JP3674939B2 - 脱水ケーキの脱臭方法及び脱臭剤 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱水ケーキの脱臭剤及び脱臭方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、下水処理場などの汚泥スラリーを脱水して得られる脱水ケーキから発生する硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気を効果的に防止することができる脱水ケーキの脱臭方法及び脱臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥が発生する。例えば、下水を最初沈殿池で固液分離すると初沈生汚泥が発生し、最初沈殿池の上澄水を曝気槽などを用いて浮遊生物方式により処理すると、活性汚泥の量が増加する。曝気槽などで処理された水は最終沈殿池に導かれ、活性汚泥が分離され、その一部は返送汚泥として曝気槽などに返送され、残余は余剰汚泥とされる。初沈生汚泥と余剰汚泥は、汚泥濃縮槽に導かれ、その後、汚泥貯留槽にいったん貯留される。汚泥貯留槽内の汚泥は、次いで脱水機により脱水され、得られる脱水ケーキは埋め立てや、焼却のために搬出される。
汚泥貯留槽から脱水機周辺においては、汚泥スラリーから悪臭物質が揮散し、さらに脱水後の脱水ケーキは腐敗により悪臭物質を発生する。下水処理場で発生する悪臭物質として頻繁に検出される物質は、硫化水素、メチルメルカプタンなどのイオウ化合物、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素化合物、吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸、汚泥の乾燥焼却工程から発生するアルデヒド類などである。これらの中で、汚泥処理工程から発生する硫化水素とメチルメルカプタンの量が特に多い。
汚泥貯留槽や脱水機の多くは密閉系となっているが、脱水により得られる脱水ケーキは開放系で運搬、保管される場合が多いので、臭気対策はより重要である。すなわち、脱水ケーキの運搬には、通常コンベアやトラックなどが使われ、臭気発生源である脱水ケーキが移動するので、覆蓋、臭気の吸引などによる処理が困難であり、臭気対策がむつかしい。また、最終埋め立て地においても、発生する臭気が拡散し、付近の住民に不快感を与えるなど、環境に悪影響を及ぼす。このために、脱水ケーキから発生する臭気自体を抑制する必要があり、従来よりさまざまな脱臭方法が提案されている。
例えば、過酸化水素、過硫酸アルカリ、亜塩素酸塩などの活性酸素発生化合物を使用した脱臭方法が採用されている。活性酸素発生化合物は、添加してすぐに脱臭効果が得られるなど、汚泥スラリーに対して即効性に特徴がありかつ有効であるが、汚泥中の還元物質と直接的に反応して消費されるために、短時間で効果を失うという欠点がある。特開平5−253599号公報には、各種の脱水ケーキから発生する臭気を効率よく抑制することができる脱臭方法として、亜塩素酸塩と次亜塩素酸塩と場合により静菌剤系消臭剤とを併用する脱水ケーキの脱臭方法が提案されている。また、特公昭63−58640号公報には、全く十分に脱臭するが、同時にバクテリアを完全に殺すことのない脱臭方法として、排水汚泥をアルカリ金属又はアルカリ土類金属亜塩素酸塩で5〜40℃で処理する方法が提案されている。亜塩素酸塩や次亜塩素酸は、脱臭効果の持続時間が短いので、汚泥処理工程のできる限り後の工程、例えば、脱水の直前に添加するなどの方法が採られているが、それでも脱水ケーキの脱臭効果の持続時間は不十分である。
特開昭63−205197号公報には、硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタンなどの悪臭物質を含む排水、汚泥ガスの脱臭方法として、硫酸亜鉛などの亜鉛化合物で処理する方法が提案されており、銅化合物を用いる脱臭処理方法も知られている。亜鉛化合物や銅化合物は、即効性があり、脱水ケーキの脱臭効果も大きいが、セメント材料やコンポストなど脱水ケーキの二次使用を行う場合には、利用先での悪影響が懸念され、使用が敬遠される。また、金属塩、特に塩化銅などは、腐食性が高く、装置への悪影響も懸念される。
さらに、特公平1−60319号公報には、嫌気的条件下での硫酸還元菌による硫化水素の発生を防止する方法として、微生物の生育環境に亜硝酸イオンを存在させる方法が提案されている。亜硝酸塩については、このように廃水処理装置内などの密閉系におかれた汚泥スラリーへの使用は検討されているが、開放系に保管される脱水ケーキを含めた下水処理工程全般における脱臭手段としては、全く検討されていなかった。
