き材の一部を取り除いたりする調整作業を行う。ま
た、設置面Ｚ１に対して、前記ブロック１０が傾いて高
くなっているところを、上方側から押さえ込んだりする
調整作業を行って、前記ブロック１０を設置面Ｚ１に水
平に設置してもよい。

【００２２】そして、基礎コンクリートブロック１０を
水平に設置されたことを、水準器２２の指示部２２ａに
より確認することにより、基礎コンクリートブロック１
０が、設置面Ｚ１に水平に設置されることになり、その
後、積みコンクリートブロック１６は、基礎コンクリー
トブロック１０上に載せると、傾くことなく積み上げら
れ、コンクリート構築物Ｙ１全体も、傾くことなく構築
される。

【００２３】尚、この場合、構築物Ｙ１の安全性等に支
障が生じない範囲で、わずかな傾きは許容されるので、
現場に設置される基礎コンクリートブロック１０も、そ
の範囲内で水平に設置されていればよい。従って、「コ
ンクリートブロック１０の前記高さＨ３が、前記高さＨ
４とほぼ一致している」とは、両方の高さＨ３、Ｈ４
が、許容誤差の範囲内で一致していることを意味してい
る。

【００２４】もっとも、前記突部２０は、必ずしも図示
実施例のように構成される必要はなく、前記台形以外の
形状であってもよいし、また、例えば、図６に示すよう
に、横方向に長く延びる１個の突部２０Ｘであっても良
い。また、３個以上の突部２０が、前記前方部分１２上
面の横方向に一定間隔明けて並設されてもよく、更に、
それ以外の態様からなっていてもよい。また、図示実施
例では、凸部２１の上面が、前記後方部分基準面１４ｂ
になっているが、それ以外の態様であっていてもよい。

【００２５】また、基礎コンクリートブロック１０の前
記嵌め合い凹部１８は、前記凸部２１の後方部分基準面
１４ｂから前方側に向かって下る、後方傾斜面１８ａ
と、ほぼ水平な底面１８ｂと、ほぼ垂直に立ち上がって
いる立壁面１８ｃと、前方側に向かって上る、前方傾斜
面１８ｄとが順番に連設されてなり、後に詳述するよう
に、積みコンクリートブロック１６の下部を、嵌め合わ
せて積み上げることができるようになっている。

【００２６】もっとも、嵌め合い凹部１８は、図示実施
例の凹部形状に限定されず、それ以外の形状からなって
いてもよく、例えば、嵌め合い凹部の一部に凸部を有す
る嵌め合い凹凸部からなっていてもよいし、その凸部
は、部分的に前記基準面２０ａ、１４ｂより上方に突出
していても構わない。この場合、水準器２２は、その凸
部を避けて、前記基準面２０ａと、後方部分基準面１４
ｂとの間に掛け渡すこととなる。また、嵌め合わされた
嵌め合い凹部１８と積みコンクリートブロック１６の下
部との間には、例えば、空隙（図示せず）が形成されて
いてもよく、この場合、この空隙には、下段側のブロッ
ク１６の控え部分３４と一体化するように打設される胴
込めコンクリートが侵入して養生硬化され、コンクリー
ト構築物Ｙ１を補強できるようになっていてもよい。

【００２７】そして、前記嵌め合い凹部１８の前方傾斜
面１８ｄには、例えば、上方に突き出る、上面が平状
の、左右一対の凸部２３が設けられており、これら凸部
２３を、下段側の積みコンクリートブロック１６の立壁
部３２の下端面Ｕ４側に設けられた、凸部２３に対応す
る凹部２８に嵌め込むことにより、前記ブロック１０上
に積み上げられた、下段側の積みコンクリートブロック
１６は、左右及び前後方向に位置ズレするのを防止され
る。

【００２８】また、前記基礎コンクリートブロック１０
の横方向の一方側側部及び反対側側部には、図２に明示
されるように、外方側に突き出る凸部２４、及び、ブロ
ック１０内側に凹む凹部２６がそれぞれ設けられてお
り、図３に示される如く複数のブロック１０を横方向に
並べる場合、ブロック１０の一方側側部の凸部２４は、
隣り合うブロック１０の反対側側部の、凹部２６に嵌ま
り込むようになっている。

