JP2009101499A - ねじ締め機 - Google Patents

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  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)

Abstract

【課題】低衝撃で低騒音、かつ高寿命のねじ締め機の提供。
【解決手段】正転方向・反転方向に回転駆動される出力軸部31を備えるモータ3と、回転駆動されてネジを締め付けるビット10を装着可能な先端工具装着部5と、を備え、先端工具装着部5とモータ3との間には第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44とワンウェイクラッチ45とが介在し、第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44は、モータ3の少なくとも正転方向の回転運動を先端工具装着部5に伝達する伝達位置と、モータ3の回転運動を先端工具装着部5に伝達不能な遮断位置との間で移動可能に構成され、ワンウェイクラッチ45は、第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44とは別系統でモータ3の反転方向の回転運動のみを先端工具装着部5に伝達可能に構成されたねじ締め機を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明はねじ締め機に関する。
従来、天井や壁に石膏ボード等の板材をネジ止めにより施工しているが、このネジ止めを行う工具としてねじ締め機がある。このねじ締め機は、特許文献1に示されるように、モータとモータにより駆動されてネジを締める先端工具との間に、順に第一のクラッチエレメントと中間クラッチと第二のクラッチエレメントとを有している。この特許文献1に示されるねじ締め機では、モータ側に位置する第一クラッチエレメント上のカム山が中間クラッチ上のモータ側カム山と係合して中間クラッチを回転させ、更に中間クラッチの係合メンバが第二クラッチエレメントを回転させている。
特公平3−5952号公報
しかし、従来のねじ締め機ではモータを全速状態でクラッチをかみ合わせる為、中間クラッチを用い段階的に動力を伝達する構成であってもクラッチ間の何れかの段階において大きく速度差のある衝突が発生し、騒音が発生して操作性を悪化させると共にカム山を摩耗させて寿命の低下を招いていた。
そこで本発明は、低衝撃で低騒音、かつ高寿命のねじ締め機を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に本発明は、正転方向・反転方向に回転駆動される出力軸部を備える駆動部と、回転駆動されてネジを締め付ける先端工具を装着可能な先端工具装着部と、を備え、該先端工具装着部と該駆動部との間には第一クラッチと第二クラッチとが介在し、該第一クラッチは、該駆動部の少なくとも該正転方向の回転運動を該先端工具装着部に伝達する伝達位置と、該駆動部の回転運動を該先端工具装着部に伝達不能な遮断位置との間で移動可能に構成され、該第二クラッチは、該第一クラッチとは別系統で該駆動部の該反転方向の回転運動のみを該先端工具装着部に伝達可能に構成されたねじ締め機を提供する。
このような構成によると、ネジを緩める反転方向の駆動力を少なくとも第二クラッチにより先端工具装着部に伝達することができる。よって第一クラッチを伝達位置に配置せずともネジを緩めることができる。
上記構成のねじ締め機において、該第一クラッチは、該伝達位置において該駆動部の該正転方向・該反転方向の回転運動を該先端工具装着部に伝達可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によると、伝達位置においては、第一クラッチと第二クラッチとの二つの伝達経路を用いて、ネジを反転方向に回転させることができる。
また該第一クラッチは多板摩擦クラッチから構成されていることが好ましい。
このような構成によると、多板摩擦クラッチの摩擦力により、駆動部の回転力を先端工具に伝達することができる。この時に、板の摩擦のみにより回転力を伝達するため、駆動部と先端工具とが非伝達状態から伝達状態へと変わる際の衝撃の発生を抑制することができる。
また該多板摩擦クラッチは、該駆動部と一体回転し板状の複数の駆動部材と該先端工具装着部と一体回転し板状の複数の従動部材とを有し、該複数の駆動部材と該複数の従動部材とは、該先端工具装着部側から該駆動部側へと向かって該従動部材を該先端工具装着部側として交互に並んで配置されていることが好ましい。
