JP3676479B2 - ねじ締め装置及びクラッチ機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、動力を用いたねじ締め装置(動力スクリュードライバ装置)に関し、特に所定の締め付け深さでねじに加わるトルクを遮断し、締め付け動作を確実に停止するねじ締め装置及びかかるねじ締め装置に好適なクラッチ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から電動スクリュードライバなどの装置には、クラッチ機構を有するものがあり、ねじに加わるトルクが所定値を超えるとクラッチが動作して、駆動軸から出力軸への動力伝達が遮断されるようになっている。しかし、ねじを取り付ける相手方の対象部材(被締結材という)が、例えば石膏ボードのように極めて軟弱な材質のときは、トルク変化が緩やかかあるいはほとんどなく、ねじに加わるトルクが所定値を超えるとクラッチが動作する方式では、所望の位置でねじの駆動を停止することができない。そこで、本体の一部に軸方向に位置を調節可能なストッパを設け、ねじ締め動作中にストッパが被締結材に当接する位置まで本体が移動すると、クラッチの遮断動作を行う電動スクリュードライバが用いられる。
【0003】
かかるスクリュードライバ、すなわち、ねじ送り距離によりクラッチを遮断状態とするものとしては、例えば、特公平3−5952号公報に記載されているものがある。この公報記載の電動スクリュードライバ装置では、駆動部の爪クラッチとねじ締め用ビットを保持する出力軸に設ける爪クラッチとの間に摺動自在な第三の爪付き中間クラッチを設け、所定の位置で駆動部の爪クラッチと爪付き中間クラッチが外れトルク伝達を遮断している。また、トルク伝達の遮断後、両者の間の付勢したばねにより中間クラッチと駆動部のクラッチ間を一定の距離に保持し、爪クラッチの再衝突による打撃音をなくすように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の従来の動力スクリュードライバ装置においては、3つのクラッチがそれぞれ爪を有しており、駆動軸が無負荷で1分間に5000回転という高速回転しているところに中間クラッチの爪を噛み合わさなければならず、クラッチの爪と爪が噛み合うまでに大きな騒音を発生するとともに衝撃力が発生していた。またクラッチの爪は軸方向断面が台形形状を有するので、衝撃力の分力が駆動軸の爪と中間クラッチの爪との間に互いに引き離す力を発生させ、これに負けないだけの大きな推力がねじ締め開始時に必要となっていた。さらに被締結材にばね性がある場合、出力軸が軸方向に上下動して、一度離れた爪が再度駆動軸の爪に衝突し大きな騒音を生じていた。
【0005】
したがって、本発明はねじ送り距離によりクラッチを遮断状態とする動力スクリュードライバ装置におけるクラッチ接続時及び/又は遮断時の衝撃的な打撃をなくし、必要な初期押し付け力(操作者が加える軸方向の力)を低減させ、操作性の良いねじ締め装置及びかかるねじ締め装置に好適なクラッチ機構を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明では、駆動軸と出力軸を接続したり遮断するクラッチ機構に爪を用いることなく、両軸と同軸に配置されたコイルスプリングがクラッチ接続時には駆動軸と出力軸の双方に係合し、コイルスプリングの締め付け力によってトルクを伝えるようにしている。
【0007】
すなわち、本発明によれば駆動装置からの動力を伝達する駆動軸部材と、ビットを保持し、軸方向に移動可能に支持された出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材間とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記出力軸部材に伝達される回転力を出力軸の所定移動量で遮断するねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の同軸上に、前記駆動軸部材と前記出力軸部材のそれぞれの円筒外面又はそれぞれの円筒内面からなるそれぞれの円筒面にまたがってクラッチスプリングがコイル状に配設されているとともに、前記出力軸部材又は前記駆動軸部材のどちらか一方の部材に前記クラッチスプリングの一部を固定し、かつ他方の部材に前記クラッチスプリングの一部であって外径が他の部分より大きい部分に、前記出力軸の移動に応じて接触して摩擦力で係止可能なテーパー状部を有する係止手段又は、前記クラッチスプリングの一部であって半径方向あるいは軸方向に突出した部分に、前記出力軸の移動に応じて係合する係止可能な手段を設けたことを特徴とするねじ締め装置が提供される。
また本発明によれば、駆動装置からの動力を伝達する駆動軸部材と、ビットを保持し、軸方向に移動可能に支持された出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材間とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記出力軸部材に伝達される回転力を出力軸の所定移動量で遮断するねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の同軸上に、前記駆動軸部材と前記出力軸部材のそれぞれの円筒外面又はそれぞれの円筒内面からなるそれぞれの円筒面にまたがってクラッチスプリングがコイル状に配設されているとともに、前記出力軸部材又は前記駆動軸部材のどちらか一方の部材に前記クラッチスプリングの一部を固定し、かつ他方の部材に前記クラッチスプリングの一部を前記出力軸の移動に応じて係止可能な手段として、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材の前記円筒面を有するスリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段を設けたことを特徴とするねじ締め装置が提供される。
【0008】
また、本発明によれば駆動装置からの動力を伝達する駆動軸部材と、ビットを保持し、軸方向に移動可能に支持された出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材間とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記出力軸部材に伝達される回転力を出力軸の所定移動量で遮断するねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の同軸上に、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の円筒外面又は円筒内面からなる円筒面にまたがってクラッチスプリングがコイル状に配設されているとともに、前記出力軸部材又は前記駆動軸部材のどちらか一方の部材に前記クラッチスプリングの一部を固定し、かつ他方の部材に前記クラッチスプリングの一部を前記出力軸の移動に応じて係止可能な手段として、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材のスリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させるために、前記出力軸の移動に伴い軸方向に移動し、かつ前記ボールに接触して半径方向に移動させる傘状部を有する手段を設けたことを特徴とするねじ締め装置が提供される。
