JP2003285048A - 脱臭方法および脱臭剤 - Google Patents

脱臭方法および脱臭剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱臭剤使用量を削減し、低コスト化を図るこ
とができる脱臭方法および脱臭剤を提供する。 【解決手段】 汚泥貯留槽2内の汚泥に、金属塩添加経
路3を用いて金属塩を添加するとともに、酸化剤添加経
路4を用いて酸化剤を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工場、ビル、飲食
店などからの排水、下水、し尿、および汚泥などから発
生する臭気物質(硫化水素など)に由来する臭気を防止
する脱臭方法および脱臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】工場、ビル、飲食店などからの排水の貯
留槽や処理設備、下水処理施設、し尿処理施設などにお
いては、排水や汚泥から臭気物質(硫化水素やメチルメ
ルカプタンなど)に由来する臭気が発生することがあ
る。この臭気発生には、処理施設を密閉系として臭気物
質が外部に漏れるのを防ぐ、臭気物質を含むガスを脱臭
装置により処理するなどの対策のほか、排水や汚泥に脱
臭剤を添加する方法がとられている。脱臭剤としては、
過酸化水素、次亜塩素酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩などが
多く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
脱臭方法では、特に臭気物質濃度が高い場合に、多量の
脱臭剤が必要となり、薬剤コストが高騰するという問題
があった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、脱臭剤使用量を削減し、低コスト化を図ることがで
きる脱臭方法および脱臭剤を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の脱臭方法は、被
脱臭物に、金属塩と酸化剤とを添加することを特徴とす
る。金属塩としては、亜鉛塩を用いるのが好ましい。酸
化剤としては、亜塩素酸塩を用いるのが好ましい。本発
明の脱臭剤は、金属塩と酸化剤とを含むことを特徴とす
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の脱臭方法が適用可能な被
脱臭物としては、製紙工場、食品工場、ビル、飲食店な
どからの有機系排水、下水、し尿を挙げることができ
る。また、本発明は、これら排水等の処理によって発生
する汚泥にも適用できる。図1は、本発明の脱臭方法の
一実施形態を適用可能な排水処理設備の要部を示すもの
である。ここに示す排水処理設備では、凝集沈殿汚泥
(被脱臭物)が導入経路1を通して汚泥貯留槽2に導入
される。汚泥貯留槽2には、金属塩添加経路3および酸
化剤添加経路4を通して、それぞれ金属塩および酸化剤
が添加される。
【0006】金属塩としては、亜鉛、銅、鉄、アルミニ
ウム、ニッケル、モリブデン、コバルト、銀などの塩を
用いることができる。金属塩としては、上記金属の硝酸
塩、亜硝酸塩、リン酸塩、塩化物、硫酸塩、硫化物、酸
化物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、酢酸塩、水酸化物、炭
酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、ヨウ化物を用
いることができる。なかでも特に、亜鉛塩は、排水や汚
泥中に存在する硫黄を選択的に固定化することができる
ため、少ない添加量で優れた脱臭効果を得ることができ
る。すなわち、鉄塩などの他の金属塩は、臭気物質だけ
でなく、排水中の懸濁物質とも反応するため、十分な脱
臭効果を得るためには多量に添加する必要がある。金属
塩は、これらのうち1種を単独で使用してもよいし、2
種以上を使用してもよい。
【0007】金属塩の添加量は、臭気の強度に応じて適
宜設定することができるが、少なすぎれば脱臭効果が低
くなり、多すぎれば薬剤コスト上昇を招くことになるた
