JP2004000992A5 - - Google Patents

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汚泥の脱臭剤及び脱臭方法
本発明は、汚泥の脱臭剤及び脱臭方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、下水処理場の汚泥スラリーや、汚泥スラリーを脱水して得られる脱水ケーキから発生する硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気を効果的に防止することができる汚泥の脱臭剤及び脱臭方法に関する。
下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥が発生する。例えば、下水を最初沈殿池で固液分離すると初沈生汚泥が発生し、最初沈殿池の上澄水を曝気槽などを用いて浮遊生物方式により処理すると、活性汚泥の量が増加する。曝気槽などで処理された水は最終沈殿池に導かれ、活性汚泥が分離され、その一部は返送汚泥として曝気槽などに返送され、残余は余剰汚泥とされる。初沈生汚泥と余剰汚泥は、汚泥濃縮槽に導かれ、その後、汚泥貯留槽にいったん貯留される。汚泥貯留槽内の汚泥は、次いで脱水機により脱水され、得られる脱水ケーキは埋め立てや、焼却のために搬出される。
汚泥貯留槽から脱水機周辺においては、汚泥スラリーから悪臭物質が揮散し、さらに脱水後の脱水ケーキは腐敗により悪臭物質を発生する。下水処理場で発生する悪臭物質として頻繁に検出される物質は、硫化水素、メチルメルカプタンなどのイオウ化合物、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素化合物、吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸、汚泥の乾燥焼却工程から発生するアルデヒド類などである。これらの中で、汚泥処理工程から発生する硫化水素とメチルメルカプタンの量が特に多い。
汚泥貯留槽や脱水機の多くは密閉系となっているが、脱水により得られる脱水ケーキは開放系で運搬、保管される場合が多いので、臭気対策はより重要である。すなわち、脱水ケーキの運搬には、通常コンベアやトラックなどが使われ、臭気発生源である脱水ケーキが移動するので、覆蓋、臭気の吸引などによる処理が困難であり、臭気対策がむつかしい。また、最終埋め立て地においても、発生する臭気が拡散し、付近の住民に不快感を与えるなど、環境に悪影響を及ぼす。このために、脱水ケーキから発生する臭気自体を抑制する必要があり、従来よりさまざまな脱臭方法が提案されている。
例えば、過酸化水素、過硫酸アルカリ、亜塩素酸塩などの活性酸素発生化合物を使用した脱臭方法が採用されている。活性酸素発生化合物は、添加してすぐに脱臭効果が得られるなど、即効性に特徴がありかつ有効であるが、汚泥中の還元物質と直接的に反応して消費されるために、短時間で効果を失うという欠点がある。特開平5−253599号公報には、各種の脱水ケーキから発生する臭気を効率よく抑制することができる脱臭方法として、亜塩素酸塩と次亜塩素酸塩と場合により静菌剤系消臭剤とを併用する脱水ケーキの脱臭方法が提案されている。また、特公昭63−58640号公報には、全く十分に脱臭するが、同時にバクテリアを完全に殺すことのない脱臭方法として、排水汚泥をアルカリ金属又はアルカリ土類金属亜塩素酸塩で5〜40℃で処理する方法が提案されている。亜塩素酸塩や次亜塩素酸は、脱臭効果の持続時間が短いので、汚泥処理工程のできる限り後の工程、例えば、脱水の直前に添加するなどの方法が採られているが、それでも脱水ケーキの脱臭効果の持続時間は不十分である。
特開昭63−205197号公報には、硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタンなどの悪臭物質を含む排水、汚泥ガスの脱臭方法として、硫酸亜鉛などの亜鉛化合物で処理する方法が提案されており、銅化合物を用いる脱臭処理方法も知られている。亜鉛化合物や銅化合物は、即効性があり、脱水ケーキの脱臭効果も大きいが、セメント材料やコンポストなど脱水ケーキの二次使用を行う場合には、利用先での悪影響が懸念され、使用が敬遠される。また、金属塩、特に塩化銅などは、腐食性が高く、装置への悪影響も懸念される。
さらに、特公平1−60319号公報には、嫌気的条件下での硫酸還元菌による硫化水素の発生を防止する方法として、微生物の生育環境に亜硝酸イオンを存在させる方法が提案されている。亜硝酸塩については、このように廃水処理装置内などの密閉系におかれた汚泥スラリーへの使用は検討されているが、開放系に保管される脱水ケーキを含めた下水処理工程全般における脱臭手段としては、全く検討されていなかった。
また、特開昭50−105890号公報には、洗米廃水から生じた白糠を主体とするスラッジ又はその脱水ケーキに、亜硫酸塩を添加して雑菌の繁殖、腐敗を防止する方法が記載されているが、強い臭気を放つ汚泥脱水ケーキの脱臭方法については検討されていなかった。