また、特開昭50−105890号公報には、洗米廃水から生じた白糠を主体とするスラッジ又はその脱水ケーキに、亜硫酸塩を添加して雑菌の繁殖、腐敗を防止する方法が記載されているが、強い臭気を放つ汚泥脱水ケーキの脱臭方法については検討されていなかった。
特開平4−126597号公報には、脱水ケーキから発生する臭気を効率よく抑制する方法として、酸化剤系消臭剤と静菌剤系消臭剤を併用する脱臭方法が提案されている。静菌剤を用いると、脱水ケーキの長時間脱臭などで良好な効果が得られることが分かっているが、使用する薬剤の単価が高く処理コストの増大を招くおそれがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水処理場などの汚泥スラリーや脱水ケーキから発生する硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気を、消臭能力の高い亜硝酸塩で処理する場合に、この高い脱水ケーキの脱臭効果を維持しながら脱水ケーキ及び脱水ろ液に残留する亜硝酸塩由来の窒素分を減少させる方法及び脱臭剤を提供するものである。
特に、亜硝酸塩は単独で使用することで脱水ケーキの消臭は、亜硝酸塩の添加量を増加するほど脱臭効果及び持続時間が向上する。
しかし、亜硝酸塩を大量に使用することは、脱水後の脱水ろ液中の亜硝酸イオンを増加させる結果となる。脱水ろ液は返流水として水処理工程へ戻される。
ところが、亜硝酸イオンは殺菌効果を有するため、水処理における生物処理工程に悪影響を与え、さらにまた、この亜硝酸イオンは、排水の窒素負荷を高めるため、排水の窒素分の規定の対象となる問題も派生させる。
このため、脱臭効果のために使用する亜硝酸塩の添加量をなるべく低い添加率に留める必要がある。
本発明は、亜硝酸塩の顕著な脱臭効果を有効に活用するとともに、亜硝酸塩の添加量を減少して、消臭効果及びその持続時間が維持することを目的とするものであり、具体的には、亜硝酸塩と併用する薬剤を提案するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜硝酸塩の大きい消臭効果に着目して、これに他の特定の消臭効果のある物質を併用することによって、少ない亜硝酸塩の添加量においても、消臭効果が相剰的に増大して、消臭効果の持続性が向上することを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の各項の発明よりなる。
(1)下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該濃縮汚泥スラリーに過酸化物を除く酸化剤と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜1000mgの亜硝酸塩とを併用して添加し、更に脱水機により脱水することを特徴とする脱水ケーキの脱臭方法。
(2)下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該濃縮汚泥スラリーに亜硝酸塩を除く金属塩と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜600mgの亜硝酸塩とを併用して添加し、更に脱水機により脱水することを特徴とする脱水ケーキの脱臭方法(ただし、汚泥スラリーに、過酸化物、亜硝酸塩を除く金属塩及び亜硝酸塩とを併用して添加する方法を除く)。
(3)下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該濃縮汚泥スラリーに有機系殺菌剤と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜600mgの亜硝酸塩とを併用して添加し、更に脱水機により脱水することを特徴とする脱水ケーキの脱臭方法。
(4)下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該汚泥スラリーを脱水機により脱水する脱水ケーキの脱臭方法の該汚泥スラリーに添加するものであって、有機系殺菌剤と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜600mgの亜硝酸塩とを有効成分とすることを特徴とする脱水ケーキ用脱臭剤。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を適用する汚泥スラリーは、特に制限はなく、例えば、下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいて発生する各種の汚泥に適用することができる。