このような構成によると、先端工具装着部若しくは先端工具装着部と一体に回転する部材と、最も先端工具装着部側に位置する従動部材とが当接し、また駆動部の出力軸部と一体に回転する部材と、最も駆動部側に位置する駆動部材とが当接する構造を採ることができる。よって最も先端工具装着部側に位置する従動部材と駆動部側に位置する駆動部材とはそれぞれ隣り合う駆動部材及び従動部材との間でのみ摩擦が発生し、最も先端工具装着部側に位置する従動部材と先端工具装着部側の部材との間、及び最も駆動部側に位置する駆動部材と駆動部側の部材との間のそれぞれで摩擦が発生することが抑制される。
また該出力軸部により回転駆動されて減速するギア機構と、該先端工具装着部に接続されて該先端工具と同軸回転するシャフトとを、更に備え、該多板摩擦クラッチは該ギア機構と該シャフトとの間に設けられていることが好ましい。
このような構成によると、シャフト及び先端工具とギア機構とを同軸上に配置することができ、ねじ締め機をコンパクトな構成にすることができる。
また該先端工具装着部は該シャフトに嵌合して接続されていることが好ましい。
このような構成によると、先端工具装着部から駆動部へと向かう方向の長さを短くすることができる。
また該出力軸部の該正転方向の駆動力は、該多板摩擦クラッチを介してのみ該先端工具に伝達されると共に、該多板摩擦クラッチの該回転軸方向の移動に応じて該伝達の効率が変化することが好ましい。
このような構成によると、ねじ締め機の被加工部材への押付力に応じて、多板摩擦クラッチの伝達効率を変化させてクラッチの効き具合を変化させることができる。よってネジのねじ込み固さに応じて好適な回転を維持することができる。
また該多板摩擦クラッチは、該先端工具の回転軸と同軸に配置されていることが好ましい。このような構成によると、ねじ締め機を更にコンパクトにすることができる。
また該回転軸方向において該多板摩擦クラッチの該先端工具側若しくは該駆動部側、或いはその両方側には、該多板摩擦クラッチを該回転軸方向の少なくとも該先端工具側若しくは該駆動部側の一方に付勢する複数のスプリングが配置され、該複数のスプリングのうちの少なくとも一つのスプリングは所定の伸縮量以上の変位が規制され、該複数のスプリングは該所定の伸縮量の前後で合成バネ定数が変化することが好ましい。
このような構成によると、ねじ締め機を被加工部材へ押し付ける際に、ねじ締め機を被加工部材へと押し付ける付勢力と、多板摩擦クラッチの効き具合との関係を、変化させることができる。具体的には、ねじ締め機を被加工部材に押し付けた当初からスプリングが所定の伸縮量移動するまでの間はバネ定数を小さくして容易に多板摩擦クラッチが動作するようにし、所定の伸縮量以上移動した後はバネ定数を大きくして、多板摩擦クラッチがロックし難くすることができる。またスプリングは、先端工具側に有るときに多板摩擦クラッチを駆動部側へと付勢し、駆動部側に有るときに多板摩擦クラッチを先端工具側へと付勢する。両方へ有るときは、それぞれ反対側に向けて付勢している。
また該複数のスプリングは、該多板摩擦クラッチの該一方若しくは該両方に直列に配置されていてもよく、該多板摩擦クラッチの該一方に並列に配置されていてもよい。
スプリングが直列に配置されている場合は、ねじ締め機の回転軸軸方向と直交する方向の幅を小さくすることができる。また並列に配置されている場合は、ねじ締め機の回転軸軸方向の長さを小さくすることができる。
本発明のねじ締め機によれば、低衝撃で低騒音、かつ高寿命とすることができる。
以下、本発明の第一の実施の形態によるねじ締め機について図1乃至図6に基づき説明する。図1に示されるねじ締め機1は、ハウジング2と、モータ3と、クラッチ部4と、先端工具装着部5とから主に構成され、先端工具装着部5に先端工具であるビット10が装着されている。このねじ締め機1において、ビット10が取り付けられる位置を、前側とし、後述のハンドル21を後側として前後方向を規定する。
ハウジング2は、ねじ締め機1の外殻を成しており、その後端部分に把持部となるハンドル21を有している。ハンドル21にはトリガ21Aとスイッチ21Dが設けられており、トリガ21Aによりモータ3の駆動制御を行い、スイッチ21Dによりモータ3の回転方向(正転・反転)の制御を行っている。またハンドル21には図示せぬ外部電源に接続される電源コード21Bが設けられるとともに、ハンドル21内部には電源コード21Bからトリガ21Aを介してモータ3に接続する回路部21Cが設けられている。