特開平4−126597号公報には、脱水ケーキから発生する臭気を効率よく抑制する方法として、酸化剤系消臭剤と静菌剤系消臭剤を併用する脱臭方法が提案されている。静菌剤を用いると、脱水ケーキの長時間脱臭などで良好な効果が得られることが分かっているが、使用する薬剤の単価が高く処理コストの増大を招くおそれがある。
これら状況から、塩素及び金属を含有しない薬剤を使用し、腐食性がなく、安価で処理コストが低く、長時間にわたって脱臭効果が持続し、汚泥スラリーから脱水ケーキまでの脱臭が可能である脱臭剤及び脱臭方法が求められている。
特開平5−253599号公報 特公昭63−58640号公報 特開昭63−205197号公報 特公平1−60319号公報 特開昭50−105890号公報 特開平4−126597号公報
本発明は、下水処理場などの汚泥スラリーや脱水ケーキから発生する硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気を、非塩素系、非金属系の処理剤を用いて、低コストで効果的に防止することができる汚泥の脱臭剤及び脱臭方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜硝酸塩を含む脱臭剤を用いることにより、効果的かつ持続的な脱臭を行い得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。さらに、汚泥脱水設備や脱水ケーキを脱臭するための薬剤は、従来は脱臭対象とする場所の直前の位置又は脱臭対象箇所に添加されることが多かったのに対して、亜硝酸塩を汚泥スラリーに添加し、長時間経過したのち脱水することにより、効果的かつ持続的な脱臭を行い得ることを見いだした。
すなわち、本発明は、
(1)亜硝酸塩を含み、下水処理場で発生する濃縮された混合生汚泥から硫化水素とメチルメルカプタンを由来とする臭気成分の発生を抑制する汚泥の脱臭剤、
(2)下水処理場で発生する濃縮された混合生汚泥に亜硝酸塩を添加することで過酸化物を添加せずに硫化水素とメチルメルカプタンを由来とする臭気成分の発生を抑制する汚泥の脱臭方法、
(3)前記混合生汚泥が汚泥スラリーであることを特徴とする第(2)項記載の汚泥の脱臭方法、
(4)汚泥貯留槽や脱水機などの汚泥処理装置における汚泥の脱臭方法であって、汚泥スラリーが前記脱臭を要する汚泥処理装置に到達する15分以上前に、亜硝酸塩を汚泥スラリーに添加することを特徴とする第(3)項記載の汚泥の脱臭方法、及び、
(5)亜硝酸塩の混合生汚泥スラリーへの添加後の汚泥スラリー上の空気中の硫化水素及びメルカプタンの濃度がそれぞれ105ppm以下および10ppm以下である第(3)項または第(4)項記載の脱水の脱臭方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
)亜硝酸塩の汚泥スラリーへの添加後、脱水までの経過時間が3時間以上である第()項記載の脱水ケーキの脱臭方法、及び、
)亜硝酸塩の添加量が、汚泥スラリー1リットル当たり25〜1,000mgである第()項記載の脱水ケーキの脱臭方法、
を挙げることができる。
本発明の脱臭剤及び脱臭方法によれば、非塩素系、非金属系の薬剤を用い、少量の薬剤を添加することにより、消臭効果が持続して、汚泥の悪臭発生を長時間にわたって防止することができる。
本発明の汚泥の脱臭剤は、亜硝酸塩を含有するものである。本発明の汚泥の脱臭方法は、亜硝酸塩を、汚泥スラリーに添加したのち脱水するものであり、亜硝酸塩の汚泥スラリーへの添加後、脱臭を要する汚泥処理装置に汚泥スラリーが到達するまでの時間は、15分以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましい。
本発明に用いる亜硝酸塩に特に制限はなく、例えば、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸銀、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。これらの亜硝酸塩は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、亜硝酸ナトリウム及び亜硝酸カリウムは、脱水ケーキの二次使用を行う場合にも利用先での悪影響がなく、特に好適に用いることができる。
本発明を適用する汚泥は、下水処理場の処理工程などにおいて発生する濃縮された混合生汚泥に適用することができる。図1は、下水処理の一態様の工程系統図である。原水は、最初沈殿池1へ導かれ、初沈生汚泥が分離される。最初沈殿池の上澄水は、必要に応じて凝集剤を添加したのち曝気槽2へ送られ、活性汚泥法により生物的処理が行われる。曝気槽の処理水は、必要に応じて凝集剤を添加したのち最終沈殿池3へ送られ、汚泥が分離される。分離された汚泥は、一部が返送汚泥として曝気槽に返送され、残余は余剰汚泥として処理される。最終沈殿池の上澄水は、そのままで、又は、必要な処理が施されたのち、放流される。余剰汚泥は、初沈生汚泥とともに、汚泥濃縮槽4へ送られる。汚泥濃縮槽において濃縮された下水混合生汚泥は、汚泥貯留槽5へ送られる。汚泥貯留槽に貯留された汚泥は、脱水機6により脱水され、脱水ケーキとして搬出される。汚泥濃縮槽の上澄水及び脱水機からの脱離水は、原水に返送されるか、又は、必要な処理が施されたのち放流される。
