JP2005073942A - 脱水ケーキ用消臭剤及び消臭方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 下水処理施設において少量の添加で脱臭効果の持続する汚泥の脱水ケーキ用消臭剤及びそれを用いる消臭方法を提供すること。
【解決手段】 亜硝酸塩(A)、及びハロゲン化ジアルキルヒダントイン、ベンゾチアゾリン又は1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンから選ばれる少なくとも1種の化合物(B)からなる脱水ケーキ用消臭剤。1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンを主成分とする脱水ケーキ用消臭剤。それを用いる消臭方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、脱水ケーキの消臭剤及びそれを用いる消臭方法に関する。
下水、し尿、排水などの汚水及びこれらから生じる汚泥には、硫化水素やメチルメルカプタンなどに起因する臭気が発生する。これら汚水や汚泥の処理工程の近くでは、臭気により労働環境が悪化し、ひどい場合には中毒になることがある。また、汚泥やその脱水ケーキを運送する場合には、一般道路で臭気が問題となり、一般市民に迷惑がかかるという問題がある。
これら汚水や汚泥及びその脱水ケーキの臭気を防止する目的で、様々な消臭剤や臭気除去方法が工夫されている。代表的な例としては(1)塩化第二鉄や塩化亜鉛の溶液を汚水や汚泥に添加する方法、(2)次亜塩素酸塩等の酸化剤を単独で汚水や汚泥に添加して、臭気物質を酸化分解する方法、(3)汚泥に亜硝酸塩を添加して硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質に由来する臭気を防止する方法が特許文献1などに提案されている。
特開2001−340895公報
しかしながら、(1)の方法ではこれらの汚泥から得られる脱水ケーキには、多量の金属が残留しているため、コンポスト原料としての再利用には適さない場合が多い。また、(2)の場合は、汚泥から得られた脱水ケーキには、消臭剤に由来する重金属類は含まれていないので、コンポスト等への再利用が可能である。しかしながら、次亜塩素酸塩を用いた場合には、脱臭効果が持続せず、抑臭のためには添加量を多くする必要があり、汚泥性状の性状変化により脱水が困難になる場合がある。更に(3)の方法では亜硝酸塩を添加してから消臭効果が発現するまでに数時間要し、汚泥を即時脱水処理するような場合には適用が困難であった。また、汚泥によっては多量の添加が必要になる場合もあった。
従って、本発明の目的は少量の添加で脱臭効果の持続する脱水ケーキ用消臭剤、及びそれを用いる消臭方法を提供することである。
そこで、本発明者等は上記の亜硝酸塩を用いた消臭方法の問題点を解決するべく鋭意検討した結果、下記(1)〜(3)の手段により前記課題を解決した。
(1)亜硝酸塩(A)、及びハロゲン化ジアルキルヒダントイン、ベンゾチアゾリン又は1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンから選ばれる少なくとも1種の化合物(B)からなることを特徴とする脱水ケーキ用消臭剤。
(2)該ハロゲン化ジアルキルヒダントインが、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインであることを特徴とする前記(1)に記載の脱水ケーキ用消臭剤。
(3)1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンを主成分とすることを特徴とする脱水ケーキ用消臭剤。
(4)汚泥又はその脱水ケーキに前記(1)〜(3)のいずれか1項の脱水ケーキ用消臭剤を添加することを特徴とする汚泥又はその脱水ケーキの消臭方法。
本発明の脱水ケーキ用消臭剤及びそれを用いる消臭方法によれば、添加後直ちに汚泥を機械脱水しても、得られる脱水ケーキから発生する硫化水素やメチルメルカプタン等の臭気を効果的に抑臭することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
先ず、本発明の実施例において使用する下水処理場のフローを図1について説明する。
図1は、脱水機としてベルトプレス脱水機を使用した一実施態様を説明する概略構成図である。図1において、汚泥スラリー1は汚泥濃縮槽(汚泥濃縮機)2で濃縮されて濃縮汚泥3として汚泥貯留槽4を経て、凝集槽5で凝集剤溶解槽6からの高分子凝集剤7により凝集され、凝集された汚泥は脱水機流入部9と脱水ケーキ排出部10を有するベルトプレス脱水機8で十分脱水され、ベルトコンベア13でケーキホッパー14中に運ばれる。なお、12は脱水機8から出るろ液であり、11は脱水ケーキである。
本発明の消臭剤の成分である亜硝酸塩(A)は特に制限はなく、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸銀、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。これらの亜硝酸塩は1種を単独で用いることができ、また2種以上を混合して用いることもできる。これらの亜硝酸塩の中では亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムが効果やコストの面で好ましい。
次に、本発明の消臭剤の(B)成分であるハロゲン化ジアルキルヒダントインは下記一般式(1)で示される化合物である。
一般式(1)
Figure 2005073942
一般式(1)において、R、Rは各々炭素数1〜5のアルキル基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、R、Rはメチル基又はエチル基である。X、Yは各々ハロゲン原子であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。X、Yは、好ましくはCl又はBrである。