さらに、本発明によれば駆動装置と、前記駆動装置により回転せしめられる駆動軸部材と、ビットを装着可能で、回転可能であり、ねじ込み深さに応じて軸方向に移動可能な出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材との間の回転トルクの伝達及び遮断を行うクラッチ手段と、前記駆動装置、前記駆動軸部材、前記出力軸部材、前記圧縮ばね及び前記クラッチ手段を収納するハウジングとを有する動力ねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材が同軸で、それぞれスリーブを有し、前記クラッチ手段が前記駆動軸部材と前記出力軸部材の双方のスリーブの外周に係合可能なコイルスプリングと、前記コイルスプリングの一端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のいずれか一方の部材に固定する手段と、前記ハウジングに推力が加えられ、前記駆動軸部材が前記圧縮ばねの力に抗して前記出力軸部材に接近したときに前記コイルスプリングの他端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材の他方の部材に係止する係止手段とを有し、前記係止手段は、前記他方の部材に前記クラッチスプリングの一部であって外径が他の部分より大きい部分に、前記出力軸の移動に応じて接触して摩擦力で係止可能なテーパー状部を有するか又は、前記クラッチスプリングの一部であって半径方向あるいは軸方向に突出した部分に、前記出力軸の移動に応じて係合するものであることを特徴とするねじ締め装置が提供される。
さらに、本発明によれば駆動装置と、前記駆動装置により回転せしめられる駆動軸部材と、ビットを装着可能で、回転可能であり、ねじ込み深さに応じて軸方向に移動可能な出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材との間の回転トルクの伝達及び遮断を行うクラッチ手段と、前記駆動装置、前記駆動軸部材、前記出力軸部材、前記圧縮ばね及び前記クラッチ手段を収納するハウジングとを有する動力ねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材が同軸で、それぞれスリーブを有し、前記クラッチ手段が前記駆動軸部材と前記出力軸部材の双方のスリーブの外周に係合可能なコイルスプリングと、前記コイルスプリングの一端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のいずれか一方の部材に固定する手段と、前記ハウジングに推力が加えられ、前記駆動軸部材が前記圧縮ばねの力に抗して前記出力軸部材に接近したときに前記コイルスプリングの他端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材の他方の部材に係止する係止手段とを有し、前記係止手段は、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材の前記円筒面を有するスリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段を有するものであることを特徴とするねじ締め装置が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば駆動装置により回転せしめられる第1スリーブを有する駆動軸部材と、前記スリーブと同軸で回転可能であり、かつ軸方向に移動可能な第2スリーブを有する出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記第1スリーブと第2スリーブの外周同士又は内周同士にまたがって配され、その一端が前記第1スリーブ又は第2スリーブの一方に固定されたコイルスプリングと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の間の距離が所定値より少なくなると前記コイルスプリングの他端を前記第1スリーブ又は第2スリーブの他方に一時的に係止するものであり、前記コイルスプリングの一部であって外径が他の部分より大きい部分に、前記出力軸部材の移動に応じて接触して摩擦力で係止可能なテーパー状部を有する係止手段又は、前記クラッチスプリングの一部であって半径方向あるいは軸方向に突出した部分に、前記出力軸部材の移動に応じて係合する手段とを有するクラッチ機構が提供される。
さらに本発明によれば、駆動装置により回転せしめられる第1スリーブを有する駆動軸部材と、前記スリーブと同軸で回転可能であり、かつ軸方向に移動可能な第2スリーブを有する出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記第1スリーブと第2スリーブの外周同士又は内周同士にまたがって配され、その一端が前記第1スリーブ又は第2スリーブの一方に固定されたコイルスプリングと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の間の距離が所定値より少なくなると前記コイルスプリングの他端を前記第1スリーブ又は第2スリーブの他方に一時的に係止するものであり、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材の前記スリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段とを有するクラッチ機構が提供される。
【0010】
【作用】
上記のように構成された本発明のねじ締め装置は、クラッチ接続時及び/又は遮断時に衝撃音が無くなり、かつ初期押し付け力が小さくすむため、操作性がよく、常に一定のねじ締め深さ(ねじ送り距離)が得られるように動作する。
【0011】
【発明の実施の形態】
<第1実施例>
以下、本発明の実施の形態を好ましい実施例によって説明する。図1は本発明のねじ締め装置の第1実施例を示す断面図である。ねじ締め装置1のハウジング2の先端にストッパスリーブ3がねじ込みで取り付けられている。ストッパスリーブ3を回転させることにより、ハウジング2との相対距離を調節でき、よって後述するようにねじ送り距離(深さ)が調節可能となる。ハウジング2内では図示省略のモータの出力軸に取り付けらけられたピニオン4が駆動軸部材5の外周に設けられたギヤ6と噛み合っている。
【0012】
駆動軸部材5のギヤ6より、図中下方、すなわち出力軸部材7側の部分には環状のシュー8が設けられている。このシュー8はその内壁面8aがテーパー状に傾斜している。具体的には、この傾斜した内壁面8aは駆動軸部材5の中心軸と同軸の円錐の外周面の一部に一致する。角度θは上記中心軸に対する内壁面8aのテーパー状傾斜を示すものである。シュー8の内側には出力軸部材7側に伸長するスリーブ(円筒)S1があり、これら、駆動軸部材5、ギヤ6、シュー8、スリーブS1は一体の部材で作られている。スリーブS1は駆動軸円筒外面10と駆動軸円筒内面11により画定されている。駆動軸円筒内面11により画定された内部空間内にはローラ形ワンウェイクラッチ12が収納・固定されている。駆動軸円筒外面10の出力軸部材7側の端部近傍は先端にいく程、外径が小さくなるようなテーパー部T1を有している。
【0013】
出力軸部材7の先端部14はビット15が着脱自在に取り付けられるよう構成されている。出力軸部材7は出力軸円筒外面19と、出力軸円筒内面20及びこれに連続する内面により画定される環状部分あるいはスリーブS3を有する。出力軸部材7の駆動軸部材5に面する部位(図中上方)の外周、すなわち出力軸円筒外面19には図2に示されるように後述するクラッチスプリング16の一端16bを常時係止するための軸方向に伸長する溝18が設けられている。出力軸円筒内面20には駆動軸部材5に面する側からビット15の方向に向って内径が小さくなる傾斜面、すなわちテーパー部T2が設けられ、その傾斜角はスリーブS1のテーパー部T1の傾斜角と一致している。
【0014】
出力軸部材7のスリーブS3の内側には駆動軸部材5方向に伸長する案内軸21があり、案内軸21の外周にスプライン22が設けられている。ワンウェイクラッチ12の内周には中空円筒状のスライダー23が取り付けられている。スライダー23は案内軸21上のスプライン22に結合するための案内スプライン17を有し、かつ出力軸部材7から圧縮ばね24により駆動軸部材5側に(図中上方に)押圧付勢されている。クラッチスプリング16は全体がコイルスプリング状であり、これを構成するばね素線の断面は円形状である。
【0015】
クラッチスプリング16は密着巻きで、その素線巻き方向は左巻きで、駆動軸部材5の正転(右回転、すなわち時計方向回転)によって巻き込まれる方向(ばねがきつく巻き付く方向)にある。なお、図2に示すようにクラッチスプリング16の一端(図1及び図2では下方端部)16bは軸方向に伸長している。クラッチスプリング16の下方端部16bは出力軸部材7の溝18に挿入されて固定・係止されるとともにクラッチスプリング16の下方部分は出力軸円筒外面19に適当な締め代を持って取り付けられる。一方、クラッチスプリング16の図中上方部分は、駆動軸部材5の駆動軸円筒外面10とは隙間を持って配されるとともにその端部は図3に示すように一部外径を大きく成形される。なお、図2に示されるようにクラッチスプリング16の下方端部16bは軸方向に伸長しているが、上方端部16aは図3にも示すように軸方向に伸長する部分を有していない。クラッチスプリング16の上方端部16aは図3の平面図に示すように、外径が大きくなっている。