モータ3はハウジング2内においてハンドル21の前側に設けられており、前後方向を軸方向とする出力軸部である回転軸部31を有している。回転軸部31は、ベアリング31Aでハウジング2に支持されており、その先端にピニオン32を有している。また回転軸部31の基端部分には同軸回転するファン33が固定されている。回転軸部31及び回転軸部31により回転駆動される部材において、ネジを締め込む方向の回転を正転と定義し、ネジを外す方向の回転を反転と定義する。
クラッチ部4は、図2に示されるように、クラッチドラム41とスプラインシャフト42と、駆動部材である10枚の第一クラッチプレート43と、従動部材である10枚の第二クラッチプレート44とワンウェイクラッチ45とから主に構成されている。クラッチドラム41は、前側に略筒状に構成されて第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44を収容する空間が形成された収容部41Dを備えており、この筒状の収容部41Dの軸方向を回転軸方向として、第一軸受となるベアリング47Aと軸受47Bとを介してハウジング2に回転可能に支承されている。図1及び図3に示されるように、クラッチドラム41において、収容部41Dの後端に位置する部分の外周にはピニオン32と噛合するギア41Aが設けられており、収容部41Dの内部には、図2及び図3に示されるように、軸方向に延びる複数の凸部41Bが周方向に渡って均等配置されている。収容部41Dの内部において、図1に示されるように凸部41Bの後端部分となる位置には、壁部41Cが規定されており、壁部41Cにワンウェイクラッチ45が装着されている。またクラッチドラム41において、ベアリング47Aにより支持され、ワンウェイクラッチ45の後側になる箇所には、図3に示されるように孔41aが形成され、孔41a内にはバネ46(図1、図2)が配置されている。
スプラインシャフト42は、先端工具装着部5に同軸回転可能に固定されており、図1に示されるようにクラッチドラム41の筒部分の内部においてワンウェイクラッチ45により支持され、その端部がバネ46と当接して前側へと付勢されている。またスプラインシャフト42の表面において、クラッチドラム41内に曝される箇所には、図2および図4に示されるように、軸方向に延びる複数の凸部42Aが周方向に渡って均等配置されている。
第一クラッチプレート43は、図5に示されるように、外周にクラッチドラム41の凸部41Bと噛合する凹部43aが形成され内部にスプラインシャフト42が貫通する孔43bが形成され、第二クラッチプレート44と接触する駆動部側接触面を備えて板状に構成されている。図1に示されるように、凹部43aと凸部41Bとが噛合するように第一クラッチプレート43がクラッチドラム41の内部に整列して装着された状態で、第一クラッチプレート43はクラッチドラム41に対して軸方向への移動は許容されるが周方向への回転は制限される。また10枚の第一クラッチプレート43のうち、最後端に位置する第一クラッチプレート43は壁部41Cに当接可能である。
第二クラッチプレート44は、図6に示されるように、直径が凸部41Bと干渉しない程度の円板状で、第一クラッチプレート43と接触する従動部側接触面を備えて構成され、中央部分にスプラインシャフト42が貫通し凸部42Aと噛合する凹部44aが形成された孔44bが穿孔されている。凹部44aと凸部42Aとが噛合するように第二クラッチプレート44がスプラインシャフト42に装着された状態で、スプラインシャフト42に対して第二クラッチプレート44は、軸方向への移動は許容されるが周方向への回転は制限される。また10枚の第二クラッチプレート44のうち、最前端に位置する第二クラッチプレート44は、先端工具装着部5の後端部である後述の当接部51Aに当接可能である。
第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44とは、壁部41C位置から前側に向かって交互に並んで配置され第一クラッチを構成している。第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44とはそれぞれ軸方向への移動が許容されているため、最も前側に位置する第二クラッチプレート44が先端工具装着部5の後端部に当接して後方へと付勢されることにより第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44も後方側(伝達位置)へと移動し、隣り合う第一クラッチプレート43の駆動部側接触面と第二クラッチプレート44の従動部側接触面との間に摩擦が発生する。