【００２９】この場合、凸部２４は、外方側に向かって
先細りの形状となるとともに、上方側から下方側の設置
面Ｚ１に向かって幅狭となるような、前方面２４ａ、外
側面２４ｂ、及び後方面２４ｃから構成されており、ま
た、凸部２４を嵌めることができる凹部２６は、ブロッ
ク１０の内側に向かって幅狭となるとともに、上方側か
ら下方側の設置面Ｚ１に向かって幅狭となるような、前
方面２６ａ、内側面２６ｂ、及び後方面２６ｃから構成
されている。

【００３０】それにより、設置面Ｚ１に設置された状態
の、ブロック１０の反対側側部の凹部２６に対して、隣
り合うブロック１０をつり上げ、ブロック１０上方側か
ら下方側の設置面Ｚ１に向かって降ろして、一方側側部
の凸部２４を嵌め合わせると、凸部２４の前方面２４
ａ、側方面２４ｂ、及び後方面２４ｃが、凹部２６の前
方面２６ａ、内側面２６ｂ、及び後方面２６ｃのそれぞ
れと、対向しながらスムーズに密接することができ、隣
り合うこれらブロック１０は、相互間で正確に位置決め
される。

【００３１】そして、この実施例においては、ブロック
１０の後面側Ｘ１の横幅寸法Ｌ１は、前面側Ｘ２の横幅
寸法Ｌ２よりも短く設定されているため、隣り合うこれ
らブロック１０の相互間において、それら後方部分１
４、１４の間に隙間Ｌ３が形成される。従って、このＬ
３の寸法を調整設定することにより、ブロック１０を設
置現場の状況に対応させて、直線的に並べたり、あるい
はカーブを描くように並べたりすることもできる。

【００３２】尚、前記凸部２４及び凹部２６は、図示実
施例においては、ブロック１０の前方部分１２と前記後
方部分１４との間の嵌め合い凹部１８付近の一方側側部
及び反対側側部にそれぞれ設けられているが、必ずしも
このように構成する必要はなく、また、必要性が乏しい
場合、なくてもよい。

【００３３】また、積みコンクリートブロック１６は、
構築物Ｙ１を形成するための大型のものであって、図４
及び図５に示されるように、立壁部３２と、この立壁部
３２の内面側に連設される控え部３４とを備えている。
この控え部３４は、横方向に一定間隔だけ相互に離間さ
れている、２個の控え部３４からなっているとともに、
前方部分３４ａと、この前方部分３４ａより高い位置に
ある後方部分３４ｂとを備えている。そして、前記控え
部３４の前方部分３４ａは、その上方側に上方側嵌合凹
部３６を備えるとともに、その下方側に、基礎コンクリ
ートブロック１０の前記嵌め合い凹部１８と嵌り合う、
下方側嵌合凸部３８を備えている。

【００３４】そして、この下方側嵌合凸部３８が、前記
基礎コンクリートブロック１０の嵌め合い凹部１８の深
く凹んだ部分、すなわち、前記傾斜面１８ａ、底面１８
ｂと、及び立壁面１８ｃに挟まれた空間に嵌め込まれ、
更に、前記凸部２３が、前記立壁部３２の凹部２８に嵌
め込まれると、下段側の積みコンクリートブロック１６
は、前記ブロック１０上に位置ズレすることなく積み上
げられる。この場合、図５に示されるように、下段側の
前記ブロック１６の立壁部３２の下端面Ｕ４、下方側嵌
合凸部３８の前方面３８ａ、下端面３８ｂ、及び後方面
３８ｃ、更に、前記後方部分３４ｂの下端面Ｕ２は、前
記嵌め合い凹部１８の前方傾斜面１８ｄ、立壁面１８
ｃ、底面１８ｂ及び後方傾斜面１８ａ、更に、前記後方
部分基準面１４ｂにそれぞれ当接することになる。

【００３５】また、下段側の積みコンクリートブロック
１６の上方側嵌合凹部３６に、上段側の積みコンクリー
トブロック１６の下方側嵌合凸部３８を嵌め込むことが
できる。また、下段側の前記ブロック１６の立壁部３２
の上端面Ｕ３側には、凸部４０が設けられており、この
凸部４０を、上段側の前記コンクリートブロック１６の
立壁部３２の下端面Ｕ４側に設けられた凹部２８に嵌め
込むことができる。

