JP5666644B2 - 脱水ケーキの臭気発生防止方法 - Google Patents
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Description
また、汚泥スラリーに亜硝酸塩(A)、及びチアゾール系化合物又はイソチアゾール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を添加することにより、硫化水素の発生を長期間防止することができることを見出した。
また、本発明者等は、上記の亜硝酸塩を用いた消臭方法の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、亜硝酸塩と特定の化合物、すなわち酸化剤及び/又は有機系殺菌剤を併用することで問題点を解決できることを見出した。
汚泥スラリーの中の硫化物量に対して特定割合の亜硝酸塩を添加させることで、硫化水素等の臭気発生を汚泥処理全プロセスにわたって効果的に防止することができる。
先ず、本発明の実施例において使用する下水処理場のフローを図1及び図2について説明する。
図1において、汚泥スラリー1は汚泥濃縮槽2で濃縮されて濃縮汚泥3として汚泥貯留槽4を経て、凝集槽5で凝集剤溶解槽6からの高分子凝集剤7により凝集され、凝集された汚泥は脱水機流入部9と脱水ケーキ排出部10を有するベルトプレス脱水機8で十分脱水され、ベルトコンベア13でケーキホッパー14中に運ばれる。なお、12は脱水機8から出るろ液であり、11は脱水ケーキである。
酸化剤(B)としては、公知の酸化剤を使用することができ、例えば過酸化水素、過酢酸、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過酸化カルシウムなどの過酸化物、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン系酸化剤、或いは過マンガン酸塩などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン系酸化剤が好ましく、特に亜塩素酸ナトリウムが本発明の目的を達成するために好ましい。
また、本発明においては、亜硝酸塩(A)以外の酸化剤(B)及び/又は有機系殺菌剤(C)を使用する。
酸化剤(B)及び/又は有機系殺菌剤(C)の添加時点が、残留亜硝酸イオン濃度が1mg/リットル未満の場合では長期的な消臭効果が望めず、また50mg/リットルを超える場合は窒素分が増加するので好ましくない。
本発明の方法では、上記薬剤(A)及び(D)を高分子凝集剤添加後の脱水機8への流入部9、脱水機8中、或いはケーキ排出部10のいずれかに添加することができる。具体的にはベルトプレス脱水機8の場合にはベルトプレスのろ布上、ケーキスクレバー部、ケーキ排出部(ケーキを排出するベルトコンベア上やスクリュウーコンベア内或いはケーキホッパー14を含む)である。
まず一般式(1)のジチオ炭酸アミドの誘導体としては、N−メチルジチオカルバミン酸塩(NH4、Na、K、Zn等)、ジチオカルバミン酸ヒドラジン、N,N’−ジメチルジチオカルバミン酸塩(NH4、Na、K、Cu、Zn、Mn、Fe、Ni、Pb等)、N,N’−ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、N,N’−ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスチオカルバミン酸塩(NH4、Na、Zn、Mn等)、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛等を例示できる。一般式(2)のチウラムスルフィドの誘導体としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、エチレンチウラムモノサルファイド等を例示できる。
亜硝酸塩(A)の添加場所は、下水をポンプ場から下水圧送管路を経て着水井に圧送する場合には下水圧送管路に、また、下水処理汚泥をポンプ場から下水圧送管路を経て汚泥集中処理施設に圧送する際には、ポンプ場或いは下水圧送管路の途中にすることが好ましい。また、脱水ケーキの臭気発生防止を対象とする場合には、汚泥濃縮槽2又は汚泥貯留槽4とすることが好ましい。