この発生した摩擦により、クラッチドラム41とスプラインシャフト42とが第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44とを介して共回りして同軸に一体回転する。最も前側に位置する第二クラッチプレート44が後方へと付勢されない状態(遮断位置)では、隣り合う第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間の摩擦は発生しないか発生しても僅かである為、クラッチドラム41とスプラインシャフト42との第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44とを介しての一体回転は抑制される。またそれぞれ10枚の第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間の摩擦力により動力の伝達を行っている為、それぞれ一枚当たりに掛かる摩擦力等の応力が低減され、クラッチ部4の高寿命化を図っている。尚、最も後端の第一クラッチプレート43は第一クラッチプレート43と共回りする壁部41Cに当接し、最も前端の第二クラッチプレート44は第二クラッチプレート44と共回りする当接部51Aと当接する為、最も後端の第一クラッチプレート43と壁部41Cとの間、及び最も前端の第二クラッチプレート44と先端工具装着部5との間に摩擦が発生することは無い。これにより、壁部41Cを備えるクラッチドラム41及び先端工具装着部5の耐久性を増している。
尚、スプラインシャフト42は、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44とが第一軸受であるベアリング47Aと第二軸受である後述の軸受52との間に位置するようにベアリング47Aと後述の軸受52とに間接的に支持されている。よって摩擦が発生した際にスプラインシャフト42に負担がかかったとしても、スプラインシャフト42の両端が支持されている為、ひびりやぶれの発生は抑制される。
ワンウェイクラッチ45は、壁部41Cに装着されてスプラインシャフト42の後端部を支持しており、クラッチドラム41が反転した際に第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44ととは別系統でスプラインシャフト42に動力を伝達し、クラッチドラム41が正転した際にはスプラインシャフト42に動力伝達不能に構成されている。第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44とにおいては、摩擦力が発生しない限り、クラッチドラム41からスプラインシャフト42に正転方向、反転方向の駆動力は伝達されない。しかしワンウェイクラッチ45は、反転方向においては常にクラッチドラム41からスプラインシャフト42へと駆動力を伝達している為、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間に摩擦が発生しない場合においても先端工具装着部5を反転させることが可能になる。
クラッチドラム41と先端工具装着部5とを比較すると、回転軸と直交する方向の径がスプラインシャフト42に駆動力を伝達する駆動側であるクラッチドラム41が大径に構成されている。よってハウジング2において、先端工具装着部5側を細くすることができ、より狭い箇所における図示せぬネジの施工を可能にしている。また第一クラッチプレート43と一体回転するクラッチドラム41の慣性質量を大きくすることができる為、伝達位置において第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間に摩擦力が発生した際に、クラッチドラム41及びクラッチドラム41に接続されるモータ3の回転数の低下を抑制することができる。
また図1に示されるように、クラッチドラム41の第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44を収容する収容部41Dの開口部分には、第一シール部材48が配置されている。第一シール部材48は、収容部41Dと後述のソケット51との間の隙間を埋め、収容部41D内部を密閉した状態に保っている。ソケット51は後述の軸受52で回転可能に支持されている為、ソケット51周辺には回転抵抗を減らす為のグリスが充填されている。このグリスが収容部41D内に侵入して第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44に付着すると摩擦係数が変化し、第一クラッチプレート43及び第二クラッチプレート44を介してクラッチドラム41からスプラインシャフト42に好適に駆動力を伝達することができなくなる。よって第一シール部材48を配して収容部41D内にグリスが入ることを防止することにより、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間の摩擦係数の変化を防止し、安定した作業を行うことが可能になる。