本発明方法においては、亜硝酸塩汚泥スラリーに添加したのち脱水する。この場合、添加後15分以上、より好ましくは3時間以上経過したのち脱水することにより、より効果的かつ持続的に脱臭することができる。したがって、図1に示す工程をとる場合、亜硝酸塩は、汚泥濃縮槽4又は汚泥貯留槽5において添加し、汚泥スラリーが脱水機6において脱水されるまでに15分以上経過する工程とすることが好ましく、3時間以上経過する工程とすることがより好ましい。汚泥の処理が回分式に行われる場合は、亜硝酸塩の添加と脱水の時間の間隔は、操作時間から直接求めることができる。また、汚泥の処理が連続的に行われる場合は、亜硝酸塩の添加と脱水の時間の間隔は、汚泥スラリーの平均滞留時間として算出することができる。亜硝酸塩を、汚泥スラリーに添加して15分以上経過したのち脱水することにより、脱水ケーキからの悪臭成分の発生をより長時間にわたって防止することができる。
亜硝酸塩は、汚泥スラリーに対しても脱臭効果を奏し、その効果は添加後15分以上を経過すると顕著になる。したがって、貯留槽、脱水機などの汚泥処理装置の臭気が問題となる場合には、汚泥スラリーが脱臭を要する装置に到達する15分以上前に、亜硝酸塩を添加することにより、脱水ケーキのみならず、これらの装置の周辺の脱臭をも行うことができる。
本発明方法において、亜硝酸塩を添加したのちの汚泥スラリーの脱水方法に特に制限はなく、例えば、遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機、フィルタープレス脱水機、真空脱水機などを用いることができる。汚泥スラリーには、脱水性を向上するために、脱水機に投入する前段に又は脱水機内に、脱水剤を添加することが好ましい。添加する脱水剤としては、例えば、アニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤、塩化第二鉄、消石灰などを挙げることができる。
本発明方法において、亜硝酸塩の添加方法に特に制限はなく、これらの塩を水溶液として添加することができ、あるいは、粉末状態で添加することもできる。本発明方法において、汚泥スラリーに添加する亜硝酸塩の量に特に制限はないが、汚泥スラリー1リットル当たり25〜1,000mgであることが好ましく、100〜500mgであることがより好ましい。特に、汚泥スラリーへ添加後15分以上経過したのち脱水すると、より少量の添加量で長時間にわたり脱水ケーキの脱臭効果が持続する。亜硝酸塩の添加量が、汚泥スラリー1リットル当たり25mg未満であると、脱臭効果が不足して、脱水後比較的短時間のうちに、脱水ケーキから悪臭物質が発生するおそれがある。亜硝酸塩の添加量は、汚泥スラリー1リットル当たり1,000mg以下で十分な脱臭効果が得られ、通常は汚泥スラリー1リットル当たり1,000mgを超える亜硝酸塩を添加する必要はない。本発明方法においては、必要に応じて、ジンクピリチオンなどの殺菌剤などを併用することができる。
汚泥スラリーからは、硫酸還元菌の活動により硫化水素が発生するとともに、一般の微生物により含硫黄有機物が分解されて硫化水素とメチルメルカプタンが発生する。本発明方法によれば、汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加して、硫酸還元菌や一般の微生物の活動を抑え、新たな悪臭成分の発生を抑制し、さらに、脱水後も脱水ケーキ中における微生物の活動を抑制し、脱水ケーキからの臭気の発生を防止することができる。
本発明方法によれば、亜硝酸塩を汚泥スラリーに添加したのち脱水することにより、脱水ケーキからの悪臭物質の発生を24時間以上抑制することができ、特に、汚泥スラリーへ添加後15分以上経過させることにより、より少量の添加で、より長時間にわたって悪臭を抑制することができる。亜硝酸塩は、腐食性が小さいので、汚泥の二次使用に対する悪影響が少なく、安全に使用することができる。亜硝酸塩は、殺菌剤に比べて安価であり、低コストで汚泥の処理を行うことができる。本発明の脱臭剤及び脱臭方法によれば、非塩素系、非金属系の薬剤である亜硝酸塩を用い、汚泥スラリーから脱水ケーキまでを1剤で処理することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、硫化水素の分析は、ガス検知管[ガステック4M、4L又は4LL]を用い、メチルメルカプタンの分析は、ガス検知管「ガステック71H又は71]を用いて行った。検出下限濃度は、硫化水素、メチルメルカプタンともに0.25ppmである。
実施例1
下水処理場で採取した混合生汚泥[pH4.8、SS17,000mg/リットル]400mlを容量500mlのビーカーに入れ、1.0重量%亜硝酸ナトリウム水溶液12.0gを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
直ちに、ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気について分析したところ、硫化水素の濃度100ppm、メチルメルカプタンの濃度15ppmであった。引き続いてカチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌したのち、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、脱水ケーキを得た。