【００３６】それにより、下段側の前記ブロック１６上
に、上段側の前記ブロック１６を積み上げると、上段側
の前記ブロック１６は、左右及び前後方向に位置ズレす
るのを防止される。

【００３７】この場合、下段側の前記ブロック１６の立
壁部３２の上端面Ｕ３、前記上方側嵌合凹部３６の、前
方面３６ａ、底面３６ｂ及び後方面３６ｃ、更に、前記
後方部分３４ｂの上端面Ｕ１は、図４に示される上段側
の前記ブロック１６の立壁部３２の下端面Ｕ４、下方側
嵌合凸部３８の、前方面３８ａ、下面３８ｂ、及び後方
面３８ｃ、更に、後方部分３４ｂの下端面Ｕ２にそれぞ
れ当接する。

【００３８】そして、下段側の積みコンクリートブロッ
ク１６は、基礎コンクリートブロック１０上に自立し
て、後方へ転倒しないようになっているとともに、下段
側の前記ブロック１６上に、積み上げられる上段側の積
みコンクリートブロック１６も自立して、後方へ転倒し
ないようになっている。

【００３９】すなわち、基礎コンクリートブロック１０
上に積み上げられる下段側の積みコンクリートブロック
１６、及び、下段側の前記ブロック１６上に積み上げら
れる上段側の前記ブロック１６は、その控え部３４の後
端部下端Ｒ１、Ｒ２を中心として、回転して後方へ倒れ
ようとする。しかし、前記嵌め合い凹部１８の立壁面１
８ｃは、下段側の前記ブロック１６の下方側嵌合凸部３
８の前方面３８ａと当接し、また、この下段側の前記ブ
ロック１６の上方側嵌合凹部３６の前方面３６ａは、上
段側の前記ブロック１６の下方側嵌合凸部３８の前方面
３８ａと当接するため、上段側及び下段側の積みコンク
リートブロック１６が、後方へ転倒するのを防止するこ
とができる。

【００４０】次に、上述したコンクリートブロック１０
を用いて形成する、例えば、所定の前面勾配を備える擁
壁等の構築物Ｙ１の構築方法について説明する。

【００４１】この構築物Ｙ１を構築する場合、最初に設
置現場Ｚ１を水平となるように整備する。その後、基礎
コンクリートブロック１０が、既述した如く水準器２２
を使って、設置面Ｚ１上に水平に置かれているか否かを
確かめ調整しながら設置作業を進め、図３及び図４に示
されるように、複数の基礎コンクリートブロック１０
を、水平となるように横方向に連続的に設置する。

【００４２】この後、設置面Ｚ１に、水平に設置された
基礎コンクリートブロック１０に、下段側の前記ブロッ
ク１６を、クレーン車等（図示せず）によって吊り上げ
ながら、横方向に順番に積み上げ、更に、これら下段側
の前記ブロック１６上に、上段側の前記ブロック１６
を、立壁部３２の前面が相互に面一となるように横方向
に順番に積み上げる。

【００４３】そして、下段側の前記ブロック１６が積み
上げられた基礎コンクリートブロック１０の後方部分１
４側に、胴込め及び裏込めコンクリート投入用の型枠
（図示せず）を設置した状態で、この型枠と設置現場の
法面Ｚ３との間に、裏込め材（図示せず）を適宜投入す
ることにより、この裏込め材は、その型枠を法面Ｚ３側
から支持することができる。その後、基礎コンクリート
ブロック１０の後方部分１４の上方側に、下段側の積み
コンクリートブロック１６の控え部分３４と一体化する
ように、胴込めコンクリート（図示せず）を現場で打設
するとともに、打設された胴込めコンクリートと型枠と
の間に、裏込めコンクリート（図示せず）を、現場で打
設して養生硬化させる。