一般式(1)で示される化合物は、具体的には、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−クロロ−3−ブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインまたは1,3−ジクロロ−5−エチル−5−メチルヒダントイン等が挙げられる。これらの中でも臭気抑制効果の点からは1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインが最も好ましい。
また、ベンゾチアゾリンは、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの別称である。
上記ハロゲン化ジアルキルヒダントイン、ベンゾチアゾリン、1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンから選ばれる少なくとも1種の化合物は1種を単独で使用してもよいし2種以上を混合してもよい。
本発明の消臭剤中に占める(A)成分と(B)成分の割合は、(A)成分1重量部に対して、(B)成分0.01〜1重量部である。本発明の消臭剤の調整方法は、亜硝酸塩水溶液にハロゲン化ジアルキルヒダントインまたはベンゾイソチアゾリンを混合・分散させれば良い。
本発明の消臭剤は、1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンを主成分とするものも対象となる。1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンを単独で使用してもよいし上述の(B)成分となる化合物或いは後述の他の酸化剤や金属塩或いは殺菌剤を含んでいてもよい。
本発明の消臭剤の汚泥スラリーに対する添加量は、処理する汚泥の性状にもより異なるので一概には言えないが、1〜1000mg/リットル、好ましくは10〜500mg/である。添加量が1mg/リットル未満では消臭効果が十分発揮できず、一方、1000mg/リットルを超える場合はそれ以上の消臭効果はなく経済的でない。
亜硝酸塩を消臭剤として使用する場合には機械脱水されるまでに1時間以上経過させることで、より効果的かつ持続的に消臭することができる。従って、亜硝酸塩は汚泥濃縮槽または汚泥貯留槽に添加し、汚泥スラリーが脱水機において脱水されるまでに1時間以上経過させる必要がある。ところが、本発明の消臭剤は(A)成分と(B)成分の相乗効果で、機械脱水する直前に汚泥スラリーに添加しても脱水直後はもとより、脱水ケーキを長時間放置しても臭気の発生を抑制することができる。
本発明の消臭剤の汚泥スラリーへの添加は汚泥スラリーが機械脱水される以前の工程、脱水工程或いは脱水後いずれでも良く、各工程の数段階に分割して添加しても良い。
特に脱水ケーキの消臭を対象とする場合には上記消臭剤の添加は高分子凝集剤を添加混合した後でもかまわない。具体的には上記消臭剤を高分子凝集剤添加後の凝集汚泥の脱水機への流入部、脱水機中、或いはケーキ排出部のいずれかに添加することができる。具体的にはベルトプレス脱水機の場合にはベルトプレスのろ布上、ケーキスクレバー部、ケーキ排出部(ケーキを排出するベルトコンベア上やスクリューコンベア内あるいはケーキホッパーを含む)である。
本発明の消臭剤を使用する場合には、汚泥のpHを5.5以下に調整することにより、硫酸還元菌と共生する脱窒菌の活動を抑制し、亜硝酸イオンの消費を抑え、硫化水素の発生を長期間にわたって抑制することができる。汚泥のpH調整は塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硝酸第二鉄などの第二鉄塩を好適に用いることができる。また、酸を併用することもできる。
前述のpH調整剤により汚泥のpHを低下させた場合、一般に高分子凝集剤として使用されるカチオン系高分子凝集剤では凝集不良を生じる。これは、カチオン基の反応相手であるカルボキシル基のような汚泥のアニオンがpH低下に応じて非解離となるためであると考えられる。このような条件下では、分子内に架橋構造が一定以上導入されたエマルジョン系の高分子凝集剤が特異的に有効である。このような高分子凝集剤は具体的にはカチオン高分子凝集剤が特開平10−137798号公報等に、両性高分子凝集剤が特開2000−218297号公報や特開2000−218299号公報に記載されている。このようなエマルジョン系高分子凝集剤を使用した場合には、pH調整剤の有無に関わらず汚泥の固液分離性が向上し、処理水が清澄化するという効果も得られる。
また、特にpH調整剤として塩化第二鉄やポリ硫酸第二鉄を用いた場合には、分子内にカチオン基及びアニオン基が導入された両性高分子凝集剤が良好な凝集性を示すので好ましい。両性高分子凝集剤は前記エマルジョン系高分子凝集剤の他、粉末状の高分子凝集剤も使用可能である。このようなエマルジョン系高分子凝集剤を使用した場合には、pH調整剤の有無に関わらず汚泥の脱水性が向上するという効果も得られる。
本発明においては、他の酸化剤や金属塩或いは殺菌剤を使用することができる。酸化剤としては、公知の酸化剤を使用することができ、例えば過酸化水素、過酢酸、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過酸化カルシウムなどの過酸化物、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン系酸化剤或いは過マンガン酸塩などが挙げられる。これらの中でもハロゲン系酸化剤が好ましく、特に亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
亜硝酸塩以外の金属塩としても公知のものを使用することができ、例えば硝酸塩、リン酸塩、塩化物、硫酸塩、硫化物、酸化物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、酢酸塩、水酸化物、炭酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、ヨウ化物などを挙げることができる。