先端工具装着部5は、主にソケット51から構成されている。ソケット51は、最前端にビット10が装着される装着孔51aが形成され、最後端でスプラインシャフト42に嵌合して接続されており、ハウジング2に設けられた第二軸受である軸受52で周方向に回転可能及び軸方向に移動可能に支持されている。ソケット51がスプラインシャフト42に勘合して装着されていることにより、先端工具装着部5およびスプラインシャフト42に係る全長を短くすることができ、これによりねじ締め機1の全長を短くすることが可能になる。
ソケット51の最後端のスプラインシャフト42との接続箇所近傍位置には、最前側の第二クラッチプレート44と当接可能な当接部51Aが規定されている。この先端工具装着部5が後退することにより当接部51Aが第二クラッチプレート44に当接して第二クラッチプレート44を第一クラッチプレート43に押し付ける。
またソケット51の軸受52前側位置にはソケット51周辺に充填されているグリスの外部への流出を防止する第二シール部材53が設けられており、ソケット51及び第二シール部材53の周囲にはカバー54が設けられている。カバー54は着脱容易に構成されており、その先端部分からビット10の先端が僅かに露出するように構成されている。
先端工具装着部5は、先端に装着されたビット10が図示せぬネジに当接する反力によって後退することにより、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間に摩擦を発生させている。しかし図示せぬネジが締め込まれて図示せぬ被加工部材に埋没した状態ではそれ以上ネジを締める必要がない為、カバー54の先端部分が図示せぬ被加工部材と当接してビット10へのネジからの反力を打ち消し、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間の摩擦を低減してビット10への動力の伝達を遮断している。
上記構成のねじ締め機1を使用してネジを施工する際には、ビット10を図示せぬネジの頭に合わせた状態で、ビット10を図示せぬネジに押し付ける。このビット10を押し付けた反力により、ソケット51がクラッチドラム41側へと移動し、当接部51Aが第二クラッチプレート44に当接し、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間に摩擦を発生させる。これによりクラッチドラム41とスプラインシャフト42とを共回り可能にし、モータ3からの正転方向の出力をソケット51及びビット10に伝達することができる。この時に、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間の摩擦が徐々に大きくなる為、クラッチドラム41とスプラインシャフト42とが共回りし始める際に発生する衝撃を大幅に抑制し、騒音を低減することが可能となっている。またビット10への押し付け強さに応じて摩擦力が変化する為、使用者が押し付ける力を加減することにより、ビット10の回転を容易に制御することができる。
ネジの施工が終わり、ビット10をネジから放した状態では、バネ46の付勢力により、スプラインシャフト42及びソケット51は前側へと移動する。これにより当接部51Aと第二クラッチプレート44との当接が解消し、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間の摩擦が小さくなり、モータ3からの出力がソケット51に伝達されることが抑制される。