【0016】
以上のように構成された第1実施例のねじ締め装置1の動作を説明する。ビット15の先端にねじ25を取り付け、図示省略のモータを回転させる。モータからの出力はピニオン4からギヤ6に伝達され、駆動軸部材5が右回転する。この時点ではクラッチスプリング16は駆動軸円筒外面10とは隙間を有しているので、トルクは出力軸部材7には伝達されていない。この状態からねじ締め装置1の操作者が推力を加えて被締結材にねじ25を押し付けると、出力軸部材7は相対的に駆動軸部材5方向に圧縮ばね24に抗して移動し、図4の状態になる。この時点では、ストッパスリーブ3の先端3aは被締結材には接触していない。
【0017】
このときクラッチスプリング16の上方端部16aはシュー8の内壁面8aに当接する。この当接により、クラッチスプリング16の上方端部16aはシュー8の内壁面8aとの摩擦で、駆動軸部材5とともに回転しようとし、またシュー8の内壁面8aのテーパー形状における角度θの分力により駆動軸円筒外面10に押し付けられ、シュー8の内壁面8aと駆動軸円筒外面10に挟まれる。よって、クラッチスプリング16の上方部分の内径がわずかに小さくなり、クラッチスプリング16の上方部分は駆動軸円筒外面10に巻き付き、駆動軸部材5とともに回転を開始し、よって出力軸部材7にトルクを伝達する。このように負荷伝達時には駆動軸部材5のテーパー部T1と出力軸部材7のテーパー部T2は同軸で重なり合っている。
【0018】
このとき駆動軸円筒外面10と出力軸円筒外面19の境目にクラッチスプリング16がくい込もうとするが、図4に示すように駆動軸円筒外面10と出力軸円筒内面20のテーパ部T1、T2同士が重なっているため、くい込みは起きず塑性変形しない。出力軸部材7が回転してねじ25の締め付けと送りが行われ、所定のねじ深さに達し、ストッパスリーブ3が被締結材に突き当たると同時に圧縮ばね24によりわずかに出力軸部材7が図中下方へ押し出され、クラッチスプリング16は推力から開放されるとともに駆動軸円筒外面10から離れ、ねじ締めが完了する。再度クラッチスプリング16がシュー8の内壁面8aに接触したとしても摺り音しか発せず静音化を図ることができる。
【0019】
第1実施例のシュー8の内壁面8aの傾斜角θは30度であり、この角度が小さいと初期推力が少なくて済むが、ねじ締め完了時にシュー8の内壁面8aからクラッチスプリング16の上方端部16aが外れにくくなり、角度θを大きくすると外れやすくなるものの大きな推力が必要となる。傾斜角θの好適な範囲は5度から70度である。
【0020】
一方逆転時(左回転、すなわち反時計方向回転時)はワンウェイクラッチ12の働きによりモータが回転すると、ただちに駆動軸部材5の回転力はスライダー23、案内軸21を介し出力軸部材7に伝達され、ねじ緩め作業が行われる。このため、従来の爪クラッチを用いる場合、爪と爪を噛み合せるためねじ緩め作業のたびにストッパスリーブ3を上げて、ビット15の先端と締め付けたねじの頭を噛ませていたが、その必要がなく作業効率を上げることができる。クラッチスプリング16の素線の断面形状は角形、楕円形等であってもよいし、シュー8と接触する端部形状は外形を大きくしてあるが、特にその形状は駆動軸円筒外面10への押し付け力が小さくできるならばどのような形でもよい。スプラインの代わりにキー、ボールスプライン等であってもよい。
【0021】
<第2実施例>
図5は本発明のねじ締め装置の第2実施例を示す断面図ある。第1実施例と異なる点のみを説明する。第2実施例では第1実施例のワンウェイクラッチ12の代わりに逆転シュー26、逆転クラッチスプリング27を設けている。すなわち、駆動軸部材5と出力軸部材7は共に同軸二重構造となっていて、第1実施例同様のクラッチスプリング16の他に逆転クラッチスプリング27が同軸に設けられている。したがって、第2実施例の駆動軸部材及び出力軸部材は第1実施例のものと形状に共通点があるとともに差異もあるが、便宜上同じ参照番号を用いている。なお、以下の各実施例についても同様である。
【0022】
第2実施例の駆動軸部材5のギヤ6の下方に第1実施例同様の正転用のシュー8及び駆動軸円筒外面10がある。駆動軸円筒外面10の半径方向内側には、これと同軸の駆動軸円筒内面11があり、駆動軸円筒外面10と駆動軸円筒内面11によって囲まれた部分は環状壁、すなわち外側のスリーブS1を構成している。駆動軸円筒内面11の図中上方に半径方向内側に逆転用の逆転シュー26が設けられ、さらに逆転時に逆転クラッチスプリング27を巻き付かせるための、逆転用駆動軸円筒外面(内側のスリーブS2の外面)28が設けられている。一方、出力軸部材7には正転用のクラッチスプリング16の下方端部16bを常時係止する溝18が設けられているとともに、出力軸円筒外面19と出力軸円筒内面20が第1実施例同様に設けられている。さらに、出力軸部材7には出力軸円筒内面20側に逆転クラッチスプリング27を逆転時に巻き付かせる逆転用出力軸円筒外面(内側のスリーブS4の外面)29があり、また逆転クラッチスプリング27の下方端部27bを常時係止する溝30が設けられている。
【0023】
逆転クラッチスプリング27の巻き方向は正転用のクラッチスプリング16とは逆、すなわち右巻である。クラッチスプリング27の上方端部27aは図6に示すように、半径外方に突出している。このように構成されたねじ締め装置は正転時、ビット15にねじ25を取り付けてモータを回転させ、被締結材に押し付けることにより第1実施例同様クラッチスプリング16は、シュー8により駆動軸円筒外面10に巻き付き回転力を出力軸部材7に伝達する。このとき逆転クラッチスプリング27も逆転シュー26の面に当たり、シュー26のテーパー形状部の傾斜角度βの分力により、逆転用駆動軸円筒外面28側に押し付けられるが、図6に示すように素線の巻き方向が右で回転が右回転のため、逆転クラッチスプリング27の内径が拡がる方向へ力を受ける。よって駆動軸部材5の正転時には逆転クラッチスプリング27はトルクを伝達せず、ねじ締めに影響はない。
【0024】
一方、駆動軸部材5の逆転時は逆転クラッチスプリング27の上方端部27aは逆転用駆動軸円筒外面28に巻き付くが、同様の理由で正転用のクラッチスプリング16とシュー8との間ではトルク伝達がなされず、よって逆転時のねじ緩め作業に影響はない。傾斜角βの好適な範囲も傾斜角θ同様に5度から70度の範囲にある。逆転クラッチスプリング27の素線の断面形状も角形、楕円形等の形状でもよい。
【0025】
<第3実施例>
図7は本発明のねじ締め装置の第3実施例を示す断面図である。駆動軸部材5のギヤ6より図中下方には出力軸部材7方向へ伸長するスリーブS1が設けられ、スリーブS1の外周、すなわち駆動軸円筒外面31は出力軸部材7方向に外径が小さくなる緩やかなテーパ部T1を有する。スリーブS1の内面、すなわち駆動軸円筒内面32にはローラ形ワンウェイクラッチ12が取り付けられている。駆動軸円筒外面31の図中上端部にはクラッチスプリング33の上方の軸方向に伸長する端部33aを常時係止する溝18が設けられている。出力軸部材7はフランジ34を有し、フランジ34の駆動軸部材5側の面上に突起35が設けられている。出力軸部材7は駆動軸部材5方向へ伸びる案内軸36を有し、案内軸36の外周にスプライン22が設けられている。
【0026】
動力伝達部材37は案内軸36とワンウェイクラッチ12の間に収納されるスリーブS5と、その外方にスリーブS5と同軸のスリーブS3を有している。スリーブS5はその内周面が案内軸36とスプライン結合され、外周面がワンウェイクラッチ12の中心孔に係合している。動力伝達部材37のスリーブS3の外径は図8に示すように、駆動軸部材5のスリーブS1の外径よりわずかに小さく、スリーブS3の内側の面には駆動軸部材5のスリーブS1に設けられたテーパー部T1の傾斜と同様の傾斜のテーパー部T2が設けられている。