なお、実施例中の汚泥スラリーの臭気測定は、以下の方法に従って行った。
(1)汚泥スラリー100mlを用意し、消臭剤を添加後ミキサーで撹拌する(500rpm×10sec)。
(2)臭気測定用袋(容量:700ml)に上記汚泥スラリーを入れ、ゴム栓で密栓する。
(3)シリンジで600mlの無臭空気を注入する。
(4)30℃の恒温槽に保管し、消臭剤添加後から所定時間毎に北川式検知管で硫化水素、メチルメルカプタンを測定する。
(1)汚泥スラリー100mlを用意し、消臭剤を添加後ミキサーで撹拌する(500rpm×10sec)。
(2)高分子凝集剤:エバグロースC−104G(商品名:(株)荏原製作所製品)を添加し、撹拌凝集させろ過し、脱水ケーキを得る。
(3)臭気測定用袋(容量:700ml)に上記脱水ケーキを入れ、ゴム栓で密栓する。
(4)シリンジで600mlの無臭空気を注入する。
(5)30℃の恒温槽に保管し、消臭剤添加後から所定時間毎に北川式検知管で硫化水素、
メチルメルカプタンを測定する。
(1)脱水ケーキを一定量採取し、臭気測定用袋(容量:700ml)に上記脱水ケーキを入れ、ゴム栓で密栓する。
(2)シリンジで600mlの無臭空気を注入する。
(3)30℃の恒温槽に保管し、消臭剤添加後から所定時間毎に北川式検知管で硫化水素、メチルメルカプタンを測定する。
下水処理場から発生する混合生汚泥スラリー(pH5.48、SS:21600mg/リットル、VSS:80.7%)に、亜硝酸塩(A)として亜硝酸ナトリウムを200mg/リットル添加・混合し、引き続き化合物(D)として1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを50mg/リットル添加し、臭気測定試験を行った。結果を第1表に示す。
亜硝酸塩(A)の添加量、化合物(D)の種類及び添加量を第1表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に試験を行った。結果を第1表に併記する。
亜硝酸塩(A)または/及び化合物(D)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。結果を第1表に示す。
実施例1において、亜硝酸ナトリウム添加後、第2表に示す時間経過後に化合物(D)を添加したこと以外は、実施例1と同様に試験を行った。結果を第2表に併記する。
下水処理場から発生する混合生汚泥スラリー(pH5.32、SS:24300mg/リットル、VSS:82.0%)に、亜硝酸塩(A)として亜硝酸ナトリウムを100mg/リットル添加した。亜硝酸ナトリウムの添加後1時間経過した後、汚泥スラリーを図1に示すベルトプレス脱水機を設置した脱水施設に供給した。この際、汚泥貯留槽から脱水機に至る送泥管に、化合物(D)として2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウムを100mg/リットル添加した。得られた脱水ケーキの臭気発生防止試験結果を第3表に示す。
化合物(D)の添加場所、種類、或いは添加量を第3表に示すように変更したこと以外は、実施例10と同様に実験を行った。結果を第3表に示す。
化合物(A)または化合物(D)を使用しなかったこと以外は、実施例10と同様に実験を行った。結果を第3表に示す。
下水処理場から発生する第4表に示す性状の汚泥スラリーに、亜硝酸塩として亜硝酸ナトリウムを、亜硝酸イオン換算で100mg/リットル(汚泥スラリー中の硫化物量との比で3.0)添加し、汚泥スラリーの臭気測定試験を行った。試験結果を第5表に示す。
亜硝酸ナトリウムの添加量を第5表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様に試験を行った。結果を第5表に併記する。
汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムを添加するに先立って、第5表に示すpH調整剤を用いてpH調整を行ったこと以外は、実施例17と同様に試験を行った。結果を第5表に併記する。