フッ素樹脂製ガスサンプリングバッグ2個に、得られた脱水ケーキをそれぞれ40g入れ、空気1,000mlを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後と48時間後にガスサンプリングバッグ内の空気について分析を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、48時間後に、硫化水素の濃度800ppm、メチルメルカプタンの濃度130ppmであった。
比較例1
実施例1で用いた混合生汚泥400mlを容量500mlのビーカーに入れ、薬さじで20回撹拌したのち、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封し、ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気について分析したところ、硫化水素の濃度150ppm、メチルメルカプタンの濃度20ppmであった。直ちに、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌したのち、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグ3個に、得られた脱水ケーキをそれぞれ40gずつ入れ、空気1,000mlを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後、48時間後及び72時間後にガスサンプリングバッグ内の空気について分析を行った。24時間後の濃度は、硫化水素25ppm、メチルメルカプタン100ppmであり、48時間後の濃度は、硫化水素900ppm、メチルメルカプタン280ppmであり、72時間後の濃度は、硫化水素600ppm、メチルメルカプタン100ppmであった。
実施例2
実施例1で用いた混合生汚泥400mlを容量500mlのビーカーに入れ、1.0重量%亜硝酸ナトリウム水溶液12.0gを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
15分放置後、ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気について分析したところ、硫化水素の濃度10ppm、メチルメルカプタンの濃度5ppmであった。直ちに、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌したのち、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグ3個に、得られた脱水ケーキをそれぞれ40gずつ入れ、空気1,000mlを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後、48時間後及び72時間後にガスサンプリングバッグ内の空気について分析を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。48時間後の濃度は、硫化水素15ppm、メチルメルカプタン10ppmであり、72時間後の濃度は、硫化水素600ppm、メチルメルカプタン70ppmであった。
実施例3
1.0重量%亜硝酸ナトリウム水溶液添加後の放置時間を3時間とした以外は、実施例2と同じ操作を繰り返した。
ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。ガスサンプリングバッグ内の空気中には、24時間後も、48時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、72時間後に、硫化水素の濃度5ppm、メチルメルカプタンの濃度20ppmであった。
実施例4
実施例1で用いた混合生汚泥400mlを容量500mlのビーカーに入れ、1.0重量%亜硝酸ナトリウム水溶液4.0gを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
15分放置後、ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気について分析したところ、硫化水素の濃度105ppm、メチルメルカプタンの濃度10ppmであった。直ちに、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌したのち、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに、得られた脱水ケーキ40gを入れ、空気1,000mlを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後にガスサンプリングバッグ内の空気について分析を行った。硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。
実施例5
1.0重量%亜硝酸ナトリウム水溶液の添加量を20.0gとした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返した。
ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中の硫化水素の濃度80ppm、メチルメルカプタンの濃度10ppmであった。ガスサンプリングバッグ内の空気中には、24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、48時間後に、硫化水素の濃度600ppm、メチルメルカプタンの濃度150ppmであった。
実施例6
1.0重量%亜硝酸ナトリウム水溶液の添加量を20.0gとした以外は、実施例2と同じ操作を繰り返した。
15分放置後のビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中の硫化水素の濃度5ppmであり、メチルメルカプタンは検出されなかった。ガスサンプリングバッグ内の空気中には、24時間後も、48時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、72時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンの濃度10ppmであった。
実施例7
1.0重量%亜硝酸ナトリウム水溶液添加後の放置時間を3時間とした以外は、実施例6と同じ操作を繰り返した。
ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。ガスサンプリングバッグ内の空気中には、24時間後、48時間後、72時間後のすべてにおいて、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。
参考例1
実施例1で用いた混合生汚泥400mlを容量500mlのビーカーに入れ、2.0重量%亜硫酸ナトリウム水溶液20.0gを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
直ちに、ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気について分析したところ、硫化水素の濃度120ppm、メチルメルカプタンの濃度10ppmであった。引き続いてカチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌したのち、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに、得られた脱水ケーキ40gを入れ、空気1,000mlを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後にガスサンプリングバッグ内の空気について分析を行ったところ、硫化水素の濃度2.5ppm、メチルメルカプタンの濃度38ppmであった。
参考例2
2.0重量%亜硫酸ナトリウム水溶液を添加したのち、3時間放置後、汚泥スラリー上方の空気について分析し、引き続いてカチオン系脱水剤の添加、ろ過、脱水を行った以外は、実施例8と同じ操作を繰り返した。
ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中の硫化水素の濃度10ppm、メチルメルカプタンの濃度25ppmであり、24時間保存後のガスサンプリングバッグ内の空気中には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。
参考例3
2.0重量%亜硫酸ナトリウム水溶液20.0gを添加する代わりに、1.0重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液12.0gを添加した以外は、実施例9と同じ操作を繰り返した。
3時間放置後のビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度はともに30ppmであった。24時間保存後のガスサンプリングバッグ内の空気中には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。
比較例2
2.0重量%亜硫酸ナトリウム水溶液20.0gを添加する代わりに、1.0重量%亜塩素酸ナトリウム水溶液12.0gを添加した以外は、実施例8と同じ操作を繰り返した。
ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。24時間保存後のガスサンプリングバッグ内の空気中の硫化水素の濃度850ppm、メチルメルカプタンの濃度60ppmであった。
比較例3
1.0重量%亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加したのち、3時間放置後、汚泥スラリー上方の空気について分析し、引き続いてカチオン系脱水剤の添加、ろ過、脱水を行った以外は、比較例2と同じ操作を繰り返した。
ビーカー内の汚泥スラリー上方の空気中の硫化水素の濃度35ppmであり、メチルメルカプタンの濃度5ppmであった。24時間保存後のガスサンプリングバッグ内の空気中の硫化水素の濃度1,000ppm、メチルメルカプタンの濃度300ppmであった。