【0027】
動力伝達部材37はばね定数の低い圧縮ばね38により常に駆動軸部材5方向に付勢され、駆動軸円筒外面31の有するテーパ部T1と動力伝達部材37のテーパ部T2が常に同軸で重なり合っている。駆動軸円筒外面31と動力伝達部材37のスリーブS3の外面39は図8に示すように径方向にH、軸方向に長さLの段差がつくよう設計されている。軸方向の長さLとしては、クラッチスプリング33の素線の軸方向寸法Jより大きいことが好ましく、径方向の深さHとしては、クラッチスプリング33が塑性変形しない範囲とし、さらにクラッチスプリング33の素線の板厚Kの3分の1より大きいことが好ましい。クラッチスプリング33の素線は断面が角形形状で密着で左巻に形成されている。クラッチスプリング33の上方端部は溝18に係止され、またクラッチスプリング33の上方部分は駆動軸円筒外面31に対しては、きついはめ合いとなっている。一方、スリーブS3の外径とスリーブS1の外径の差によってクラッチスプリング33の下方部分はスリーブS3の外面39に対して隙間を有している。またクラッチスプリング33の下方の端部33bは、半径外方向に伸長していて、ハウジング2に設けたストッパ40と近接して配されている。ストッパ40は環状の板状部材で、その内径は出力軸部材7の中心軸からクラッチスプリング33の下方の端部33bの半径外方端までの距離より短く設定されている。また駆動軸部材5と出力軸部材7を非押圧時に一定の距離に保つ圧縮ばね24が案内軸36と駆動軸部材5の間に配されている。
【0028】
以上のように構成されたねじ締め装置において、ビット15にねじ25を取り付け、図示しないモータが回転することにより駆動軸部材5が回転する。ねじ締め装置のハウジング2を被締結材に押し付けると、出力軸部材7は圧縮ばね24に抗して図7の上方に相対的に移動し、突起35とクラッチスプリング33の下方端部33bが係合し、スリーブS3の外面39を締め付け、駆動軸部材5からの回転力をスリーブS5から案内軸36を介してねじ25に伝える。ねじ25が所定の位置に到達し、ストッパスリーブ3が被締結材に突き当たると圧縮ばね24により出力軸部材7は図の下方向に押されるが、突起35とクラッチスプリング33の間に摩擦力が働いており、両者は係合したまま図の下方向に移動しようとする。
【0029】
このときクラッチスプリング33は駆動軸円筒外面31と動力伝達部材37のスリーブS3の外面39との間で外径の差による段差ができているため、この間で浮いた状態となっている。このためクラッチスプリング33は軸方向に弱い引張ばねの特性を有し、突起35と共に下方向に移動するとき、クラッチスプリング33の下方端部33bがストッパ40に当接する。この当接によって、クラッチスプリング33の下方端部33bは、それ以上下方へ移動することを阻止されるので、出力軸部材7との係合が解かれ、出力軸部材7だけが図の下方へ移動することとなる。クラッチスプリング33はスリーブS3への巻き付きが外れ、ねじ締めが完了するとともに、伸びていたクラッチスプリング33は元の長さに戻る。かかる動作によりクラッチ接続時の静音化が図られるとともに、より一定のねじ締め精度が得られる。突起35とクラッチスプリング33の摩擦力を小さくするため突起35をテーパ形状などの形にしてもよいし、ボールを埋めこんでもよい。
【0030】
<第4実施例>
図9は本発明のねじ締め装置の第4実施例を示す断面図である。駆動軸部材5は同軸の2つのスリーブS1、S2を有し、この2つのスリーブS1、S2の間に画定される環状の駆動軸溝42がある。この駆動軸溝42の内部には、正転と逆転の両方の回転駆動に兼用される正逆クラッチスプリング41の上方部分が収納されている。駆動軸溝42は外側のスリーブS2の内面すなわち駆動軸第1円筒内面44と、内側のスリーブS1の外面すなわち駆動軸第2円筒外面43により画定され、両スリーブS1、S2の出力軸部材7に対する端面部はそれぞれテーパー部T1、T2となっている。駆動軸溝42の底面(図中上方)には係止溝45が穿設され、正逆クラッチスプリング41の上方端部41aが常時係止される。駆動軸溝42の半径方向の幅は正逆クラッチスプリング41の素線の太さよりわずかに大きい。正逆クラッチスプリング41の素線断面は角型であり、全体形状は後述の図17に示すものと同様である。
【0031】
一方、出力軸部材7にも駆動軸溝42に相対する環状の出力軸溝53が設けられ、正逆クラッチスプリング41の下方部分を同様にわずかな隙間をもって収納している。すなわち出力軸溝53は同軸の2つのスリーブS3、S4を有し、この2つのスリーブS3、S4の間、具体的にはスリーブS4の内面すなわち出力軸部材第1円筒内面47と、スリーブS3の外面すなわち出力軸部材第2円筒外面46により画定される。両スリーブS3、S4の駆動軸部材5に対する端面部はそれぞれテーパー部T3、T4となっている。出力軸溝53の底面にはひっかけ溝48が穿設されている。
【0032】
出力軸部材7の中心にある案内軸36は駆動軸部材5の中心孔60に軸方向に摺動可能に係合し、駆動軸部材5と出力軸部材7間には案内軸36の周囲に圧縮ばね24が配される。以上のように構成された第4実施例のねじ締め装置はねじ締め作業とねじ緩め作業を一本の正逆クラッチスプリング41で行うものである。ねじ締め作業時、駆動軸部材5及び正逆クラッチスプリング41が一体に回転し、ねじ(図示省略)を被締結材に押し付けることにより駆動軸部材5のテーパー部T1、T2がそれぞれ出力軸部材7のテーパー部T3、T4に重なり合う。また、正逆クラッチスプリング41の下方端部41bがひっかけ溝48に係止され、よって、正逆クラッチスプリング41は各円筒内面43、46に巻き付き、出力軸部材7にトルクを伝達する。
【0033】
ねじ25が下方へ送られ、先の各実施例同様所定の位置に達すると、出力軸部材7は圧縮ばね24により図の下方へ押し出される。このとき正逆クラッチスプリング41は軸方向へひっぱりばねとしても作用し、ひっかけ溝48との摩擦力が働き、出力軸部材7側へわずかに引っ張られ、伸びながらひっかけ溝48との係合が解かれる。その後、正逆クラッチスプリング41は元の長さに戻り、係合溝48との距離を保つので、クラッチの接続時と遮断時に静音化が図れるとともにクラッチ機構を安価でコンパクトに形成することができる。正逆クラッチスプリング41の素線の断面形状は円形、楕円形状であってもよい。正逆クラッチスプリング41の端部とひっかけ溝48の係合を外れやすくするため、ひっかけ溝48をテーパ形状にしたり、あるいはボールを埋め込んだりしてもよい。
【0034】
次に第4実施例における逆転駆動、すなわちねじ緩め動作について説明する。駆動軸部材5と正逆クラッチスプリング41が逆方向(左方向あるいは反時計方向)に回転しながら出力軸部材7方向に移動し、ひっかけ溝48に正逆クラッチスプリング41の下方端部がひっかかる。よって、正逆クラッチスプリング41はねじ締め時とは逆方向の力、すなわち巻きが緩められる方向の力を受けて、外径が大きくなり、駆動軸部材5のスリーブS2の内周(駆動軸第1円筒内面44)と、スリーブS4の内周(出力軸部材第1円筒内面47)に押圧(圧接)され、回転力を伝える。
【0035】
ねじ25が緩められ、出力軸部材7が所定の位置まで上昇すると、正逆クラッチスプリング41に引張り力がかかり、正逆クラッチスプリング41の下方端部41bがひっかけ溝48からはずれ、クラッチが遮断される。よって、クラッチ遮断時の静音化が図られる。
【0036】
<第5実施例>
図10は本発明のねじ締め装置の第5実施例を示す断面図である。第5実施例は図9の第4実施例の変形例で、駆動軸部材5は第4実施例と同様であり、出力軸部材7のスリーブS3の代わりに出力軸部材7に対して軸方向に摺動可能な摺動スリーブ49を設けている。すなわち出力軸部材7にスプライン51を設け摺動スリーブ49の摺動スプライン52と噛み合わせるようにしている。摺動スリーブ49の外周上方部には駆動軸部材5のテーパー部T1と重なり合うテーパー部T3が設けられている。スリーブ49は、その底部49Bと出力軸部材7の間で、かつ案内軸36の周囲に配される圧縮ばね24により駆動軸部材5方向に付勢されている。この付勢力により、スリーブ49のテーパー部T3が駆動軸部材5のテーパー部T1に当接する。
【0037】