有機系殺菌剤としては、ピリチオン塩、サリチル酸、キノリン、チウラム、イソチアン酸塩などが使用できる。
また、防菌剤として公知のN−(2−ヒドロキシプロピル)−アミノメタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジブロモ−ニトロ−エタノール等のアルコール類、クレゾール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール等のフェノール類、グルタルアルデヒド、α−ブロモシンナムアルデヒド等のアルデヒド類、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−ヘキサヒドロトリアジン、2−メトキシカルボニルアミノベンツイミダゾール、チアベンダゾール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニジン、塩化ベンザルコニウム、塩化セタルコニウム、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオアミド、ビス(1−オキシ−2−ピリジル)ジスルフィド、ヒノキチオールなども使用できる。
さらに、特開平5−23698号公報に記載のジチオ炭酸アミド誘導体、チウラムスルフィド誘導体、チオシアン誘導体、イソチオシアン誘導体、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、トリアジン誘導体、イソシアヌール誘導体、ハロゲンカルボニル化合物誘導体等の有機化合物も使用できる。
本発明において、汚泥スラリーの脱水方法は特に制限はなく、遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機、フィルタープレス脱水機、真空脱水機などを用いることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例中「質量部」は「部」と表示する。
また、脱水ケーキの臭気測定は以下の方法に従って行った。
(a)所定量の脱水ケーキを臭気測定用袋(容量:700ml)に入れゴム栓で密栓する。
(b)シリンジで600mlの無臭空気を注入する。
(c)30℃の恒温槽に保管し、消臭剤添加後から所定時間毎に北川式検知管で硫化水素、メチルメルカプタンを測定する。
(消臭剤の製造例)
水59部に亜硝酸ナトリウム40部を加え溶解させた後、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン1部を混合し、本発明の消臭剤(以下、消臭剤Aと称する)を調製した。
以下、同様に第1表に記載した割合で消臭剤を調製した。
Figure 2005073942
*表中の略称は下記の通りである。
1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン ・・・ 略称 BCDMH
1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン ・・・ 略称 DCDMH
1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン ・・・ 略称 DBDMH
ベンゾイソチアゾリン ・・・ 略称 BIT
1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパン ・・・ 略称 DABN
実施例1
下水処理場から発生する第2表に示す性状の混合生汚泥の貯留槽に消臭剤Aを300mg/リットル添加し、約30分間攪拌・混合した。その後汚泥スラリーを図1に示すベルトプレス脱水機を設置した脱水施設に供給した。得られた脱水ケーキの臭気測定試験結果を第3表に記載する。第3表中、HSは硫化水素、NDは「検出できず」、trは「痕跡」であることを示す。
Figure 2005073942
Figure 2005073942
実施例2〜21、比較例1〜5
消臭剤の添加場所、種類、或いは添加量を第3表のように変更した以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を第3表に併記する。
実施例22〜26
消臭剤として1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンを使用し、上記実施例と同様に実験を行った。結果を第4表に記載する。
Figure 2005073942
下水、し尿、排水などの汚水及びこれらから生じる汚泥やその脱水ケーキの臭気を防止する目的で下水処理施設の消臭剤として利用できる。
脱水機としてベルトプレス脱水機を使用する本発明の一実施態様を説明する概略構成図である。
符号の説明
1 汚泥スラリー
2 汚泥濃縮槽
3 濃縮汚泥
4 汚泥貯留槽
5 凝集槽
6 凝集剤溶解槽
7 高分子凝集剤
8 ベルトプレス脱水機
9 脱水機
10 脱水ケーキ排出部
11 脱水ケーキ
12 ろ液
13 ベルトコンベア
14 ケーキホッパー

Claims (4)

  1. 亜硝酸塩(A)、及びハロゲン化ジアルキルヒダントイン、ベンゾチアゾリン又は1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンから選ばれる少なくとも1種の化合物(B)からなることを特徴とする脱水ケーキ用消臭剤。
  2. 該ハロゲン化ジアルキルヒダントインが、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントインであることを特徴とする請求項1に記載の脱水ケーキ用消臭剤。
  3. 1,3−ジアセトキシ−2−ブロモ−2−ニトロプロパンを主成分とすることを特徴とする脱水ケーキ用消臭剤。
  4. 汚泥又はその脱水ケーキに請求項1〜3のいずれか1項の脱水ケーキ用消臭剤を添加することを特徴とする汚泥又はその脱水ケーキの消臭方法。
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