ネジを打ち間違えた際に図示せぬ被加工部材から図示せぬネジを外すときは、スイッチ21Dを反転側にして、モータ3を反転させる。この時に、図示せぬネジの頭が図示せぬ被加工部材から突出していれば、ビット10が図示せぬネジに当接した反力により第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間の摩擦が発生し、ビット10に反転方向の駆動力が伝達されて好適に図示せぬネジを外すことができる。しかし図示せぬネジの頭が図示せぬ被加工部材から突出していない場合(ネジが被加工部材に埋没している場合)はカバー54が邪魔になり、ビット10が図示せぬネジに当接したとしても充分な反力が得られず、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44との間に充分な摩擦が発生しない場合がある。この場合においては、第一クラッチプレート43と第二クラッチプレート44とを介してクラッチドラム41からスプラインシャフト42へと動力を伝達することができないが、反転方向の駆動力であるためワンウェイクラッチ45を介してクラッチドラム41からスプラインシャフト42へと動力を伝達することは可能になっている。よってモータ3を反転させた際にビット10にネジによる反力が得られない場合であっても、好適に図示せぬネジを外すことができる。
次に本発明の第二の実施の形態に係るねじ締め機について図7に基づき説明する。図7に示されるねじ締め機101は、主な構成において、第一の実施の形態に係るねじ締め機1と同じである為、変更箇所のみ説明する。クラッチドラム141において、壁部141Cには、溝が形成されており、この溝内に第一バネ141D(バネ定数:k)が配置されている。第一バネ141Dは、前端が壁部141の第一クラッチプレート143と対向する面から突出しており、第一クラッチプレート143と当接可能に構成されている。
ソケット151と最前に位置する第二クラッチプレート144との間には、第二バネ151A(バネ定数:k)が配置されており、ソケット151が後方へと移動した際に、第二バネ151Aにより第二クラッチプレート144が後方へと付勢される。
ねじ締め機101でネジを施工する場合、ビット110を図示せぬネジに押し付けると、第一クラッチプレート143と第二クラッチプレート144とは第一バネ141Dと第二バネ151Aとに挟まれる。この時に第一クラッチプレート143と第二クラッチプレート144との間の摩擦力は、第一クラッチプレート143が距離L移動するまでは、第一バネ141Dと第二バネ151Aとの合成バネ定数(k・k/(k+k))を係数として大きくなる。第一クラッチプレート143が距離L移動した後は、最後端の第一クラッチプレート143が壁部141Cと当接する為、第一バネ141Dの付勢力の影響を受けなくなり、第二バネ151Aのバネ定数(k)を係数として前記摩擦力が大きくなる。従って、ねじ締め機101を図示せぬネジに押し付けた当初から第一バネ143が所定の伸縮量:L移動するまでの間は、第一クラッチプレート143と第二クラッチプレート144に係るバネ定数を小さくして容易にクラッチ104が動作するようにし、所定の伸縮量:L以上移動した後はバネ定数を大きくして、クラッチ104がロックし難くすることができる。
尚、第二の実施の形態においては、直列的に第一バネと第二バネとを配置したが、これに限らず並列的に第一バネ(バネ定数:k)と第二バネ(バネ定数:k)とを配置してもよい。この場合には、クラッチドラムの壁部に第一クラッチプレートを当接させるとともに、ソケットが所定量移動するまでは第一バネのみを第二クラッチプレートに当接させて付勢させる。ソケットが所定量以上移動した際には、第一バネと第二バネとを第二クラッチプレートに当接させて付勢させる。このような構成を採ることにより、ソケット所定量移動するまでは、バネ定数:kを係数としてクラッチの摩擦力が大きくなり、所定量移動した後はバネ定数:k+kを係数としてクラッチの摩擦力が大きくなる為、第二の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また第二の実施の形態のように第一バネと第二バネとが直列に配置されている場合は、ねじ締め機の回転軸軸方向と直交する方向の幅を小さくすることができる。また並列に配置されている場合は、ねじ締め機の回転軸軸方向の長さを小さくすることができる。
本発明の第一の実施の形態に係るねじ締め機の断面図。 本発明の第一の実施の形態に係るねじ締め機のクラッチドラムの分解斜視図。 本発明の第一の実施の形態に係るねじ締め機のクラッチドラムの正面図。 本発明の第一の実施の形態に係るねじ締め機のスプラインシャフトの断面図。 本発明の第一の実施の形態に係るねじ締め機の第一クラッチプレートの正面図。 本発明の第一の実施の形態に係るねじ締め機の第二クラッチプレートの正面図。 本発明の第二の実施の形態に係るねじ締め機の要部断面図。
符号の説明
1・・ねじ締め機 2・・ハウジング 3・・モータ 4・・クラッチ部