【００４４】養生硬化した後、前記コンクリート投入用
の型枠を、上方側へ引き上げた状態で、型枠と設置現場
の法面Ｚ３との間に、上記と同様、裏込め材を適宜投入
する。そして、胴込めコンクリートと一体化された下段
側の積みコンクリートブロック１６の控え部分３４上
に、上段側の前記ブロック１６の控え部分３４と一体化
するように、胴込めコンクリートを打設するとともに、
胴込めコンクリートと型枠との間に、裏込めコンクリー
トを打設して養生硬化させる。以下この態様を繰り返す
ことにより、擁壁等の構築物Ｙ１は構築される。

【００４５】尚、前記基礎コンクリートブロック１０
を、例えば、図７に示されるように、保管のために複数
段積み上げる場合、下段側のブロック１０の突部２０の
上方基準面２０ａ及び後方部分基準面１４ｂに、上段側
のブロック１０の底面１２ａ、１４ａがそれぞれ当たる
ように積み上げるのみで、ほぼ水平に積み上げることが
できる。

【００４６】特に、前記上方基準面２０ａを備える突部
２０が、図２に示されるごとく、前記ブロック１０の前
方部分１２上面の横方向に一定間隔明けて、複数並んで
設けられている場合、下段側のブロック１０の突部２０
の上方基準面２０ａ及び後方部分基準面１４ｂに、その
底面１２ａ、１４ａがそれぞれ当たるように、上段側の
ブロック１０を積み上げるのみで、横方向にガタつくこ
とがなく積み上げることができる。

【００４７】それにより、図示実施例の場合、「突部２
０の上方基準面２０ａ」及び「後方部分基準面１４ｂ」
は、前記水準器２２を置くために使用されるとともに、
別のコンクリートブロック１０を上方側へ積み上げるた
めに使用される面であるが、他の実施例としては、例え
ば、前記水準器２２を置くためにのみ使用される面であ
ってもよい。更に、他の実施例としては、コンクリート
ブロック１０は、水準器２２を置くためにのみ使用され
る上方基準面及び後方部分基準面と、ブロック１０を複
数段積み上げるためにのみ使用される上方基準面及び後
方部分基準面とを、別個に有していても良い。

【００４８】また、図示実施例では後方部分の高さＨ２
と、後方部分基準面までの高さＨ４が異なる高さとなっ
ているが、これらの高さＨ２とＨ４が同一の高さであっ
ても構わない。

【００４９】本発明に係るコンクリートブロックは、上
記実施例の形状に限定される訳ではなく、それ以外の形
状からなっていても良く、また、基礎コンクリートブロ
ック以外のコンクリートブロックに実施しても良い。ま
た、本発明に係るコンクリートブロックを用いて形成す
るコンクリート構築物は、海、河川等の護岸、道路の側
壁面の保護等のために使用されてよく、また、これらコ
ンクリートブロックの立壁部の前面には、凹部が施され
ていても良いし、あるいは、例えば、幾何学模様等、そ
の他の装飾面になっていても良い。

【００５０】

【発明の効果】以上、詳述したところから明らかなよう
に、この発明にかかるコンクリートブロックによれば、
次の効果がある。

【００５１】請求項１に記載されたコンクリートブロッ
クによれば、コンクリートブロックの前方部分の底面か
ら、突部の上方基準面までの高さが、後方部分の底面か
ら、後方部分の上方の後方部分基準面までの高さとほぼ
一致しているので、かかるコンクリートブロックを置く
際に、水平であるか否かを調べることができる水準器
を、前記突部の上方基準面と前記後方部分基準面との間
に掛け渡すように載せることにより、そのコンクリート
ブロックが水平に置かれているか否かを、容易に確かめ
ることができる。それにより、コンクリートブロック
が、水平に置かれているか否かを確かめ調整を行いなが
ら、作業を進めることができるので、コンクリートブロ
ックを容易に水平に置くことができる。

【００５２】また、請求項２に記載されたコンクリート
ブロックによれば、上方基準面を備える突部は、コンク
リートブロックの横方向に一定間隔明けて、複数並んで
設けられているので、前記水準器を、各突部の上方基準
面と前記後方部分基準面との間に掛け渡すように載せる
ことにより、そのコンクリートブロックが水平に置かれ
ているか否かを、コンクリートブロックの横方向の複数
の位置で、容易に確かめることができる。それにより、
コンクリートブロックの横方向の複数の位置で、コンク
リートブロックが、水平に置かれているか否かを確かめ
調整を行いながら、作業を進めることができる。