以上のように構成された第5実施例のねじ締め装置の動作について説明する。ねじ締め時には駆動軸部材5と正逆クラッチスプリング41が正方向(右方向あるいは時計方向)に回転しながら出力軸部材7方向に移動し、ひっかけ溝48に正逆クラッチスプリング41の下方端部がひっかかる。よって、正逆クラッチスプリング41は駆動軸部材5のスリーブS1の外周(駆動軸第2円筒外面43)と、スリーブ49の外周50に巻き付き、回転力を伝える。スリーブ49は出力軸部材7とスプライン51、52で結合されているので、スリーブ49の回転と共に出力軸部材7が回転する。
【0038】
出力軸部材7が所定の位置まで被締結材方向に移動すると、第4実施例同様に、正逆クラッチスプリング41に引張り力がかかる。出力軸部材7はスプライン51、52により図面下方へ移動しやすく、ひっかけ溝48から正逆クラッチスプリング41の下端部が外れやすくなっている。スプラインの代わりにキー、ボールスプラインななどを用いてもよい。また図8で説明した第3実施例の段差を摺動スリーブ49と駆動軸第2円筒外面43間に設け、より確実に静音化を図ることも可能である。第5実施例における逆転駆動、すなわちねじ緩め動作も上記第4実施例と同様であり、クラッチ遮断時の静音化が図られる。
【0039】
<第6実施例>
次に本発明のねじ締め装置の第6乃至第9実施例について説明する。これらの実施例は上記第1乃至第5実施例と異なり、コイル状のクラッチスプリングの一端を係止させ、かつその係止を解除するのに、スリーブに設けられた半径方向に移動可能なボールを用いている。以下各実施例について説明する。
【0040】
図11は本発明のねじ締め装置の第6実施例を示す断面図で、図12は部分拡大断面図である。第6実施例は図1の第1実施例の変形例ともいうべきもので、同一番号は同一あるいは対応する素子、部材を示している。第1実施例ではシュー8によりクラッチスプリング16の上端を摩擦で係止していたが、第6実施例では駆動軸部材5が具備するスチールボール(単にボールという)62を用いている。駆動軸部材5はスリーブS1を有し、その内部空間にはワンウェイクラッチ12が設けられ、出力軸部材7もスリーブS3を有し両スリーブS1、S3は図1同様のテーパー部T1、T2を有してしる。なお、第6実施例で用いるクラッチスプリング64は図17に示すように、左巻きで、上方端部64aと下方端部64bが軸方向に伸長している。なお、以下の実施例でも図17のクラッチスプリング64が用いられる。出力軸部材7の外方にはハウジング2に配設されたメタル部材70がある。
【0041】
図11において、ストッパスリーブ3はハウジング2の頭部(図中下方部分)に螺合していて、その回転によりハウジング2に対して軸方向に移動可能である。
ストッパスリーブ3の図中上方には回転不能であり、かつ軸方向に移動可能なロック部材54が設けられ、ロック部材54は圧縮ばね58によりストッパスリーブ3の方向へ付勢されている。ストッパスリーブ3とロック部材54の当接部には両者に対して互いに噛み合う凹凸状の爪部56が設けられている。したがって、ストッパスリーブ3は爪部56と噛み合っているときは、回転不能であり、その軸方向位置が固定される。なお、ねじの締めこみ深さ(送り距離)を変えるためには、操作者がロック部材54を圧縮ばね58に抗して図中上方移動させ、ストッパスリーブ3との噛み合いを外した状態で、ストッパスリーブ3を回転させる。
【0042】
ボール62はスリーブS1に設けられた半径方向の貫通孔66内にあり、半径方向に移動可能であり、その一部がスリーブS1の外周から外部に突出しない第1位置と外部に突出する第2位置の間で移動可能である。スリーブS1の内部には、傘状部材68が軸方向に移動可能に設けられている。傘状部材68の出力軸部材7側の面は出力軸部材7に当接可能である。出力軸部材7のスリーブS3には第1実施例同様クラッチスプリング64の下方端部64bを常時係止する溝18が設けられている。
【0043】
図13は第6実施例の動作を示す4つの断面図である。ねじ締め時には駆動軸部材5が出力軸部材7に対して相対的に移動すると、傘状部材68の傾斜面であるテーパー部T5によりボール62が図13の(a)に示すように半径外方向へ押し出される。このねじ締め開始時点での出力軸部材7の所定部分ととメタル部材70の駆動軸部材5側の端部との間の距離をMとする。ボール62がスリーブS1の外周から外方に突出すると、クラッチスプリング64の上方端部64aがボール62に係止する。その後は第1実施例と同様にクラッチスプリング64がスリーブS1、S3に巻き付いてトルク伝達が行われる。スリーブS3の外径がスリーブS1の外径よりわずかに大きいので、クラッチスプリング64のほぼ中央部には非巻付部が形成される。クラッチスプリング64の非巻付部の軸方向長さをPとする。ねじ締めが進み、図13の(b)に示すようにストッパスリーブ3が被締結材72に到達すると、ストッパスリーブ3が被締結材72に当接する。このとき、ねじ25の頭部は被締結材72の表面から距離Mだけ浮いている状態である。
【0044】
ねじ締め装置に加えられた推力に対する被締結材72からの反力はストッパスリーブ3で受け止められ、その後、図13の(c)に示すように出力軸部材7は更に被締結材72の方向に移動し、メタル部材70の端面まで移動する。この時点で、ねじ25の頭部は被締結材72の表面と面一となる。図13の(b)の状態から同図の(c)の状態になると、出力軸部材7が被締結材72の方向に距離Mだけ移動するので、クラッチスプリング64の非巻付部の軸方向長さはP+Mとなる。ねじ締め付けが完了すると、図13の(d)に示すように圧縮ばね74により傘状部材68が被締結材72の方向へ押され、ボール62はクラッチスプリング64の上方端部64aによって半径内方向の力を受けて、スリーブS1の外周より内部に入り込む。この瞬間にクラッチスプリング64の上方端部64aは、ボール62による係止を解かれて、クラッチスプリング64はスリーブS1、S3への巻き付きから開放される。よってクラッチスプリング64は自分自身の復元力により、ねじ締め開始前の状態(図11、図12参照)に戻る。なお、この状態ではクラッチスプリング64の上方端部64aとボール62との間には完全な隙間84ができている。
【0045】
ボール62は、駆動軸部材5内に収納されているため、駆動軸部材5が回転しているときはボール62の自重に関連した遠心力がボール62にかかる。したがって、駆動軸部材5が回転しているときは、基本的には、遠心力によりボール62はその一部がスリーブS1の外周から外部に突出した状態となる。この状態、すなわち、駆動軸部材5の回転による遠心力でボール62の一部がスリーブS1の外周から外部に突出した状態において、出力軸部材7を被締結材に押圧しないときは、ボール62とクラッチスプリング64の上方端部64aとの間には、間隙84があるため、クラッチスプリング64が駆動軸部材5に巻き付かず、回転の伝達は行われない。出力軸部材7を被締結材に押圧すると、出力軸部材7と駆動軸部材5とは相対的に、この間隙の軸方向の長さより長い距離を移動し、ボール62とクラッチスプリング64の上方端部64aとが係合し、クラッチスプリング64が駆動軸部材5に巻き付いて、回転の伝達が行われる。
【0046】
回転の伝達が行われている状態における、ボール62とクラッチスプリング64の上方端部64aとの係合は、ボール62の軸平行方向中心線よりもクラッチスプリング64の上方端部64aの中心が半径方向外側(スリーブS1の外周より外部側)に位置する。これにより、ボール62とクラッチスプリング64の上方端部64aとの係合部分において、ボール62はクラッチスプリング64の上方端部64aよって半径内方向の分力を受けることとなる。なお、駆動軸部材5の回転数が高い場合、ボール62に作用する遠心力は相当大きくなるが、ボール62の表面は曲面であるため、クラッチ遮断時にボール62がわずかに半径内方向に移動しようとする変位により、クラッチスプリング64の上方端部64aはこの曲面上を滑って移動し、係合が解かれることとなる。
【0047】