め、被脱臭物に対し10〜10000mg/L(好まし
くは100〜1000mg/L)とするのが好適であ
る。
【0008】酸化剤としては、亜塩素酸塩、過酸化水
素、過マンガン酸塩、ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、過炭
酸塩、臭素酸塩、過硫酸塩等を使用することができる。
これらのなかで好適なものとしては、亜塩素酸塩、過酸
化水素、過マンガン酸塩、ヨウ素酸塩を挙げることがで
きる。なかでも特に、亜塩素酸塩は、他の酸化剤に比較
して、多種類の臭気物質に対して脱臭効果を得ることが
できる。酸化剤は、これらのうち1種を単独で使用して
もよいし、2種以上を使用してもよい。
【0009】酸化剤の添加量は、臭気の強度に応じて適
宜設定することができるが、少なすぎれば脱臭効果が低
くなり、多すぎれば薬剤コスト上昇を招くことになるた
め、被脱臭物に対し10〜10000mg/L(好まし
くは100〜1000mg/L)とするのが好適であ
る。
【0010】金属塩および酸化剤は、1〜50重量%の
水溶液の状態で添加するのが好ましい。
【0011】汚泥貯留槽2では、攪拌機(図示略)を用
いて槽内の汚泥を攪拌し、金属塩、酸化剤、および汚泥
を十分に混合するのが好ましい。なお、金属塩、酸化
剤、および汚泥を混合するには、ラインミキシングを用
いてもよい。汚泥貯留槽2を経た汚泥は、導出経路5を
通して系外に排出される。
【0012】有機系汚泥や有機系排水などでは、硫酸還
元菌の活動により硫化水素が発生するとともに、一般の
微生物により含硫黄有機物が分解されて硫化水素やメチ
ルメルカプタンが発生することがある。この脱臭方法で
は、汚泥貯留槽2内の汚泥に、金属塩と酸化剤とを添加
するので、微生物の活動を効果的に抑え、臭気物質の発
生を防ぐことができる。
【0013】金属塩は、硫化水素などの硫黄化合物と反
応し難溶性の塩を形成することから、臭気物質(特に硫
黄化合物)が放出されるのを防ぐことができる。特に亜
鉛塩は、選択的に硫黄と反応するため、少ない添加量
で、優れた脱臭効果を示す。酸化剤は、微生物の活動を
抑え、その代謝による臭気物質の発生を防ぐ作用をも
つ。また、臭気物質(特に硫黄化合物)を酸化し、その
濃度を低減することができる。特に、亜塩素酸塩は、酸
化力が高く、微生物の活動を効果的に抑制することがで
き、しかも他の酸化剤に比較して多種類の臭気物質を酸
化し無臭化する効果に優れている。
【0014】この脱臭方法では、金属塩と酸化剤とを併
用することによって、顕著な脱臭効果を得ることができ
る。このため、金属塩または酸化剤を単独で使用する場
合に比べ、各々の使用量を低減することができる。従っ
て、低コストでの脱臭処理が可能となる。
【0015】金属塩と酸化剤の併用によって、優れた脱
臭効果を得ることができるのは、金属塩によって活動が
弱められた状態の微生物に、酸化剤の酸化力が効率よく
作用し、その代謝活動を効果的に抑制するためであると
考えられる。特に、優れた硫黄固定化能を示す亜鉛塩を
金属塩として用い、かつ酸化力が高い亜塩素酸塩を酸化
剤として用いる場合には、優れた脱臭効果を得ることが
できる。
【0016】図2は、本発明の脱臭方法の他の実施形態
を適用可能な排水処理設備の要部を示すもので、ここに
示す排水処理設備は、金属塩添加経路6が、導入経路1
に接続されている点で、図1に示す処理設備と異なる。
この排水処理設備では、金属塩添加経路6によって、金
属塩が導入経路1内の汚泥に添加された後、この汚泥が
汚泥貯留槽2に送られ、酸化剤添加経路4によって酸化
剤が添加される。すなわち、汚泥には、金属塩が添加さ
れた後、酸化剤が添加されることになる。この脱臭方法
では、金属塩の存在下で酸化剤を汚泥に作用させること
ができる。従って、汚泥中の微生物に対する酸化剤の酸
化作用を高め、微生物の代謝活動を効果的に抑制し、よ
り優れた脱臭効果を得ることができる。
【0017】上記実施形態の脱臭方法では、金属塩と酸
化剤とを別個に汚泥に添加したが、本発明では、上記金
属塩と上記酸化剤とを配合した脱臭剤を調製し、これを
被脱臭物に添加することもできる。この脱臭剤では、金
属塩と酸化剤の配合割合は、金属塩:酸化剤=1:10