【００５３】また、請求項３に記載されたコンクリート
ブロックによれば、コンクリートブロックの後面側の横
幅寸法は、前面側の横幅寸法よりも短く設定されてお
り、隣り合うこれらコンクリートブロックの相互間にお
いて、それら後方部分に隙間が形成されるようになって
いるので、この隙間の寸法を調整することにより、コン
クリートブロックの設置部の状況に対応させて、直線的
に並べたり、あるいはカーブを描くように並べたりする
こともできる。

【００５４】更に、請求項４に記載されたコンクリート
ブロックによれば、嵌め合い凹部もしくは凹凸部は、積
みコンクリートブロックの下部を嵌め合わせることがで
きる形状となっており、その積みコンクリートブロック
を積み上げることにより、基礎用のコンクリートブロッ
クとして用いることができるので、このブロックの前記
嵌め合い凹部もしくは凹凸部に、積みコンクリートブロ
ックの下部を嵌め合わせるようにして積み上げれば、水
平に調整設置された基礎コンクリートブロック上にコン
クリート構築物を構築することが容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るコンクリートブロックの一実施
例の側面図である。

【図２】おなじく平面図である。

【図３】この実施例のコンクリートブロックを、横方向
に並べて設置した状態を示す平面図である。

【図４】この実施例のコンクリートブロックに、積みコ
ンクリートブロックを複数段積み上げて構築するコンク
リート構築物の側面図である。

【図５】おなじく一部拡大側面図である。

【図６】他の実施例のコンクリートブロックの図２相当
図である。

【図７】実施例のコンクリートブロックを、複数段積み
上げた状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１０ 基礎コンクリートブロック（コンクリートブロッ
ク） １２ 前方部分 １２ａ 前方部分の
底面 １４ 後方部分 １４ａ 後方部分の
後方基準面 １６ 積みコンクリートブロック １８ 嵌め合い凹部（嵌め合い凹部もしくは凹凸部） ２０、 ２０Ｘ 突部 ２０ａ 突部の上方
基準面 Ｈ１ 前方部分の高さ Ｈ２ 後方部分の
高さ Ｈ３ 前方部分の底面から突部の上方基準面までの高さ Ｈ４ 後方部分の底面から後方部分基準面までの高さ Ｘ１ 基礎コンクリートブロックの後面側 Ｘ２ 基礎コンクリートブロックの前面側 Ｌ１ 後面側の横幅寸法 Ｌ２ 前面側の横
幅寸法 Ｌ３ 隙間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E02D 29/02 301 E02D 29/02 304 E02B 3/14 301

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前方部分の高さに比べて、後方部分の高
   さが高くなっているとともに、前記前方部分と前記後方
   部分との間に、嵌め合い凹部もしくは凹凸部が設けられ
   ているコンクリートブロックにおいて、 前記嵌め合い凹部もしくは凹凸部の前方側に、上方に突
   き出る突部を設け、 コンクリートブロックの前方部分の底面から、前記突部
   の上方基準面までの高さが、前記後方部分の底面から、
   後方部分の上方の後方部分基準面までの高さとほぼ一致
   するようになっていることを特徴とするコンクリートブ
   ロック。
2. 【請求項２】 前記突部は、前記コンクリートブロック
   の横方向に一定間隔明けて、複数並んで設けられている
   ことを特徴とする請求項１に記載のコンクリートブロッ
   ク。
3. 【請求項３】 前記コンクリートブロックの後面側の横
   幅寸法は、前面側の横幅寸法よりも短く設定されてお
   り、隣り合うこれらコンクリートブロックの相互間にお
   いて、それら後方部分間に隙間が形成されるようになっ
   ていることを特徴とする請求項１または２に記載のコン
   クリートブロック。
4. 【請求項４】 前記嵌め合い凹部もしくは凹凸部は、積
   みコンクリートブロックの下部を嵌め合わすことができ
   る形状となっており、その積みコンクリートブロックを
   積み上げることにより、基礎用のコンクリートブロック
   として用いることができることを特徴とする請求項１乃
   至３のいずれか１項に記載のコンクリートブロック。