図12に示した第6実施例では、図1の第1実施例と異なってワンウェイクラッチ12の内周が直接出力軸部材7の外周に軸方向に移動可能なように入れ子式に係合している。一方図1の場合は、ワンウェイクラッチ12の内周により画定される内部空間に中空円筒状のスライダー23が設けられ、スライダー23の案内スプライン17を介して出力軸部材7の案内軸21のスプラインと結合している。図1の構成は図12の構成に較べて構造は複雑であるが、摺動性がよく、摩擦が少ないので装置の長寿命化に貢献する。さらに、軸方向のすべりがよいので、操作者がハウジング2に加えるべき押圧力が少なくて済むという特長もある。よって、図12の第6実施例にも図1同様のスライダーを用いることは好ましい態様である。
【0048】
<第7実施例>
次に本発明の第7実施例について図14の断面図とともに説明する。第7実施例は図9の第4実施例の変形例ともいえる。すなわち、クラッチスプリング64は第4実施例同様、正転と逆転の駆動に用いられ、よって、第6実施例で用いたワンウェイクラッチ12は不要である。ワンウェイクラッチ12が不要なため、図11、12の第6実施例で用いられている傘状部材68はなく、圧縮ばね74が直接出力軸部材7の上端に当接している。また、傘状部材68のテーパー部T5の代りとして、出力軸部材7の上端円周部にテーパー部T6が設けられ、ボール62に当接可能となっている。第7実施例における第4実施例あるいは第6実施例と同一参照符号の素子は同様な構成であり、その説明は省略する。
【0049】
<第8実施例>
次に本発明の第8実施例について図15の断面図とともに説明する。第8実施例は図5の第2実施例の変形例ともいえる。すなわち、正転用クラッチスプリング64と逆転用クラッチスプリング78が同軸に設けられている。正転用クラッチスプリング64は第6実施例同様、スリーブS1、S3への巻き付きにより正転時のみトルク伝達に用いられる。一方、逆転用クラッチスプリング78は図18に示すように右巻きの密着コイルスプリングで、逆転時にスリーブS2、S4への巻き付きにより逆転時のみトルク伝達に用いられる。逆転用クラッチスプリング78の下方端部78bは出力軸部材のスリーブS4の溝30に常時係止されている。また上方端部78aは半径方向に移動可能なボール76が外方に突出すると係止される。
【0050】
出力軸部材7にはボール76を半径外方へ押出すためのテーパー部T7がテーパー部T6と同軸に設けられている。なお、図5の第2実施例では正転用クラッチスプリング16が逆転用クラッチスプリング27の外側に設けられているが、図15の第8実施例では逆となっている。第8実施例における第2実施例あるいは第6実施例と同一参照符号の素子は同様な構成であり、その説明は省略する。
【0051】
<第9実施例>
次に本発明の第9実施例について図16の断面図とともに説明する。第9実施例は図15の第8実施例の変形例ともいえる。すなわち、正転用クラッチスプリング64と逆転用クラッチスプリング78が同軸に設けられている点は第8実施例と同様であるが、逆転用クラッチスプリング78の係止部分が第8実施例とは逆である。すなわち、逆転用クラッチスプリング78の上方端部78aは、駆動軸部材5に設けられた溝80に常時係止され、下方端部78bを係止するボール82が出力軸部材7のスリーブS4の半径方向に移動可能に設けられている。
【0052】
スリーブS2、S4の形状、寸法は第8実施例と逆の関係にある。スリーブS4の被締結材側には駆動軸部材5に連結され、ボール82に当接可能なテーパー部T8を有するスリーブS6がある。したがって、駆動軸部材5が出力軸部材7方向に移動するとテーパー部T8がボール82を半径外方向へ押し出すこととなる。第9実施例における第8実施例と同一参照符号の素子は同様な構成であり、その説明は省略する。第8実施例と第9実施例からわかるように、各クラッチスプリング64、78は駆動軸部材5側で固定係止してもよいし、出力軸部材7側で固定係止してもよいことがわかる。
【0053】
上記第6実施例乃至第9実施例では、クラッチスプリングの一端の一時的係合のために、ボールを用いているが、この部材は必ずしも球状でなくてもよい。すなわち、例えばスリーブの半径外方へ突出する部分が曲面を有する、全体としては棒状の部材であって、その長手方向がスリーブの半径方向に移動可能に配されたものであってもよい。上記各実施例ではコイル状のクラッチスプリングをスリーブの外周に巻き付かせたり、あるいは緩めてその半径外方にあるスリーブの内周への圧接によって、トルクの伝達を行っているが、外周に巻き付ける態様では必ずしも中空円筒状のスリーブを用いる必要はなく、中実のシリンダを用いてもよい。よって、内周への圧接による場合は除いて、スリーブとは中実のシリンダである円柱状部材をも含むものとする。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、ねじ締め装置のクラッチ機構に駆動軸部材と出力軸部材とを連結するコイルスプリングを用い、クラッチ接続時には駆動軸部材と出力軸部材に巻き付くことによりトルクを伝達するようにしているので、クラッチ接続時の衝撃的な打撃がなくなり低騒音化及び初期押し付け力の低減を図ることができる。また、クラッチ遮断時には、コイルスプリングによる巻き付けを解除するようにしているので、クラッチ遮断時においても衝撃的な打撃がなくなり低騒音化を図ることができる。さらに、ねじ緩め時、すなわち逆転時におけるトルク伝達においても、コイルスプリングの巻き付き、あるいは緩みによる外方の部材への圧接を用いてトルクを伝達することにより正転時と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のねじ締め装置の第1実施例を示す一部省略断面図である。
【図2】第1実施例に用いられるクラッチスプリングを示す正面図である。
【図3】第1実施例に用いられるクラッチスプリングの上端を示す平面図である。
【図4】第1実施例のねじ締め時の動作状態を示す部分断面図である。
【図5】本発明のねじ締め装置の第2実施例を示す部分断面図である。
【図6】第2実施例に用いられる逆転クラッチスプリングの上端を示す平面図である。
【図7】本発明のねじ締め装置の第3実施例を示す部分断面図である。
【図8】第3実施例を一部を示す部分拡大断面図である。
【図9】本発明のねじ締め装置の第4実施例を示す部分断面図である。
【図10】本発明のねじ締め装置の第5実施例を示す部分断面図である。
【図11】本発明のねじ締め装置の第6実施例を示す一部省略断面図である。
【図12】第6実施例を示す部分拡大断面図である。
【図13】第6実施例の動作を説明する模式的一部省略断面図である。
【図14】本発明のねじ締め装置の第7実施例を示す部分断面図である。
【図15】本発明のねじ締め装置の第8実施例を示す部分断面図である。
【図16】本発明のねじ締め装置の第9実施例を示す部分断面図である。
【図17】本発明の第6乃至第9実施例に用いられる左巻きクラッチスプリングの正面図である。
【図18】本発明の第8及び第9実施例に用いられる右巻きクラッチスプリングの正面図である。
【符号の説明】
1 ねじ締め装置
2 ハウジング
3 ストッパスリーブ
4 ピニオン
5 駆動軸部材
6 ギヤ
7 出力軸部材
8 シュー
12 ワンウェイクラッチ
15 ビット
16、27、33、41、64、78 クラッチスプリング(コイルスプリング)
18、80 溝
21、36 案内軸
24、38、58、74 圧縮ばね
25 ねじ
26 逆転シュー
34 フランジ
35 突起
37 動力伝達部材
40 ストッパ
49 摺動スリーブ
54 ロック部材
62、76、82 ボール
68 傘状部材
70 メタル部材
72 被締結材
84 間隙
S1、S2、S3、S4、S5、S6 スリーブ
T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8 テーパー部

Claims (29)

  1. 駆動装置からの動力を伝達する駆動軸部材と、ビットを保持し、軸方向に移動可能に支持された出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材間とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記出力軸部材に伝達される回転力を出力軸の所定移動量で遮断するねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の同軸上に、前記駆動軸部材と前記出力軸部材のそれぞれの円筒外面又はそれぞれの円筒内面からなるそれぞれの円筒面にまたがってクラッチスプリングがコイル状に配設されているとともに、前記出力軸部材又は前記駆動軸部材のどちらか一方の部材に前記クラッチスプリングの一部を固定し、かつ他方の部材に前記クラッチスプリングの一部であって外径が他の部分より大きい部分に、前記出力軸の移動に応じて接触して摩擦力で係止可能なテーパー状部を有する係止手段又は、前記クラッチスプリングの一部であって半径方向あるいは軸方向に突出した部分に、前記出力軸の移動に応じて係合する係止可能な手段を設けたことを特徴とするねじ締め装置。