亜硝酸ナトリウムの添加量を、亜硝酸イオン換算で2mg/リットル(汚泥スラリー中の硫化物量との比で0.06)としたこと以外は、実施例17と同様に実験を行った。結果を第5表に示す。
亜硝酸ナトリウムを添加しなかったこと以外は、実施例17と同様に実験を行った。結果を第5表に示す。
亜硝酸ナトリウムを添加しなかったこと以外は、実施例22と同様に実験を行った。結果を第5表に示す。
下水処理場から発生する第6表に示す性状の汚泥スラリーに、亜硝酸塩として亜硝酸ナトリウムを、亜硝酸イオン換算で100mg/リットル(汚泥スラリー中の硫化物量との比で7.0)添加し、亜硝酸ナトリウムの添加後1時間経過した後汚泥スラリーを脱水し、脱水ケーキの臭気測定試験を行った。結果を第7表に示す。また、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムを添加せずに脱水を行った結果(比較例10)も併記する。
亜硝酸ナトリウムの添加から脱水までの時間を第7表のように変更したこと以外は、実施例24と同様に実験を行った。結果を第7表に併記する。
汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムを添加するに先立って、ポリ鉄をpH調整剤として用いてpHを5.1に調整し、実施例24と同様に試験を行った。結果を第7表に併記する。
亜硝酸ナトリウムの添加から脱水までの時間を、第7表のように変更したこと以外は、実施例27と同様に実験を行った。結果を第7表に併記する。
第6表に示す性状の汚泥スラリーに、亜硝酸塩として汚泥スラリーを、亜硝酸イオン換算で50mg/リットル(汚泥スラリー中の硫化物量との比で3.5)添加した。亜硝酸ナトリウムの添加後1時間経過した後に、第8表に示す酸化剤、金属塩或いは有機系殺菌剤を添加・混合した後、汚泥スラリーを脱水し、脱水ケーキの臭気測定試験を行った。結果を第8表に併記する。
下水処理場から発生する混合生汚泥の汚泥スラリー(pH5.50、SS:20200mg/リットル、VSS:82.2%)に、亜硝酸塩(A)として亜硝酸ナトリウムを200mg/リットル添加した。亜硝酸ナトリウムの添加から1時間後、汚泥スラリー中の残留亜硝酸イオンが32mg/リットルになった時点で、酸化剤(B)として亜塩素酸ナトリウム100mg/リットルを添加し、汚泥スラリーの臭気測定試験を行った。結果を第9表に示す。
汚泥スラリー中の残留亜硝酸イオン濃度を第9表に示すように調整し、また、酸化剤(B)や有機系殺菌剤(C)の種類や添加量を変更したこと以外は、実施例37と同様に試験を行った。結果を第9表に併記する。残留亜硝酸イオン濃度の調整は、亜硝酸塩添加から酸化剤(B)や有機系殺菌剤(C)の添加までの時間を変えることで実施した。
下水処理場から発生する余剰汚泥(pH6.66、SS:10500mg/リットル、VSS:78.5%)を入れた汚泥貯留槽に、亜硝酸塩(A)として亜硝酸ナトリウムを200mg/リットル添加した。亜硝酸ナトリウムの添加から1時間後、汚泥スラリー中の残留亜硝酸イオン濃度が42mg/リットルになった時点で、汚泥スラリーを図1に示すベルトプレス脱水機を設置した脱水施設に供給した。この際、汚泥貯留槽から脱水機に到る送泥管途中に、酸化剤(B)として亜塩素酸ナトリウム100mg/リットルを添加した。得られた脱水ケーキの臭気測定試験結果を第10表に記載する。
汚泥スラリー中の残留亜硝酸イオン濃度を第10表に示すように調整し、また、酸化剤(B)や有機系殺菌剤(C)の種類や添加量を変更したこと以外は、実施例46と同様に試験を行った。結果を第10表に併記する。残留亜硝酸イオン濃度の調整は、亜硝酸塩添加から酸化剤(B)や有機系殺菌剤(C)の添加までの時間を変えることで実施した。
下水処理場から発生する混合生汚泥(pH5.46、SS:19.1g/リットル、VSS:83.5%)の汚泥貯留槽に、亜硝酸塩として亜硝酸ナトリウムを、亜硝酸イオン換算で100mg/リットルとなるように添加した。その後、汚泥スラリーを図1に示すベルトプレス脱水機を設置した脱水施設に供給し、第11表に示す条件で脱水処理を行い、得られた脱水ケーキについて臭気測定を行った。結果を第11表に示す。