図1は、下水処理の一態様の工程系統図である。原水は、最初沈殿池1へ導かれ、初沈生汚泥が分離される。最初沈殿池の上澄水は、必要に応じて凝集剤を添加したのち曝気槽2へ送られ、活性汚泥法により生物的処理が行われる。曝気槽の処理水は、必要に応じて凝集剤を添加したのち最終沈殿池3へ送られ、汚泥が分離される。分離された汚泥は、一部が返送汚泥として曝気槽に返送され、残余は余剰汚泥として処理される。最終沈殿池の上澄水は、そのままで、又は、必要な処理が施されたのち、放流される。余剰汚泥は、初沈生汚泥とともに、汚泥濃縮槽4へ送られる。汚泥濃縮槽において濃縮された汚泥は、汚泥貯留槽5へ送られる。汚泥貯留槽に貯留された汚泥は、脱水機6により脱水され、脱水ケーキとして搬出される。汚泥濃縮槽の上澄水及び脱水機からの脱離水は、原水に返送されるか、又は、必要な処理が施されたのち放流される。
本発明に主薬剤として用いる亜硝酸塩に特に制限はなく、例えば、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸銀、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。これらの亜硝酸塩は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸カリウムは、脱水ケーキの二次使用を行う場合にも利用先での悪影響がなく、特に好適に用いることができる。
【0006】
本発明方法に脱水ケーキの消臭のために使用される薬剤は、汚泥スラリーに添加したのち脱水する。
本発明の主薬剤の亜硝酸塩は、添加後15分以上、より好ましくは2時間以上経過したのち脱水することにより、より効果的かつ持続的に脱臭することができる。
従って、図1に示す工程をとる場合、亜硝酸塩は、汚泥濃縮槽4又は汚泥貯留槽5において添加し、汚泥スラリーが脱水機6において脱水されるまでに15分以上経過する工程とすることが好ましく、2時間以上経過する工程とすることがより好ましい。汚泥の処理が回分式に行われる場合は、亜硝酸塩の添加と脱水の時間の間隔は、操作時間から直接決定することができる。また、汚泥の処理が連続的に行われる場合は、亜硝酸塩の添加と脱水の時間の間隔は、汚泥スラリーの平均滞留時間として算出することができる。亜硝酸塩を、汚泥スラリーに添加して15分以上経過したのち脱水することにより、脱水ケーキからの悪臭成分の発生をより長時間にわたって防止することができる。
亜硝酸塩は、汚泥スラリーに対しても脱臭効果を奏し、その効果は添加後15分以上を経過すると顕著になる。したがって、貯留槽、脱水機などの汚泥処理装置の臭気が問題となる場合には、汚泥スラリーが脱臭を要する装置に到達する15分以上前に、亜硝酸塩を添加することにより、脱水ケーキのみならず、これらの装置の周辺の脱臭をも行うことができる。
【0007】
本発明に用いる亜硝酸塩は、汚泥スラリーに対して、1リットル当たり25〜600mg、好ましくは50〜300mgを添加することができる。
亜硝酸塩の添加量が25mg/リットル未満では、脱臭効果が不十分であり、600mg/リットルを越えると窒素分が増加するので好ましくない。
ただし、亜硝酸塩を酸化剤と併用した場合は、酸化剤の添加量を増加させると、亜硝酸塩の添加量も1,000mg/リットルまで増加することができる。すなわち、酸化剤を多量使用した場合は、亜硝酸塩の添加量を増加させても脱水後のろ液中に残留する亜硝酸イオンは増加しない。
一方、本発明に亜硝酸塩と併用して用いられる他の薬剤は、添加時期に特に制限はないが、薬剤の種類によって、最適の添加時期が存在する場合もある。例えば、亜硝酸塩を除く金属塩は、亜硝酸塩と同じく、脱水工程の15分以上前、好ましくは2時間以上前に添加するのが望ましく、有機系殺菌剤は、脱水工程直前の15分以内に添加するのが望ましい。また、本発明で亜硝酸塩と併用される酸化剤の添加時期は、脱臭効果にあまり影響はない。
本発明において亜硝酸塩と併用する酸化剤としては、公知の酸化剤を特に制限なく使用でき、例えば、亜塩素酸塩、過マンガン酸塩、ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、臭素酸塩等の公知の酸化剤を使用することができる。特に、亜塩素酸塩、過マンガン酸塩、ヨウ素酸塩が好適であり、特に重金属を含有しないものがさらに好適である。
本発明においては、亜硝酸塩と酸化剤を併用することによって、亜硝酸塩に由来する排水規制の対象である窒素分を酸化反応で減少させる利点が得られる。
【0008】