  2. 駆動装置からの動力を伝達する駆動軸部材と、ビットを保持し、軸方向に移動可能に支持された出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材間とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記出力軸部材に伝達される回転力を出力軸の所定移動量で遮断するねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の同軸上に、前記駆動軸部材と前記出力軸部材のそれぞれの円筒外面又はそれぞれの円筒内面からなるそれぞれの円筒面にまたがってクラッチスプリングがコイル状に配設されているとともに、前記出力軸部材又は前記駆動軸部材のどちらか一方の部材に前記クラッチスプリングの一部を固定し、かつ他方の部材に前記クラッチスプリングの一部を前記出力軸の移動に応じて係止可能な手段として、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材の前記円筒面を有するスリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段を設けたことを特徴とするねじ締め装置。
  3. 少なくとも負荷伝達時、前記駆動軸部材の一部が前記出力軸の一部に同軸で重なりあうことを特徴とする請求項1又は2記載のねじ締め装置。
  4. 前記駆動軸部材又は前記出力軸部材の各々の前記円筒面のうち少なくともどちらか1つの前記円筒外面が前記クラッチスプリングの内径より小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のねじ締め装置。
  5. 前記テーパー状部として、円錐の外周面の一部の形状を有し、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材の前記他方の部材内面に設けられたシューを設けたことを特徴とする請求項記載のねじ締め装置。
  6. 前記シューの内面が前記駆動軸部材の中心軸に対して5度から70度の範囲内の角度で傾斜していることを特徴とする請求項記載のねじ締め装置。
  7. 前記ビットの逆転作業時に作動するよう、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材にワンウエイクラッチを装着し、かつ他方の部材の軸方向延長部は前記ワンウエイクラッチの半径方向内部にあって、前記ワンウエイクラッチ内周部に支持されることを特徴とする請求項記載のねじ締め装置。
  8. 前記ワンウエイクラッチ内周部と前記軸方向延長部はスライダーを介して連結されており、前記軸方向延長部及び前記スライダーは回転方向に一体回転し、かつ軸方向には摺動自在に結合されることを特徴とする請求項記載のねじ締め装置。
  9. 前記ビットの逆転作業時に作動する前記クラッチスプリングと巻き方向が逆の逆転クラッチスプリングを有するとともに、前記駆動軸部材及び前記出力軸部材の同一軸上に、前記クラッチスプリングが配設された前記円筒面とは別に、前記円筒面と半径が異なる逆転用円筒面をそれぞれ有し、前記逆転用円筒面にまたがって前記逆転クラッチスプリングをコイル状に配設したことを特徴とする請求項乃至のいずれか1つに記載のねじ締め装置。
  10. 前記クラッチスプリングを介して前記出力軸部材に回転出力を伝達するため前記駆動軸部材あるいは前記出力軸部材のどちらか一方の部材の軸方向延長部と一体回転し、軸方向に摺動自在な円筒形状の動力伝達部材を設けるとともに、前記動力伝達部材の円筒外面と、前記駆動軸部材あるいは前記出力軸部材の他方の部材の前記円筒面に同軸でまたがってコイル状に前記クラッチスプリングが配設されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載のねじ締め装置。
  11. 前記出力軸部材に前記係止可能な手段を設けた場合において、前記駆動軸部材、前記出力軸部材、前記圧縮ばね及び前記クラッチスプリングを収納するハウジングに前記係止可能な手段と前記クラッチスプリングの係合を外すためのストッパを設けたことを特徴とする請求項10記載のねじ締め装置。
  12. 前記動力伝達部材は、その軸方向端部に作用するよう設けられた圧縮ばねにより常に前記駆動軸部材あるいは前記出力軸部材側に付勢されることを特徴とする請求項10又は1記載のねじ締め装置。
  13. 前記ビットの逆転作業時に作動するように前記駆動軸部材あるいは前記出力軸部材の前記軸方向延長部の設けられていない方の部材の前記円筒にワンウエイクラッチを収納固定し、前記ワンウエイクラッチの内周部に前記動力伝達部材の一部が支持されることを特徴とする請求項1記載のねじ締め装置。
  14. 前記動力伝達部材の前記円筒面と前記駆動軸部材又は前記出力軸部材の前記他方の部材の前記円筒面の外径が異なり同軸で重なった状態で、両円筒面の接合部に段差ができることを特徴とする請求項1記載のねじ締め装置。
  15. 前記駆動軸部材は、前記円筒面の周囲に同軸に伸長する円筒内面を有し、両円筒面間に前記コイル状のクラッチスプリングの一方の端部をわずかな間隙を介して受け入れる環状溝を画定し、前記出力軸部材は、前記円筒面の周囲に同軸に伸する円筒内面を有し、両円筒面間に前記コイル状のクラッチスプリングの他方の端部をわずかな間隙を介して受け入れる環状溝を画定し、前記駆動軸部材が一方向に回転するとき前記コイル状クラッチスプリングは半径方向に収縮し、前記駆動軸部材と出力軸部材の前記円筒面に巻付き、回転力の前記伝達を行い、前記駆動軸部材が反対方向に回転するとき前記コイル状クラッチスプリングは半径方向に膨張し、前記駆動軸部材と出力軸部材の前記円筒内面に圧接され、回転力の前記伝達を行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載のねじ締め装置。
  16. 前記出力軸部材又は前記駆動軸部材のどちらか一方の部材の軸は軸方向延長部と、前記軸方向延長部とともに回転可能で、かつ前記軸方向延長部に対して軸方向に摺動可能なスリーブとを有し、前記スリーブは前記出力軸部材又は前記駆動軸部材の前記他方の部材の前記円筒面を形成する外周面を有していることを特徴とする請求項1記載のねじ締め装置。
  17. 駆動装置からの動力を伝達する駆動軸部材と、ビットを保持し、軸方向に移動可能に支持された出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材間とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記出力軸部材に伝達される回転力を出力軸の所定移動量で遮断するねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の同軸上に、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の円筒外面又は円筒内面からなる円筒面にまたがってクラッチスプリングがコイル状に配設されているとともに、前記出力軸部材又は前記駆動軸部材のどちらか一方の部材に前記クラッチスプリングの一部を固定し、かつ他方の部材に前記クラッチスプリングの一部を前記出力軸の移動に応じて係止可能な手段として、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材のスリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させるために、前記出力軸の移動に伴い軸方向に移動し、かつ前記ボールに接触して半径方向に移動させる傘状部を有する手段を設けたことを特徴とするねじ締め装置。