5・・先端工具装着部 10・・ビット 21・・ハンドル 21A・・トリガ
21B・・電源コード 21C・・回路部 21D・・スイッチ 31・・回転軸部
31A・・ベアリング 32・・ピニオン 33・・ファン 41・・クラッチドラム
41A・・ギア 41B・・凸部 41C・・壁部 41D・・収容部 41a・・孔
42・・スプラインシャフト 42A・・凸部 43a・・凹部 43b・・孔
43・・第一クラッチプレート 44・・第二クラッチプレート 44a・・凹部
44b・・孔 46・・バネ 47A・・ベアリング 47B・・軸受
48・・第一シール部材 51・・ソケット 51A・・当接部 51a・・装着孔
52・・軸受 53・・第二シール部材 54・・カバー

Claims (11)

  1. 正転方向・反転方向に回転駆動される出力軸部を備える駆動部と、
    回転駆動されてネジを締め付ける先端工具を装着可能な先端工具装着部と、を備え、
    該先端工具装着部と該駆動部との間には第一クラッチと第二クラッチとが介在し、
    該第一クラッチは、該駆動部の少なくとも該正転方向の回転運動を該先端工具装着部に伝達する伝達位置と、該駆動部の回転運動を該先端工具装着部に伝達不能な遮断位置との間で移動可能に構成され、
    該第二クラッチは、該第一クラッチとは別系統で該駆動部の該反転方向の回転運動のみを該先端工具装着部に伝達可能に構成されていることを特徴とするねじ締め機。
  2. 該第一クラッチは、該伝達位置において該駆動部の該正転方向・該反転方向の回転運動を該先端工具装着部に伝達可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のねじ締め機。
  3. 該第一クラッチは多板摩擦クラッチから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のねじ締め機。
  4. 該多板摩擦クラッチは、該駆動部と一体回転し板状の複数の駆動部材と該先端工具装着部と一体回転し板状の複数の従動部材とを有し、
    該複数の駆動部材と該複数の従動部材とは、該先端工具装着部側から該駆動部側へと向かって該従動部材を該先端工具装着部側として交互に並んで配置されていることを特徴とする請求項3に記載のねじ締め機。
  5. 該出力軸部により回転駆動されて減速するギヤ機構と、
    該先端工具装着部に接続されて該先端工具と同軸回転するシャフトとを、更に備え、
    該多板摩擦クラッチは該ギヤ機構と該シャフトとの間に設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載のねじ締め機。
  6. 該先端工具装着部は該シャフトに嵌合して接続されていることを特徴とする請求項5に記載のねじ締め機。
  7. 該出力軸部の該正転方向の駆動力は、該多板摩擦クラッチを介してのみ該先端工具に伝達されると共に、該多板摩擦クラッチの該回転軸方向の移動に応じて該伝達の効率が変化することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のねじ締め機。
  8. 該多板摩擦クラッチは、該先端工具の回転軸と同軸に配置されていることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか一に記載のねじ締め機。
  9. 該回転軸方向において該多板摩擦クラッチの該先端工具側若しくは該駆動部側、或いはその両方側には、該多板摩擦クラッチを該回転軸方向の少なくとも該先端工具側若しくは該駆動部側の一方に付勢する複数のスプリングが配置され、
    該複数のスプリングのうちの少なくとも一つのスプリングは所定の伸縮量以上の変位が規制され、該複数のスプリングは該所定の伸縮量の前後で合成バネ定数が変化することを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれか一に記載のねじ締め機。
  10. 該複数のスプリングは、該多板摩擦クラッチの該一方若しくは該両方に直列に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のねじ締め機。
  11. 該複数のスプリングは、該多板摩擦クラッチの該一方に並列に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のねじ締め機。
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