本発明において亜硝酸塩と併用する亜硝酸塩を除く金属塩としては、脱臭効果の点からは、特に制限はなく公知の金属塩を使用することができ、例えば、硝酸塩、リン酸塩、塩化物、硫酸塩、硫化物、酸化物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、酢酸塩、水酸化物、炭酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、ヨウ化物等の公知の金属塩を使用することができる。特に、硝酸塩の場合、脱水ケーキの2次利用の場合の観点から、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム等の軽金属の硝酸塩を好適に併用することができる。
また、例えばリン酸塩も硝酸塩と同様に、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の軽金属のリン酸塩を好適に併用することができる。
同様に塩化物も、塩化亜鉛、塩化銅、塩化第二鉄などの金属塩化物並びに塩化鉄ナトリウムカリウムのような金属塩化物複塩を好適に併用することができる。また、本発明において、亜硝酸塩と併用する有機系殺菌剤としては、公知の有機系殺菌剤を特に制限なく使用でき、例えば、ピリチオン塩、サリチル酸、キノリン、クレゾール、チウラム、イソチアン酸塩等を使用でき、特にピリチオン塩が好適である。
本発明方法において、汚泥スラリーの脱水方法に特に制限はなく、例えば、遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機、フィルタープレス脱水機、真空脱水機などを用いることができる。汚泥スラリーには、脱水性を向上するために、脱水機に投入する前段に又は脱水機内に、脱水剤を添加することが好ましい。添加する脱水剤としては、例えば、アニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤、塩化第二鉄、消石灰などを挙げることができる。
本発明方法において、汚泥スラリーに亜硝酸塩と併用して添加する酸化剤は、過酸化水素換算で、汚泥スラリー1リットル当たり25〜3,000mgであることが好ましく、100〜1,000mgであることがより好ましい。
本発明において、亜硝酸塩と併用する塩化物、硝酸塩、リン酸塩に代表される亜硝酸塩を除く金属塩の添加量は、特に制限はないが、25〜1,000mgであることが好ましく、100〜500mgであることがより好ましい。
本発明の併用薬剤の添加によって、汚泥スラリー中の微生物の活動を抑え、新たな悪臭成分の発生を抑制し、さらに、脱水後も脱水ケーキ中における微生物の活動を抑制し、脱水ケーキからの臭気の発生を長時間にわたって防止することができる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、硫化水素の分析は、ガステック社製ガス検知管4M、4L又は4LLを用い、メチルメルカプタンの分析は、ガステック社製ガス検知管71H又は71を用いて行った。検出下限濃度は、硫化水素、メチルメルカプタンともに0.25ppmである。
NO2減少率は、亜硝酸ナトリウム添加時にろ液中に残留した亜硝酸イオン量を分析して、これを100として、酸化剤を併用したときに、脱水ケーキ中の亜硝酸イオンが100%から減少した差額%を減少率として算出した。
実施例1、実施例3〜14及び比較例1〜14並びにブランク試験1〜2
下水処理場で採取した混合生汚泥[pH:6.0、SS(浮遊物質):28000mg/リットル]300mlをビーカーに入れ、表示の薬剤を表示の添加時間に加えて、かきまぜた。
ついで、所定の時間に、カチオンポリマー系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌したのち、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、圧搾機にかけて脱水ケーキを得た。この脱水ケーキをテトラバックに入れ密閉し、30℃の恒温槽で保存した。
テトラバックに脱水ケーキを密閉後の24時間及び48時間の経過毎にバック内の臭気物質の硫化水素(H2S)及びメチルメルカプタン(MM)の濃度を測定した。また、酸化剤との併用においては、NO2減少率を測定した。
得られた結果は、第1〜3表に示した。
各表の上欄には、薬剤無添加のブランク試験1及び亜硝酸塩単独添加のブランク試験2の結果が示されている。
本発明の酸化剤、亜硝酸塩を除く金属塩、有機系殺菌剤を併用した効果を示すために、それぞれの薬剤を単独で使用した場合の試験を比較例として、各実施例の下欄に表示した。