実施例1〜7、参考例1〜3及び比較例1〜3の結果を、第1表に示す。
Figure 2004000992
[注]MM:メチルメルカプタン、nd:検出されない。
実施例1〜10の結果から明らかなように、亜硝酸塩を添加した場合には、脱水から24時間経過した後も、脱水ケーキからは悪臭成分が検出されないか、わずかな量まで低減されている。
亜硝酸ナトリウムの添加量を300mg/リットルとした実施例1〜3において、ろ過前の汚泥スラリー上の空気中の悪臭成分が、放置時間の経過とともに減少し、3時間放置後には検出されなくなっている。すなわち、汚泥スラリーの脱臭の必要性のある場合においても、脱臭が必要な箇所に到達する15分以上前に亜硝酸塩を添加することにより、当該箇所の脱臭が可能である。また、脱水ケーキの悪臭成分は、亜硝酸ナトリウム添加後3時間放置した実施例3では、48時間後まで検出されず、72時間後の検出量もわずかである。放置時間を15分とした実施例2と放置時間をとらなかった実施例1は、いずれも24時間後には悪臭成分は検出されていないが、48時間後の悪臭成分の検出量は、実施例2は実施例1の10分の1ないし50分の1以下であり、亜硝酸ナトリウム添加後に放置時間をとることにより顕著に脱臭効果が向上することが認められる。亜硝酸ナトリウム300mg/リットルを添加したのち、15分又は3時間放置した実施例2〜3の結果は、亜硝酸ナトリウム500mg/リットルを添加して放置時間をとらなかった実施例5の結果より良好である。さらに、亜硝酸ナトリウムの添加量が100mg/リットルであっても、添加後15分放置したのち脱水した実施例4では、脱水から24時間経過したのちも、脱水ケーキからは悪臭成分が検出されていない。亜硝酸ナトリウムを汚泥スラリーに添加して15分以上経過してのち脱水することにより、亜硝酸ナトリウムの添加量を節減し得ることが分かる。
亜硝酸ナトリウムの添加量をさらに500mg/リットルに増量した実施例5〜7では、ろ過前の汚泥スラリー上の空気中の悪臭成分が、さらに減少している。また、脱水ケーキの悪臭成分は、亜硝酸ナトリウム添加後の放置時間をとらなかった実施例5では、24時間後までは検出されていないが、48時間後に悪臭成分が検出されている。しかし、亜硝酸ナトリウム添加後3時間放置した実施例7では、72時間後にも全く検出されなくなり、放置時間を15分とした実施例6でも、48時間後までは検出されず、72時間後の検出量もわずかである。
亜硝酸ナトリウムに代えて、亜硫酸ナトリウム1,000mg/リットルを添加した参考例1でも、悪臭成分は低減されている。さらに、亜硫酸ナトリウム添加後3時間放置した参考例2では、ろ過前の汚泥スラリー上の空気中の悪臭成分の濃度が低く、24時間後に脱水ケーキから悪臭成分が検出されていない。亜硫酸水素ナトリウム300mg/リットルを添加して3時間経過後に脱水した参考例3でも、24時間後に悪臭成分は検出されていない。
亜硝酸ナトリウムに代えて、従来より脱臭剤として知られている亜塩素酸ナトリウムを300mg/リットル添加した比較例2と比較例3を見ると、比較例2の亜塩素酸ナトリウムを添加した直後の汚泥スラリー上の空気からは、悪臭成分は検出されず、この汚泥スラリーを処理して得られる脱水ケーキからも、脱水直後には悪臭成分は検出されなかった。しかし、24時間後には、この脱水ケーキからは多量の悪臭成分が検出されるようになる。また、亜塩素酸ナトリウム添加後3時間放置した比較例3では、ろ過前の汚泥スラリー上の空気から悪臭成分が検出され、24時間後の脱水ケーキから検出される悪臭成分の量も比較例2より多い。すなわち、亜塩素酸ナトリウムを添加した場合は、24時間後の脱水ケーキの悪臭を防止することができず、さらに添加後に放置時間をとることは脱臭という点からは悪影響を受けることになる。これらの結果から、薬剤添加後に放置時間をとり、薬剤を汚泥スラリーに添加して15分以上経過したのち脱水することにより、良好な脱臭性が発現することは、亜硝酸塩が有する特異な効果であることが分かる。
図1は、下水処理の一態様の工程系統図である。
符号の説明
1 最初沈殿池
2 曝気槽
3 最終沈殿池
4 汚泥濃縮槽
5 汚泥貯留槽
6 脱水機

Claims (5)

  1. 亜硝酸塩を含み、下水処理場で発生する濃縮された混合生汚泥から硫化水素とメチルメルカプタンを由来とする臭気成分の発生を抑制する汚泥の脱臭剤。
  2. 下水処理場で発生する濃縮された混合生汚泥に亜硝酸塩を添加することで過酸化物を添加せずに硫化水素とメチルメルカプタンを由来とする臭気成分の発生を抑制する汚泥の脱臭方法。
  3. 前記混合生汚泥が汚泥スラリーであることを特徴とする請求項2の汚泥の脱臭方法。
  4. 汚泥貯留槽や脱水機などの汚泥処理装置における汚泥の脱臭方法であって、汚泥スラリーが前記脱臭を要する汚泥処理装置に到達する15分以上前に、亜硝酸塩を汚泥スラリーに添加することを特徴とする請求項3の汚泥の脱臭方法。
  5. 亜硝酸塩の混合生汚泥スラリーへの添加後の汚泥スラリー上の空気中の硫化水素及びメルカプタンの濃度がそれぞれ105ppm以下および10ppm以下である請求項3または4記載の脱水の脱臭方法。
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