実施例55〜56
実施例54において、亜硝酸ナトリウムの添加量と、亜硝酸ナトリウムの汚泥スラリーへの添加から脱水までの時間を、第11表に示すように調整したこと以外は、実施例54と同様に試験を行った。結果を第11表に併記する。
汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムを添加するに先立って、ポリ硫酸鉄を用いてpHを4.8に調整を行ったこと以外は、実施例54と同様に試験を行った。結果を第11表に併記する。
脱水ろ液中の残留亜硝酸イオン濃度を、0.3mg/リットルとなるように調整したこと以外は、実施例54と同様に実験を行った(比較例24)。また、亜硝酸ナトリウムを添加しないで脱水を行った(比較例25)。結果を第11表に示す。
図1の脱水施設において、汚泥貯留槽と脱水機との間の送泥管中に、第12表に示す薬剤を注入して、実施例54と同様の試験を行った。結果を第12表に併記する。
送泥管中に注入する薬剤の種類と添加量を、第12表に示すように変更したこと以外は、実施例58と同様に試験を行った。結果を第12表に併記する。
下水処理場から発生する余剰汚泥(pH6.34、SS:9.9g/リットル、VSS:78.5%)の汚泥貯留槽に、亜硝酸塩として亜硝酸ナトリウムを、亜硝酸イオン換算で100mg/リットルとなるように添加した。その後、汚泥スラリーを図2に示すろ過部を有する造粒濃縮槽を備えたベルトプレス脱水機を設置した脱水施設に供給し、第13表の条件で脱水処理を行い、得られた脱水ケーキについて臭気測定を行った。脱水に際しては、高分子凝集剤添加前にポリ硫酸鉄を添加しpHを4.8に調整した。結果を第13表に示す。
実施例65〜66
実施例64において、亜硝酸ナトリウムの添加量と、亜硝酸ナトリウムの汚泥スラリーへの添加から脱水までの時間を、第13表に示すように調整したこと以外は、実施例64と同様に試験を行った。結果を第13表に示す。
汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムを添加するに先立って、ポリ硫酸鉄を用いてpHを5.3に調整を行ったこと以外は、実施例64と同様に試験を行った。結果を第13表に併記する。
脱水ろ液の残留亜硝酸イオン濃度を、0.2mg/リットルとなるように調整したこと以外は、実施例64と同様に実験を行った。結果を第13表に示す。
2 汚泥濃縮槽
3 濃縮汚泥
4 汚泥貯留槽
5 凝集槽
6 凝集剤溶解槽
7 高分子凝集剤
8 ベルトプレス脱水機
9 脱水機流入部
10 脱水ケーキ排出部
11 脱水ケーキ
12 ろ液
13 ベルトコンベア
14 ケーキホッパー
15 反応槽
16 助剤貯留槽
17 助剤
18 造粒濃縮槽
19 ろ過部
20 ろ液
21 造粒濃縮物
Claims (4)
- 汚泥スラリーに亜硝酸塩(A)を添加し、次いで酸化剤(B)として亜塩素酸塩及び有機系殺菌剤(C)としてピリチオン塩を添加した後、汚泥スラリーを脱水する方法において、酸化剤(B)及び有機系殺菌剤(C)の添加時期を、亜硝酸塩(A)添加後の汚泥スラリー中の残留亜硝酸イオン濃度が1〜50mg/Lである時点とし、かつ添加量を下記式(2):
- 酸化剤(B)が亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の脱水ケーキの臭気発生防止方法。
- 汚泥スラリーへの亜硝酸塩(A)の添加後、脱水までの経過時間が30分以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水ケーキの臭気発生防止方法。
- 有機系殺菌剤(C)がジンクピリチオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脱水ケーキの臭気発生防止方法。
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