すなわち、例えば実施例1の併用の効果は、ブランク試験2と比較例1の結果を対比すると明らかである。
【0010】
【表1】
Figure 0003674939
【0011】
【表2】
Figure 0003674939
【0012】
【表3】
Figure 0003674939
【0013】
第1表の実施例の結果を見ると、亜硝酸塩単独及び酸化剤単独では完全に押さえられなかった臭気を酸化剤と併用することで完全に押さえることができる。
このことは、酸化剤の併用によって、同一の脱臭効果を達成するために必要な亜硝酸塩の使用量を低減できることを示す。
また、亜硝酸イオンの残留量を10〜20%程度削減可能である。この削減は酸化剤の化学反応であるので、併用酸化剤の添加率を実施例よりさらに大巾に増加すると、亜硝酸イオンの減少率も大幅に増加することは明白である。
このことは、酸化剤を多量併用することによって、亜硝酸塩の添加量を逆に増加しても亜硝酸イオンを増加させない利点があることを示唆している。
酸化剤の併用により亜硝酸イオンの添加率を低減できるとともに、多量に添加したものについても、ろ液中の残留量を削減できることが分かった。
第2表の実施例の結果を見ると、亜硝酸塩単独では完全に押さえられなかった臭気が、塩化物又はリン酸塩と併用することで完全に押さえることができる。
特に塩化銅では、それぞれ単独では48時間の消臭が不可能なのに対し、併用法では48時間の消臭が可能となった。
このことは、亜硝酸塩の添加量を低減できることを示す。
また、単独ではまったく効果の見られない塩化第二鉄、リン酸アルミニウムでも、併用により消臭効果向上があることが分かる。
このことは、脱水助剤である塩化第二鉄、リン酸アルミニウムを使用している下水処理場では、これに亜硝酸塩を添加することだけで、亜硝酸塩単独使用時よりも高い消臭効果を得られることを示唆している。
第3表の結果を見ると、亜硝酸塩単独では完全に押さえられなかった臭気が、ピリチオン塩又は硝酸塩と併用することで完全に押さえることができる。
同じく、亜硝酸塩の添加率を低減できる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、亜硝酸塩と酸化剤、亜硝酸塩を除く金属塩、有機系殺菌剤のいずれかとの併用によって、脱臭効果及びその持続性を向上できるので、亜硝酸塩の使用量を低減した状態で、汚泥脱水ケーキの脱臭及びこの脱臭効果の持続を達成することができる。
これによって、亜硝酸塩を脱臭剤とした場合において、汚泥の脱水ケーキの脱臭とろ液中の環境規制の対象となる亜硝酸イオンの減少という二つの問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、下水処理の一態様の工程図である
【符号の説明】
1 最初沈殿池
2 曝気槽
3 最終沈殿池
4 汚泥濃縮槽
5 汚泥貯留槽
6 脱水機

Claims (4)

  1. 下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該濃縮汚泥スラリーに過酸化物を除く酸化剤と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜1000mgの亜硝酸塩とを併用して添加し、更に脱水機により脱水することを特徴とする脱水ケーキの脱臭方法。
  2. 下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該濃縮汚泥スラリーに亜硝酸塩を除く金属塩と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜600mgの亜硝酸塩とを併用して添加し、更に脱水機により脱水することを特徴とする脱水ケーキの脱臭方法(ただし、汚泥スラリーに、過酸化物、亜硝酸塩を除く金属塩及び亜硝酸塩とを併用して添加する方法を除く)。
  3. 下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該濃縮汚泥スラリーに有機系殺菌剤と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜600mgの亜硝酸塩とを併用して添加し、更に脱水機により脱水することを特徴とする脱水ケーキの脱臭方法。
  4. 下水処理場で発生した汚泥を濃縮したのち、該汚泥スラリーを脱水機により脱水する脱水ケーキの脱臭方法の該汚泥スラリーに添加するものであって、有機系殺菌剤と、該汚泥スラリー1リットル当り25〜600mgの亜硝酸塩とを有効成分とすることを特徴とする脱水ケーキ用脱臭剤。
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