  18. 前記駆動軸部材ら前記出力軸部材への回転の伝達が行われていないときは、前記クラッチスプリングの一部で前記ボールに係合可能な部分が、前記ボールとの間に間隙を有するよう配されていることを特徴とする請求項1記載のねじ締め装置。
  19. 駆動装置と、前記駆動装置により回転せしめられる駆動軸部材と、ビットを装着可能で、回転可能であり、ねじ込み深さに応じて軸方向に移動可能な出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材との間の回転トルクの伝達及び遮断を行うクラッチ手段と、前記駆動装置、前記駆動軸部材、前記出力軸部材、前記圧縮ばね及び前記クラッチ手段を収納するハウジングとを有する動力ねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材が同軸で、それぞれスリーブを有し、前記クラッチ手段が前記駆動軸部材と前記出力軸部材の双方のスリーブの外周に係合可能なコイルスプリングと、前記コイルスプリングの一端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のいずれか一方の部材に固定する手段と、前記ハウジングに推力が加えられ、前記駆動軸部材が前記圧縮ばねの力に抗して前記出力軸部材に接近したときに前記コイルスプリングの他端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材の他方の部材に係止する係止手段とを有し、前記係止手段は、前記他方の部材に前記クラッチスプリングの一部であって外径が他の部分より大きい部分に、前記出力軸の移動に応じて接触して摩擦力で係止可能なテーパー状部を有するか又は、前記クラッチスプリングの一部であって半径方向あるいは軸方向に突出した部分に、前記出力軸の移動に応じて係合するものであることを特徴とするねじ締め装置。
  20. 駆動装置と、前記駆動装置により回転せしめられる駆動軸部材と、ビットを装着可能で、回転可能であり、ねじ込み深さに応じて軸方向に移動可能な出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材との間の回転トルクの伝達及び遮断を行うクラッチ手段と、前記駆動装置、前記駆動軸部材、前記出力軸部材、前記圧縮ばね及び前記クラッチ手段を収納するハウジングとを有する動力ねじ締め装置において、前記駆動軸部材と前記出力軸部材が同軸で、それぞれスリーブを有し、前記クラッチ手段が前記駆動軸部材と前記出力軸部材の双方のスリーブの外周に係合可能なコイルスプリングと、前記コイルスプリングの一端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のいずれか一方の部材に固定する手段と、前記ハウジングに推力が加えられ、前記駆動軸部材が前記圧縮ばねの力に抗して前記出力軸部材に接近したときに前記コイルスプリングの他端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材の他方の部材に係止する係止手段とを有し、前記係止手段は、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材の前記円筒面を有するスリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段を有するものであることを特徴とするねじ締め装置。
  21. 前記駆動軸部材と前記出力軸部材が前記スリーブと同軸でその外側に配設された第2のスリーブをそれぞれ有し、単一の前記コイルスプリングが前記駆動軸部材の正転時には前記駆動軸部材と前記出力軸部材の各々の前記スリーブの外周に巻き付き、逆転時には前記駆動軸部材と前記出力軸部材の各々の前記第2のスリーブの内周に圧接されるよう構成されている請求項19又は20記載のねじ締め装置。
  22. 前記駆動軸部材と前記出力軸部材がそれぞれの前記スリーブに同軸な第2のスリーブをそれぞれ有し、前記クラッチ手段が前記駆動軸部材と前記出力軸部材の双方の前記第2のスリーブの外周に係合可能で前記コイルスプリングとは逆巻の第2のコイルスプリングと、前記第2のコイルスプリングの一端を前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のいずれか一方の部材に常時係止する手段と、前記ハウジングに推力が加えられ、前記駆動軸部材が前記出力軸部材に接近したときに前記第2のコイルスプリングの他端を前記駆動軸部材と前記出力軸部材の前記他方の部材に係止する手段とを更に有することを特徴とする請求項19又は20記載のねじ締め装置。
  23. 前記係止手段が、前記他方の部材の前記スリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段とを有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1つに記載のねじ締め装置。
  24. 前記駆動軸部材から前記出力軸部材への回転の伝達が行われていないときは、前記クラッチスプリングの前記他端が、前記ボールとの間に間隙を有するよう配されていることを特徴とする請求項2記載のねじ締め装置。
  25. 前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段が前記出力軸部材の前記駆動軸部材方向への移動によって前記ボールを押し出すためのテーパー部を有する押出し部材である請求項2又は2に記載のねじ締め装置。
  26. 前記ハウジングに対して軸方向に移動可能で被締結材に接触可能なストッパ手段を有し、前記ストッパ手段が前記被締結材に当接すると前記圧縮ばねの力で前記押出し部材を前記駆動軸部材から遠ざける方向に移動せしめるよう構成されている請求項2記載のねじ締め装置。
  27. 駆動装置により回転せしめられる第1スリーブを有する駆動軸部材と、前記スリーブと同軸で回転可能であり、かつ軸方向に移動可能な第2スリーブを有する出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記第1スリーブと第2スリーブの外周同士又は内周同士にまたがって配され、その一端が前記第1スリーブ又は第2スリーブの一方に固定されたコイルスプリングと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の間の距離が所定値より少なくなると前記コイルスプリングの他端を前記第1スリーブ又は第2スリーブの他方に一時的に係止するものであり、前記コイルスプリングの一部であって外径が他の部分より大きい部分に、前記出力軸部材の移動に応じて接触して摩擦力で係止可能なテーパー状部を有する係止手段又は、前記クラッチスプリングの一部であって半径方向あるいは軸方向に突出した部分に、前記出力軸部材の移動に応じて係合する手段とを有するクラッチ機構。
  28. 駆動装置により回転せしめられる第1スリーブを有する駆動軸部材と、前記スリーブと同軸で回転可能であり、かつ軸方向に移動可能な第2スリーブを有する出力軸部材と、前記出力軸部材と前記駆動軸部材とを互いに離隔させるよう作用する圧縮ばねと、前記第1スリーブと第2スリーブの外周同士又は内周同士にまたがって配され、その一端が前記第1スリーブ又は第2スリーブの一方に固定されたコイルスプリングと、前記駆動軸部材と前記出力軸部材の間の距離が所定値より少なくなると前記コイルスプリングの他端を前記第1スリーブ又は第2スリーブの他方に一時的に係止するものであり、前記駆動軸部材又は前記出力軸部材のどちらか一方の部材の前記スリーブに設けられた半径方向の貫通孔内に半径方向に移動可能で、かつ前記スリーブの外面から外方へ突出可能なボールと、前記出力軸の移動に応じて前記ボールを前記スリーブの外面から外方へ突出させる手段とを有するクラッチ機構。
  29. 前記出力軸部材が前記駆動軸部材から離隔する方向に所定距離移動したとき、前記係止手段による前記コイルスプリングの他端の係止を解除する手段であって、前記出力軸部材が前記駆動軸部材から離隔する方向に付勢する手段を更に有する請求項27又は28記載のクラッチ機構。
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