〜10:1(好ましくは1:2〜2:1)(重量基準)
とするのが好適である。配合割合がこの範囲を外れる
と、脱臭効果が低下するため好ましくない。
【0018】本発明の脱臭方法は、臭気物質が、硫化水
素、メチルメルカプタン、硫化ジメチル、二硫化ジメチ
ルなどの硫黄化合物;アンモニア、トリメチルアミンな
どの窒素化合物;吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸;
アルデヒド類である場合に、特に有効である。
【0019】
【実施例】(実施例1、2、比較例1〜7)製紙工場の
凝集沈殿汚泥(SS(浮遊物質):6.1重量%)に対
して、本発明の脱臭方法を適用した。汚泥300mlを
容器(500ml容量)に入れ、これに金属塩を所定量
添加して薬さじで十分に混合した後、この汚泥に酸化剤
を所定量添加して薬さじで十分に混合した。この容器を
密閉して5回にわたって強く振動させた。容器内の上部
空間からガスを採取し、検知管を用いて硫化水素濃度を
測定した。結果を表1に示す。表中、%は重量%を意味
する。
【0020】容器内の汚泥を、次に示す官能試験に供し
た。上記汚泥を5人のパネラーに嗅がせ、その臭気強度
および不快度を評価させた。最も多かった評価を表1に
示す。臭気強度、不快度の評価基準を表2および表3に
示す。金属塩のみを添加した場合(比較例4)と、酸化
剤のみを添加した場合(比較例6)と、これらを併用し
た場合(実施例2)との臭気強度および不快度の評価結
果を図3に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】(実施例3〜6、比較例8、9)石油工場
排水について、実施例1、2、比較例1〜7と同様の試
験を行った。ただし、本試験では、ガス中の硫化水素濃
度は測定せず、排水中の硫黄イオン濃度を検知管により
測定した。結果を表4に示す。
【0025】
【表4】
【0026】表1、表4、図3より、金属塩のみを添加
した場合、および酸化剤のみを添加した場合に比べ、金
属塩と酸化剤を併用した場合には、顕著な脱臭効果を得
ることができたことがわかる。
【0027】
【発明の効果】本発明では、金属塩と酸化剤とを併用す
ることによって、顕著な脱臭効果を得ることができる。
このため、金属塩または酸化剤を単独で使用する場合に
比べ、各々の使用量を低減することができる。従って、
低コストでの脱臭処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の脱臭方法の一実施形態を適用可能
な排水処理設備の要部を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の脱臭方法の他の実施形態を適用可
能な排水処理設備の要部を示す概略構成図である。
【図3】 試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】 3、6・・・金属塩添加経路、4・・・酸化剤添加経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D038 AA08 AB13 BA02 BB16 4D050 AA13 AA15 AA16 AB06 BB06 BB07 BB09 BB11 BB13 BB14 BC06 BD02 4D059 AA01 AA03 BC02 BJ00 BK01 BK13 DA11 DA21 DA22 DA23 DA24 DA25 DA34 DA35 DA38 DA44 DA46 DB08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被脱臭物に、金属塩と酸化剤とを添加
    することを特徴とする脱臭方法。
  2. 【請求項2】 金属塩が、亜鉛塩であることを特徴と
    する請求項1記載の脱臭方法。
  3. 【請求項3】 酸化剤が、亜塩素酸塩であることを特
    徴とする請求項1または2記載の脱臭方法。
  4. 【請求項4】 金属塩と酸化剤とを含むことを特徴と
    する脱臭剤。
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